固液分離装置
【課題】 汚泥などの処理対象物を詰まらせることなく搬送し、その処理対象物から効率よく液体を分離でき、しかもメンテナンス作業を容易に行うことのできる固液分離装置を提案する。
【解決手段】 可動板12と固定板13とを交互に配置し、これらの可動板12と固定板13に形成した凹部14,15に、2本のスクリュー21,22を配置すると共に、その2本のスクリュー21,22の羽根25,26の一部をオーバラップさせ、両スクリュー21,22を回転駆動して、処理対象物を搬送しながら、液体を可動板12と固定板13の間の間隙から排出させる。可動板12の交換時には、2本のスクリュー21,22を上方に持ち上げ、次いで可動板12を上方に引き上げる。
【解決手段】 可動板12と固定板13とを交互に配置し、これらの可動板12と固定板13に形成した凹部14,15に、2本のスクリュー21,22を配置すると共に、その2本のスクリュー21,22の羽根25,26の一部をオーバラップさせ、両スクリュー21,22を回転駆動して、処理対象物を搬送しながら、液体を可動板12と固定板13の間の間隙から排出させる。可動板12の交換時には、2本のスクリュー21,22を上方に持ち上げ、次いで可動板12を上方に引き上げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の液体を含む処理対象物から液体を分離する固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多量の液体を含む処理対象物から液体を分離する固液分離装置は従来より周知である(例えば、特許文献1参照)。かかる固液分離装置によって処理される処理対象物としては、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物、或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、切削屑を含む切削油、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、フスマ、食品残渣などが挙げられる。
【0003】
従来の固液分離装置は、筒状体を貫通して延びるスクリューを有し、その筒状体の軸線方向一端側の入口開口から筒状体内に流入した処理対象物を、回転するスクリューによって搬送し、このとき処理対象物から分離された液体、すなわち濾液を、筒状体の濾液排出間隙を通して筒状体外に排出させ、液体分の減少した処理対象物を、筒状体の軸線方向他端側の出口開口から筒状体外に排出させるように構成されている。
【0004】
ところが、従来の固液分離装置によって、流動性を失いやすい処理対象物を脱液処理すると、筒状体内において液体分離の進んだ処理対象物は、その流動性が低下するので、処理対象物がスクリューによって搬送されず、筒状体内で詰まってしまうおそれがある。特に無機系汚泥や、廃豆腐、野菜屑、果実の皮、フスマ、或いは食品残渣などは、筒状体内で詰まりやすい。
【0005】
そこで、孔の形成された多数の可動板と、これらの可動板の孔を貫通して延びる2本のスクリューを有する固液分離装置が開発され、かつ実用化されている(特許第3565841号)。この固液分離装置によれば、上述した欠点を抑え、処理対象物の詰まり発生を防止することが可能である。
【0006】
ところが、従来のこの形式の固液分離装置においては、可動板が経時的に摩耗して、その可動板を交換する際、2本のスクリューを多数の可動板からスクリューの軸線方向に引き抜いて、これらを分解し、次いで新品の多数の可動板の孔に2本のスクリューをその軸線方向に挿入して、これらを組み付けなければならぬため、可動板の交換作業が大変煩わしく、その作業に多大な時間を必要とする欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特公平7−10440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、可動板を容易に交換することのできる固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、前記可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されていることを特徴とする固液分離装置を提案する(請求項1)。
【0010】
また、上記請求項1に記載の固液分離装置において、前記2本のスクリューは、その羽根の一部が互いに重なった状態で配置されていると有利である(請求項2)。
【0011】
さらに、上記請求項1又は2に記載の固液分離装置において、各スクリューによって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリューの羽根の巻き方向と各スクリューの回転方向が設定されていると有利である(請求項3)。
【0012】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、上部が開放した凹部を有する複数の固定板を具備し、各固定板の間に前記可動板がそれぞれ配置され、前記2本のスクリューは、前記固定板に形成された凹部と可動板に形成された凹部を貫通して延び、固定板の凹部も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板と固定板の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されていると有利である(請求項4)。
【0013】
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記可動板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備していると有利である(請求項5)。
【0014】
また、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記可動板と固定板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備していると有利である(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可動板を簡単に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は、本例の固液分離装置の平面図であり、図2はその固液分離装置の垂直断面図である。これらの図に示した固液分離装置によって、先に例示したいずれの処理対象物も固液分離することが可能であるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0018】
本例の固液分離装置は、入口部材1と、出口部材2とを有し、これらの部材1,2の間に固液分離部3が配置されている。また、入口部材1と固液分離部3の上部は、着脱可能なカバー5によって覆われている。図3は、このカバー5を取り除いた状態での固液分離装置の平面図である。
【0019】
入口部材1は、図2乃至図4に示すように、下方に向けて凹んだ底壁6と、その底壁6の各端部に一体に接続された平板部7,8と、底壁6及び平板部7,8から下方に垂下した一対の側板9,10とから構成されている。
【0020】
また出口部材2は、図2、図3、図5及び図6に示すように、水平断面がほぼロの字形に形成され、かつ上部と下部が開口した本体11を有し、その本体11の固液分離部3を向いた側の側壁16と、これに対向して位置する側壁17には、それぞれ切欠37,38が形成され、その各切欠37,38には、仕切板27と軸受板28がそれぞれ配置され、その仕切板27と軸受板28は、ボルト29,75と、これに螺着したナットとによって、本体11に着脱可能に固定されている。ボルト29,75を緩めることにより、仕切板27と軸受板28を、図6に示すように、本体11から分離することができる。また、本体11の下部開口は、脱水処理された汚泥が排出される排出口36を構成している。
【0021】
一方、本例の固液分離部3は、図2乃至図4に示すように、複数の可動板12と、複数の固定板13を有していて、各可動板12と固定板13には、図7及び図8にも示すように、上部が開放した凹部14,15がそれぞれ形成されている。また各固定板13の間にはリング状のスペーサ30が配置され、各固定板13に形成された取付孔32,33(図4及び図8)と各スペーサ30とにボルト18,19が挿通されている。図示した例では、各固定板13の凹部15の下方に形成された2つの取付孔32を貫通する2本のボルト18と、凹部15の各側方に形成された2つの取付孔33を貫通する2本のボルト19の合計が4本のボルトが用いられている。図4には、これらのボルトのうちの1本のボルト18とこれが嵌合するスペーサ30だけを示してある。各固定板13とスペーサを一体に形成することもできる。
【0022】
図2及び図3に示すように、ボルト18,19は、入口部材1の一方の側板9と、出口部材2の本体11の一方の側壁16を貫通し、その各ボルト18,19にナット20が螺着されて締め付けられている。このように、各固定板13は、スペーサ30によって互いに所定の間隙をあけて、その軸線方向に配列され、かつボルト18,19とナット20とによって互いに一体的に固定され、入口部材1と出口部材2に対して固定されている。スペーサによって互いに間隙をあけて配置された各固定板を、わずかに遊動できるように組み付けることもできる。
【0023】
また、各可動板12は、各固定板13の間の間隙にそれぞれ配置され、図7に示すように、各可動板12の厚さTは、各固定板13の間の間隙幅Gよりも小さく設定され、各固定板13の端面と、これに対向する可動板12の端面の間には、例えば0.5乃至1mm程度の濾液排出間隙gが形成される。この濾液排出間隙gは、後述するように汚泥から分離された液体、すなわち濾液を通過させるものである。可動板12の厚さTは、例えば1.5mm程度に設定され、固定板13の厚さtは、例えば3mm程度に設定される。
【0024】
図8に示すように、各可動板12は、下側の2本のボルト18に嵌合したスペーサ30上に載せられ、しかも、上側の2本のボルト19に嵌合した両スペーサ30の間に配置されている。これにより、各可動板12が下方に落下することが阻止され、しかも各可動板12は、各固定板13の間の隙間において、固定板13の端面と平行な方向に動くことができる。
【0025】
また、図1乃至図3、図7及び図8に示すように、固液分離装置は、2本のスクリュー21,22を有し、これらのスクリュー21,22は、入口部材1の底壁6により区画された凹所と、固定板13に形成された凹部15と、可動板12に形成された凹部14を貫通して延びている。ここに示した各スクリュー21,22は、軸部23,24と、その各軸部部23,24にそれぞれ一体に形成されたらせん状の羽根25,26を有している。
【0026】
一方、図2、図5及び図6に示すように、出口部材2の仕切板27には、半円状の2つの切欠39,40が形成されていると共に、本体11の一方の側壁16の切欠37は、半円状の2つの切欠部41,42を有している。、これらの切欠39,40と切欠部41,42によって、2つの円形の孔43,44が区画され、その各孔43,44に、図5には示していない各スクリュー21,22の軸部23,24がそれぞれ貫通して延びている。図2から判るように、各孔43,44の径は、軸部23,24の径よりも大きくなっている。
【0027】
また、図1乃至図3、図5及び図6に示すように、出口部材2の他方の側壁17に形成された切欠38に配置された軸受板28には、内部に軸受45,46が収容された軸受カップ47,48が固定されている。図1乃至図3に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の一方の端部が、各軸受カップ47,48内にそれぞれ挿入され、各軸受45,46を介して、その各軸受カップ47,48に回転自在に支持されている。
【0028】
また、図1乃至図3に示すように、入口部材1には、ギアボックス49が固定され、このギアボックス49の各側壁50,51には、ギア52の固定されたギア軸54が、軸受を介して回転自在に支持されている。また、側壁51にはモータ55が固定支持され、その出力軸56が両側壁50,51を通して延びている。この出力軸56にも、ギア53が固定され、このギア53と上述のギア52は、ギアボックス49の内部で互いに噛み合っている。
【0029】
ギア軸54の一方の端部と、出力軸56の一方の端部は、図1、図3及び図9に示すように、内部が中空に形成され、その中空部57の中央部に係合片58が固定配置されている。一方、図9に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の他方の端部には、係合溝59が形成され、その各軸部23,24の各端部は図3に示すように、ギア軸54と出力軸56の中空部57に挿入され、各軸部23,24に形成された係合溝59がギア軸54と出力軸56に設けられた係合片58にそれぞれ着脱可能に係合している。従って、モータ55が作動して、出力軸56が回転すると、その回転がギア53,52を介してギア軸54に伝えられると共に、出力軸56とギア軸54の回転は、互いに係合した係合片58と係合溝59を介して、各スクリュー21,22に伝達され、各スクリュー21,22が、その中心軸線X1,X2のまわりに回転する。
【0030】
図7及び図8に示すように、2本のスクリュー21,22は、接触することなく、その羽根25,26の一部が互いに重なった状態で配置されている。すなわち、両スクリュー21,22を、その中心軸線X1,X2の方向に見たとき、両羽根25,26の一部がオーバラップした状態で位置しているのである。図8においては、両スクリュー21,22の羽根25,26の重なった部分に斜線を付し、符号OLを付してある。
【0031】
また、図示した例では、両スクリュー21,22が、図3に示すように互いに平行に並置されているが、これらのスクリュー21,22の中心軸線X1,X2が、小なる角度をもった状態に、両スクリュー21,22を並置してもよい。可動板12と固定板13の凹部14,15の大きさと形態は、2本のスクリュー21,22の回転を阻害しないように設定されていることは当然である。また、本例の固液分離装置においては、各スクリュー21,22の羽根25,26のピッチが、入口部材1の側から出口部材2の側に向けて漸次、小さくなっているが、このピッチを、各スクリューの全長に亘って等しく設定することもできる。
【0032】
図2に示すように、ギアボックス49の一方の側壁50は下方に延び、その下端から水平方向に突出したフランジ部60が、固液分離装置を支持する台枠のステー61に固定されている。同様に出口部材2の一方の側壁16に突設されたフランジ部62も、台枠のステー63に固定されている。さらに、多数の固定板13のうち、図2乃至図4に、特に符号13Aを付して示した固定板は、その下部が、他の固定板よりも大きく下方に延び、その下端から水平に突出したフランジ部64が、台枠のステー65に固定されている。このように、複数のフランジ部60,62,64が台枠のステー61,63,65に固定されることにより、固液分離装置の全体が台枠に支持されている。
【0033】
また、図3及び図4に示すように、支柱としての用をなす固定板13Aの上部には、一対の舌片66,67が突設され、しかも、出口部材2の一方の側壁16にも、一対の舌片68,69が突設されている。これらの舌片66,67,68,69と、入口部材1の各平板部7,8の上に、図1及び図2に示すように、カバー5の各フランジ部70,71が載せられ、ボルト72とナットによって、そのフランジ部70,71が舌片66,67,68,69と平板部7,8に着脱可能に固定されている。また、入口部材1の底壁6に対応するカバー5の部分には、処理対象物を投入するための投入口4が形成されている。
【0034】
次に、固液分離装置の作用を説明しながら、固液分離装置の他の構成について明らかにする。
【0035】
図2に矢印Aで示すように、多量の水分を含む汚泥(図示せず)が投入口4から入口部材1の底壁6上に流入する。処理前の汚泥の含水率は、例えば99重量%程度である。この汚泥には、予め凝集剤が混入され、その汚泥がフロック化されている。処理対象物によっては、凝集剤が混入されないものもある。
【0036】
このとき、モータ55の作動によって、出力軸56とスクリュー22が回転駆動され、この回転は、ギア53,52を介してギア軸54に伝えられ、これによってスクリュー21も回転駆動される。このように、2本のスクリュー21,22が、その中心軸線X1,X2の周りに回転することにより、入口部材1に流入した汚泥は、図2に矢印Bで示すように、多数の固定板13と可動板12の凹部15,14とカバー5とにより区画された空間Sに流入し、出口部材2の側へ向けて搬送される。
【0037】
上述のように、交互に配置された複数の可動板12と固定板13の凹部14,15と、カバー5により区画された空間S中を汚泥が移動するとき、その汚泥から水分が分離され、その分離された水分、すなわち濾液が各固定板13と可動板12の間の濾液排出間隙g(図7)を通して外部に排出される。このように排出された濾液は、図2に矢印C1,C2,C3,C4で示すように下方に流下し、各ステー61,63に固定された受皿35に受け止められ、その受皿35の排出口76を通して下方に排出される。この濾液中には、未だ固形分が多少含まれているので、当該濾液は、再度、他の汚泥と共に水処理された後、固液分離装置によって脱水処理される。
【0038】
上述のようにして、空間S中を搬送される汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少した汚泥は、図2に矢印Dで示すように、出口部材2に形成された孔43,44を通して、出口部材2内に排出され、下方に落下する。このようにして脱水処理された後の汚泥の含水率は、例えば80重量%前後である。図1乃至図3に示すように、出口部材2の一方の側壁16と仕切板27に対向して、各軸部23,24に背圧板73,74が固定されており、これによって空間S内の汚泥に加えられる圧力を高めることができる。
【0039】
上述のように、本例の固液分離装置においては、スクリュー21,22の回転により、処理対象物の一例である汚泥が入口部材1の側から出口部材2の側へ向けて搬送される。すなわち、各スクリュー21,22によって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリュー21,22の羽根25,26の巻き方向と、その各スクリュー21,22の回転方向が設定されているのである。図示した例では、図8に示すように、一方のスクリュー21が時計方向に回転駆動され、他方のスクリュー22が反時計方向に回転駆動される。
【0040】
空間S内において、汚泥の水分と固形分を分離する際、各可動板12と固定板13との間の濾液排出間隙gに固形分がわずかに入り込むことは避けられず、これを放置すると、その間隙gが目詰まりを起こす。ところが、本例の固液分離装置の可動板12は、回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって、押し動かされ、各可動板12の端面が、これに対向する固定板13の端面に対して運動し、この掻動作用によって、濾液排出間隙gに入り込んだ固形分が、その間隙gから効率よく排出され、ここに詰まることが阻止される。
【0041】
図10乃至図12は、可動板12が、2本のスクリュー21,22によって押し動かされるときの様子を模式的に示した説明図である。これらの図においては、スクリュー21,22、可動板12及び固定板13を全て実線で表わすと共に、図8に示した各羽根25,26の断面部分25A,26Aを、単なる線で表わしてある。
【0042】
ここで、図8及び図10乃至図12を参照して、可動板12の動きを説明する。各羽根25,26の断面部分25A,26Aを羽根部と称することにすると、図8に示した状態においては、各羽根部25A,26Aは共に図の右方を向いている。このとき、一方の羽根部25Aは、可動板12に接触していないが、他方の羽根部26Aは可動板12を図における右方に押圧し、その可動板12は最も右方の位置を占めている。
【0043】
この状態から、一方のスクリュー21は時計方向に回転し、他方のスクリュー22は反時計方向に回転するが、各羽根部25A,26Aが図10に示す位置にあるときは、羽根部26Aも可動板12から離れ、可動板12は羽根部25A,26Aに押圧されることなく最右方の位置を占めている。
【0044】
ところが、各羽根部25A,26Aが図11に示した位置を占めると、一方のスクリュー21の羽根部25Aが可動板12を図における左方に押圧し、該可動板12が左方に押し動かされる。スクリュー21,22の回転に伴って、可動板12は、羽根部25Aによってさらに左方に押動され、図12に示すように、両羽根部25A,26Aが図における左方を向いたとき、可動板12は最も左方の位置を占める。かかる運動が連続的に繰り返し行われる。このとき、回転するスクリュー21,22の羽根部25A,26Aが固定板13、入口部材1及びカバー5に直に接触することはない。
【0045】
上述のように、可動板12は、ほぼ水平な状態を保ちながら、図8及び図10乃至図12における左右方向に往復運動する。これにより、可動板12は、固定板13に対してほぼ平行な方向に作動し、可動板12と固定板13との間の濾液排出間隙g(図7)が常にクリーニングされ、ここに固形物が入り込んだままとなって、当該間隙gが目詰まりを起こし、濾液の排出が阻害される不具合を阻止することができる。回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって、可動板12を押動できるように、可動板12の凹部14の大きさと形態を設定し、可動板12と固定板13との間の間隙を通して濾液が流下するように構成することによって、上述した作用効果を奏することができるのである。
【0046】
上述した固液分離装置によると、2本のスクリュー21,22により、空間S内の処理対象物を搬送することができ、特に2本のスクリュー21,22の羽根25,26の一部を互いに重なった状態で配置することにより、処理対象物が流動性を失いやすい物であるときも、その処理対象物が空間Sの内部で詰まってしまう不具合を阻止できる。空間S内で脱水が進み、流動性が低下した処理対象物が、スクリュー21,22の表面に固着し、ないしは固着しようとしたとき、互いにオーバーラップした羽根25,26の部分が、その処理対象物を掻き取りながら回転し、処理対象物を崩すので、その処理対象物が空間S内で詰まる不具合を阻止できるのである。このようにして、従来、詰まりやすかった無機系の汚泥や、廃豆腐、野菜屑、果実の皮、或いはフスマや食品残渣などの処理対象物も、効率よく固液分離することができる。
【0047】
特に、図示した例のように、各スクリュー21,22が、羽根25,26のオーバラップした部分に上から入り込むように回転すると、処理対象物を、両スクリュー21,22の羽根25,26が、その重なった部分に強制的に送り込むことができ、その処理対象物を滞留させることなく効率よく搬送することができる。
【0048】
ところで、上述の固液分離動作を繰り返し行う間に、可動板12が摩耗するので、これを新たな可動板と交換する必要がある。この交換作業は次に例示するように極く簡単に行うことができる。
【0049】
先ず、モータ55の作動を停止させた状態で、図1に示したボルト72を緩めてこれを取り外し、カバー5を上方に持ち上げて該カバーを取り外す。これにより、図3に示すように、スクリュー21,22と可動板12と固定板13の上部が開放される。
【0050】
次に図5に示したボルト29,75を緩めて、図6に示すように仕切板27を取り外すと共に、軸受板28を矢印E方向に引いて、各軸受カップ47,48を各スクリュー21,22の軸部23,24の一方の端部から離脱する。これにより、各スクリュー21,22の一方の端部側を拘束するものがなくなる。
【0051】
次いで、各スクリュー21,22を図3に矢印Fで示す方向に引いて、わずかな距離だけその各スクリュー21,22を軸線方向に移動させる。すると、図9に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の他方の端部が、ギア軸54と出力軸56の中空部57から外れる。これにより、スクリュー21,22の他方の端部側を拘束するものがなくなる。これにより、スクリュー21,22を、そのまま上方に持ち上げることができる。可動板12と固定板13に形成された各凹部14,15が、スクリュー21,22を上方に持ち上げることのできる形態に形成されているのである。
【0052】
上述のように、スクリュー21,22を可動板12と固定板13の凹部14,15から取り外せば、各可動板12をそのまま上方に持ち上げて、これを取り外すことができる。全ての可動板12を取り外した後、新たな可動板12を取り付け、上述したところと逆の手順で、スクリュー21,22を組み付けることができる。
【0053】
従来の固液分離装置においては、スクリューが可動板と固定板に形成された孔中に挿入されていたため、可動板の交換時に、スクリューを可動板と固定板からその軸線方向に抜き出す必要があった。これにより、その交換作業に多大な手間がかかっていたのであるが、本例の固液分離装置によれば、スクリュー21,22を上方に持ち上げて、これを取り外すことができるので、可動板12の交換を容易に行うことができる。
【0054】
上述のように、本例の固液分離装置においては、2本のスクリュー21,22を同時に上方に持ち上げることができるように、可動板12と固定板13の凹部14,15の上部開口幅の大きさが設定されているが、これらの開口幅を図示した例よりも小さく設定し、2本のスクリュー21,22を同時ではなく1本ずつ上方に持ち上げることができるように凹部14,15の上部開口幅の大きさを設定してもよい。いずれの場合も、各凹部14,15は、スクリューを上方に持ち上げることのできる大きさに設定されている。
【0055】
ところで、前述のように、回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって可動板12を押動させることができるように、可動板12の凹部14を形成する必要があり、図8には、かかる可動板12と固定板13の凹部14,15の一形態例が示されている。ここで、これらの凹部14,15の形態をより具体的な例を明らかにする。
【0056】
図13は、可動板12の凹部14の形態を示す説明図である。先ず、図13の(a)に示すように、ほぼ同一の直径MDを有する2つの円MCを、その一部が重なった状態で配置する。次いで、これらの円MCに2本の共通接線MTを引く。このとき、その2本の共通接線MTと、2つの円MCの互いに重なった側とは反対側の2つの円弧とによって、図13の(b)に示すように長孔CRが形成される。図13の(c)に示すように、この長孔CRの下半分LCRに、わずかな長さの垂直線VLを付加したものが、図8に示した可動板12の凹部14の形態である。また、図13の(c)に示すように、各スクリュー21,22の外径SDは、円MCの直径MDよりも極くわずかに小さく設定され、しかも2つの円MCの中心間距離MLは、2本のスクリュー21,22の中心軸線X1,X2の間の距離SLよりも小さく設定される。これにより、スクリュー21,22の回転が可動板12によって阻害されることはなく、しかもそのスクリュー21,22の回転によって可動板12を前述のように押動させることができる。
【0057】
可動板12の凹部14と、スクリュー21,22を、上述した例とは異なった大きさと形態に構成することもできるが、上述のように構成すると、スクリュー21,22の回転によって確実に可動板12を押動させることができ、しかも可動板12をコンパクトに形成することが可能となる。図13に示した可動板12とスクリュー21,22のより具体的な数値例を示すと、MD=86mm、ML=63mm、SD=85mm、SL=68mmである。
【0058】
次に、図8に例示した固定板13の凹部15の形態について説明する。先ず、図14の(a)に示すように、2つの円FCを、その一部が重なった状態で配置する。これらの円FCの中心Cは、各スクリュー21,22の中心軸線X1,X2とそれぞれ一致する。しかも各円FCの直径FDは、図13に示した可動板12の各円MCの直径MDに等しくなっている。ここで、両円FCに2本の共通線FTを引くと、図14の(b)に示す長孔ARが得られる。図14の(c)に示すように、この長孔ARの下半分ARLにわずかな長さの垂直線VL1を付加したものが、図8に示した固定板13の凹部15である。
【0059】
可動板12の凹部14と、固定板13の凹部15を上述のように形成することにより、その凹部14,15内に存する処理対象物をスクリュー21,22の羽根25,26によって効率よく掻き取ることができる。
【0060】
また、前述の形態の各固定板15に、図8に二点鎖線で示し、かつ符号15Aを付して示した板部分を付加した形態に、各固定板15を形成すると共に、図8に二点鎖線で示し、かつ符号5Aを付して示した部分をカバー5に付加して、該カバー5を形成すると、空間S内の処理対象物に加えられる圧力を高め、その脱液効率を高めることが可能である。
【0061】
以上説明した固液分離装置は、可動板12のほかに、上部が開放した凹部15を有する複数の固定板13を具備し、各固定板13の間に可動板13がそれぞれ配置され、2本のスクリュー21,22が、固定板13に形成された凹部15と可動板12に形成された凹部14を貫通して延び、固定板13の凹部15も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板12と固定板13の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されている。すなわち、可動板12と固定板13が交互に配置され、可動板12が固定板13に対して作動するように構成されているのであるが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、固定板を設けずに、可動板12だけを多数枚重ねて配置し、その多数の可動板12の凹部14に2本のスクリュー21,22を貫通させ、各可動板12の間の間隙を通して濾液を排出させると共に、スクリュー21,22の回転によって、各可動板12を、図8及び図10乃至図12を参照して先に説明したところと同様に作動させ、各可動板12同士の相対運動によって、これらの間に固形物が詰まる不具合を阻止するように構成することもできる。
【0062】
いずれの形態の固液分離装置も、上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されているる。
【0063】
また、本例の固液分離装置は、可動板12と固定板13の上部を覆う着脱可能なカバー5を有しているが、場合によっては、このカバー5を省略することもできる。固定板が設けられない固液分離装置の場合には、着脱可能なカバー5は可動板12の上部を覆う。
【0064】
また、それ自体公知のように、空間Sへの処理対象物投入側が、液体分の減少した処理対象物の排出側よりも低くなるように、複数の可動板12を傾斜して配置し、空間S内の処理対象物が排出側に近づくに従って、その処理対象物により一層大きな圧力が加えられるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】固液分離装置の平面図である。
【図2】図1に示した固液分離装置の垂直断面図である。
【図3】カバーを取り外した状態での固液分離装置の平面図である。
【図4】入口部材と、可動板と、固定板と、スペーサと、ボルトの分解斜視図である。
【図5】出口部材の斜視図である。
【図6】出口部材の本体から仕切板と軸受板を分離した状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示した固液分離装置の固液分離部における拡大水平断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】ギア軸及び出力軸と、スクリューの軸部の連結状態を示す斜視図である。
【図10】可動板の動きを説明する図である。
【図11】可動板の動きを説明する図である。
【図12】可動板の動きを説明する図である。
【図13】可動板の凹部の形状を説明する図である。
【図14】固定板の凹部の形状を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
5 カバー
12 可動板
13 固定板
14,15 凹部
21,22 スクリュー
25,26 羽根
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の液体を含む処理対象物から液体を分離する固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多量の液体を含む処理対象物から液体を分離する固液分離装置は従来より周知である(例えば、特許文献1参照)。かかる固液分離装置によって処理される処理対象物としては、例えば、廃豆腐、食品加工排水、下水処理物、或いは養豚場から排出される廃水などの有機系汚泥、切削屑を含む切削油、メッキ廃液、インク廃液、顔料廃液、塗料廃液などの無機系汚泥、或いは野菜屑や果実の皮、フスマ、食品残渣などが挙げられる。
【0003】
従来の固液分離装置は、筒状体を貫通して延びるスクリューを有し、その筒状体の軸線方向一端側の入口開口から筒状体内に流入した処理対象物を、回転するスクリューによって搬送し、このとき処理対象物から分離された液体、すなわち濾液を、筒状体の濾液排出間隙を通して筒状体外に排出させ、液体分の減少した処理対象物を、筒状体の軸線方向他端側の出口開口から筒状体外に排出させるように構成されている。
【0004】
ところが、従来の固液分離装置によって、流動性を失いやすい処理対象物を脱液処理すると、筒状体内において液体分離の進んだ処理対象物は、その流動性が低下するので、処理対象物がスクリューによって搬送されず、筒状体内で詰まってしまうおそれがある。特に無機系汚泥や、廃豆腐、野菜屑、果実の皮、フスマ、或いは食品残渣などは、筒状体内で詰まりやすい。
【0005】
そこで、孔の形成された多数の可動板と、これらの可動板の孔を貫通して延びる2本のスクリューを有する固液分離装置が開発され、かつ実用化されている(特許第3565841号)。この固液分離装置によれば、上述した欠点を抑え、処理対象物の詰まり発生を防止することが可能である。
【0006】
ところが、従来のこの形式の固液分離装置においては、可動板が経時的に摩耗して、その可動板を交換する際、2本のスクリューを多数の可動板からスクリューの軸線方向に引き抜いて、これらを分解し、次いで新品の多数の可動板の孔に2本のスクリューをその軸線方向に挿入して、これらを組み付けなければならぬため、可動板の交換作業が大変煩わしく、その作業に多大な時間を必要とする欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特公平7−10440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、可動板を容易に交換することのできる固液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、前記可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されていることを特徴とする固液分離装置を提案する(請求項1)。
【0010】
また、上記請求項1に記載の固液分離装置において、前記2本のスクリューは、その羽根の一部が互いに重なった状態で配置されていると有利である(請求項2)。
【0011】
さらに、上記請求項1又は2に記載の固液分離装置において、各スクリューによって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリューの羽根の巻き方向と各スクリューの回転方向が設定されていると有利である(請求項3)。
【0012】
また、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、上部が開放した凹部を有する複数の固定板を具備し、各固定板の間に前記可動板がそれぞれ配置され、前記2本のスクリューは、前記固定板に形成された凹部と可動板に形成された凹部を貫通して延び、固定板の凹部も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板と固定板の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されていると有利である(請求項4)。
【0013】
さらに、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置において、前記可動板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備していると有利である(請求項5)。
【0014】
また、上記請求項4に記載の固液分離装置において、前記可動板と固定板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備していると有利である(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可動板を簡単に交換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は、本例の固液分離装置の平面図であり、図2はその固液分離装置の垂直断面図である。これらの図に示した固液分離装置によって、先に例示したいずれの処理対象物も固液分離することが可能であるが、ここでは、多量の水分を含んだ汚泥を脱水処理する場合について説明する。
【0018】
本例の固液分離装置は、入口部材1と、出口部材2とを有し、これらの部材1,2の間に固液分離部3が配置されている。また、入口部材1と固液分離部3の上部は、着脱可能なカバー5によって覆われている。図3は、このカバー5を取り除いた状態での固液分離装置の平面図である。
【0019】
入口部材1は、図2乃至図4に示すように、下方に向けて凹んだ底壁6と、その底壁6の各端部に一体に接続された平板部7,8と、底壁6及び平板部7,8から下方に垂下した一対の側板9,10とから構成されている。
【0020】
また出口部材2は、図2、図3、図5及び図6に示すように、水平断面がほぼロの字形に形成され、かつ上部と下部が開口した本体11を有し、その本体11の固液分離部3を向いた側の側壁16と、これに対向して位置する側壁17には、それぞれ切欠37,38が形成され、その各切欠37,38には、仕切板27と軸受板28がそれぞれ配置され、その仕切板27と軸受板28は、ボルト29,75と、これに螺着したナットとによって、本体11に着脱可能に固定されている。ボルト29,75を緩めることにより、仕切板27と軸受板28を、図6に示すように、本体11から分離することができる。また、本体11の下部開口は、脱水処理された汚泥が排出される排出口36を構成している。
【0021】
一方、本例の固液分離部3は、図2乃至図4に示すように、複数の可動板12と、複数の固定板13を有していて、各可動板12と固定板13には、図7及び図8にも示すように、上部が開放した凹部14,15がそれぞれ形成されている。また各固定板13の間にはリング状のスペーサ30が配置され、各固定板13に形成された取付孔32,33(図4及び図8)と各スペーサ30とにボルト18,19が挿通されている。図示した例では、各固定板13の凹部15の下方に形成された2つの取付孔32を貫通する2本のボルト18と、凹部15の各側方に形成された2つの取付孔33を貫通する2本のボルト19の合計が4本のボルトが用いられている。図4には、これらのボルトのうちの1本のボルト18とこれが嵌合するスペーサ30だけを示してある。各固定板13とスペーサを一体に形成することもできる。
【0022】
図2及び図3に示すように、ボルト18,19は、入口部材1の一方の側板9と、出口部材2の本体11の一方の側壁16を貫通し、その各ボルト18,19にナット20が螺着されて締め付けられている。このように、各固定板13は、スペーサ30によって互いに所定の間隙をあけて、その軸線方向に配列され、かつボルト18,19とナット20とによって互いに一体的に固定され、入口部材1と出口部材2に対して固定されている。スペーサによって互いに間隙をあけて配置された各固定板を、わずかに遊動できるように組み付けることもできる。
【0023】
また、各可動板12は、各固定板13の間の間隙にそれぞれ配置され、図7に示すように、各可動板12の厚さTは、各固定板13の間の間隙幅Gよりも小さく設定され、各固定板13の端面と、これに対向する可動板12の端面の間には、例えば0.5乃至1mm程度の濾液排出間隙gが形成される。この濾液排出間隙gは、後述するように汚泥から分離された液体、すなわち濾液を通過させるものである。可動板12の厚さTは、例えば1.5mm程度に設定され、固定板13の厚さtは、例えば3mm程度に設定される。
【0024】
図8に示すように、各可動板12は、下側の2本のボルト18に嵌合したスペーサ30上に載せられ、しかも、上側の2本のボルト19に嵌合した両スペーサ30の間に配置されている。これにより、各可動板12が下方に落下することが阻止され、しかも各可動板12は、各固定板13の間の隙間において、固定板13の端面と平行な方向に動くことができる。
【0025】
また、図1乃至図3、図7及び図8に示すように、固液分離装置は、2本のスクリュー21,22を有し、これらのスクリュー21,22は、入口部材1の底壁6により区画された凹所と、固定板13に形成された凹部15と、可動板12に形成された凹部14を貫通して延びている。ここに示した各スクリュー21,22は、軸部23,24と、その各軸部部23,24にそれぞれ一体に形成されたらせん状の羽根25,26を有している。
【0026】
一方、図2、図5及び図6に示すように、出口部材2の仕切板27には、半円状の2つの切欠39,40が形成されていると共に、本体11の一方の側壁16の切欠37は、半円状の2つの切欠部41,42を有している。、これらの切欠39,40と切欠部41,42によって、2つの円形の孔43,44が区画され、その各孔43,44に、図5には示していない各スクリュー21,22の軸部23,24がそれぞれ貫通して延びている。図2から判るように、各孔43,44の径は、軸部23,24の径よりも大きくなっている。
【0027】
また、図1乃至図3、図5及び図6に示すように、出口部材2の他方の側壁17に形成された切欠38に配置された軸受板28には、内部に軸受45,46が収容された軸受カップ47,48が固定されている。図1乃至図3に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の一方の端部が、各軸受カップ47,48内にそれぞれ挿入され、各軸受45,46を介して、その各軸受カップ47,48に回転自在に支持されている。
【0028】
また、図1乃至図3に示すように、入口部材1には、ギアボックス49が固定され、このギアボックス49の各側壁50,51には、ギア52の固定されたギア軸54が、軸受を介して回転自在に支持されている。また、側壁51にはモータ55が固定支持され、その出力軸56が両側壁50,51を通して延びている。この出力軸56にも、ギア53が固定され、このギア53と上述のギア52は、ギアボックス49の内部で互いに噛み合っている。
【0029】
ギア軸54の一方の端部と、出力軸56の一方の端部は、図1、図3及び図9に示すように、内部が中空に形成され、その中空部57の中央部に係合片58が固定配置されている。一方、図9に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の他方の端部には、係合溝59が形成され、その各軸部23,24の各端部は図3に示すように、ギア軸54と出力軸56の中空部57に挿入され、各軸部23,24に形成された係合溝59がギア軸54と出力軸56に設けられた係合片58にそれぞれ着脱可能に係合している。従って、モータ55が作動して、出力軸56が回転すると、その回転がギア53,52を介してギア軸54に伝えられると共に、出力軸56とギア軸54の回転は、互いに係合した係合片58と係合溝59を介して、各スクリュー21,22に伝達され、各スクリュー21,22が、その中心軸線X1,X2のまわりに回転する。
【0030】
図7及び図8に示すように、2本のスクリュー21,22は、接触することなく、その羽根25,26の一部が互いに重なった状態で配置されている。すなわち、両スクリュー21,22を、その中心軸線X1,X2の方向に見たとき、両羽根25,26の一部がオーバラップした状態で位置しているのである。図8においては、両スクリュー21,22の羽根25,26の重なった部分に斜線を付し、符号OLを付してある。
【0031】
また、図示した例では、両スクリュー21,22が、図3に示すように互いに平行に並置されているが、これらのスクリュー21,22の中心軸線X1,X2が、小なる角度をもった状態に、両スクリュー21,22を並置してもよい。可動板12と固定板13の凹部14,15の大きさと形態は、2本のスクリュー21,22の回転を阻害しないように設定されていることは当然である。また、本例の固液分離装置においては、各スクリュー21,22の羽根25,26のピッチが、入口部材1の側から出口部材2の側に向けて漸次、小さくなっているが、このピッチを、各スクリューの全長に亘って等しく設定することもできる。
【0032】
図2に示すように、ギアボックス49の一方の側壁50は下方に延び、その下端から水平方向に突出したフランジ部60が、固液分離装置を支持する台枠のステー61に固定されている。同様に出口部材2の一方の側壁16に突設されたフランジ部62も、台枠のステー63に固定されている。さらに、多数の固定板13のうち、図2乃至図4に、特に符号13Aを付して示した固定板は、その下部が、他の固定板よりも大きく下方に延び、その下端から水平に突出したフランジ部64が、台枠のステー65に固定されている。このように、複数のフランジ部60,62,64が台枠のステー61,63,65に固定されることにより、固液分離装置の全体が台枠に支持されている。
【0033】
また、図3及び図4に示すように、支柱としての用をなす固定板13Aの上部には、一対の舌片66,67が突設され、しかも、出口部材2の一方の側壁16にも、一対の舌片68,69が突設されている。これらの舌片66,67,68,69と、入口部材1の各平板部7,8の上に、図1及び図2に示すように、カバー5の各フランジ部70,71が載せられ、ボルト72とナットによって、そのフランジ部70,71が舌片66,67,68,69と平板部7,8に着脱可能に固定されている。また、入口部材1の底壁6に対応するカバー5の部分には、処理対象物を投入するための投入口4が形成されている。
【0034】
次に、固液分離装置の作用を説明しながら、固液分離装置の他の構成について明らかにする。
【0035】
図2に矢印Aで示すように、多量の水分を含む汚泥(図示せず)が投入口4から入口部材1の底壁6上に流入する。処理前の汚泥の含水率は、例えば99重量%程度である。この汚泥には、予め凝集剤が混入され、その汚泥がフロック化されている。処理対象物によっては、凝集剤が混入されないものもある。
【0036】
このとき、モータ55の作動によって、出力軸56とスクリュー22が回転駆動され、この回転は、ギア53,52を介してギア軸54に伝えられ、これによってスクリュー21も回転駆動される。このように、2本のスクリュー21,22が、その中心軸線X1,X2の周りに回転することにより、入口部材1に流入した汚泥は、図2に矢印Bで示すように、多数の固定板13と可動板12の凹部15,14とカバー5とにより区画された空間Sに流入し、出口部材2の側へ向けて搬送される。
【0037】
上述のように、交互に配置された複数の可動板12と固定板13の凹部14,15と、カバー5により区画された空間S中を汚泥が移動するとき、その汚泥から水分が分離され、その分離された水分、すなわち濾液が各固定板13と可動板12の間の濾液排出間隙g(図7)を通して外部に排出される。このように排出された濾液は、図2に矢印C1,C2,C3,C4で示すように下方に流下し、各ステー61,63に固定された受皿35に受け止められ、その受皿35の排出口76を通して下方に排出される。この濾液中には、未だ固形分が多少含まれているので、当該濾液は、再度、他の汚泥と共に水処理された後、固液分離装置によって脱水処理される。
【0038】
上述のようにして、空間S中を搬送される汚泥の含水率が下げられ、含水量の減少した汚泥は、図2に矢印Dで示すように、出口部材2に形成された孔43,44を通して、出口部材2内に排出され、下方に落下する。このようにして脱水処理された後の汚泥の含水率は、例えば80重量%前後である。図1乃至図3に示すように、出口部材2の一方の側壁16と仕切板27に対向して、各軸部23,24に背圧板73,74が固定されており、これによって空間S内の汚泥に加えられる圧力を高めることができる。
【0039】
上述のように、本例の固液分離装置においては、スクリュー21,22の回転により、処理対象物の一例である汚泥が入口部材1の側から出口部材2の側へ向けて搬送される。すなわち、各スクリュー21,22によって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリュー21,22の羽根25,26の巻き方向と、その各スクリュー21,22の回転方向が設定されているのである。図示した例では、図8に示すように、一方のスクリュー21が時計方向に回転駆動され、他方のスクリュー22が反時計方向に回転駆動される。
【0040】
空間S内において、汚泥の水分と固形分を分離する際、各可動板12と固定板13との間の濾液排出間隙gに固形分がわずかに入り込むことは避けられず、これを放置すると、その間隙gが目詰まりを起こす。ところが、本例の固液分離装置の可動板12は、回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって、押し動かされ、各可動板12の端面が、これに対向する固定板13の端面に対して運動し、この掻動作用によって、濾液排出間隙gに入り込んだ固形分が、その間隙gから効率よく排出され、ここに詰まることが阻止される。
【0041】
図10乃至図12は、可動板12が、2本のスクリュー21,22によって押し動かされるときの様子を模式的に示した説明図である。これらの図においては、スクリュー21,22、可動板12及び固定板13を全て実線で表わすと共に、図8に示した各羽根25,26の断面部分25A,26Aを、単なる線で表わしてある。
【0042】
ここで、図8及び図10乃至図12を参照して、可動板12の動きを説明する。各羽根25,26の断面部分25A,26Aを羽根部と称することにすると、図8に示した状態においては、各羽根部25A,26Aは共に図の右方を向いている。このとき、一方の羽根部25Aは、可動板12に接触していないが、他方の羽根部26Aは可動板12を図における右方に押圧し、その可動板12は最も右方の位置を占めている。
【0043】
この状態から、一方のスクリュー21は時計方向に回転し、他方のスクリュー22は反時計方向に回転するが、各羽根部25A,26Aが図10に示す位置にあるときは、羽根部26Aも可動板12から離れ、可動板12は羽根部25A,26Aに押圧されることなく最右方の位置を占めている。
【0044】
ところが、各羽根部25A,26Aが図11に示した位置を占めると、一方のスクリュー21の羽根部25Aが可動板12を図における左方に押圧し、該可動板12が左方に押し動かされる。スクリュー21,22の回転に伴って、可動板12は、羽根部25Aによってさらに左方に押動され、図12に示すように、両羽根部25A,26Aが図における左方を向いたとき、可動板12は最も左方の位置を占める。かかる運動が連続的に繰り返し行われる。このとき、回転するスクリュー21,22の羽根部25A,26Aが固定板13、入口部材1及びカバー5に直に接触することはない。
【0045】
上述のように、可動板12は、ほぼ水平な状態を保ちながら、図8及び図10乃至図12における左右方向に往復運動する。これにより、可動板12は、固定板13に対してほぼ平行な方向に作動し、可動板12と固定板13との間の濾液排出間隙g(図7)が常にクリーニングされ、ここに固形物が入り込んだままとなって、当該間隙gが目詰まりを起こし、濾液の排出が阻害される不具合を阻止することができる。回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって、可動板12を押動できるように、可動板12の凹部14の大きさと形態を設定し、可動板12と固定板13との間の間隙を通して濾液が流下するように構成することによって、上述した作用効果を奏することができるのである。
【0046】
上述した固液分離装置によると、2本のスクリュー21,22により、空間S内の処理対象物を搬送することができ、特に2本のスクリュー21,22の羽根25,26の一部を互いに重なった状態で配置することにより、処理対象物が流動性を失いやすい物であるときも、その処理対象物が空間Sの内部で詰まってしまう不具合を阻止できる。空間S内で脱水が進み、流動性が低下した処理対象物が、スクリュー21,22の表面に固着し、ないしは固着しようとしたとき、互いにオーバーラップした羽根25,26の部分が、その処理対象物を掻き取りながら回転し、処理対象物を崩すので、その処理対象物が空間S内で詰まる不具合を阻止できるのである。このようにして、従来、詰まりやすかった無機系の汚泥や、廃豆腐、野菜屑、果実の皮、或いはフスマや食品残渣などの処理対象物も、効率よく固液分離することができる。
【0047】
特に、図示した例のように、各スクリュー21,22が、羽根25,26のオーバラップした部分に上から入り込むように回転すると、処理対象物を、両スクリュー21,22の羽根25,26が、その重なった部分に強制的に送り込むことができ、その処理対象物を滞留させることなく効率よく搬送することができる。
【0048】
ところで、上述の固液分離動作を繰り返し行う間に、可動板12が摩耗するので、これを新たな可動板と交換する必要がある。この交換作業は次に例示するように極く簡単に行うことができる。
【0049】
先ず、モータ55の作動を停止させた状態で、図1に示したボルト72を緩めてこれを取り外し、カバー5を上方に持ち上げて該カバーを取り外す。これにより、図3に示すように、スクリュー21,22と可動板12と固定板13の上部が開放される。
【0050】
次に図5に示したボルト29,75を緩めて、図6に示すように仕切板27を取り外すと共に、軸受板28を矢印E方向に引いて、各軸受カップ47,48を各スクリュー21,22の軸部23,24の一方の端部から離脱する。これにより、各スクリュー21,22の一方の端部側を拘束するものがなくなる。
【0051】
次いで、各スクリュー21,22を図3に矢印Fで示す方向に引いて、わずかな距離だけその各スクリュー21,22を軸線方向に移動させる。すると、図9に示すように、各スクリュー21,22の軸部23,24の他方の端部が、ギア軸54と出力軸56の中空部57から外れる。これにより、スクリュー21,22の他方の端部側を拘束するものがなくなる。これにより、スクリュー21,22を、そのまま上方に持ち上げることができる。可動板12と固定板13に形成された各凹部14,15が、スクリュー21,22を上方に持ち上げることのできる形態に形成されているのである。
【0052】
上述のように、スクリュー21,22を可動板12と固定板13の凹部14,15から取り外せば、各可動板12をそのまま上方に持ち上げて、これを取り外すことができる。全ての可動板12を取り外した後、新たな可動板12を取り付け、上述したところと逆の手順で、スクリュー21,22を組み付けることができる。
【0053】
従来の固液分離装置においては、スクリューが可動板と固定板に形成された孔中に挿入されていたため、可動板の交換時に、スクリューを可動板と固定板からその軸線方向に抜き出す必要があった。これにより、その交換作業に多大な手間がかかっていたのであるが、本例の固液分離装置によれば、スクリュー21,22を上方に持ち上げて、これを取り外すことができるので、可動板12の交換を容易に行うことができる。
【0054】
上述のように、本例の固液分離装置においては、2本のスクリュー21,22を同時に上方に持ち上げることができるように、可動板12と固定板13の凹部14,15の上部開口幅の大きさが設定されているが、これらの開口幅を図示した例よりも小さく設定し、2本のスクリュー21,22を同時ではなく1本ずつ上方に持ち上げることができるように凹部14,15の上部開口幅の大きさを設定してもよい。いずれの場合も、各凹部14,15は、スクリューを上方に持ち上げることのできる大きさに設定されている。
【0055】
ところで、前述のように、回転する2本のスクリュー21,22の羽根25,26によって可動板12を押動させることができるように、可動板12の凹部14を形成する必要があり、図8には、かかる可動板12と固定板13の凹部14,15の一形態例が示されている。ここで、これらの凹部14,15の形態をより具体的な例を明らかにする。
【0056】
図13は、可動板12の凹部14の形態を示す説明図である。先ず、図13の(a)に示すように、ほぼ同一の直径MDを有する2つの円MCを、その一部が重なった状態で配置する。次いで、これらの円MCに2本の共通接線MTを引く。このとき、その2本の共通接線MTと、2つの円MCの互いに重なった側とは反対側の2つの円弧とによって、図13の(b)に示すように長孔CRが形成される。図13の(c)に示すように、この長孔CRの下半分LCRに、わずかな長さの垂直線VLを付加したものが、図8に示した可動板12の凹部14の形態である。また、図13の(c)に示すように、各スクリュー21,22の外径SDは、円MCの直径MDよりも極くわずかに小さく設定され、しかも2つの円MCの中心間距離MLは、2本のスクリュー21,22の中心軸線X1,X2の間の距離SLよりも小さく設定される。これにより、スクリュー21,22の回転が可動板12によって阻害されることはなく、しかもそのスクリュー21,22の回転によって可動板12を前述のように押動させることができる。
【0057】
可動板12の凹部14と、スクリュー21,22を、上述した例とは異なった大きさと形態に構成することもできるが、上述のように構成すると、スクリュー21,22の回転によって確実に可動板12を押動させることができ、しかも可動板12をコンパクトに形成することが可能となる。図13に示した可動板12とスクリュー21,22のより具体的な数値例を示すと、MD=86mm、ML=63mm、SD=85mm、SL=68mmである。
【0058】
次に、図8に例示した固定板13の凹部15の形態について説明する。先ず、図14の(a)に示すように、2つの円FCを、その一部が重なった状態で配置する。これらの円FCの中心Cは、各スクリュー21,22の中心軸線X1,X2とそれぞれ一致する。しかも各円FCの直径FDは、図13に示した可動板12の各円MCの直径MDに等しくなっている。ここで、両円FCに2本の共通線FTを引くと、図14の(b)に示す長孔ARが得られる。図14の(c)に示すように、この長孔ARの下半分ARLにわずかな長さの垂直線VL1を付加したものが、図8に示した固定板13の凹部15である。
【0059】
可動板12の凹部14と、固定板13の凹部15を上述のように形成することにより、その凹部14,15内に存する処理対象物をスクリュー21,22の羽根25,26によって効率よく掻き取ることができる。
【0060】
また、前述の形態の各固定板15に、図8に二点鎖線で示し、かつ符号15Aを付して示した板部分を付加した形態に、各固定板15を形成すると共に、図8に二点鎖線で示し、かつ符号5Aを付して示した部分をカバー5に付加して、該カバー5を形成すると、空間S内の処理対象物に加えられる圧力を高め、その脱液効率を高めることが可能である。
【0061】
以上説明した固液分離装置は、可動板12のほかに、上部が開放した凹部15を有する複数の固定板13を具備し、各固定板13の間に可動板13がそれぞれ配置され、2本のスクリュー21,22が、固定板13に形成された凹部15と可動板12に形成された凹部14を貫通して延び、固定板13の凹部15も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板12と固定板13の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されている。すなわち、可動板12と固定板13が交互に配置され、可動板12が固定板13に対して作動するように構成されているのであるが、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、固定板を設けずに、可動板12だけを多数枚重ねて配置し、その多数の可動板12の凹部14に2本のスクリュー21,22を貫通させ、各可動板12の間の間隙を通して濾液を排出させると共に、スクリュー21,22の回転によって、各可動板12を、図8及び図10乃至図12を参照して先に説明したところと同様に作動させ、各可動板12同士の相対運動によって、これらの間に固形物が詰まる不具合を阻止するように構成することもできる。
【0062】
いずれの形態の固液分離装置も、上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されているる。
【0063】
また、本例の固液分離装置は、可動板12と固定板13の上部を覆う着脱可能なカバー5を有しているが、場合によっては、このカバー5を省略することもできる。固定板が設けられない固液分離装置の場合には、着脱可能なカバー5は可動板12の上部を覆う。
【0064】
また、それ自体公知のように、空間Sへの処理対象物投入側が、液体分の減少した処理対象物の排出側よりも低くなるように、複数の可動板12を傾斜して配置し、空間S内の処理対象物が排出側に近づくに従って、その処理対象物により一層大きな圧力が加えられるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】固液分離装置の平面図である。
【図2】図1に示した固液分離装置の垂直断面図である。
【図3】カバーを取り外した状態での固液分離装置の平面図である。
【図4】入口部材と、可動板と、固定板と、スペーサと、ボルトの分解斜視図である。
【図5】出口部材の斜視図である。
【図6】出口部材の本体から仕切板と軸受板を分離した状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示した固液分離装置の固液分離部における拡大水平断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】ギア軸及び出力軸と、スクリューの軸部の連結状態を示す斜視図である。
【図10】可動板の動きを説明する図である。
【図11】可動板の動きを説明する図である。
【図12】可動板の動きを説明する図である。
【図13】可動板の凹部の形状を説明する図である。
【図14】固定板の凹部の形状を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
5 カバー
12 可動板
13 固定板
14,15 凹部
21,22 スクリュー
25,26 羽根
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、前記可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記2本のスクリューは、その羽根の一部が互いに重なった状態で配置されている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
各スクリューによって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリューの羽根の巻き方向と各スクリューの回転方向が設定されている請求項1又は2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
上部が開放した凹部を有する複数の固定板を具備し、各固定板の間に前記可動板がそれぞれ配置され、前記2本のスクリューは、前記固定板に形成された凹部と可動板に形成された凹部を貫通して延び、固定板の凹部も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板と固定板の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記可動板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備する請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記可動板と固定板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備する請求項4に記載の固液分離装置。
【請求項1】
上部が開放した凹部を有する複数の可動板と、これらの可動板の凹部を貫通して延びる2本のスクリューとを有し、前記可動板の凹部は、回転する2本のスクリューの羽根によって該可動板が押動される大きさに設定されていると共に、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
前記2本のスクリューは、その羽根の一部が互いに重なった状態で配置されている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
各スクリューによって、処理対象物がほぼ同じ方向に搬送されるように、各スクリューの羽根の巻き方向と各スクリューの回転方向が設定されている請求項1又は2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
上部が開放した凹部を有する複数の固定板を具備し、各固定板の間に前記可動板がそれぞれ配置され、前記2本のスクリューは、前記固定板に形成された凹部と可動板に形成された凹部を貫通して延び、固定板の凹部も、スクリューを上方に持ち上げることのできる形態に形成され、可動板と固定板の間の間隙を通して濾液が流下するように構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記可動板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備する請求項1乃至3のいずれかに記載の固液分離装置。
【請求項6】
前記可動板と固定板の上部を覆う着脱可能なカバーを具備する請求項4に記載の固液分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−55699(P2006−55699A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237624(P2004−237624)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【特許番号】特許第3638597号(P3638597)
【特許公報発行日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【特許番号】特許第3638597号(P3638597)
【特許公報発行日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(591007022)アムコン株式会社 (28)
【Fターム(参考)】
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