土質材料の評価方法
【課題】三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを決定できるようにする。
【解決手段】せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施し、比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める。
【解決手段】せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施し、比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸せん断試験による土質材料の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮指数λは、粘性土の場合、標準圧密試験で求めた正規圧密線より決定することが一般的である。ところが、砂質土の場合、砂質土の正規圧密線を求めるために異常に高い圧力が必要となり(非特許文献1を参照)、このような異常な高圧に耐えられる試験装置を用いることは一般的ではない。また、このような異常な高圧が作用している現場は杭の先端ぐらいに限られ、やはり砂質土の場合、正規圧密線より圧縮指数λを決定する方法は一般的でない。
【0003】
本願発明者等は、非特許文献2において、三軸せん断試験結果より砂質土の圧縮指数λを決定する方法を提案している。すなわち、正規圧密線と限界状態線の式は、比体積v、平均主応力p´として、それぞれv=N−λlnp´、v=Γ−λlnp´と表わされる。ここにN、Γはv〜lnp´空間における正規圧密線と限界状態線の位置を決める。v〜lnp´空間では、正規圧密線と限界状態線は互いに平行で、その傾きλが圧縮指数である。v〜lnp´空間において、正規圧密線と限界状態線と同じ傾きを持つ平行線v=vλ−λlnp´を無数に引くことができる。vλはダイレイタンシー特性に関わるパラメータである。このときvλ=v+λlnp´はN、Γ同様それぞれの線の位置を決める(非特許文献1を参照)。
【0004】
通常の応力レベルにおける砂質土の三軸せん断試験結果ではvλ<Γとなることが多い。そこで、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施して、ピーク破壊時の応力比ηpeak´の等しい試験結果B、Cを得ることができれば、次の考え方により圧縮指数λを決定することができる。すなわち、(ηpeak´)B=(ηpeak´)Cならば(vλ)B=(vλ)Cである。vλ=v+λlnp´より、(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つ。v、lnp´はいずれも既知であるので、次式により未知パラメータλを決定することができる。
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
【0005】
【非特許文献1】J.H.Atkinson, P.L.Bransby, The Mechanics of Soils, McGRAW-HILL Book Company (UK) Limited,pp.235-291,1978.
【非特許文献2】三隅浩二、秋吉智文ほか、三軸せん断試験による砂質土の圧縮指数の決定、土木学会西部支部研究発表会講演概要集III−048、pp.463−464、2006.3.
【非特許文献3】中井健太郎、構造・過圧密・異方性の発展則に基づく土の弾塑性構成式の開発とその粘土、砂、特殊土への適用性に関する基礎的研究、名古屋大学学位論文、pp.1−65、2005.3
【非特許文献4】三隅浩二、木村裕樹ほか、三軸せん断試験による砂質土の静止土圧係数の決定、平成18年度土木学会全国大会第60回年次学術講演会講演概要集3−081、pp.161−162、2005.9.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地盤の変形・破壊予測を行うためには、事前に地盤を構成する土質材料の弾塑性パラメータを決定し、過圧密解消と構造喪失のメカニズムを正しく評価しておくことが必要である。
【0007】
上述したように、本願発明者等はピーク破壊時のデータより圧縮指数λを決定する方法を提案しているが、ピーク破壊は破壊の始まりであり、端面拘束の影響もあって三軸供試体はかなりの不均質な状態にあるものと考えられる。この三軸供試体の不均質性を考慮すると、ピーク破壊時の試験結果を用いる方法には精度の問題が残ってしまう。
【0008】
また、体積膨張が顕著なために応力比ηpeak´とそのときの比体積vの値を決めにくい等の不都合も考えられる。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを決定できるようにすることを目的とする。さらには、構造喪失や過圧密解消のメカニズムを評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による土質材料の評価方法は、三軸せん断試験を実施して、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定する点に特徴を有する。
本発明による土質材料の評価方法は、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施する手順と、比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める手順とを有する点に特徴を有する。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記三軸せん断試験は、平均主応力一定排水三軸せん断試験である点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記三軸せん断試験に先立って、三軸供試体に載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与える点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、及び正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求める点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面=R*0=1、U*=dR*/dεSp=0として、式(5)、(6)を用いて上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面を求める手順と、体積ひずみ増分dεV、せん断ひずみ増分dεS、平均主応力増分dp´、軸差応力増分dq、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)、平均主応力p´、応力比η´=q/p´した弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を前記第1グループの試験結果にあてはめることにより、もしくは式(7)を用いて、Rの変化率U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5を決定する手順とを有する点にある。
【0011】
【数1】
【0012】
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、前記U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める手順と、弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する手順とを有する点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定する点にある。
【0013】
【数2】
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定するので、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを決定することができる。さらには、R〜U関係を求めることにより過圧密解消のメカニズムを評価することができ、R*〜U*関係を求めることにより構造喪失のメカニズムを評価することができる。また、地盤の初期の応力状態を表わす静止土圧係数K0も決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。まずはシラスの圧縮指数の決定方法について説明し、次に構造喪失と過圧密解消のメカニズムの評価方法について説明する。
【0016】
<シラスの圧縮指数の決定>
以下の説明において、比体積v=V(土全体の体積)/VS(土粒子の体積)、体積ひずみεV=(v(せん断中の比体積)−v0(せん断開始時点の比体積))/vi(初期状態の比体積)、せん断ひずみεS=εa−εV/3、軸ひずみεa=(H(せん断中の高さ)−H0(せん断開始時点の高さ))/Hi(初期状態の高さ)である。ここで、比体積(specific volume)とは、土粒子の体積を1としたときの土全体の体積のことである。土は土粒子と間隙からなるが、土全体の体積をV、土粒子の体積をVS、間隙の体積をVVとすると、上記のように比体積v=V/VSと表わされる。間隙比e=VV/VSはよく知られたパラメータであるが、v=1+eの関係がある。なお、vは体積比と称される場合もある。
【0017】
本発明では、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λを決定する。すなわち、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxに着目して、(εVmax)B=(εVmax)Cならば(vλ)B=(vλ)Cとして圧縮指数λを決定する。以下、シラスの三軸せん断試験結果より圧縮指数λを決定して、その手法の有効性を検討した。
【0018】
(平均主応力一定三軸排水せん断試験)
試料は、鹿児島県垂水市で採取された山シラスであり、850μmふるいを通過し75μmふるいに残留したものを使用した。土粒子の密度2.42g/cm3、最大間隙比1.76、最小間隙比1.00である。三軸供試体は試料を水中落下させてモールドに体積したものを凍結して作製した。この供試体の作製に伴うシラス土粒子の構造を消失させるために、いずれの供試体も平均有効主応力p´=0.5kgf/cm2において平均主応力一定条件で応力比η´=q/p´=1.2(q:軸差応力)までの載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与えている。繰り返し回数はいずれも2回とした。
【0019】
図1、2は、その静的繰り返し載荷を被った三軸供試体を所定の圧力まで等方圧縮した後に、平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す。図1はp´=1.0kgf/cm2の場合の応力比η´〜せん断ひずみεS関係(図1(a))、並びに、体積ひずみεV〜せん断ひずみ関係εS(図1(b))(試験1〜6)を、図2はp´=2.0kgf/cm2の場合の試験結果(試験7〜13)を示す(図2(a)、2(b))。
【0020】
(圧縮指数λの決定)
既述したように、(ηpeak´)B=(ηpeak´)Cではなく、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxに着目して、(εVmax)B=(εVmax)Cならば(vλ)B=(vλ)Cとして圧縮指数λを決定する。
【0021】
図3は最大の応力比ηpeak´とそのときの比体積vの関係を示す。不均質が卓越したためか、平均主応力の違いに関する規則性が見て取れず、今回この図より圧縮指数λを決定することができなかった。
【0022】
図4は圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す。p´=1.0kgf/cm2とp´=2.0kgf/cm2のデータのそれぞれに直線をあてはめている。これらの直線の隔たりが(v)B−(v)Cとなっている。実のところこれら2直線は平行でないので、最大の体積ひずみ量εVmaxと最小の体積ひずみ量εVmaxの中間のεVmax=0.00383で(v)B−(v)Cを決定した。結局、λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)=0.390が得られた。
【0023】
図5のプロットは各試験で得られた圧縮から膨張に転ずるときのdη´/dεSとそのときのvλの関係を示す。右下がりの直線はプロットに線形最小二乗法を適用して得たものである。この直線を用いてdη´/dεS=0のときのvλの値より限界状態線の位置を決めるパラメータΓ=3.02を決定することができた。
【0024】
図6のプロットはせん断試験結果をv〜lnp´空間に示したものである。2つの実線は今回の解析で得られた限界状態線601(v=Γ−λlnp´)と、εVmax=0.00383すなわちvλ=2.43のときの平行線602(v=vλ−λlnp´)を示している。
【0025】
<構造喪失と過圧密解消のメカニズム>
平均主応力一定排水三軸せん断試験結果より、シラスの構造喪失及び過圧密解消のメカニズムを測定した。まず、繰り返し載荷を被った供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)を構造の消滅したシラスの試験結果とみなして、弾塑性パラメータ並びに過圧密解消のメカニズムを測定した。
【0026】
次に、この第1グループの試験結果と、繰り返し載荷を伴わない一連の試験結果(第2グループの試験結果)より、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致する試験結果を探し出し、両者を比較することにより構造喪失のメカニズムを測定することを試みた。第1のグループと第2のグループとで、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致するということは、せん断開始時点において、供試体が同じ状態で、構造があるものと、構造がないものとを取り出したということである。
【0027】
(三軸せん断試験の概要)
図7は、平均主応力一定排水三軸せん断試験の概要を示す。上述したのと同様に、供試体の構造を消滅させるため、平均有効主応力p´=0.5kgf/cm2で応力比η´=q/p´=1.20までの載荷と除荷を2サイクル繰り返した。その後、所定の拘束圧まで等方圧縮して平均主応力一定排水三軸せん断試験を実施することにより、計13個のシラス供試体の試験結果(第1グループの試験結果)を得ることができた。繰り返し載荷における応力比η´=1.20は、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの応力比M=1.28(計15個のシラス供試体による第2グループの試験結果の平均値)よりも僅かに小さな値となっている。
【0028】
図8はせん断開始時点の比体積v0が略一致している第1グループの試験結果(構造なし)(v0=2.10、p´=1.0kgf/cm2)と第2グループの試験結果(構造あり)(v0=2.11、p´=1.0kgf/cm2)の応力〜ひずみ曲線の比較を示している。この図より、繰り返し載荷を被った試験結果は、繰り返し載荷を伴わない試験結果よりもせん断強度が小さいことやダイレイタンシー挙動に大きな相違があることが見て取れる。
【0029】
(繰り返し載荷を被ったシラスの過圧密解消のメカニズム)
下負荷面並びに上負荷面の考え方(非特許文献3)を反映させた弾塑性構成式、式(1)〜式(4)を第1グループの試験結果にあてはめることにより、シラスの弾塑性パラメータと過圧密解消のメカニズムを決定する。ただし、ここでは上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=R*0=1、R*の変化率U*=0としている。
【0030】
【数3】
【0031】
ここに、dεVは体積ひずみ増分、dεSはせん断ひずみ増分、dp´は平均主応力増分、dqは軸差応力増分、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)である。mは式(4)から得られる。
【0032】
まず、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところ(図9中の矢印X(接線勾配dεV/dεSが0となるところ))の応力比η´より限界状態パラメータM=1.45を決定した(図9を参照)。Mは限界状態線の傾きを表わすものである。
【0033】
供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの接線勾配dη´/dεVの値より弾性挙動に関わるポアソン比ν´=0.298を決定した。
【0034】
上述した圧縮指数の決定方法を用い、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの体積ひずみ量εVmax(プラスで最大)を比体積vで整理して2直線の隔たりを測ることにより、せん断時に発揮される圧縮指数λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)=0.430を決定した。すなわち、図10に示すように、体積ひずみ量εVmaxと比体積vとの特性図より、p´=1.0kgf/cm2とp´=2.0kgf/cm2のそれぞれの近似曲線を求め、体積ひずみ量εVmaxの最大値と最小値の中間の値と交わる2点より、比体積vの値が2つ取れる((v)B=2.4305117、(v)C=2.130609)。そして、(ln1、2.4305117)及び(Ln2、2.130690)を通る直線を考えて、その傾きから圧縮指数λ=0.430が得られる。
【0035】
供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの接線勾配dη´/dεSをvλ=v+λlnp´で整理することにより、接線勾配dη´/dεSが0に至るところのvλの値、すなわち限界状態線の位置を決めるパラメータΓ=2.99を決定した(図11を参照)。
【0036】
膨潤指数κ=0.00273は等方除荷して直接求めた。
【0037】
正規圧密線の位置を決めるパラメータN=3.28は、N=Γ+(λ−κ)Ln2より決定した。
【0038】
一方、上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面の変化を式(5)、(6)より求めた(図12を参照)。なお、Rは式(3)の降伏関数F=0からも求めることができる。式(3)は、カムクレイモデルの正規降伏面の降伏関数に、上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面と、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面とを導入したものである。
【0039】
上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面は過密圧の程度(1/Rは過圧密比に相当)を表わし、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面は構造の程度を表わす。そして、構造が消滅された第1グループの試験結果を用い、式(3)においてR*=R*0=1、U*=0とした式よりRを求めることができる。
【0040】
また、Rの変化率Uの変化は実験結果及び式(7)によって決定した。得られた過圧密解消のメカニズム(U〜R関係)を図13に示す。ここに、U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5、U*=dR*/dεSpである。なお、Uは実験結果及び式(1)(もしくは式(2))より求めたmを式(4)に用いて決定することができる。
【0041】
(供試体作製時につくられた構造のせん断試験時における喪失、消滅)
図8に示す第2グループの試験結果よりシラス供試体の構造喪失のメカニズムを測定する。上で決定した弾塑性パラメータと過圧密解消のメカニズムをそのまま利用して、上記のようにして求められたRを用いて、式(3)を使ってR*の変化を決定した(図14を参照)。このように構造のない場合のRと構造のある場合のR*を同じ式で使うことから、既述したように、第1のグループと第2のグループとでせん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致するものを取り出したものである。また、R*の変化率U*の変化は試験結果及び式(1)(もしくは式(2)でもよい)より求めたmを式(4)に用いて測定した、得られた構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)を図15に示す。
【0042】
図16は、以上述べた構造喪失と過圧密解消のメカニズムの測定のための処理を簡単に説明するためのフローチャートである。繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求める(ステップS101)。
【0043】
第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=R*0=1、U*=0として、上負荷面と下負荷面の大きさの比Rを求める(ステップS102)。
【0044】
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第1グループの試験結果にあてはめることにより、Rの変化率Uを決定する(ステップS103)。
【0045】
第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める(ステップS104)。
【0046】
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する(ステップS105)。
【0047】
(解析結果)
図12よりシラス供試体はせん断開始時に過圧密比1/Rは16程度、せん断により徐々に過圧密は解消されるがピーク破壊に至っても過圧密比3〜4を残し、過圧密解消の速度は遅い。一方、図14よりせん断開始時に構造の程度1/R*は1.16程度、せん断が始まってもなかなか構造は喪失しないが、圧縮から膨張に転ずるあたりより急激に喪失して、ピーク破壊時に完全に消滅している(R*=1)。このことから、試験に用いたシラスは典型的な「砂質土である」と力学的に判断することができる。
【0048】
構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)は、特殊土シラスに特有なインターロッキングを示しているものと考えられる。すなわち、過圧密解析のメカニズムと構造喪失のメカニズムを解明することは非特許文献3に示されるように、砂質土の詳細な力学特性を解明する道具、すなわち土を力学的に分類するための道具として使うことができる。
【0049】
有限要素法プログラムで地盤の変形・破壊予測を実施するためには、最後に、地盤の初期応力状態を決定しなければならない。水平方向の有効応力状態は静止土圧係数K0を鉛直有効応力に乗じることで計算できる。そこで、弾塑性構成式に一次元圧縮条件を導入することで、三軸せん断試験結果より決定した弾塑性パラメータ等に基づき、砂質土の静止土圧係数K0を決定することができる(非特許文献4)(ステップS106)。具体的には、弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定する。
【0050】
土の構成式を見てもわかるように、土のせん断挙動は殆どの弾塑性パラメータが同時に寄与して起きる力学的現象である。したがって、土の状態が限界状態に到達しなくても限界状態パラメータMを決めることができるし、正規圧密線に至らなくても三軸せん断試験結果より圧縮指数λを決定することもできる。もちろん同様に、一次元圧縮試験せずとも三軸せん断試験結果より地盤の初期状態を決める弾塑性パラメータK0を得ることができるわけである。
【0051】
図17は、本発明による土質材料の評価方法を実施するためのシステム構成例を示す。100は三軸せん断試験装置である。三軸せん断試験装置100まわりにおいて、101は2重管ビュレット、102はストップバルブ、103は手動レギュレータ、104は背圧用圧力計、105、106は電空レギュレータ、107はBFシリンダ(下部圧力計)、108はロードセル、109はダイヤルゲージ、110はレーザ変位計、111はベロフラムシリンダである。なお、2重管ビュレット101のかわりに、電子天びんを用いることも行われている。
【0052】
また、200はデータロガーであり、三軸せん断試験装置から得られるデータを収集する。
【0053】
また、300はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、三軸せん断試験装置から得られるデータを用いて、上述した圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを演算し、さらには構造喪失や過圧密解消のメカニズムを演算する。
【0054】
なお、本発明の目的は、上述した各種演算を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0055】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0056】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す特性図である。
【図2】平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す特性図である。
【図3】最大の応力比ηpeak´とそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図4】圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図5】圧縮から膨張に転ずるときのdη´/dεSとそのときのvλの関係を示す特性図である。
【図6】せん断試験結果をv〜lnp´空間に示す特性図である。
【図7】平均主応力一定排水三軸せん断試験の概要を示す特性図である。
【図8】せん断開始時点の比体積が略一致している第1グループの試験結果と第2グループの試験結果(構造あり)の応力〜ひずみ曲線の比較を示す特性図である。
【図9】応力〜ひずみ曲線から限界状態パラメータMを決定する様子を説明するための図である。
【図10】圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図11】Vλ〜dη´/dεS特性図より限界状態線の位置を決めるパラメータΓを決定する様子を説明するための図である。
【図12】上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面の変化を示す特性図である。
【図13】過圧密解消のメカニズム(U〜R関係)を示す特性図である。
【図14】上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面の変化を示す特性図である。
【図15】構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)を示す特性図である。
【図16】構造喪失と過圧密解消のメカニズムの測定のための処理を簡単に説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明による土質材料の評価方法を実施するためのシステム構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 三軸せん断試験装置
200 データロガー
300 情報処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、三軸せん断試験による土質材料の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮指数λは、粘性土の場合、標準圧密試験で求めた正規圧密線より決定することが一般的である。ところが、砂質土の場合、砂質土の正規圧密線を求めるために異常に高い圧力が必要となり(非特許文献1を参照)、このような異常な高圧に耐えられる試験装置を用いることは一般的ではない。また、このような異常な高圧が作用している現場は杭の先端ぐらいに限られ、やはり砂質土の場合、正規圧密線より圧縮指数λを決定する方法は一般的でない。
【0003】
本願発明者等は、非特許文献2において、三軸せん断試験結果より砂質土の圧縮指数λを決定する方法を提案している。すなわち、正規圧密線と限界状態線の式は、比体積v、平均主応力p´として、それぞれv=N−λlnp´、v=Γ−λlnp´と表わされる。ここにN、Γはv〜lnp´空間における正規圧密線と限界状態線の位置を決める。v〜lnp´空間では、正規圧密線と限界状態線は互いに平行で、その傾きλが圧縮指数である。v〜lnp´空間において、正規圧密線と限界状態線と同じ傾きを持つ平行線v=vλ−λlnp´を無数に引くことができる。vλはダイレイタンシー特性に関わるパラメータである。このときvλ=v+λlnp´はN、Γ同様それぞれの線の位置を決める(非特許文献1を参照)。
【0004】
通常の応力レベルにおける砂質土の三軸せん断試験結果ではvλ<Γとなることが多い。そこで、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施して、ピーク破壊時の応力比ηpeak´の等しい試験結果B、Cを得ることができれば、次の考え方により圧縮指数λを決定することができる。すなわち、(ηpeak´)B=(ηpeak´)Cならば(vλ)B=(vλ)Cである。vλ=v+λlnp´より、(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つ。v、lnp´はいずれも既知であるので、次式により未知パラメータλを決定することができる。
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
【0005】
【非特許文献1】J.H.Atkinson, P.L.Bransby, The Mechanics of Soils, McGRAW-HILL Book Company (UK) Limited,pp.235-291,1978.
【非特許文献2】三隅浩二、秋吉智文ほか、三軸せん断試験による砂質土の圧縮指数の決定、土木学会西部支部研究発表会講演概要集III−048、pp.463−464、2006.3.
【非特許文献3】中井健太郎、構造・過圧密・異方性の発展則に基づく土の弾塑性構成式の開発とその粘土、砂、特殊土への適用性に関する基礎的研究、名古屋大学学位論文、pp.1−65、2005.3
【非特許文献4】三隅浩二、木村裕樹ほか、三軸せん断試験による砂質土の静止土圧係数の決定、平成18年度土木学会全国大会第60回年次学術講演会講演概要集3−081、pp.161−162、2005.9.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地盤の変形・破壊予測を行うためには、事前に地盤を構成する土質材料の弾塑性パラメータを決定し、過圧密解消と構造喪失のメカニズムを正しく評価しておくことが必要である。
【0007】
上述したように、本願発明者等はピーク破壊時のデータより圧縮指数λを決定する方法を提案しているが、ピーク破壊は破壊の始まりであり、端面拘束の影響もあって三軸供試体はかなりの不均質な状態にあるものと考えられる。この三軸供試体の不均質性を考慮すると、ピーク破壊時の試験結果を用いる方法には精度の問題が残ってしまう。
【0008】
また、体積膨張が顕著なために応力比ηpeak´とそのときの比体積vの値を決めにくい等の不都合も考えられる。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを決定できるようにすることを目的とする。さらには、構造喪失や過圧密解消のメカニズムを評価できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による土質材料の評価方法は、三軸せん断試験を実施して、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定する点に特徴を有する。
本発明による土質材料の評価方法は、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施する手順と、比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める手順とを有する点に特徴を有する。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記三軸せん断試験は、平均主応力一定排水三軸せん断試験である点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記三軸せん断試験に先立って、三軸供試体に載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与える点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、及び正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求める点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面=R*0=1、U*=dR*/dεSp=0として、式(5)、(6)を用いて上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面を求める手順と、体積ひずみ増分dεV、せん断ひずみ増分dεS、平均主応力増分dp´、軸差応力増分dq、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)、平均主応力p´、応力比η´=q/p´した弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を前記第1グループの試験結果にあてはめることにより、もしくは式(7)を用いて、Rの変化率U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5を決定する手順とを有する点にある。
【0011】
【数1】
【0012】
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、前記U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める手順と、弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する手順とを有する点にある。
また、本発明による土質材料の評価方法の他の特徴とするところは、弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定する点にある。
【0013】
【数2】
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定するので、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを決定することができる。さらには、R〜U関係を求めることにより過圧密解消のメカニズムを評価することができ、R*〜U*関係を求めることにより構造喪失のメカニズムを評価することができる。また、地盤の初期の応力状態を表わす静止土圧係数K0も決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。まずはシラスの圧縮指数の決定方法について説明し、次に構造喪失と過圧密解消のメカニズムの評価方法について説明する。
【0016】
<シラスの圧縮指数の決定>
以下の説明において、比体積v=V(土全体の体積)/VS(土粒子の体積)、体積ひずみεV=(v(せん断中の比体積)−v0(せん断開始時点の比体積))/vi(初期状態の比体積)、せん断ひずみεS=εa−εV/3、軸ひずみεa=(H(せん断中の高さ)−H0(せん断開始時点の高さ))/Hi(初期状態の高さ)である。ここで、比体積(specific volume)とは、土粒子の体積を1としたときの土全体の体積のことである。土は土粒子と間隙からなるが、土全体の体積をV、土粒子の体積をVS、間隙の体積をVVとすると、上記のように比体積v=V/VSと表わされる。間隙比e=VV/VSはよく知られたパラメータであるが、v=1+eの関係がある。なお、vは体積比と称される場合もある。
【0017】
本発明では、三軸供試体が比較的均質な状態であると考えられる応力レベルで、圧縮指数λを決定する。すなわち、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxに着目して、(εVmax)B=(εVmax)Cならば(vλ)B=(vλ)Cとして圧縮指数λを決定する。以下、シラスの三軸せん断試験結果より圧縮指数λを決定して、その手法の有効性を検討した。
【0018】
(平均主応力一定三軸排水せん断試験)
試料は、鹿児島県垂水市で採取された山シラスであり、850μmふるいを通過し75μmふるいに残留したものを使用した。土粒子の密度2.42g/cm3、最大間隙比1.76、最小間隙比1.00である。三軸供試体は試料を水中落下させてモールドに体積したものを凍結して作製した。この供試体の作製に伴うシラス土粒子の構造を消失させるために、いずれの供試体も平均有効主応力p´=0.5kgf/cm2において平均主応力一定条件で応力比η´=q/p´=1.2(q:軸差応力)までの載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与えている。繰り返し回数はいずれも2回とした。
【0019】
図1、2は、その静的繰り返し載荷を被った三軸供試体を所定の圧力まで等方圧縮した後に、平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す。図1はp´=1.0kgf/cm2の場合の応力比η´〜せん断ひずみεS関係(図1(a))、並びに、体積ひずみεV〜せん断ひずみ関係εS(図1(b))(試験1〜6)を、図2はp´=2.0kgf/cm2の場合の試験結果(試験7〜13)を示す(図2(a)、2(b))。
【0020】
(圧縮指数λの決定)
既述したように、(ηpeak´)B=(ηpeak´)Cではなく、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxに着目して、(εVmax)B=(εVmax)Cならば(vλ)B=(vλ)Cとして圧縮指数λを決定する。
【0021】
図3は最大の応力比ηpeak´とそのときの比体積vの関係を示す。不均質が卓越したためか、平均主応力の違いに関する規則性が見て取れず、今回この図より圧縮指数λを決定することができなかった。
【0022】
図4は圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す。p´=1.0kgf/cm2とp´=2.0kgf/cm2のデータのそれぞれに直線をあてはめている。これらの直線の隔たりが(v)B−(v)Cとなっている。実のところこれら2直線は平行でないので、最大の体積ひずみ量εVmaxと最小の体積ひずみ量εVmaxの中間のεVmax=0.00383で(v)B−(v)Cを決定した。結局、λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)=0.390が得られた。
【0023】
図5のプロットは各試験で得られた圧縮から膨張に転ずるときのdη´/dεSとそのときのvλの関係を示す。右下がりの直線はプロットに線形最小二乗法を適用して得たものである。この直線を用いてdη´/dεS=0のときのvλの値より限界状態線の位置を決めるパラメータΓ=3.02を決定することができた。
【0024】
図6のプロットはせん断試験結果をv〜lnp´空間に示したものである。2つの実線は今回の解析で得られた限界状態線601(v=Γ−λlnp´)と、εVmax=0.00383すなわちvλ=2.43のときの平行線602(v=vλ−λlnp´)を示している。
【0025】
<構造喪失と過圧密解消のメカニズム>
平均主応力一定排水三軸せん断試験結果より、シラスの構造喪失及び過圧密解消のメカニズムを測定した。まず、繰り返し載荷を被った供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)を構造の消滅したシラスの試験結果とみなして、弾塑性パラメータ並びに過圧密解消のメカニズムを測定した。
【0026】
次に、この第1グループの試験結果と、繰り返し載荷を伴わない一連の試験結果(第2グループの試験結果)より、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致する試験結果を探し出し、両者を比較することにより構造喪失のメカニズムを測定することを試みた。第1のグループと第2のグループとで、せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致するということは、せん断開始時点において、供試体が同じ状態で、構造があるものと、構造がないものとを取り出したということである。
【0027】
(三軸せん断試験の概要)
図7は、平均主応力一定排水三軸せん断試験の概要を示す。上述したのと同様に、供試体の構造を消滅させるため、平均有効主応力p´=0.5kgf/cm2で応力比η´=q/p´=1.20までの載荷と除荷を2サイクル繰り返した。その後、所定の拘束圧まで等方圧縮して平均主応力一定排水三軸せん断試験を実施することにより、計13個のシラス供試体の試験結果(第1グループの試験結果)を得ることができた。繰り返し載荷における応力比η´=1.20は、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの応力比M=1.28(計15個のシラス供試体による第2グループの試験結果の平均値)よりも僅かに小さな値となっている。
【0028】
図8はせん断開始時点の比体積v0が略一致している第1グループの試験結果(構造なし)(v0=2.10、p´=1.0kgf/cm2)と第2グループの試験結果(構造あり)(v0=2.11、p´=1.0kgf/cm2)の応力〜ひずみ曲線の比較を示している。この図より、繰り返し載荷を被った試験結果は、繰り返し載荷を伴わない試験結果よりもせん断強度が小さいことやダイレイタンシー挙動に大きな相違があることが見て取れる。
【0029】
(繰り返し載荷を被ったシラスの過圧密解消のメカニズム)
下負荷面並びに上負荷面の考え方(非特許文献3)を反映させた弾塑性構成式、式(1)〜式(4)を第1グループの試験結果にあてはめることにより、シラスの弾塑性パラメータと過圧密解消のメカニズムを決定する。ただし、ここでは上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=R*0=1、R*の変化率U*=0としている。
【0030】
【数3】
【0031】
ここに、dεVは体積ひずみ増分、dεSはせん断ひずみ増分、dp´は平均主応力増分、dqは軸差応力増分、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)である。mは式(4)から得られる。
【0032】
まず、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところ(図9中の矢印X(接線勾配dεV/dεSが0となるところ))の応力比η´より限界状態パラメータM=1.45を決定した(図9を参照)。Mは限界状態線の傾きを表わすものである。
【0033】
供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの接線勾配dη´/dεVの値より弾性挙動に関わるポアソン比ν´=0.298を決定した。
【0034】
上述した圧縮指数の決定方法を用い、供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの体積ひずみ量εVmax(プラスで最大)を比体積vで整理して2直線の隔たりを測ることにより、せん断時に発揮される圧縮指数λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)=0.430を決定した。すなわち、図10に示すように、体積ひずみ量εVmaxと比体積vとの特性図より、p´=1.0kgf/cm2とp´=2.0kgf/cm2のそれぞれの近似曲線を求め、体積ひずみ量εVmaxの最大値と最小値の中間の値と交わる2点より、比体積vの値が2つ取れる((v)B=2.4305117、(v)C=2.130609)。そして、(ln1、2.4305117)及び(Ln2、2.130690)を通る直線を考えて、その傾きから圧縮指数λ=0.430が得られる。
【0035】
供試体がせん断中圧縮から膨張に転ずるところの接線勾配dη´/dεSをvλ=v+λlnp´で整理することにより、接線勾配dη´/dεSが0に至るところのvλの値、すなわち限界状態線の位置を決めるパラメータΓ=2.99を決定した(図11を参照)。
【0036】
膨潤指数κ=0.00273は等方除荷して直接求めた。
【0037】
正規圧密線の位置を決めるパラメータN=3.28は、N=Γ+(λ−κ)Ln2より決定した。
【0038】
一方、上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面の変化を式(5)、(6)より求めた(図12を参照)。なお、Rは式(3)の降伏関数F=0からも求めることができる。式(3)は、カムクレイモデルの正規降伏面の降伏関数に、上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面と、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面とを導入したものである。
【0039】
上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面は過密圧の程度(1/Rは過圧密比に相当)を表わし、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面は構造の程度を表わす。そして、構造が消滅された第1グループの試験結果を用い、式(3)においてR*=R*0=1、U*=0とした式よりRを求めることができる。
【0040】
また、Rの変化率Uの変化は実験結果及び式(7)によって決定した。得られた過圧密解消のメカニズム(U〜R関係)を図13に示す。ここに、U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5、U*=dR*/dεSpである。なお、Uは実験結果及び式(1)(もしくは式(2))より求めたmを式(4)に用いて決定することができる。
【0041】
(供試体作製時につくられた構造のせん断試験時における喪失、消滅)
図8に示す第2グループの試験結果よりシラス供試体の構造喪失のメカニズムを測定する。上で決定した弾塑性パラメータと過圧密解消のメカニズムをそのまま利用して、上記のようにして求められたRを用いて、式(3)を使ってR*の変化を決定した(図14を参照)。このように構造のない場合のRと構造のある場合のR*を同じ式で使うことから、既述したように、第1のグループと第2のグループとでせん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´が略一致するものを取り出したものである。また、R*の変化率U*の変化は試験結果及び式(1)(もしくは式(2)でもよい)より求めたmを式(4)に用いて測定した、得られた構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)を図15に示す。
【0042】
図16は、以上述べた構造喪失と過圧密解消のメカニズムの測定のための処理を簡単に説明するためのフローチャートである。繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求める(ステップS101)。
【0043】
第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=R*0=1、U*=0として、上負荷面と下負荷面の大きさの比Rを求める(ステップS102)。
【0044】
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第1グループの試験結果にあてはめることにより、Rの変化率Uを決定する(ステップS103)。
【0045】
第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める(ステップS104)。
【0046】
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する(ステップS105)。
【0047】
(解析結果)
図12よりシラス供試体はせん断開始時に過圧密比1/Rは16程度、せん断により徐々に過圧密は解消されるがピーク破壊に至っても過圧密比3〜4を残し、過圧密解消の速度は遅い。一方、図14よりせん断開始時に構造の程度1/R*は1.16程度、せん断が始まってもなかなか構造は喪失しないが、圧縮から膨張に転ずるあたりより急激に喪失して、ピーク破壊時に完全に消滅している(R*=1)。このことから、試験に用いたシラスは典型的な「砂質土である」と力学的に判断することができる。
【0048】
構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)は、特殊土シラスに特有なインターロッキングを示しているものと考えられる。すなわち、過圧密解析のメカニズムと構造喪失のメカニズムを解明することは非特許文献3に示されるように、砂質土の詳細な力学特性を解明する道具、すなわち土を力学的に分類するための道具として使うことができる。
【0049】
有限要素法プログラムで地盤の変形・破壊予測を実施するためには、最後に、地盤の初期応力状態を決定しなければならない。水平方向の有効応力状態は静止土圧係数K0を鉛直有効応力に乗じることで計算できる。そこで、弾塑性構成式に一次元圧縮条件を導入することで、三軸せん断試験結果より決定した弾塑性パラメータ等に基づき、砂質土の静止土圧係数K0を決定することができる(非特許文献4)(ステップS106)。具体的には、弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定する。
【0050】
土の構成式を見てもわかるように、土のせん断挙動は殆どの弾塑性パラメータが同時に寄与して起きる力学的現象である。したがって、土の状態が限界状態に到達しなくても限界状態パラメータMを決めることができるし、正規圧密線に至らなくても三軸せん断試験結果より圧縮指数λを決定することもできる。もちろん同様に、一次元圧縮試験せずとも三軸せん断試験結果より地盤の初期状態を決める弾塑性パラメータK0を得ることができるわけである。
【0051】
図17は、本発明による土質材料の評価方法を実施するためのシステム構成例を示す。100は三軸せん断試験装置である。三軸せん断試験装置100まわりにおいて、101は2重管ビュレット、102はストップバルブ、103は手動レギュレータ、104は背圧用圧力計、105、106は電空レギュレータ、107はBFシリンダ(下部圧力計)、108はロードセル、109はダイヤルゲージ、110はレーザ変位計、111はベロフラムシリンダである。なお、2重管ビュレット101のかわりに、電子天びんを用いることも行われている。
【0052】
また、200はデータロガーであり、三軸せん断試験装置から得られるデータを収集する。
【0053】
また、300はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、三軸せん断試験装置から得られるデータを用いて、上述した圧縮指数λをはじめとする土質材料の弾塑性パラメータを演算し、さらには構造喪失や過圧密解消のメカニズムを演算する。
【0054】
なお、本発明の目的は、上述した各種演算を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0055】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0056】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す特性図である。
【図2】平均主応力一定条件で三軸排水せん断試験した結果を示す特性図である。
【図3】最大の応力比ηpeak´とそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図4】圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図5】圧縮から膨張に転ずるときのdη´/dεSとそのときのvλの関係を示す特性図である。
【図6】せん断試験結果をv〜lnp´空間に示す特性図である。
【図7】平均主応力一定排水三軸せん断試験の概要を示す特性図である。
【図8】せん断開始時点の比体積が略一致している第1グループの試験結果と第2グループの試験結果(構造あり)の応力〜ひずみ曲線の比較を示す特性図である。
【図9】応力〜ひずみ曲線から限界状態パラメータMを決定する様子を説明するための図である。
【図10】圧縮から膨張に転ずるときの体積ひずみ量εVmaxとそのときの比体積vの関係を示す特性図である。
【図11】Vλ〜dη´/dεS特性図より限界状態線の位置を決めるパラメータΓを決定する様子を説明するための図である。
【図12】上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面の変化を示す特性図である。
【図13】過圧密解消のメカニズム(U〜R関係)を示す特性図である。
【図14】上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面の変化を示す特性図である。
【図15】構造喪失のメカニズム(U*〜R*関係)を示す特性図である。
【図16】構造喪失と過圧密解消のメカニズムの測定のための処理を簡単に説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明による土質材料の評価方法を実施するためのシステム構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
100 三軸せん断試験装置
200 データロガー
300 情報処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三軸せん断試験を実施して、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定することを特徴とする土質材料の評価方法。
【請求項2】
せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施する手順と、
比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める手順とを有することを特徴とする土質材料の評価方法。
【請求項3】
前記三軸せん断試験は、平均主応力一定排水三軸せん断試験であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土質材料の評価方法。
【請求項4】
前記三軸せん断試験に先立って、三軸供試体に載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土質材料の評価方法。
【請求項5】
前記繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、及び正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求めることを特徴とする請求項4に記載の土質材料の評価方法。
【請求項6】
前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面=R*0=1、U*=dR*/dεSp=0として、式(5)、(6)を用いて上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面を求める手順と、
体積ひずみ増分dεV、せん断ひずみ増分dεS、平均主応力増分dp´、軸差応力増分dq、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)、平均主応力p´、応力比η´=q/p´した弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を前記第1グループの試験結果にあてはめることにより、もしくは式(7)を用いて、Rの変化率U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5を決定する手順とを有することを特徴とする請求項5に記載の土質材料の評価方法。
【数1】
【請求項7】
前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、前記U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める手順と、
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する手順とを有することを特徴とする請求項6に記載の土質材料の評価方法。
【請求項8】
弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定することを特徴とする請求項7に記載の土質材料の評価方法。
【数2】
【請求項1】
三軸せん断試験を実施して、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときの試験結果より土質材料の弾塑性パラメータを決定することを特徴とする土質材料の評価方法。
【請求項2】
せん断開始時点の比体積v0と平均主応力p´の異なる複数の三軸せん断試験を実施する手順と、
比体積v(土粒子の体積を1としたときの土全体の体積)、三軸供試体がせん断中に圧縮から膨張に転ずるときまでに発生した体積ひずみ量εVmaxとし、試験結果B、Cにおいて(εVmax)B=(εVmax)Cならば(v)B+λ(lnp´)B=(v)C+λ(lnp´)Cが成り立つとして、圧縮指数λを下式
λ=((v)B−(v)C)/((lnp´)C−(lnp´)B)
により求める手順とを有することを特徴とする土質材料の評価方法。
【請求項3】
前記三軸せん断試験は、平均主応力一定排水三軸せん断試験であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土質材料の評価方法。
【請求項4】
前記三軸せん断試験に先立って、三軸供試体に載荷と除荷を繰り返す静的載荷による攪乱を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土質材料の評価方法。
【請求項5】
前記繰り返し載荷を被った三軸供試体から得られた一連の試験結果(第1グループの試験結果)より、土質材料の弾塑性パラメータとして、限界状態パラメータM及びΓ、ポアソン比ν´、圧縮指数λ、膨潤指数κ、及び正規圧密線の位置を決めるパラメータNを求めることを特徴とする請求項4に記載の土質材料の評価方法。
【請求項6】
前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータを用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*=py´正規降伏面/py´上負荷面=R*0=1、U*=dR*/dεSp=0として、式(5)、(6)を用いて上負荷面と下負荷面の大きさの比R=py´下負荷面/py´上負荷面を求める手順と、
体積ひずみ増分dεV、せん断ひずみ増分dεS、平均主応力増分dp´、軸差応力増分dq、D=(λ−κ)/(Mv0)、Λ=1−κ/λ、N´=3(1−2ν´)/(1+ν´)、ψ=dεVp/dεSp=(M2−η´2)/(2η´)、平均主応力p´、応力比η´=q/p´した弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を前記第1グループの試験結果にあてはめることにより、もしくは式(7)を用いて、Rの変化率U=dR/||dεp||=dR/((dεVp)2+(dεSp)2)0.5を決定する手順とを有することを特徴とする請求項5に記載の土質材料の評価方法。
【数1】
【請求項7】
前記第1グループの試験結果より求められた弾塑性パラメータ、前記U〜R関係及び繰り返し載荷を伴わない三軸供試体から得られた第2グループの試験結果を用いて、式(3)の降伏関数F=0より、上負荷面と正規降伏面の大きさの比R*を求める手順と、
弾塑性構成式(1)、(2)、(4)を第2グループの試験結果にあてはめることにより、R*の変化率U*を決定する手順とを有することを特徴とする請求項6に記載の土質材料の評価方法。
【請求項8】
弾塑性構成式(1)、(2)に一次元圧縮条件を導入して得られた式(8)とψ=(M2−η´2)/2η´を同時に満たすη´=η´K0より、地盤の初期状態を表わす静止土圧係数K0=(3−η´K0)/(2η´K0+3)を決定することを特徴とする請求項7に記載の土質材料の評価方法。
【数2】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−333707(P2007−333707A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169367(P2006−169367)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年2月21日 社団法人 土木学会西部支部発行の「平成17年度 土木学会西部支部研究発表会 講演概要集」に発表
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年2月21日 社団法人 土木学会西部支部発行の「平成17年度 土木学会西部支部研究発表会 講演概要集」に発表
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]