説明

土砂からの鉛散弾分離方法及びその方法を実施するための装置

【課題】水を使用せず、土砂に含まれた鉛散弾を高純度で確実に分離できる土砂からの鉛散弾分離方法を提供する。
【解決手段】 採取した鉛散弾含有土砂を乾燥させる乾燥工程(A)と、その乾燥土砂をメッシュ選別して小石、クレー破片、ワッズ、土塊等の粗大固形物を除去して鉛散弾含有土砂を得る粗大固形物排除工程と(B)、その鉛散弾含有土砂を粉砕しつつ鉛散弾の1.5〜2.5倍の径以下の小粒径をメッシュ選別して小径となった土砂と鉛散弾との混合土砂を得る土砂粉砕工程(C)と、その混合土砂を落下させる途中に側方から送風して、比重の小さい土砂を遠くに吹き飛ばし、比重の大きい鉛散弾を近場に落下させて鉛散弾を得る送風選別工程(D)とから成り、鉛散弾含有土砂から高い純度で鉛散弾を回収可能としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は散弾銃から発射された球状の鉛製散弾を含んだ土砂から散弾を分離して回収する方法と、その方法を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレー射撃場などでは散弾銃から発射され飛び散った散弾がそのまま土砂に埋もれた状態となっており、雨水などで有害な鉛が土壌中に溶出して土壌汚染を発生させている。
このような鉛製の散弾を土砂から選別する手法として、下記特許文献1には摺動板を用いて散弾を分離回収しょうとする技術が提案されている。しかし、この技術では摺動板を経て分離回収する際に、鉛の散弾と土砂とが十分には分離されず、得られた鉛散弾には土が混合されているため、その鉛から再度散弾を製造する際の障害となっていた。この鉛の散弾と土砂とを分離しにくくしている理由は、鉛は柔らかいので表面に発生した傷と湿った土とが強く結合しているためであり、このため摺動板による篩いでは散弾表面に結合した土を引き剥がすことが十分できない為である。
【0003】
一方、散弾含有土砂を水中で攪拌し、土砂が沈殿する際に高い比重の鉛が最下層に沈殿することを利用して散弾を選別する下記特許文献2などの選別方法があり、このような方法では球状の散弾の表面から土を洗い落とすことがでる。しかし、且つ簡単な設備で分別できるため処理コストを低く抑えられる利点もあるが、処理中に水中に鉛が溶出し、散弾選別後の排水には水質汚染や土壌汚染が引き起こされるおそれがある。そして、一旦溶出した鉛で汚染された水や土壌から鉛を除去するのは極めて困難であり、長い放置期間を経てこの水が地中に拡散すると鉛除去処理はさらに困難となる。また散弾含有土砂を水で選別した場合、鉛を含むヘドロが発生し、このヘドロの処理も困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−305411号公報
【特許文献2】特開2008−49279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術では上記特許文献2の如き鉛で汚染された水の発生を起因とした環境汚染の問題は起きないが、鉛の散弾と土砂とが十分には分離されないので、得られた鉛散弾に土が混入してこれが再度鉛の散弾を製造する際の障害となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、鉛の環境汚染を発生させないために水を一切使用することなく、球状の鉛散弾に付着した土を散弾から効果的に分離して、純度の高い鉛を効率良く回収できる方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の土砂からの鉛散弾分離方法における請求項1に記載の発明は、採取した鉛散弾含有土砂を乾燥させる乾燥工程と、その乾燥土砂をメッシュ選別して小石、クレー破片、ワッズ、土塊等の粗大固形物を除去して鉛散弾含有土砂を得る粗大固形物排除工程と、その鉛散弾含有土砂を粉砕しつつ鉛散弾の1.5〜2.5倍の径以下の小粒径をメッシュ選別して小径となった土砂と鉛散弾との混合土砂を得る土砂粉砕工程と、その混合土砂を落下させる途中に側方から送風して、比重の小さい土砂を遠くに吹き飛ばし、比重の大きい鉛散弾を近場に落下させて鉛散弾を得る送風選別工程とから成り、鉛散弾含有土砂から高い純度で鉛散弾を回収可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記粗大固形物排除工程において、乾燥土砂を10mm以上の粗大固形物を排除するメッシュ選別としたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記乾燥工程において、土の含水率を10%以下まで乾燥させること特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、上記請求項1の土砂からの鉛散弾分離方法及びその方法を実施するための装置であって、採取した散弾含有土砂を投入し土含有水分を10%以下に乾燥可能とする乾燥装置と、その乾燥装置から得られた鉛散弾含有土砂から10mm径以上粗大固形物をメッシュ選別により排除可能とする粗大固形物排除装置と、粗大固形物が排除され鉛散弾含有土砂を入れるケース内に、土砂を粉砕するクラッシャーと、そのクラッシャーの直下に鉛散弾の径の1.5〜2.5倍の径を有する孔を多数設けた孔開き底板を備えた土砂粉砕装置と、前記孔開き底板を通過した鉛散弾含有土砂を落下途中で側方から送風して、土砂とを遠くに吹き飛ばして近場に鉛散弾を分離して得る送風選別装置と、上記各装置で得られた鉛散弾含有土砂をその次ぎの装置へと移動させる各装置間に設けられた搬送装置とから成る。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、上記請求項4に記載の鉛散弾分離装置において、前記乾燥装置が、回転軸を傾斜させ、投入された土砂を攪拌する掬い上げ板を内周面に多数設けた回転ドラムと、その回転ドラム内に臨ませたバーナーと備えた火力による乾燥装置であることとを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、上記請求項5に記載の鉛散弾分離装置において、前記粗大固形物排除装置が、回転ドラムの傾斜下端部に同径で延設して該回転ドラムと一緒に回転するに網状周面又は多数孔周面の篩い筒体とし、前記篩い筒体内に残る粗大固形物は外部に排除して篩い筒体を通過した鉛散弾含有土砂を分離して得られるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の本発明は、上記請求項4から6のうちいずれかに記載の鉛散弾分離装置において、前記土砂粉砕装置を、鉛散弾含有土砂を投入するボックス内に、羽根回転軸を水平に軸承するとともに該羽根回転軸に先端部にクラッシャーを備えた金属製の粉砕回転羽根を備え、該粉砕回転羽根を回転伝達手段を介して駆動装置で回転可能とし、該粉砕回転羽根の直下に該粉砕回転羽根の前記クラッシャー先端の回転軌跡に沿って円弧状に湾曲した鋼板製の多数の孔を備えた孔開き底板を備え、該孔開き底板の孔径を散弾径の1.5〜2.5倍としたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の本発明は、上記請求項4から7のうちいずれかに記載の鉛散弾分離装置において、前記土砂粉砕装置に近傍に該土砂粉砕装置の孔開き底板の上下の空間に臨む吸引口を備えた吸塵装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、鉛散弾を含む土砂から鉛散弾を分離する工程中に水を一切使用することがないので処理中の鉛の溶出による水や土壌の汚染が発生せず安全である。
そして、その分離工程中に採取土砂を十分に乾燥させることで、球状の鉛散弾とその表面の付着土との結合力を弱め、次にその結合が弱まった鉛散弾と付着土とを土砂粉砕工程で粉砕することで鉛散弾の表面に付着していた土を効果的に引き剥して、表面に土が付着していない散弾を得、次にその土砂の剥がされた鉛散弾を含む土砂を落下中に横風を吹き付けて送風選別をすることで比重の大きい鉛散弾と比重の小さい土砂とを分離して土が付着していない鉛散弾を確実に分離回収することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明においては、上記粗大固形物排除工程において、乾燥土砂を10mm径以下の粒径にメッシュ選別することで、鉛散弾を含まない小石、クレー破片、ワッズ、土塊等の粗大固形物が除去され、これ以降の工程では少量化され鉛散弾の含有率の高まった散弾含有土砂を対象に効率良く処理することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明においては、上記乾燥工程での土の含水率を10%以下とすることで、鉛散弾とその表面の付着土との結合力を劣化させ、その後の土砂粉砕工程での鉛散弾からの付着土の除去が確実に行えるようになる。
【0018】
請求項4に記載の鉛散弾分離装置においては、上記鉛散弾分離方法を実施して鉛散弾のみが確実に分離回収可能となる。
【0019】
そして、請求項5に記載の発明においては、内部にバーナーで加熱可能な回転ドラムの乾燥装置を使用することで、加熱しつつ投入された土砂を攪拌し、採取された水分を含む土を低い含水率になるまで短時間で強制的に乾燥することが可能となる。
【0020】
さらに、請求項6に記載の本発明においては、前記粗大固形物排除装置を、前記回転ドラムに続いて前記篩い筒体が一緒に回転して、回転ドラムによる鉛散弾含有土砂の乾燥後に連続して、前記篩い筒体内に残る粗大固形物は外部に排除し、篩い筒体を通過した鉛散弾含有土砂を確実に分離することが可能となる。
【0021】
また、請求項7に記載の本発明においては、前記土砂粉砕装置を、クラッシャーを先端部に備えた粉砕回転羽根と、該粉砕回転羽根の直下備えた多数の孔を有する孔開き底板によって、投入された鉛散弾含有土砂をボックス内で孔開き底板の孔径である散弾径の1.5〜2.5倍にまで粉砕し、殆ど全てを孔開き底板の孔から落下させて得ることが可能となる。
この際、鉛散弾径の1.5〜2.5倍の大きさの結合力の弱い土塊と、小粒の石などとが繰り返し粉砕回転羽根のクラッシャーで粉砕され最終的に散弾径の1.5〜2.5倍の大きさとなって球状の鉛散弾とともに孔開き底板の孔から落下し、この段階で球状の鉛散弾は表面の土が殆ど落とされているので、最終的に送風選別装置において高純度で鉛散弾が送風分離可能となる。
この装置では、土塊や鉛散弾に付着した土は簡単に粉砕され、剥き出しとなった鉛散弾は散弾径の1.5〜2.5倍とした孔よりも十分小さいので、その孔から殆どクラッシャーで変形されないうちに落下する。そして小石などの硬いものは時間をかけてクラッシャーで殆ど全部粉砕されて孔開き底板の孔から通過可能となって落下する。したがって、孔開き底板の上に残った小石を特別に土砂粉砕装置内から排出する必要はなくなる。
そして、鉛散弾径の1.5〜2.5倍と粒の揃った土砂と、当然均一性の高い球状の鉛散弾とが送風選別装置に横風送風されると、圧倒的に高い比重の鉛散弾はその他の土砂とは極めて明確に距離を置いて分離可能となる。
【0022】
また、請求項8に記載においては、粉塵装置によって、前記土砂粉砕装置内で土砂が粉砕されて発生した微細な土砂の粉塵が回収され、周囲に撒き散らされることが防止可能となる。
以上の如く、上記鉛散弾を分離する処理は、最初の乾燥装置で含水率の低い土塊が高い乾燥状態のまま継続して前記工程順に処理されて可能になり、一旦乾燥させた鉛散弾含有土砂を工程途中で濡らしてはいけない。このため、雨天中は処理を中止するか、又は装置全体をシートで覆うか、屋根付きの空間内で行う必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の鉛散弾分離工程を示すフロー図である。
【図2】本発明の鉛散弾分離工程で得られた土砂及び散弾の状態を示す平面図である。
【図3】本発明の鉛散弾分離装置の全体構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施する形態を、土砂からの散弾分離方法を先に、その方法を実施するために鉛散弾分離装置を後に説明する。
先ず、土砂からの鉛散弾分離方法は、図1に示すように、採取した鉛散弾含有土砂を乾燥させる乾燥工程(A)と、その乾燥土砂をメッシュ選別して粗大固形物を除去して鉛散弾含有土砂を得る粗大固形物排除工程(B)と、その鉛散弾含有土砂を粉砕しつつ鉛散弾の1.5〜2.5倍の径以下の小粒径をメッシュ選別して小径となった土砂と鉛散弾との混合土砂を得る土砂粉砕工程(C)と、その混合土砂を落下させる途中に側方から送風して、比重の小さい土砂を遠くに吹き飛ばし、比重の大きい鉛散弾を近場に落下させて鉛散弾を得る送風選別工程(D)とで構成される。
【0025】
前記乾燥工程(A)は、クレー射撃場の標的であるクレー放出場の背後の山の山肌の土砂を採取し、その地中の水を含んで湿っていた土砂を乾燥装置で強制的に乾燥させる。
その乾燥の度合いは、土に含まれた水分の含有率を10%以下となるように前記乾燥装置で十分に乾燥させる。
採取土砂を乾燥させると、採取時には焦げ茶色していた土砂(図2中のD1で示し、鉛散弾a、粗大固形物b、小土塊dが含まれている)の中の粗大固形物b(大土塊を含む)及び小土塊dは、十分に乾燥して、表面が粉状に包まれた白っぽい黄土色になる。
【0026】
そして、次ぎの前記粗大固形物排除工程(B)では、粗大固形物排除装置で前記乾燥土砂を例えば10mm径のメッシュで選別する。なお、その10mm以下の径では使用される散弾の径によって異なるが、1.75mmの場合ではその2.5倍の4.5mm以上の径とすれば次ぎの土砂粉砕工程(C)の選別と重ならず、またその10mm以上の径では15mm〜20mm径程度のメッシュであっても良い。
このとき、乾燥土砂は10mm以上の固形物がメッシュ選別されて、小石、クレー破片、ワッズ、大土塊等の粗大固形物bが除去され(図2中のD3中には除去された粗大固形物bのみ)、大きさが10mm以下の鉛散弾含有土砂(図2中のD2中の約2mmの径の鉛散弾a、小土塊d及び小石粒があり、大土塊を含む粗大固形物bはない)が得られる。
採取される鉛散弾含有土砂は採取された場所で含まれる石及び土の含有量、粒子の大きさ、土質などが異なるが、本発明では、この工程で大粒の石や土塊は排除され、また土は粘土質であって砂質であっても乾燥することで粘り気が消えるため、どこの場所で採取された土砂であっても適応が可能である。
【0027】
そして、次ぎの土砂粉砕工程(C)で、選別された10mm以下の土砂を粉砕し鉛散弾の1.5〜2.5倍の径の孔を底部に備えた土砂粉砕装置を用いて鉛散弾の1.5〜2.5倍径の土砂は落下させ、それ以上のサイズの底部に残った塊りは粉砕回転羽根で落下可能なサイズまで粉砕乃至磨耗させて最終的に鉛散弾(使用規格では1.75mm<10号>〜4.0mm<1号>径の球形を成し、そのうち2mm径の使用が最も多い)の1.5〜2.5倍径に小さくし最終的に前記口径の孔から落下される。
こうして得られた小径となった土砂と鉛散弾との混合土砂(図2中のD4中で示され、鉛散弾a、小土塊d及び小石粒が含まれる)を得る。
このとき、土砂粉砕装置に近傍に設けた集塵装置で、発生した粉塵が吸い取られる(微細な粉体化した微粒子cを図2中のD5中に示す)。
【0028】
次に前記送風選別工程(D)では、前記土砂粉砕工程で鉛散弾を含む散弾の1.5〜2.5倍径以下となった混合土砂を落下させる途中に、側方から送風して鉛散弾とその他の粒子を飛ばされる距離で選別して、比重の小さい軽い小土塊dや小粒石は遠くに吹き飛ばし(図2中のD7中で示す)、近場に落下した比重の大きい重たい鉛散弾a(図2中のD6中に示す)のみを分別して得られる。
この最終的に得られた鉛散弾aの表面には土が殆ど付着しておらず、高純度の鉛の散弾のみが土の混入が殆どない状態で得られる。
【0029】
次に、上記土砂からの鉛散弾分離方法を実施するための装置について説明する。
本発明の鉛散弾分離装置は、図3に示すように、上記土砂からの鉛散弾分離方法を実施するので、その鉛散弾分離工程の順に、その工程を行う装置がベルトコンベアなどの搬送装置5を介して配置される。
また、各装置は移動を容易とする移動車輪19をそれぞれ設けると、各地のクレー射撃場への運搬設置が容易となる。
【0030】
その工程を行うための装置は、図3に示すように、乾燥装置1、粗大固形物排除装置2、土砂粉砕装置3、送風選別装置4及び搬送装置5(ベルトコンベア5a、5b、5c、5d、5e)とで全体が構成される。
【0031】
前記乾燥装置1は、採取した散弾含有土砂を投入し土含有水分を10%以下に乾燥可能とする装置である。
前記大固形物排除装置2は、前記乾燥装置1から得られた鉛散弾含有土砂から10mm径以上粗大固形物をメッシュ選別により排除可能とするものである。
【0032】
前記土砂粉砕装置3は、粗大固形物が排除され鉛散弾含有土砂を入れるケース20内に、土砂を粉砕するクラッシャー23と、そのクラッシャー23の直下に鉛散弾の径の1.5〜2.5倍の径を有する孔28を多数設けた孔開き底板27を備えた装置である。
前記送風選別装置4は前記孔開き底板27を通過した鉛散弾含有土砂を落下途中で側方から送風して、土砂とを遠くに吹き飛ばして近場に鉛散弾を分離して得る装置である。
そして、前記搬送装置5は、上記各装置で得られた鉛散弾含有土砂をその次ぎの装置へと移動させる各装置間に設けられたモータ39で駆動されるものである。
【0033】
次に上記各装置の構成をさらに詳説する。
前記乾燥装置1には、回転軸を傾斜させ、投入された土砂を攪拌する掬い上げ板8を内周面に多数設けた回転ドラム7と、その回転ドラム7内に臨ませたバーナー9と備えた火力による乾燥装置が使用できる。
この回転ドラム7の回転は外周に形成された歯車10にモータ12の駆動で回転する歯車11が歯合されて、モータ12によって回転駆動が可能となる。
【0034】
前記粗大固形物排除装置2は、別に用意し、搬送装置で土砂を移動できるようにしても良いが(図省略)、図3の例では、前記回転ドラム7の傾斜下端部7bに同径で延設して該回転ドラム7と一緒に回転するに網状周面又は多数孔周面14の篩い筒体13とし、前記篩い筒体13内に残る粗大固形物は外部に排除して、篩い筒体13を通過した鉛散弾含有土砂は分離されてベルトコンベア5b上に落下して次の土砂粉砕装置3に移動される。
なお、採取された鉛散弾含有土砂はベルトコンベア5aの下部に備えた受入容器15aに投入されると、ベルトコンベア5aで高く搬送され、前記回転ドラム7の傾斜上端部7aに設けた投入口16から前記回転ドラム7内に投入される。
前記回転ドラム7内の臨むバーナー9は、バーナー燃料供給制御部18で適度の温度になって、十分乾燥可能な火力に適宜制御する。
また、篩い筒体13内に残った粗大固形物は、篩い筒体13の傾斜下端部から粗大固形物受け入れ容器17内に自動的に落下し容器が満杯になる前に交換するようにする。
【0035】
前記土砂粉砕装置3は、図3に示すように、移動台26上に高く載った鉛散弾含有土砂を投入するボックス20内に、羽根回転軸21を水平に軸承するとともに該羽根回転軸21に先端部にクラッシャー23を備えた金属製の粉砕回転羽根22を備え、該粉砕回転羽根22を回転伝達手段24を介して駆動装置25で回転可能とし、該粉砕回転羽根22の直下に該粉砕回転羽根22の前記クラッシャー23先端の回転軌跡に沿って円弧状に湾曲した鋼板製の多数の孔28を備えた孔開き底板27を備え、該孔開き底板27の孔径を散弾径の1.5〜2.5倍とする。
なお、前記粗大固形物排除装置2から搬送された鉛散弾含有土砂は、ベルトコンベア5cの下部に備えた受入容器15bに投入されると、ベルトコンベア5bで高く搬送され、前記ボックス20内上部の投入口32からボックス20内に投入され孔開き底板26上に載る。
そして、孔開き底板27上の粉砕回転羽根22で粉砕された鉛散弾含有土砂は前記孔開き底板27の孔28から落下しベルトコンベア5d上に落下して次の送風選別装置4に移動される。
【0036】
そして、前記土砂粉砕装置3に近傍には、該土砂粉砕装置3の孔開き底板28の上下の空間に臨む吸引口29を吸気管31を介して備えた電動で吸引するサイクロン30式の吸塵装置6を設け、粉砕で発生した微粒子が周囲に飛散するのを防ぐ。
【0037】
次に、前記土砂粉砕装置3からベルトコンベア5dで搬送された混合土砂は、ベルトコンベア5eの下部に備えた受入容器15cに投入されると、ベルトコンベア5eで高く搬送され、移動台40上に高く載った送風選別装置4の風洞33内上部の投入口34から投入される。
この風洞33内を落下途中に側方から電動のファン35で送風して、比重の小さい土砂を遠くに吹き飛ばし、飛ばされた小さい土砂はカバーシート37の中を水平方向に飛ばされて容器38内に集められ、近場に落下した重たい鉛散弾は容器36の中に集められる。
なお、乾燥装置1で土砂の水分は含有率が大幅に低下し含水率を10%以下とすることで、その後の工程で鉛散弾aの表面から土が殆ど剥がされ最終的に高純度の鉛の散弾のみが土の混入が殆どない状態で得られるが、土の含水率が30%程度までの乾燥では、乾燥が不十分の場合には鉛散弾aの表面に土がこびり付いて残り、最終的に鉛散弾と土とが分離しきれない状態となってしまうので好ましくない。
その中間の含水率の値では、低くすれば鉛の純度が高まり、高くすれば鉛の純度が低下し、要求される鉛の純度に応じてより土の混入レベルを調節することも可能である。
この装置で最終的に得られた鉛散弾の表面には土が殆ど付着しておらず、高純度の鉛の散弾のみが土の混入が殆どない状態で鉛散弾が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、水を使用せず、鉛散弾のみを確実に分離して得ることが可能であるが、同様に鉛以外の粒状の金属が混合された土砂についてもこの方法及び装置を利用することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 乾燥装置
2 粗大固形物排除装置
3 土砂粉砕装置
4 送風選別装置
5 搬送装置
5a、5b、5c、5d、5e ベルトコンベア
6 吸塵装置
7 回転ドラム
7a 傾斜上端部
7b 傾斜下端部
8 掬い上げ板
9 バーナー
10 歯車
11 歯車
12 モータ
13 篩い筒体
14 網状周面又は多数孔周面
15a、15b、15c 受入容器
16 投入口
17 粗大固形物受け入れ容器
18 バーナー燃料供給制御部
19 移動車輪
20 ボックス
21 羽根回転軸
22 粉砕回転羽根
23 クラッシャー
24 回転伝達手段
25 駆動装置
26 移動台
27 孔開き底板
28 孔
29 吸引口
30 サイクロン
31 吸気管
32 投入口
33 風洞
34 投入口
35 ファン
36 容器
37 カバーシート
38 容器
39 モータ
40 移動台
D1 採取した鉛散弾含有土砂
D2 乾燥土砂
D3 排除された粗大固形物
D4 得られた混合土砂
D5 吸塵された微粒子
D6 得られた鉛散弾
D7 分離された土砂
a 鉛散弾
b 粗大固形物
c 微粒子
d 小土塊

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取した鉛散弾含有土砂を乾燥させる乾燥工程と、その乾燥土砂をメッシュ選別して小石、クレー破片、ワッズ、土塊等の粗大固形物を除去して鉛散弾含有土砂を得る粗大固形物排除工程と、その鉛散弾含有土砂を粉砕しつつ鉛散弾の1.5〜2.5倍の径以下の小粒径をメッシュ選別して小径となった土砂と鉛散弾との混合土砂を得る土砂粉砕工程と、その混合土砂を落下させる途中に側方から送風して、比重の小さい土砂を遠くに吹き飛ばし、比重の大きい鉛散弾を近場に落下させて鉛散弾を得る送風選別工程とから成り、鉛散弾含有土砂から高い純度で鉛散弾を回収可能としたことを特徴とする土砂からの鉛散弾分離方法。
【請求項2】
粗大固形物排除工程において、乾燥土砂を10mm以上の粗大固形物を排除するメッシュ選別としたことを特徴とする請求項1の土砂からの鉛散弾分離方法。
【請求項3】
乾燥工程において、土の含水率を10%以下まで乾燥させること特徴とする請求項1又は2の土砂からの鉛散弾分離方法。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれかに記載の土砂からの鉛散弾分離方法及びその方法を実施するための装置であって、採取した鉛散弾含有土砂を投入し土含有水分を10%以下に乾燥可能とする乾燥装置と、その乾燥装置から得られた鉛散弾含有土砂から10mm径以上粗大固形物をメッシュ選別により排除可能とする粗大固形物排除装置と、粗大固形物が排除され鉛散弾含有土砂を入れるケース内に、土砂を粉砕するクラッシャーと、そのクラッシャーの直下に鉛散弾の径の1.5〜2.5倍の径を有する孔を多数設けた孔開き底板を備えた土砂粉砕装置と、前記孔開き底板を通過した鉛散弾含有土砂を落下途中で側方から送風して、土砂とを遠くに吹き飛ばして近場に鉛散弾を分離して得る送風選別装置と、上記各装置で得られた鉛散弾含有土砂をその次ぎの装置へと移動させる各装置間に設けられた搬送装置とから成る土砂からの鉛散弾分離装置。
【請求項5】
乾燥装置を、回転軸を傾斜させ、投入された土砂を攪拌する掬い上げ板を内周面に多数設けた回転ドラムと、その回転ドラム内に臨ませたバーナーと備えた火力による乾燥装置としたこととを特徴とする請求項4に記載の土砂からの鉛散弾分離装置。
【請求項6】
粗大固形物排除装置を、回転ドラムの傾斜下端部に同径で延設して該回転ドラムと一緒に回転するに網状周面又は多数孔周面の篩い筒体とし、前記篩い筒体内に残る粗大固形物は外部に排除して篩い筒体を通過した鉛散弾含有土砂を分離して得られるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の土砂からの鉛散弾分離装置。
【請求項7】
土砂粉砕装置を、鉛散弾含有土砂を投入するボックス内に、羽根回転軸を水平に軸承するとともに該羽根回転軸に先端部にクラッシャーを備えた金属製の粉砕回転羽根を備え、該粉砕回転羽根を回転伝達手段を介して駆動装置で回転可能とし、該粉砕回転羽根の直下に該粉砕回転羽根の前記クラッシャー先端の回転軌跡に沿って円弧状に湾曲した鋼板製の多数の孔を備えた孔開き底板を備え、該孔開き底板の孔径を散弾径の1.5〜2.5倍としたことを特徴とする請求項4から6のうちいずれかに記載の土砂からの鉛散弾分離装置。
【請求項8】
土砂粉砕装置に近傍に、該土砂粉砕装置の孔開き底板の上下の空間に臨む吸引口を備えた吸塵装置を設けたことを特徴とする請求項4から7のうちいずれかに記載の土砂からの鉛散弾分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−279868(P2010−279868A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133629(P2009−133629)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(509156893)
【出願人】(509156907)
【出願人】(509156918)
【出願人】(509155760)
【Fターム(参考)】