説明

圧力検出用部品および圧力検出用装置

【課題】圧力検出用部品において、枠状部に求められる寸法精度を低減する。
【解決手段】
圧力検出用部品10は、絶縁基体1と、絶縁基体1上に設けられた枠状部2と、絶縁基体1との間に密閉空間13を形成するように枠状部上に設けられたダイヤフラム3と、ダイヤフラム3の絶縁基体1と対向する側の面に相互に離間させて設けられた、静電容量形成用の第1の電極パターン41および第2の電極パターン42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出用部品およびこれを用いた圧力検出用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力を検出するための圧力検出用部品として、静電容量型の圧力検出用部品が知られている。静電容量型の圧力検出用部品としては、例えば、特許文献1に記載の圧力センサ(圧力検出用部品)が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の圧力検出用部品は、基板(絶縁基体)およびダイヤフラムの互いに対向するそれぞれの表面に電極が形成されており、ダイヤフラムの歪みによる電極間の静電容量の変化を測定することで、ダイヤフラムにかかる圧力の大きさを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−16930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の圧力検出用部品は、絶縁基体とダイヤフラムとの間にガラススペーサ(枠状部)が設けられており、絶縁基体およびダイヤフラムのそれぞれに電極が形成されていることから、枠状部の厚みが電極間距離に大きな影響を与えていた。そのため、枠状部の厚みに高い寸法精度が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に基づく圧力検出用部品は、絶縁基体と、絶縁基体上に設けられた枠状部と、絶縁基体との間に密閉空間を形成するように枠状部上に設けられたダイヤフラムと、ダイヤフラムの絶縁基体と対向する側の面に相互に離間させて設けられた、静電容量形成用の第1の電極パターンおよび第2の電極パターンとを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様に基づく圧力検出用部品によれば、静電容量形成用の第1の電極パターンおよび第2の電極パターンがダイヤフラムの絶縁基体と対向する側の面に設けられている。第1の電極パターンおよび第2の電極パターンとの間には静電容量が形成される。ダイヤフラムが外部から圧力を受けたときに、その応力に応じてダイヤフラムが撓んで、第1の電極パターンと第2の電極パターンとの間隔が変化する。この静電容量の変化を測定することによって外部の圧力の大きさを検知することができる。これにより、絶縁基体およびダイヤフラムのそれぞれに電極パターンが設けられている場合と比較して、枠状部の厚さの電極間の距離に与える影響が低減されている。このため、圧力検出用部品は、枠状部の厚みに必要な寸法精度が低減されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態の例の圧力検出用部品およびこれを用いた圧力検出用装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧力検出用部品のダイヤフラムの下面図である。
【図3】図1に示す圧力検出用部品のダイヤフラムの変形例を示す下面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の例の圧力検出用部品およびこれを用いた圧力検出用装置を示す断面図である。
【図5】図4に示す圧力検出用部品のダイヤフラムの下面側から見た斜視図である。
【図6】図4に示す圧力検出用部品のダイヤフラムの変形例を下面側から見た斜視図である。
【図7】図4に示す圧力検出用部品のダイヤフラムの変形例を下面側から見た斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の例の圧力検出用部品のダイヤフラムを第1の電極板の主面に垂直な断面で見た断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の例の圧力検出用部品およびこれを用いた圧力検出用装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のいくつかの実施形態の例について図面を参照して説明する。
【0010】
図1〜3に示すように、本発明の第1の実施形態の例の圧力検出用部品10は、絶縁基体1と、絶縁基体1の上面に設けられた枠状部2と、絶縁基体1との間に密閉空間13を形成するように枠状部2上に設けられたダイヤフラム3と、ダイヤフラム3の絶縁基体1と対向する側の面に相互に離間させて設けられた、静電容量形成用の第1の電極パターン41および第2の電極パターン42とを備えている。第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間には静電容量が形成される。ダイヤフラム3が外部から圧力を受けたときに、その圧力に応じてダイヤフラム3が撓んで、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間隔が変化する。これにより、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を測定し、演算を行なうことによって外部の圧力の大きさを求めることができる。なお、圧力の大きさを求めるための演算は、絶縁基体1の下面の凹部16に半導体素子6を設け、この半導体素子6を用いて行なうことができる。また、圧力検出用部品10の外部に別途装置を設け、この装置を用いて演算を行なうこともできる。
【0011】
本発明の第1の実施形態の例の圧力検出用部品10は、静電容量形成用の第1の電極パターン41および第2の電極パターン42がダイヤフラム3の絶縁基体1と対向する側の面に設けられている。これにより、絶縁基体1とダイヤフラム3のそれぞれに電極パターンが設けられている場合と比較して、枠状部2の厚みの電極間の距離に与える影響が低減されている。このため、圧力検出用部品10は、枠状部2の厚みに必要な寸法精度が低減されている。
【0012】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における絶縁基体1は、平面視したときの形状が円形状である。また、絶縁基体1の下面側には半導体素子6を収納するための凹部16が形成されている。このように、平面視したときに絶縁基体1の形状が円形状であることから、ダイヤフラム3に外部の圧力が加わった際に枠状部2を経由して絶縁基体1に伝わる力が偏ることを抑制することができる。その結果、絶縁基体1に部分的に大きな変形が生じる可能性を低減することができるので、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。なお、本例においては、絶縁基体1は平面視したときの形状が円形状であるが、特にこれに限られるものではなく、四角形状、楕円形状、または多角形状であってもよい。
【0013】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における絶縁基体1としては、酸化アルミニウム質焼結体(Al)、窒化アルミニウム質焼結体(AlN)、ムライト質焼結体(3Al・2SiO)、炭化珪素質焼結体(SiC)、窒化珪素質焼結体(Si)またはガラスセラミックス等の絶縁材料を用いることができる。
【0014】
また、絶縁基体1の上面の外周部であって枠状部2が設けられる領域には、第1の金属
層81が設けられている。第1の金属層81が設けられることによって、絶縁基体1と絶縁基体1の上面に設けられる枠状部2とをろう付けする場合に、相互の接合性を向上させることができる。第1の金属層81としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。
【0015】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における枠状部2は、絶縁基体1の上面に設けられている。このように、枠状部2が設けられていることによって、絶縁基体1とダイヤフラム3との間に所定の間隔を確保することができる。これにより、ダイヤフラム3に外部の圧力が加わったときに、ダイヤフラム3を撓ませることができる。
【0016】
また、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10は、枠状部2の厚みの電極間の距離に与える影響が低減されていることにより、従来の圧力検出用部品と比較して、枠上部2の厚みを大きくすることができる。これにより、ダイヤフラム3を大きく撓ませることができるようになるため、圧力検出用部品10は、外部から加わる圧力の検出範囲が拡大されている。
【0017】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における枠状部2は、枠状部2の内周が円形状である。このように、平面視したときに枠状部2の内周が円形状であることから、ダイヤフラム3に外部の圧力が加わった際に枠状部2に伝わる力を分散させて絶縁基体1に伝えることができる。その結果、絶縁基体1に部分的に大きな変形が生じる可能性を低減することができるので、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。なお、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10においては、枠状部2の内周が円形状であるが、特にこれに限られるものではなく、四角形状、楕円形状、または多角形状であってもよい。
【0018】
枠状部2は、絶縁材料によって形成される。具体的には、酸化アルミニウム質焼結体(Al)、窒化アルミニウム質焼結体(AlN)、ムライト質焼結体(3Al・2SiO)、炭化珪素質焼結体(SiC)、窒化珪素質焼結体(Si)またはガラスセラミックス等の絶縁材料を用いることができる。さらに、枠状部2は、絶縁基体1と同じ材料を用いて形成されることが好ましい。これにより枠状部2と絶縁基体1との熱膨張率差を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができるからである。
【0019】
また、枠状部2の下面には第2の金属層82が、上面には第3の金属層83が、それぞれ設けられている。これらの第2の金属層82および第3の金属層83が設けられることによって、枠状部2と絶縁基体1との接合性および枠状部2と枠状部2の上に設けられるダイヤフラム3とをろう付けする場合に、相互の接合性を向上させることができる。第2の金属層82および第3の金属層83としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)および銀(Ag)等を用いることができる。
【0020】
枠状部2は第1の金属層81および第2の金属層82を介してろう材等によって絶縁基体1に接合されている。ろう材としては、例えば銀ろうを用いることができる。
【0021】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10におけるダイヤフラム3は、絶縁基体1との間に密閉空間13を形成するように枠状部2の上に設けられている。
【0022】
ダイヤフラム3は、平面視したときの形状が円形状である。これにより、外部から圧力を受けたときにダイヤフラム3に生じる応力のばらつきを小さくすることができる。そのため、圧力検出用部品10の感度を向上させることができる。なお、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10においては、ダイヤフラム3は円形状であるが、特にこれに限られ
るものではなく、四角形状、楕円形状、または多角形状であってもよい。
【0023】
ダイヤフラム3は、絶縁材料によって形成される。具体的には、酸化アルミニウム質焼結体(Al)、窒化アルミニウム質焼結体(AlN)、ムライト質焼結体(3Al・2SiO)、炭化珪素質焼結体(SiC)、窒化珪素質焼結体(Si)またはガラスセラミックス等の絶縁材料を用いることができる。さらに、ダイヤフラム3は、枠状部2と同じ材料を用いて形成されることが好ましい。これによりダイヤフラム3と枠状部2との熱膨張率差を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができるからである。
【0024】
また、ダイヤフラム3の下面の外周部には、第4の金属層84が設けられている。このような第4の金属層84が設けられることによって、ダイヤフラム3と枠状部2とをろう付けする場合に、相互の接合性が向上されている。第4の金属層84としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。
【0025】
ダイヤフラム3は第4の金属層84を介してろう材等によって枠状部2に接合されている。ろう材としては、例えば銀ろうを用いることができる。
【0026】
このように、ダイヤフラム3と絶縁基体1とによる密閉空間13の形成は、絶縁基体1と枠状部2および枠状部2とダイヤフラム3をろう材によって接合することにより行うことができる。これにより、後述する第1の電極パターン41および第2の電極パターン42の外気による変質を抑制することができる。その結果、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。なお、密閉空間13の内部には、不活性気体を充填することができる。不活性気体としては、窒素(N)またはアルゴン(Ar)等を用いることができる。これにより、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42の変質をさらに抑制することができる。
【0027】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における第1の電極パターン41および第2の電極パターン42は、ダイヤフラム3の絶縁基体1と対向する側の面に相互に離間されて設けられている。第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間には静電容量が形成される。ダイヤフラム3が外部から圧力を受けたときに、その圧力に応じてダイヤフラム3が撓んで、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間隔が変化する。これにより、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を測定し、演算を行なうことによって外部の圧力の大きさを求めることができる。なお、圧力の大きさを求めるための演算は、絶縁基体1の下面の凹部16に半導体素子6を設け、この半導体素子6を用いて行なうことができる。また、圧力検出用部品10の外部に別途装置を設け、この装置を用いて演算を行なうこともできる。
【0028】
そして、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42がダイヤフラム3の絶縁基体1と対向する側の面に設けられていることにより、絶縁基体1およびダイヤフラム3のそれぞれに電極パターンが設けられている場合と比較して、電極パターン間の距離の調整を容易に行なうことができる。
【0029】
また、枠状部2とダイヤフラム3とが接する領域において、第1の電極パターン41は後述する第1の配線導体51と、第2の電極パターン42は後述する第2の配線導体52と、それぞれ電気的に接続されている。なお、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42は、短絡を防止するために、第4の金属層84と離間するように設けられている。
【0030】
第1の電極パターン41および第2の電極パターン42としては、導電性の良好な材料を用いることが望ましい。具体的には、導電性の良好な材料として、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。
【0031】
図2に示すように、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10における第1の電極パターン41および第2の電極パターン42のそれぞれは、複数の電極指の端部が共通電極によって接続された櫛状のパターンとなっている。また、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42は、櫛状のパターンのそれぞれの電極指が交互に並ぶように互いに向かい合わせて配置された、いわゆるIDT電極の配置となっている。これにより、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42とが対向している部分の長さを大きく確保することができる。したがって、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間に形成される静電容量を大きくすることができ、圧力検出用部品10の外部からの圧力に対する感度を向上させることができる。
【0032】
図2においては、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42は、4本の電極指410および電極指420を備えているが、形成される静電容量を考慮すると50本以上備えていることが好ましい。
【0033】
また、図3に示すようにダイヤフラム3の最大振幅部31を中心として、これを所定の間隔を空けて囲むように第1の電極パターン341を設け、この第1の電極パターン341を囲むように第2の電極パターン342を設けてもよい。このように最大振幅部31を避けて電極パターンが設けられていることにより、第1の電極パターン341および第2の電極パターン342を設けることによるダイヤフラムの変形への影響を低減することができる。
【0034】
なお、ここでいうダイヤフラム3の「最大振幅部」とは、枠状部2の上に設けられた状態のダイヤフラム3に圧力を加えた際に、ダイヤフラム3が最も大きく撓む部分を意味する。一般的なダイヤフラム3における最大振幅部31は、枠状部2の内周の平面視形状が円形状である場合は、ダイヤフラム3の下面のうち密閉空間13に面している領域の中央部分である。また、枠状部2の内周の平面視形状が四角形状または正多角形状である場合は、圧力検出用部品10を平面透視したときに、ダイヤフラム3のうち枠状部2の内周の対角線の交点と重なる部分が最大振幅部31である。
【0035】
なお、このようにダイヤフラム3の最大振幅部31を中心として、これを囲むように第1の電極パターン41を設け、この第1の電極パターン41を囲むように第2の電極パターン42を設けるように配置した場合、第1の電極パターン41と第1の配線導体51とを接続するための、第3の配線導体53をダイヤフラム3の内部に形成することが望ましい。これにより、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との短絡の可能性を低減しつつ、第1の電極パターン41と後述する第1の配線導体51との接続を行なうことができる。
【0036】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10は、さらに第1の配線導体51および第2の配線導体52を備えている。第1の配線導体51は、第1の電極パターン41および絶縁基体1の凹部16に設けられる半導体素子6を電気的に接続するために設けられている。また、第2の配線導体52は第2の電極パターン42および半導体素子6を電気的に接続するために設けられている。第1の配線導体51および第2の配線導体52は、枠状部2および絶縁基体1の内部に設けられており、枠状部2の上面および絶縁基体1の凹部16にそれぞれ露出している。なお、短絡を防止するために、第1の配線導体51および第2の配線導体52は、それぞれ互いに離間し、さらに第1の金属層81、第2の金属層82
および第3の金属層83と離間するように設けられている。
【0037】
第1の配線導体51および第2の配線導体52としては、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。
【0038】
第1の実施形態の例の圧力検出用部品10は、さらに外部配線導体7を備えている。外部配線導体7は、絶縁基体1の凹部16に設けられる半導体素子6および外部回路(図示せず)の間で電気信号を伝送するために設けられている。外部配線導体7は、一方の端部が凹部16に露出するように設けられ、他方の端部が絶縁基体1の下面のうち、凹部16の外側の部位に露出するように設けられている。
【0039】
外部配線導体7としては、導電性の良好な材料を用いることが望ましい。具体的には、導電性の良好な材料として、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。
【0040】
なお、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10においては、絶縁基体1、枠状部2およびダイヤフラム3はそれぞれ別々に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、絶縁基体1と枠状部2、または、枠状部2とダイヤフラム3が一体的に形成されていてもよい。これにより圧力検出用部品10の部品点数を減らすことができる。さらに、一体的に形成した部位間においては、接合用の金属層を形成する必要がないため、圧力検出用部品10の構造を簡略化することができる点で好ましい。
【0041】
また、例えば絶縁基体1、枠状部2またはダイヤフラム3が酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤、分散剤を添加混合して泥漿状となすとともにこれをドクタブレード法を採用してシート状に成形してセラミックグリーンシートとなし、しかる後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工や切断加工を施すとともにこれを約1600℃の高温で焼成することで作製される。また、第1の配線導体51、第2の配線導体52、外部配線導体53、第1の金属層81、第2の金属層82、第3の金属層83、第4の金属層84、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42は、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ、溶剤、可塑剤および分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法を採用して絶縁基体1用、枠状部2用またはダイヤフラム3用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを絶縁基体1、枠状部2またはダイヤフラム3用の生セラミック成形体とともに焼成することによって所定のパターンに形成される。
【0042】
なお、枠状部2とダイヤフラム3との接合には、ガラスを用いることもできる。例えば、枠状部2およびダイヤフラム3をガラスセラミックにより形成し、これらを加熱することで接合することができる。また、枠状部2とダイヤフラム3との間にガラスペーストを接合材として設けることもできる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態の例の圧力検出用部品10について説明する。なお、本例の各構成において、第1の実施形態と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図4〜7に示すように、第2の実施形態の例の圧力検出用部品10は、第1の実施形態の例の圧力検出用部品10と同様の構成に加えて、第1の電極板91および第2の電極板92が設けられている。
【0045】
本例において、第1の電極板91は、第1の電極パターン41に端面が取り付けられて
おり、第2の電極板92は、第2の電極パターン42に端面の部位が取り付けられている。そして、第1の電極板91および第2の電極板92は、主面同士が互いに対向するように間隔をあけて取り付けられている。これにより、第1の電極パターン41と第2の電極パターン42との間だけでなく、第1の電極板91と第2の電極板92との間にも静電容量が形成されるため、ダイヤフラム3が撓んだ際の静電容量の変化が大きくなる。その結果、圧力検出用部品10の圧力に対する感度を向上させることができる。
【0046】
第1の電極板91および第2の電極板92としては、導電性の良好な材料を用いることが望ましい。具体的には、導電性の良好な材料として、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)または銀(Ag)等を用いることができる。さらに、第1の電極板91および第2の電極板92は、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42と同じ材料を用いて形成してもよい。これにより第1の電極板91と第1の電極パターン41との熱膨張率差および第2の電極板92と第2の電極パターン42との熱膨張率差を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。
【0047】
第1の電極板91および第2の電極板92は、例えば銅から成る場合、銅板に打ち抜き加工を施すことにより作製することができる。第1の電極板91と第1の電極パターン41および第2の電極板92と第2の電極パターン42の接合は、例えばろう材等によって行なうことができる。
【0048】
また、第1の電極板91および第2の電極板92は、ダイヤフラム3の下面を樹脂等のマスキング層で覆い、このマスキング層に第1の電極パターン41または第2の電極パターン42が露出するような孔を設け、この孔に第1の電極板91または第2の電極板92となるタングステン等の金属ペーストを充填し、これを焼結することによって作製することもできる。
【0049】
また、図6に示すように第1の電極板691および第2の電極板692は、それぞれの主面がダイヤフラム3の最大振幅部31に向くように配置してもよい。このように第1の電極板691および第2の電極板692を主面が最大振幅部31に向くように配置することによって、第1の電極パターン641および第2の電極パターン642を設けることによるダイヤフラムの変形への影響を低減することができる。また、第1の電極板691および第2の電極板692を上記のように取り付けることにより、ダイヤフラム3が撓んだ際に第1の電極板691および第2の電極板692に生じる応力を低減することができる。そのため、第1の電極板691および第2の電極板692に割れ等の不具合が生じる可能性を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。
【0050】
さらに、図7に示すように第1の電極板791および第2の電極板792のそれぞれが、ダイヤフラム3の下面に対して平行な断面が円形状または長円形状であってもよい。これにより、ダイヤフラム3が撓んで第1の電極板791および第2の電極板792に応力が生じた際に第1の電極板791および第2の電極板792に割れが生じる可能性を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態の例の圧力検出用部品10について説明する。なお、本例の各構成において、第2の実施形態の例の圧力検出用部品10と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0052】
図8に示すように、第3の実施形態の例の圧力検出用部品10は、第2の実施形態の例の圧力検出用部品10と比較して、第1の電極板891および第2の電極板892の取り付け方が異なっている。本例において、第1の電極板891および第2の電極板892は、ダイヤフラム3の下面に対して傾斜して取り付けられている。これにより、第1の電極
板891および第2の電極板892が垂直方向に取り付けられている場合と比べて、ダイヤフラム3が撓んだ際にそれぞれの電極板が絶縁基体1と接触する可能性が低減されている。その結果、取り付けられる電極板の主面をさらに大きなものとすることができるため、第1の電極板891と第2の電極板892との間に形成される静電容量を大きくすることができる。したがって、圧力検出用部品10の圧力に対する感度が向上されている。
【0053】
また、第3の実施形態の例の圧力検出用部品10は、第1の電極板891および第2の電極板892が、傾斜して取り付けられていることによって、第1の電極板891と第2の電極板892との間隔を小さなものとすることができる。これにより、第1の電極板891と第2の電極板892との間に形成される静電容量を大きくすることができる。したがって、圧力検出用部品10の圧力に対する感度を向上させることができる。
【0054】
次に、本発明の第4の実施形態の例の圧力検出用部品10について説明する。なお、本例の各構成において、第2の実施形態の例の圧力検出用部品10と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図9に示すように、第4の実施形態の例の圧力検出用部品10は、第2の実施形態の例の圧力検出用部品10と比較して、第1の電極板991および第2の電極板992の形状が異なっている。第1の電極板991および第2の電極板992は、ダイヤフラム3の下面に対して平行な断面でみたときに、いずれも第1の電極パターン41および第2の電極パターン42との接合部において断面積が最小となっている。これにより、ダイヤフラム3が撓んだ際に第1の電極板991および第2の電極板992に生じる応力を低減することができる。そのため、第1の電極板991および第2の電極板992に割れ等の不具合が生じる可能性を低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性を向上させることができる。なお、ここでいう「断面積」のうち、上記の接合部における「断面積」とは、第1の電極板991と第1の電極パターン41および第2の電極板992と第2の電極パターン42の接合面積と置き換えることができる。
【0056】
なお、第1の電極板991および第2の電極板992のダイヤフラム3の下面に対して平行な断面における断面積は、ダイヤフラム3との接合部から離れるにつれて段階的に大きくすることができる。それぞれの電極板において、断面積を急激に変化させずに段階的に変化させることによって、電極板に応力が生じた際に力が部分的に集中する可能性を低減することができる。そのため、第1の電極板991および第2の電極板992に割れ等の不具合が生じる可能性をさらに低減することができ、圧力検出用部品10の信頼性をさらに向上させることができる。
【0057】
本発明の実施形態の例の圧力検出用装置100は、上記の実施形態の例に代表される圧力検出用部品10と、この圧力検出用部品10における絶縁基体1の凹部16に収納された半導体素子6とを備えている。このように、枠状部2の厚みに必要な寸法精度が低減されている圧力検出用部品10を備えていることから、圧力検出用装置100の生産性を向上させることができる。
【0058】
本発明の実施形態の例の圧力検出用装置100における半導体素子6は、第1の配線導体、第2の配線導体および外部配線導体7に接続されている。半導体素子6は、第1の配線導体および第2の配線導体を介して伝達された静電容量の変化から、ダイヤフラム3に加えられた圧力を演算し、その結果を外部配線導体7に出力する機能を備えている。半導体素子6は、絶縁基体1の下面の凹部16に設けられており、樹脂によって気密封止されている。半導体素子6が絶縁基体1の下面に設けられていることにより、別部材に半導体素子6が設けられている場合と比較して、第1の電極パターン41および第2の電極パターン42と半導体素子6との間の配線長さを小さくすることができる。これにより、第1
の配線導体51および第2の配線導体52間で生まれる不要な静電容量の形成を小さくすることができる。その結果、圧力検出用装置100は、ダイヤフラム3に加えられた外部からの圧力を精度よく検知することができる。また、半導体素子6は、樹脂によって気密封止されていることにより、耐久性が向上している。
【0059】
第1の配線導体51、第2の配線導体52および外部配線導体7と半導体素子6との接続方法としては、例えば、はんだバンプ、金バンプ、導電性樹脂またはワイヤーボンディングを用いることができる。
【0060】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更や実施の形態の組合せを行うことは何等差し支えない。
【符号の説明】
【0061】
1:絶縁基体
2:枠状部
3:ダイヤフラム
31:最大振幅部
41:第1の電極パターン
42:第2の電極パターン
51:第1の配線導体
52:第2の配線導体
6:半導体素子
91:第1の電極板
92:第2の電極板
10:圧力検出用部品
100:圧力検出用装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基体と、
該絶縁基体上に設けられた枠状部と、
前記絶縁基体との間に密閉空間を形成するように前記枠状部上に設けられたダイヤフラムと、
該ダイヤフラムの前記絶縁基体と対向する側の面に相互に離間させて設けられた、静電容量形成用の第1の電極パターンおよび第2の電極パターンとを備えた圧力検出用部品。
【請求項2】
前記第1の電極パターンに端面の部位が取り付けられた第1の電極板および前記第2の電極パターンに端面の部位が取り付けられた第2の電極板をさらに備え、
前記第1の電極板および前記第2の電極板は、主面同士が互いに対向するように間隔をあけて取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出用部品。
【請求項3】
前記ダイヤフラムを前記絶縁基体と対向する側の面から平面視したときに、前記第1の電極板および前記第2の電極板は、主面が前記ダイヤフラムの可動領域の最大振幅部に向かうように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の圧力検出用部品。
【請求項4】
前記第1の電極板および前記第2の電極板は、いずれも前記ダイヤフラムの下面に対して傾斜させて取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の圧力検出用部品。
【請求項5】
前記第1の電極板および前記第2の電極板は、前記ダイヤフラムの下面に対して平行な断面で見たときに、いずれも前記第1の電極パターンおよび前記第2の電極パターンとの接合部において断面積が最小となっていることを特徴とする請求項2に記載の圧力検出用部品。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の圧力検出用部品と、
前記絶縁基体に設けられた半導体素子と、
前記第1の電極パターンと前記半導体素子とを電気的に接続する第1の配線導体と、
前記第2の電極パターンと前記半導体素子とを電気的に接続する第2の配線導体とを備えた圧力検出用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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