説明

固型粉末化粧料

【課題】耐衝撃性と良好な使用感とを兼ね備えた固型粉末化粧料を提供する。
【解決手段】粉末成分と油性成分とを含む化粧料基剤に、溶剤を添加してスラリーとし、該スラリーを容器に充填した後、前記溶剤を除去することにより得られ、
化粧料全体に対して、平均粒子径1〜50μmの球状ポリオレフィン樹脂粉末を3〜40質量%、不揮発性油性成分を1〜20質量%含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
前記化粧料において、化粧料全体に対してパール顔料を5〜89質量%含むことが好ましい。
前記化粧料において、球状ポリオレフィン樹脂粉末が、重量平均分子量3000以上のポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレン/ポリプロピレン共重合体から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固型粉末化粧料、特に不揮発性油性成分の含量が比較的少ない固型粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
固型粉末化粧料は、とりわけメーキャップ化粧料において汎用の化粧料基剤であるが、耐衝撃性と使用感との両立が大きな課題となっている。特にパール顔料を高配合したアイシャドウ等の化粧料においては、パール顔料の粉末特性に起因する耐衝撃性の悪化が見られ、これらの改善のため様々な試みがなされてきた。
例えば、ワックス等の固形又は半固形油分を高配合し、溶融状態で充填し、冷却固化させることで、耐衝撃性を向上させる技術が知られている(湿式成型法)。しかしながら、この方法では、化粧品中の不揮発性油性成分の含量が多くなるため、使用感が重くなることがあった。
【0003】
一方で、不揮発性油性成分の含量が比較的少ない固型粉末化粧料を製造する方法として、いわゆる湿式成型法が知られている(例えば、特許文献1及び2)。湿式成型法とは、化粧料基剤に溶剤を過剰に添加してスラリー状として容器に充填し、その後過剰の溶剤を揮発や吸引により除去する方法である。
【特許文献1】特開昭56−128107号
【特許文献2】特開平01−9909号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、不揮発性油性成分の含量が比較的少ない固型粉末化粧料においては、上記方法においても、耐衝撃性が十分ではなく、改善策が望まれていた。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、耐衝撃性と良好な使用感とを兼ね備えた固型粉末化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等がこうした事情を鑑み、課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、不揮発性油性成分の含量が比較的少ない固型粉末化粧料において、球状ポリオレフィン樹脂粉末を配合することにより、耐衝撃性と良好な使用感とが両立されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の固型粉末化粧料は、粉末成分と油性成分とを含む化粧料基剤に、溶剤を添加してスラリーとし、該スラリーを容器に充填した後、前記溶剤を除去することにより得られ、
化粧料全体に対して、平均粒子径1〜50μmの球状ポリオレフィン樹脂粉末を3〜40質量%、不揮発性油性成分を1〜20質量%含むことを特徴とする。
【0006】
前記化粧料において、化粧料全体に対してパール顔料を5〜89質量%含むことが好ましい。
前記化粧料において、球状ポリオレフィン樹脂粉末が、重量平均分子量3000以上のポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレン/ポリプロピレン共重合体から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0007】
前記化粧料において、不揮発性油性成分として、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン/アルキル変性シリコーン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、シリコーンゴム、及びこれらの架橋体から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
前記化粧料は、化粧料全体に対して弾性粉末を3〜30質量%含むことが好ましい。
【0008】
さらに下記一般式(I)で表される分子量3000〜10000のピロリドンカルボン酸変性シリコーンを含むことが好ましい。
(化1)

(式中、m/(m+n)=1/500〜1/10である。)
また前記化粧料は、さらに炭化水素を主成分とするワックスを含み、該ワックスの含有量が、球状ポリオレフィン樹脂粉末の含有量と比較して、質量比で1/2以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不揮発性油性成分量が比較的少ない固型粉末化粧料において、平均粒子径1〜50μmの球状ポリオレフィン樹脂粉末を配合することにより、耐衝撃性と良好な使用感とを兼ね備えた固型粉末化粧料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<球状ポリオレフィン樹脂粉末>
本発明のポリオレフィン樹脂粉末としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体が挙げられる。
本発明の球状ポリオレフィン樹脂粉末の平均粒子径は1〜50μm、好ましくは2〜40μm、さらに好ましくは3〜30μmである。粒子径が1μm未満であると、きしみ感が生じるため好ましくない。また粒子径が50μmを超えると、ざらつき感が生じるため好ましくない。
【0011】
本発明において、球状ポリオレフィン樹脂粉末の重量平均分子量は3000以上であり、特に5000以上、さらに10000以上であることが好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、使用感が重くなることがある。
従来、分子量が300〜2000程度の低分子量ポリオレフィンのワックス粒状物を固型粉末化粧料に配合して、耐衝撃性を向上させる技術が知られているが、この技術は、成形時にワックス粒状物を変形させたり、融着させたりして耐衝撃性を向上させるものであり、使用感が重くなる等の欠点を有する。
これに対し、本発明の球状ポリオレフィン樹脂粉末は、成形時に変形することがないので、固型粉末化粧料にサラサラとした良好な使用感を与えることができる。
【0012】
本発明のポリオレフィン樹脂粉末は球状であることを特徴とする。不定形や板状、繊維状等のポリオレフィン粉末では、良好な使用感を与えることができない。球状とは、完全な球形のみならず、転がりによってサラサラとした使用感を付与させる効果を保つ程度に角がなく、丸みがある形状であれば良く、好ましくは溶液分散やスプレードライ法等により得られた、ほぼ球形のものが好ましい。また、外形が球状であれば、中空や細孔を持たせても良い。また、凝集体であっても、肌に塗布した時にシェアで、球状粒子にほぐれれば良い。
また、球状ポリオレフィン樹脂粉末は、本発明の効果を損なわない範囲内で、分散性や化粧持ちをさらに向上させるために、フッ素やシリコーン等の疎水化処理を施しても良い。さらに、ポリオレフィンが主成分であれば、本発明の効果を損なわない程度に、表面や内部に他の微粒子粉末や薬効成分、添加剤や他のポリマーを混合・担持した多機能化粉末としても良い。
【0013】
本発明のポリオレフィン樹脂粉末は、例えば特開昭60−212430号及び特開昭62−280226号に記載の方法により、製造されたものであることが好ましいが、これに限定されない。
本発明において球状ポリオレフィン樹脂粉末は、化粧料全体(最終製品)に対して3〜40質量%、特に5〜30質量%含まれることが好ましい。3質量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されず、40質量%を超えると充填困難になる。
【0014】
<不揮発性油性成分>
本発明において、不揮発性油性成分とは、常圧における沸点が60℃以上の油性成分であり、シリコーン油、ワックス、炭化水素油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、天然油分、フッ素油など通常化粧料に用いられている油分のほか、アルキレンオキシド誘導体、油溶性の界面活性剤、油溶性の紫外線吸収剤、油溶性の薬効成分、油溶性被膜剤、油溶性ゲル化剤など、油分に溶解または均一に混合可能であって、粉末の濡れに影響を与えたり、成型助剤や油分の増量剤として機能する成分を含む。
【0015】
本発明において、不揮発性油性成分としては、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン/アルキル変性シリコーン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、シリコーンゴム、及びこれらの架橋体から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
上記シリコーン油を配合すると、伸びの軽さが改善される。
【0016】
また、本発明の固型粉末化粧料においては、不揮発性油性成分として、固形及び/又は半固形油分、特にワックスを添加することにより、成型性や対衝撃性がさらに向上する。ワックスとしては、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス(分子量300-2000)、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス(分子量300-2000)、マイクロクリスタンワックス、セレシンワックス等の炭化水素を主成分とするワックスや、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ等の天然ロウやこれらの精製物、長鎖脂肪アルコール、シリコーンワックス等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの中でも特に炭化水素を主成分とするワックスを用いることが、耐衝撃性や操作性等の点から特に好ましい。
【0017】
ワックスの含有量は、化粧料全体に対し0.5〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。ワックスの添加効果は、0.5質量%程度から発揮されるが、5質量%を超えると使用感が重くなることがあるため、耐衝撃性を十分に保てる範囲であれば、ワックスの含有量は少ない方が好ましい。
また、該ワックスの含有量は、球状ポリオレフィン樹脂粉末の含有量と比較して、質量比で1/2以下であることが、耐衝撃性及び使用感の点から好ましい。
ワックスの配合方法としては、ワックスの微細分散物を粉末成分と共に配合する方法や、ワックスを他の油性成分と共に加熱溶解して配合する方法が挙げられる。化粧料中に均一に配合するためには、後者の方法がより好ましい。
【0018】
本発明の固型粉末化粧料は、さらに下記一般式(I)で表される分子量3000〜10000のピロリドンカルボン酸変性シリコーンを含むことが好ましい。
(化2)

(式中、m/(m+n)=1/500〜1/10である。)
【0019】
上記ピロリドンカルボン酸変性シリコーンの分子量は3000〜10000であるが、特に6000程度であることが好ましい。また、m/m+nは1/500〜1/10であるが、0.01程度であることが好ましい。
具体的には、メチル(N−プロピル−ピロリドンカルボン酸)シロキサン・メチルポリシロキサン共重合体が挙げられる。
ピロリドンカルボン酸変性シリコーンは、化粧料中1〜15質量%含まれることが好ましい。特に3〜10質量%であることが好ましい。1質量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されないことがあり、15質量%を超えると使用感がべたつくことがある。
【0020】
炭化水素油としては、スクワラン、流動パラフィン、ポリイソブテン、ワセリン等が挙げられる。
エステル油としては、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0021】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0022】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0023】
天然油分としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
フッ素油としては、パーフルオロデカリン、パーフルオロブチルテトラハイドロフラン、パーフルオロアルカン、パーフルオロポリエーテル、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0024】
上記アルキレンオキシド誘導体としては、具体的には、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(9)POB(2)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略である。
【0025】
本発明の固型粉末化粧料においては、不揮発性油性成分として油分に溶解または分散しうる界面活性剤を配合することができる。とりわけ、親油性の液状非イオン性界面活性剤を配合することが好ましい。例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタンモノステアレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノオレエート等のPOEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリンモノイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEステアリルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル、POEノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル、プルロニック等のプルアロニック型類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPと略する)セチルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合体、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられるが、上記の界面活性剤に限定されるものではない。また、これら界面活性剤は、本発明化粧料において1種あるいは2種以上を任意に選択して配合することができる。
【0026】
また、不揮発性油性成分として有機紫外線吸収剤を配合することができる。油溶性または親油性液状のものが好ましい。例えば、4−(1,1−ジメチルエチル)−4′−メトキシベンゾイルメタン(商品名:パルソール1789)、オクチルメトキシシンナメート(商品名:パルソールMCX)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル(商品名:サンシェルターSP)パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(商品名:エスカロール507D)、パラジメチルアミノ安息香酸メチル(商品名:エスカロール506)、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名:チノソーブS)、オクチルトリアゾン(商品名:ユビナールT150)、オクトクリレンまたは2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(商品名:パルソール340)などが挙げられるが、上記の有機紫外線吸収剤に限定されるものではない。また、これら有機紫外線吸収剤は、本発明化粧料において1種あるいは2種以上を任意に選択して配合することができる。
【0027】
不揮発性油性成分の含有量は、化粧料全体に対して1〜20質量%であり、好ましくは3〜20質量%、さらに好ましくは5〜18質量%、特に好ましくは10〜16質量%である。20質量%を超えると使用感が悪くなる。また、1質量%未満であると耐衝撃性が悪くなる。
【0028】
さらに本発明の粉末固型化粧料には、球状ポリオレフィン樹脂粉末以外に、パール顔料、弾性粉末、体質顔料、色材、紫外線吸収粉末、球状ポリオレフィン樹脂粉末以外の球状粉末等、従来化粧料に用いられている粉末を、目的に応じて任意に配合することができる。また、油不溶性の固形状薬剤、例えばアスコルビン酸、アルブチン、アミノ酸類、無機塩類およびこれらの誘導体などの薬効成分を粉末として配合してもよい。
粉末は、化粧料油剤、紫外線吸収剤等を内包させたものでもよく、表面を疎水化処理したものでもよい。粉末の疎水化処理としては、例えば、シリコーン油、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、ポリエチレン、金属石鹸、アミノ酸又はアルキルフォスフェート及びフッ素化合物を用いた表面処理が挙げられ、2種以上の処理を組み合わせて行っても良い。
本発明の粉末固型化粧料は、不揮発性油性成分が比較的少ないこと、言い換えれば粉末成分が比較的多いことに特徴があり、粉末成分の合計の含有量は、球状ポリオレフィン樹脂粉末を含め、化粧料全体に対して80〜99質量%であり、好ましくは80〜97質量%、さらに好ましくは80〜95質量%、特に好ましくは84〜90質量%である。
【0029】
パール顔料とは、真珠光沢を有する板状の粉末であり、塗料や化粧料の分野において汎用の粉末である。例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、酸化鉄・カルミン処理雲母チタン、コンジョウ処理雲母チタン、酸化鉄・コンジョウ処理雲母チタン、酸化クロム処理雲母チタン、黒酸化チタン処理雲母チタン、アクリル樹脂被覆アルミニウム末、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等が挙げられる。
【0030】
市販品としては具体的には、チミロンスプレンディッドゴールドTM、チミロンスプレンディッドレッドTM、チミロンスプレンディッドブルーTM、チミロンスプレンディッドグリーンTM、テミロンスーパーレッドTM、テミロンスーパーブルーTM、テミロンスーパーグリーンTM、テミロンスーパーゴールドTM、コロロナシエナTM、コロロナカーミンレッドTM、コロロンレッドゴールドTM(以上、メルク社製)、クロイゾネブルーTM、クロイゾネグリーンTM、クロイゾネゴールドTM、クロイゾネルージュフランべTM、ジェムトーンタンオパールTM、ジェムトーンルビーTM、チミカブリリアントゴールドTM、チミカゴールデンブロンズTM、チミカカッパーTM、デュオクロムRBTM、デュオクロムRYTM、デュオクロムYRTM、デュオクロムYBTM、デュオクロムRGTM、デュオクロムBGTM、デュオクロムBRTM、デュオクロムGYTM、フラメンコベルベットTM、フラメンコサティーナTM、フラメンコレッドTM、フラメンコブルーTM、フラメンコゴールドTM(以上、エンゲルハード社製)等が挙げられる。
【0031】
従来、パール顔料を高配合した固型粉末化粧料においては、パール顔料の粉末特性に起因する耐衝撃性の悪化が問題になっていた。
本発明の特徴の一つは、重量平均粒子径が15μm以上、特に30μm以上の大きなパール顔料を高配合させた場合においても、耐衝撃性に優れた化粧料が得られることである。この効果は、パール顔料が化粧料全体に対して、5〜89質量%、好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは20〜50質量%含まれる場合に顕著に発揮される。
【0032】
弾性粉末とは、ゴムのような弾力を有する粉末をいい、その性質に起因する柔らかで滑らかな使用感を付与するために配合することができる。弾性粉末としては、シリコーンゴム粉末、シリコーン樹脂粉末、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉末、ポリウレタン粉末等が挙げられる。また、これらの粉末表面にタルク、酸化チタン、酸化亜鉛、シリコーン樹脂等を複合化した複合粉末を用いることもできる。
【0033】
弾性粉末は、一般に耐衝撃性を悪化させる傾向にあるが、本発明ではこれらの弾性粉末を配合した場合でも、耐衝撃性に優れた化粧料を得ることができる。さらに、弾性粉末と球状ポリオレフィン樹脂粉末との相乗効果により、使用感を向上させることができる。この効果は、弾性粉末が化粧料全体に対して、3〜30質量%含まれる場合に顕著に発揮される。
【0034】
体質顔料とは、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、アルミナ、無水ケイ酸、硫酸バリウム、シリカ、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、酸化セリウム、テトラフルオロエチレン等が挙げられる。
色材としては、酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄)、群青、紺青、カーボンブラック、酸化クロム等が挙げられる。
紫外線吸収粉末としては、無機系粉末、有機系粉末がある、無機系粉末としては、微粒子の二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、又はこれらに他の金属をドーピングしたものや、シリカなどとの複合粉末が挙げられる。紫外線吸収粉末の粒子径は、紫外線吸収効果の向上とメーキャップ効果への悪影響の低減のため、0.001〜0.1μmであることが好ましい。有機系粉末としては、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0035】
<固型粉末化粧料の製造方法>
本発明の固型粉末化粧料は、以下の方法により製造される。
まず、球状ポリオレフィン樹脂粉末を含む粉末成分をヘンシェルミキサー等で混合後、油性成分を添加し均一に混合して化粧料基剤を調製する。次いでこの化粧料基剤を溶剤と混合してスラリー状物とし、容器に充填する。充填時にスラリー状物の容器等への拡がりが悪い場合には、充填物がこぼれない程度に軽い振動を与えると均一に充填することができる。容器等に充填後、溶剤を除去して固化させる。溶剤の除去は常法、例えば自然乾燥、加温乾燥、温風乾燥、真空吸引等によって行われる。上記製造方法はいわゆる湿式成型法であり、その詳細は特公昭57−60004号公報、特公昭61−54766号公報等に記載されている。
【0036】
溶剤の量は、粉末成分の組成及び油性成分の配合量などによっても異なるが、スラリー状物からの空気の抜き取りおよび容器等への充填が容易な粘度になるようにするのが好ましく、一般には、重量換算で化粧料基剤の0.5〜1.5倍であることが好ましい。溶剤量が多くなりすぎると、乾燥に長時間を要すると共に、乾燥後にひび割れや、著しい内容物の目減りを生じ、また耐衝撃性も低下する。
本発明において用いられる溶剤としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、THF、パラフィン、シリコーン等が挙げられ、用いる粉末成分及び油性成分の特性に応じて、1種または2種以上を混合して用いることができる。このうち特にエタノールが好ましい。
【0037】
なお、上記製造工程において、溶剤を揮発以外の方法、例えば吸引等により除去する場合、溶剤と共に不揮発性油性成分等が一部除去されてしまうため、製造時の配合量は最終製品の目的とする含有量に対し、増量することが必要である。増量の程度は、配合成分と溶剤の種類と量、製造条件等により異なるため、適宜決定され、多くの場合120〜150質量%に増量することが好ましいが、溶剤と相溶性が高い場合、200質量%程度の増量が必要な場合もある。
【0038】
本発明の固型粉末化粧料は上記の成分の他に本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、揮発性油性成分、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0039】
本発明の固型粉末化粧料は、例えばファンデーション、ほお紅、アイシャドウ等として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【実施例1】
【0040】
初めに、本発明で用いられる評価基準について記載する。
[耐衝撃性]
各化粧料の成型物をコンパクト容器にセットし、箱に入れた状態で30cmの高さからコンパクトが下向きになるように金属板上に落下させ、何回目で割れたかを調べ、以下のように評価した。
◎:20回目以上
○:11〜19回目
△:6〜10回目
×:5回目以下
【0041】
[粉飛びのなさ]
各化粧料について、使用時の粉飛びのなさについて、女性パネル12名により5段階評価し(5;とても良好、4;良好、3;普通、2;悪い、1;かなり悪い)、その平均値により、以下のように評価した。
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0042】
[取れ付きの良さ]
各化粧料を化粧用パフで取った時の取れ付きの良さについて、女性パネル12名により5段階評価し(5;とても良好、4;良好、3;普通、2;悪い、1;かなり悪い)、その平均値により、以下のように評価した。
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0043】
[伸びの軽さ]
各化粧料について、塗布時の伸びの軽さについて、女性パネル12名により5段階評価し(5;とても良好、4;良好、3;普通、2;悪い、1;かなり悪い)、その平均値により、以下のように評価した。
◎:4以上
○:3以上4未満
△:2以上3未満
×:2未満
【0044】
[充填適正]
各化粧料について、製造時の充填適正を以下のように評価した。
○:充填しやすい(ノズルから中身が均一に出て、問題なく充填できる)
△:充填やや困難(中身がダイラタント状態となりノズルに詰まる懸念がある)
×:充填困難(中身がひどくダイラタント状態となりノズルが詰まる)
【0045】
初めに、以下の表1に示す処方に基づき、各粉末成分を配合した固型粉末化粧料を調製し、上記評価を行った。なお製造方法は、従来一般に用いられている乾式成型法を用いた。
(表1)

(製法:乾式成型法)
粉末成分をヘンシェルミキサー等で混合後、油性成分を添加し均一に混合して化粧料基剤を調製する。これを中皿に充填し圧縮成型する(成型圧150kg)。
【0046】
表1からわかるように、乾式成型法で製造した場合、いずれの試験例においても、耐衝撃性と良好な使用感とを両立させたものは得られなかった。すなわち、油分量が少ないと固型にならず、油分量を増やすと固型になり、耐衝撃性は改善されるものの、伸びが悪く、べたついた使用感となってしまった。
【0047】
次に、以下の表2に示す処方に基づき、湿式成型法により固型粉末化粧料を調整し、上記評価を行った。
(表2)

【0048】
(製法:湿式成型法)
粉末成分をヘンシェルミキサー等で混合後、油性成分を添加し均一に混合して化粧料基剤を調製する。これに対しエタノールを60〜70質量%加え、均一に混合しスラリー状にする。この際、油性成分については、エタノールの除去により一部が喪失されてしまうため、最終製品での配合量が処方規定量となるように、適宜120〜160%の増量仕込みを行った。これを中皿に充填、成型ヘッドを用いて圧縮成型し(成型圧20kg)、同時に成型ヘッドの裏面からエタノールを吸引する。吸引後、成型物を50℃で2時間乾燥させる。
【0049】
湿式成型法で製造された時には、表2に示されるように、ポリエチレン樹脂粉末を配合した場合には、不揮発性油性成分量が比較的少なくても、耐衝撃性が得られ、耐衝撃性と伸びの軽さとが両立した固型粉末化粧料が得られることが確認された(試験例2−1)。
これに対し、その他の粉末を配合した場合には、特にパール顔料を高配合した場合に、耐衝撃性が悪く、固型化粧料として満足できる品質が得られなかった(試験例2−2〜2−6)。
【実施例2】
【0050】
次に、どのような粉末を配合すると耐衝撃性と良好な使用感とが両立された固型粉末化粧料が得られるかを調べるために、以下の表3に示す処方に基づき、各球状粉末を配合した固型粉末化粧料を調整し、上記評価を行った。
(表3)

*1:重量平均分子量19000,平均粒子径12μm
*2:重量平均分子量30000,平均粒子径10μm
*3:重量平均分子量15000,平均粒子径10μm
*4:重量平均分子量2000,平均粒子径17μm
(製法)
試験例3−1〜3−8
上記湿式成型法と同様。
試験例3−9〜3−11
上記乾式成型法と同様。
【0051】
表3に示されるように、球状ポリエチレン樹脂粉末あるいは球状プロピレン樹脂粉末を配合した場合に、使用性と耐衝撃性とを兼ね備えた固型粉末化粧料が得られることが確認された(試験例3−2〜3−3)。
これに対し、他の球状粉末(球状メチルシロキサン網状重合体、球状ポリアクリル酸アルキル、球状無水ケイ酸)を配合した場合には、伸びは軽いものの、耐衝撃性が悪く、粉飛びが生じた(試験例3−6〜3−8)。
また、ポリオレフィン粉末でも、低分子量のポリエチレン粉末や、ポリエチレンのワックス粒状物を配合した場合には、耐衝撃性、使用感共に悪い結果となった(試験例3−4〜3−5)。
以上のことから、球状ポリオレフィン樹脂粉末を用いた場合に、耐衝撃性と良好な使用性とを兼ね備えた固型粉末化粧料が得られることがわかった。
なお、乾式成型法で製造した場合には、球状ポリオレフィン樹脂粉末を配合しても、耐衝撃性は改善されなかった(試験例3−10〜3−11)。
【実施例3】
【0052】
本発明の固型粉末化粧料における、球状ポリオレフィン樹脂粉末の好適な量を検討した。
(表4)

*1:上記の通り
(製法)
上記湿式成型法と同様。
【0053】
表4から明らかなように、本発明の固型粉末化粧料において、球状ポリオレフィン樹脂粉末は、3〜40質量%、特に5〜30質量%含まれることが好ましいことが確認された。
【実施例4】
【0054】
次に不揮発性油性成分の量を変化させて、固型粉末化粧料を調製し、上記評価を行った。
(表5)

*1:上記の通り
(製法)
上記湿式成型法と同様。
【0055】
表5から明らかなように、本発明の固型粉末化粧料において、不揮発性油性成分は、1〜20質量%含まれることが好ましく、特に好ましくは10〜16質量%であることが確認された。
【実施例5】
【0056】
さらにワックスの添加効果について、検討した。
(表6)

*1:上記の通り
(製法)
上記湿式成型法と同様。
【0057】
表6より、ワックスを配合すると耐衝撃性がより改善され、特にマイクロクリスタンワックス等の炭化水素を主成分とするワックスを用いることが、耐衝撃性や伸びの軽さ等の点から特に好ましいことが確認された(試験例6−1,6−2)。
本発明者がさらに検討したところ、ワックスの含有量としては、化粧料全体に対し0.5〜8質量%、好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%であることがわかった。また該ワックスの含有量は、球状ポリオレフィン樹脂粉末の含有量と比較して、質量比で1/2以下が好ましいことが確認された。
なお、ワックスを配合した場合でも、本発明の球状ポリオレフィン樹脂粉末を配合しない場合は、耐衝撃性と使用性の両方において劣る結果となった(試験例6−8)。
【0058】
また、試験例6−4〜6−7の比較により、不揮発性油性成分としてメチルフェニルポリシロキサンを配合すると、伸びの軽さがさらに良くなるため、好ましいことがわかった。ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン/アルキル変性シリコーン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、シリコーンゴム、及びこれらの架橋体においても、同様な効果が確認された。
【実施例6】
【0059】
さらに弾性粉末を配合した、固型粉末化粧料を調整し、上記評価を行った。
(表7)

*1:上記の通り
*2:シリコーンゴムの表面にタルクを被覆した複合粉末(商品名:トレフィルHP40T)
(製法)
上記湿式成型法と同様。
【0060】
試験例7−1と試験例7−2、あるいは試験例7−5と試験例7−6の比較からわかるように、弾性粉末を配合した場合、一般には耐衝撃性が悪くなる傾向にある。
しかしながら、試験例7−3と7−4、あるいは試験例7−7と試験例7−8の比較からわかるように、本発明の球状ポリオレフィン樹脂粉末を配合した場合は、弾性粉末を配合すると、耐衝撃性がさらに良くなることがわかった。また同時に伸びの軽さがより改善された。
本発明者がさらに検討したところ、弾性粉末の含有量としては、化粧料全体に対し3〜30質量%が好ましいことがわかった。
また、試験例7−4と試験例7−8との比較から、上記一般式(I)で表されるピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合すると、伸びの軽さがさらに良くなるため、好ましいことがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末成分と油性成分とを含む化粧料基剤に、溶剤を添加してスラリーとし、該スラリーを容器に充填した後、前記溶剤を除去することにより得られ、
化粧料全体に対して、平均粒子径1〜50μmの球状ポリオレフィン樹脂粉末を3〜40質量%、不揮発性油性成分を1〜20質量%含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、化粧料全体に対してパール顔料を5〜89質量%含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧料において、球状ポリオレフィン樹脂粉末が、重量平均分子量3000以上のポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレン/ポリプロピレン共重合体から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする固型粉末化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料において、不揮発性油性成分として、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン/アルキル変性シリコーン、ピロリドンカルボン酸変性シリコーン、シリコーンゴム、及びこれらの架橋体から選択される1種又は2種以上を含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料において、化粧料全体に対して弾性粉末を3〜30質量%含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料において、さらに下記一般式(I)で表される分子量3000〜10000のピロリドンカルボン酸変性シリコーンを含むことを特徴とする固型粉末化粧料。
(化1)

(式中、m/(m+n)=1/500〜1/10である。)
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の化粧料において、さらに炭化水素を主成分とするワックスを含み、該ワックスの含有量が、球状ポリオレフィン樹脂粉末の含有量と比較して、質量比で1/2以下であることを特徴とする固型粉末化粧料。

【公開番号】特開2006−169207(P2006−169207A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367065(P2004−367065)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】