説明

圧力センサ装置

【課題】センサが高温となるように構成される圧力センサ装置において、センサと回路部とを接続する構造体の耐熱性、機械的強度、電磁シールド性を高める。
【解決手段】外部から導入されるガスの圧力を検出するセンサ30と、センサ30を加熱するヒータと、センサ30及びヒータを収容するパッケージ10と、センサ30で検出した検出出力に基づいてガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部70と、回路部70を収容する回路収容部71と、を備える圧力センサ装置1である。パッケージ10と回路収容部71とを別々の筐体で構成するとともに接続構造体90を介して離隔配置する。接続構造体90は、パッケージ10内のセンサ30と回路収容部71内の回路部70とを接続する電極リードピン41と、電極リードピン41の外周を覆う絶縁パイプ81と、絶縁パイプ81の外周を覆うコイルばね82と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサ装置に関し、特に、真空に近い圧力を測定するのに適したダイアフラム構造を有するとともにセンサが高温となるように構成される圧力センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体を製造するプラズマエッチング装置やスパッタ装置等の製造装置において、真空チャンバの真空度を測定するために静電容量式の圧力センサ装置が用いられている。このような圧力センサ装置は、ガスの種類によっては、ダイアフラム面への凝着によってその撓み量が変化しセンサ部分が誤動作する場合がある。このため、このような誤動作を防止すべく、センサ部分が高温となるように構成したものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載されている従来の圧力センサ装置は、外部のチャンバのガスの圧力を感知する静電容量式のセンサと、このセンサを所定の動作温度の加熱するヒータと、センサで感知したキャパシタンスの値から外部のチャンバのガスの圧力を表す出力信号を発生させる回路部と、センサ及びヒータ並びに回路部を収容するケースと、を備えている。そして、このような従来の圧力センサ装置のケースは、センサ及びヒータを収容するセンサ収容部と、回路部を収容する回路収容部と、これら各収容部を間仕切りかつヒータで発生した熱が回路収容部に伝熱することを防止する伝熱防止部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−155500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記した特許文献1に記載された従来の圧力センサ装置は、センサ収容部と回路収容部とを同一ケース内に設けているため、ケース内で複雑な断熱構造及び放熱構造を必要とし、コストアップとなる。また、400℃以上の高温用のヒータを採用するためには、ケース内のセンサ収容部と回路収容部との間の距離を十分に確保する必要があり、これに伴ってケースが大型化してしまう。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、センサと回路部とを別個のケースに収納して離隔させ、これらをケーブル等で接続するという手段が考えられる。
【0007】
ところが、センサと回路部とを単純にケーブルで接続した場合、特にセンサに接続される端部では、接続作業時に引っ張られたり、400℃以上の高熱に耐えられない虞があったり、電磁シールドが十分に補償されなかったりする可能性がある。このため、センサと回路部とを別個のケースに収納して離隔させる場合には、耐熱性、機械的強度、電磁シールド性等に優れた接続手段を新たに提案する必要があった。
【0008】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、センサが(例えば300〜450℃程度の)高温となるように構成される圧力センサ装置において、センサと回路部とを接続する構造体の耐熱性、機械的強度、電磁シールド性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧力センサ装置は、外部から導入されるガスの圧力を検出するセンサと、センサを所定の動作温度に加熱するヒータと、センサ及びヒータを収容するパッケージと、センサで検出した検出出力に基づいてガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部と、回路部を収容する回路収容部と、を備える圧力センサ装置であって、パッケージと回路収容部とは別々の筐体で構成されるとともに接続構造体を介して離隔配置され、接続構造体は、パッケージ内のセンサと回路収容部内の回路部とを接続する導線と、導線の外周を覆う絶縁部材と、絶縁部材の外周を覆う弾性部材と、を有するものである。
【0010】
かかる構成を採用すると、パッケージ(センサ収容部)と回路収容部とが別々の筐体で構成されて離隔配置されているため、従来の一体型の圧力センサ装置が必要としていた装置内の特殊な断熱・放熱構造が不要となり、パッケージと回路収容部を現場の環境に応じて、柔軟に設置することができる。また、パッケージと回路収容部とを接続する接続構造体は、パッケージ内のセンサと回路収容部内の回路部とを接続する導線と、この導線の外周を覆う絶縁部材と、この絶縁部材の外周を覆う弾性部材と、を有しているため、高い機械的強度や弾性を有するものとなる。また、このような接続構造体は、放熱部材や電磁シールド部材としても機能する。従って、簡易な構成でありながら、機械的強度、耐熱性、電磁シールド性を高めることができ、圧力センサ装置の信頼性を向上させることができる。
【0011】
前記圧力センサ装置において、絶縁材料で構成された複数個の管状部材を導線の長さ方向に積層することにより絶縁部材を構成することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、絶縁材料で構成された複数個の管状部材を導線の長さ方向に積層して絶縁部材を構成することにより、接続構造体の可撓性を一層高めることができる。また、複数個の管状部材を積層することにより、任意の長さの接続構造体を形成することができる。
【0013】
また、前記圧力センサ装置において、コイルばねで弾性部材を構成することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、弾性部材をコイルばねで構成するため、装置の製造が容易となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサが高温となるように構成される圧力センサ装置において、センサと回路部とを接続する構造体の耐熱性、機械的強度、電磁シールド性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る圧力センサ装置の断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る圧力センサ装置の断面図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係る圧力センサ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<第一実施形態>
まず、図1を用いて、本発明の第一実施形態に係る圧力センサ装置1について説明する。本実施形態に係る圧力センサ装置1は、図1に示すように、パッケージ10、パッケージ10内に収容された台座プレート20、同じくパッケージ10内に収容され台座プレート20に接合されたセンサ30、パッケージ10に直接取付けられパッケージ10内外を導通接続する複数の電極リード部40、センサ30で検出した検出出力に基づいてガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部70、等を備えている。また、台座プレート20は、パッケージ10の内壁から離隔しており、支持ダイアフラム50のみを介してパッケージ10に支持されている。
【0019】
パッケージ10は、ロアハウジング11、アッパハウジング12及びカバー13から構成されている。ロアハウジング11及びアッパハウジング12は耐食性の金属であるインコネルから構成され、カバー13はガラスに近い熱膨張率を有するコバールで構成されており、それぞれ溶接により接合されている。なお、パッケージ10内には、センサ10を所定の動作温度に加熱する(図示されていない)ヒータが配置されている。
【0020】
ロアハウジング11は、径の異なる円筒体を連結した形状を備える部材であり、その大径部11aは支持ダイアフラム50との接合部を有し、その小径部11bは被測定流体が流入する圧力導入部10Aを形成している。なお、大径部11aと小径部11bとの結合部にはバッフル11cが形成され、バッフル11cの周囲には周方向所定の間隔で圧力導入孔11dが形成されている。バッフル11cは、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体を後述するセンサ30に直接到達させずに迂回させる役目を果たすものであり、センサ30にプロセスガスの成分やプロセスガス中の不純物が堆積するのを防止するようになっている。
【0021】
アッパハウジング12は、略円筒体形状を有する部材であり、カバー13、支持ダイアフラム50、台座プレート20及びセンサ30とともに、パッケージ10内に真空の基準真空室10Bを形成している。基準真空室10Bは、センサ30によって、プロセスガスが導入される領域(圧力導入部10A)と隔てられている。基準真空室10Bには、いわゆる(図示されていない)ゲッターと呼ばれる気体吸着物質が設けられており、真空度を維持している。また、アッパハウジング12の支持ダイアフラム取付け側には、周方向適所にストッパ12aが突出形成されている。ストッパ12aは、被測定流体の急激な圧力上昇により台座プレート20が過度に変移するのを規制する役目を果たしている。
【0022】
カバー13は、所定厚さを有する上面視円形状の板状部材であり、その中央部には複数の電極リード挿通孔13aが形成されている。電極リード挿通孔13aには電極リード部40が埋め込まれており、電極リード部40と電極リード挿通孔13aとの間は、封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部60によって気密的に封止されている。
【0023】
支持ダイアフラム50は、パッケージ10の形状に合わせた外形形状を有するインコネルの薄板からなり、周囲縁部は上述したロアハウジング11とアッパハウジング12の縁部に挟まれて溶接等により接合されている。支持ダイアフラム50の厚さは、例えば本実施形態の場合数十ミクロンであって、各台座プレート21・22より充分薄い厚さとなっている。また、支持ダイアフラム50の中央部分には、センサ30に圧力を導くための圧力導入孔50aが形成されている。支持ダイアフラム50の両面には、支持ダイアフラム50とパッケージ10の接合部から周方向全体にわたってある程度隔間した位置に酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアからなる薄いリング状のロア台座プレート(第1の台座プレート)21と、アッパ台座プレート(第2の台座プレート)22と、が接合されている。
【0024】
各台座プレート21・22は、支持ダイアフラム50の厚さに対して上述の通り十分に厚くなっており、かつ支持ダイアフラム50を両台座プレート21・22でいわゆるサンドイッチ状に挟み込む構造を有している。これによって、支持ダイアフラム50と台座プレート20の熱膨張率の違いによって発生する熱応力でこの部分が反るのを防止している。また、アッパ台座プレート22には、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアでできた上面視矩形状のセンサ30が、酸化アルミニウムベースの接合材を介して接合されている。
【0025】
センサ30は、上面視で1cm角以下の大きさを有し四角角型の薄板からなるスペーサ31と、スペーサ31に接合されかつ圧力の印加に応じてひずみが生じるセンサダイアフラム32と、センサダイアフラム32に接合して真空の容量室(リファレンス室)30Aを形成するセンサ台座33と、を有している。また、真空の容量室30Aと基準真空室10Bとは、センサ台座33の適所に穿設された図示しない連通孔を介して、略同一の真空度を保っている。なお、スペーサ31、センサダイアフラム32及びセンサ台座33はいわゆる直接接合によって互いに接合され、一体化したセンサ30を構成している。
【0026】
また、センサ30の容量室30Aには、センサ台座33の凹み部33aに金又は白金等の導体でできた固定電極33b・33cが形成されているとともに、これと対向するセンサダイアフラム32の表面上に金又は白金等の導体でできた可動電極32b・32cが形成されている。また、センサ30の上面には、金又は白金からなるコンタクトパッド35・36が形成され、これらの固定電極33b・33cと可動電極32b・32cはコンタクトパッド35・36と図示しない配線によって接続されている。
【0027】
電極リード部40は、電極リードピン41と、金属製のシールド42と、を備えている。電極リードピン41は、金属製のシールド42にガラスなどの絶縁性材料からなるハーメチックシール部43によってその中央部分が埋設され、電極リードピン41の両端部間で気密状態を保っている。電極リードピン41の一端は、センサ30に電気的に接続されている。また、電極リードピン41の他端は、カバー13の挿通孔13aを介してパッケージ10の外部に露出し、回路部70に接続されている。なお、シールド42とカバー13との間にも、上述の通りハーメチックシール部60が介在している。また、電極リードピン41の一端には、導電性を有するコンタクトバネ45・46が接続されている。コンタクトバネ45・46は、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体が急に流れ込むことで発生する急激な圧力上昇により支持ダイアフラム50が若干変移しても、コンタクトバネ45・46の付勢力がセンサ30の測定精度に影響を与えない程度の十分な柔らかさを有している。
【0028】
回路部70は、1枚又は複数の基板から構成されており、回路収容部71に収容されている。本実施形態においては、図1に示すように、センサ30を収容するセンサ収容部としてのパッケージ10と、回路部70を収容する回路収容部71と、は別々の筐体で構成されている。また、これらパッケージ10及び回路収容部71は、所定長を有する接続構造体90を介して離隔配置されている。接続構造体90の長さ(パッケージ10と回路収容部71との間の距離)は、パッケージ10や回路収容部71のサイズ、センサ30の加熱温度、圧力センサ装置1の配置態様等に応じて適宜設定することができる。
【0029】
接続構造体90は、電極リード部40と、電極リード部40に接続される延長シールド部80と、から構成されている。電極リード部40は、前記したとおり電極リードピン41及び金属製のシールド42を有している。電極リードピン41は、パッケージ10内のセンサ30と回路収容部71内の回路部70とを接続する導線であり、金属製のシールド42よりも外部へと長く延在している。延長シールド部80は、電極リード部40のシールド42から露出した電極リードピン41の外周を覆う絶縁パイプ81と、絶縁パイプ81の外周を覆うコイルばね82と、から構成されている。
【0030】
電極リードピン41は、耐熱性を有する金属(例えば、インコネルX750等の耐熱性ニッケル合金、ハステロイ、SUS310S等の耐熱性ステンレス)から構成されている。絶縁パイプ81は、絶縁材料(例えば、アルミナや石英ガラス等)で構成された絶縁部材であり、電極リードピン41とコイルばね82とを絶縁する機能を果たす。本実施形態における絶縁パイプ81は、その内部に電極リードピン41を通す貫通孔81aを有する長尺円筒状に形成されている。コイルばね82は、耐熱性を有する金属(例えば、インコネルX750等の耐熱性ニッケル合金、ハステロイ、SUS310S等の耐熱性ステンレス)から構成された弾性部材であり、延長シールド部80に弾性や可撓性を付与する機能を果たす。コイルばね82は、引張コイルばねでも圧縮コイルばねでも何れでもよく、その巻き数や間隔は適宜設定することができる。
【0031】
延長シールド部80を構成する絶縁パイプ81は、電極リード部40を構成するシールド42の端部に当接されるか、又は接着剤等により接合される。また、コイルばね82は、レーザ溶接や抵抗溶接等の各種溶接方式、各種機械的結合方式、嵌め込み等により、絶縁パイプ81に固定される。
【0032】
続いて、本実施形態に係る圧力センサ装置1の作用について説明する。なお、本実施形態においては、圧力センサ装置1を例えば半導体製造装置の適当な場所に取付け、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)などの半導体製造プロセス中において、プロセスガスの真空に近い微小圧力(以下、「微圧」とする)を測定する際における圧力センサ装置1の作用について説明することとする。
【0033】
プロセスガスは、圧力センサ装置1の圧力導入部10Aから圧力導入孔11dを介してパッケージ10内に流入する。この際、プロセスガスの急激な流入が生じても、バッフル11cと圧力導入孔11dを介してプロセスガスを迂回させてパッケージ10内に流入させるので、センサダイアフラム32にプロセスガスが直接当たることがない。そのため、センサダイアフラム32にプロセスガスの成分やプロセスガスに含まれる不純物の再堆積を防止できる。
【0034】
なお、プロセスガスが微圧であっても、センサ30の容量室内は真空のため、センサダイアフラム32が撓んで、センサ30の固定電極33b・33cと可動電極32b・32cとの間隔が変化する。これによって、固定電極33b・33cと可動電極32b・32cで構成されたコンデンサの容量値が変化する。かかる容量値の変化を電極リード部40によって圧力センサ装置1の外部に取り出すことにより、プロセスガスの微圧を測定することができる。
【0035】
一方、本実施形態において、圧力センサ装置1は半導体製造プロセスに設置されており、プロセスガスは高温であるため、半導体製造装置へのプロセスガスの流入前と流入後とで圧力センサ装置1が取付けられた部分に大きな熱的変化が生じる。また、センサ30自身も、ヒータにより(例えば最大200℃程度まで)加熱して使うので熱的変化が生じる。さらに、装置製作時の受圧部製作工程(最終封止工程)においては約300℃の加熱が必要となるため、パッケージ10内に収容される部品には大きな熱的変化が生じる。この点、本実施形態における圧力センサ装置1の場合、パッケージ10と回路収容部71とが別々の筐体で構成されて離隔配置されているため、従来の一体型の圧力センサ装置が必要としていた装置内の特殊な断熱・放熱構造が不要となり、パッケージ10と回路収容部71を現場の環境に応じて、柔軟に設置することができる。
【0036】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ装置1においては、パッケージ10(センサ収容部)と回路収容部71とが別々の筐体で構成されて離隔配置されているため、パッケージ10と回路収容部71を現場の環境に応じて、柔軟に設置することができる。また、パッケージ10と回路収容部71とを接続する接続構造体90は、パッケージ10内のセンサ30と回路収容部71内の回路部70とを接続する電極リードピン41と、電極リードピン41の外周を覆う絶縁パイプ81と、絶縁パイプ81の外周を覆うコイルばね82と、を有しているため、高い機械的強度や弾性を有するものとなる。また、このような接続構造体90は、放熱部材や電磁シールド部材としても機能する。従って、簡易な構成でありながら、機械的強度、耐熱性、電磁シールド性を高めることができ、圧力センサ装置1の信頼性を向上させることができる。
【0037】
<第二実施形態>
次に、図2を用いて、本発明の第二実施形態に係る圧力センサ装置1Aについて説明する。本実施形態に係る圧力センサ装置1Aは、第一実施形態に係る圧力センサ装置1の接続構造体(延長シールド部)の構成のみを変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0038】
本実施形態に係る圧力センサ装置1Aの接続構造体90Aは、電極リード部40と、電極リード部40に接続される延長シールド部80Aと、から構成されている。延長シールド部80Aは、電極リード部40のシールド42から露出した電極リードピン41の外周を覆う管状構造体81Aと、絶縁パイプ81の外周を覆うコイルばね82と、から構成されている。
【0039】
電極リードピン41及びコイルばね82は、第一実施形態のものと実質的に同一であるので、説明を省略する。管状構造体81Aは、第一実施形態の絶縁パイプ81と同様の長尺円筒状の絶縁部材であり、絶縁材料(例えば、アルミナや石英ガラス等)で構成された複数個の短尺管状部材81Abを電極リードピン41の長さ方向に積層して構成したものである。管状構造体81Aは、このように複数個の短尺管状部材81Abから構成されているため、高い可撓性を有するものとなる。管状構造体81Aの内部には、電極リードピン41を通す貫通孔81Aaが形成される。
【0040】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ装置1Aにおいても、パッケージ10(センサ収容部)と回路収容部71とが別々の筐体で構成されて離隔配置されているため、パッケージ10と回路収容部71を現場の環境に応じて、柔軟に設置することができる。また、パッケージ10と回路収容部71とを接続する接続構造体90Aは、パッケージ10内のセンサ30と回路収容部71内の回路部70とを接続する電極リードピン41と、電極リードピン41の外周を覆う管状構造体81Aと、管状構造体81Aの外周を覆うコイルばね82と、を有しているため、高い機械的強度や弾性を有するものとなる。また、このような接続構造体90Aは、放熱部材や電磁シールド部材としても機能する。従って、簡易な構成でありながら、機械的強度、耐熱性、電磁シールド性を高めることができ、圧力センサ装置1Aの信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ装置1Aにおいては、絶縁材料で構成された複数個の短尺管状部材81Abを電極リードピン41の長さ方向に積層して管状構造体81Aを構成することにより、接続構造体90Aの可撓性を一層高めることができる。また、複数個の短尺管状部材81Abを積層することにより、任意の長さの接続構造体90Aを形成することができる。
【0042】
<第三実施形態>
次に、図3を用いて、本発明の第三実施形態に係る圧力センサ装置1Bについて説明する。本実施形態に係る圧力センサ装置1Bは、第一実施形態に係る圧力センサ装置1の接続構造体(延長シールド部)の構成のみを変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0043】
本実施形態に係る圧力センサ装置1Bの接続構造体90Bは、電極リード部40と、電極リード部40に接続される延長シールド部80Bと、から構成されている。延長シールド部80Bは、電極リード部40のシールド42から露出した電極リードピン41の外周を覆う管状構造体81Bと、絶縁パイプ81の外周を覆うコイルばね82と、から構成されている。
【0044】
電極リードピン41及びコイルばね82は、第一実施形態のものと実質的に同一であるので、説明を省略する。管状構造体81Bは、第一実施形態の絶縁パイプ81と同様の長尺円筒状の絶縁部材であり、絶縁材料(例えば、アルミナや石英ガラス等)で構成された複数個の短尺管状部材81Bbを電極リードピン41の長さ方向に積層して構成したものである。管状構造体81Bの内部には、電極リードピン41を通す貫通孔81Baが形成されることとなる。本実施形態における短尺管状部材81Bbは、図3に示すように、一方の端部が先細の凸状に形成され、他方の端部がこの凸状端部を嵌め込むことができるような凹状に形成されている。管状構造体81Bは、このような形状の短尺管状部材81Bbを複数個嵌め合わせて構成しているため、高い可撓性を有するものとなる。
【0045】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ装置1Bにおいても、パッケージ10(センサ収容部)と回路収容部71とが別々の筐体で構成されて離隔配置されているため、パッケージ10と回路収容部71を現場の環境に応じて、柔軟に設置することができる。また、パッケージ10と回路収容部71とを接続する接続構造体90Bは、パッケージ10内のセンサ30と回路収容部71内の回路部70とを接続する電極リードピン41と、電極リードピン41の外周を覆う管状構造体81Bと、管状構造体81Bの外周を覆うコイルばね82と、を有しているため、高い機械的強度や弾性を有するものとなる。また、このような接続構造体90Bは、放熱部材や電磁シールド部材としても機能する。従って、簡易な構成でありながら、機械的強度、耐熱性、電磁シールド性を高めることができ、圧力センサ装置1Bの信頼性を向上させることができる。
【0046】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ装置1Bにおいては、絶縁材料で構成された複数個の短尺管状部材81Bbを電極リードピン41の長さ方向に積層して管状構造体81Bを構成することにより、接続構造体90Bの可撓性を一層高めることができる。また、複数個の短尺管状部材81Bbを積層することにより、任意の長さの接続構造体90Bを形成することができる。
【0047】
なお、以上の各実施形態においては、支持ダイアフラム50はインコネルでできていたが、必ずしもこれに限定されず、ステンレスやコバールなどの耐食性金属でできていても良い。また、台座プレート20やセンサ30はサファイアできていたが、必ずしもこの材質に限定されず、シリコンやアルミナ、シリコンカーバイド、又は石英などでできていても良い。また、コンタクトパッド35・36と電極リード部40との接続部はいわゆるコンタクトバネ45・46の形態で構成されていたが、十分な可撓性を有すれば必ずしもこれに限定されず、板バネのような形態であっても良い。さらには、電極リード部40とコンタクトパッド35・36を十分に柔らかい導電ワイヤで繋いでいても良い。また、センサ30、台座プレート20、電極リード部40、パッケージ10の形状は上述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1・1A・1B…圧力センサ装置
10…パッケージ
30…センサ
41…電極リードピン(導線)
70…回路部
71…回路収容部
81…絶縁パイプ(絶縁部材)
81A・81B…管状構造体(絶縁部材)
81Ab・81Bb…短尺管状部材
82…コイルばね(弾性部材)
90・90A・90B…接続構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から導入されるガスの圧力を検出するセンサと、前記センサを所定の動作温度に加熱するヒータと、前記センサ及び前記ヒータを収容するパッケージと、前記センサで検出した検出出力に基づいて前記ガスの圧力を表す出力信号を発生する回路部と、前記回路部を収容する回路収容部と、を備える圧力センサ装置であって、
前記パッケージと前記回路収容部とは別々の筐体で構成されるとともに接続構造体を介して離隔配置され、
前記接続構造体は、前記パッケージ内の前記センサと前記回路収容部内の前記回路部とを接続する導線と、前記導線の外周を覆う絶縁部材と、前記絶縁部材の外周を覆う弾性部材と、を有するものである、
圧力センサ装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、絶縁材料で構成された複数個の管状部材を前記導線の長さ方向に積層して構成したものである、
請求項1に記載の圧力センサ装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、コイルばねで構成したものである、
請求項1又は2に記載の圧力センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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