説明

圧縮ばね設計プログラム

【課題】圧縮ばねの設計時に入力項目を最低限に絞り、色別により入力の容易化を図り、また膨大な設計時間を要していた時間の短縮を図り、更に個人的感覚の差によるばね緒言の相違小さくする。
【解決手段】線径を入力しないで、逆に最大許容応力等の必要最低限の入力・計算により線径、目標ばね定数あるいは有効巻数、目標自由高さ等(ばね緒言)を算出する方法を開発し、これをプログラム化した。これにより自動設計が可能となった。同時に従来の計算法(手動設計)の機能も有し、自動設計プログラムで算出された数値を連続して手動設計プログラムで特に再入力することなく、個人感覚に合った圧縮ばねの設計を短時間で行うことも出来るようにした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は各種圧縮ばねの設計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮ばね設計(ここでは手動設計と呼ぶ)には一部(等コイル等線径ばね他)を除いて、線径(材料径)、目標ばね定数、取付け時ばね高さ、その時の負荷荷重、有効巻数、コイル間ピッチ、交会点荷重あるいは自由高さ等を順次入力を繰り返して目標のばねの形状(ばね緒言)を探し出していた。そのため、この手動設計方式では目標のばね緒言を求めるには膨大な時間を要していた。また個人的感覚の差によりばね緒言が大きく異なることも多く発生していた。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような圧縮ばねの設計において、入力項目を最低限に絞り、また短時間でばね緒言を効率的に求め、更に個人的感覚の差を少なくしたばね緒言を求めることが本発明の課題と考えた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は従来の要求仕様のばね緒言を求めるため、目標ばね定数、取付け時ばね高さ、その時の負荷荷重、交会点荷重あるいは自由高さ等と、設計者の感覚で適当と思われる線径(材料径)、有効巻数、コイル間ピッチ、を順次入力を繰り返して、その無限とも言える組み合わせから要求仕様に合ったばねを絞り込む方式により決定していた。
この非効率的設計方式より脱皮するため、最大許容応力を基準とした設計方式を考えた。すなわち最大許容応力、取付け時ばね高さ、その時の負荷荷重、等の必要最低限の入力により、線径を算出、平行して目標ばね定数および有効巻数、目標自由高さ等を求めるばね設計プログラム(ここでは自動設計プログラムと呼ぶ)を開発することである。同時に従来の設計法(手動設計プログラム)の機能も有し、必要により自動設計プログラムで算出されたばね緒言を個人感覚に合わせるため特定の数値のみを再入力して、連続して手動設計プログラムを用いて、圧縮ばねの設計を短時間で可能にする。
これにより
▲1▼ 設計時間の大幅な短縮
▲2▼ 入力項目を少なくする
▲3▼ 最適設計に近づける
▲4▼ 設計者の感覚だけにたよる設計の排除
▲5▼ 心要により手動設計プログラムと平行使用で設計者の感覚を採り入れられる
を計ることが出きるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は次ぎの機能を有している。
▲1▼ 入力は色別で指示されており、入力が簡単である
▲2▼ ばね仕様変更の場合は変更値の入力のみでよい
▲3▼ 自動設計より手動設計への移行は連読で可能であり、入力値の変更も自動設計入力値をそのまま使用でき最小限で済む
▲4▼ 反対に手動設計より自動設計への移行も連続ででき、入力値の変更も最小限で済む
【実施例】
【0006】
両絞り等線径ばね[図7]を例として、添付表
【表1】

に従って実施例を説明する。
入力
▲1▼ 弾性係数G
▲2▼ 計算単位(ニュートン法 あるいはメートル法選択入力)
▲3▼ 計算方式
I.密着荷重時の最大許容修正応力基準で計算するか(自動設計)
II.線径等を入力して計算するか(従来の計算方法(手動設計))
III.使用最大荷重時の最大許容修正応力基準で計算するか(自動設計)
▲4▼ 両絞り部の形状(両絞り部の形状が同じか、あるいは異なるか)
▲5▼ 両端座巻部の形状(座巻数、ピッチ、端末状態等)
▲6▼ コイル径(内径、外径あるいはコイル中心径)
▲7▼ ばね取付け時のばね高さと、その時の負荷荷重
ここまでの入力は上記▲3▼の3ケースの計算方式とも共通である。
以下計算方式I.の場合で説明する。
▲8▼ 一端(A)側絞り部の接着開始荷重
▲9▼ 他端(B)側絞り部の接着開始荷重
▲10▼ 目標自由高さ
▲11▼ 最大許容応力(修正値):密着荷重時の最大許容修正応力
▲12▼ ばね定数(ばね取付け時のばね高さ近傍の目標ばね定数)
を入力して計算を開始する。なお、入力表は色別により必要項目の入力の有無を表し、入力を容易にしている。
計算結果(ばね緒言)
線径、有効巻数等のばね緒言を得ることが出来る。
また同時に
【表2】

荷重特性表および[図8]荷重―たわみ線図を出力し、希望の特性が得られているかを確認できる。さらに、[表2]荷重特性表より入力時指定した最大許容応力1084N/mm^2も確認できる。
【表3】

に計算方式IIIの自動設計(使用最大荷重時の最大許容修正応力)
【表4】

に計算方式IIの手動設計
の入力・ばね諸元出力表(計算結果)を示す
【発明の効果】
【0007】
本発明により次ぎの効果が期待される。
▲1▼ 設計時間の大幅な短縮
▲2▼ 個人差の少ない設計
▲3▼ より精度の高い設計
▲4▼ 自動設計から手動設計、手動設計から自動設計への切り替えが再入力することなく、容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 等コイル等線径ばね
【図2】 等コイル2段ピッチばね
【図3】 円錐コイル等線径ばね
【図4】 円錐コイル2段ピッチばね
【図5】 片絞り等線径ばね
【図6】 片絞り2段ピッチばね
【図7】 両絞り等線径ばね
【図8】 荷重―たわみ線図
【符号の説明】
1.線間ピッチ小部
2.線間ピッチ大部
3.小径側
4.大径側
5.小径側
6.線間ピッチ大部
7.線間ピッチ小部
8.大径側
9.絞り側
10.等径側
11.絞り側
12.線間ピッチ大部
13.線間ピッチ小部
14.等径側
15.絞り側
16.等径部
17.絞り側
【表の説明】
〔表1〕計算方式1の自動設計(密着荷重時の最大許容修正応力)の入力・計算結果(ばね緒言)表
〔表2〕荷重特性表
〔表3〕計算方式IIIの自動設計(使用最大荷重時の最大許容修正応力)の入力・計算結果(ばね緒言)表
〔表4〕計算方式IIの手動設計の入力・計算結果(ばね緒言)表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等コイル2段ピッチばねの設計、円錐コイル等線径ばねの設計、円錐コイル2段ピッチばねの設計、片絞り等線径ばねの設計、片絞り2段ピッチばねの設計および両絞り等線径ばねの設計に於いて使用最大荷重時の最大許容応力あるいは密着時の最大許容応力より、最小限の入力項目でばね緒言を決定できる設計プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−269539(P2008−269539A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134749(P2007−134749)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(507165213)有限会社エム・ジー・エム (1)
【Fターム(参考)】