説明

固定床多管式反応器および該固定床多管式反応器を用いた不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法

【課題】
触媒を充填した固定床多管式反応器において、触媒層の温度、特にホットスポット温度を計測するために温度計測装置を設置した反応管が、全ての反応管の触媒層温度を代表するように設定された固定床多管式反応器を提供する。
【解決手段】
各反応管の管径が同一であり、少なくとも1つの反応管に温度計測装置が設置されてなる固定床多管式反応器であって、各反応管内に複数種の触媒が層を成すよう充填された反応帯を少なくとも一つ有し、当該反応帯の少なくともガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の各触媒層において、温度計測装置が設置されている反応管と温度計測装置が設置されていない反応管とで同一種の触媒が実質的に同一質量充填され、かつ、各反応管の圧力損失が実質的に同一になるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度計測装置が設置されてなる反応管を有する固定床多管式反応器に関する。また、その固定床多管式反応器を用いて不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業規模の接触気相酸化反応の多くは、固体触媒を反応管内に充填した固定床多管式反応器により実施されている。この固定床多管式反応器では、反応温度を調節するために反応器胴内(反応器シェル側)に流動性熱伝導体(以下、「熱媒」と記することがある)が循環されていることが多い。また、接触気相酸化反応は一般的に非常な発熱反応を伴うことから、触媒層に局所的な高温部(以下、「ホットスポット」と記することがある)が発生する。このホットスポット温度が極端に高温になると、目的生成物の収率低下のみならず暴走反応や触媒の早期劣化を引き起こす可能性があることから、触媒層温度、特にホットスポット温度をモニタリングしながら反応温度(熱媒温度)を調節することが一般的である。
【0003】
ホットスポット温度をモニタリングする方法としては、熱電対や抵抗温度計などの温度計装置を触媒層の高温になると予測される部分にそのまま挿入し固定して測定する方法や、反応管内に予め挿管されてなる温度計保護管の内部に熱電対や抵抗温度計などの温度計装置を嵌入された形で設置し反応ガス流れ方向に移動させて温度分布を確認するなどの方法がとられる。これらの温度計測装置は、反応器中の全ての反応管に設置されてもよいが、工業規模の反応器における反応管の本数は数千〜数万本に及ぶことから、一般的にはいくつかの反応管に設置され、全ての反応管を代表することになる。
【0004】
しかし、このような温度計測装置が設置されている反応管では温度計測装置もしくは温度計保護管が一定容積を占めるため、温度計測装置が設置されている反応管(以下、「温度計測管」と記することがある)と設置されていない反応管(以下、「一般管」と記することがある)とで触媒等を充填し得る容積が異なるため、充填されている触媒量や圧力損失、ガス流量が異なり、温度計測管が全ての反応管を代表するという本来の機能を果たしていないことになる。
【0005】
これらの解決策として、例えば、温度測定ユニットを備えている管形反応器及び温度測定ユニットを備えていないそれぞれの管形反応器の固体粒子質量と自由横断面積との比、及び自由横断面に対し比例的に横方向で導入される不活性ガスにより測定される圧力降下の両者がそれぞれの管形反応器全体にわたり同一になるように管形反応器を設計すること、具体的には一般管に対して温度計測管の管径を温度計測装置の分だけ大きくすることによって、一般管と温度計測管との実質の断面積と圧力損失とを反応管全体にわたり同一になるよう設計する方法が提案されている(特許文献1)。また、温度計測管と一般管とで、実質的に同一の固体粒子を使用し、各反応管内の固体粒子の充填層長が実質的に同一になるように、温度計測管と一般管とで固体粒子の充填時間を変えることによって、各反応管内でのガス供給時の固体粒子層圧力損失が実質的に同一になるように調整する方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−309457号公報
【特許文献2】特開2003−1094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1の方法では、温度計測装置が設置されていない一般管と比べて、温度計測装置が設置される温度計測管とで反応管径が異なるため、管径の大きな反応管の設置位置や反応器の胴径などの複雑な設計が必要となりコストアップに繋がるとともに、温度計測管の場所が固定されてしまうため融通が利かないといった問題が残る。前記特許文献2では、充填時間を変更することによって圧力損失の調整はある程度は可能であるが、同一層長に設定するため、温度計測管に充填される固体粒子の量が一般管に充填される固体粒子の量に比べて少なくなり、その結果、温度計測管と一般管とで異なる反応状態となっている可能性がある。すなわち、圧力損失が調整されているため、温度計測管と一般管とで同程度の反応ガスが流入するにもかかわらず、触媒層長が調整されているため、温度計測管に充填される固体粒子の量が少なく、温度計測管と一般管とで反応条件が異なることとなり、その結果、温度計測管での触媒層温度のモニタリングという温度計測管を設置する目的が充分に果たせず、最適な運転が出来ないといった問題が残る。
【0008】
かくして、本発明の目的は、触媒を充填した固定床多管式反応器において、触媒層の温度、特にホットスポット温度を計測するために温度計測装置を設置した反応管が、全ての反応管の触媒層温度をより正確に代表するように設定された固定床多管式反応器を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、その固定床多管式反応器を用いて不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、各反応管の管径が同一であり、少なくとも1つの反応管に温度計測装置が設置されてなる固定床多管式反応器であって、各反応管内に複数種の触媒が層を成すよう充填された反応帯を少なくとも一つ有し、当該反応帯において、温度計測装置が設置されている温度計測管と温度計測装置が設置されていない一般管とで、少なくとも反応ガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の触媒層に、同一種の触媒が実質的に同一質量充填され、かつ、各反応管の圧力損失が実質的に同一になるように調整しさえすれば、それら触媒層の層長が異なっていても、温度計測装置が設置されている温度計測管と温度計測装置が設置されていない一般管とでほぼ同じ反応状態が実現され、温度計測管において触媒層温度、特にホットスポット温度をより正確にモニタリングすることができることを見出した。すなわち、かかる温度計測管の触媒層温度、特にホットスポット温度が一般管も含めた全体の反応管を代表しているため、温度計測管での触媒層温度を測定することにより、固定床多管式反応器全体に亘って各反応管の触媒層温度、ひいては、反応状態を知ることができるため、長期に渡り接触気相酸化反応を最適条件で安定して安全に運転できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温度計測装置が設置されている反応管の触媒層温度をモニタリングすることにより、固定床多管式反応器の全体の反応状態を従来に比べてより正確に把握でき、長期に渡り接触気相酸化反応を最適条件で安定して安全に運転できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることは無く、以下の例示以外についても本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し、実施することができる。
【0012】
本発明は、各反応管の管径が同一であり、少なくとも1つの反応管に温度計測装置(以下、「温度計」と記することがある。)が設置されてなる固定床多管式反応器であって、各反応管内に複数種の触媒が層を成すよう充填された反応帯を少なくとも一つ有し、当該反応帯において、少なくともガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の各触媒層において、温度計測装置が設置されている温度計測管と温度計測装置が設置されていない一般管とで、同一種の触媒が実質的に同一質量になるように充填され、かつ、各反応管の圧力損失が実質的に同一になるように設定すればよい。
【0013】
接触気相酸化反応は、工業的に非常に重要な反応であり、例えば、プロピレンを原料としたアクロレインの製造、イソブチレン、ターシャリーブタノール、メチル−t−ブチルエーテルの少なくとも一つを原料としたメタクロレインの製造、アクロレインを原料としたアクリル酸の製造、メタクロレインを原料としたメタクリル酸の製造、プロピレンを原料とした2段酸化によるアクリル酸の製造、イソブチレン、ターシャリーブタノール、メチル−t−ブチルエーテルの少なくとも一つを原料とした2段酸化によるメタクリル酸の製造、および、プロパンを原料としたアクロレインまたはアクリル酸の製造などに利用されている。
【0014】
これら接触気相酸化反応は、非常な発熱反応を伴うことから、単一の触媒種ではホットスポット温度が高くなりすぎ、過熱により触媒性能が劣化するため、所定の転化率で運転できないなどの問題が発生しやすい。そのため、ホットスポットの発生もしくはホットスポット部における蓄熱を抑制する目的から、複数種の触媒をそれぞれ層をなすように充填することが好ましく、種々の方法が提案されている。例えば、特開平9−241209号公報では、異なる占有容積を有する複数の触媒を原料ガス入口側から出口側に向かって占有容積が小さくなるように充填する態様、あるいは特開平7−10802号公報では、担持率の異なる複数の触媒を原料ガス入口側から出口側に向かって担持率が高くなるように充填する態様、あるいは特表2008−528683号公報では、触媒の一部を不活性な担体などで希釈する態様が開示されている。また、これらを組み合わせた態様なども採用することができる。触媒層の数は、反応条件や反応器の規模により適宜決定されるが、触媒層の数が多すぎると触媒の充填作業が煩雑になるなどの問題が発生するため工業的には2〜6程度までが望ましい。
【0015】
本発明に用いられる固定床多管式反応器としては、各反応管が同一の管径を有すること以外は、特に限定されず、例えば、反応管の管数、配置、長さ、反応媒体側と熱伝導媒体側の両者における注入口領域及び排出口領域の設計、循環する熱伝導媒体の容量、及び熱伝導媒体の流路(例えば、該反応媒体に対して並流または向流)等に関しては、使用目的に応じて適宜決定すればよい。一般的には、反応管数は3000〜30000本、反応管内径15〜50mm、反応管長さ2000〜10000mmである。また、本発明に使用できる固定床多管式反応器は、例えば、シングルリアクター、タンデムリアクターなど、従来公知のものを適宜利用することができる。特に、本発明では、熱の除去または熱供給を制御するために、同時に熱交換器として設計された固定床多管式反応器が有利に使用される。
【0016】
該固定床多管式反応器では、触媒が充填された反応管内部には供給ガスが導入され、反応生成物(中間体を含む)が導出され、一方、反応器胴内(反応器シェル側)には、熱媒が貫流するように流され、反応管との間で熱交換しながら反応温度を所定温度に保持するようにして使用される。その際、反応器胴内(反応器シェル側)が遮蔽板で仕切られ、複数のチャンバを形成し、各チャンバがそれぞれ独立して熱媒が循環できるようにしてなるものであってもよい。例えば、プロピレンを接触気相酸化してアクロレインとし、得られたアクロレインを引き続き接触気相酸化してアクリル酸とするプロピレンの2段酸化によるアクリル酸の製造を一つの反応器を用いて行う際に、反応器の各反応管内には、プロピレンからアクロレインへの酸化反応に適した触媒(以下、「前段触媒」と記すことがある。)を充填した反応帯(第1反応帯)とアクロレインからアクリル酸への酸化に適した触媒(以下、「後段触媒」と記すことがある。)を充填した反応帯(第2反応帯)とを形成し、反応器の胴内はそれぞれの反応帯において適した反応温度に制御できるように遮蔽板で上下2つのチャンバに仕切られる。ここで、本発明では、各反応管内の触媒層の圧力損失を実質的に同一になるように設定することができるため、各チャンバごとに種類や温度や流量の異なる熱媒を循環させ、チャンバごとに異なる条件で反応を制御することができる点で有利である。
【0017】
本発明の温度計測管で用いることのできる温度計としては、特に制限されるものではなく、使用目的に応じて従来公知のものを適宜利用することができる。温度計として適当なものとしては、反応管内で温度を測定するための温度検出部を有する熱電対、抵抗温度計などが挙げられる。
【0018】
温度計は、熱電対や抵抗温度計等の温度計の温度検出部が、反応管の管軸線方向に自在に移動できる、いわば可動式の温度計であっても、熱電対や抵抗温度計等の温度計の温度検出部が、反応管の管軸線方向の所定の位置に固定されてなる、いわば固定式の温度計であってもよく、これらを組み合わせて使用することもできる。触媒層全体の温度をモニタリングできる意味では、可動式のものが好ましい。固定式の場合、1つの設置点のみに固定配置されていてもよいが、複数の温度検出部(温度検出素子)が使用されてなるものが好ましく、これらの温度検出部が、反応管内の管軸線方向すなわち反応ガスの流れ方向に沿った温度分布に関する情報を得ることができるように反応管内の管軸線上の異なる位置に複数配置されていることが好ましい。
【0019】
また、上記のいずれのタイプの温度計であっても、必要があれば、反応管内部の温度計の機械的損傷、例えば、固体粒子の充填作業や、定期的な詰め替え作業中、固体粒子の抜取時や充填時に反応管内部の温度計と固体粒子との擦れや衝突により発生する温度計の機械的損傷を防止するための保護管や保護用被覆物などの保護手段が設けられていることが好ましい。保護手段としては、例えば、抵抗温度計等の温度検出部に、セラミックスなどの不活性材料製被覆物を設けてもよいし、反応管内部の温度計全体を保護することができるように保護管を設けてもよい。保護管の場合には、これを反応管内に挿管し、保護管内部に温度計の温度検出部や配線部材を嵌入するような構成にすればよい。
【0020】
温度計あるいは保護管を使用する場合はその保護管の外径としては、反応管の内径(D)に対する温度計あるいは保護管の外径(d)の比が、d/D≦0.4、好ましくは≦0.2となるように設定すればよい。d/Dが0.4を超えると、反応管内径との隙間が小さくなり、触媒を充填する際のブリッジ発生率が高くなるため好ましくない。
【0021】
また、上記のいずれのタイプの温度計においても、触媒層温度をより正確にモニタリングするには、これら温度計の温度検出部は反応管内部の断面中央部に位置するように設置することが望ましく、温度計あるいは保護管を使用する場合はその保護管のゆがみや反応管の断面方向の振れを防止する補強手段として、温度計または保護管に振れ止め手段が設けられていることが望ましい。さらに、保護管を使用する場合には、保護管内に嵌入された温度計についても、保護管内の断面中央部に位置するよう温度計に振れ止め手段が設けられていることが望ましい。これにより該温度検出部を管軸線方向に転移することにより反応管または保護管内の管軸線方向の温度分布として、反応管または保護管内の管軸線に垂直な方向の温度分布による影響を排除することができ、より精度の高い測定が可能となる。
【0022】
本発明において、温度計測管での触媒などの充填仕様として、複数種の触媒を層を成すように充填された反応帯において、少なくとも反応ガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の触媒層について一般管と同一種の触媒を実質的に同一質量となる様に充填すればよい。
【0023】
ここで、温度計測管と一般管とで同一種の触媒を充填するとは、触媒層毎に温度計測管と一般管とに同じ触媒を充填することをいう。工業的規模で用いられる触媒は、通常、数トンから数十トンという大量の触媒が必要である一方、通常、触媒の製造は多くて1ロット当たり数百kg程度しか製造することができないため、必然的に複数ロットの触媒を製造することになる。しかし、各ロット間では、例えば、外観、成分組成、粒径、真比重、嵩比重、落下強度などの微小な差異が生じることがしばしばある。通常は、このような各ロット間での微小の差異を加味した品質規格が定められ、本発明では、定められた品質規格内であれば同じ触媒とする。
【0024】
また、実質的に同一質量を充填するとは、充填テストなどにより各反応管に充填される触媒質量を各触媒層で予め設定し、その設定された各触媒層の触媒質量の±15%以内、好ましくは±10%以内、より好ましくは±5%以内のことをいう。
【0025】
温度計測管の目的は、一般管を含めた各反応管を代表した触媒層温度、特にホットスポット温度のモニタリングであるため、そのモニタリングさえできれば、必ずしも反応管出口における原料転化率等を一般管と一致させる必要はない。言い換えれば、反応ガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層において、例えホットスポット部がその触媒層に存在したとしてもそのホットスポット部までに一般管と同一種の触媒を実質的に同一質量充填されていればよく、一般管と同一質量充填されていなくてもよい。装置都合などで反応ガス出口部分において充分に触媒層長が確保できなくともホットスポット温度に影響を与えない部分、特に反応ガス出口部に接する部分の触媒量を減らし触媒層長を短くするなどの調節をしてもよい。温度計測管において、ホットスポット温度に影響を与えない部分での触媒量を減らし、触媒層を短くすることで一般管とは反応管出口における原料転化率が異なることになっても、工業規模では、温度計管の本数は通常数千〜数万本にも及ぶ一般管に比べて数本〜数十本程度と少ないことから、その影響はほとんどない。しかしながら、ガス流れ方向に対してホットスポットを有する最もガス出口側に設置された触媒層のそのホットスポット部以降においても、充填する触媒量はできる限り一般管に近づけるようにするのが好ましいことは言うまでもない。
【0026】
本発明においては、圧力損失を各反応管で実質的に同一に設定できればよく、圧力損失の測定方法、圧力損失の調製方法などは特に限定されない。
【0027】
各反応管の圧力損失が実質的に同一とは、その平均値(平均圧力損失)に対して±15%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは8%以内のことをいう。平均圧力損失は、固定床多管式反応器の全ての反応管について圧力損失を測定することによって求めることができるが、固定床多管式反応器の全反応管数の5%に相当する数の反応管における圧力損失を測定し、得られた平均値を代表値として使用することもできる。
【0028】
本発明において、触媒など固体粒状物を反応管に充填後の圧力損失は、反応管下部を開放した状態で空気、窒素等のガスを一定流量で反応管上部から導入したときの反応管上部における圧力と大気圧との差圧である。空気、窒素等のガスの流量として、実際に反応に供されたときの反応管1本当たりの流量を考慮して適宜決定すればよく、好ましくは、実際に反応に供されたときの反応管1本当たりの流量に設定するのがよい。
【0029】
各反応管の圧力損失の調整方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、圧力損失調整用の固体粒子や反応ガス出口側に設置された触媒層と同一種の触媒を追加充填する方法、充填した触媒を一部抜き出す方法や充填した触媒を抜き出し再充填する方法、また、充填速度を変更するなどの方法が採用できる。
【0030】
各反応管への触媒の充填および圧力損失の測定方法として、例えば、反応管1本あたりに充填される触媒を実質的に同一質量になるよう小分けし、小分けした触媒を各反応管に機械充填ないし手充填により充填する。このとき、温度計測管に触媒を充填する場合は、反応管に温度計を所定の深さにセットした後に触媒を充填するため、一般管に比べてブリッジ等が発生しやすく、一般管は機械充填、温度計測管は手充填する方法が効率的で好ましい。触媒を充填する速度等は予め行う充填テストなどでブリッジ等が発生せず圧力損失が適正範囲に収まるよう適宜決定すればよい。各反応管に触媒を充填したのち、その平均圧力損失に対して圧力損失が低い反応管には、圧力損失調整用の固体粒子や反応ガス出口側に設置された触媒層と同一種の触媒を別途追加充填、あるいは反応ガス出口側に設置された触媒層から少なくとも一部の触媒を抜き出して、充填速度を変更し再充填するか、圧力損失調整用の固体粒子を充填して適正範囲に収まるように調節すればよい。あるいは、初めの充填時からホットスポット部以降のガス出口側触媒の充填速度を一般管より遅くして充填してもよい。圧力損失が高い反応管においては、充填した触媒を一部抜き出す、あるいは、少なくとも一部の触媒を抜き出して再充填する方法が採用できる。なお、その際に、必要であれば充填速度を変更する、もしくは、さらに圧力損失調整用の固体粒子や反応ガス出口側に設置された触媒層と同一種の触媒を追加充填することで適正範囲に収まるように調節すればよい。
【0031】
本発明の不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸を製造するための接触気相酸化反応としては、プロピレンからアクロレインおよび/またはアクリル酸の製造、イソブチレン、ターシャリーブタノール、メチル−t−ブチルエーテルの少なくとも一つからメタクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造、アクロレインからアクリル酸の製造、メタクロレインからメタクリル酸の製造、プロパンからアクロレインおよび/またはアクリル酸の製造などで利用されている接触気相酸化反応を挙げることができる。以下に、プロピレンからアクロレインの製造およびアクロレインからアクリル酸の製造に用いられる接触気相酸化反応について例示する。
【0032】
プロピレンを接触気相酸化してアクロレインを製造するための触媒としては、下記一般式(1)
Mo12BiFe (1)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはコバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Cはタングステン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素、ホウ素および亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれBi、Fe、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、0<a≦10、0<b≦20、2≦c≦20、0<d≦10、0≦e≦30、0≦f≦4であり、xはそれぞれの元素の酸化状態によって定まる数値である。)で表される触媒活性成分が好適である。
【0033】
アクロレインを接触気相酸化してアクリル酸を製造するための触媒としては、下記一般式(2)
Mo12 (2)
(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Aはニオブおよび/またはタングステン、Bはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、およびビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Cはスズ、アンチモン、テルルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、Dはチタン、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素を表し、またa、b、c、d、eおよびzはそれぞれV、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、a=1〜14、b=0〜12、c=0〜10、d=0〜6、e=0〜40であり、zは各元素の酸化状態によって定まる数値である)で表される触媒が好適である。
【0034】
これら触媒の調製には、この種の触媒の調製に一般的に用いられる方法を用いて製造することができ、その形状についても特に限定されず、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれの形状でもよい。もちろん球状の場合、真球である必要はなく実質的に球状であればよく、円柱状およびリング状についても同様である。触媒の成形方法についても、押し出し成形法や打錠成形法などにより一定の形状に成形する方法、触媒成分を一定の形状を有する任意の不活性な担体上に担持する担持法など特に限定されない。
【0035】
本発明においては、これらの触媒を目的とする反応に応じてそれぞれ複数種用意し、各反応管の管径が同一であり、少なくとも1つの反応管に温度計測装置が設置されてなる固定床多管式反応器の各反応管内にこれら複数種の触媒を層を成すように充填した反応帯において、少なくともガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の各触媒層において、温度計測装置が設置されている温度計測管と温度計測装置が設置されていない一般管とで、同一種の触媒が実質的に同一質量充填し、かつ、各反応管の圧力損失が実質的に同一になるように設定した固定床多管式反応器を用いて、上記接触気相酸化反応を実施すればよい。
【0036】
本発明における反応条件については、その規模などにより適宜選択されるべきであって、特に限定されるものではなく、この種の反応に一般に用いられている条件であればいずれも実施することが可能である。例えば、原料ガスとして1〜15容量%、分子状酸素として0.5〜25容量%、水蒸気として0〜30容量%、残部が窒素などの不活性ガスからなる混合ガス等を200〜500℃の温度範囲で0.1〜1.0MPaの圧力下、300〜5,000h−1(STP)の空間速度で触媒に接触させればよい。
【0037】
なお、本発明において、温度計測装置のほかに圧力測定装置を用いる場合においても同様の効果が得られるものである。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。なお、以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」、と記すことがある。
[性能評価]
転化率、収率は次式によって求めた。
転化率(モル%)
=(反応した出発原料のモル数)/(供給した出発原料のモル数)×100
収率(モル%)
=(生成した目的生成物のモル数)/(供給した出発原料のモル数)×100
[圧力損失の測定]
反応管下部を開放した状態で、反応管上部より、20℃の空気を線速1.4m/sで導入して反応管上部の圧力を測定した。
〔前段触媒の調製〕
蒸留水4000部にパラモリブデン酸アンモニウム1000部および硝酸カリウム2.4部および20質量%シリカゾル326部を溶解した(A液)。別に蒸留水700部に65重量%硝酸45部を添加し、硝酸ビスマス229部、硝酸コバルト508部、硝酸鉄210部および硝酸ニッケル288部を溶解した(B液)。得られたA液にB液を添加し、1時間攪拌し続けスラリーを得た。得られたスラリーを加熱攪拌してケーキ状の固形物とし、得られた固形物を空気雰囲気下170℃で約4時間乾燥し、乾燥物を得た。得られた乾燥物を500μm以下に粉砕し、触媒前駆体の粉体を得た。
【0039】
得られた触媒前駆体の粉体に15質量%の硝酸アンモニウム水溶液を加え、混練りした後、外径6mm、内径2mm、長さ6mmのリング状に押出成型し、空気流通下470℃で8時間焼成して、前段触媒(1)を得た。この前段触媒(1)の酸素を除く金属元素組成は次の通りであった。
【0040】
前段触媒(1) Mo12BiFe1.1Co3.7Ni2.1Si2.30.05
同様にして、外径8mm、内径2mm、長さ8mmのリング状に押出成形し、空気流通下460℃で8時間焼成して、前段触媒(2)を得た。
〔後段触媒の調製〕
蒸留水6000部を加熱攪拌しつつ、モリブデン酸アンモニウム1000部、パラタングステン酸アンモニウム191部およびメタバナジン酸アンモニウム232部を溶解させた。別に、蒸留水400部に硝酸銅228部を溶解させた。得られた2つの溶液を混合し、さらに三酸化アンチモン55部および酸化アルミニウム96部を加え、懸濁液を得た。得られた懸濁液に、シリカ−アルミナからなる平均粒径4.5mmの球状担体3500部を加え、攪拌しながら蒸発乾固して担体に付着させた後、空気雰囲気下395℃で6時間焼成して後段触媒(1)を得た。この後段触媒(1)の担持率は約35質量%、酸素を除く金属元素組成は次のとおりであった。この後段触媒(1)の酸素および担体を除く金属元素組成は次の通りであった。
【0041】
後段触媒(1) Mo124.21.5CuSb0.8Al
なお、担持率は、下記式により求めた。
担持率(質量%)
=(得られた触媒の質量−用いた担体の質量)/用いた担体の質量×100
同様にして、シリカ−アルミナからなる平均粒径7.2mmの球状担体を用いて、後段触媒(2)を得た。
<参考例1>
〔反応器〕
鋼鉄製の反応管(管径25mm、管長6200mm)およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる固定床反応器7本(No.1〜No.7)を用意した。それぞれの反応器は、シェルの下から3000mmの位置にシェルを上下に分割する厚さ50mmの仕切り板を設け、上方および下方の空間部に独立して熱媒体を循環できるようにした。
〔充填テスト〕
前記反応器と同じ管径および管長を有する反応管を用いて、温度計を設置しない状態で、前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)の順に反応管上部より落下充填させて、それぞれ層長が800mm、2000mm、550mm、700mm、2000mmとなるように充填し、それぞれに要した触媒、不活性物質の質量を測定した。この充填テストを3回繰り返し行い、各層における充填量の平均を各層の充填量と定義した。
【0042】
不活性物質としては、外径6mm、長さ6mmのSUS製リング形状のものを用いた。
〔充填方法〕
前記充填テストで得られた各層の充填質量で、前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)をそれぞれ袋に小分けしたものを反応管7本分用意し、以下の充填に用いた。
(反応器No.1〜3)
温度計を設置せずに、前記充填テストと同様に、前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)の順にそれぞれ小分けした全量を充填速度800mm/minで落下充填した。表1に示すように、No.1〜3の反応管とも各層の層長および充填後の圧力損失はほぼ同一であった。
(反応器No.4)
外径4mmの温度計保護管を反応管下部より2800mmまで挿入し、そこに前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)の順に反応管上部より落下充填した。このとき、前段触媒層(2)は小分けした全量を1粒ずつ充填し、反応器No.1〜3の平均層長に対して、40mm長くなった。前段触媒層(1)は、仕切り板に架からないよう反応器No.1〜3の平均層高まで(2803mm)、反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で充填した。不活性物質を小分けした全量を充填した後、後段触媒(2)、後段触媒(1)は、反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で、小分けした全量を充填したところ、充填後の圧力損失は、5.14kPaであった。
(反応器No.5)
反応管上部より前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質の順に小分けした全量を落下充填したのち、外径4mmの温度計保護管を反応管上部より挿入し、そこに後段触媒(2)を1粒ずつ、後段触媒(1)を反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で順に反応管上部より小分けした全量を落下充填した。このとき、後段触媒層(2)、後段触媒層(1)それぞれの層長は、反応器No.1〜3の平均層長に対して、それぞれ49mm、58mm長くなる結果であった。充填後の圧力損失は、4.51kPaであり、後段触媒(1)を反応管上部より115mm抜き出し、圧力損失調整用の固体粒子としてシリカ−アルミナからなる平均粒径3.0mmの球状担体100mmを充填することにより調節し5.16kPaとした。
(反応器No.6)
反応管上部より、外径4mmの温度計保護管を反応管下部まで挿入し、そこに前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)の順に反応管上部より充填した。前段触媒(2)、後段触媒(2)については小分けした全量を1粒ずつ、前段触媒(1)については、仕切り板に架からないよう反応器No.1〜3の平均層高まで(2803mm)反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で、充填した。不活性物質は単に反応ガスの冷却層であるため、反応管No.1〜3の平均層長と同層長となるように、また、後段触媒(1)については、反応管の長さの観点から小分けした全量を充填することができないため、反応管出口から50mmのところまで反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で、充填した。このとき、前段触媒(2)、後段触媒(2)の層長は、反応管No.1〜3の平均層長に対して、それぞれ39mm、48mm長くなる結果であった。充填後の圧力損失は、4.11kPaであり、後段触媒(1)を反応管上部より95mm抜き出し、圧力損失調整用の固体粒子としてシリカ−アルミナからなる平均粒径2.9mmの球状担体180mmを充填することにより調節し5.15kPaとした。
(反応器No.7)
反応管上部より、外径4mmの温度計保護管を反応管下部まで挿入し、そこに前段触媒(2)を1粒ずつ、前段触媒(1)を反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で、不活性物質、後段触媒(2)を1粒ずつ、後段触媒(1)を反応器No.1〜3の充填速度の1/3以下の速度で、順に反応管上部より充填した。このとき、各層においては小分けした全量を充填せず、反応管No.1〜3の平均層長と同じ層長になるように各層を充填した。充填後の圧力損失は、4.30kPaであり、後段触媒(1)を反応管上部より95mm抜き出し、圧力損失調整用の固体粒子としてシリカ−アルミナからなる平均粒径3.0mmの球状担体140mmを充填することにより調節し5.15kPaとした。
〔酸化反応〕
各反応器No.1〜No.7のシェル側に、
前段触媒層の温度(下方空間部の熱媒体入口温度):320℃
後段触媒層の温度(上方空間部の熱媒体入口温度):270℃
となる様に、上部チャンバ、下部チャンバともに下から上へ循環するように熱媒体を流した。
【0043】
次いで、触媒を充填した各反応管の下部から、プロピレン8.0体積%、酸素15体積%、水蒸気6体積%および残部が窒素等からなる不活性ガスの混合ガスを原料ガスとして、前段触媒に対する空間速度1750h−1(STP)で導入し、接触気相接触酸化を行った。
【0044】
各条件、プロピレン転化率およびアクリル酸収率を表1に示す。
【0045】
【表1】


No.6の反応器では、後段触媒(1)の量が少ないためプロピレン転化率、アクリル酸収率はNo.1〜3の反応器での結果に比べて低めであるが、No.4および5の反応器とホットスポット温度は同等であることが確認できた。
【0046】
一方、No.1〜3の一般管に触媒層長を合わせたNo.7の反応器では、プロピレン転化率、アクリル酸収率が低いばかりでなく、ホットスポット温度も他のNo.4〜6の反応器とは大きく異なり、単に触媒層長のみを合わすだけでは反応状態のモニタリングには適さないと言える。
<実施例1>
反応管本数8,500本(反応管径25mm、管長6200mm)およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる固定床多管式反応器を用意した。シェルの下から3000mmの位置にシェルを上下に分割する厚さ50mmの仕切り板を設け、上方および下方のチャンバにそれぞれ独立して熱媒体を循環できるようにした。
【0047】
前記充填テストで得られた各層における充填質量で、前段触媒(2)、前段触媒(1)、不活性物質、後段触媒(2)、後段触媒(1)をそれぞれ袋に小分けし、反応管本数分用意した。反応管8,500本のうち9本を温度計測管(A〜I)とし、各3本ずつを前記参考例1における反応器No.4(A〜C)、No.5(D〜F)、No.6(G〜I)と同じ仕様で充填し、温度計測管以外の反応管については、前記参考例1における反応器No.1〜3と同じ仕様で充填した。不活性物質は、前記参考例1と同様の外径6mm、長さ6mmのSUS製リング形状のものを用いた。なお、圧力損失については、温度計管以外の任意の500本で測定した値の平均値を代表値として、各反応管の圧力損失を、圧力損失が低い反応管には、反応ガス出口側に設置された触媒層から少なくとも一部の触媒を抜き出して、充填速度を変更し再充填するか、圧力損失調整用の固体粒子を充填して、また、圧力損失が高い反応管においては、最も反応ガス出口側の触媒層に充填した触媒の一部を抜き出すか、全量抜き出して充填し直すかして調節した。調節後の全反応管の平均圧力損失は5.19kPaであった。
〔酸化反応〕
反応器のシェル側に、
前段触媒層の温度(下方空間部の熱媒体入口温度):322℃
後段触媒層の温度(上方空間部の熱媒体入口温度):273℃
となる様に、上部チャンバ、下部チャンバともに下から上へ循環するように熱媒体を流した。
【0048】
次いで、触媒を充填した上記反応器の下部から、プロピレン8.5体積%、酸素16体積%、水蒸気6体積%および残部が窒素等からなる不活性ガスの混合ガスを原料ガスとして、前段触媒に対する空間速度1750h−1(STP)で導入し、4000時間連続して気相接触酸化を行った。
各条件、プロピレン転化率、アクリル酸選択率を表2に示す。
【0049】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各反応管の管径が同一であり、少なくとも1つの反応管に温度計測装置が設置されてなる固定床多管式反応器であって、各反応管内に複数種の触媒が層を成すよう充填された反応帯を少なくとも一つ有し、当該反応帯の少なくともガス流れ方向に対して最も反応ガス出口側に設置された触媒層以外の各触媒層において、温度計測装置が設置されている反応管と温度計測装置が設置されていない反応管とで同一種の触媒が実質的に同一質量充填され、かつ、各反応管の圧力損失が実質的に同一になるように設定されていることを特徴とする固定床多管式反応器。
【請求項2】
前記温度計測装置が可動式の温度計測装置である請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸を製造するための接触気相酸化反応において、請求項1または2に記載の固定床多管式反応器を用いることを特徴とする不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法。

【公開番号】特開2012−121842(P2012−121842A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274175(P2010−274175)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】