説明

圧力容器の給水栓構造

【課題】給水時の安全性を高めることが可能な圧力容器の給水栓構造を実現する。
【解決手段】タンク11の上方壁部11aに貫通固設され、給水口14aと排蒸気口14bを有する円筒状の給水栓本体14と、給水栓本体14の外方端部に設けた雌ねじ部14cに螺合する雄ねじ部15cを有する封止軸体15と、給水栓本体の上端部に螺着する帽状のロック部材17と、ロック部材17の天壁17aを貫通させて封止軸体15に連結する給水栓ツマミ16とで構成する。封止軸体は、ロック部材が給水栓本体に螺着された状態で、軸線方向に所定距離だけ移動可能とし、封止軸体15を最も深く螺合させたときに、排蒸気口14bから離間した上下位置で封止弁を形成し、浅く螺着せることによって下方の封止弁を開放してタンク内の蒸気を排出させる。その後、ロック部材と給水栓本体の螺着を解除して封止軸体15を取り外し、給水可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が加熱されて生成される水蒸気を高圧状態でもって貯留するタンクなどのような圧力容器の給水栓構造に関する。
【背景技術】
【0002】
水が加熱されて生成される水蒸気を高圧状態でもって貯留するタンク、つまり本願にいう圧力容器は、例えば、理美容用蒸気供給装置や自動車の冷却装置(ラジエーター)などに用いられる。このような圧力容器の給水栓構造にあっては、給水する場合や内部の点検あるいは清掃を行う場合、圧力容器の内部を給水栓を介して外部に開放する必要がある。その場合、圧力容器内部に貯留されている高圧の水蒸気を安全に放出した後に給水栓を外部に開放するようにしないと、高圧水蒸気の不意の放出により人体が損傷を受けるという事態を招来するおそれがある。
【0003】
そこで、従来の圧力容器の給水栓構造(例えば、特許文献1)では、図5に示すように、タンク51の上方壁部51aに給水口54aと排蒸気口54bを有する大略円筒状の給水栓本体54を貫通固設し、この給水栓本体54の内方において軸線方向に移動可能な状態で、しかもそれに螺合し得るものであって軸線方向の2箇所にOリング55l、55mを取着した封止軸体55を配設し、この封止軸体55は回動させるのに適した形状の給水栓ツマミ56に連結されている。
【0004】
さらに具体的には、給水栓本体54は、タンク51の上方壁部51aに対して外方に位置する部分の軸線方向中間付近の側壁に排蒸気口54b、外方端部に給水口54aを有する。また、この排蒸気口54bを基準にして軸線方向の上方と下方の内側面は、封止軸体55の2箇所に設けたOリング55l、55mとともに2箇所の封止弁を形成し得る。そして、外方端部の給水口54aを構成する内周面に雌ねじ54cを刻設している。なお、54kは安全弁54Vを接続するための安全弁用開口である。
【0005】
また、封止軸体55は、上記した封止弁を形成し得るよう軸線方向の2箇所の所定位置にOリング55l、55mを取着するとともに、これらOリング55l、55mよりも外方位置に給水栓本体54の雌ねじ54cに螺合し得る雄ねじ55cを刻設している。Oリング55l、55mの2箇所の所定位置は、給水栓ツマミ56を回動させて封止軸体55の雄ねじ55cを給水栓本体54の雌ねじ54cに最も深く螺合させた場合、封止軸体55の2箇所のOリング55l、55mと排蒸気口54bの上方と下方の内側面とにより2箇所で封止弁が形成された状態になる。つまり、この状態では、タンク51内に高圧水蒸気が貯留されていても下方の封止弁により高圧水蒸気の外部への放出を抑制する。次に、雌ねじ54cと雄ねじ55cの螺合が浅くなる方向へ給水栓ツマミ56を回動させると、下方のOリング55lが封止機能を発揮しない位置に移動し、上方の封止弁は機能しているものの下方の封止弁は開弁状態となる。つまり、この状態では、タンク51内に貯留されている高圧水蒸気が排蒸気口54bから外部に放出される。タンク51内の高圧水蒸気が放出された後、さらに雌ねじ54cと雄ねじ55cの螺合が浅くなる方向へ給水栓ツマミ56を回動させると、やがて雌ねじ54cと雄ねじ55cの螺合が外れ、上方のOリング55mと上方の内側面による封止弁も開弁状態となり、給水栓ツマミ56と封止軸体55を引き抜く。これにより、給水栓本体54の給水口54aが開放され、給水等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−29503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の圧力容器の給水栓構造にあっては、タンク(圧力容器)51の内部を給水栓本体54を介して外部に開放する場合、給水栓本体54と封止軸体55のねじの螺合が浅くなる方向へ給水栓ツマミ56を回動させてタンク51内の高圧水蒸気を放出する。しかしながら、給水栓ツマミ56の一連の回動動作により、タンク51内の高圧水蒸気が確実に放出した状態になる前にいずれの封止弁も開弁状態になる場合があり得る。そのような状態になると、高圧水蒸気により封止軸体55と給水栓ツマミ56が飛び出し、給水栓ツマミ56を回動させていた指や手首等に高圧水蒸気が放出され、火傷等人体に損傷を与えることとなる。
【0008】
本発明は、係る事由に鑑みてなしたものであり、その目的とするところは、意図しない高圧水蒸気の放出によって人体に損傷を与えるような危険な状態が起こり難くなり、操作時の安全性を高めることが可能な圧力容器の給水栓構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の圧力容器の給水栓構造は、水が加熱されて生成される水蒸気を高圧状態でもって貯留するタンクと、大略円筒状をなして前記タンクの上方壁部に貫通固設され、給水口と排蒸気口を有し、外方端部近傍に雌ねじ部を設けた給水栓本体と、大略円柱状をなして前記給水栓本体の雌ねじ部に螺合し得る雄ねじ部を設け、該雌ねじ部と雄ねじ部を最も深く螺合させた状態において前記排蒸気口から離間した上下位置で封止弁を形成し得るようその内方に嵌挿される封止軸体と、前記封止軸体に連結される給水栓ツマミを有し、帽状であって天壁に貫通孔を穿設し、該貫通孔に前記封止軸体が挿通することにより前記封止軸体と前記給水栓ツマミの間で軸線方向に所定距離だけ移動可能とされ、内側面に前記給水栓本体と係止する係止部を有したロック部材をさらに設け、前記ロック部材が前記給水栓本体に係止されている状態において、前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が軸方向に移動したとき、前記ロック部材が前記封止軸体のそれ以上の軸方向の移動を規制することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の圧力容器の給水栓構造は、前記ロック部材の係止部は雌ねじ部であり、前記給水栓本体に該雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をさらに設け、該雌ねじ部と雄ねじ部が螺合している状態において、前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が軸方向に移動したとき、前記ロック部材が前記封止軸体のそれ以上の軸方向の移動を規制することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の圧力容器の給水栓構造は、前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が移動したとき、前記排蒸気口の上方に位置する封止弁は封止機能を奏していることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の圧力容器の給水栓構造は、前記ロック部材は、その鍔部が少なくとも前記給水栓ツマミの外径と同じ直径を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明に係る圧力容器の給水栓構造によれば、ロック部材が前記給水栓本体に係止されている状態において、タンクと排蒸気口とが連通する位置に封止軸体が移動したとき、ロック部材が封止軸体のそれ以上の軸線方向の移動を規制するようにしてあるので、意図しない高圧水蒸気の放出によって人体に損傷を与えるような危険な状態が起こり難くなり、操作時の安全性を高めることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明を実施する上において、確実に機能するロック部材を実現することができる。請求項3記載の発明によれば、意図しない高圧水蒸気の放出を確実に防止することができる。また、請求項4記載の発明によれば、給水栓ツマミを操作性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力容器の給水栓構造を用いた理美容用蒸気供給装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る圧力容器の給水栓構造を示す断面図である。
【図3】同上の排蒸気状態を示す断面図である。
【図4】同上の給水栓本体を開放した状態を示す断面図である。
【図5】従来の圧力容器の給水栓構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る圧力容器の給水栓構造を用いた理美容用蒸気供給装置Aは、図1に示すように、水が加熱されて生成される水蒸気を高圧状態でもって貯留するタンク11を収容した装置本体1と、タンク11の高圧状態の水蒸気を通過させる開放弁部2及び導管3と、通過してきた高圧状態の水蒸気を噴出させる蒸気噴出部4と、を主要部材としている。タンク11には、水を加熱するためのタンクヒータ12や水量を検出するための液面センサ部13の検知部分を内蔵している。また、タンク11の上方壁部11aには、前述した開放弁部2や液面センサ部13とともに、後に詳述する給水栓本体14が貫通固設されている。 これら開放弁部2及び給水栓本体14を操作する開放弁ツマミ2T及び給水栓本体14を操作する給水栓ツマミ16とは、装置本体1の外方に露出している。さらに、装置本体1の上方表面にはヒータスイッチなどを有する操作パネル5、装置本体1の内部には操作パネル5と電気的に接続され各部材の動作を制御する電気回路基板6や、電気回路基板6と電気的に接続されたタンク11内の水蒸気の圧力を監視する圧力センサ7を配設している。
【0016】
この理美容用蒸気供給装置Aは、操作パネル5のヒータスイッチを押すと、電気回路基板6を介してタンクヒータ12に通電され、タンク11内の水が加熱される。加熱された水は水蒸気を生成し、この水蒸気が高圧状態でもってタンク11内に貯留される。 圧力センサ7の計測値が上限設定圧力(例えば、4気圧)に達すると、電気回路基板6を介してタンクヒータ12への通電を停止し、タンク11内の水の加熱が停止される。 この間に水蒸気の噴出が行われ、時間経過とともに、圧力センサ7の計測値が低下して下限設定圧力(例えば、3.5気圧)に達すると、再びタンクヒータ12に通電され、タンク11内の水が加熱される。タンク11内の水蒸気の圧力は、このような過程を繰り返して、所定の設定圧力範囲に維持される。
【0017】
タンク11内の水蒸気は、開放弁ツマミ2Tを手動又は自動で回動して開放弁部2を開放することにより、開放弁部2、導管3、蒸気噴出部4を通過して大気中に噴出される。逆に、開放弁部2を閉鎖することにより、水蒸気の大気中への噴出が停止される。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る圧力容器の給水栓構造を、図2ないし図4に基づいて詳述する。圧力容器の給水栓構造は、前述したタンク11、給水栓本体14及び給水栓ツマミ16と、封止軸体15と、ロック部材17とを主要構成部材とする。
【0019】
タンク11は、例えば、ステンレス製であり、その上方壁部11aには、少なくとも給水栓本体14を貫通固設するための貫通孔11bを有する。
【0020】
給水栓本体14は、大略円筒状をなして前記タンクの上方壁部11aに貫通固設され、給水口14aと排蒸気口14bを有し、外方端部近傍に雌ねじ部14c及び雄ねじ部14dを設けている。具体的には、軸線方向の中間部に上方大径部14eと下方大径部14fを有し、下方大径部14fの下方側が上方壁部11aに貫通する貫通筒部14g、上方大径部14eの上方側が雌ねじ部14c及び雄ねじ部14dとなる。また、内部は、下方大径部14fに略対応する内径が最も小さい部分が下方封止弁形成部14hとなり、上方大径部14eに略対応する下方封止弁形成部14hより内径がやや大きい部分が上方封止弁形成部14iとなる。前述の排蒸気口14bは、上方大径部14eと下方大径部14fの間の側壁に形成される。また、下方封止弁形成部14hの上方端から排蒸気口14bの下方開口縁に向けてテーパー状の傾斜面14jとなっている。上記した雌ねじ部14cは封止軸体15が、雄ねじ部14dはロック部材17がそれぞれ螺合する。 なお、排蒸気口14bには導管継手14lが貫通固設されている。14kは安全弁用開口で、安全弁14Vに接続される。
【0021】
封止軸体15は、大略円柱状をなして給水栓本体14の雌ねじ部14cに螺合し得る雄ねじ部15cを設けている。具体的には、雄ねじ部15cの上方が最も直径が大きい大径部15aとなり、さらにその上方はロック部材17が所定距離だけ移動可能となるよう遊嵌する遊嵌軸部15bとなる。この遊嵌軸部15bの軸方向長さは、ロック部材17の移動可能な所定距離より十分に長い。上記の寸法関係より、雄ねじ部15cを給水栓本体14の雌ねじ部14cに螺合させてゆくと、大径部15aの下方側端面が給水栓本体14の外方側端面に当接する。この状態は、両者を最も深く螺合させた状態であり、その状態において、排蒸気口14bから離間した上下位置で封止弁を形成し得るよう給水栓本体14の内方に嵌挿される。つまり、この状態で下方封止弁形成部14hに対応する位置に下方膨大部15f、上方封止弁形成部14iに対応する位置に上方膨大部15eを設け、これらに環状溝15g、15kを形成し、それらにOリング15l、15mを嵌着している。従って、Oリング15l、15mが下方封止弁形成部14hと上方封止弁形成部14iに弾発的に圧接しているときにそれぞれ封止弁を形成することとなる。
【0022】
給水栓ツマミ16は、封止軸体15に連結されるものであり、封止軸体15の遊嵌軸部15bの上方側端面に基部16aを当接させた状態で固定用ねじ16Bにより固定される。この基部16aは端部より少し窪んだ位置に形成され、基部16aから指等で回動するための外方把持部16bと、封止軸体15の遊嵌軸部15bが嵌挿される内方筒部16cとを連設している。この内方筒部16cの長さ、すなわち下方側端面は後述するロック部材17の移動の距離を決める。16eは外方把持部16bの下方に環状に連設されたスカート部である。
【0023】
ロック部材17は、全体形状を帽状(倒鍔付有底筒状)とし、天壁17aに貫通孔17bを穿設している。この貫通孔17bに前述した封止軸体15の遊嵌軸部15bが挿通する。その結果、ロック部材17は封止軸体15の大径部15aと給水栓ツマミ16の内方筒部16c間で軸線方向に所定距離だけ移動可能とされる。また円筒部17cの内径は、封止軸体15の大径部15aより僅かに大きく、その開口縁付近の内側面に給水栓本体14の雄ねじ部14dに螺合する雌ねじ部17dが刻設してある。この雄ねじ部14dと雌ねじ部17dにより、給水栓本体14と係止する係止部が構成してある。 また、その鍔部17fは、少なくとも給水栓ツマミ16の外方把持部16bの外径と略同じ直径を有する。17eは給水栓ツマミ16のスカート部16eが嵌入し得るよう鍔部17fに凹設した環状溝である。
【0024】
このような圧力容器の給水栓構造にあっては、図4に示すように、封止軸体15、給水栓ツマミ16及びロック部材17を一体的に組み付けて封止軸体ブロックとしている。 この封止軸体ブロックは、封止軸体15と給水栓ツマミ16とは固定用ねじ16Bで固定され、ロック部材17は封止軸体15の大径部15aと給水栓ツマミ16の内方筒部16c間で軸線方向に所定距離だけ移動可能とされている。ここでいう軸線方向に所定距離とは、ロック部材17が雄ねじ部14dに螺合して軸線方向に移動する距離である。
【0025】
次に、本実施形態の組立及び動作について説明する。まず、封止軸体ブロックの封止軸体15を、給水栓本体14の給水口14aから挿入する。次いで、ロック部材17の雌ねじ部17dを給水栓本体14の雄ねじ部14dに螺合させ、給水栓本体14の上方大径部14eの上方端面に当接するまで螺合を進める。そして、封止軸体15の雄ねじ部15cを給水栓本体14の雌ねじ部14cに螺合させる。ここで、給水栓ツマミ16を回動し、雄ねじ部15cと雌ねじ部14cとを最も深く螺合させた状態、つまり封止軸体15の大径部15aの下方側端面が給水栓本体14の外方側端面に当接する状態にする。この状態では、図2に示すように、Oリング15l、15mが下方封止弁形成部14hと上方封止弁形成部14iに弾発的に圧接してそれぞれ封止弁を形成する。
【0026】
次に、タンク(圧力容器)11に給水する場合や内部の点検あるいは清掃を行う場合、タンク11の内部を給水栓本体14を介して外部に開放する。この場合、図2の状態から封止軸体15の雄ねじ部15cと給水栓本体14の雌ねじ部14cの螺合が浅くなる方向に給水栓ツマミ16を回動する。やがて、図3に示すように、タンク11と排蒸気口14bとが連通する位置に封止軸体15が軸方向に移動したとき、つまり、封止軸体15のOリング15lが排蒸気口14bにかかる位置へ移動したとき、タンク11内の高圧の水蒸気は排蒸気口14bを介して外部に放出される。この場合、ロック部材17の天壁17aに封止軸体15の大径部15aが当接し、ロック部材17が封止軸体15のそれ以上の軸方向の移動を規制する。また、この状態では、排蒸気口14bの上方に位置する封止弁(上方封止弁形成部14iとOリング15m)は封止機能を奏している。 従って、給水栓ツマミ16の回動操作によって給水栓本体14の給水口14aが開放されることはなく、意図しない高圧水蒸気の放出によって人体に損傷を与えるような危険な状態が起こり難くなり、操作時の安全性を高めることが可能となる。そして、タンク11内の高圧の水蒸気が排蒸気口14bを介して確実に外部に放出された後、ロック部材17の雌ねじ部17dと給水栓本体14の雄ねじ部14dの螺合を解き、図4に示すように、封止軸体ブロックを給水栓本体14から引き抜く。これにより、給水栓本体14が開放されてタンク11への給水や内部の点検あるいは清掃を行うことができる。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る圧力容器の給水栓構造を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変更が可能である。 例えば、ロック部材17の係止部として、ロック部材17に雌ねじ部17dを刻設したねじによる係止構造の例を説明したが、ロック部材17の内側面に給水栓本体14と係止するバヨネット構造の係止部としてもよい。また、タンク11と排蒸気口14bとが連通する位置に封止軸体15が移動したとき、排蒸気口14bの上方に位置する封止弁が封止機能を奏している例を説明したが、封止軸体15の大径部15aをロック部材17の天壁17aに当接させることで封止機能を奏するようにしてもよい。また、ロック部材17の鍔部17fは、少なくとも給水栓ツマミ16の外径と同じ直径を有するものである例を説明したが、給水栓ツマミ16の外径より小さくしてもよい。このようにすると、ロック部材17の操作性はやや劣るが、ロック部材17の所望しない操作をより防ぐことができ、操作時の安全性をより高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
11 タンク(圧力容器)
11a タンク(圧力容器)の上方壁部
14 給水栓本体
14a 給水栓本体の給水口
14b 給水栓本体の排蒸気口
14c 給水栓本体の雌ねじ部
14d 給水栓本体の雄ねじ部
14h 給水栓本体の下方封止弁形成部(封止弁)
14i 給水栓本体の上方封止弁形成部(封止弁)
15 封止軸体
15c 封止軸体の雄ねじ部
15l 封止軸体のOリング(封止弁)
15m 封止軸体のOリング(封止弁)
16 給水栓ツマミ
17 ロック部材
17a ロック部材の天壁
17b ロック部材の貫通孔
17d ロック部材の雌ねじ部(係止部)
17f ロック部材の鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が加熱されて生成される水蒸気を高圧状態でもって貯留するタンクと、
大略円筒状をなして前記タンクの上方壁部に貫通固設され、給水口と排蒸気口を有し、外方端部近傍に雌ねじ部を設けた給水栓本体と、
大略円柱状をなして前記給水栓本体の雌ねじ部に螺合し得る雄ねじ部を設け、該雌ねじ部と雄ねじ部を最も深く螺合させた状態において前記排蒸気口から離間した上下位置で封止弁を形成し得るようその内方に嵌挿される封止軸体と、
前記封止軸体に連結される給水栓ツマミを有し、
帽状であって天壁に貫通孔を穿設し、該貫通孔に前記封止軸体が挿通することにより前記封止軸体と前記給水栓ツマミの間で軸線方向に所定距離だけ移動可能とされ、内側面に前記給水栓本体と係止する係止部を有したロック部材をさらに設け、
前記ロック部材が前記給水栓本体に係止されている状態において、前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が軸方向に移動したとき、前記ロック部材が前記封止軸体のそれ以上の軸方向の移動を規制することを特徴とする圧力容器の給水栓構造。
【請求項2】
前記ロック部材の係止部は雌ねじ部であり、前記給水栓本体に該雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をさらに設け、該雌ねじ部と雄ねじ部が螺合している状態において、前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が軸方向に移動したとき、前記ロック部材が前記封止軸体のそれ以上の軸方向の移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の圧力容器の給水栓構造。
【請求項3】
前記タンクと前記排蒸気口とが連通する位置に前記封止軸体が移動したとき、前記排蒸気口の上方に位置する封止弁は封止機能を奏していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力容器の給水栓構造。
【請求項4】
前記ロック部材は、その鍔部が少なくとも前記給水栓ツマミの外径と同じ直径を有するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の圧力容器の給水栓構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−145188(P2012−145188A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5235(P2011−5235)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508188282)株式会社ティ.オー.エス (6)
【Fターム(参考)】