説明

圧力検出ユニット、及び圧力センサー

【課題】温度変化による誤差を補正し、且つ温度センサーが低消費電流である圧力検出ユ
ニットを得る。
【解決手段】圧力検出ユニットは、一対の振動腕25a、25b及び一対の振動腕の両端
部に夫々一体化された基部24a、24bを有する第1の圧電振動片23と、振動腕28
及び振動腕の一端部に一体化された基部27を有する第2の圧電振動片26と、前記第1
の圧電振動片23の基部24a、24bが接合される一対の支持部13a、13bを有す
るダイヤフラム10と、前記ダイヤフラム10と対向配置される基台15と、を備えてい
る。前記第2の圧電振動片26の基部27は前記第1の圧電振動片23の一方の基部24
aに同一面内で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出ユニット、及び圧力センサーに関し、特に温度検出用の感温素子を
内蔵して圧力検出精度を上げると共に、圧力感度を改善するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子に加わる応力と共振周波数変化との関係を利用した圧力計が実用化されてい
る。圧電振動子に双音叉型圧電振動子を用いることにより、応力に対する感度が良好とな
り、僅かな圧力差から高度差、深度差を検知することができる。
特許文献1には、感圧素子として圧電振動片を用いた圧力検出ユニットが開示されてい
る。
【0003】
図19(a)は、特許文献1に開示されている圧力検出ユニットの側断面図、同図(b
)は、(a)のQ−Qにおける断面図である。
圧力検出ユニット60は、ダイヤフラム61と、ダイヤフラム61と対向して設けられ
る基台75と、感圧素子としての圧電振動片70と、を備えた絶対圧計である。
ダイヤフラム61は、図19(a)の上方からの圧力を受けて変形する薄肉部63と、
薄肉部63の周縁に形成される枠部69と、を備えている。ダイヤフラム61は、薄肉部
63の一方の面に、圧電振動片70を固定するための一対の支持部65を有し、圧電振動
片70はその両固定端を支持部65により支持されている。また、薄肉部63の他方の面
には、圧電振動片70の振動部72に対応する部位に、突出部67が設けられている。薄
肉部63の一部を厚肉化して突出部67とすることにより、当該部分の変形を防ぐことが
でき、圧力が印加された時に、薄肉部63の中心が圧電振動片70に接触するとことを防
止することができる。
【0004】
圧電振動片70には、いわゆる双音叉型振動素子を用いている。双音叉型振動素子は、
両端部に固定端71を有し、この2つの固定端71の間に2つの振動ビームが形成されて
いる。双音叉型振動素子に引張り応力(伸長応力)あるいは圧縮応力を印加すると、その
共振周波数が印加する応力にほぼ比例して変化するという特性がある。
図19に示す圧力検出ユニット60では、ダイヤフラム61の薄肉部63に形成された
一対の支持部65の載置面66に、双音叉型振動素子70の両固定端71が固定されてい
る。ダイヤフラム61の上部に圧力が加わると、薄肉部63に撓みが生じ、薄肉部63は
図12(a)の下方へ変形する。支持部65の載置面66は薄肉部63の変形状態に伴っ
て傾き、載置面66は薄肉部63の外側へ向けて傾く。このため、載置面66間の間隔は
大きくなり、この載置面66に固定された双音叉型振動素子70の振動部72には伸長応
力が加わる。
振動部72に伸長応力が加わると双音叉型振動素子70は、その共振周波数が増加する
。そして、図示しない検出部ではこの周波数の変化を検出し、周波数の変化に基づく応力
の変化を導き出すことで、ダイヤフラム61に加わる圧力を検出することが可能となる。
【0005】
しかし、双音叉型振動素子70の周波数温度特性は、上に凸の二次特性を有するので、
温度変化が大きい環境で使用する場合には応力検出精度に誤差が生じるという問題があっ
た。特許文献2、3、4には、温度検出素子(感温素子)としてサーミスター、又はトラ
ンジスターを備え、その電気的特性の変化により温度を検出し、制御部にフィードバック
する装置が開示されている。
そこで、圧力検出ユニット60に感温素子としてサーミスター、又はトランジスターを
設けることは容易に考えられる。
例えば、図20に示す圧力センサー80のブロック図のように、温度センサー82の出
力をA/Dコンバーター85に接続し、このA/Dコンバーター85の出力を処理装置8
6の一方の入力に接続する。また、応力検出ユニット81を発振回路83に接続し、この
発振回路83の出力を、周波数カウンター84を介して処理装置86の他方の入力に接続
する。処理装置86はA/Dコンバーター85からの信号を演算して温度を求め、この温
度に基づいて応力検出ユニット81の周波数温度特性を補正し、応力検出ユニット81に
加わった応力のみを高精度に検出する。そして、ダイヤフラムの構造を加味してダイヤフ
ラムに印加された圧力を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327922公報
【特許文献2】特開2006−284301公報
【特許文献3】特開2006−324652公報
【特許文献4】特開2008−111761公報
【特許文献5】特公昭61−29652号公報
【特許文献6】特開昭53−2097号公報
【特許文献7】特開昭54−158150号公報
【特許文献8】特開昭58−208632号公報
【特許文献9】特公昭62−58173号公報
【特許文献10】特開2005−197946公報
【特許文献11】特公平6−103231号公報
【特許文献12】特開2008−170167公報
【特許文献13】特開2008−170203公報
【特許文献14】特開2008−197031公報
【特許文献15】特開2008−197032公報
【特許文献16】特開2008−224345公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20に示したような温度センサー82にアナログ方式、例えばサーミスターを用いた
温度計の例が、特許文献5に開示されている。図21に示すように、温度計90は、抵抗
R1、R2、R3、R4を用いてブリッジ回路を形成し、抵抗R1と抵抗R3との接続点
と、抵抗R2と抵抗R4との接点と、をOPアンプ92の2つの入力に接続し、その出力
をA/D変換器93の入力に接続する。A/D変換器93の出力を処理回路94で処理し
て温度を求める装置である。ここで、抵抗R3は可変抵抗器Rv32とサーミスターTh
との並列回路に、可変抵抗器Rv31を直列接続した回路である。
しかしながら、サーミスターの温度−抵抗特性は指数関数的である共に、温度計測時に
は、例えば電流源91から電流を流す必要である。また、A/Dコンバーターは大きな電
流を消費する。例えば、サーミスーを用いた温度センサーでは約200μAの電流が、1
2ビットのA/Dコンバーターで約300μAの電流が消費される。更に、アナログ量を
デジタル値に変換する際にノイズ等の影響で、温度検出の精度が落ちる。このようにアナ
ログ方式の温度検出法は測定精度の問題と、大きな電流(約500μA)を消費するとい
う問題があった。
【0008】
この問題を解決すべく、温度センサーに音叉型水晶振動素子を適用する加速度センサー
が提案されている。双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性は、音叉型水晶振動素子の周
波数温度特性と同等である。音叉型水晶振動素子の基板の切断角度と、その周波数温度特
性との関係は、特許文献6〜10に開示されており、切断角度はXY平面(Z板)をX軸
回りにθ(=0〜±15°、15〜25°、30〜60°等)回転した基板を用いている

双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性は、上に凸の2次特性を有し、その頂点が常温
付近となるように設定され、温度による周波数変動が小さいこと特徴としている。
更に、特許文献11には、音叉型振動素子、双音叉型振動素子及びカンチレバーを一体
化させた加速度センサーが開示されており、前記音叉型振動素子を温度センサーとして用
いることが提案されている。このような構成にすれば、温度補償を施した精度の高い加速
度センサーが実現できると開示されている。
【0009】
ところが、双音叉型振動素子とカンチレバーとを組合せてなる加速度センサーについて
開示された特許文献12乃至16には、双音叉型水晶振動素子に加わる応力と、周波数温
度特性の頂点温度との関係について、双音叉型水晶振動素子に伸張応力が加わると頂点温
度は低音側へシフトし、圧縮応力が加わると高温側へシフトすると開示されている。
即ち、特許文献11に開示された加速度センサーについて、その使用温度範囲において
、双音叉型水晶振動素子の周波数変化が小さくなるように、その頂点温度を使用温度範囲
の中間点に設定したとする。このように、水晶基板の切断角度を設定しても、加速度に応
じた応力負荷が双音叉型水晶振動素子の内部に生じると、図25に示すように、双音叉型
水晶振動素子内に生じる圧縮応力により、周波数温度特性の頂点温度が高温側にシフトす
るという問題が起きる。また、加速度の大きさに応じて圧縮応力の大きさも変わるため、
高温側へのシフト量も変動してしまうので、温度センサーを用いて加速度センサーの温度
補償を試みても、双音叉型水晶振動素子は、その使用温度範囲において、周波数温度特性
の頂点温度から離れた領域で動作することになる。つまり、周波数温度特性が直線的に変
動する領域で、加速度を検出することになる。そのため、僅かな温度変化が双音叉型水晶
振動素子の周波数変化を来たし、検出する加速度に温度変化に伴う周波数変動のノイズが
重畳されるという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、温度の検出精度を向上させて双音
叉型振動素子の温度特性を補正して、圧力センサーの測定精度を改善すると共に、消費電
流を大幅に低減した圧力センサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0011】
[適用例1]振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する第1の圧電振
動片と、振動腕及び該振動腕の一端部に一体化された基部を有する第2の圧電振動片と、
前記第1の圧電振動片の基部が接合される一対の支持部を有するダイヤフラムと、前記ダ
イヤフラムと対向配置される基台と、を備え、前記第2の圧電振動片の基部は前記第1の
圧電振動片の一方の基部に同一面内で連結されていることを特徴とする圧力検出ユニット
である。
【0012】
第1の圧電振動片の基部と第2の圧電振動片の基部とを同一として共用することにより
、圧力検出ユニットを小型化することができる。
更に、圧力(応力)を検出する第1の圧電振動片に接して、温度を検出する第2の圧電
振動片を設けることにより、第1の圧電振動片の温度をデジタル量として正確に検出でき
るので、第1の圧電振動片の温度による周波数変動を補正し、被測定媒体の圧力の測定精
度を大幅に改善することができるという効果がある。
更に、アナログの温度検出法に比べ、消費電力を大幅に削減できるという効果がある。
【0013】
[適用例2]振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する第1の圧電振
動片と、前記第1の圧電振動片を囲む枠部と、前記枠部と各前記基部とを接続する支持片
とを有する第1の圧電振動片層と、振動腕及び該振動腕の一端部に一体化された基部を有
する第2の圧電振動片と、前記第1の圧電振動片層の一方の主面側を覆うと共に、前記第
1の圧電振動片の基部が接合される一対の支持部を有すダイヤフラム層と、前記第1の圧
電振動片層の他方の主面側を覆う基台層と、を備え、前記第2の圧電振動片の基部は前記
外枠部の一辺に連結され、前記第2の圧電振動片と前記第1の圧電振動片とは同一平面内
に配置されていることを特徴とする圧力検出ユニットである。
【0014】
上記のように構成すると、大型ウエハを用いたプロセス処理が可能となり、小型化、コ
スト低減が可能となる。
更に、ダイヤフラム及び基台の枠部と、第1の圧電振動片及び第2の圧電振動片を連結
する外枠と、を合わせるように圧力検出ユニットの組み立てることにより、組み立て精度
が改善されると共に、組み立てが容易となる。
また、第1の圧電振動片の温度をデジタル量として正確に検出できるので、第1の圧電
振動片が検出する応力の温度変化による誤差を補正することができ、圧力の測定精度が大
きく改善される。その上、電流の低消費化に大いに効果がある。
【0015】
[適用例3]適用例1又は2に記載の圧力検出ユニットおいて、前記第1の圧電振動片
は上に凸の二次特性の周波数温度特性を有し、負荷が加えられたときに周波数温度特性の
頂点が使用温度範囲内に位置するように前記第1の圧電振動片の切断角度が設定されてい
ることを特徴とする圧力検出ユニットである。
【0016】
前記第1の圧電振動片の切断角度を適切に設定することにより、その周波数温度特性の
頂点温度を使用温度範囲内に位置するようにすることができ、温度変化による圧力検出ユ
ニットの検出精度を高めることができるという効果がある。
【0017】
[適用例4]適用例1又は2に記載の圧力検出ユニットおいて、前記振動部が、少なく
とも一以上の柱状ビームから構成されていることを特徴とする圧力検出ユニットである。
【0018】
上記のように双音叉型圧電振動素子を用いることにより、圧力(応力)検出感度が他の
振動モード、例えば厚み滑り振動、縦振動、弾性表面波振動等を用いた圧力検出ユニット
に比べてはるかに優れており、高感度の圧力検出ユニットが構成できるという効果がある

【0019】
[適用例5]適用例1又は2に記載の圧力検出ユニットにおいて、前記第2の圧電振動
片が音叉型振動素子であることを特徴とする圧力検出ユニット。
【0020】
上記のように応力検出ユニットの温度検出に音叉型圧電振動素子を用いることにより、
温度検出の精度が大幅に改善される。その上、温度検出のための消費電流を極めて小さく
することができるという効果がある。
【0021】
[適用例6]振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する圧電振動片と
、前記圧電振動片の基部が接合される一対の支持部を有するダイヤフラムと、前記ダイヤ
フラムと対向配置される基台と、を備え、前記圧電振動片は上に凸の二次特性の周波数温
度特性を有し、負荷が加えられたときに周波数温度特性の頂点が使用温度範囲内に位置す
るように前記圧電振動片の切断角度が設定されていることを特徴とする圧力検出ユニット
である。
【0022】
前記圧電振動片の切断角度を適切に設定することにより、動作状態でその周波数温度特
性の頂点温度を使用温度範囲内に位置するようにすることができ、温度変化による圧力検
出ユニットの検出精度を高めることができるという効果がある。
【0023】
[適用例7]適用例1乃至6の何れか一項に記載の圧力検出ユニットと、応力検出回路
と、を有し、前記応力検出回路は、前記応力検出ユニットの第1の圧電振動片を動作させ
る第1の発振回路と、前記第2の圧電振動片を動作させる第2の発振回路と、前記第1の
発振回路から出力される応力検出信号の周波数をカウントする第1の周波数カウンターと
、前記第2の発振回路から出力される温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数
カウンターと、前記第2の周波数カウンターから出力される周波数カウント信号を、前記
第1の周波数カウンターから出力される周波数カウント信号により補正処理を行う処理回
路と、を備えたことを特徴とする圧力センサーである。
【0024】
上記のように構成すると、第2の圧電振動片の温度信号に基づいて、第1の圧電振動片
の周波数に温度補正を行うことにより、圧力測定精度が改善できると共に、消費電流を大
幅に低減できるという効果がある。
【0025】
[適用例8]適用例1乃至6の何れか一項に記載の圧力検出ユニットと、応力検出回路
と、を有し、前記応力検出回路は、切換器を介して接続される第1の圧電振動片、又は第
2の圧電振動片を動作させる発振回路と、該発振回路から出力される第1の圧電振動片の
出力信号、又は第1の圧電振動片の出力信号の周波数をカウントする周波数カウンターと
、該周波数カウンターから出力される周波数カウント信号の補正処理を行う処理回路と、
を備えたことを特徴とする圧力センサーである。
【0026】
上記のように構成すると、小型な圧力センサーが構成できると共に、消費電流を大幅に
低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)、(b)は解析用圧力検出ユニットの分解斜視図であり、(a)はダイヤフラム基板、(b)は双音叉型振動素子基板、(c)は弾性定数、(d)は弾性定数の温度計数、(e)は弾性定数の温度関係式。
【図2】圧力(応力)P−周波数f特性。
【図3】圧力をパラメータとした周波数温度特性。
【図4】温度と感度変化率との関係を示す図で、菱型マーク◆の曲線は計算で、正方形マーク■の曲線は実測で求めた曲線。
【図5】圧力検出ユニットに0気圧、1気圧を負荷したときの周波数温度特性を有限要素法を用いて求めた図。
【図6】圧力検出ユニットに0気圧、1気圧を負荷したときの周波数温度特性を測定で求めた図。
【図7】(a)は圧力検出ユニットの圧力Pと共振周波数fとの関係を示す図、(b)は無負荷時及び負荷時の双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性を示す図。
【図8】本発明に係る第1の実施形態の応力検出ユニットの、(a)はQ2−Q2の断面図、(b)はQ1−Q1の断面図。
【図9】ダイヤフラム構成を示す、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図10】基台の構成を示す、(a)は断面図、(b)は平面図。
【図11】双音叉型圧電振動子の、(a)は振動姿態を説明する平面図、(b)は電極構成を説明する平面図、(c)は電極の結線図。
【図12】第2の実施形態の応力検出ユニットの、(a)は断面図、(b)は枠付圧電振動片の平面図、(c)は(b)の側面図。
【図13】(a)はリード電極を示した枠付圧電振動片の平面図、(b)は(a)を用いた第2の実施形態の応力検出ユニットの断面図。
【図14】(a)複合圧電振動片を枠付圧電振動片とした平面図、(b)は(a)の側面図。
【図15】(a)はダイヤフラムの平面図、(b)はダイヤフラムの薄肉部の寸法Lと応力感度との関係を示す図、(c)は薄肉部の寸法Wと応力感度との関係を示す図。
【図16】第3の実施形態の応力検出ユニットの、(a)は断面図、(b)は枠付圧電振動片の平面図、(c)は(b)の側面図。
【図17】他の実施形態の応力検出ユニットの概略構成を示す斜視図。
【図18】(a)(b)は圧力センサーの構成を示すブロック図。
【図19】従来の応力検出ユニットの、(a)は断面図、(b)はQ−Qにおける断面図。
【図20】圧力センサーの構成を示すブロック図。
【図21】従来の温度計の構成を示す回路図。
【図22】音叉型圧電振動子と結晶軸との関係を示す図。
【図23】音叉型圧電振動子の切断角度θと1次温度係数αとの関係を示す図。
【図24】温度計測用音叉型圧電振動子の周波数温度特性図。
【図25】無負荷時及び負荷時の双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本願発明者は、双音叉型振動素子に加わる応力と、その頂点温度のシフトとの関
係について、解析評価を行った。特許文献12乃至16では、双音叉型振動素子に加える
応力と、2次曲線を呈する周波数温度特性の所謂、頂点温度との関係について、伸張応力
を加えると頂点温度は低温側へシフトし、圧縮応力を加えると高温側へシフトすると開示
されている。しかし、本願発明者による解析結果では、頂点温度のシフト方向が逆である
ことが判明した。
初めに、双音叉型振動素子を内蔵した圧力検出ユニットの周波数温度特性の頂点温度が
、高温側にシフトする現象を定性的に説明する。圧力検出ユニットの圧力(応力)P−周
波数f特性は、図2に示すように、圧力検出ユニットの呈する温度Tにより、圧力対周波
数感度(df/dP)が異なる。常温(25℃)の圧力対周波数感度に対し、低温(−3
5℃)では圧力対周波数感度(df/dP)は小さくなり、高温(85℃)では圧力対周
波数感度(df/dP)は大きくなる。この現象に加え、双音叉型水晶振動素子には伸長
(引張り)応力が加わる。
【0029】
図3は、圧力検出ユニットに加わる圧力が0気圧から1気圧に変化する場合、圧力検出
ユニットの周波数温度特性(温度T−周波数Δf/f特性)の頂点温度が高温側にシフト
する現象を説明する図である。密閉空間内部を真空にしたタイプの圧力検出ユニットは、
ダイヤフラムに加わる圧力が0気圧の場合、圧力検出ユニットの双音叉型水晶振動素子に
は応力が加わらない。
ダイヤフラムに加える圧力を例えば、1気圧にすると、双音叉型水晶振動素子には伸長
(引張り)応力が加わることになり、双音叉型水晶振動素子の周波数は上昇する。このと
き低温では、図2に示すように圧力対周波数感度(df/dP)が低く、高温では圧力対
周波数感度(df/dP)が高くなる。この2つの現象が加算されると、図3に示すよう
にJ0で示す0気圧のときの周波数温度特性(温度T−周波数Δf/f特性)が、J1で示
す1気圧のときの周波数温度特性にシフトする。
【0030】
次に、双音叉型振動素子を内蔵した圧力検出ユニットを、有限要素法を用いて解析した
結果について説明する。
図1は、解析に用いた圧力検出ユニットの構造を示す斜視図で、同図(a)はダイヤフ
ラム基板A1であり、同図(b)は双音叉型振動素子基板B1である。双音叉型振動素子
B2は、双音叉型振動素子基板B1に支持片B3で保持されている。解析ではダイヤフラ
ム基板A1、双音叉型振動素子基板B1とも水晶を用い、密度は2.65×103[kg
/m3]、ポアソン比は0.135とした。
図1(a)、(b)で構成する圧力検出ユニットの解析を、有限要素法を用いて行った
。圧力検出ユニットの解析に用いる運動方程式の歪と応力との関係を結びつける弾性定数
(ヤング率)Cijは、図1(c)に示す定数を用いた。水晶の弾性定数(ヤング率)C
ijは異方性を有すると共に温度依存性を有している。そこで、次の近似式(1)
Cij(T)=Cij(1+αT+βT2+γT3) (1)
を用いて、任意の温度Tにおける弾性定数を求めた。式(1)における弾性定数Cijの
1次係数α、2次係数β、3次係数γは、夫々図1(d)の定数を用いた。
【0031】
図2に示した圧力対周波数感度(df/dP)が温度により変化する原因を調べること
にした。弾性定数Cijを式(1)のように温度Tの関数とし、圧力検出ユニットの共振
周波数を、有限要素法を用いて解析した。
図4は温度Tと感度変化率との関係を示す図である。0気圧のときの圧力検出ユニット
の周波数をf0、1気圧の周波数をf1とし、|f0−f1|/f1を感度変化率と定義し、
25℃のときを0とする。温度Tを変化させ感度変化率を解析により求めた、温度T−感
度変化率曲線を菱型マーク◆で示す。正方形マーク■で示す曲線は、圧力検出ユニットを
試作し、測定で求めた温度T−感度変化率曲線である。
圧力検出ユニットの周波数温度特性の頂点温度が、加わる圧力により変化する理由は、
周波数温度特性を表す多項式の1次係数が変化するからである。温度が上昇すると、水晶
の弾性係数Cijが小さくなり、図4の感度変化率が増加する。感度変化率は温度Tの増
加に対し、ほぼ直線的に増加するため、圧力検出ユニットの周波数温度特性を表す多項式
の1次係数が変化する。その結果として、頂点温度がシフトするように見えるのである。
【0032】
図5は、ダイヤフラムに加わる圧力を0気圧、1気圧としたとき、解析で求めた圧力検
出ユニットの周波数温度特性を示した図である。各気圧において温度Tを変化させて圧力
検出ユニットの周波数変化Δf/fを計算した。0気圧の場合を菱型マーク◆で示し、1
気圧の場合を正方形マーク■で示す。温度Tと計算により求めた0気圧、1気圧における
周波数変化Δf/fとを滑らかな線で結んだ曲線(細線)と、温度Tと周波数変化Δf/
fとを多項式で近似した曲線(太線)とを重ねて表示している。0気圧の場合の周波数温
度特性の頂点温度は−6℃であるが、1気圧の場合では頂点温度は高温側にシフトし、2
0℃となることが解析結果により求められた。0気圧、1気圧の場合に圧力検出ユニット
の周波数温度特性を表す多項式式y(=Δf/f)をx(=温度T)に関する2次式で表
し、図面下部に示した。
【0033】
図6は、試作した圧力検出ユニットに0気圧、1気圧の負荷をかけて、圧力検出ユニッ
トの周波数温度特性を測定したときの曲線で、0気圧の場合を菱型マーク◆で示し、1気
圧の場合を正方形マーク■で示す。0気圧の場合、周波数温度特性の頂点温度が−7℃で
あったが、1気圧の場合では頂点温度は20℃にシフトしている。0気圧、1気圧の場合
に圧力検出ユニットの周波数温度特性を表す多項式y(=Δf/f)をx(=温度T)に
関する2次式で表し、図面下部に示した。図5に示した解析結果と、図6に示した測定結
果とを比べ、圧力検出ユニットに圧力(1気圧)を加えた場合に、頂点温度の高温側への
シフト量は、解析の結果と数パーセントの誤差で一致することが判明した。
この解析結果と実測結果から、周波数温度特性の頂点温度が変化する理由は、周波数温
度特性を表す多項式の1次係数の変化に起因することが分かる。
【0034】
本発明では圧力検出ユニットの周波数温度特性を表す多項式を第1の近似式fとし、次
の3次多項式(2)を用いた。
f=a13+a22+a3T+a4・・・(2)
図7(a)は、圧力検出ユニットに圧力(応力)Pを加えたときの共振周波数fの変化
を示す圧力P−周波数f特性を表す曲線である。この圧力周波数特性を表す多項式を第2
の近似式Pとし、次の3次多項式(3)を用いた。
P=b13+b22+b3f+fc・・・(3)
ここでfcは、例えば1気圧の圧力を圧力検出ユニットに負荷したときの周波数温度特
性を表している。式(3)の1次の係数b3は、温度依存性を表す係数で、第3の近似式
3とし、次の2次多項式(4)を用いた。
3=c12+c2T+c3・・・(4)
式(2)、(3)、(4)の全ての係数を実測する。始めに、使用気圧範囲内の気圧P
をパラメータとして、周波数温度特性(T−f特性)を測定し、式(2)の係数a1、a2
、a3、a4を求める。次に、使用温度範囲内の温度Tをパラメータとして、圧力周波数特
性(P−f特性)を測定し、式(3)の係数b1、b2、b3を求める。
そして、温度Tiをパラメータとし、圧力Pを変化させて圧力検出ユニットの共振周波
数を求め、圧力対周波数感度(df/dP)iを求める。温度Tiと圧力対周波数感度(
df/dP)iをプロットし、この曲線から式(4)の係数c1、c2、c3を求める。
【0035】
図7(b)は、無負荷時の双音叉型水晶振動素子、及び音叉型水晶振動素子の周波数温
度特性の頂点温度が、例えば−10度になるように、水晶基板の切断角度を設定する。双
音叉型水晶振動素子に伸長(引張り)応力の負荷をかけると、頂点温度が高温側にシフト
し頂点温度はほぼ常温(25℃)近傍になる。この際、音叉型水晶振動素子の動作領域は
周波数温度特性の直線領域を用いることになり、感温素子としても望ましい。
負荷をかけた場合、双音叉型水晶振動素子の頂点温度のシフト量は、負荷の大きさに依
存するので、被検出圧力の圧力値の検出範囲に応じて双音叉型水晶振動素子に生じる負荷
(応力)の範囲に応じて無負荷時の頂点温度を設定すれば良いこととなる。
【0036】
図8は、本発明の一実施形態に係る圧力検出ユニット1の構成を示す概略図であり、同
図(a)は(b)のQ2−Q2における断面図、同図(b)は(a)のQ1−Q1におけ
る断面図である。
圧力検出ユニット1は、圧力により変形するダイヤフラム10と、このダイヤフラム1
0と対向して設けられた圧力により変形しない基台15と、ダイヤフラム10の変形によ
り共振周波数が変化する複合振動片20と、を備えている。
複合振動片20は、第1の圧電振動片23と、この第1の圧電振動片23の一対の基部
24a、24bの一方の基部24aと一体的に形成され、温度変化により共振周波数が変
化する第2の圧電振動片26と、を備えている。
【0037】
図9(a)は、ダイヤフラム10のQ3−Q3における断面図、同図(b)は(a)の
図中下方からみた平面図である。
ダイヤフラム10は、図9(a)の図中上方からの圧力を受けて変形する(撓む)薄肉
部11と、薄肉部11の周縁に形成される枠部12と、を備えている。更に、ダイヤフラ
ム10は、薄肉部11の一方の面に、複合圧電振動片20の基部24a、24bを支持、
固定するための一対の支持部13a、13bを有する。
第1の圧電振動片23はその両基部24a、24bを支持部13a、13bにより支持
、固定される。第2の振動片26の基部27は、第1の圧電振動片23の基部24aと同
一であり、共用しているので、第2の振動片26も支持部13aに支持、固定されている
ことになる。
ダイヤフラム10は圧力により変形する恒弾性の材料、例えばセラミック、ガラス、単
結晶等を用いて形成される。温度変化によるダイヤフラム10の熱膨張の影響を考慮する
と、複合圧電振動片20(第1及び第2の圧電振動片23、26)と同一の材料、例えば
水晶材料を用いて構成することが望ましい。また、ダイヤフラム10の形成方法としては
、音叉型水晶振動子の基板加工に用いられているフォトグラフィ技法とエッチング手法を
用いて、上記の材料の平板を加工し、形成することができる。
【0038】
図10(a)は、基台15のQ4−Q4における断面図、同図(b)は平面図である。
基台15は、中央部の薄肉部16と、この薄肉部16の周縁に形成される枠部17と、
を備えている。
基台15の薄肉部16は、ダイヤフラム10に加わる圧力により変形しない程度の厚み
を有した絶縁材料、例えばセラミック、ガラス、単結晶等を用いて形成されている。
基台15の枠部17は、接合材を介してダイヤフラム10の枠部12と接合されるので
、温度変化による基台15の熱膨張の影響を考慮すると、ダイヤフラム10と同一の材料
、例えば水晶材料を用いて構成することが望ましい。また、基台15はダイヤフラム10
と同様な加工法により形成される。
【0039】
図8(b)に示す複合圧電振動片20の第1の圧電振動片23は、一対の振動腕25a
、25b及びこの一対の振動腕25a、25bの両端部に夫々一体化された基部24a、
24bを有する双音叉型圧電振動素子である。また、複合圧電振動片20の第2の圧電振
動片26は、一対の振動腕28及びこの振動腕28の一端部に一体化された基部27を有
する音叉型圧電振動素子である。ここで、基部27は、第1の圧電振動片23の一方の基
部24aを共用している。つまり、基部27と基部24aは同一であるが、発明を分かり
易くするため、同一部材に2つの符号を付した。
双音叉型圧電振動素子23の振動腕25a、25bの振動のエネルギは、基部24a、
24bでは大きく減衰するので、基部24a、24bを支持、固定しても双音叉型圧電振
動素子23の振動への影響、例えばCI値(クリスタル・インピーダンス、電気的等価回
路の抵抗値)の増加は極めて小さい。
また、音叉型圧電振動素子26の振動腕28の振動のエネルギーは、基部27では大幅
に減衰するので、基部27を支持、固定しても音叉型圧電振動素子26の振動への影響は
極めて小さい。そこで、音叉型圧電振動素子26の基部27と、双音叉型圧電振動素子2
3の基部24aと、を同一として形成した複合圧電振動片20が、図8(b)に示す複合
型の圧電素子である。
【0040】
第1の圧電振動片23に双音叉型水晶振動素子を用いた例について説明する。
双音叉型水晶振動素子23は、図11(a)に示すような一対の基部24a、24b及
びこの基部24a、24b間を連設する2つの振動ビームを備えた圧電基板からなる応力
感応部25a、25bと、この圧電基板の振動領域上に形成した励振電極と、を備えてい
る。
図11(a)は双音叉型水晶振動素子23の振動姿態を示す平面図である。双音叉型水
晶振動素子20の振動モードが、長手(振動ビーム)方向の中心軸に対して対称なモード
で振動するように励振電極を配置する。図11(b)は双音叉型水晶振動素子23に形成
する励振電極と、ある瞬間に励起される励振電極上の電荷の符号を示した平面図である。
図11(c)は励振電極の結線を示す模式断面図である。
【0041】
双音叉型水晶振動素子は伸張・圧縮応力に対する感度が良好であり、高度計用、或いは
深度計用の応力感応素子として使用した場合には分解能力が優れるために僅かな気圧差か
ら高度差、深度差を知ることができる。
また、双音叉型水晶振動素子が呈する周波数温度特性は、上に凸の二次曲線であり、そ
の頂点温度はX軸(水晶結晶の電気軸)の回りの回転角度に依存する。一般的には頂点温
度が常温(25℃)になるように各パラメータを設定する。
双音叉型水晶振動素子の2本の振動ビームに外力Fを加えたときの共振周波数fFは以
下の如くである。
F=f0(1−(KL2F)/(2EI))1/2・・・(5)
ここで、f0は外力がないときの双音叉型水晶振動素子の共振周波数、Kは基本波モー
ドによる定数(=0.0458)、Lは振動ビームの長さ、Eは縦弾性定数、Iは断面2
次モーメントである。断面2次モーメントIはI=dw3/12より、式(5)は次式のよ
うに変形することができる。ここで、dは振動ビームの厚さ、wは幅である。
F=f0(1−SFσ)1/2・・・(6)
但し、応力感度SFと、応力σとはそれぞれ次式(7)、(8)で表される。
F=12(K/E)(L/w)2・・・(7)
σ=F/(2A)・・・(8)
ここで、Aは振動ビームの断面積(=w・d)である。
【0042】
以上から双音叉型振動子に作用する力Fを圧縮方向のとき負、伸張方向(引張り方向)
を正としたとき、力Fと共振周波数fFの関係は、力Fが圧縮力で共振周波数fFが減少し
、伸張(引張り)力では増加する。また応力感度SFは振動ビームのL/wの2乗に比例
する。
なお、応力感応素子としては、双音叉型水晶振動子に限らず、周波数温度特性が上に凸
の二次特性を有すると共に、伸張・圧縮応力によって周波数が、頂点温度がシフトする特
性を有する圧電振動素子であればどのようなものを用いても良い。
【0043】
感温素子(温度センサー)として機能する第2の圧電振動片26には、一対の振動腕2
8及びこの振動腕28の一端部に一体化された基部27(24a)を有する音叉型圧電振
動素子を用いる。例えば、図22に示すように水晶Zカット板をX軸(水晶結晶の電気軸
)の回りにθ回転した音叉型水晶振動素子を用いる。一般的な音叉型水晶振動子の周波数
温度特性は、上に凸の二次特性であり、頂点温度が常温になるように設定する。しかし、
特許第3010922号によると、X軸の回りの回転角θと周波数温度特性の1次係数α
との関係は、図23のような関係があると開示されている。また、図24は温度検出用の
音叉型水晶振動子の周波数温度特性であり、温度Tに対し周波数変化Δf/fがほぼ直線
的に変化する。
複合圧電振動片20の形成は、音叉型水晶振動子の基板加工、及び電極形成に用いられ
ているフォトグラフィ技法とエッチング手法を用いて、水晶Z板を加工し、形成すること
ができる。
【0044】
はじめに、所望の共振周波数になるように双音叉型水晶振動素子の形状寸法を設定する
。周知のように、双音叉型水晶振動素子の周波数温度特性の頂点温度は、X軸(水晶結晶
の電気軸)の回りの回転角に依存し、また、本願発明者らが導き出した前述の見識によれ
ば前記頂点温度は双音叉型水晶振動素子に加わる応力にも依存する。双音叉型水晶振動素
子に伸張(引張り)応力を加えると頂点温度は高温側へシフトし、圧縮応力を加えると低
温側へシフトする特性を有している。そのため、圧力検出ユニットの測定する圧力範囲と
、使用する温度範囲を考慮して、双音叉型水晶振動素子が最適な動作をするように、基板
の切断角度(X軸の周りの角度)を決めることになる。
一例として、圧力検出ユニットの使用する温度範囲を0℃から50℃(中心温度25℃
)とする。第1の圧電振動片(双音叉型水晶振動素子)23の頂点温度Tc1を、応力負
荷(1気圧)の状態で25℃に設定するのが望ましい。双音叉型水晶振動素子に1気圧の
伸張(引張り)応力を負荷すると、頂点温度Tc1は高温側へ約35℃シフトする。1気
圧負荷の状態で双音叉型水晶振動素子23の頂点温度Tc1を25℃に設定するには、応
力無負荷の状態でTc1は、−10℃程度に設定する必要がある。そこで、複合圧電振動
片20の基板の角度θを、頂点温度Tc1が−10℃程度になるように設定する。音叉型
水晶振動素子26の頂点温度Tc2も−10℃程度になる。音叉型水晶振動素子26の周
波数温度特性は上に凸の2次曲線であるので、頂点温度Tc2より高温側の温度−周波数
曲線を用いて圧力検出ユニットの温度を測定することになる。音叉型水晶振動素子26の
使用する温度範囲としては、頂点温度Tc2よりも高い温度に設定している。前記1例に
おいては、頂点温度Tc2=−10℃よりも温度が高い0℃から50℃の範囲に使用温度
範囲を設定している。
【0045】
図9に示すダイヤフラム10の薄肉部11の一方の面に形成した一対の支持部13a、
13bに接着剤を塗布し、この接着剤の上に複合圧電振動片20の基部24a、24bを
載置し、硬化させて固定する。そして、図10に示す基台15の枠部17に接着剤を塗布
し、真空中で両枠部12、17の外周を合わせるように接着し、硬化させる。圧力検知ユ
ニット1の内部19は真空となり、複合圧電振動片20を形成する双音叉型水晶振動素子
23及び音叉型水晶振動素子26のCI値を低くする(Q値を高くする)ことが可能とな
る。
双音叉型水晶振動素子23及び音叉型水晶振動素子26のそれぞれの励振電極から伸び
るリード電極は、図示しないがダイヤフラム10あるいは基台15の枠部12、17の一
部を介して外部に導出されている。
圧力検知ユニット1の内部19を真空とする方法は、ダイヤフラム10あるいは基台1
5の一部に小孔を開けておき、ダイヤフラム10と基台15とを接合した後、前記小孔を
介して内部19を真空とし、前記小孔を塞ぐ方法でもよい。
また、ダイヤフラム10の一対の支持部13a、13bと、複合圧電振動片20の基部
24a、24bとの接着剤には、応力緩和が大きいエポキシ等の有機接合剤は好ましくな
い。
【0046】
圧力検出ユニット1の動作について説明する。圧力検出ユニット1の内部19は真空と
してあるので、ダイヤフラム10の外側の面には常温で1気圧(基準圧)が加わり、薄肉
部11は内部に撓むように変形する。薄肉部11が撓むことにより、薄肉部11に形成し
た一対の支持部13a、13bはそれぞれ外方向、つまり図8(a)の図では支持部13
aは図中右側方向(外側方向)に、支持部13bは左側方向(外側方向)に変形する。そ
の結果、複合圧電振動片20の双音叉型水晶振動素子23に伸長(引張り)応力が働くこ
とになる。しかし、複合圧電振動片20の基部24a(27)に連設された音叉型水晶振
動素子26には、ダイヤフラム10の薄肉部11の撓みによる応力は加わらない。
【0047】
絶対圧力を測定する対象は気体、液体等であるが、液体を例として説明する。被測定液
体の中に圧力検出ユニット1を設置すると、被測定圧力が基準圧より高い場合には、ダイ
ヤフラム10の薄肉部11は、基準圧のときより更に内部方向へ撓むことになり、双音叉
型水晶振動素子23の共振周波数は、基準圧のときの周波数から変化する。また、被測定
圧力が基準圧より低い場合にはダイヤフラム10の薄肉部11は撓み量が減ることになり
、双音叉型水晶振動素子23の共振周波数は、基準圧のときの周波数から変化する。
基準圧のときの周波数と、被測定液体の中に入れたときの周波数との差周波数を測定す
ることにより、双音叉型水晶振動素子23に加わっている応力を求めることができ、この
応力より圧力検出ユニット1に印加されている絶対圧を求めることができる。
被測定液体の温度により、双音叉型水晶振動素子23の共振周波数が変動する。そこで
、感温素子(温度センサー)として複合圧電振動片20の音叉型水晶振動素子26を用い
て、基準圧を測定したときの圧力検出ユニットの温度T0と、被測定液体の中に入れたと
きの温度T1とを測定する。この温度差ΔT(=T1−T0)を求め、計測される双音叉
型水晶振動素子23の周波数に補正を加える。つまり、温度差ΔTによる双音叉型水晶振
動素子23の周波数の変動分を、計測された周波数変化量に対して補正し、基準圧と被測
定液体の圧力との差による周波数変化分のみを求める。このように温度変化の影響を除去
して、双音叉型水晶振動素子23に加わる応力を求め、この応力からダイヤフラム10に
印加された圧力を求める。
【0048】
以上説明したように、第1の圧電振動片の基部と第2の圧電振動片の基部とを同一とし
て共用することにより、圧力検出ユニットを小型化することがきる。更に、圧力(応力)
を検出する第1の圧電振動片に接して、温度を検出する第2の圧電振動片を設けることに
より、第1の圧電振動片の温度をデジタル量として正確に検出できるので、第1の圧電振
動片の温度による周波数変動を補正し、被測定媒体の圧力の測定精度を大幅に改善するこ
とができるという効果がある。更に、アナログの温度検出法に比べ、後述するように消費
電力を大幅に削減できるという効果がある。
また、圧力(応力)検出に双音叉型圧電振動素子を用いることにより、圧力(応力)検
出感度が他の振動モード、例えば厚み滑り振動、縦振動、弾性表面波振動等を用いた圧力
検出ユニットに比べてはるかに優れており、高感度の圧力検出ユニットが構成できるとい
う効果がある。
また、応力検出ユニットの温度検出に音叉型圧電振動素子を用いることにより、温度検
出の精度が大幅に改善される。その上、温度検出のための消費電流を極めて小さくするこ
とができるという効果がある。前記第1の圧電振動片の切断角度を適切に調整することに
より、その周波数温度特性の頂点温度を使用温度範囲内に位置するようにすることができ
、温度変化による圧力検出ユニットの検出精度を高めることができるという効果がある。
【0049】
図12は、第2の実施形態の圧力検出ユニット2の構成を示す図であり、同図(a)は
断面図、同図(b)は枠付圧電振動片30の平面図、同図(c)は(b)の側面図である
。圧力検出ユニット2は、圧力により変形するダイヤフラム10と、このダイヤフラム1
0と対向して設けられ圧力により変形しない基台15と、ダイヤフラム10の変形により
共振周波数が変化する第1の圧電振動片30と温度変化により共振周波数が変化する第2
の圧電振動片36と有する枠付圧電振動片30と、を備えている。
ダイヤフラム10及び基台15は、第1の実施形態の圧力検出ユニット1のダイヤフラ
ム10及び基台15と同様に構成されている。
枠付圧電振動片30は、矩形状の外枠31と、第1の圧電振動片(双音叉型水晶振動素
子)32と、この第1の圧電振動片32の基部33を支持する支持片34と、第2の圧電
振動片(音叉型水晶振動素子)35と、を備えている。
枠付圧電振動片30は、第1の圧電振動片32の一対の基部33と、外枠31の内側と
を、それぞれ2つの支持片34にて一体的に連結し、第2の圧電振動片35の一対の振動
腕と、外枠31の内側とを、連結して構成される。なお、外枠31と、第1の圧電振動片
32と、支持片34と、第2の圧電振動片35とは、同一平面上にある。
枠付圧電振動片30は、音叉型水晶振動子の製造に用いられているフォトグラフィ技法
とエッチング手法を用いて、水晶Z板を加工し、形成することができる。
【0050】
圧力検出ユニット2の構成は、まずダイヤフラム10の枠部12及び薄肉部11に設け
た一対の支持部13a、13bと、基台15の枠部17の上面と、に接着剤を塗布する。
そして、ダイヤフラム10、枠付圧電振動片30、基台15の順にそれぞれの外周を合わ
せるように積層して構成する。
圧力検出ユニット2の動作は、図8に示した圧力検出ユニット1の動作と同様であるの
で、説明を省く。
圧力検出ユニット2の特徴は、図8の圧力検出ユニット1と異なり、第1の圧電振動片
32と、第2の圧電振動片35とが離れており、音響的結合が極めて小さくなり、相互の
音響的干渉による圧力検出精度の劣化がないという点である。
【0051】
図13(a)は、枠付圧電振動片30に形成される双音叉型水晶振動素子32及び音叉
型水晶振動素子35から延在するリード電極(引出電極)の一例を示す平面図である。
双音叉型水晶振動素子32及び音叉型水晶振動素子35それ自体の励振電極については
周知されているので省く。双音叉型水晶振動素子32の電極端子をt3、t4とし、この
電極端子t3、t4からそれぞれ支持片34上と、外枠31上を経由して外枠31の端部
に設けた端子電極T3、T4までリード電極L3、L4を延在する。また、音叉型水晶振
動素子35の電極端子をt1、t2とし、この電極端子t1、t2からそれぞれ外枠31
の端部に設けた端子電極T1、T2までリード電極L1、L2を延在する。このようにリ
ード電極L1、L2、L3、L4と、端子電極T1、T2、T3、T4を設けることによ
り、端子電極T1、T2、T3、T4を介して音叉型水晶振動素子35と双音叉型水晶振
動素子32とを励振することができる。
図13(b)は圧力検出ユニット2の一例であって、ダイヤフラム10の長手方向(双
音叉型水晶振動素子32のビーム方向)の寸法を、基台15及び枠付圧電振動片30の寸
法より短くした例である。枠付圧電振動片30の外枠31の端部に設けた端子電極T1、
T2、T3、T4が、圧力検出ユニット2の外面に露出するので、外部の電気回路との接
続が容易となる。
図8に示した圧力検出ユニット1は、フォトリソグラフィ技法を用いて、複合振動片2
0を形成し、この複合振動片20をダイヤフラム10の支持部13a、13bに接着して
、圧力検出ユニット1を構成した。しかし、図12の圧力検出ユニット2と同様に、図1
4(a)の平面図、同図(b)の側面図に示すように、枠付圧電振動片20’を形成し、
圧力検出ユニット1’を構成してもよい。このような構成法の方が、プロセス技術が活用
できるので、コスト低減と品質の安定化が図れる。
【0052】
図15(a)はダイヤフラム10の内部からみた平面図であり、薄肉部11のY’軸方
向の寸法をL、X軸方向の寸法をWとする。ダイヤフラム10の外面に一定の圧力を加え
た際の、寸法L、Wと、応力感度との関係をシミュレーションにより求めた。図15(b
)は、X軸方向の寸法Wを一定(W=2mm)とし、Y’軸方向の寸法Lを4.0mmか
ら4.6mmまで変化させた場合の寸法Lと応力感度との関係を示す曲線である。また、
図15(c)はY’軸方向の寸法Lを一定(L=4.0mm)とし、X軸方向の寸法Wを
2.0mmから2.6mmまで変化させた場合の寸法Wと応力感度との関係を示す曲線で
ある。図8(b)よりY’軸方向の寸法Lを増加しても応力感度はむしろ劣化するが、同
図(c)よりX軸方向の寸法Wを増加すると応力感度は大きくなることが分かる。
【0053】
図16は、第3の実施形態の圧力検出ユニット3の構成を示す図であり、同図(a)は
断面図、同図(b)は枠付圧電振動片30’の平面図、同図(c)は(b)の側面図であ
る。
図16に示した薄肉部11の形状寸法と応力感度とのシミュレーション結果に基づき、
応力感度を増すためには圧力検出ユニットのX軸方向の寸法を大きくすることが、効果が
あることが判明した。図16(b)では第2の圧電振動片(音叉型水晶振動素子)35は
、Y’軸方向の外枠31に連結した構成になっている。これに対し、図12(b)の枠付
圧電振動片30では、第2の圧電振動片35は、X軸方向の外枠31に連結するように設
けてあり、この構成ではY’軸方向の寸法が長くなり、応力感度の改善効果は小さい。
圧力検出ユニット3の動作は、図8に示した圧力検出ユニット1の動作と同様であるの
で、説明は省略する。
【0054】
圧力検出ユニット3の特徴は、第1の圧電振動片32と、第2の圧電振動片35との相
互の音響的干渉による圧力検出精度の劣化がないという点と、X軸方向の寸法を大きくす
ることにより応力感度が、圧力検出ユニットに比べ改善されている点である。
また、同一の外枠に連結して形成されている第1の圧電振動片及び第2の圧電振動片を
用いて圧力検出ユニットを構成するので、大型ウエハを用いたプロセス処理が可能となり
、小型化、コスト低減が可能となる。更に、ダイヤフラム及び基台の枠部12、17と、
第1の圧電振動片及び第2の圧電振動片を連結する外枠31と、を合わせるように圧力検
出ユニットの組み立てることにより、組み立て精度が改善されると共に容易になる。また
、第1の圧電振動片の温度をデジタル量として正確に検出できるので、第1の圧電振動片
が検出する応力の温度変化による誤差を補正することができ、圧力の測定精度が大きく改
善される。その上、電流の低消費化に大いに効果がある。
圧力検出ユニット1におけるダイヤフラム10と基台15の接合、圧力検出ユニット2
、3におけるダイヤフラム10と、枠付圧電振動片30、30’と、基台15との接合に
接着剤を用いると説明した。しかし、接合は接着剤のみに限定するもはではなく、無機の
接合材料、例えば低融点ガラスを用いた接合、又は直接接合であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態及び各変形例では、圧力センサーの感圧素子として双音叉型水晶振
動子を用いたが、これに限定するものではなく、図17に示すような感圧素子を用いても
よい。
図17は、他の実施形態の圧力センサーの概略構成を示す模式展開斜視図である。なお
、上記実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態
と異なる部分を中心に説明する。図17に示すように、圧力センサーは、感圧部としての
振動片部が一つである柱状ビーム58からなる(シングルビームともいう)振動素子が、
感圧素子として感圧素子層に形成されている。
これにより、圧力センサーは、上記実施形態の圧力センサーと同様に、圧力の変化に伴
い前記振動素子の共振周波数の変化により、外部からの圧力を検出することができる。
前記振動素子の切断角度を適切に設定することにより、動作状態でその周波数温度特性
の頂点温度を使用温度範囲内に位置するようにすることができ、温度変化による圧力検出
ユニットの検出精度を高めることができるという効果がある。
【0056】
図18(a)は、応力センサーの構成を示すブロック図である。
応力センサー5は、応力検出ユニット1(2、3)と、応力検出回路50とからなる。
応力検出ユニット1(2、3)については、既に説明したので詳細な説明は省略する。応
力検出回路50は、第1及び第2の発振回路51a、51b、第1及び第2の周波数カウ
ンター52a、52b、処理回路53を備える。
第1の発振回路51aは、応力検出ユニット1の第1の圧電振動片23(32)を動作
させる。第2の発振回路51bは、第2の圧電振動片26(35)を動作させる。第1の
周波数カウンター52aは、第1の発振回路51aから出力される応力検出信号の周波数
をカウントする。第2の周波数カウンター52bは、第2の発振回路51bから出力され
る温度検出信号の周波数をカウントする。処理回路53は、第2の周波数カウンター52
bから出力される周波数カウント信号を演算して温度を検出し、この温度検出結果に基づ
いて、第1の周波数カウンター52aから出力される周波数カウント信号を補正する処理
を行う。また補正した信号を演算して応力を求める処理を行う。
【0057】
このように構成される応力センサー5では、発振回路の消費電流は20μA、基準20
MHzで24ビット、非同期式の周波数カウンターの消費電流は20μAであり、アナロ
グ方式の温度検出方式に比べて1/10の消費電流と、大幅に低減することができる。
また、既に説明した圧力検出ユニット1(2、3)と、発振回路及び周波数カウンター
等からなる応力検出回路50とを用いて圧力センサーを構成するので、小型な圧力センサ
ーが構成できると共に、温度補正により圧力測定精度が改善され、消費電流を大幅に低減
できるという効果がある。
【0058】
図18(b)は応力センサーの他の構成例を示すブロック図である。
この図18(b)に示す応力センサー6は、応力検出ユニット1(2、3)と、応力検
出回路56とからなる。応力検出回路56は、発振回路51、周波数カウンター52、処
理回路53、及び切換器55と、を備えている。
発振回路51は、切換器55を介して接続される応力検出ユニット1(2、3)の第1
の圧電振動片23(32)、又は第2の圧電振動片26(35)を動作させる。周波数カ
ウンター52は、発振回路51から出力される応力、又は温度検出信号の周波数をカウン
トする。処理回路53は、例えば切換回路55を時分割に制御して、周波数カウンター5
2から時分割的に出力される周波数カウント信号を演算して温度を検出し、この温度検出
結果に基づいて、周波数カウンター52から時分割的に出力される周波数カウント信号を
補正する処理を行う。また補正した信号を演算して応力を求める処理を行う。
このように構成される応力センサー6は、応力検出ユニット1に切換器55を介して発
振回路51が接続されることにより、図18(a)に示した応力センサー5と比較して発
振回路、周波数カウンターをそれぞれ1個削減することが可能となる。
よって、小型な圧力検出ユニットが構成できると共に、圧力測定精度が図18(a)の
圧力センサーと同等で、消費電流はそれより低減できるという効果がある。
【符号の説明】
【0059】
A1…ダイヤフラム基板、B1…双音叉型振動素子基板、B2…双音叉型振動素子、B3
…支持片、1、1’、2、3…圧力検出ユニット、5、6…圧力センサー、10…ダイヤ
フラム、11…薄肉部、12…枠部、13a、13b…支持部、15…基台、16…薄肉
部、17…枠部、19…内部、20…複合圧電振動片、23、32…第1の圧電振動片、
24a、24b…基部、25a、25b…応力感応部(振動腕)、26、35…第2の圧
電振動片、27…基部、28…振動腕、20’、30、30’…枠付圧電振動片、31…
外枠、33…基部、34…支持片、50、56…応力検出回路、51、51a、51b…
発振回路、52、52a、52b…周波数カウンター、53…処理回路、54…出力、5
5…切換器、t1、t2.t3、t4…電極端子、T1、T2、T3、T4…端子電極、
L1、L2、L3、L4…リード電極、58…柱状ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する第1の圧電振動片と、
振動腕及び該振動腕の一端部に一体化された基部を有する第2の圧電振動片と、
前記第1の圧電振動片の基部が接合される一対の支持部を有するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムと対向配置される基台と、を備え、
前記第2の圧電振動片の基部は前記第1の圧電振動片の一方の基部に同一面内で連結さ
れていることを特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項2】
振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する第1の圧電振動片と、前記
第1の圧電振動片を囲む枠部と、前記枠部と各前記基部とを接続する支持片とを有する第
1の圧電振動片層と、
振動腕及び該振動腕の一端部に一体化された基部を有する第2の圧電振動片と、
前記第1の圧電振動片層の一方の主面側を覆うと共に、前記第1の圧電振動片の基部が
接合される一対の支持部を有すダイヤフラム層と、
前記第1の圧電振動片層の他方の主面側を覆う基台層と、を備え、
前記第2の圧電振動片の基部は前記外枠部の一辺に連結され、
前記第2の圧電振動片と前記第1の圧電振動片とは同一平面内に配置されていることを
特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧力検出ユニットおいて、
前記第1の圧電振動片は上に凸の二次特性の周波数温度特性を有し、
負荷が加えられたときに周波数温度特性の頂点が使用温度範囲内に位置するように前記
第1の圧電振動片の切断角度が設定されていることを特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の圧力検出ユニットおいて、前記振動部が、少なくとも一以上の
柱状ビームから構成されていることを特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の圧力検出ユニットにおいて、前記第2の圧電振動片が音叉型振
動素子であることを特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項6】
振動部と該振動部の両端に接続される一対の基部とを有する圧電振動片と、
前記圧電振動片の基部が接合される一対の支持部を有するダイヤフラムと、
前記ダイヤフラムと対向配置される基台と、を備え、
前記圧電振動片は上に凸の二次特性の周波数温度特性を有し、
負荷が加えられたときに周波数温度特性の頂点が使用温度範囲内に位置するように前記
圧電振動片の切断角度が設定されていることを特徴とする圧力検出ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の圧力検出ユニットと、応力検出回路と、を有し、
前記応力検出回路は、前記応力検出ユニットの第1の圧電振動片を動作させる第1の発
振回路と、前記第2の圧電振動片を動作させる第2の発振回路と、前記第1の発振回路か
ら出力される応力検出信号の周波数をカウントする第1の周波数カウンターと、前記第2
の発振回路から出力される温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数カウンター
と、前記第2の周波数カウンターから出力される周波数カウント信号を、前記第1の周波
数カウンターから出力される周波数カウント信号により補正処理を行う処理回路と、を備
えたことを特徴とする圧力センサー。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の圧力検出ユニットと、応力検出回路と、を有し、
前記応力検出回路は、切換器を介して接続される第1の圧電振動片、又は第2の圧電振
動片を動作させる発振回路と、該発振回路から出力される第1の圧電振動片の出力信号、
又は第1の圧電振動片の出力信号の周波数をカウントする周波数カウンターと、該周波数
カウンターから出力される周波数カウント信号の補正処理を行う処理回路と、を備えたこ
とを特徴とする圧力センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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