説明

固体高分子形燃料電池用膜電極接合体

【課題】触媒層に含まれる白金の量を減らしても、高い初期の出力電圧を有し、かつ高い出力電圧を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【解決手段】触媒層11の少なくとも一方が、電極触媒、繊維状炭素およびイオン交換樹脂を含み、電極触媒が、カーボン担体、およびカーボン担体に担持された白金または白金合金を含み、白金および白金合金の合計の担持率が、電極触媒(100質量%)中、1〜30質量%であり、繊維状炭素が、繊維径が1〜500nmであり、繊維長が1〜100μmであり、かつ金属が担持されていない繊維状炭素であり、電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)が、7/3〜1/9(質量比)である、膜電極接合体10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
水素および酸素を用いる燃料電池は、電極反応による反応生成物が原理的に水のみであることから、環境への悪影響がほとんどない発電システムとして注目されている。燃料電池のうち、プロトン伝導性のイオン交換膜を電解質膜として用いた固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、出力密度が高く、かつ小型化が可能なため、車載用電源等として有望視されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池は、作動温度が低い(50〜120℃)という特徴を有するものの、そのために排熱を補機動力等に有効利用しにくいという問題を有する。該問題を補う意味でも、固体高分子形燃料電池には、水素および酸素の利用率が高いこと、すなわち、高いエネルギー効率および高い出力密度が要求されている。
【0004】
該要求に応えるため、固体高分子形燃料電池の触媒層に含ませる電極触媒として、比表面積の大きなカーボン担体に、白金または白金合金を担持した電極触媒が用いられている。該電極触媒を用いることにより、触媒層における反応面積が拡大し、高出力化が可能となる。
【0005】
該電極触媒を用いた固体高分子形燃料電池には、将来的な普及の観点から、触媒層に含まれる白金の量を減らし、コストを抑えることが要求されている。特に、アノードにおいては、白金の表面における水素の酸化反応が非常に速いため、カソードに比べ大幅に白金の量を低減できる。
【0006】
しかし、白金の量を減らすと、下記の問題が発生する。
(i)触媒である白金が減った分だけ出力電圧が低下してしまう。
(ii)従来の電極触媒は、高密度に反応を行うために、白金の担持率が電極触媒(100質量%)中50〜70質量%とされている。該担持率を維持したまま白金の量を低減していくと、触媒層を構成する主成分の1つであるカーボン担体の量も減り、触媒層が薄くなってしまう。触媒層が薄くなると、電極触媒が凝集しやすくなり、触媒層の均一性が低下する。その結果、触媒層の反応面積が減少し、さらに出力電圧が低下する。
【0007】
触媒層の均一性を維持できる電極触媒としては、下記の電極触媒が提案されている。
(1)グラファイト化度を高めたカーボン担体を用いた電極触媒に造孔剤を混合した電極触媒(特許文献1)。
しかし、(1)の電極触媒は、カーボン担体の腐食を抑制させるため、高温処理によってグラファイト化を施している。そのため、カーボン担体の比表面積が小さくなり、カーボン担体の表面における白金の分散性が悪くなり、その結果、初期の発電特性が低下する問題を有する。
【特許文献1】特開2005−190712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、触媒層に含まれる白金の量を減らしても、高い初期の出力電圧を有し、かつ高い出力電圧を長期間維持できる固体高分子形燃料電池用膜電極接合体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に介在する電解質膜とを具備し、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方の触媒層が、電極触媒、繊維状炭素およびイオン交換樹脂を含み、前記電極触媒が、カーボン担体、およびカーボン担体に担持された白金または白金合金を含み、前記白金および白金合金の合計の担持率が、電極触媒(100質量%)中、1〜30質量%であり、前記繊維状炭素の繊維径が、1〜500nmであり、前記繊維状炭素の繊維長が、1〜100μmであり、前記繊維状炭素には金属が担持されておらず、前記電極触媒と前記繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)が、7/3〜1/9(質量比)であることを特徴とする。
【0010】
前記カーボン担体の比表面積は、100〜800m/gであることが好ましい。
前記カソードの触媒層の厚さは、2〜25μmであり、前記カソードの触媒層に含まれる前記白金および白金合金の合計の量は、前記カソードの触媒層1cmあたり0.05〜0.5mgであることが好ましい。
前記繊維状炭素の繊維径は、1〜150nmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体は、触媒層に含まれる白金の量を減らしても、高い初期出力電圧を有し、かつ高い出力電圧を長期間維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書においては、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
【0013】
<膜電極接合体>
図1は、本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体(以下、膜電極接合体と記す。)の一例を示す概略断面図である。膜電極接合体10は、触媒層11およびガス拡散層12を有するアノード13と、触媒層11およびガス拡散層12を有するカソード14と、アノード13とカソード14との間に、触媒層11に接した状態で介在する電解質膜15とを具備する。
【0014】
(触媒層)
触媒層11のうち、少なくとも一方の触媒層は、特定の電極触媒、特定の繊維状炭素およびイオン交換樹脂を含み、電極触媒と繊維状炭素とが特定の比率である特定の触媒層である。該特定の触媒層は、少なくともカソード14の触媒層11であることが好ましく、アノード13およびカソード14の触媒層11であることが特に好ましい。
【0015】
イオン交換樹脂のイオン交換容量は、プロトン伝導性およびガス透過性の点から、0.5〜2.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂が好ましく、0.8〜1.5ミリ当量/グラム乾燥樹脂が特に好ましい。
【0016】
イオン交換樹脂としては、イオン性基を有する含フッ素重合体、イオン性基を有する炭化水素系重合体等が挙げられ、耐久性の点から、イオン性基を有する含フッ素重合体が好ましい。イオン性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基等が挙げられる。
イオン性基を有する含フッ素重合体としては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(エーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)が好ましく、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく単位と、スルホン酸基を有する繰り返し単位とを有する共重合体(以下、共重合体Hと記す。)が特に好ましい。スルホン酸基を有する繰り返し単位としては、下式(1)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0017】
【化1】

【0018】
ただし、Xはフッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1である。
【0019】
共重合体Hは、TFEおよび−SOF基を有するモノマーの混合物を重合して前駆体ポリマーFを得た後、前駆体ポリマーF中の−SOF基をスルホン酸基に変換することにより得られる。−SOF基のスルホン酸基への変換は、加水分解および酸型化処理により行われる。
【0020】
−SOF基を有するモノマーとしては、化合物(2)が好ましい。
CF=CF(OCFCFX)−O−(CF−SOF ・・・(2)。
ただし、mは0〜3の整数であり、nは1〜12の整数であり、pは0または1であり、XはFまたはCF である。
【0021】
化合物(2)としては、化合物(2−1)〜(2−3)が好ましい。
CF=CFO(CFSOF ・・・(2−1)、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(2−2)、
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOF ・・・(2−3)。
ただし、q、r、sは1〜8の整数であり、tは1〜3の整数である。
【0022】
スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の場合、重合後にフッ素化することにより重合体の末端がフッ素化処理されたものであってもよい。重合体の末端がフッ素化されていると、過酸化水素または過酸化物ラジカルに対する安定性により優れるため、耐久性が向上する。
【0023】
イオン性基を有する炭化水素系重合体としては、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルホキシド、スルホン化ポリフェニレンサルファイド、スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトンケトン、スルホン化ポリイミド等が挙げられる。
【0024】
電極触媒は、カーボン担体に、白金または白金合金(以下、白金および白金合金をまとめて触媒金属と記す。)が担持された電極触媒である。
触媒金属の担持率は、電極触媒(100質量%)のうち、1〜30質量%が好ましい。触媒金属の担持率が1質量%以上であれば、カーボン担体の比率が大きくなりすぎず、触媒層11の形成時にクラックを生じにくい。また、触媒層11が厚くなりすぎず、触媒層11における電極触媒の密度が高くなり、充分な出力電圧を維持できる。触媒金属の担持率が30質量%以下であれば、触媒層11が薄くなりすぎることがなく、触媒層11の均一性を維持できる。
【0025】
アノード13の触媒層11に含まれる電極触媒の触媒金属の担持率は、カソード14の触媒層11に含まれる電極触媒の触媒金属の担持率よりも1〜20質量%低いことが好ましい。アノード13での反応は、水素の酸化反応であり、非常に速やかに反応が進行するため、通常はカソード14よりも触媒金属の量を少なくできる。よって、アノード13の触媒層11に含まれる電極触媒の触媒金属の担持率は、カソード14の触媒層11に含まれる電極触媒の触媒金属の担持率よりも低くできる。
【0026】
カソード14の触媒層11に含まれる触媒金属の量は、触媒層1cmあたり0.05〜0.5mgが好ましい。触媒金属の量が0.05mg/cm以上であれば、充分な出力電圧を維持できる。触媒金属の量が0.5mg/cm以下であれば、低コスト化の要求に応えることができる。
【0027】
アノード13の触媒層11に含まれる触媒金属の量は、触媒層1cmあたり0.01〜0.5mgが好ましい。触媒金属の量が0.01mg/cm以上であれば、充分な出力電圧を維持できる。触媒金属の量が0.5mg/cm以下であれば、低コスト化の要求に応えることができる。
【0028】
カーボン担体としては、カーボンブラック粉末等が挙げられる。カーボン担体は、アモルファス性の高いカーボン担体であってもよく、グラファイト化度の高いカーボン担体であってもよい。
【0029】
カーボン担体の比表面積は、100〜800m/gが好ましく、150〜500m/gがより好ましい。カーボン担体の比表面積が100m/g以上であれば、触媒金属が、分散性よく、微粒子の状態で担持され、初期の出力電圧を向上できる。カーボン担体の比表面積が800m/g以下であれば、ミクロ細孔の発達が抑えられ、触媒金属がミクロ細孔内に入り込むことなく、触媒金属を有効に活用できる。ミクロ細孔内に入り込んだ触媒金属は、イオン交換樹脂と接触できず、反応に寄与できない。
カーボン担体の比表面積は、BET比表面積装置を用い、カーボン表面への窒素吸着により測定される。
【0030】
カーボン担体の[002]面の平均格子面間隔d002は、0.335〜0.390nmが好ましい。d002が0.335nm以上であれば、触媒金属が、分散性よく、微粒子の状態で担持され、初期の出力電圧を向上できる。d002が0.390nm以下であれば、ミクロ細孔の発達が抑えられ、触媒金属がミクロ細孔内に入り込むことなく、触媒金属を有効に活用できる。
カーボン担体のd002は、粉末X線回折装置に電極触媒の粉末をサンプルとしてセットし、電極触媒の回折パターンから算出する。
【0031】
電極触媒とイオン交換樹脂との比率(電極触媒/イオン交換樹脂)は、触媒層11のプロトン伝導性および撥水性の点から、4/6〜9.5/0.5(質量比)が好ましく、6/4〜8/2が特に好ましい。
【0032】
繊維状炭素は、繊維径が1〜500nmであり、繊維長が1〜100μmであり、かつ金属が担持されていない繊維状炭素である。電極触媒のカーボン担体が酸化腐食した後であっても、触媒金属との接触が取りやすい点から、繊維径が1〜350nmであり、繊維長が1〜50μmである繊維状炭素が好ましい。
繊維径を500nm以下とすることによって、触媒金属との接触が取りやすい。繊維長を100μm以下とすることにより、触媒層11から繊維状炭素が大きく突出することなく、電解質膜15のダメージが抑えられる。
【0033】
繊維状炭素の繊維径および繊維長は、光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)等による観察により測定される。本発明における繊維状炭素の繊維径および繊維長は、それぞれ、繊維状炭素の平均繊維径よび平均繊維長を示す。
繊維状炭素としては、微細でかつ電子伝導性を有する繊維状炭素が好ましく、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ(シングルウォール、ダブルウォール、マルチウォール、カップ積層型等。)等が挙げられる。
【0034】
電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、7/3〜1/9(質量比)であり、6.5/3.5〜1.5/8.5が好ましく、電極反応を効率よく行え、かつ電極触媒のカーボン担体が酸化腐食を多少受けた後においても、良好な発電特性を維持できる点から、6/4〜2/8がより好ましい。電極触媒と繊維状炭素との合計10のうち、繊維状炭素の割合を3以上とすることにより、電極触媒のカーボン担体が酸化腐食した後であっても、触媒金属との接触が取りやすい。電極触媒と繊維状炭素との合計10のうち、繊維状炭素の割合を9以下とすることにより、電極触媒の割合が充分となり、初期の出力電圧の低下が抑えられる。
【0035】
繊維状炭素は、触媒層中にて互いに絡み合って空孔を形成しやすい。該空孔はガスチャンネルとして機能するため、特に高電流密度下における燃料電池の作動時のフラッディングの問題が解消されるという効果も期待できる。
【0036】
カソード14の触媒層11の厚さは、2〜25μmが好ましい。カソード14の触媒層の厚さが2μm以上であれば、触媒層11の均一性を維持できる。カソード14の触媒層の厚さが25μm以下であれば、触媒層11のガス拡散性を維持できる
【0037】
アノード13の触媒層11の厚さは、1〜40μmが好ましい。アノード13の触媒層の厚さが1μm以上であれば、触媒層11の均一性を維持できる。アノード13の触媒層の厚さが40μm以下であれば、触媒層11のガス拡散性を維持できる
【0038】
(ガス拡散層)
ガス拡散層12としては、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等が挙げられる。
ガス拡散層は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)等によって撥水処理されていることが好ましい。
【0039】
(カーボン層)
アノード13およびカソード14は、触媒層11とガス拡散層12との間にカーボン層(図示略)を有していてもよい。カーボン層を配置することにより、触媒層11の表面のガス拡散性が向上し、固体高分子形燃料電池の発電性能が大きく向上する。
【0040】
カーボン層は、カーボンと非イオン性含フッ素重合体とを含む層である。
カーボンとしては、繊維径1〜1000nm、繊維長1〜1000μm以下のカーボンナノファイバーが好ましい。
非イオン性含フッ素重合体としては、PTFE等が挙げられる。
【0041】
(電解質膜)
電解質膜15としては、イオン交換樹脂の膜が挙げられる。
イオン交換樹脂としては、触媒層11のイオン交換樹脂と同様のものが挙げられる。
【0042】
電解質膜15は、補強材を含んでいてもよい。補強材としては、多孔体、繊維、織布、不織布等が挙げられる。補強材の材料としては、PTFE、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0043】
(膜電極接合体の製造方法)
膜電極接合体10は、たとえば、下記方法にて製造される。
(a)電解質膜15と触媒層11とからなる膜触媒層接合体を製造し、該膜触媒層接合体をガス拡散層12で挟み込む方法。
(b)ガス拡散層12と触媒層11とからなる電極(アノード13、カソード14)を製造し、固体高分子電解質膜15を該電極で挟み込む方法。
【0044】
固体高分子電解質膜15は、イオン交換樹脂が共重合体Hの場合、下記の方法によって製造される。
(x−1)前駆体ポリマーFを膜状に成形した後、−SOF基をスルホン酸基に変換する方法。
(x−2)共重合体Hを膜状に成形する方法。
【0045】
(x−1)方法:
前駆体ポリマーFを膜状に成形する方法としては、押出成形法、加圧プレス成形法、延伸法等が挙げられる。
【0046】
(x−2)方法:
共重合体Hを膜状に成形する方法としては、共重合体Hの液状組成物を基材に塗工、乾燥する方法(キャスト法)が挙げられる。
液状組成物は、水酸基を有する有機溶媒および水を含む分散媒に、共重合体Hを分散させた分散液である。
【0047】
膜触媒層接合体または電極は、たとえば、下記の方法によって製造される。
(y−1)塗工液を、電解質膜15またはガス拡散層12の上に塗布し、乾燥させる方法。
(y−2)塗工液を基材フィルムの上に塗布し、乾燥させ触媒層11を形成し、該触媒層11を電解質膜15またはガス拡散層12の上にホットプレス法等によって転写し、基材フィルムを剥離する方法。
【0048】
塗工液は、共重合体H、電極触媒および繊維状炭素を分散媒に分散させた液である。塗工液は、たとえば、前記液状組成物と、電極触媒の分散液と、繊維状炭素の分散液とを混合することにより調製できる。
【0049】
分散媒としては、水、アセトン、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール、ペンタフルオロエタノール、ヘプタフルオロブタノールなどのアルコール類、またはそれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0050】
塗工液には、電極反応で生成する水の排出性を高めること、触媒層自体の形状安定性を保持すること、塗布時の塗布むらの改善、塗工安定性等を高めることを目的として、必要に応じて撥水剤、造孔剤、増粘剤、希釈溶媒等を添加してもよい。
塗工液には、塗工安定性を向上させるために、必要に応じて分散処理を施してもよい。分散処理としては、ボールミル粉砕、ホモジェナイザー粉砕、遊星ミル粉砕、超音波粉砕等が挙げられる。
【0051】
基材フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、PTFE等のフィルムまたはシートが挙げられる。
塗布方法としては、アプリケータ、バーコータ、ダイコータ等を用いる方法;スクリーン印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。
乾燥温度は、60〜100℃が好ましい。
【0052】
以上説明した膜電極接合体10にあっては、2つの触媒層11のうち、少なくとも一方の触媒層が、特定の電極触媒、特定の繊維状炭素およびイオン交換樹脂を含み、電極触媒と繊維状炭素とが特定の比率である特定の触媒層であるため、触媒層11に含まれる白金の量を減らしても、高い初期出力電圧を有し、かつ高い出力電圧を長期間維持できる。
【0053】
すなわち、触媒金属の担持率が、電極触媒(100質量%)中、1〜30質量%であるため、触媒金属がカーボン担体の表面で凝集しにくく、触媒金属の粒子が細かくなり、その結果、触媒金属の反応面積の拡大が達成できる。よって、触媒層11に含まれる白金の量を減らしても、高い出力電圧が得られる。一方、従来の高担持率の電極触媒においては、触媒金属がカーボン担体の表面で凝集しやすいため、触媒金属の量が多いにもかかわらず、触媒金属の反応面積が小さくなり、高い出力電圧が得にくい。
【0054】
また、触媒金属の担持率が、電極触媒(100質量%)中、1〜30質量%であるため、触媒層11を構成する主成分の1つであるカーボン担体の量をあまり減らすことなく、白金の量を低減できる。そのため、触媒層11が薄くなることがなく、電極触媒が凝集しにくく、触媒層11の均一性が維持される。その結果、電極触媒の反応面積が拡大し、さらに出力電圧が向上する。一方、従来の高担持率の電極触媒を用いると、高担持率を維持したまま白金の量を低減していくと、カーボン担体の量も減り、触媒層が薄くなり、電極触媒が凝集しやすくなって、触媒層の均一性が低下する。その結果、電極触媒の反応面積が減少し、さらに出力電圧が低下する。
【0055】
なお、触媒金属の担持率を低く抑えた場合、触媒層11に含まれるカーボン担体の割合が高くなり、触媒層11にクラックが発生しやすくなるが、本発明においては、触媒層11が、特定の繊維状炭素を含み、かつ電極触媒と繊維状炭素とが特定の比率であるため、クラックの発生が抑えられる。その結果、高い出力電圧を長期間維持できる。
また、触媒層11が、特定の繊維状炭素を含み、かつ電極触媒と繊維状炭素とが特定の比率であることによって、下記の付随的効果が得られる。
【0056】
カソード14における高電位条件下でカーボン担体の酸化反応が進行してガス化し、触媒金属がイオン交換樹脂中に遊離した状態になってしまっても、触媒金属と、電子伝導性を有する繊維状炭素との接触が取れているため、電極反応が可能であり、高い出力電圧を長期間維持できる。また、繊維状炭素は、通常、グラファイト化の度合いが高いため、酸化腐食耐性に非常に優れている。
アノード13においても、水素の供給が不充分となった場合、所定の電流密度を維持するため、水素の酸化反応の代わりに、カーボン担体の酸化反応が起こる可能性がある。本発明においては、カソード14と同じように、アノード13の触媒層11中にも繊維状炭素を混合することにより、上述したカソード14と同じ効果が得られる。
【0057】
<固体高分子形燃料電池>
本発明の膜電極接合体の両面に、ガスの流路となる溝が形成されたセパレータを配置することにより、固体高分子形燃料電池が得られる。セパレータとしては、金属製セパレータ、カーボン製セパレータ、黒鉛と樹脂とを混合した材料からなるセパレータ等、各種導電性材料からなるセパレータが挙げられる。
該固体高分子形燃料電池においては、カソードに酸素を含むガス、アノードに水素を含むガスを供給することにより、発電が行われる。また、アノードにメタノールを供給して発電を行うメタノール燃料電池にも、本発明の膜電極接合体を適用できる。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されない。
例1、3、6は実施例であり、例2、4、5、7は比較例である。
【0059】
(触媒層1cmあたりの白金の量)
触媒層を形成する前の基材フィルムのみの質量と、触媒層を形成した後の触媒層および基材フィルムの質量とを測定することにより、触媒層に含まれる単位面積あたりの白金の量を算出した。
【0060】
(触媒層の均一性)
基材フィルムの上に形成された触媒層の表面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、VHX−200/100F)にて観察し、下記の基準で評価した。
○:クラック占有面積率10%未満。
△:クラック占有面積率10%以上〜30%未満。
×:クラック占有面積率30%以上。
【0061】
(出力電圧)
膜電極接合体を発電用セルに組み込み、常圧にて、水素(利用率70%)/空気(利用率40%)を供給し、セル温度80℃にて、電流密度0.2A/cmにおける初期のセル電圧を測定した。ただし、アノード側には露点80℃の水素を供給し、カソード側には露点80℃の空気を供給した。また、同じ加湿条件において、電流密度を0.2A/cmに固定して耐久発電試験を実施した。
【0062】
〔例1〕
触媒層(1)の形成:
カーボン担体(d002:0.339nm、比表面積:210m/g)に白金が担持された電極触媒(白金担持率:22質量%)10gを、蒸留水75.1gに加え、よく撹拌した。これに、エタノール12.0gを加え、よく撹拌した。これに、共重合体H1(旭硝子社製、商品名:フレミオン、イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂、TFEに基づく単位と下式(1−1)で表される繰り返し単位に基づく単位とからなる共重合体。)をエタノールに分散させた固形分濃度9質量%の液(以下、共重合体H1の液状組成物と記す。)69.3gを加え、さらに超音波分散装置を用いて混合、粉砕し、分散液(a)を調製した。
【0063】
【化2】

【0064】
気相成長炭素繊維(昭和電工社製、商品名:VGCF−H、繊維径約150nm、繊維長10〜20μm)7.0gにエタノール11.9g、蒸留水47.3gを加え、よく撹拌した。これに、共重合体H1の液状組成物38.9gを加え、よく撹拌し、さらに超音波分散装置を用いて混合、粉砕し、分散液(b)を調製した。
【0065】
分散液(a)10.0gと分散液(b)10.0gとを混合、撹拌して、塗工液(1)を調製した。
塗工液(1)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ14μmの触媒層(1)を形成した。触媒層(1)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmであった。触媒層(1)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、4.7/5.3(質量比)であった。触媒層(1)の均一性を評価した。結果を表1に示す。
【0066】
膜触媒層接合体の製造:
電解質膜として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる厚さ30μmのイオン交換膜(旭硝子社製、商品名:フレミオン、イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)を用意した。
電解質膜の両方の表面に、基材フィルム上に形成された触媒層(1)をアノード側の触媒層、カソード側の触媒層として配置した。該積層体をホットプレス法によりプレスし、触媒層を電解質膜に転写した後、基材フィルムを剥離し、電極面積が25cmである、電解質膜と触媒層とからなる膜触媒層接合体を得た。
【0067】
膜電極接合体の製造:
膜触媒層接合体を、厚さ350μmのカーボンクロスからなるガス拡散層の2枚で挟んで膜電極接合体を得た。
該膜電極接合体について、初期のセル電圧を測定した。また、耐久発電試験を実施した。結果を表1に示す。
【0068】
〔例2(比較例)〕
触媒層(2)の形成:
カーボン担体(d002:0.377nm、比表面積:800m/g)に白金が担持された電極触媒(田中貴金属工業社製、商品名:TEC10E50E、白金担持率:47質量%)10.0gを、蒸留水67.5gに加え、よく撹拌した。これに、エタノール22.5gを加え、よく撹拌した。これに、共重合体H1の液状組成物50.0gを加え、さらに超音波分散装置を用いて混合、粉砕し、塗工液(2)を調製した。
【0069】
塗工液(2)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ8μmの触媒層(2)を形成した。触媒層(2)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmであった。触媒層(2)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、10/0 (質量比)であった。触媒層(2)の均一性を評価した。結果を表1に示す。
【0070】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側およびカソード側の触媒層として、触媒層(2)を用いた以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を製造し、例1と同様に膜電極接合体を製造した。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定した。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施した。結果を表1に示す。
【0071】
〔例3〕
触媒層(3)の形成:
カーボン担体(d002:0.339nm、比表面積:210m/g)に白金が担持された電極触媒(白金担持率:10質量%)10gを、蒸留水75.1gに加え、よく撹拌する。これに、エタノール12.0gを添加し、よく撹拌する。これに、共重合体H1の液状組成物80.0gを添加し、さらに超音波分散装置を用いて混合、粉砕し、分散液(c)を調製する。分散液(c)10gと分散液(b)8.5gとを混合、撹拌して、塗工液(3)を調製する。
【0072】
塗工液(3)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ12μmの触媒層(3)を形成する。触媒層(3)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.1mg/cmである。触媒層(3)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、5/5(質量比)である。触媒層(3)の均一性を評価する。結果を表1に示す。
【0073】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側の触媒層として、触媒層(3)を用い、カソード側の触媒層として、触媒層(1)を用いる以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を作製し、例1と同様に膜電極接合体を製造する。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定する。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施する。結果を表1に示す。
【0074】
〔例4(比較例)〕
触媒層(4)の形成:
塗工液(2)20.0gと分散液(b)20.0gとを混合、撹拌して、塗工液(4)を調製する。
塗工液(4)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ10μmの触媒層(4)を形成する。触媒層(4)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmである。触媒層(4)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、5/5(質量比)である。触媒層(4)の均一性を評価する。結果を表1に示す。
【0075】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側およびカソード側の触媒層として、触媒層(4)を用いた以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を製造し、例1と同様に膜電極接合体を製造する。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定する。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施する。結果を表1に示す。
【0076】
〔例5(比較例)〕
触媒層(5)の形成:
分散液(a)10gと分散液(b)2.3gとを混合、撹拌して、塗工液(5)を調製する。
塗工液(5)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ11μmの触媒層(5)を形成する。触媒層(5)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmである。触媒層(5)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、8/2(質量比)である。触媒層(5)の均一性を評価する。結果を表1に示す。
【0077】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側およびカソード側の触媒層として、触媒層(5)を用いた以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を製造し、例1と同様に膜電極接合体を製造する。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定する。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施する。結果を表1に示す。
【0078】
〔例6〕
触媒層(6)の形成:
分散液(a)5gと分散液(b)24.9gとを混合、撹拌して、塗工液(6)を調製する。
塗工液(6)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ16μmの触媒層(6)を形成する。触媒層(6)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmである。触媒層(6)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、1.5/8.5(質量比)である。触媒層(6)の均一性を評価する。結果を表1に示す。
【0079】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側およびカソード側の触媒層として、触媒層(6)を用いた以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を製造し、例1と同様に膜電極接合体を製造する。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定する。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施する。結果を表1に示す。
【0080】
〔例7(比較例)〕
触媒層(7)の形成:
分散液(a)2gと分散液(b)24.2gとを混合、撹拌して、塗工液(7)を調製する。
塗工液(7)を、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にダイコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で10分間乾燥させて厚さ18μmの触媒層(7)を形成する。触媒層(7)に含まれる単位面積あたりの白金の量は、0.2mg/cmである。触媒層(7)に含まれる電極触媒と繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)は、0.7/9.3(質量比)である。触媒層(7)の均一性を評価する。結果を表1に示す。
【0081】
膜触媒層接合体、膜電極接合体の製造:
アノード側およびカソード側の触媒層として、触媒層(7)を用いた以外は、例1と同様にして、電極面積が25cmである膜触媒層接合体を製造し、例1と同様に膜電極接合体を製造する。
該膜電極接合体について、例1と同様の条件で初期のセル電圧を測定する。また、例1と同様の条件で耐久発電試験を実施する。結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
本発明の膜電極接合体を用いると、高い初期の出力電圧が得られ、かつ長期にわたる発電耐久試験において、良好な発電特性を維持していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の膜電極接合体は、高い初期の出力電圧を有し、かつ高い電圧を長期間維持できることから、定置用、自動車用等の種々の電源として用いられる燃料電池に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0086】
10 膜電極接合体
11 触媒層
12 ガス拡散層
13 アノード
14 カソード
15 電解質膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒層およびガス拡散層を有するアノードと、
触媒層およびガス拡散層を有するカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に介在する電解質膜とを具備し、
前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方の触媒層が、電極触媒、繊維状炭素およびイオン交換樹脂を含み、
前記電極触媒が、カーボン担体、およびカーボン担体に担持された白金または白金合金を含み、
前記白金および白金合金の合計の担持率が、電極触媒(100質量%)中、1〜30質量%であり、
前記繊維状炭素の繊維径が、1〜500nmであり、
前記繊維状炭素の繊維長が、1〜100μmであり、
前記繊維状炭素には金属が担持されておらず、
前記電極触媒と前記繊維状炭素との比率(電極触媒/繊維状炭素)が、7/3〜1/9(質量比)である、固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項2】
前記カーボン担体の比表面積が、100〜800m/gである、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項3】
前記カソードの触媒層の厚さが、2〜25μmであり、
前記カソードの触媒層に含まれる前記白金および白金合金の合計の量が、前記カソードの触媒層1cmあたり0.05〜0.5mgである、請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。
【請求項4】
前記繊維状炭素の繊維径が、1〜150nmである、請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−258057(P2008−258057A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100327(P2007−100327)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】