説明

固液収容小袋製造装置及びその製造方法

【課題】流動性材料と固形物を別々のノズルから小袋に充填することにより、流動性材料に粘性の制約を受けないので流体から半流動体まで充填可能であり、小袋の封止部に固形物の噛み込みが無いので液密性に優れた固液収容小袋を連続して製造することができる固液収容小袋製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】小袋成形機は、長尺の帯状包材2を筒状体に連続成形しながら長尺方向に離間して横封止部を成形することにより小袋を順次成形して裁断する。流動性材料充填機21は、流動性材料を筒状体に充填ノズル24を介して連続充填する。流動性材料充填機による流動性材料の連続充填と平行して、固形物供給機31が固形物を供給ノズル39を介して筒状体に横封止部の成形に同調して供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品のタレ、つゆ、油脂、調味料などの液状或いはペースト状の流動性材料と、粉体、ミンス体(切り刻んだ状態のもの)、クラッシュ体(破砕した状態のもの)などの固形物を充填した小袋を製造する固液収容小袋製造装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性食材と固形物を充填した小袋容器を製造する従来の製造ラインは、流動性食材に固形物を予め配合して固液混合物とし、貯蔵タンク内で攪拌しながら充填機のノズルから固液混合物を小袋容器に充填している。しかし、固形物のサイズが大きい場合や、配合割合が流動性食材に比べて多いと、固液混合物を貯蔵タンクから充填機に供給する際に貯蔵タンクの排出口を固形物が閉塞して充填機に供給できなくなるという問題がある。
【0003】
また、固液混合物を充填機から筒状の容器に連続充填しながら横封止部ヒートシールする工程で、流動体と共に流入する固形物が横封止部に噛み込まれ、固液収容小袋が液漏れする欠陥商品になってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、ヒートシールによる横封止部に固形物が噛み込まないようにする技術として、下端側がヒートシールされた筒状フィルムの上端側から、ベースとなる粘性物に固形物の細片を含有させた粘性流動体を充填し、更にその上に、粘性流動体のベースである粘性物だけを充填した後で、筒状フィルムの上端側を、粘性物だけが充填されている部位でヒートシールする固形物を含有する粘性流動体の充填・密封方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−193175公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液体を小袋に充填する方法には連続充填と間歇充填とがあり、間歇充填によりシール部での固形物の噛み込みを防止しているが、間歇充填の場合でも約60P(ポアズ)以上の粘度が必要で、この値以下の低粘度の流動性充填物では液だれするため、固液混合物を小袋容器に充填するとシール部に固形物を噛み込み、シール部の融着が不完全になって液漏れの原因になるという問題がある。
【0007】
上述した従来技術は、粘性体に固形物の細片を混合させた粘性流動体を充填した後に粘性体を充填してシールする工程からなり、粘性流動体と粘性体の充填を間歇的に行うことから充填効率に限界があるし、液だれ防止には粘性体に上記した値の粘性が必要であり、粘性が低いか粘性の無い固液流動体の充填はできないという問題がある。
【0008】
本発明は上述した従来技術の欠点に鑑みなされたもので、流動性材料と固形物を別々のノズルから小袋に充填することにより、流動性材料に粘性の制約を受けないので流体から半流動体まで充填可能であるし、小袋の封止部に固形物の噛み込みが無いので液密性に優れた固液収容小袋を連続して製造することができる固液収容小袋製造装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1に係る本発明を構成する手段は、長尺の帯状包材を筒状体に連続成形しながら長尺方向に離間して横封止部を成形することにより小袋を順次成形して裁断する小袋成形機と、流動性材料を前記筒状体に充填ノズルを介して連続充填する流動性材料充填機と、該流動性材料充填機による前記流動性材料の連続充填と平行して固形物を供給ノズルを介して前記筒状体に前記横封止部の成形に同調して供給する固形物供給機とからなる。
【0010】
そして、前記固形物供給機は、固形物を収容するホッパーと、該ホッパーの落し口に対応して周方向に複数の挿嵌穴を同心円に有し、前記ホッパーの下側で横方向に回転可能に配設した枡支持盤と、該枡支持盤の下側に配置され、前記挿嵌穴の位置に対応して形成した1の連通穴を有するシャッターと、上下両端が開口した筒体からなり、前記挿嵌穴の各々に挿脱可能に挿装した定量枡と、前記連通穴の下方に配設した供給ノズルとから構成するとよい。
【0011】
また、前記定量枡は、外径が同一で容積の異なる複数種で構成し、供給量に応じて選択可能にするとよい。
【0012】
本願の請求項4に係る発明を構成する手段は、長尺の帯状包材を筒状体に連続成形しながら長尺方向に所定の間隔で横封止部を成形し、流動性材料を前記筒状体に充填ノズルを介して連続充填し、前記横封止部の成形に同調して固形物を供給ノズルを介して前記筒状体に供給した後、上側の横封止部を形成して個々の固液収容小袋に裁断するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明は叙上の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)流動性材料は充填ノズルにより充填し、固形物は筒状体に横封止部を形成するのに同調して供給ノズルから供給するから、横封止部に固形物を噛み込むことの無い密封性の確実な商品を製造することができる。
(2)流動性材料の充填と固形物の供給は別々のノズルで行うことにより、流動性材料と固形物の混合割合は制限なく選定することができるし、流動性材料の粘性に制約が無いから、多様な内容の固液収容小袋を容易に製造することができる。
(3)固形物供給機は、ホッパーの下方に複数の定量枡を支持して回転する枡支持盤と、該枡支持盤の下側に連通穴を有するシャッターと、連通穴の下方に配設した供給ノズルとから構成し、定量の固形物の連続供給を可能にすると共に、小袋製造過程で筒状体に横封止部を形成するのに同調して固形物の供給を可能にしたから、定量の固形物を収容する固液収容小袋を連続して効率良く製造することができる。
(4)固形物を定量供給する定量枡は、外径が同一で容積の異なる複数種で構成したから、供給量に応じて選択することができ、固形物の容量の異なる固液収容小袋の製造に対して容易かつ速やかに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る固液収容小袋製造装置の全体構成図である。
【図2】固液収容小袋製造装置の部分拡大図である。
【図3】固液収容小袋を製造する工程の説明図である。
【図4】定量枡の斜視図である。
【図5】容積の異なる定量枡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基き詳述する。図において、1は流動性材料と固形物の固液混合物を収容した固液収容小袋で、該固液収容小袋1は長尺の帯状包材2を略U字状に屈曲させてから筒状に成形し、衝合する側縁2A、2Aを熱溶着により縦封止部1Aを形成して筒状体1Bとし、長尺方向に離間して所定の間隔で熱溶着により横封止部1Cを形成してある。これにより、1辺を折り返して3辺を封止した四角形の固液収容小袋1、1、・・が連包の状態で形成される。
【0016】
次に、上記固液収容小袋1を成形する小袋成形機11を図1及び図3に基いて説明する。12は該小袋成形機11を構成するリールで、該リール12に巻回してある長尺の帯状包材2は図示しない送りローラーによって矢示イ方向に引き出されるようになっている。該帯状包材2は内側に熱可塑性フィルム、外側に液密性フィルムを積層したものからなっている。13は該リール12から帯状包材2が引き出される下方に配置した成形筒である。該成形筒13は上端開口13Aが口径の大きい円形に、下端開口13Bが略水滴状に形成した全体が略ラッパ状に成形してあり、成形筒13は上端開口13Aから引き込まれた帯状包材2を略U字状に湾曲させて筒状に成形し、下端開口13Bから側縁2A、2Aを衝合した状態にして導出する。
【0017】
14は帯状包材2の衝合する側縁2A、2Aを長手方向に沿って熱溶着する縦ヒートシール・ロールで、該縦ヒートシール・ロール14は縦方向下向き、即ち帯状包材2の引き出し方向に回転する一対のロール体からなり、側縁2A、2Aを挟んで加圧しながら熱溶着して縦封止部1Aを形成することにより帯状包材2は筒状体1Bに成形される。15は該縦ヒートシール・ロール14から長尺方向に離間して配置した横ヒートシール・ロールで、該横ヒートシール・ロール15は縦方向上向き、即ち帯状包材1の引き出し方向と逆方向に回転する一対のロール体からなり、筒状体1Bを幅方向に挟んで加圧しながら熱溶着することにより横封止部1Cを形成する。16は横ヒートシール・ロール15の下方に配置し、熱溶着部位を冷却する冷却板である。17は冷却板16の下方に配置したカッターで、該カッター17は連包の状態で形成されている小袋1、1、・・を1個毎の単包の固液収容小袋1に切断する。
【0018】
21は前記小袋成形機11により固液収容小袋1を成形する過程で、流動性材料を充填するための流動性材料充填機を示す。該流動性材料充填機21は流動性材料を収容するタンク22と、該タンク22の下端に基端23Aを接続した供給管と、該供給管23の先端に設けた充填ノズル24と、供給管23の途中に設けた充填ポンプ25とから構成してあり、充填ノズル24は先端側24Aを先細りに成形し、筒状体1B内の上部側に挿装可能にしてある。
【0019】
31は筒状体1Bに固形物を供給するための固形物供給機を示す。32は該固形物供給機31を構成し、内部に固形物を収容するホッパーで、該ホッパー32は底板32Aと円胴板32Bとからなり、底板32Aに落し口32Cを有し、該落し口32Cから下方にガイド筒32Dが突設してある。33はホッパー32内の底板32A側に設けた掻き寄せ翼で、該掻き寄せ翼33は後述する枡支持盤34の駆動軸35Aに挿着することで枡支持盤34と一体に回転可能になっており、ホッパー32内の固形物を攪拌して流動性を与えながら落し口32Cに掻き寄せる機能を有している。
【0020】
34はホッパー32の底板32A下側に離間して配設した円板からなる枡支持盤を示す。該枡支持盤34はホッパー32の落し口32Cに対応して周方向に複数の挿嵌穴34A、34A、・・が同心円に形成してある。そして、枡支持盤34は中心にモーター35の駆動軸35Aが挿着してあり、横方向に回転可能になっている。36はホッパー32の底板32A下面に固着したシリコンゴム製の擦切り体で、該擦切り体36は回転する枡支持盤34の上面に摺接することで、後述する定量枡41(42)に供給された固形物を擦切って定量に設定する。
【0021】
37は該枡支持盤34の下側に配置し、枡支持盤34を下方から回転可能に支持する固定シャッター板を示す。該固定シャッター板37には枡支持盤34の回転により前記各挿嵌穴34Aが旋回する位置に対応して1個の連通穴37Aが形成してあり、定量枡41(42)が該連通穴37A上に移動すると固形物が落下するようになっている。そして、固定シャッター板37はモーター35と共に装置のフレーム38により支持してある。
【0022】
39は固定シャッター板37の下面に取着した供給ノズルを示す。該供給ノズル39は固定シャッター板37の連通穴37Aを介して定量枡から落下する固形物を筒状体1Bに供給するもので、先端側39Aは先細りに形成し、筒状体1B内の上部側に挿装可能にしてある。40は供給ノズル39の側方に配置したハンマーで、該ハンマー40は偏心モーター等の図示しない振動源によって供給ノズル39に振動を与え、固形物が円滑に落下するようにしてある。
【0023】
41は上下両端が開口した金属製又は合成樹脂製の円筒からなる定量枡で、該定量枡41は外径を前記支持穴に挿脱可能な径に設定し、内側凹部が固形物の定量収容部41Aになっている。42は容量の異なる他の定量枡で、該定量枡42は外径を支持穴に挿脱可能な径に設定し、肉厚に形成して定量収容部42Aの容積を前記定量収容部41Aより少なく設定してある。このように容積の異なる複数種の定量枡41、42を備えて交換することにより、固形物の供給量を簡単に選択することができる。
【0024】
本実施の形態は上述の構成からなるが、次にその作用について説明する。リール12に巻装してある帯状包材2は、送りローラーによって矢示イ方向に引き出され、形成筒13の上端開口13Aから下端開口13Bに挿通されることで筒状に成形される。そして、筒状の帯状包材2は縦ヒートシール・ロール14が側縁2Aを熱溶着することで縦封止部1Aが形成されて筒状体1Bをなし、横ヒートシール・ロール15が幅方向に熱溶着することで横封止部1Cが形成されて小袋1が形成される。
【0025】
充填工程の始めに横封止部1Cが形成してある筒状体1Bに充填ノズル24から流動性材料が連続して充填され、横ヒートシール・ロール15が一定の間隔で横封止部1Cを形成する。横ヒートシール・ロール15は上向きの縦方向に回転し、流下する流動性材料を上方に絞り出しながら横封止部1Cを形成するので横封止部1Cの内部に流動性材料が残留することはない。なお、流動性材料の充填量は、充填ポンプ25の吐出量と帯状包材2の送り速度を調節することによって設定することができる。
【0026】
上記した横封止部1Cの形成に同調して枡支持盤34が回転し、連通穴37Aに定量枡41が衝合すると固形物が供給ノズル39を介して筒状体1Bに供給されて上側の横封止部1Cが形成される。このように、流動性材料は連続充填するが、固形物の供給と横封止部1Cの形成とは交互にタイミングを同調して行われる。
【0027】
流動性材料が充填され固形物が供給されて横封止部1Cが形成された連包状態の小袋はカッター17によって単包毎の固液収容小袋1、1、・・に切断されて商品となる。
【符号の説明】
【0028】
1 固液収容小袋
1B 筒状体
1C 横封止部
2 帯状包材
11 小袋成形機
21 流動性材料充填機
24 充填ノズル
31 固形物供給機
32 ホッパー
32C 落し口
34 枡支持盤
34A 挿嵌穴
37 シャッター板
37A 連通穴
39 供給ノズル
41(42) 定量枡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の帯状包材を筒状体に連続成形しながら長尺方向に離間して横封止部を成形することにより小袋を順次成形して裁断する小袋成形機と、流動性材料を前記筒状体に充填ノズルを介して連続充填する流動性材料充填機と、該流動性材料充填機による前記流動性材料の連続充填と平行して固形物を供給ノズルを介して前記筒状体に前記横封止部の成形に同調して供給する固形物供給機とから構成してなる固液収容小袋の製造装置。
【請求項2】
前記固形物供給機は、固形物を収容するホッパーと、該ホッパーの落し口に対応して周方向に複数の挿嵌穴を同心円に有し、前記ホッパーの下側で横方向に回転可能に配設した枡支持盤と、該枡支持盤の下側に配置され、前記挿嵌穴の位置に対応して形成した1の連通穴を有するシャッターと、上下両端が開口した筒体からなり、前記挿嵌穴の各々に挿脱可能に挿装した定量枡と、前記連通穴の下方に配設した供給ノズルとから構成してあることを特徴とする請求項1記載の固液収容小袋容器製造装置。
【請求項3】
前記定量枡は、外径が同一で容積の異なる複数種で構成し、供給量に応じて選択可能にしてあることを特徴とする請求項2記載の固液収容小袋容器製造装置。
【請求項4】
長尺の帯状包材を筒状体に連続成形しながら長尺方向に所定の間隔で横封止部を成形し、流動性材料を前記筒状体に充填ノズルを介して連続充填し、前記横封止部の成形に同調して固形物を供給ノズルを介して前記筒状体に供給した後、上側の横封止部を形成して個々の固液収容小袋に裁断するようにしてなる固液収容小袋製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−66827(P2012−66827A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211789(P2010−211789)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(391036806)和弘食品株式会社 (1)
【Fターム(参考)】