説明

圧力センサ

【課題】被測定圧力の変化を静電容量の変化として検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、圧力センサのパッケージにリードピンを気密封止するハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減する。
【解決手段】筒状のハウジング12及びハウジング12の端部に接合される板状のカバー13を有するパッケージ10と、パッケージ10の内部に形成される基準真空室10Bと圧力導入部10Aとを隔絶する圧力検出用のセンサチップ30と、センサチップ30に電気的に接続されるとともにカバー13の挿通孔13aを介してパッケージ10の外部に露出するリードピン41と、挿通孔13aとリードピン41との間を気密的に封止する封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部43・60と、を備える圧力センサ10であって、カバー13の内側面に凹部13bを形成することにより応力吸収用の薄肉部13cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関し、特に、真空に近い圧力を測定するのに適した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定圧力の変化を静電容量の変化として検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサが広く知られている。例えば、現在においては、基準真空室と圧力導入部とを隔絶するセンサダイアフラムを有するセンサチップと、このセンサチップを収容するハウジング及びカバーからなるパッケージと、を備えた圧力センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような圧力センサにおいては、基準真空室内の圧力と、圧力導入部を介して印加される測定対象ガスの圧力と、の差により基準真空室側にセンサダイアフラムの中央部が撓み、センサチップの固定電極と可動電極との間隔が変化する。これにより、固定電極と可動電極との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化を電極リード部によって圧力センサのカバーを貫通して外部に取り出すことにより、測定対象ガスの圧力を測定するようになっている。
【0003】
ここで、前記した従来の圧力センサの電極リード部近傍の構成について、図3を用いて説明する。従来の圧力センサ100の電極リード部400は、リードピン410及び金属製のシールド420を備えている。リードピン410は、ガラス等の絶縁性材料からなるハーメチックシール部430によってその中央部分が金属製のシールド420に埋設され、これにより、リードピン410の両端部間で気密状態が維持される。そして、リードピン410の一端はパッケージ110を構成するカバー130の外部に露出し、配線によって圧力センサ100の出力を外部の信号処理部に伝達するようになっている。なお、シールド420とカバー130との間にもハーメチックシール部600が介在しており、カバー130はアッパハウジング120の周壁の上端面と溶接等により接合されてパッケージ110を形成している。
【0004】
ところで、前記した従来の圧力センサ100のカバー130は、ハーメチックシール部430・600への熱応力の影響が大きくならないように、ガラスに近い熱膨張率を有するコバール(Kovar)で構成されるのが一般的である。一方、このような圧力センサ100のアッパハウジング120は、耐蝕性材料であるインコネル(Inconel)で構成される。この理由は、(図示されていない)ロアハウジングは内側に測定対象ガスを導く圧力導入部を有するために測定対象ガスが腐食性のガスであっても耐えられるようにする必要があり、かつ、圧力センサ100の温度特性を考慮するとアッパハウジング120とロアハウジングとを異種材料で構成するのは避けるべきだからである。このような構造においては、カバー130を構成するコバールの耐蝕性が低く、また、コバールとインコネルとでは熱膨張率が大きく異なるので、両者間に熱応力が発生し、その熱応力によってカバー130の中央部が図3に示すように大きく内側に撓み、それによってハーメチックシール部430・600に応力が作用して破損する虞がある。
【0005】
このような問題を解決するために、ケースの外側(リードピンが露出する側)に環状の溝部を設け、熱応力をこの溝部に吸収させて、ケースにリードピンを気密封止する封着用ガラスで構成されたハーメチックシール部に与える応力を緩和させるような構造を有する圧力検出器が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006―3234号公報
【特許文献2】特開平11−30561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2に記載されたような構造(ケースの外側に溝部を形成する構造)を採用しても、ハーメチックシール部に作用する応力を十分に低減することができないことが最近の実験結果により判明した。
【0008】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、被測定圧力の変化を静電容量の変化として検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、圧力センサのパッケージにリードピンを気密封止するハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧力センサは、筒状のハウジング及びこのハウジングの端部に接合される板状のカバーを有するパッケージと、パッケージの内部に形成される基準真空室と圧力導入部とを隔絶する圧力検出用のセンサチップと、センサチップに電気的に接続されるとともにカバーの挿通孔を介してパッケージの外部に露出するリードピンと、挿通孔とリードピンとの間を気密的に封止する封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部と、を備える圧力センサであって、カバーの内側面に凹部が形成されることにより応力吸収用の薄肉部が形成されるものである。
【0010】
かかる構成を採用すると、圧力センサのパッケージを構成する板状のカバーの内側面(パッケージ内部側の面)に凹部が形成されることにより応力吸収用の薄肉部が形成されるため、この薄肉部に応力を集中させることができる。従って、カバーのハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減させることができる。
【0011】
前記圧力センサにおいて、カバーの中央にハーメチックシール部を複数形成し、これら複数のハーメチックシール部を取り囲む環状溝によって薄肉部を形成することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、カバー中央の複数のハーメチックシール部を取り囲む環状溝によって形成された薄肉部に応力を集中させることができる。従って、複数のハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減させることができる。
【0013】
また、前記圧力センサにおいて、カバーの中央にハーメチックシール部を複数形成し、これら複数のハーメチックシール部を取り囲むカバーの周縁部に薄肉部を形成することもできる。そして、この薄肉部に、波状の凹凸(コルゲーション)を形成してもよい。
【0014】
かかる構成を採用すると、複数のハーメチックシール部を取り囲むカバー周縁部に形成された薄肉部に応力を集中させることができる。従って、複数のハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被測定圧力の変化を静電容量の変化として検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、圧力センサのパッケージにリードピンを気密封止するハーメチックシール部に作用する応力を大幅に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態に係る圧力センサの断面図である。
【図2】図1に示す圧力センサに熱応力を作用させた場合の変形状態図である。
【図3】従来の圧力センサに熱応力を作用させた場合の変形状態図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る圧力センサの断面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る圧力センサの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<第一実施形態>
まず、図1及び図2等を用いて、本発明の第一実施形態に係る圧力センサ1について説明する。本実施形態に係る圧力センサ1は、図1に示すように、パッケージ10と、パッケージ10内に収容された台座プレート20と、同じくパッケージ10内に収容され台座プレート20に接合されたセンサチップ30と、パッケージ10に直接取付けられパッケージ10内外を導通接続する複数の電極リード部40と、を備えている。また、台座プレート20は、パッケージ10の内壁から離隔しており、支持ダイアフラム50のみを介してパッケージ10に支持されている。
【0019】
パッケージ10は、ロアハウジング11、アッパハウジング12及びカバー13から構成されている。ロアハウジング11及びアッパハウジング12は耐食性の金属であるインコネルから構成され、カバー13はガラスに近い熱膨張率を有するコバールで構成されており、それぞれ溶接により接合されている。
【0020】
ロアハウジング11は、径の異なる円筒体を連結した形状を備える部材であり、その大径部11aは支持ダイアフラム50との接合部を有し、その小径部11bは被測定流体が流入する圧力導入部10Aを形成している。なお、大径部11aと小径部11bとの結合部にはバッフル11cが形成され、バッフル11cの周囲には周方向所定の間隔で圧力導入孔11dが形成されている。バッフル11cは、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体を後述するセンサチップ30に直接到達させずに迂回させる役目を果たすものであり、センサチップ30にプロセスガスの成分やプロセスガス中の不純物が堆積するのを防止するようになっている。
【0021】
アッパハウジング12は、略円筒体形状を有する部材であり、カバー13、支持ダイアフラム50、台座プレート20及びセンサチップ30とともに、パッケージ10内に真空の基準真空室10Bを形成している。基準真空室10Bは、センサチップ30によって、プロセスガスが導入される領域(圧力導入部10A)と隔てられている。基準真空室10Bには、いわゆる(図示されていない)ゲッターと呼ばれる気体吸着物質が設けられており、真空度を維持している。また、アッパハウジング12の支持ダイアフラム取付け側には、周方向適所にストッパ12aが突出形成されている。ストッパ12aは、被測定流体の急激な圧力上昇により台座プレート20が過度に変移するのを規制する役目を果たしている。
【0022】
カバー13は、所定厚さを有する上面視円形状の板状部材であり、その中央部には複数の電極リード挿通孔13aが形成されている。電極リード挿通孔13aには電極リード部40が埋め込まれており、電極リード部40と電極リード挿通孔13aとの間は、封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部60によって気密的に封止されている。また、本実施形態においては、カバー13の内側面に、ハーメチックシール部60を取り囲むような平面視で円環状の溝(凹部)13bが形成されている。これにより、カバー13の周縁部には、応力吸収用の薄肉部13cが形成されることとなる。円環状の溝13bの深さや幅は、カバー13の厚さや直径のほか電極リード部40の個数や位置に応じて適宜設定することができる。また、本実施形態においてはカバー13の内側面に平面視で円環状の溝13bを形成した例を示したが、このような円環状の溝(円を描くように繋がっている溝)を形成する代わりに、平面視で円弧状の溝を複数形成してもよい。
【0023】
支持ダイアフラム50は、パッケージ10の形状に合わせた外形形状を有するインコネルの薄板からなり、周囲縁部は上述したロアハウジング11とアッパハウジング12の縁部に挟まれて溶接等により接合されている。支持ダイアフラム50の厚さは、例えば本実施形態の場合数十ミクロンであって、各台座プレート21・22より充分薄い厚さとなっている。また、支持ダイアフラム50の中央部分には、センサチップ30に圧力を導くための圧力導入孔50aが形成されている。支持ダイアフラム50の両面には、支持ダイアフラム50とパッケージ10の接合部から周方向全体にわたってある程度隔間した位置に酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアからなる薄いリング状のロア台座プレート(第1の台座プレート)21と、アッパ台座プレート(第2の台座プレート)22と、が接合されている。
【0024】
各台座プレート21・22は、支持ダイアフラム50の厚さに対して上述の通り十分に厚くなっており、かつ支持ダイアフラム50を両台座プレート21・22でいわゆるサンドイッチ状に挟み込む構造を有している。これによって、支持ダイアフラム50と台座プレート20の熱膨張率の違いによって発生する熱応力でこの部分が反るのを防止している。また、アッパ台座プレート22には、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアでできた上面視矩形状のセンサチップ30が、酸化アルミニウムベースの接合材を介して接合されている。
【0025】
センサチップ30は、上面視で1cm角以下の大きさを有し四角角型の薄板からなるスペーサ31と、スペーサ31に接合されかつ圧力の印加に応じてひずみが生じるセンサダイアフラム32と、センサダイアフラム32に接合して真空の容量室(リファレンス室)30Aを形成するセンサ台座33と、を有している。また、真空の容量室30Aと基準真空室10Bとは、センサ台座33の適所に穿設された図示しない連通孔を介して、略同一の真空度を保っている。なお、スペーサ31、センサダイアフラム32及びセンサ台座33はいわゆる直接接合によって互いに接合され、一体化したセンサチップ30を構成している。
【0026】
また、センサチップ30の容量室30Aには、センサ台座33の凹み部33aに金又は白金等の導体でできた固定電極33b・33cが形成されているとともに、これと対向するセンサダイアフラム32の表面上に金又は白金等の導体でできた可動電極32b・32cが形成されている。また、センサチップ30の上面には、金又は白金からなるコンタクトパッド35・36が形成され、これらの固定電極33b・33cと可動電極32b・32cはコンタクトパッド35・36と図示しない配線によって接続されている。
【0027】
電極リード部40は、電極リードピン41と、金属製のシールド42と、を備えている。電極リードピン41は、金属製のシールド42にガラスなどの絶縁性材料からなるハーメチックシール部43によってその中央部分が埋設され、電極リードピン41の両端部間で気密状態を保っている。そして、電極リードピン41の一端は、パッケージ10の外部に露出して、図示しない配線によって圧力センサ1の出力を外部の信号処理部に伝達するようになっている。なお、シールド42とカバー13との間にも、上述の通りハーメチックシール部60が介在している。また、電極リードピン41の他方の端部には導電性を有するコンタクトバネ45・46が接続されている。コンタクトバネ45・46は、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体が急に流れ込むことで発生する急激な圧力上昇により支持ダイアフラム50が若干変移しても、コンタクトバネ45・46の付勢力がセンサチップ30の測定精度に影響を与えない程度の十分な柔らかさを有している。
【0028】
続いて、図2及び図3を用いて、本実施形態に係る圧力センサ1の作用について説明する。なお、本実施形態においては、圧力センサ1を例えば半導体製造装置の適当な場所に取付け、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)などの半導体製造プロセス中において、プロセスガスの真空に近い微小圧力(以下、「微圧」とする)を測定する際における圧力センサ1の作用について説明することとする。
【0029】
プロセスガスは、圧力センサ1の圧力導入部10Aから圧力導入孔11dを介してパッケージ内に流入する。この際、プロセスガスの急激な流入が生じても、バッフル11cと圧力導入孔11dを介してプロセスガスを迂回させてパッケージ10内に流入させるので、センサダイアフラム32にプロセスガスが直接当たることがない。そのため、センサダイアフラム32にプロセスガスの成分やプロセスガスに含まれる不純物の再堆積を防止できる。
【0030】
なお、プロセスガスが微圧であっても、センサチップ30の容量室内は真空のため、センサダイアフラム32が撓んで、センサチップ30の固定電極33b・33cと可動電極32b・32cとの間隔が変化する。これによって、固定電極33b・33cと可動電極32b・32cで構成されたコンデンサの容量値が変化する。かかる容量値の変化を電極リード部40によって圧力センサ1の外部に取り出すことにより、プロセスガスの微圧を測定することができる。
【0031】
一方、本実施形態においては、圧力センサ1は半導体製造プロセスに設置されており、プロセスガスは高温であるため、半導体製造装置へのプロセスガスの流入前と流入後とで圧力センサ1が取付けられた部分に大きな熱的変化が生じる。また、センサ自身も(例えば最大200℃程度まで)加熱して使うので熱的変化が生じる。さらに、圧力センサ1製作時の受圧部製作工程(最終封止工程)においては約300℃の加熱が必要となるため、圧力センサ1を構成する部品には大きな熱的変化が生じる。
【0032】
ここで、パッケージ10を構成するロアプレート11及びアッパプレート12はインコネルで構成されるのに対し、カバー13はコバールから構成されており、これら部材間の熱膨張率が異なる。このため、図3に示すような従来のパッケージ110を採用すると、熱膨張率差による熱応力が発生し、この熱応力によってカバー130の中央部が大きく内側に撓み、それによってハーメチックシール部430・600に大きな応力が作用する。
【0033】
これに対し、本実施形態における圧力センサ1の場合、図1及び図2に示すように、カバー13の内側面に、ハーメチックシール部60を取り囲む環状溝(凹部)13bが形成され、これにより、カバー13の周縁部に応力吸収用の薄肉部13cが形成される。このため、図2に示すように、カバー13の薄肉部13cに応力を集中させることができるので、複数のハーメチックシール部43・60に作用する応力を大幅に低減させることができる。
【0034】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、パッケージ10を構成する板状のカバー13の内側面(パッケージ内部側の面)に、カバー13中央の複数のハーメチックシール部43・60を取り囲む環状溝(凹部)13bが形成され、これにより応力吸収用の薄肉部13cが形成されるため、薄肉部13cに応力を集中させることができる。従って、複数のハーメチックシール部43・60に作用する応力を大幅に低減させることができる。特に、本実施形態に係る圧力センサ1においては、300〜450℃程度の高温で加熱した場合にハーメチックシール部43・60に作用する応力を大幅に低減させることができるので、製造工程でのリークの発生を低減させることができる。
【0035】
<第二実施形態>
次に、図4及び図5を用いて、本発明の第二実施形態に係る圧力センサ1Aについて説明する。本実施形態に係る圧力センサ1Aは、第一実施形態に係る圧力センサ1のカバー13の構成のみを変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第一実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0036】
圧力センサ1Aのパッケージを構成するカバー13Aの中央部には、複数の電極リード挿通孔13aが形成されている。電極リード挿通孔13aには電極リード部40が埋め込まれており、電極リード部40と電極リード挿通孔13aとの間は、封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部60によって気密的に封止されている。電極リード部40の電極リードピン41は、金属製のシールド42にガラスなどの絶縁性材料からなるハーメチックシール部43によってその中央部分が埋設され、電極リードピン41の両端部間で気密状態を保っている。
【0037】
本実施形態においては、図4に示すように、複数のハーメチックシール部43・60を取り囲むカバー13Aの周縁部の内側面(パッケージ内側の面)に凹部13dを形成するとともに、カバー13Aの周縁部の外側面(パッケージ外側の面)にも凹部13eを形成し、これにより、カバー13の周縁部に応力吸収用の平坦な板状の薄肉部13cAを形成している。
【0038】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ1Aにおいても、複数のハーメチックシール部43・60を取り囲むカバー周縁部に形成された薄肉部13cAに応力を集中させることができる。従って、複数のハーメチックシール部43・60に作用する応力を大幅に低減させることができる。また、本実施形態に係る圧力センサ1においても、300〜450℃程度の高温で加熱した場合にハーメチックシール部43・60に作用する応力を大幅に低減させることができるので、製造工程でのリークの発生を低減させることができる。
【0039】
なお、本実施形態におけるカバー周縁部の薄肉部13cAの形状は、図4に示すような平坦な板状に限られるものではなく、図5に示すように波状の凹凸(コルゲーション)を形成したものであってもよい。
【0040】
また、以上の各実施形態においては、支持ダイアフラム50はインコネルでできていたが、必ずしもこれに限定されず、ステンレスやコバールなどの耐食性金属でできていても良い。また、台座プレート20やセンサチップ30はサファイアできていたが、必ずしもこの材質に限定されず、シリコンやアルミナ、シリコンカーバイド、又は石英などでできていても良い。また、コンタクトパッド35・36と電極リード部40との接続部はいわゆるコンタクトバネ45・46の形態で構成されていたが、十分な可撓性を有すれば必ずしもこれに限定されず、板バネのような形態であっても良い。さらには、電極リード部40とコンタクトパッド35・36を十分に柔らかい導電ワイヤで繋いでいても良い。また、センサチップ30、台座プレート20、電極リード部40、パッケージ10の形状は上述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0041】
また、以上の各実施形態は、静電容量式のセンサチップを用いた場合について説明したが、このセンサチップの代わりに例えばシリコンでできたピエゾ抵抗式センサチップを備えた圧力センサであっても、上述した構成を有することによって、発生した熱応力をハーメチックシール部に伝わるのを効果的に防止できる。
【符号の説明】
【0042】
1・1A…圧力センサ
10…パッケージ
10A…圧力導入部
10B…基準真空室
11…ロアハウジング
12…アッパハウジング
13・13A…カバー
13a…挿通孔
13b…環状溝(凹部)
13c・13cA…薄肉部
13d…凹部
30…センサチップ
41…リードピン
43…ハーメチックシール部
60…ハーメチックシール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジング及びこのハウジングの端部に接合される板状のカバーを有するパッケージと、前記パッケージの内部に形成される基準真空室と圧力導入部とを隔絶する圧力検出用のセンサチップと、前記センサチップに電気的に接続されるとともに前記カバーの挿通孔を介して前記パッケージの外部に露出するリードピンと、前記挿通孔と前記リードピンとの間を気密的に封止する封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部と、を備える圧力センサであって、
前記カバーの内側面に凹部が形成されることにより応力吸収用の薄肉部が形成される、
圧力センサ。
【請求項2】
前記ハーメチックシール部は、前記カバーの中央に複数形成されており、
前記薄肉部は、前記複数のハーメチックシール部を取り囲む環状溝によって形成されるものである、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記ハーメチックシール部は、前記カバーの中央に複数形成されており、
前記薄肉部は、前記複数のハーメチックシール部を取り囲む前記カバーの周縁部に形成されるものである、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記薄肉部に、波状の凹凸が形成される、
請求項3に記載の圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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