説明

圧力センサ

【課題】被測定圧力の変化を検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、電磁シールド構造の部品点数を削減して生産性を向上させる。
【解決手段】パッケージ10内部の基準真空室10Bと圧力導入部10Aとを隔絶するセンサチップ10と、一端がセンサチップ10に接続され他端が挿通孔13aを介してパッケージ10外部に露出しケーブル90の芯線91に接続される複数のリードピン41と、各リードピン41とケーブル90との接続部を電磁シールドする電磁シールド部70と、を備える圧力センサ1である。電磁シールド部70は、複数のリードピン41を導入する複数の導入孔71bが設けられた板状部71aと、板状部71aと結合して各リードピン41とケーブル90との接続部を取り囲むハウジング部72と、を有する単一の筐体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関し、特に、真空に近い圧力を測定するのに適した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定圧力の変化を静電容量の変化として検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサが広く知られている。例えば、現在においては、基準真空室と圧力導入部とを隔絶するセンサダイアフラムを有するセンサチップと、このセンサチップを収容するハウジング及びカバーからなるパッケージと、を備えた圧力センサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような圧力センサにおいては、基準真空室内の圧力と、圧力導入部を介して印加される測定対象ガスの圧力と、の差により基準真空室側にセンサダイアフラムの中央部が撓み、センサチップの固定電極と可動電極との間隔が変化する。これにより、固定電極と可動電極との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化を電極リード部によって圧力センサのカバーを貫通して外部に取り出すことにより、測定対象ガスの圧力を測定するようになっている。
【0003】
ここで、前記した従来の圧力センサの電極リード部近傍の構成について、図6を用いて説明する。従来の圧力センサ100の複数の電極リード部200の各リードピン210は、パッケージ110を構成するカバー120を貫通してパッケージ110の外部に突出し、外部から導入されるシールドケーブル300の芯線310に接続される。この際、ノイズが外部から混入しないように、各リードピン210とシールドケーブル300の芯線310との接続部を電磁シールド構造400で覆うこととしている。
【0004】
従来は、図6に示すように、1個の電極リード部200に対して1個の電磁シールド構造400でシールドする方式を採用している。この方式で採用される各電磁シールド構造400は、カバー120から突出した電極リード部200の外周面を被覆する絶縁ブッシュ410、絶縁ブッシュ410の上面に載置される導電ブッシュ420、導電ブッシュ420上に配置され電極リード部200の端部に接続されるロアシールドケース430、ロアシールドケース430と結合してシールドハウジングを構成するアッパシールドケース440等の部材で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―3234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記したような従来の電磁シールド構造400を採用すると、電極リード部200がn個あれば各構成部材はn個ずつ必要となり、電極リード部200の個数に比例して必要な構成部材の点数も増加することとなる。このため、センサの製造費用が嵩むことに加え、生産性が低下してしまうという問題があった。また、1個の電磁シールド構造400で1本のシールドケーブル300と1本のリードピン210との接続部をシールドしているため、電磁シールド構造400が複数存在することとなる。このため、何れか一つの電磁シールド構造400の組付作業に失敗すると、外部から接続部へとノイズが侵入することとなり、組付作業に時間と労力を要するにもかかわらずノイズが侵入し易い構造となっていた。
【0007】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、被測定圧力の変化を検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、電磁シールド構造の部品点数を削減して生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る圧力センサは、筒状のハウジング及びこのハウジングの端部に接合される板状のカバーを有する導電性のパッケージと、パッケージの内部に形成される基準真空室と圧力導入部とを隔絶する圧力検出用のセンサチップと、一端がセンサチップに電気的に接続されるとともに他端がカバーの挿通孔を介してパッケージの外部に露出してシールドケーブルの芯線に接続される複数のリードピンと、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部を電磁シールドする電磁シールド部と、を備える圧力センサであって、電磁シールド部は、複数のリードピンを導入する複数の導入孔が設けられた導電性の板状部と、板状部と結合して各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部を取り囲む導電性のハウジング部と、を有する単一の筐体として構成されるものである。
【0009】
かかる構成を採用すると、複数の各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部を、単一の筐体として構成された電磁シールド部で一括して電磁シールドすることができる。従って、リードピンの本数に関わらず、電磁シールド部の構成部材を1個ずつ準備すればよいため、部品点数を削減することができ、生産性を向上させることができる。
【0010】
前記圧力センサにおいて、各リードピンの外周を覆う導電性の筒状シールド部材と、挿通孔と各筒状シールド部材との間を気密的に封止する封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部と、電磁シールド部の板状部の外底面とカバーの表面との間で露出した筒状シールド部材の外周面を被覆する導電性ブッシュと、を備えることができる。
【0011】
かかる構成を採用すると、電磁シールド部の板状部の外底面とカバーの表面との間(電磁シールド部のリードピン導入用の複数の導入孔と、カバーのハーメチックシール部と、の間)で露出した筒状シールド部材の外周面を、導電性ブッシュで被覆することができる。従って、この露出した部分から電磁ノイズが侵入するのを防止することができる。
【0012】
また、前記圧力センサにおいて、導電性ブッシュの下面とカバーの表面との間に絶縁性ブッシュを介挿することができる。
【0013】
導電性ブッシュが、導電性のカバー及び筒状シールド部材に接触していると、外部からのノイズが、カバー、導電性ブッシュ、筒状シールド部材を順次経由して、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部に混入する虞があるが、導電性ブッシュの下面とカバーの表面との間に絶縁性ブッシュを介挿することにより、電磁ノイズが侵入する経路を遮断することができる。
【0014】
また、前記圧力センサにおいて、電磁シールド部の板状部の内底面と、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部と、の間に絶縁板を配置することができる。
【0015】
かかる構成を採用すると、電磁シールド部の板状部の内底面と、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部と、の間に絶縁板が配置されるので、圧力センサが振動して各リードピンとシールドケーブルとの接続部が動いたとしても、この接続部が電磁シールド部の導電性の板状部に接触するのを防止することができる。
【0016】
また、前記圧力センサにおいて、電磁シールド部のハウジング部の天井面と、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部と、の間に絶縁板を配置することもできる。
【0017】
かかる構成を採用すると、電磁シールド部のハウジング部の天井面と、各リードピンの他端とシールドケーブルの芯線との接続部と、の間に絶縁板が配置されるので、圧力センサが振動して各リードピンとシールドケーブルとの接続部が動いたとしても、この接続部が電磁シールド部の導電性のハウジング部に接触するのを防止することができる。
【0018】
また、前記圧力センサにおいて、電磁シールド部の板状部及びハウジング部を同一の導電性材料で一体成形することもできる。
【0019】
かかる構成を採用すると、電磁シールド部の板状部とハウジング部とを別々に準備する必要がなくなるため、部品点数を最大限削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被測定圧力の変化を検出するダイアフラム構造を備えた圧力センサにおいて、電磁シールド構造の部品点数を削減して生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧力センサの断面図である。
【図2】図1に示す圧力センサの電磁シールド部の分解斜視図である。
【図3】図1に示す圧力センサの電磁シールド部の組立工程を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る圧力センサの断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る圧力センサの断面図である。
【図6】従来の圧力センサの電磁シールド部の構成を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
まず、図1〜図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る圧力センサ1について説明する。本実施形態に係る圧力センサ1は、図1に示すように、パッケージ10と、パッケージ10内に収容された台座プレート20と、同じくパッケージ10内に収容され台座プレート20に接合されたセンサチップ30と、パッケージ10に直接取付けられパッケージ10内外を導通接続する複数の電極リード部40と、を備えている。また、台座プレート20は、パッケージ10の内壁から離隔しており、支持ダイアフラム50のみを介してパッケージ10に支持されている。
【0024】
パッケージ10は、ロアハウジング11、アッパハウジング12及びカバー13から構成されている。ロアハウジング11及びアッパハウジング12は耐食性の金属であるインコネルから構成され、カバー13はガラスに近い熱膨張率を有するコバールで構成されており、それぞれ溶接により接合されている。
【0025】
ロアハウジング11は、径の異なる円筒体を連結した形状を備える部材であり、その大径部11aは支持ダイアフラム50との接合部を有し、その小径部11bは被測定流体が流入する圧力導入部10Aを形成している。なお、大径部11aと小径部11bとの結合部にはバッフル11cが形成され、バッフル11cの周囲には周方向所定の間隔で圧力導入孔11dが形成されている。バッフル11cは、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体を後述するセンサチップ30に直接到達させずに迂回させる役目を果たすものであり、センサチップ30にプロセスガスの成分やプロセスガス中の不純物が堆積するのを防止するようになっている。
【0026】
アッパハウジング12は、略円筒体形状を有する部材であり、カバー13、支持ダイアフラム50、台座プレート20及びセンサチップ30とともに、パッケージ10内に真空の基準真空室10Bを形成している。基準真空室10Bは、センサチップ30によって、プロセスガスが導入される領域(圧力導入部10A)と隔てられている。基準真空室10Bには、いわゆる(図示されていない)ゲッターと呼ばれる気体吸着物質が設けられており、真空度を維持している。また、アッパハウジング12の支持ダイアフラム取付け側には、周方向適所にストッパ12aが突出形成されている。ストッパ12aは、被測定流体の急激な圧力上昇により台座プレート20が過度に変移するのを規制する役目を果たしている。
【0027】
カバー13は、所定厚さを有する上面視円形状の板状部材であり、その中央部には複数の電極リード挿通孔13aが形成されている。電極リード挿通孔13aには電極リード部40が埋め込まれており、電極リード部40と電極リード挿通孔13aとの間は、封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部60によって気密的に封止されている。
【0028】
支持ダイアフラム50は、パッケージ10の形状に合わせた外形形状を有するインコネルの薄板からなり、周囲縁部は上述したロアハウジング11とアッパハウジング12の縁部に挟まれて溶接等により接合されている。支持ダイアフラム50の厚さは、例えば本実施形態の場合数十ミクロンであって、各台座プレート21・22より充分薄い厚さとなっている。また、支持ダイアフラム50の中央部分には、センサチップ30に圧力を導くための圧力導入孔50aが形成されている。支持ダイアフラム50の両面には、支持ダイアフラム50とパッケージ10の接合部から周方向全体にわたってある程度隔間した位置に酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアからなる薄いリング状のロア台座プレート(第1の台座プレート)21と、アッパ台座プレート(第2の台座プレート)22と、が接合されている。
【0029】
各台座プレート21・22は、支持ダイアフラム50の厚さに対して上述の通り十分に厚くなっており、かつ支持ダイアフラム50を両台座プレート21・22でいわゆるサンドイッチ状に挟み込む構造を有している。これによって、支持ダイアフラム50と台座プレート20の熱膨張率の違いによって発生する熱応力でこの部分が反るのを防止している。また、アッパ台座プレート22には、酸化アルミニウムの単結晶体であるサファイアでできた上面視矩形状のセンサチップ30が、酸化アルミニウムベースの接合材を介して接合されている。
【0030】
センサチップ30は、上面視で1cm角以下の大きさを有し四角角型の薄板からなるスペーサ31と、スペーサ31に接合されかつ圧力の印加に応じてひずみが生じるセンサダイアフラム32と、センサダイアフラム32に接合して真空の容量室(リファレンス室)30Aを形成するセンサ台座33と、を有している。また、真空の容量室30Aと基準真空室10Bとは、センサ台座33の適所に穿設された図示しない連通孔を介して、略同一の真空度を保っている。なお、スペーサ31、センサダイアフラム32及びセンサ台座33はいわゆる直接接合によって互いに接合され、一体化したセンサチップ30を構成している。
【0031】
また、センサチップ30の容量室30Aには、センサ台座33の凹み部33aに金又は白金等の導体でできた固定電極33b・33cが形成されているとともに、これと対向するセンサダイアフラム32の表面上に金又は白金等の導体でできた可動電極32b・32cが形成されている。また、センサチップ30の上面には、金又は白金からなるコンタクトパッド35・36が形成され、これらの固定電極33b・33cと可動電極32b・32cはコンタクトパッド35・36と図示しない配線によって接続されている。
【0032】
電極リード部40は、電極リードピン41と、金属製の筒状シールド部材42と、を備えている。電極リードピン41は、金属製のシールド42にガラスなどの絶縁性材料からなるハーメチックシール部43によってその中央部分が埋設され、電極リードピン41の両端部間で気密状態を保っている。電極リードピン41の一端は、センサチップ30に電気的に接続されている。また、電極リードピン41の他端は、カバー13の挿通孔13aを介してパッケージ10の外部に露出し、シールドケーブル90の芯線91に接続されて圧力センサ1の出力を外部の信号処理部に伝達するようになっている。なお、筒状シールド部材42とカバー13との間にもハーメチックシール部60が介在している。また、電極リードピン41の一端には、導電性を有するコンタクトバネ45・46が接続されている。コンタクトバネ45・46は、圧力導入部10Aからプロセスガスなどの被測定流体が急に流れ込むことで発生する急激な圧力上昇により支持ダイアフラム50が若干変移しても、コンタクトバネ45・46の付勢力がセンサチップ30の測定精度に影響を与えない程度の十分な柔らかさを有している。
【0033】
電極リードピン41の他端とシールドケーブル90との接続部は、電磁シールド部70によって電磁シールドされる。電磁シールド部70は、図1および図2に示すように、板状部71aを有する第一のシールド部材71と、シールドケーブル90の芯線91を導入するとともに第一のシールド部材71と結合して電極リードピン41の他端とシールドケーブル90の芯線91との接続部を取り囲むハウジング部となる第二のシールド部材72と、を有する単一の筐体として構成されている。本実施形態における第一及び第二のシールド部材71・72は、導電性を有するSUSやコバール等の金属材料で構成されている。
【0034】
第一のシールド部材71の板状部71aには、複数(本実施形態においては4本)の電極リード部40を導入する複数(4個)の導入孔71bが設けられている。また、図1及び図2に示すように、第一のシールド部材71の板状部71aの内底面(電磁シールド部70の内側の面)と、各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部と、の間には、平面視矩形状のインシュレータ(絶縁板)73が配置されている。また、ハウジング部となる第二のシールド部材72の天井面72aと、各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部と、の間にも、平面視矩形状のインシュレータ(絶縁板)74が配置されている。
【0035】
また、電磁シールド部70を構成する第一のシールド部材71の板状部71aの外底面(電磁シールド部70の外側の面)とカバー13の表面との間には間隙が形成されており、この間隙において筒状シールド部材42がパッケージ10外部に露出している。この露出した筒状シールド部材42の外周面は、図1及び図2に示すように、絶縁用の円環型部材であるテフロン(登録商標)ブッシュ81と、導電性を有する円環型部材であるSUSブッシュ82と、で被覆されている。テフロン(登録商標)ブッシュ81は、SUSブッシュ82の下面とカバー13の表面との間に介挿されている。
【0036】
次に、図3を用いて、本実施形態に係る圧力センサ1の電磁シールド部70の組立工程について説明する。
【0037】
まず、図3(A)に示すように、各電極リード部40をカバー13の挿通孔13aに挿通させてパッケージ10の外部に露出させた状態で圧力センサ1を予め作製しておく。次いで、図3(B)に示すように、パッケージ10の外部に露出した各電極リード部40の筒状シールド部材42に円環型部材であるテフロン(登録商標)ブッシュ81を取り付けて、筒状シールド部材42の外周面を被覆する。この際、カバー13の表面にテフロン(登録商標)ブッシュ81を載置し、カバー13の表面にテフロン(登録商標)ブッシュ81の下面を接触させるようにする。続いて、図3(C)に示すように、テフロン(登録商標)ブッシュ81の上面にSUSブッシュ82を載置して、露出した各電極リード部40の筒状シールド部材42の外周面をSUSブッシュ82で被覆する。この際、テフロン(登録商標)ブッシュ81の上面にSUSブッシュ82の下面を接触させるようにする。
【0038】
次いで、図3(D)に示すように、電磁シールド部70を構成する第一のシールド部材71の板状部71aに設けられた各導入孔71bに、露出した各電極リード部40を導入して、第一のシールド部材71に各電極リード部40の端部を取り付ける。続いて、図3(E)に示すように、第一のシールド部材71の板状部71aの上にインシュレータ73を載置する。なお、インシュレータ73には、複数の電極リード部40の電極リードピン41を導入する複数の導入孔73aが設けられており、この導入孔73aに各電極リードピン41を挿通させる。そして、図3(E)に示すように、インシュレータ73から露出した各電極リードピン41の端部(他端)と各シールドケーブル90の芯線91とを接続する。
【0039】
次いで、図3(F)に示すように、各電極リードピン41と各シールドケーブル90との接続部の上にインシュレータ74を載置する。続いて、図3(G)に示すように、ハウジング部となる第二のシールド部材72をインシュレータ74の上に被せて、各電極リードピン41と各シールドケーブル90との接続部を第二のシールド部材72で取り囲み、第一のシールド部材71と第二のシールド部材72とを結合することにより、単一の筐体となる電磁シールド部70を構成する。
【0040】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、複数の各電極リードピン41の他端とシールドケーブル90の芯線91との接続部を、単一の筐体として構成された電磁シールド部70で一括して電磁シールドすることができる。従って、電極リードピン41の本数に関わらず、電磁シールド部70の構成部材(第一のシールド部材71及び第二のシールド部材72)を1個ずつ準備すればよいため、部品点数を削減することができ、生産性を向上させることができる。
【0041】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、電磁シールド部70の板状部71aの外底面とカバー13の表面との間(電磁シールド部70のリードピン導入用の複数の導入孔71bと、カバー13のハーメチックシール部60と、の間)で露出した電極リード部40の筒状シールド部材42の外周面を、導電性のSUSブッシュ82で被覆することができる。従って、この露出した部分から電磁ノイズが侵入するのを防止することができる。
【0042】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、SUSブッシュ82の下面とカバー13の表面との間に絶縁性のテフロン(登録商標)ブッシュ81を介挿している。このため、外部から、カバー13、SUSブッシュ82、筒状シールド部材42を順次経由して各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部に電磁ノイズが混入するのを防止することができる。
【0043】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、電磁シールド部70の板状部71aの内底面と、各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部と、の間にインシュレータ73を配置している。このため、圧力センサ1が振動して各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部が動いたとしても、この接続部が電磁シールド部70の導電性の板状部71aに接触するのを防止することができる。
【0044】
また、以上説明した実施形態に係る圧力センサ1においては、電磁シールド部70のハウジング部となる第二のシールド部材72の天井面72aと、各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部と、の間にインシュレータ74を配置している。このため、圧力センサ1が振動して各電極リードピン41とシールドケーブル90との接続部が動いたとしても、この接続部が電磁シールド部70の導電性の第二のシールド部材72に接触するのを防止することができる。
【0045】
<第2実施形態>
続いて、図4を用いて、本発明の第2実施形態に係る圧力センサ1Aについて説明する。本実施形態に係る圧力センサ1Aは、第1実施形態に係る圧力センサ1のカバー13に形成される挿通孔13aの大きさ(開口面積)を広げてハーメチックシール部60の領域を拡大するとともに、テフロン(登録商標)ブッシュ81を省いたものであり、その他の構成については実質的に第1実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第1実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0046】
本実施形態に係る圧力センサ1Aのカバー13に形成される挿通孔13Aaの直径は、図4に示すように、SUSブッシュ82の下面の直径よりも若干大きくなるように形成されている。この結果、カバー13の挿通孔13Aaに挿通された電極リード部40の筒状シールド部材42と、挿通孔13Aaの内壁と、の間に形成されるハーメチックシール部60Aの断面の面積は、SUSブッシュ82の下面の面積よりも若干大きくなっている。このようにハーメチックシール部60Aの領域が拡大しているため、仮にSUSブッシュ82がカバー13に近接した状態で配置された場合においても、SUSブッシュ82は、カバー13に直接的に接触せずに絶縁性材料からなるハーメチックシール部60Aに接触することとなる。従って、テフロン(登録商標)ブッシュを設けることなく、カバー13とSUSブッシュ82との間を絶縁することが可能となる。
【0047】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ1Aにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、テフロン(登録商標)ブッシュを準備する必要がない分、部品点数や組立工程数をさらに削減することができる。
【0048】
<第3実施形態>
続いて、図5を用いて、本発明の第3実施形態に係る圧力センサ1Bについて説明する。本実施形態に係る圧力センサ1Bは、第1実施形態に係る圧力センサ1のSUSブッシュ82を小型化するとともにテフロン(登録商標)ブッシュ81を省いたものであり、その他の構成については実質的に第1実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については第1実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0049】
本実施形態に係る圧力センサ1BのSUSブッシュ82Bの下面の直径は、図4に示すように、電極リード部40の筒状シールド部材42とカバー13の挿通孔13aの内壁との間に形成されるハーメチックシール部60の断面の面積よりも若干小さくなっている。このようにSUSブッシュ82Bを小型化しているため、仮にSUSブッシュ82Bがカバー13に近接した状態で配置された場合においても、SUSブッシュ82Bは、カバー13に直接的に接触せずに絶縁性材料からなるハーメチックシール部60に接触することとなる。従って、テフロン(登録商標)ブッシュを設けることなく、カバー13とSUSブッシュ82Bとの間を絶縁することが可能となる。
【0050】
以上説明した実施形態に係る圧力センサ1Bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、テフロン(登録商標)ブッシュを準備する必要がない分、部品点数や組立工程数をさらに削減することができる。
【0051】
なお、以上の各実施形態においては、電磁シールド部を二つの部材(板状部を有する第一のシールド部材及びハウジング部となる第二のシールド部材)で構成した例を示したが、電磁シールド部の板状部及びハウジング部を同一の導電性材料で一体成形することもできる。このようにすると、電磁シールド部の板状部とハウジング部とを別々に準備する必要がなくなるため、部品点数を最大限削減することができる。
【0052】
また、以上の各実施形態においては、支持ダイアフラム50はインコネルでできていたが、必ずしもこれに限定されず、ステンレスやコバールなどの耐食性金属でできていても良い。また、台座プレート20やセンサチップ30はサファイアできていたが、必ずしもこの材質に限定されず、シリコンやアルミナ、シリコンカーバイド、又は石英などでできていても良い。また、コンタクトパッド35・36と電極リード部40との接続部はいわゆるコンタクトバネ45・46の形態で構成されていたが、十分な可撓性を有すれば必ずしもこれに限定されず、板バネのような形態であっても良い。さらには、電極リード部40とコンタクトパッド35・36を十分に柔らかい導電ワイヤで繋いでいても良い。また、センサチップ30、台座プレート20、電極リード部40、パッケージ10の形状は上述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0053】
また、以上の各実施形態は、静電容量式のセンサチップを用いた場合について説明したが、このセンサチップの代わりに例えばシリコンでできたピエゾ抵抗式センサチップを備えた圧力センサであっても、上述した構成を有することによって、発生した熱応力をハーメチックシール部に伝わるのを効果的に防止できる。
【符号の説明】
【0054】
1・1A・1B…圧力センサ
10…パッケージ
10A…圧力導入部
10B…基準真空室
11…ロアハウジング
12…アッパハウジング
13…カバー
13a・13Aa…挿通孔
30…センサチップ
41…電極リードピン
42…筒状シールド部材
60・60A…ハーメチックシール部
70…電磁シールド部
71a…板状部
71b…導入孔
72…第二のシールド部材(ハウジング部)
72a…天井面
73…インシュレータ(絶縁板)
74…インシュレータ(絶縁板)
81…テフロン(登録商標)ブッシュ(絶縁性ブッシュ)
82・82B…SUSブッシュ(導電性ブッシュ)
90…シールドケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジング及びこのハウジングの端部に接合される板状のカバーを有する導電性のパッケージと、前記パッケージの内部に形成される基準真空室と圧力導入部とを隔絶する圧力検出用のセンサチップと、一端が前記センサチップに電気的に接続されるとともに他端が前記カバーの挿通孔を介して前記パッケージの外部に露出してシールドケーブルの芯線に接続される複数のリードピンと、前記各リードピンの前記他端と前記シールドケーブルの芯線との接続部を電磁シールドする電磁シールド部と、を備える圧力センサであって、
前記電磁シールド部は、前記複数のリードピンを導入する複数の導入孔が設けられた導電性の板状部と、前記板状部と結合して前記各リードピンの前記他端と前記シールドケーブルの芯線との接続部を取り囲む導電性のハウジング部と、を有する単一の筐体として構成される、
圧力センサ。
【請求項2】
前記各リードピンの外周を覆う導電性の筒状シールド部材と、
前記挿通孔と前記各筒状シールド部材との間を気密的に封止する封着用ガラスで構成されるハーメチックシール部と、
前記電磁シールド部の前記板状部の外底面と前記カバーの表面との間で露出した前記筒状シールド部材の外周面を被覆する導電性ブッシュと、
を備える、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記導電性ブッシュの下面と前記カバーの表面との間に介挿される絶縁性ブッシュをさらに備える、
請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記電磁シールド部の前記板状部の内底面と、前記各リードピンの前記他端と前記シールドケーブルの芯線との接続部と、の間に配置される絶縁板を備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記電磁シールド部の前記ハウジング部の天井面と、前記各リードピンの前記他端と前記シールドケーブルの芯線との接続部と、の間に配置される絶縁板を備える、
請求項1から4の何れか一項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記電磁シールド部の前記板状部及び前記ハウジング部は、同一の導電性材料で一体成形されてなる、
請求項1から5の何れか一項に記載の圧力センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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