圧着装置、フラット回路体ユニット、及び、フラット回路体用圧着方法
【課題】フラット回路体と端子金具とのかしめ部分の接合信頼性を向上する。
【解決手段】端子金具6の電線接続部10の底壁12上にフラット回路体2の導体4を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片14をかしめて、前記端子金具6に前記導体を圧着する圧着装置において、前記フラット回路体2に加えられた負荷が前記かしめ片14に直接伝達されることを防止する保護部材31,32を、前記フラット回路体2の導体4を被覆する被覆部5の前記かしめ片14寄りに挟持するように圧着する圧着手段16を有することを特徴とする。
【解決手段】端子金具6の電線接続部10の底壁12上にフラット回路体2の導体4を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片14をかしめて、前記端子金具6に前記導体を圧着する圧着装置において、前記フラット回路体2に加えられた負荷が前記かしめ片14に直接伝達されることを防止する保護部材31,32を、前記フラット回路体2の導体4を被覆する被覆部5の前記かしめ片14寄りに挟持するように圧着する圧着手段16を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)やFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)などのフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける圧着装置、フラット回路体ユニット、及び、フラット回路体用圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源からの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、電線と、コネクタなどを備えている。コネクタは、絶縁性の合成樹脂で形成されたハウジングと、該ハウジング内に収容されるとともに前記電線の端末に取り付けられた端子金具を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
このため、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFCやFPCなどのフラット回路体を用いることが提案されている。
【0005】
フラット回路体は、断面矩形状の導体と、前記導体を被覆するフィルム状の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されている。導体は、複数設けられている。導体は、それぞれ、直線状に延在している。複数の導体は、互いに平行に配置されている。被覆部は、導体同士を互いに絶縁している。
【0006】
前述したフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際には、例えば、特許文献1に示すように、導体を取り付ける端子金具に応じた形状に一旦曲げた後、該導体に端子金具を取り付けてきた。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1363362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した端子金具は、フラット回路体の導体に加締められていたため、製造時、工程間搬送時等にフラット回路体から引っ張り力が加締め部分に伝達されると、加締め部分の根元からフラット回路体の導体が切れるなどのフラット回路体の破損が生じる可能性があった。また、端子金具が取り付けられたフラット回路体は、コネクタ等のハウジングに取り付けられていない側の端子が宙ぶらりんの状態で、後工程に搬送されるため、上述した破損の防止を対策する必要があった。
【0008】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、フラット回路体と端子金具とのかしめ部分の接合信頼性を向上することができる圧着装置、フラット回路体ユニット、及び、フラット回路体用圧着方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の圧着装置は、端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具と前記導体を圧着する圧着装置において、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに挟持するように圧着する圧着手段を有することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に記載した本発明の圧着装置によれば、フラット回路体の導体を被覆する被覆部のかしめ片寄りを保護部材によって挟持して圧着しているので、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の圧着装置において、前記かしめ片を前記底壁に向かって押圧してかしめるかしめ手段を有するとともに、前記圧着手段が、前記かしめ手段による押圧動作に連動して前記保護部材を前記被覆部に挟持するように圧着することを特徴とする。
【0012】
上記請求項2に記載した本発明の圧着装置によれば、かしめ手段によって端子金具のかしめ片をかしめるとともに、該かしめ手段の押圧動作に連動して圧着手段が保護部材をフラット回路体の被覆部に挟持して圧着しているので、端子金具とともに保護部材をフラット回路体に圧着することができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の圧着装置において、前記圧着手段が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するように前記保護部材を圧着するようにしたことを特徴とする。
【0014】
上記請求項3に記載した本発明の圧着装置によれば、端子金具の底壁とフラット回路体の被覆部とを積層した状態で挟持するように圧着しているので、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができる。
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載のフラット回路体ユニットは、複数の導体と該導体を被覆する被覆部とを有するとともに、扁平な形状に形成されるフラット回路体と、前記フラット回路体の導体又は被覆部の少なくとも一方にかしめられるかしめ片を有する端子金具と、を有するフラット回路体ユニットにおいて、前記かしめ片寄りの前記被覆部を互いに挟持して、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する複数の保護部材を有することを特徴とする。
【0016】
上記請求項4に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、フラット回路体に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が保護部材によって端子金具のかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項4に記載のフラット回路体ユニットにおいて、前記保護部材が、互いの間に前記フラット回路体の被覆部を挟持すると、前記フラット回路体が曲がった曲がり部分を前記被覆部に形成する曲げ形成部を有することを特徴とする。
【0018】
上記請求項5に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、保護部偉材が違いの間にフラット回路体の被覆部を挟持すると、該被覆部に曲げ形成部によってフラット回路体が曲がった部分が形成されるので、フラット回路体に加えられた負荷がその被覆部の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載のフラット回路体ユニットにおいて、前記保護部材が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するようにしたことを特徴とする。
【0020】
上記請求項6に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、保護部材が端子金具の底壁とフラット回路体とを積層した状態で挟持しているので、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを確実に保持することができる。
【0021】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載のフラット回路体用圧着方法は、フラット回路体の導体に端子金具を圧着するフラット回路体用圧着方法において、前記端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめるとともに、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに圧着して挟持させることを特徴とする。
【0022】
上記請求項7に記載した本発明のフラット回路体用圧着方法によれば、端子金具のかしめ片をフラット回路体にかしめるとともに、該かしめ片寄りの被覆部を挟持するように保護部材を圧着することができるので、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の圧着装置によれば、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを保護部材によって防止するようにしたことから、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、端子金具とともに保護部材をフラット回路体に圧着することができるので、圧着の工程における作業を複雑化することもないため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができるので、フラット回路体から伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止することができる。
【0026】
以上説明したように請求項4に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、フラット回路体に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が保護部材によって端子金具のかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。また、圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、フラット回路体に加えられた負荷がその被覆部の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを確実に回避することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができるので、フラット回路体から伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止することができる。
【0029】
以上説明したように請求項7に記載した本発明のフラット回路体用圧着方法によれば、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の最良の形態にかかる圧着装置及び該圧着装置によって製造するフラット回路体ユニットを、図1乃至図11の図面を参照して説明する。
【0031】
図7及び図8に示された圧着装置1は、図1に示すフラット回路体としてのFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)2の導体4を端子金具6に取り付けて(圧着して)、フラット回路体ユニット50(図5参照)を形成する装置である。
【0032】
FFC2は、図1に示すように、複数の導体4と、該導体4を被覆する被覆部5と、を備えて、扁平な帯状に形成されている。
【0033】
導体4は、導電性を有する金属で構成されている。導体4は、少なくとも銅または銅合金を含んでいる。導体4は、断面形が矩形状に形成されている。導体4は、直線状に延びている。複数の導体4は、互いに平行に配置されている。
【0034】
被覆部5は、絶縁性の合成樹脂からなり帯状に形成されている。被覆部5は、扁平な帯状に形成されて、導体4を被覆している。被覆部5は、複数の導体4同士を電気的に絶縁している。FFC2は、その端末において、互いに隣接する導体4間にスリット7が形成されているとともに、被覆部5が除去されて導体4が露出している。
【0035】
本明細書に記したフラット回路体とは、複数の導体と、該導体を被覆する絶縁性の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されているものを示す。
【0036】
端子金具6は、導電性の板金を折り曲げるなどして得られ、図1に示すように、相手側の端子金具と接続する電気接触部9と、FFC2の導体4と接続される電線接続部10と、を一体に備えている。
【0037】
電気接触部9は、角筒状の筒部11と、該筒部11内に収容された図示しないばね片とを備えている。筒部11は、図示例では、四角筒に形成されている。ばね片は、筒部内に侵入した相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子を、筒部11の内面に向かって付勢して該内面との間に挟む。電気接触部9は、筒部11内に相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子が挿入され、ばね片が筒部11の内面との間に前述した挿入子を挟むことで、相手側の端子金具と電気的及び機械的に接続する。
【0038】
電線接続部10は、図2に示すように、断面円弧状の底壁12と、一対の導体かしめ片(以下、かしめ片ともいう)13とを備えている。底壁12は、筒部11の外壁に連なっている。底壁12は、表面上にFFC2の端末が位置付けられる。即ち、底壁12上には、FFC2の端末で露出した導体4が位置付けられる。
【0039】
導体かしめ片13は、底壁12の長手方向の中央に一対設けられている。導体かしめ片13は、底壁12の幅方向の両端部から立設している。導体かしめ片13は、底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられて、底壁12との間にFFC2の導体4を挟む。こうして、導体かしめ片13は、FFC2の導体4をかしめる。
【0040】
前述した構成の端子金具6は、図3に示すように、底壁12上にFFC2の端末が位置付けられた後、図5に示す圧着装置1によって、導体かしめ片13の底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられる。そして、端子金具6は、図4に示すように、圧着装置1によって、かしめ片13でFFC2の導体4とかしめて、FFC2の端末に取り付けられる。
【0041】
ストレインリリーフ30は、図5に示すように、FFC2に加わった負荷が端子金具6等に直接負荷が伝達されないように、FFC2の被覆部5を挟持した状態で取り付けられる。ストレインリリーフ30は、合成樹脂等によって略直方体状に形成されており、上側保護部材31と下側保護部材32とに分割されている。ストレインリリーフ30は、FFC2の幅よりも大きく形成されており、上側保護部材31と下側保護部材32とでFFC2を挟持可能な構成となっている。
【0042】
上側保護部材31は、基部31aと凸部31bとを備えており、一体に形成されている。基部31aは、直方体矩形状に形成されている。凸部31bは、該基部31aの一端から中央に亘り、かつ、基部31aから下側保護部材32に向かって突出して形成されている。下側保護部材32は、上述した上側保護部材31と、略同一の形状となっており、基部32aと凸部32bとを備えている。
【0043】
上側保護部材31と下側保持部材32とが互いの間にFFC2の被覆部5を挟持すると、該FFC2の挟持部分は、FFC2の長手方向における上側保護部材31及び下側保持部材32の断面形状に応じた形状に曲げられる。つまり、上側保護部材31と下側保持部材32との対向面の各々が、請求項中の曲げ形成部36になる。
【0044】
なお、本最良の形態では、曲げ形成部36によってFFC2を段状に曲げる場合について説明するが、上側保護部材31と下側保持部材32の断面形状を変更することで、曲げ形成部36によるFFC2の曲げ方を変更することが可能であり、例えば、斜めに曲げたり、複数回曲げるなど種々異なる形態とすることができる。
【0045】
ストレインリリーフ30は、図6(a)に示すように、上側保護部材31、下側保護部材32同士を着脱自在とする着脱部33を備えている。着脱部33は、上側保護部材31の幅方向の両側面に設けられたアーム34と、下側保護部材32の幅方向の両側面に設けられた係止突起35と、を備えている。アーム34は、上側保護部材31の側面から下方に向かって延びるとともに、弾性変形自在に形成されている。アーム34は、その中央付近に係止突起35を係止する係止穴34aが形成されている。
【0046】
上側保護部材31と下側保護部材32との互いの凸部31b,32bの上面を各基部31a,32aに当接させ、中央寄りの側面を相手側の側面に当接させるとともに、アーム34の係止穴34aに係止突起35を係止させることで(図6(b)参照)、上側保護部材31と下側保護部材32とが一体に組み付けられて、ストレインリリーフ30が形成される。また、上側保護部材31と下側保護部材32とを一体とすることで、FFC2の被覆部5を挟持した状態を保持することができる。また、着脱部33の係止を解除することで、上側保護部材31と下側保護部材32と分離させて、FFC2の被覆部5から取り外すことができる。さらに、上側保護部材31と下側保護部材32とを取り外す必要がない場合は、接着剤等で接着するようにしてもよい。
【0047】
なお、本明細書に記したフラット回路体ユニットとは、上述したFFC2と、端子金具6と、ストレインリリーフ30を構成する保護部材31,32と、を備えて形成されているものを示す。
【0048】
本実施形態のフラット回路体ユニットによれば、FFC2に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が上側保護部材31と下側保護部材32によって端子金具6のかしめ片13,14に直接伝達されることを防止することができるので、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0049】
また、FFC2に加えられた負荷がその被覆部5の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片13,14に直接伝達されることを防止することができるので、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを確実に回避することができる。
【0050】
さらに、上側保護部材31及び下側保護部材32同士を容易にFFC2の被覆部5に挟持させることができるとともに、上側保護部材31及び下側保護部材32が不要になった場合は、フラット回路体から容易に取り外すことができるため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0051】
次に、図7及ぶ図8に示す圧着装置1は、図示しない装置本体と、かしめ手段としてのかしめ部15と、圧着手段としての圧着部16と、駆動源としてのエアシリンダ17と、を備えている。装置本体は、工場のフロア上などに設置される。
【0052】
かしめ部15は、周知であるように、型としてのアンビル19と、型としてのクリンパ20とを備えている。アンビル19は、装置本体に固定されている。アンビル19は、表面上に端子金具6が重ねられる(位置付けられる)。
【0053】
クリンパ20は、アンビル19と間隔をあけて相対し、かつ該アンビル19に接離自在に装置本体に支持されている。即ち、アンビル19とクリンパ20とは、互いに接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり互いに離れることをいう。アンビル19とクリンパ20とは、互いに離れた状態で、アンビル19上に端子金具6とFFC2の端末とが位置付けられる。そして、アンビル19とクリンパ20とは、互いに近づいて、互いの間に端子金具6とFFC2の端末とを挟んで、図9に示すように、かしめ片13をかしめる。
【0054】
圧着部16は、型としての上側受け台21と下側受け台22とを備えている。上側受け台21は、クリンパ20と連動し、かつ、下側受け台22に対して接離自在に装置本体に支持されている。
【0055】
上側受け台21は、基板21aと該基板21aから下方向に立設する垂下部21bとを備え、FFC2の長手方向における断面がL字状、かつ、上側保護部材31の幅とほぼ同一の幅で形成されている。そして、基板21aと垂下部21bとで挟まれた部分が、上述したストレインリリーフ30の上側保護部材31を保持する上側保持部21cとなっている。なお、上側保持部21cは、図示しないが、上側保護部材31の端部に係止する係止部を備え、該係止部の係止によって上側保護部材31が落下しない構成となっている。
【0056】
下側受け台22は、基板22aと該基板22aから上方向に立設する立設部22bとを備え、FFC2の長手方向における断面がL字状、かつ、下側保護部材32の幅とほぼ同一の幅で形成されている。そして、基板22aと立設部22bとで挟まれた部分が、上述したストレインリリーフ30の下側保護部材32を保持する下側保持部22cとなっている。
【0057】
駆動源としてのエアシリンダ17は、シリンダ本体23と、該シリンダ本体23から突没自在に設けられたロッド24とを備えている。シリンダ本体23は、装置本体に取り付けられている。ロッド24は、クリンパ20若しくは上側受け台21の少なくとも一方に取り付けられている。エアシリンダ17は、ロッド24がシリンダ本体23から伸長すると、クリンパ20及び上側受け台21がアンビル19及び下側受け台22に近づき、ロッド24がシリンダ本体23に縮小すると、クリンパ20及び上側受け台21がアンビル19及び下側受け台22から離れる状態に配置されている。
【0058】
前述した構成の圧着装置1は、FFC2の導体4に端子金具6、また、FFC2の被覆部5にストレインリリーフ30を、以下のように取り付ける。
【0059】
まず、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上に端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。また、同時に、上側受け台21と下側受け台22とが離れた状態で、図10(a)に示すように、上側受け台21に上側保護部材31を装着し、さらに、下側受け台22に下側保護部材32を位置付ける。このとき、エアシリンダ17のロッド24は縮小している。
【0060】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、アンビル19にクリンパ20が近づき、図9に示すように、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。
【0061】
また、同様に、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、下側受け台22に上側受け台21が近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32が近づくことになる。さらに近づくことで、図10(b)に示すように、上側保護部材31と下側保護部材32とがFFC2の被覆部5を挟持した状態で、上述したアーム34と係止突起35が係止することで、FFC2のかしめ部分寄りの被覆部5に上側保護部材31と下側保護部材32を挟持して取り付ける(圧着する)。
【0062】
以上説明した圧着装置1によれば、FFC2に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、FFC2の導体4にかしめられたかしめ片13に直接伝達されることを、上側保護部材31と下側保護部材32によって防止するようにしたことから、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、FFC2と端子金具6との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。また、圧着の工程で上側保護部材31と下側保護部材32を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、上側保護部材31と下側保護部材32の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0063】
また、端子金具6とともに上側保護部材31及び下側保護部材32をFFC2に圧着することができるので、圧着の工程における作業を複雑化することもないため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0064】
なお、前述した実施形態では、フラット回路体として、FFC2を用いている。しかしながら、本発明では、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などの他の扁平な帯状のフラット回路体を用いても良い。
【0065】
また、前述した実施形態では、上側保護部材31及び下側保護部材32がFFC2の被覆部5のみを挟持する場合について説明したが、被覆部5とともに端子金具6の底壁12の端部を挟持するなど種々異なる形態とすることができる。
【0066】
例えば、図11に示すように、まず、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上から下側保護部材32上に亘って底壁12が位置し、かつ、かしめ片13がクリンパ20と対向するように端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。また、同時に、上側受け台21と下側受け台22とが離れた状態で、上側受け台21に上側保護部材31を装着し、さらに、下側受け台22に下側保護部材32を位置付ける。
【0067】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、アンビル19にクリンパ20が近づき、図9に示すように、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。
【0068】
また、同様に、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、下側受け台22に上側受け台21が近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32が近づくことになる。さらに近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32とがFFC2の被覆部5と端子金具6の底壁12の端部とを挟持し、上述したアーム34と係止突起35が係止することで、FFC2のかしめ部分寄りの被覆部5に上側保護部材31と下側保護部材32を、端子金具6の底壁12と被覆部5とを積層した状態で挟持して取り付ける。
【0069】
このように上側保護部材31と下側保護部材32によって端子金具6とFFC2とを保持することができるので、上述した実施形態の作用効果に加え、FFC2から端子金具6に伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損をより一層確実に防止することができる。
【0070】
また、上述した本実施形態では、端子金具6が導体かしめ片13によってFFC2の導体4をかしめる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、FFC2の被覆部5をかしめる一対の被覆部かしめ片を有する端子金具とFFC2とを圧着する形態等にも用いることができる。その場合、前記被覆部かしめ片が請求項中のかしめ片となり、前記被覆部かしめ片寄りのFFC2の被覆部5を、上述した上側保護部材31と下側保護部材32によって挟持することになる。
【0071】
このように本発明を用いても、FFC2に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、FFC2の導体4にかしめられたかしめ片13に直接伝達されることを、上側保護部材31と下側保護部材32によって防止することができることから、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、FFC2と端子金具6との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。また、圧着の工程で上側保護部材31と下側保護部材32を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、上側保護部材31と下側保護部材32の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0072】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明にかかる圧着装置で互いに取り付けられる端子金具とFFCを示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1中の端子金具の底壁上にFFCの導体を位置付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示された端子金具のかしめ片をかしめた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる保護部材をFFCの被覆部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図5の保護部材の係止例を示す部分拡大斜視図である。
【図7】本発明にかかる圧着装置の概略の構成を示す説明図である。
【図8】図7の圧着装置の各受け台に各保護部材を装着した状態を示す説明図である。
【図9】アンビルとクリンパとの間に端子金具とFFCの導体を挟んだ状態を示す説明図である。
【図10】図7の圧着装置がFFCに保護部材を挟持して圧着する状態を示す説明図であり、(a)は圧着前、(b)は圧着後をそれぞれ示している。
【図11】保護部材による他の挟持例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
1 圧着装置
2 FFC(フラット回路体)
4 導体
5 被覆部
6 端子金具
10 電線接続部
12 底壁
13 導体かしめ片(かしめ片)
15 かしめ部(かしめ手段)
16 圧着部(圧着手段)
19 アンビル
20 クリンパ
31 上側保護部材(保護部材)
32 下側保護部材(保護部材)
33 着脱部
36 曲げ形成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)やFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)などのフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける圧着装置、フラット回路体ユニット、及び、フラット回路体用圧着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源からの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、電線と、コネクタなどを備えている。コネクタは、絶縁性の合成樹脂で形成されたハウジングと、該ハウジング内に収容されるとともに前記電線の端末に取り付けられた端子金具を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
このため、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFCやFPCなどのフラット回路体を用いることが提案されている。
【0005】
フラット回路体は、断面矩形状の導体と、前記導体を被覆するフィルム状の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されている。導体は、複数設けられている。導体は、それぞれ、直線状に延在している。複数の導体は、互いに平行に配置されている。被覆部は、導体同士を互いに絶縁している。
【0006】
前述したフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際には、例えば、特許文献1に示すように、導体を取り付ける端子金具に応じた形状に一旦曲げた後、該導体に端子金具を取り付けてきた。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1363362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した端子金具は、フラット回路体の導体に加締められていたため、製造時、工程間搬送時等にフラット回路体から引っ張り力が加締め部分に伝達されると、加締め部分の根元からフラット回路体の導体が切れるなどのフラット回路体の破損が生じる可能性があった。また、端子金具が取り付けられたフラット回路体は、コネクタ等のハウジングに取り付けられていない側の端子が宙ぶらりんの状態で、後工程に搬送されるため、上述した破損の防止を対策する必要があった。
【0008】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、フラット回路体と端子金具とのかしめ部分の接合信頼性を向上することができる圧着装置、フラット回路体ユニット、及び、フラット回路体用圧着方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の圧着装置は、端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具と前記導体を圧着する圧着装置において、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに挟持するように圧着する圧着手段を有することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に記載した本発明の圧着装置によれば、フラット回路体の導体を被覆する被覆部のかしめ片寄りを保護部材によって挟持して圧着しているので、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の圧着装置において、前記かしめ片を前記底壁に向かって押圧してかしめるかしめ手段を有するとともに、前記圧着手段が、前記かしめ手段による押圧動作に連動して前記保護部材を前記被覆部に挟持するように圧着することを特徴とする。
【0012】
上記請求項2に記載した本発明の圧着装置によれば、かしめ手段によって端子金具のかしめ片をかしめるとともに、該かしめ手段の押圧動作に連動して圧着手段が保護部材をフラット回路体の被覆部に挟持して圧着しているので、端子金具とともに保護部材をフラット回路体に圧着することができる。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の圧着装置において、前記圧着手段が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するように前記保護部材を圧着するようにしたことを特徴とする。
【0014】
上記請求項3に記載した本発明の圧着装置によれば、端子金具の底壁とフラット回路体の被覆部とを積層した状態で挟持するように圧着しているので、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができる。
【0015】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項4記載のフラット回路体ユニットは、複数の導体と該導体を被覆する被覆部とを有するとともに、扁平な形状に形成されるフラット回路体と、前記フラット回路体の導体又は被覆部の少なくとも一方にかしめられるかしめ片を有する端子金具と、を有するフラット回路体ユニットにおいて、前記かしめ片寄りの前記被覆部を互いに挟持して、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する複数の保護部材を有することを特徴とする。
【0016】
上記請求項4に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、フラット回路体に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が保護部材によって端子金具のかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた請求項5記載の発明は、請求項4に記載のフラット回路体ユニットにおいて、前記保護部材が、互いの間に前記フラット回路体の被覆部を挟持すると、前記フラット回路体が曲がった曲がり部分を前記被覆部に形成する曲げ形成部を有することを特徴とする。
【0018】
上記請求項5に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、保護部偉材が違いの間にフラット回路体の被覆部を挟持すると、該被覆部に曲げ形成部によってフラット回路体が曲がった部分が形成されるので、フラット回路体に加えられた負荷がその被覆部の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【0019】
上記課題を解決するためになされた請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載のフラット回路体ユニットにおいて、前記保護部材が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するようにしたことを特徴とする。
【0020】
上記請求項6に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、保護部材が端子金具の底壁とフラット回路体とを積層した状態で挟持しているので、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを確実に保持することができる。
【0021】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項7記載のフラット回路体用圧着方法は、フラット回路体の導体に端子金具を圧着するフラット回路体用圧着方法において、前記端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめるとともに、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに圧着して挟持させることを特徴とする。
【0022】
上記請求項7に記載した本発明のフラット回路体用圧着方法によれば、端子金具のかしめ片をフラット回路体にかしめるとともに、該かしめ片寄りの被覆部を挟持するように保護部材を圧着することができるので、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の圧着装置によれば、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを保護部材によって防止するようにしたことから、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、端子金具とともに保護部材をフラット回路体に圧着することができるので、圧着の工程における作業を複雑化することもないため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができるので、フラット回路体から伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止することができる。
【0026】
以上説明したように請求項4に記載した本発明のフラット回路体ユニットによれば、フラット回路体に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が保護部材によって端子金具のかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。また、圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明の効果に加え、フラット回路体に加えられた負荷がその被覆部の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを確実に回避することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、保護部材によって端子金具とフラット回路体とを保持することができるので、フラット回路体から伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止することができる。
【0029】
以上説明したように請求項7に記載した本発明のフラット回路体用圧着方法によれば、フラット回路体に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、かしめられたかしめ片に直接伝達されることを防止することができるので、フラット回路体から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の最良の形態にかかる圧着装置及び該圧着装置によって製造するフラット回路体ユニットを、図1乃至図11の図面を参照して説明する。
【0031】
図7及び図8に示された圧着装置1は、図1に示すフラット回路体としてのFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)2の導体4を端子金具6に取り付けて(圧着して)、フラット回路体ユニット50(図5参照)を形成する装置である。
【0032】
FFC2は、図1に示すように、複数の導体4と、該導体4を被覆する被覆部5と、を備えて、扁平な帯状に形成されている。
【0033】
導体4は、導電性を有する金属で構成されている。導体4は、少なくとも銅または銅合金を含んでいる。導体4は、断面形が矩形状に形成されている。導体4は、直線状に延びている。複数の導体4は、互いに平行に配置されている。
【0034】
被覆部5は、絶縁性の合成樹脂からなり帯状に形成されている。被覆部5は、扁平な帯状に形成されて、導体4を被覆している。被覆部5は、複数の導体4同士を電気的に絶縁している。FFC2は、その端末において、互いに隣接する導体4間にスリット7が形成されているとともに、被覆部5が除去されて導体4が露出している。
【0035】
本明細書に記したフラット回路体とは、複数の導体と、該導体を被覆する絶縁性の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されているものを示す。
【0036】
端子金具6は、導電性の板金を折り曲げるなどして得られ、図1に示すように、相手側の端子金具と接続する電気接触部9と、FFC2の導体4と接続される電線接続部10と、を一体に備えている。
【0037】
電気接触部9は、角筒状の筒部11と、該筒部11内に収容された図示しないばね片とを備えている。筒部11は、図示例では、四角筒に形成されている。ばね片は、筒部内に侵入した相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子を、筒部11の内面に向かって付勢して該内面との間に挟む。電気接触部9は、筒部11内に相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子が挿入され、ばね片が筒部11の内面との間に前述した挿入子を挟むことで、相手側の端子金具と電気的及び機械的に接続する。
【0038】
電線接続部10は、図2に示すように、断面円弧状の底壁12と、一対の導体かしめ片(以下、かしめ片ともいう)13とを備えている。底壁12は、筒部11の外壁に連なっている。底壁12は、表面上にFFC2の端末が位置付けられる。即ち、底壁12上には、FFC2の端末で露出した導体4が位置付けられる。
【0039】
導体かしめ片13は、底壁12の長手方向の中央に一対設けられている。導体かしめ片13は、底壁12の幅方向の両端部から立設している。導体かしめ片13は、底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられて、底壁12との間にFFC2の導体4を挟む。こうして、導体かしめ片13は、FFC2の導体4をかしめる。
【0040】
前述した構成の端子金具6は、図3に示すように、底壁12上にFFC2の端末が位置付けられた後、図5に示す圧着装置1によって、導体かしめ片13の底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられる。そして、端子金具6は、図4に示すように、圧着装置1によって、かしめ片13でFFC2の導体4とかしめて、FFC2の端末に取り付けられる。
【0041】
ストレインリリーフ30は、図5に示すように、FFC2に加わった負荷が端子金具6等に直接負荷が伝達されないように、FFC2の被覆部5を挟持した状態で取り付けられる。ストレインリリーフ30は、合成樹脂等によって略直方体状に形成されており、上側保護部材31と下側保護部材32とに分割されている。ストレインリリーフ30は、FFC2の幅よりも大きく形成されており、上側保護部材31と下側保護部材32とでFFC2を挟持可能な構成となっている。
【0042】
上側保護部材31は、基部31aと凸部31bとを備えており、一体に形成されている。基部31aは、直方体矩形状に形成されている。凸部31bは、該基部31aの一端から中央に亘り、かつ、基部31aから下側保護部材32に向かって突出して形成されている。下側保護部材32は、上述した上側保護部材31と、略同一の形状となっており、基部32aと凸部32bとを備えている。
【0043】
上側保護部材31と下側保持部材32とが互いの間にFFC2の被覆部5を挟持すると、該FFC2の挟持部分は、FFC2の長手方向における上側保護部材31及び下側保持部材32の断面形状に応じた形状に曲げられる。つまり、上側保護部材31と下側保持部材32との対向面の各々が、請求項中の曲げ形成部36になる。
【0044】
なお、本最良の形態では、曲げ形成部36によってFFC2を段状に曲げる場合について説明するが、上側保護部材31と下側保持部材32の断面形状を変更することで、曲げ形成部36によるFFC2の曲げ方を変更することが可能であり、例えば、斜めに曲げたり、複数回曲げるなど種々異なる形態とすることができる。
【0045】
ストレインリリーフ30は、図6(a)に示すように、上側保護部材31、下側保護部材32同士を着脱自在とする着脱部33を備えている。着脱部33は、上側保護部材31の幅方向の両側面に設けられたアーム34と、下側保護部材32の幅方向の両側面に設けられた係止突起35と、を備えている。アーム34は、上側保護部材31の側面から下方に向かって延びるとともに、弾性変形自在に形成されている。アーム34は、その中央付近に係止突起35を係止する係止穴34aが形成されている。
【0046】
上側保護部材31と下側保護部材32との互いの凸部31b,32bの上面を各基部31a,32aに当接させ、中央寄りの側面を相手側の側面に当接させるとともに、アーム34の係止穴34aに係止突起35を係止させることで(図6(b)参照)、上側保護部材31と下側保護部材32とが一体に組み付けられて、ストレインリリーフ30が形成される。また、上側保護部材31と下側保護部材32とを一体とすることで、FFC2の被覆部5を挟持した状態を保持することができる。また、着脱部33の係止を解除することで、上側保護部材31と下側保護部材32と分離させて、FFC2の被覆部5から取り外すことができる。さらに、上側保護部材31と下側保護部材32とを取り外す必要がない場合は、接着剤等で接着するようにしてもよい。
【0047】
なお、本明細書に記したフラット回路体ユニットとは、上述したFFC2と、端子金具6と、ストレインリリーフ30を構成する保護部材31,32と、を備えて形成されているものを示す。
【0048】
本実施形態のフラット回路体ユニットによれば、FFC2に例えば引っ張り力、押される力等の負荷が加えられると、該負荷が上側保護部材31と下側保護部材32によって端子金具6のかしめ片13,14に直接伝達されることを防止することができるので、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、フラット回路体と端子金具との破損を未然に防止して、接合信頼性を向上させることができる。圧着の工程で保護部材を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、保護部材の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0049】
また、FFC2に加えられた負荷がその被覆部5の曲がった部分で分散されて、負荷がかしめ片13,14に直接伝達されることを防止することができるので、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを確実に回避することができる。
【0050】
さらに、上側保護部材31及び下側保護部材32同士を容易にFFC2の被覆部5に挟持させることができるとともに、上側保護部材31及び下側保護部材32が不要になった場合は、フラット回路体から容易に取り外すことができるため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0051】
次に、図7及ぶ図8に示す圧着装置1は、図示しない装置本体と、かしめ手段としてのかしめ部15と、圧着手段としての圧着部16と、駆動源としてのエアシリンダ17と、を備えている。装置本体は、工場のフロア上などに設置される。
【0052】
かしめ部15は、周知であるように、型としてのアンビル19と、型としてのクリンパ20とを備えている。アンビル19は、装置本体に固定されている。アンビル19は、表面上に端子金具6が重ねられる(位置付けられる)。
【0053】
クリンパ20は、アンビル19と間隔をあけて相対し、かつ該アンビル19に接離自在に装置本体に支持されている。即ち、アンビル19とクリンパ20とは、互いに接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり互いに離れることをいう。アンビル19とクリンパ20とは、互いに離れた状態で、アンビル19上に端子金具6とFFC2の端末とが位置付けられる。そして、アンビル19とクリンパ20とは、互いに近づいて、互いの間に端子金具6とFFC2の端末とを挟んで、図9に示すように、かしめ片13をかしめる。
【0054】
圧着部16は、型としての上側受け台21と下側受け台22とを備えている。上側受け台21は、クリンパ20と連動し、かつ、下側受け台22に対して接離自在に装置本体に支持されている。
【0055】
上側受け台21は、基板21aと該基板21aから下方向に立設する垂下部21bとを備え、FFC2の長手方向における断面がL字状、かつ、上側保護部材31の幅とほぼ同一の幅で形成されている。そして、基板21aと垂下部21bとで挟まれた部分が、上述したストレインリリーフ30の上側保護部材31を保持する上側保持部21cとなっている。なお、上側保持部21cは、図示しないが、上側保護部材31の端部に係止する係止部を備え、該係止部の係止によって上側保護部材31が落下しない構成となっている。
【0056】
下側受け台22は、基板22aと該基板22aから上方向に立設する立設部22bとを備え、FFC2の長手方向における断面がL字状、かつ、下側保護部材32の幅とほぼ同一の幅で形成されている。そして、基板22aと立設部22bとで挟まれた部分が、上述したストレインリリーフ30の下側保護部材32を保持する下側保持部22cとなっている。
【0057】
駆動源としてのエアシリンダ17は、シリンダ本体23と、該シリンダ本体23から突没自在に設けられたロッド24とを備えている。シリンダ本体23は、装置本体に取り付けられている。ロッド24は、クリンパ20若しくは上側受け台21の少なくとも一方に取り付けられている。エアシリンダ17は、ロッド24がシリンダ本体23から伸長すると、クリンパ20及び上側受け台21がアンビル19及び下側受け台22に近づき、ロッド24がシリンダ本体23に縮小すると、クリンパ20及び上側受け台21がアンビル19及び下側受け台22から離れる状態に配置されている。
【0058】
前述した構成の圧着装置1は、FFC2の導体4に端子金具6、また、FFC2の被覆部5にストレインリリーフ30を、以下のように取り付ける。
【0059】
まず、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上に端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。また、同時に、上側受け台21と下側受け台22とが離れた状態で、図10(a)に示すように、上側受け台21に上側保護部材31を装着し、さらに、下側受け台22に下側保護部材32を位置付ける。このとき、エアシリンダ17のロッド24は縮小している。
【0060】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、アンビル19にクリンパ20が近づき、図9に示すように、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。
【0061】
また、同様に、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、下側受け台22に上側受け台21が近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32が近づくことになる。さらに近づくことで、図10(b)に示すように、上側保護部材31と下側保護部材32とがFFC2の被覆部5を挟持した状態で、上述したアーム34と係止突起35が係止することで、FFC2のかしめ部分寄りの被覆部5に上側保護部材31と下側保護部材32を挟持して取り付ける(圧着する)。
【0062】
以上説明した圧着装置1によれば、FFC2に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、FFC2の導体4にかしめられたかしめ片13に直接伝達されることを、上側保護部材31と下側保護部材32によって防止するようにしたことから、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、FFC2と端子金具6との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。また、圧着の工程で上側保護部材31と下側保護部材32を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、上側保護部材31と下側保護部材32の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0063】
また、端子金具6とともに上側保護部材31及び下側保護部材32をFFC2に圧着することができるので、圧着の工程における作業を複雑化することもないため、生産性の向上により一層貢献することができる。
【0064】
なお、前述した実施形態では、フラット回路体として、FFC2を用いている。しかしながら、本発明では、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などの他の扁平な帯状のフラット回路体を用いても良い。
【0065】
また、前述した実施形態では、上側保護部材31及び下側保護部材32がFFC2の被覆部5のみを挟持する場合について説明したが、被覆部5とともに端子金具6の底壁12の端部を挟持するなど種々異なる形態とすることができる。
【0066】
例えば、図11に示すように、まず、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上から下側保護部材32上に亘って底壁12が位置し、かつ、かしめ片13がクリンパ20と対向するように端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。また、同時に、上側受け台21と下側受け台22とが離れた状態で、上側受け台21に上側保護部材31を装着し、さらに、下側受け台22に下側保護部材32を位置付ける。
【0067】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、アンビル19にクリンパ20が近づき、図9に示すように、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。
【0068】
また、同様に、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長すると、下側受け台22に上側受け台21が近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32が近づくことになる。さらに近づくことで、上側保護部材31と下側保護部材32とがFFC2の被覆部5と端子金具6の底壁12の端部とを挟持し、上述したアーム34と係止突起35が係止することで、FFC2のかしめ部分寄りの被覆部5に上側保護部材31と下側保護部材32を、端子金具6の底壁12と被覆部5とを積層した状態で挟持して取り付ける。
【0069】
このように上側保護部材31と下側保護部材32によって端子金具6とFFC2とを保持することができるので、上述した実施形態の作用効果に加え、FFC2から端子金具6に伝達される負荷をより一層分散することが可能となり、フラット回路体と端子金具との破損をより一層確実に防止することができる。
【0070】
また、上述した本実施形態では、端子金具6が導体かしめ片13によってFFC2の導体4をかしめる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、FFC2の被覆部5をかしめる一対の被覆部かしめ片を有する端子金具とFFC2とを圧着する形態等にも用いることができる。その場合、前記被覆部かしめ片が請求項中のかしめ片となり、前記被覆部かしめ片寄りのFFC2の被覆部5を、上述した上側保護部材31と下側保護部材32によって挟持することになる。
【0071】
このように本発明を用いても、FFC2に加えられた例えば引っ張り力、押される力等の負荷が、FFC2の導体4にかしめられたかしめ片13に直接伝達されることを、上側保護部材31と下側保護部材32によって防止することができることから、FFC2から伝達された負荷がかしめ部分に集中することを回避することができる。従って、FFC2と端子金具6との破損を未然に防止し、接合信頼性の向上に貢献することができる。また、圧着の工程で上側保護部材31と下側保護部材32を取り付けることができるため、工数の増加を最小限にすることができ、生産性の向上に貢献することができるとともに、上側保護部材31と下側保護部材32の付け忘れや付け間違い等のミスを防止することができる。
【0072】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明にかかる圧着装置で互いに取り付けられる端子金具とFFCを示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1中の端子金具の底壁上にFFCの導体を位置付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示された端子金具のかしめ片をかしめた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる保護部材をFFCの被覆部に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図5の保護部材の係止例を示す部分拡大斜視図である。
【図7】本発明にかかる圧着装置の概略の構成を示す説明図である。
【図8】図7の圧着装置の各受け台に各保護部材を装着した状態を示す説明図である。
【図9】アンビルとクリンパとの間に端子金具とFFCの導体を挟んだ状態を示す説明図である。
【図10】図7の圧着装置がFFCに保護部材を挟持して圧着する状態を示す説明図であり、(a)は圧着前、(b)は圧着後をそれぞれ示している。
【図11】保護部材による他の挟持例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
1 圧着装置
2 FFC(フラット回路体)
4 導体
5 被覆部
6 端子金具
10 電線接続部
12 底壁
13 導体かしめ片(かしめ片)
15 かしめ部(かしめ手段)
16 圧着部(圧着手段)
19 アンビル
20 クリンパ
31 上側保護部材(保護部材)
32 下側保護部材(保護部材)
33 着脱部
36 曲げ形成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具と前記導体を圧着する圧着装置において、
前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに挟持するように圧着する圧着手段を有することを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記かしめ片を前記底壁に向かって押圧してかしめるかしめ手段を有するとともに、
前記圧着手段が、前記かしめ手段による押圧動作に連動して前記保護部材を前記被覆部に挟持するように圧着することを特徴とする請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
前記圧着手段が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するように前記保護部材を圧着するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着装置。
【請求項4】
複数の導体と該導体を被覆する被覆部とを有するとともに、扁平な形状に形成されるフラット回路体と、前記フラット回路体の導体又は被覆部の少なくとも一方にかしめられるかしめ片を有する端子金具と、を有するフラット回路体ユニットにおいて、
前記かしめ片寄りの前記被覆部を互いに挟持して、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する複数の保護部材を有することを特徴とするフラット回路体ユニット。
【請求項5】
前記保護部材が、互いの間に前記フラット回路体の被覆部を挟持すると、前記フラット回路体が曲がった曲がり部分を前記被覆部に形成する曲げ形成部を有することを特徴とする請求項4に記載のフラット回路体ユニット。
【請求項6】
前記保護部材が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するようにしたことを特徴とする請求項4又は5に記載のフラット回路体ユニット。
【請求項7】
フラット回路体の導体に端子金具を圧着するフラット回路体用圧着方法において、
前記端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめるとともに、
前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに圧着して挟持させることを特徴とするフラット回路体用圧着方法。
【請求項1】
端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具と前記導体を圧着する圧着装置において、
前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに挟持するように圧着する圧着手段を有することを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記かしめ片を前記底壁に向かって押圧してかしめるかしめ手段を有するとともに、
前記圧着手段が、前記かしめ手段による押圧動作に連動して前記保護部材を前記被覆部に挟持するように圧着することを特徴とする請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
前記圧着手段が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するように前記保護部材を圧着するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着装置。
【請求項4】
複数の導体と該導体を被覆する被覆部とを有するとともに、扁平な形状に形成されるフラット回路体と、前記フラット回路体の導体又は被覆部の少なくとも一方にかしめられるかしめ片を有する端子金具と、を有するフラット回路体ユニットにおいて、
前記かしめ片寄りの前記被覆部を互いに挟持して、前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する複数の保護部材を有することを特徴とするフラット回路体ユニット。
【請求項5】
前記保護部材が、互いの間に前記フラット回路体の被覆部を挟持すると、前記フラット回路体が曲がった曲がり部分を前記被覆部に形成する曲げ形成部を有することを特徴とする請求項4に記載のフラット回路体ユニット。
【請求項6】
前記保護部材が、前記端子金具の底壁と前記被覆部とを積層した状態で挟持するようにしたことを特徴とする請求項4又は5に記載のフラット回路体ユニット。
【請求項7】
フラット回路体の導体に端子金具を圧着するフラット回路体用圧着方法において、
前記端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめるとともに、
前記フラット回路体に加えられた負荷が前記かしめ片に直接伝達されることを防止する保護部材を、前記フラット回路体の導体を被覆する被覆部の前記かしめ片寄りに圧着して挟持させることを特徴とするフラット回路体用圧着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−172905(P2007−172905A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365981(P2005−365981)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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