説明

圧縮ナノ繊維複合ろ過材

凝集粗大化媒体は、基材層と、燃料中で乳化されて遊離した水を分離するための親水性の細繊維層とを有する、圧縮された複合フィルタ媒体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くフィルタ媒体(ろ過材)に関し、特に、基材(substrate)及び細繊維(fine fibers)を備える圧縮された複合媒体(compressed composite media)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル燃料、ジェット燃料、及びガソリン等の炭化水素燃料には、少量の水が混入し得る。水は、例えば漏れ、偶然の混入(accidental contamination)、又は大気からの凝結により、炭化水素燃料中に取り込まれる。炭化水素燃料は、室温で100万分の約75乃至150の割合(ppm)の水を溶解することが可能である。水の溶解度は、華氏1度(摂氏5/9度)の温度上昇ごとに約1ppm上昇し、華氏1度の温度低下ごとに約1ppm低下する。ある期間にわたる温度変化により、過剰な水、即ち非溶解の水が燃料処理システムの下方の部分に蓄積することがある。
【0003】
非溶解の水はエンジンにとって有害であり得る。ディーゼルエンジンの燃料噴射器は蒸気の形成により損傷を被ることがあり、タービンジェットエンジンはフレームアウト(失火)することがあり、ガソリンエンジンは点火の問題を抱えることがある。燃料から非溶解の水又は遊離した水を除去して、そのようなエンジンの問題を回避するために、多くの水分離装置及びフィルタが開発されてきた。重力分離又は遠心分離に基づく単純な機械的装置は、遊離した水が分離した第2の相として存在する場合には十分な装置である。しかしながら、遊離した水は、ポンプ及び弁により乳化される(emulsified)ことが多く、特にディーゼル燃量やジェット燃料中に安定したエマルジョン(乳剤)として留まる場合がある。2ステージのコアレッサ(凝集粗大化材、合体材)/セパレータ(分離器)は水エマルジョンを除去するように設計されている。このコアレッサは、ガラス繊維等の繊維材料を優先的に濡らす(preferential wetting)ことによりエマルジョンを破壊(berak)する。水は集積されて大きな液滴となり、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆されたワイヤクロス(素線で作られた布(wire cloth))又はシリコーン含浸紙等の疎水性の分離材に対して重力分離により除去される。湿潤剤(wetting agents)又は界面活性剤が存在すると、特にディーゼル燃料やジェット燃料中での水エマルジョンの凝集粗大化(coalescence)が阻害される。燃料エマルジョンから水を捕捉して、除去するための疎水性フッ素ポリマー細繊維を含むコアレッサは、Ferrer等の米国特許公開2009/0032475号、「フッ素重合体細繊維」に開示されている。
【0004】
静電紡糸プロセス(electrostatic spinning process)を用いて形成された細繊維を含むフィルタ媒体も知られている。かかる従来技術には、米国特許5,672,399号「フィルタ材料構成及び方法」、米国特許公開2007/0163217号「セルロース/ポリアミド複合体」、米国仮特許出願60/989,218号「フィルタ媒体、100ナノメートル未満の細繊維及び方法」、米国仮特許出願61/047,459号「積層されたナノ繊維フィルタ媒体」、米国仮特許出願61/047,455号「2構成要素(Bi−Component)ナノ繊維層を有するフィルタ媒体」が含まれる。これらの開示の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの先行技術文献に示されるように、ナノ繊維は共通して予め形成されて完成されたろ過媒体(filtration media)(ろ過材)の基材上に載置(laid)(積層)される。
【0005】
本発明は、改良された凝集粗大化媒体(coalescing media)及びその凝集粗大化媒体を製造する方法を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点、並びに更なる本発明の特徴は、本明細書に提示する本発明の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の多様な実施の形態による圧縮されたナノ繊維複合フィルタ媒体(ナノ繊維複合ろ過材)は、少なくとも1つの基材と、その基材に担持された細繊維とを含む。好ましくは、圧縮されたフィルタ媒体は複数の基材の層を含み、これらの基材の層の各々は細繊維を担持する。これらの複数の基材の層及び細繊維の層は共に圧縮されて圧縮された複合フィルタ媒体を形成する。本発明の多様な実施の形態による圧縮されたフィルタ媒体は、様々な炭化水素燃料中の水を凝集粗大化(coalesce)させる凝集粗大化媒体に特に好適である。しかしながら、この圧縮されたフィルタ媒体は、他のろ過用途にも使用できる。例えば、圧縮されたフィルタ媒体により非常に効率的な水用のフィルタエレメント(water filter element)を形成することができる。
【0007】
好ましくは、使用される基材の層は粗繊維を含む比較的隙間の多い材料(open materials)であって、構造的な支持を与えると同時に、特に層同士が積み重ねられ及び/又は圧縮されたときに流体の流れを過度に制限しない。この構造は、ナノ繊維同士を離間させ、単位平方面積当たりのナノ繊維の合計カバレッジ(合計被覆率)をはるかに大きくすると同時に、過度に流れを制限しない。更に、比較的薄い基材を用いることにより(及び圧縮して用いることにより)、細繊維同士が媒体の全体にわたって比較的近くに(緊密に)離間されて凝集粗大化を可能とし、又は可能とするに足る近さに離間するように比較的薄い基材が用いられ得る。また、媒体の全体の厚さは凝集粗大化ろ過用途及びフィルタエレメント構成にとって適切なものとなるように形成される。また、多数の実施の形態では、水をはじくのとは反対に引き寄せる親水性の細繊維を用いる。十分なカバレッジ(被覆率)で複数の細繊維の層を用いることにより、水分子又は微小液滴は、この構造中で成長し、流体の流れから効果的に凝集粗大化されて取り出される。
【0008】
複数の基材の層及び細繊維は、好ましくは共に圧縮されて凝集粗大化フィルタ媒体(coalescing filter media)(凝集粗大化ろ過材)を形成するものとしてもよい。そのため、凝集粗大化フィルタ媒体はコンパクト化されて(締固められて)、高い固体性(solidity)(中実性)を有することになる。また、凝集粗大化フィルタ媒体は炭化水素燃料の流れの中の乳化した水の凝集粗大化に十分な繊維表面積を提供するために十分な細繊維カバレッジを有する。細繊維は、好ましくは電界紡糸によりポリアミド‐6等の親水性材料から形成されたナノ繊維である。親水性の細繊維は水滴の形成と成長を更に可能とする。
【0009】
本発明の一の実施の形態及び一の態様では、凝集粗大化フィルタ媒体を形成する方法が提供される。この方法は、平均直径が1マイクロメートル未満の細繊維を静電紡糸するステップと、平均直径が1マイクロメートルを超える粗繊維を有する基材に細繊維を付与するステップと、細繊維及び粗繊維を一緒にコンパクト化する(締固める)ステップとを備える。この方法は、コンパクト化するステップにより、流体の流れから水滴を凝集粗大化させるために十分な細繊維カバレッジ及び緊密度(tightness)(中実性)をもたらすステップと、粗繊維と細繊維とを、流体の流れから水を除去するために作動可能な凝集粗大化フィルタ媒体として構築するステップとを更に備える。
【0010】
いくつかの実施の形態では、基材は、一体に結合された繊維交絡を含み、細繊維を付与するステップの間に、細繊維を基材上に堆積させるように構成される。基材は、高融点構成要素及び低融点構成要素を含む2構成要素繊維で形成されたスクリムとすることができ、細繊維はスクリムの表面に堆積され、スクリムにより担持されるように構成することができる。
【0011】
コンパクト化する(締固める)ステップは、細繊維を担持する複数のスクリムの層を積層するステップと、カレンダ加工ローラ(圧延加工ローラ)のセットを用いて複数のスクリムの層と細繊維とを圧縮するステップとを含むことができる。スクリムの複数の層及び細繊維を低融点構成要素の溶融温度又は溶融温度付近まで加熱することができ、低融点構成要素は溶融又は軟化することにより、複数の層を合わせて結合する結合剤として作用する。
【0012】
いくつかの実施の形態では、複数の層は圧縮される前に加熱される。例えば、複数の層はオーブンで加熱されてからカレンダ加工ローラのセットで圧縮される。かかる実施の形態では、積層された複数の層の厚さは、加熱の間にスクリムが拡張してかさ高になることにより増大する。かさ高になった複数の層を後に圧縮することにより、かさ高となった厚さは低下するが、圧縮された複数の層の最終的な厚さは、加熱前の積層された複数の層の元の厚さ未満であっても、同じであっても、超えるものであってもよい。他の実施の形態では、これらの複数の層は同時に加熱及び圧縮される。例えば、複数の層を、加熱したカレンダ加工ローラのセットを用いて加熱及び圧縮することができる。更に他の実施の形態では、複数の層は先ず圧縮されてから、その後に加熱されるが、圧縮された複数の層の厚さは加熱中に増大するかもしれない。更に、いくつかの実施の形態では、2つ以上の加熱ステップを含むことができる。例えば、複数の層を、圧縮する前に加熱して、更に、加熱されたカレンダ加工ローラのセットにより圧縮中に加熱してもよい。
【0013】
一の実施の形態では、それぞれ細繊維を担持する10層のスクリムが積層され、全体が圧縮される。各スクリム層は、約0.075g/m乃至0.225g/mの比較的大きい細繊維カバレッジを有する細繊維を担持する。オーバーラップする(重なり合う)細繊維のカバレッジでスタック(積み重ね)構成へと組み付けられると、凝集粗大化フィルタ媒体の合計細繊維カバレッジは約0.75g/m乃至2.25g/mとなる。これらのスクリムの層及び細繊維は全体的に圧縮されて、厚さが約3/16インチ乃至1/2インチ(約4.763mm乃至12.7mm(ft‐lb単位をSI単位に換算したものであり有効数字を示すことは意図されていない。以下換算数字については同じ。))の凝集粗大化フィルタ媒体を形成する。
【0014】
いくつかの実施の形態では、細繊維を担持するスクリムは複数折り(multiple folds)に折り畳まれ、圧縮されて凝集粗大化フィルタ媒体を形成する。かかる実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体は細繊維の相互積層表面及び基材の相互積層表面を有することができる。
【0015】
更に他の実施の形態では、基材は、緩く交絡された粗繊維を含む粗繊維のウェブ(web of coarse fibers)(布状の粗繊維)であり、細繊維は、細繊維を付与するステップの間にこの緩く交絡された粗繊維に付与される。細繊維を付与された粗繊維のウェブは、複数折りに折り畳まれ、全体が圧縮される。細繊維及び粗繊維は一体化されて、単体の一体化した凝集粗大化媒体を形成する。
【0016】
異なる実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体の形成方法は、平均直径が1マイクロメートル未満の細繊維のウェブ(布状の細繊維)を静電紡糸するステップと、平均繊維直径が1マイクロメートルを超える相互に結合された粗繊維で形成された基材に細繊維を付与するステップと、細繊維がオーバーラップする(重なり合う)ように、細繊維が付与された基材を組み合わせて重ね合わせる(lapping)ステップとを含む。この方法は、巻出しステーションから基材のロールを巻き出して基材を静電紡糸ステーションに移送するステップを更に含むことができ、基材はライン(送り方向)の張力により浮揚された状態(afloat)に維持される。かかる実施の形態では、基材は、2構成要素繊維を有するスクリムであってもよい。2構成要素繊維は高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを含むことができる。
【0017】
細繊維を付与するステップは、約0.03g/m乃至0.25g/m、好ましくは約0.075g/m乃至0.225g/mの細繊維カバレッジをもたらすことができ、細繊維はスクリムによって担持される。更に、重ね合わせるステップは、細繊維を担持するスクリムを2乃至20折りに折り畳むステップを含むことができ、この折り畳むステップは細繊維の相互積層表面及びスクリムの相互積層表面を生じさせ、折り畳まれた複数の層は加熱及び圧縮されて、凝集粗大化媒体を形成する。かかる加熱及び圧縮のプロセスにおいて、折り畳まれた複数の層の厚さを元の厚さ(各層の厚さ×層の数)の、約50%乃至300%、好ましくは約70%乃至200%、より好ましくは約80%乃至150%に調節することができる(この厚さは、加熱後には圧縮中に減少した厚さを超えて増大することができる。いくつかの例では、加熱中の厚さの増大は、最終の厚さが、圧縮後においても元の厚さよりも依然として大きくなり得るような厚い厚さとすることができる)。折り畳んだ、又は折り畳まれない2つ以上のスクリムを組み合わせて積み重ねることで、面積当たりの大きな細繊維カバレッジを達成することができる。
【0018】
一の実施の形態では、凝集粗大化媒体は約0.09g/m乃至5.25g/m、好ましくは約0.75g/m乃至2.25g/mの合計細繊維カバレッジを有するように形成される。更に、細繊維を静電紡糸するステップは、好ましくはポリアミド‐6を含む溶液から細繊維を紡糸するステップを有する。
【0019】
本発明の他の実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体が提供される。この凝集粗大化フィルタ媒体は、平均繊維直径が1マイクロメートルを超える粗繊維を含む少なくとも1つの基材と、基材により担持される細繊維とを含む。細繊維は、平均繊維直径が1マイクロメートル未満の親水性繊維であり、炭化水素燃料中の乳化した水を凝集粗大化させるために十分な繊維表面積を提供する。かかる実施の形態では、親水性繊維は水滴の形成及び成長を可能とする。凝集粗大化フィルタ媒体は、凝集粗大化フィルタ媒体の下流面(下流側の表面)上に配置された排水層を更に含むことができる。かかる排水層は水滴のサイズの成長を促進させることができる。一の実施の形態では、排水層はセルロース材料又はガラス繊維材料で形成される。
【0020】
細繊維は、好ましくはポリアミド‐6等の親水性ポリマーで形成される電界紡糸されたナノ繊維とする。一の実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体は、約0.09g/m乃至5.25g/m、好ましくは約0.75g/m乃至2.25g/mの合計細繊維カバレッジを有する細繊維を含む。
【0021】
基材は、好ましくは高融点構成要素及び低融点構成要素を含む2構成要素繊維を有するスクリムとする。例えば、2構成要素繊維は高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを含むことができる。かかる実施の形態では、複数の基材の層及び細繊維は加熱され、一緒に圧縮されて凝集粗大化媒体を形成し、低融点ポリエステルの鞘は溶融又は軟化して粗繊維と細繊維とを結合する。
【0022】
凝集粗大化フィルタ媒体は複数の基材の層を含むことができ、複数の基材の層の各々は約0.075g/m乃至0.225g/mの細繊維カバレッジを有する細繊維の層を担持することができる。一の実施の形態では、細繊維の層の各々は、複数の基材の層の間及び/又は基材の層と媒体の層との間に挟まれて設けられる。他の実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体は細繊維の相互積層表面及び基材の相互積層表面を含むことができる。
【0023】
一の実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体は10層の基材の層を含む。基材の層の各々は2構成要素繊維を有するスクリムで形成され、細繊維を担持する。各基材の層上の細繊維はポリアミド‐6の電界紡糸されたナノ繊維で形成される。10層の基材で担持される細繊維は約0.75g/m乃至2.25g/mの合計細繊維カバレッジをもたらす。凝集粗大化フィルタ媒体は、凝集粗大化フィルタ媒体の下流側の表面上に配置されたガラス繊維マット(ガラス繊維製の下敷)で形成された排水層を更に含むことができる。かかる実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体は約3/16インチ乃至1/2インチ(約4.763mm乃至12.7mm)の合計の厚さを有することができる。
【0024】
本発明の他の実施の形態では、1マイクロメートルを超える平均繊維直径を有する粗繊維を含む少なくとも1つの基材とこの基材によって担持される細繊維とを含む凝集粗大化フィルタ媒体が提供される。細繊維は1マイクロメートル未満の平均繊維直径を有し、細繊維の少なくともいくらか(少なくとも一部)は圧縮された状態において粗繊維内に少なくとも部分的に埋め込まれる。多数の実施の形態では、細繊維の少なくともいくらか(少なくとも一部)は、平坦な層とは反対に、基材内へと延在する細繊維の3次元マトリクスを形成することができる。更に、細繊維の少なくともいくらか(少なくとも一部)は、複数の基材の層の間に全体として挟まれて設けられるものとしてもよい。
【0025】
一の実施の形態では、細繊維の融点は、粗繊維の少なくとも一の構成要素の融点よりも高く、細繊維は粗繊維に対して恒久的に固着及び配向される。更に、少なくとも1つの基材及び細繊維は全体がカレンダ加工されて圧縮状態を形成する。
【0026】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を併せ見れば、以下の詳細な説明により更に明らかになるであろう。
【0027】
本明細書に組み入れられ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の複数の態様を例示し、記述と共に、本発明の原理の説明に資する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態による細繊維を担持する緊密に圧縮された複数のスクリム層を含むフィルタ媒体を模式的に示す(例えば、関連して示される厚さは実際の縮尺とは異なる)断面図である。
【0029】
【図2】図2は、圧縮状態へと圧縮される圧縮前状態の図1に示す凝集粗大化フィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0030】
【図3】図3は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である同心に設けられた鞘/芯(sheath/core)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0031】
【図4】図4は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である偏心して設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維の模式図である。
【0032】
【図5】図5は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である並列(side−by−side)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0033】
【図6】図6は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維であるパイ楔(pie‐wedge)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0034】
【図7】図7は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である中空パイ楔(hollow pie wedge)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0035】
【図8】図8は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である島/海(islands/sea)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0036】
【図9】図9は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である三つ葉(trilobal)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0037】
【図10】図10は、本発明の一の実施の形態による基材を構成する繊維である端部(tipped)型の2構成要素繊維の模式図である。
【0038】
【図11】図11は、本発明の一の実施の形態による緊密に圧縮された複数のスクリムの層、細繊維及び下流側の多孔質層を含む凝集粗大化フィルタ媒体を模式的に示す断面図である。
【0039】
【図12】図12は、本発明の一の実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0040】
【図13】図13は、本発明の別の実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0041】
【図14】図14は、本発明の更に他の実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体を製造するためのシステムの模式図である。
【0042】
【図15A】図15Aは、図12に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を300倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0043】
【図15B】図15Bは、図12に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を1,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0044】
【図15C】図15Cは、図12に示すシステムを用いて製造された2構成要素繊維及び細繊維の複合媒体を2,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0045】
【図15D】図15Dは、図12に示すシステムを用いて製造された複合媒体の2構成要素繊維と細繊維との間の結合を10,000倍に拡大して示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【0046】
【図16】図16は、本発明の一の実施の形態による拡張されたナノ繊維複合媒体及び圧縮されたナノ繊維複合凝集粗大化媒体を含む凝集粗大化フィルタ媒体を模式的に示す(例えば、相対的に図示される厚さは縮尺通りではない)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、ある好ましい実施の形態と関連付けて説明されるが、それら実施の形態に限定する意図はない。反対に、意図するところは、全ての代替物、変形、及び均等物を、特許請求の範囲に定義されているように本発明の精神と範囲の内に含まれるものとして、カバーすることである。
【0048】
詳細を説明する前に、本発明の理解を助けるために用語を展開する。本明細書において、「基材(substrate)」という用語は、本質的に広範な意味を持つように意図され、細繊維がその上に担持又は堆積される任意の構造体を含むことが意図されている。「基材」は、媒体(media)のロールから引き出され得るスクリム(scrim)(粗目布)及び同様の物等の、従来の成形されたフィルタ媒体を含んでもよい。かかるフィルタ媒体は繊維交絡(fiber entanglement)を有し、典型的には機械的に、化学的に、接着により、及び/又は他の態様により共に結合又は固定され、それにより手作業で容易には引き裂くことのできないような強度(例えば、1平方フィート(0.093m)のシートが典型的には5ポンド(2.268kg)に上る張力の印加に耐える)を有すると共にろ過特性を有する。また、「基材」は、互いに結合又は固定されない、比較的緩やかな繊維交絡を有してもよい(例えば、1平方フィート(0.093m)のシートが、5ポンド(2.268kg)の張力の印加に対してバラバラになる(fall apart))。本明細書において、「スクリム」は、織成繊維交絡(woven fiber entanglement)又は不織繊維交絡(non−woven fiber entanglement)を指し、いずれの繊維も、結合され、平坦に成型された媒体(ろ過材)へと圧縮される。
【0049】
図1は、本発明の一の実施の形態によるフィルタ媒体100を模式的に示す断面図である。実際の細繊維層は厚さを事実上持たないが、説明と理解を目的として、図1及び他の模式図において厚さが示されているという意味で模式的に示すという。フィルタ媒体100は、ディーゼル燃料、ジェット燃料及びガソリン等の炭化水素燃料の中の水を凝集粗大化するように構成される。フィルタ媒体100は、炭化水素燃料の流れの中の固体を捕捉することもできる。また、フィルタ媒体100は、本願においては、コアレッサ(coalescer)、凝集粗大化媒体、凝集粗大化フィルタ媒体、又は他の同様の用語でも呼ばれる。好ましい実施の形態では、フィルタ媒体100は少なくとも2種類の異なる繊維、例えば電界紡糸ナノ繊維(electrospun nanofibers)と、電界紡糸ナノ繊維を担持する粗繊維(coarser fibers)で設けられた基材とを含む。このため、本明細書では、フィルタ媒体100は複合フィルタ媒体、複合媒体、又は他の類似の用語でも呼ばれる。フィルタ媒体100は凝集粗大化用途のために特に好適であるが、フィルタ媒体100を他のろ過用途に用いるものとしてもよい。
【0050】
図1に示す実施の形態では、フィルタ媒体100は、10層の基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120を備え、その各々が細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142及び細繊維142の上端上の媒体122を担持する。基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び媒体122は細繊維の平均繊維直径よりも典型的により大きく設けられた平均繊維直径を有する繊維で形成されている。基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、及び媒体122は、積層され、共に緊密に圧縮されることにより、体積当たりの繊維表面積を増やし、ディーゼル燃料等の炭化水素燃料中で乳化した水のために十分な繊維表面積を提供して、乳化した水を凝集粗大化する。更に、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、例えばナイロン(登録商標)‐6等の親水性材料で形成されて水を引き寄せ、水滴の形成及び成長を促進して、炭化水素燃料の流れからの水の分離を可能とする。本実施の形態は、媒体層122を有するものとして示されるが、この媒体層は追加するか否かは任意であるので、他の実施の形態によるフィルタ媒体100はこの媒体層122を含まなくてもよい。
【0051】
図1に示すフィルタ媒体は、図2に示すプロセス(方法)を用いて形成することができる。図2は、圧縮前状態144及び圧縮状態146のフィルタ媒体100を示す図である。図示するように、フィルタ媒体100は、その圧縮前状態144において、初期厚さt´(本明細書では元厚さ(original thickness)とも呼ぶ)を有する。圧縮前状態144にあるフィルタ媒体100は、カレンダ加工ローラ148、150のセット(又はローラの連続するセット)を用いて圧縮状態146へと圧縮される。ここで初期厚さt´は最終厚さ(final thickness)tまで減少される。
【0052】
いくつかの実施の形態では、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は圧縮される前に加熱される。いくつかの特定の好ましい実施の形態では、(スクリム生産工程の間に少なくとも部分的に圧縮されたスクリム等の)基材の繊維は加熱中に、弛緩し、再配向(reorient)されて、繊維同士の間の平均距離が増大する。そのため、基材層は膨張(拡張)すると共にかさ高(loft)となり、各基材層の厚さが増大する。更に、基材の表面近傍の繊維が弛緩して再配向されるため、これらの繊維に担持される細繊維はこれらの繊維と共に移動して再配向される。このように、細繊維は、より直径の大きな繊維と共に拡げられ、押され、引かれる。かかる実施の形態では、圧縮前状態144の初期厚さt´は、加熱により少なくとも1.5倍、2倍、3倍、又は更にそれ以上になり得る。かかる実施の形態では、かさ高となったフィルタ媒体100を続いて圧縮した後のフィルタ媒体100の最終厚さtは、加熱時の膨張量及び圧縮時の減少量に応じて、初期厚さt´未満、又は初期厚さt´と同じ、又は初期厚さt´を超える厚さになり得る。他の実施の形態では、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、加熱したカレンダ加工ローラ(calendering rollers)(圧延加工ローラ)のセットにより同時に加熱及び圧縮することができる。かかる実施の形態では、最終厚さtへの厚さの減少の前に、膨張も、初期厚さt´の非常にわずかな増大もないだろう。更に別の実施の形態では、最終厚さtの圧縮されたフィルタ媒体100を圧縮後に加熱することができ、この場合は、最終厚さtは増大し得る。いくつかの実施の形態では、フィルタ媒体100を2度以上加熱することができる。例えば、フィルタ媒体100は圧縮の前に加熱することができ、その後、圧縮中に再度加熱することができる。
【0053】
一の実施の形態では、最終厚さtを、初期厚さt´の約50%乃至300%、好ましくは初期厚さt´の約70%乃至200%、更に好ましくは初期厚さt´の80%乃至150%とすることができる。圧縮前状態144のフィルタ媒体100が最終的な圧縮状態146へと圧縮されると、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は隣接する基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120の粗繊維とより一体となってフィルタ媒体100内の3次元細繊維マトリクスを形成する。圧縮状態146のフィルタ媒体100は凝集粗大化媒体にとって十分な特性を有する。この実施の形態のフィルタ媒体100は、細繊維を担持する10層の基材層を含むが、他の実施の形態では、細繊維を担持する、それより多数の又は少数の基材層を含むことができる。
【0054】
基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は任意の適切な多孔質材料で形成することができる。各基材層は同じタイプの多孔質物質又は異なるタイプの多孔質物質で形成することができる。一の実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、形成された(形成済みの)フィルタ媒体を備える。この形成されたフィルタ媒体は、共に結合された複数の繊維を備える。例えば、形成されたフィルタ媒体の複数の繊維を、溶剤結合(solvent bonding)、熱結合(thermal bonding)、及び/又は圧着(pressure bonding)によって共に結合してもよい。形成されたフィルタ媒体は、細繊維を担持し、構造的支持をもたらすことができる。この成形されたフィルタ媒体は、典型的には、他の媒体又は構造体による積層又は支持を伴わずに、空気フィルタ媒体(空気ろ過材)等のフィルタ媒体として独立して使用することができる。また、形成されたフィルタ媒体は、本明細書では、基材フィルタ媒体(substrate filter media)、フィルタ媒体基材(filter media substrate)、基材(substrate)、フィルタ媒体(filter media)、又は他の同様の用語で呼ばれる。
【0055】
代替として、基材は、強く綿毛状に膨らめられた(fluffed)厚い状態で共に緩く交絡され、形成されたフィルタ媒体の場合のように共に結合されなくてもよい、1つ又は複数の繊維ウェブ(布状の繊維)を備えてもよい。したがって、この粗繊維のウェブは、手作業による非常にわずかな労力で容易にバラバラにすることができ、従来の意味では形成されたフィルタ媒体と見ることができない程まで構造的完全性が低い。繊維ウェブの繊維の平均繊維直径は、典型的には、細繊維の平均繊維直径よりも大きく設けられる。このため、繊維ウェブは、本明細書において、粗繊維のウェブ、又は他の同様の用語で呼ばれる。そのような粗繊維のウェブと一体化された細繊維を含む複合フィルタ媒体は、本願出願人に譲渡されている米国特許公開2009/0266759号「一体化されたナノ繊維フィルタ媒体」で説明されており、その開示の全体を、参照により本明細書に組み込む。
【0056】
好ましくは、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、複数構成要素フィルタ媒体とする。本明細書では、「複数構成要素フィルタ媒体(multi‐component filter media)」、「複数構成要素媒体(multi‐component media)」、「複数構成要素繊維媒体(multi‐component fiber media)」、及び他の同様の用語は、少なくとも2種類の異なる材料を含むフィルタ媒体を指すものとして同義に用いられる。例えば、複数構成要素フィルタ媒体は、第1の材料から形成された繊維及び第2の材料から形成された繊維を含むことができる。ここで、第1の材料及び第2の材料は異なる材料である。あるいは、複数構成要素フィルタ媒体は、以下に詳細に説明するように、第1の材料から形成された芯(core)及び第2の材料から形成された鞘(sheath)を含む複数の繊維等、少なくとも2種類の異なる材料を含む複数の繊維から形成することができる。2種類の異なる材料を含む複数構成要素フィルタ媒体は、本明細書において「2構成要素フィルタ媒体(bi‐component filter media)」「2構成要素媒体(bi‐component media)」、及び類似の用語で呼ばれる。
【0057】
一の好ましい実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、異なる融点を有する2種類の異なる材料を含む2構成要素繊維で形成されたスクリムを備える。細繊維及びかかる複数構成要素繊維で形成された基材を備える複合フィルタ媒体は、本願出願人に譲渡されている国際特許出願PCT/US09/50392号の「ナノ繊維が取り付けられた複数構成要素フィルタ媒体」に記載されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0058】
本実施の形態では、スクリムの2構成要素繊維の一の構成要素は他の構成要素よりもより低い融点を有する。この低融点構成要素は、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステル等の任意の適切なポリマーとすることができる。他の構成要素は、低融点構成要素よりも高い融点を有するポリマー、あるいはガラス及び/又はセルロース等の他の適切な繊維材料であってもよい。2構成要素繊維は、共に結合され、及び/又は共に圧縮され、それにより特定の厚さを有するスクリム又は基材フィルタ媒体を形成する。
【0059】
基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120として用いられるスクリムの2構成要素繊維は、高融点ポリマー構成要素と低融点ポリマー構成要素とを含むことができる。例えば、2構成要素(bi‐component)は、高融点ポリエステル及び低融点ポリエステルを備えてもよく、ここでは、一方が他方よりも高い融点を有する。図3は、一の実施の形態による2構成要素繊維22の模式図である。図示するように、2構成要素22は、同心に設けられた鞘/芯(sheath/core)型のものであり、芯24は、高融点ポリマー構成要素から形成され、鞘26は、低融点ポリマー構成要素から形成される。
【0060】
この高融点ポリマー構成要素は、低融点ポリマー構成要素よりも高い溶融温度を有するポリマーから形成される。適切な高融点ポリマーには、ポリエステル及びポリアミドが含まれるが、それらに限定されない。適切な低融点ポリマーには、ポリプロピレン、ポリエチレン、コポリエステル、又は選択された高温で溶融するポリマーよりも低い溶融温度を有する任意の他の適切なポリマーが含まれる。例えば、2構成要素繊維は、ポリエステルの芯及びポリプロピレンの鞘で形成されてもよい。本実施の形態では、2構成要素繊維は2種類の異なるタイプのポリエステルから形成され、一方の融点は他方の融点よりも高い。
【0061】
他のタイプの2構成要素繊維を、他の実施の形態で基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120を形成するために用いるものとしてもよい。種々のタイプの2構成要素繊維のいくつかの例を図4乃至図10に模式的に示す。芯30及び鞘32を備える偏心して設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維28を図4に示す。この繊維は、同心に設けられた鞘/芯繊維22と同様であるが、芯30は中心からずらして設けられる。これら2種類のポリマー構成要素の収縮率(shrinkage rates)が異なることにより、繊維は、加熱されると螺旋状に渦を巻く。これにより、他の場合であれば平坦な繊維が、加熱下では縮れて(crimp)かさ高になる(bulk)ことができ、その結果、異なる繊維再配置(fiber reorientation)、拡張、及び/又は表面の起伏(undulation)が生じる。
【0062】
図5は、第1のポリマー構成要素36及び第2のポリマー構成要素38を含む並列(side‐by‐side)型の2構成要素繊維34の模式図である。用途に応じて、第1のポリマー構成要素の融点は、第2のポリマー構成要素の融点より高くても低くてもよい。これは、偏心して設けられた鞘/芯繊維の更なる拡張であり、両ポリマーは繊維表面の一部を占めるように設けられる。適切なポリマーの選択により、この繊維は、偏心して設けられた鞘/芯繊維28よりも高いレベルの潜在的な縮れを展開させることができる。
【0063】
図6は、パイ楔(pie wedge)型の2構成要素繊維40の模式図である。パイ楔繊維40は、第1のポリマー構成要素42及び第2のポリマー構成要素44で形成された複数の隣接し合う楔(ウェッジ)を備える。各第1のポリマー構成要素42はどちらの側面上にも第2のポリマー構成要素44を有する。第1のポリマー構成要素42は第2のポリマー構成要素44よりもより高い又はより低い融点を有することができる。これらの繊維は、機械的撹拌(典型的には、液流交絡(hydroentangling))により複数の構成要素楔へと分割されて、フィルタ媒体中に0.1乃至0.2デニール(1.111×10−5g/m乃至2.222×10−5g/m)のマイクロ繊維をもたらすように設計される。
【0064】
図7は、第1のポリマー楔48及び第2のポリマー楔50を備える中空パイ楔(hollow pie wedge)型の2構成要素繊維46の模式図である。ここでも、用途に応じて、第1のポリマー楔48は第2のポリマー楔50よりもより高い又はより低い融点を有するポリマーで形成することができる。中空パイ楔繊維46は、パイ楔繊維40に類似するが、中空中心52の中心部を有し、これにより、楔の内側の先端部同士の接合が防止され、したがって分割が比較的容易となる。
【0065】
図8は、島/海(islands/sea)型の2構成要素繊維54の模式図である。この繊維は、「ペパローニピザ」構成ともいうことができ、第1のポリマー構成要素56はペパローニピザに例えるとペパローニに当たり、第2のポリマー構成要素58はペパローニピザに例えるとチーズに当たる。いくつかの実施の形態では、第1のポリマー構成要素56は、第2のポリマー構成要素58よりも高い融点のポリマーで形成されるか、又は第2のポリマー構成要素58は可溶性ポリマーで形成される。かかる実施の形態では、この繊維により、後に溶融又は分解されてしまう低融点ポリマー又は可溶性ポリマー58のマトリクス中に高融点ポリマー56の多数の細いストランド(strands)(より糸)を配置することが可能となる。これにより、細いマイクロ繊維で設けられた媒体を製造することが可能となる。なぜならば、これらの繊維は、個々の「ペパローニ」としてよりも「ピザ」の形態でプロセシング(processing)することの方が容易だからである。ステープル繊維(staple fibers)(繊維の束)が各ピザ上の37個のペパローニからできるので、約0.04デニール(約4.444×10−6g/m)(直径約2マイクロメートル)又は更に細い繊維を生産することができる。
【0066】
2構成要素繊維を様々な形に形成してもよい。例えば、2構成要素繊維は、前述の2構成要素繊維のような断面が円形の円筒形でなくてもよい。図9及び図10は、複数の不規則な形を有する2構成要素繊維の複数の例を示す。これらの繊維は円形断面を有していないが、各繊維は本発明における意味(context)において直径を有している。非円形断面を有する繊維の直径は繊維の外周から測定される。図9は、3つ葉(trilobal)型の2構成要素繊維60、62の模式図である。3つ葉繊維60、62の各々は、第1のポリマー構成要素64、66及び第2のポリマー構成要素68、70を備える。3つ葉繊維60、62の各々は、その直径72、74によって測定される。いくつかの実施の形態では、第1のポリマー構成要素64、66は第2のポリマー構成要素68、70よりもより高い又はより低い融点を有するポリマーで形成される。
【0067】
図10は、端部(tipped)型の2構成要素繊維78、80の模式図である。繊維78は第1のポリマー中央部82と第2のポリマー端部84とを有する3つ葉端部型の2構成要素繊維である。繊維80は、第1のポリマー中央部86と第2のポリマー端部88とを有する十字端部型の2構成要素繊維である。好ましくは、第1のポリマー中央部82、86は第2のポリマー端部84、88よりも高い融点を有するポリマーで形成される。
【0068】
基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120の繊維は細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142の平均繊維直径よりも大きな平均繊維直径を有するように形成される。例えば、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120の繊維は、約1マイクロメートル超、好ましくは約2マイクロメートル超、より好ましくは5マイクロメートル超の平均繊維直径を有することができる。一の実施の形態では、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120の2構成要素繊維の平均直径は約1マイクロメートル乃至約40マイクロメートルである。
【0069】
粗繊維は、例えば、カレンダ加工ローラのセット及び/又はオーブンによって、圧縮及び/又は加熱され、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120を形成し、基材層のいずれか一は、約0.05乃至1.0mm、好ましくは約0.1乃至0.5mmの厚さを有する。かかる基材は、細繊維に要求される構造的支持を提供することができる。任意の基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120として用いるために適した様々な厚さの2構成要素スクリムは、米国テネシー州RogersvilleのHDK Industries,Inc.又は他のフィルタ媒体供給者等の様々な供給者から市販により入手することができる。したがって、基材は、かかる用意された複数の2構成媒体から選択することができる。
【0070】
一の実施の形態では、各基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び媒体122は、高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを有する2構成要素ステープル繊維で形成されたスクリムを備える。この2構成要素ステープル繊維は、全体として圧縮されてスクリムを形成する。このとき、この2構成要素ステープル繊維は、化学的に、機械的に、及び/又は熱的に共に結合される。例えば、この2構成要素ステープル繊維は、低融点ポリエステルの溶融温度又はその付近まで加熱され、全体として圧縮される。低融点ポリエステルで形成された鞘は、溶融又は軟化し、結合剤として機能して繊維を一体に結合する。
【0071】
細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、対応する基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120上にそれらが形成されたままに直接堆積することができる。代替として、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142を細繊維ウェブとして別途用意してから、基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120と共に積層してもよい。細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、多様な繊維直径を有する繊維を備えることができるが、好ましくは、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、非常に細い繊維直径を有するナノ繊維とする。かかる細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、電界紡糸プロセス又は他の適切なプロセスにより形成することができる。一の実施の形態では、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、約1マイクロメートル未満、好ましくは0.5マイクロメートル未満、より好ましくは0.01乃至0.3マイクロメートルの平均繊維直径を有する電界紡糸ナノ繊維とする。かかる小直径の細繊維は、所与の体積においてより多数の繊維を一緒に詰め込むことで、水滴を形成するための凝集粗大化フィルタ媒体において繊維表面積を増大させることができる。
【0072】
細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142を様々な適切なポリマー材料で形成してもよい。フィルタ媒体100の加熱時及び/又は圧縮時の細繊維の破壊(destruction)を回避するために、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、典型的には、基材の2構成要素繊維の少なくとも低融点構成要素よりも高い溶融温度を有する材料から形成される。水を凝集粗大化する用途の好ましい実施の形態では、細繊維はポリアミド等の親水性材料で形成される。他の好適な親水性ポリマーには、ポリ(アクリル酸)、ポリアルキレングリコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、メチルビニルエーテル及びマレイン酸のコポリマー、無水マレイン酸ポリマー、ポリアルキレンオキシド類、ポリメタクリルアミド類、親水性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルスルホン酸、キトサン等のポリ(サッカライド)、並びに十分な‐OH基、‐COOH基、及び/又はNH2基を有する多くの他のポリマー又はコポリマーが含まれるが、それらに限定されない。
【0073】
一の実施の形態では、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は、電界紡糸によりナイロン(登録商標)‐6(ポリアミド‐6、本明細書においては「PA‐6」とも呼ぶ)から形成され、電界紡糸される細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142は基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120上に直接堆積される。本実施の形態では、細繊維124は、ナイロン(登録商標)‐6を含有する溶液から静電気により生成され、基材102の表面上に堆積する。細繊維126は、同様に基材層104上に生成及び堆積することができる。電界紡糸されたナノ繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142で覆われた基材層102、104、106、108、110、112、114、116、118、120は、その後、細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142の各層が隣接する基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び/又は媒体122に挟まれて図2に示す圧縮前状態144のフィルタ媒体100を形成するように、媒体122と共に積層される。前述のように、図1及び図2に示す通り、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、その後圧縮されて、その最終的な圧縮状態146の凝集粗大化フィルタ媒体100を形成する。好適な実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体100は圧縮前、圧縮中及び/又は圧縮後に加熱される。例えば、圧縮前状態144のフィルタ媒体100は、カレンダ加工ローラ148、150のセットを通過する前に加熱される。また、カレンダ加工ローラ148、150のセットを加熱して、圧縮中にフィルタ媒体100を更に加熱することができる。
【0074】
細繊維124、126、128、130、132、134、136、138、140、142と、隣接する基材102、104、106、108、110、112、114、116、118、120及び/又は媒体122のより粗い繊維との間の結合は、溶剤による結合、加圧による結合、及び/又は熱による結合(融着)を含んでもよい。例えば、細繊維を、溶剤を含有するポリマー溶液から静電気により生成する場合、細繊維の表面に残っている溶剤は、細繊維が基材の粗繊維と接触状態になるときに、溶剤による結合を生じさせることができる。更に、基材の2構成要素繊維の低融点構成要素は、細繊維と基材の隣接する粗繊維との間の結合を強化するために用いることができる。かかる実施の形態では、フィルタ媒体100は、低融点構成要素の融点又はその付近まで加熱され、圧縮される。2構成要素の粗繊維の低融点構成要素が溶融又は軟化することにより、隣接する細繊維及び低融点構成要素が共に圧縮される際に、隣接する細繊維が低融点構成要素内に埋め込まれ得るようになり、これにより、粗繊維と細繊維との間の結合が強化される(加圧による結合及び熱による結合による)。
【0075】
図11に示す実施の形態では、凝集粗大化フィルタ媒体500は10層の基材502、504、506、508、510、512、514、516、518、520と、この基材の各々が担持する細繊維524、526、528、530、532、534、536、538、540、542と、媒体522とを含み、それらの全てはフィルタ媒体100と同様に共に緊密に圧縮される。更に、凝集粗大化フィルタ媒体500は、下流側の表面548に多孔質層544を含む。この多孔質層544は「排水層(drainage layer)」とも呼ばれる。本実施の形態では、媒体層522及び多孔質層544を有するものとして示しているが、これらの層を追加するか否かは任意であり、したがって、他の実施の形態によるフィルタ媒体500は媒体層522及び多孔質層544を含んでいなくてもよい。
【0076】
本実施の形態では、媒体522及び各基材層502、504、506、508、510、512、514、516、518、520は、約1乃至40マイクロメートルの平均繊維直径と約0.5乃至15オンス/平方ヤード(約16.953g/m乃至508.59g/m)の坪量とを有する2構成要素繊維スクリムから形成される。2構成要素繊維は高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを備える。細繊維524、526、528、530、532、534、536、538、540、542はナイロン(登録商標)‐6で形成された電界紡糸ナノ繊維である。細繊維は約0.01乃至0.5マイクロメートルの平均繊維直径を有し、細繊維の各層524、526、528、530、532、534、536、538、540、542は約0.075g/m乃至0.225g/mの坪量を有し、0.75g/m乃至2.25g/mの細繊維の総被覆坪量をもたらす。
【0077】
多孔質層544(本明細書では排水層とも呼ぶ)は、セルロース材料又はガラス繊維等の様々な材料で形成することができる。この実施の形態では、多孔質層544はガラス繊維で形成され、2構成要素繊維スクリム以上に大きい孔サイズ(pore size)を有する。多孔質層544は、コンパクト化(締固め)された(圧縮された)基材層及び細繊維層を通して凝集粗大化された水滴を継続的に成長させることを可能とし、引き続き水滴を回収できるように水滴が多孔質層544を通過することを可能とする。更に、多孔質層544は、コンパクト化(締固め)された基板及び細繊維層に対する追加的な構造支持を与えることができる。媒体522、基材層502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、細繊維524、526、528、530、532、534、536、538、540、542及び多孔質層544は重ね合わせられ(積層され)、一緒に圧縮されて、約3/16インチ乃至1/2インチ(約4.763mm乃至12.7mm)の合計の厚さを有する緊密にパックされた(詰め込まれた)凝集粗大化フィルタ媒体500を形成する。
【0078】
いくつかの実施の形態では、排水層544は、シリコーンを付与された(siliconized)セルロース材料で形成される。かかる実施の形態では、排水層544は基材層502に対して連続的に結合されず、基材層502に対して部分的に固定されて、凝集粗大化フィルタ媒体500が、引き続いて様々なフィルタエレメントへひだ加工されたり、成形加工されたりする際に、その摺動する移動を防止することができる。これらの実施の形態では、コンパクト化(締固め)(圧縮)された基材及び細繊維層は、疎水性のシリコーンを付与(処理)されたセルロース材料で形成された排水層544による捕捉に十分なサイズに水滴を凝集粗大化する。疎水性の排水層544は、水滴が疎水性の排水層544の孔(pore)を通過して流れることを防止する水障壁(water barrier)として機能する。水滴は排水層544の孔を通過して流れるのではなく、排水層544の疎水性の内側の表面に沿って流れ、基材層502と排水層544との間を流れ下る。次いで、水滴は流路外に回収され、燃料のみがエンジンに入ることが可能となる。
【0079】
本実施の形態では、炭化水素燃料の流れは、上流面(上流側の表面)546から凝集粗大化フィルタ媒体500に流入し、基材層及び細繊維層を通過して流れ、下流面(下流側の表面)548の多孔質層544を通過して流出する。炭化水素燃料の流れが、基材層及び細繊維を通過する際に、炭化水素燃料の流れの中の乳化した水は、細繊維層が提供する大きな繊維表面積によって凝集粗大化される。更に、親水性の細繊維が水を引き寄せ、水滴の形成を促進する。凝集粗大化された水滴は、多孔質層544の大きな直径の孔を通過する際に更に大きなサイズに成長し、炭化水素燃料から分離される。更に、炭化水素燃料システム中の固体及び/又は汚染物質を、凝集粗大化フィルタ媒体500の孔内で捕捉することができるので、更なるろ過能力を提供することができる。
【0080】
他の実施の形態では、基材層502、504、506、508、510、512、514、516、518、520は異なる媒体を備える。例えば、基材層のいくつかが、他の層よりも厚いスクリム又は媒体で形成されてもよく、他の層とは異なる孔(ポア)サイズを有してもよい。更に、細繊維層524、526、528、530、532、534、536、538、540、542は同一の細繊維カバレッジを有してもよく、又は異なる細繊維カバレッジを有してもよい。例えば、ある細繊維層が約0.08g/mの細繊維カバレッジを有する一方で、他の細繊維層が約0.2g/mの細繊維カバレッジを有することができる。更に、各層の細繊維カバレッジは、凝集粗大化プロセスを最適化するために、炭化水素燃料の流れ及び水の含有量の特徴に応じて設定することができる。
【0081】
図12は、本発明のプロセス(方法)の実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体を製造する代表的なプロセスの模式図である。本実施の形態では、図11に示す凝集粗大化フィルタ媒体500を製造するための下流システムのプロセスステップを含むが、このプロセスは、小さな改変を加えて本発明の他の実施の形態によるフィルタ媒体を生産することもできる。図12に示すシステム200は、基材とその基材上に堆積させた細繊維とを有する複合媒体を製造するための上流システム201と、複数層の複合媒体層及び他の追加の層を積層及び圧縮して凝集粗大化フィルタ媒体を製造するための下流システム203とを含む。
【0082】
上流システム201は巻出しステーション202、電界紡糸ステーション204、オプション(追加するか否かは任意)であるオーブン206、オプションであるカレンダ加工ローラ207のセット及び巻戻しステーション208を含む。本実施の形態では、基材層として用いられるスクリムロール210が巻出しステーション202から巻き出される。スクリムロール210から巻き出されたスクリム212は、マシン方向214に電界紡糸ステーション204へ向けて移動する。電界紡糸ステーション204では、細繊維216がスクリム212の一方の表面に形成されて堆積し、細繊維216を担持するスクリムを備える複合媒体218を形成する。複合媒体218を巻戻しステーション208上の複合媒体ロール230へ巻き付ける前に、オプションであるオーブン206及びオプションであるカレンダ加工ローラ207のセットで加熱及び圧縮してもよい。
【0083】
スクリムを、システム200の上流プロセス(連続ラインプロセスの一部又は断続ラインプロセスのいずれか)で形成してもよく、又はHDK等の供給者又はH&V若しくはAhlstrom等の他の適切な媒体供給者又は同様の供給者からロール形態で購入してもよい。スクリムを、前述の図3乃至図10に示す2構成要素繊維等の様々な適切な材料から形成することができる。例えば、スクリムを、高融点ポリエステルの芯/低融点ポリエステルの鞘の2構成要素ステープル繊維で形成することができ、2構成要素ステープル繊維は圧縮及び/又は加熱されて、所望の厚さと固体性(中実性)とを有するスクリムロール210を形成する。代替として、基材層は、圧縮されて溶剤結合又は熱結合等により定位置に保持される(成形される)他の単一構成要素媒体(single component media)であってもよい。
【0084】
例えば2構成要素(繊維)の場合、同心に設けられた鞘/芯型の2構成要素繊維を、芯として高融点ポリエステルを用い、鞘として低融点ポリエステルを用いて同時押出成形(coextrude)してもよい。そして、かかる2構成要素繊維を、スクリム又はフィルタ媒体を形成するために用いることができる。一の実施の形態では、2構成要素繊維を、ステープル繊維(staple fibers)(ステープルファイバ)((短く)切断した繊維)として用いることにより、従来の乾式積層プロセス又は空気積層プロセスによって複数構成要素フィルタ媒体又はスクリムを形成する。このプロセスで用いられるステープル繊維は比較的短く不連続なものであるが、従来の装置で扱うためには十分な長さである。2構成要素繊維の複数の包装(bales)は、シュート供給(chute feed)を経由して供給され、カーディング装置(carding device)で個々の繊維に分離されてから、繊維ウェブへと空気積層(air laid)される(この繊維ウェブ自体は、本開示においては基材として用いることができる)。次に、繊維ウェブを、カレンダ加工ローラのセットを用いて圧縮し、スクリムロール210を形成する(このスクリムロール210は基材としても用いることができる)。追加するか否かは任意に、繊維ウェブをカレンダ加工ローラのセットに入れる前に加熱してもよい。本実施の形態のスクリム210は、高融点構成要素及び低融点構成要素を含む2構成要素繊維を備えるため、2構成要素フィルタ媒体とも呼ばれる。いくつかの実施の形態では、繊維ウェブをカレンダリング(圧延加工)する前に折り畳んで、より厚い2構成要素フィルタ媒体を形成する。
【0085】
別の実施の形態では、ポリエステル繊維等の高融点ポリマー繊維を備えるウェブ、及びポリプロピレン繊維等の低融点ポリマー繊維を備えるウェブを分離して形成し、共に積層することにより、2構成要素フィルタ媒体又はスクリムのロールを形成することができる。かかる実施の形態では、細繊維216は、スクリム212の低融点側に堆積される。この実施の形態では、低融点ウェブは、低融点構成要素が加熱及び溶融されたときに高融点ウェブの表面を塞がないように、高融点ウェブよりも実質的に薄く設けられる。
【0086】
他の実施の形態では、2構成要素繊維スクリムは、溶融ブロープロセス(melt blowing process)により形成することができる。例えば、溶融ポリエステル及び溶融ポリプロピレンが、加熱された高速空気を伴って押出し及び引抜き成形されることで粗繊維を形成することができる。この繊維は、移動中の網(screen)上にウェブとして収集されることにより2構成要素スクリム210を形成することができる。
【0087】
また、複数構成要素繊維フィルタ媒体又はスクリムは、少なくとも2種類の異なるポリマー材料を用いてスパンボンド(spun−bonded)(紡糸接着)されてもよい。典型的なスパンボンドプロセスでは、溶融ポリマー材料が複数の押出成型開口(extrusion orifices)を通過することにより複数糸紡糸工程(multifilamentary spinline)が形成される。この複数糸紡糸工程では、その引張り強さを高めるために引き抜かれ、固体化を生じさせる急冷ゾーンを通過させられて、移動する網(screen)等の支持体の上に集められる。スパンボンドプロセスは溶融ブロープロセスに類似するが、溶融ブローによる繊維はスパンボンドによる繊維よりもより細いのが通常である。
【0088】
更に他の実施の形態では、複数構成要素フィルタ媒体は湿式積層(wet−laid)される。湿式積層プロセスでは、高融点繊維及び低融点繊維が搬送ベルト上に分散され、これらの繊維は、湿った状態にある間に均一なウェブへと広げられる。湿式積層操作では、典型的には1/4乃至3/4インチ(6.35mm乃至19.05mm)の長さの繊維が用いられるが、繊維が硬かったり太かったりする場合には時として、より長い繊維を用いる。多様な実施の形態による前述の繊維は、圧縮されることにより、所望の厚さを有するスクリム210又はフィルタ媒体を形成する。
【0089】
再び図12を参照して説明する。スクリム212は、細繊維216が形成されてスクリム212の一方の表面上に堆積する、電界紡糸ステーション204に入る。電界紡糸ステーション204において、細繊維216は、電界紡糸セル222から電界紡糸され、スクリムウェブ212の上に堆積する。システム200の電界紡糸プロセスは、本願出願人に譲渡された米国特許公開2009/0199717号の「100ナノメートル未満の細繊維及び方法」に開示されている電界紡糸プロセスと実質的に同様とすることができ、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。代替として、ノズルバンク(nozzle banks)又は他の電界紡糸設備を用いて細繊維を形成することもできる。このような代替としての電界紡糸装置又はセル222のチェーン電極の経路変更により、繊維を所望の配向に堆積させることが可能となる(例えば、繊維は上方向に紡糸されていることが示されているが、粗繊維を搬送するコンベヤ上へ繊維を下方向、水平方向、又は対角方向に紡糸することも可能である)。
【0090】
この電界紡糸プロセスは、ナノ繊維としても知られる小直径の合成繊維を生産する。静電紡糸の基本プロセスは、高電圧勾配等の強電界が存在する中での、溶融ポリマーの流れ又はポリマー溶液の流れへの静電荷の導入を伴う。電界紡糸セル222においてポリマー流体へ静電荷を導入することにより、荷電流体噴流(荷電流体ジェット)が形成される。この荷電噴流は、静電界中で加速して細くなり、接地コレクタ(ground collector)の方向に引き付けられる。かかるプロセスにおいては、ポリマー流体の粘弾性力により、この噴流は安定化し、小直径の糸(filaments)が形成される。繊維の平均直径は、静電紡糸セル222の設計及びポリマー溶液の配合により制御することができる。
【0091】
細繊維を形成するために用いるポリマー溶液は、様々なポリマー材料及び溶剤を含むことができる。例示のポリマー材料には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリレンオキシド、ポリスルホン、変性ポリスルホンポリマー及びポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデンが含まれる。静電紡糸用のポリマー溶液を作るための溶剤には、酢酸、ギ酸、m−クレゾール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール塩化溶剤、アルコール、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びN−メチルピロリドン、並びにメタノールが含まれてもよい。この溶剤とポリマーは、所与の溶剤及び/又は溶剤混合物(両方とも「溶剤」と呼ぶ場合がある)中のポリマーの十分な可溶性に基づいて、適切に用いるために組み合わせることができる。例えば、ギ酸をナイロン(登録商標)‐6に対して選択してもよい。細繊維の電界紡糸に関する更なる詳細については前述の特許を参照することができる。
【0092】
電界紡糸ステーション204において、高電圧差を生じさせる高電圧を供給することにより、電界紡糸セル222内の電極と真空コレクタコンベヤ(vacuum collector conveyor)224との間に静電界が生成される。図12に示すように、細繊維216が形成される複数の電界紡糸セル222を設けてもよい。電界紡糸セル222の電極で形成された細繊維216は、静電界により与えられる力によって真空コレクタコンベヤ224の方向に引かれる。また、真空コレクタコンベヤ224は、スクリム212を保持し、機械方向214にスクリム212を移送する。この構成では、スクリム212は、細繊維216がスクリム212上に堆積するように電界紡糸セル222と真空コレクタコンベヤ224との間に配置される。スクリム212が一方の表面上の低融点構成要素と他方の表面上の高融点構成要素とを含む複数構成要素フィルタ媒体である実施の形態では、複数構成要素スクリム212は、複数構成要素スクリムの低融点構成要素表面が電界紡糸セル222に対面するように、電界紡糸セル222と真空コレクタコンベヤ224との間に配置される。
【0093】
好ましい一の実施の形態では、電界紡糸セル222は、ポリアミド‐6(PA‐6)と、2/3の酢酸及び1/3のギ酸からなる適切な溶剤とを含むポリマー溶液を収容する。かかる溶剤において、酢酸及びギ酸は共に、PA‐6を溶解するための溶解剤として機能し、酢酸は、ポリマー溶液の導電性及び表面張力を制御する。電界紡糸セル222は、PA‐6から形成される細繊維を生成し、この細繊維は、スクリム212の表面上に堆積される。細繊維216がスクリム212の表面に堆積されると共に、いくらかの細繊維216は、電界紡糸セル222に対面するスクリムの表面近傍の粗繊維と交絡(entangle)する。いくらかの細繊維216が、いくらかの粗繊維と交絡するときに、電界紡糸プロセスからの細繊維216内に残留する溶剤は、細繊維216とスクリム212の粗繊維との間に溶剤結合を生じさせることができる。
【0094】
スクリム212の2構成要素繊維と細繊維216との間の結合は、オプション(追加するか否かは任意)であるオーブン206とオプションであるカレンダ加工ローラ207のセットとにより、熱結合及び加圧結合によって強化することができる。複合媒体218が、オーブン206内で加熱されると、2構成要素繊維の低融点ポリマー構成要素が軟化又は溶融して、細繊維216が低融点ポリマー構成要素内に埋め込まれることを可能とする。したがって、熱処理中は、複合フィルタ媒体218は、低融点構成要素のガラス転移温度を少なくとも上回るまで、より好ましくは低融点構成要素の溶融温度又はその付近まで、加熱される。例えば、複合媒体218は、2構成要素繊維の外側の低融点ポリエステル層が溶融し、PA‐6から形成された細繊維216と結合するように、低融点ポリエステルの融点まで又はその付近まで加熱される。かかる実施の形態では、PA‐6及び高融点ポリエステルの溶融温度は、低融点ポリエステルの溶融温度よりも著しく高いので、PA‐6細繊維216及び2構成要素繊維の高融点ポリエステルの芯は溶融しない。最も低い溶融温度を有する低融点ポリエステルは溶融又は軟化し、隣接するPA‐6細繊維216は、この軟化又は溶融した低融点ポリエステル内に埋め込まれ、それにより細繊維216とスクリム212とが結合して合体する。したがって、低融点ポリエステルは、2構成要素繊維スクリム212と細繊維216との間の結合剤として機能する。細繊維216とスクリム212との間の結合は、カレンダ加工ローラ207のセットによる加圧結合により更に強化することができる。複合媒体がカレンダ加工ローラ207を通過すると、細繊維216及びスクリム212は一緒に圧縮され、細繊維はスクリム212の繊維中へ更に埋め込まれる。更に、この圧縮により複合媒体中の空隙(voids)が減少されて、増大された固体性(中実性)を有する複合媒体220が形成される。
【0095】
図15A乃至図15Dはスクリム212の2構成要素繊維及びスクリム212の表面近傍の細繊維216を多様な倍率で示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。図15A及び図15Bの300倍及び1,OOO倍で示すSEM画像に見られるように、スクリムウェブ212上に堆積した細繊維216は、スクリム212の表面近傍に位置するより粗い2構成要素繊維の間の蜘蛛の巣状の繊維構造を形成する。より高い倍率で得られたSEM画像(2,000倍の図15C及び10,000倍の図15D)は、細繊維216と2構成要素繊維との間の結合を示す。図15Dに鮮明に示すように、細繊維216は、2構成要素繊維の低融点ポリエステル表面に埋め込まれている。
【0096】
2構成要素スクリム212と細繊維216とを含む複合媒体ロール230は、下流システム203において、他の複合媒体232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体250と積層される。各複合媒体ロール230、232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体ロール250は、巻出しステーション252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272から巻き出され、ローラ274のセットによって共に積層される。このローラのセットは積層体に著しい圧力を印加し、複合媒体の層の厚さを大幅に減少させるカレンダ加工ローラであってもよい。あるいは、ローラ274のセットは積層体に小さい圧力を印加し、オーブン276を通り抜けるためにちょうど十分な厚さに合わせるようにこの積層体の厚さを減少するものとしてもよい。かかる実施の形態では、積層された複数の層280はオーブン276で加熱され、カレンダ加工ローラのセットにより圧縮される。このとき、積層された複数の層280は、所望の厚さ及び固体性(solidity)(中実性)を有する圧縮状態へ一緒に圧縮される。
【0097】
本実施の形態では、各複合媒体ロール232、234、236、238、240、242、244、246、248は、複合媒体ロール230と同様に用意される。したがって、各複合媒体ロール232、234、236、238、240、242、244、246、248は、2構成要素繊維スクリムで形成された基材284、286、288、290、292、294、296、298、300及び2構成要素繊維スクリム284、286、288、290、292、294、296、298、300に担持される電界紡糸されたナノ繊維302、304、306、308、310、312、314、316、318を含む。
【0098】
一の実施の形態では、各基材212、284、286、288、290、292、294、296、298、300及び媒体250は約0.05mm乃至1.0mmの厚さを有する同一の2構成要素繊維スクリムで形成される。各細繊維層216、302、304、306、308、310、312、314、316、318は電気紡糸PA‐6ポリマー溶液によって形成され、0.075g/m乃至0.225g/mの細繊維カバレッジ(細繊維被覆率)をもたらす。他の実施の形態では、基材は、異なるタイプのフィルタ媒体又はスクリム、及び異なる細繊維カバレッジを有することができる各細繊維層で形成されてもよい。
【0099】
複合媒体280は、オーブン276内で、2構成要素繊維スクリムの低融点ポリエステル構成要素の溶融温度又はその付近まで加熱される。
【0100】
加熱中、基材は弛緩し、その厚さを拡張することができる。したがって、このかさ高となった複合媒体281の厚さは、オーブン276内で加熱される前の複合媒体280の厚さの少なくとも1.5倍、2倍、3倍又はそれ以上になり得る。次に、かさ高となった複合媒体281は、カレンダ加工ローラ282のセットにより圧縮状態320へと圧縮される。複合媒体は、複合媒体280の厚さが、加熱前の複合媒体280の元の厚さの約50%乃至300%、好ましくは約70%乃至200%、更に好ましくは約80%乃至150%((10層の細繊維層を担持する10層のスクリム層の合計の厚さ+媒体の厚さ−圧縮状態320の複合媒体の厚さ)/(10層の細繊維層を担持する10層のスクリム層の合計の厚さ+媒体の厚さ))だけ減少するように圧縮される。厚さの減少は、加熱中のかさ高量に依存することとなる。したがって、加熱によるかさ高量が大きい場合、圧縮後の複合媒体の最終厚さは、加熱前の複合媒体の初期厚さよりも厚くなることができる。次に、圧縮状態320にある複合媒体は排水層322と重ね合わされ(積層され)、凝集粗大化媒体ロール324へと巻かれる。
【0101】
本実施の形態では、複合媒体ロール230、232、234、236、238、240、242、244、246、248及び媒体250は、各細繊維層216、302、304、306、308、310、312、314、316、318が隣接する基材層及び/又は媒体との間に挟まれるように共に積層される。しかしながら、他の実施の形態では、複合媒体層は、細繊維層のいくつかが相互に対面することにより最終複合媒体320内において細繊維の相互結合(fine fiber to fine fiber bonding)又は基材の相互結合(substrate to substrate bonding)を形成するように、積層してもよい。
【0102】
図13は、本発明の別の実施の形態による凝集粗大化フィルタ媒体を製造するシステム及びプロセス(方法)の模式図である。システム400は、概して、巻出しステーション402、電界紡糸ステーション404、折り畳みステーション406、ローラ408のセット、オーブン410、カレンダ加工ローラ412のセット、及び巻戻しステーション414を含む。
【0103】
この実施の形態では、基材416のロールが、巻出しステーション402から巻き出され、電界紡糸ステーション404へ移送され、この電界紡糸ステーション404において、細繊維が基材416の表面上に形成及び堆積される。電界紡糸ステーション404及びそのプロセスは、前述の電界紡糸ステーション204及びそのプロセスと同様である。この実施の形態では、基材416は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を含む2構成要素繊維で形成されたスクリムである。細繊維418はPA‐6で形成される。
【0104】
基材416と細繊維418とを含む複合媒体420は、折り畳みステーション406で折り畳まれる。複合媒体420は、最終的な凝集粗大化媒体の所望の特性に応じて2乃至20折りの厚さに折り畳むことができる。図示のように、この折り畳みにより、細繊維相互(fine fiber to fine fiber)の積層面及び基材相互(substrate to substrate)の積層面が生じる。この実施の形態における折り畳みステーション406は、折り目がローラ408のセットの方向を指すような、ライン(工程)方向における複合媒体420の折り畳みとして示される。しかしながら、他の実施の形態では、複合媒体420を、折り目が電界紡糸ステーション404の方向を指すように折り畳んでもよく、又はライン(工程)を横切る方向に折り畳んでもよい。次いで、折り畳まれた複合媒体422は、オーブン410を通り抜けるのに適した厚さにまで圧縮される。複合媒体424が加熱されると共に、低融点ポリエステルの鞘が溶融又は軟化して、層間の熱結合を生じさせる。オーブン410を出た後で、複合媒体424は、カレンダ加工ローラ412のセットを通過する。カレンダ加工ローラ412は、凝集粗大化媒体の所望の最終厚さに応じて相互に離間される。複合媒体424は、カレンダ加工ローラ412のセットを通過する際に、所望の厚さを有する圧縮状態へ圧縮される。
【0105】
更に、媒体層426及び多孔質層428が、凝集粗大化媒体430の各表面上に積層され、巻戻しステーション414でロールに巻かれる。凝集粗大化媒体430、媒体層426及び多孔質層428を含む凝集粗大化フィルタ媒体432の拡大断面図を図13に示す。図示するように、凝集粗大化媒体430は、折り畳みプロセスにより、傾斜(斜め)方向に複数層の基材416及び複数層の細繊維418を含む。媒体層426は、任意の適切な媒体で形成することができるが、この実施の形態では、媒体層426は、基材416に用いられる同一の2構成要素繊維スクリムで形成される。また、多孔質層428は様々な多孔質材料で形成することができるが、本実施の形態では、多孔質層428はガラス繊維材料とする。
【0106】
図14は、凝集粗大化媒体を製造するためのシステム及びプロセス(方法)の更に別の実施の形態を示す。システム600はシステム400に類似するが、この実施の形態における細繊維は、基材上に堆積されない。代わりに、細繊維は、緩く交絡させた粗繊維ウェブ上に形成及び堆積される。システム600は、全体として、シュート(chute)供給装置602、カーディング装置(carding device)603、電界紡糸ステーション604、折り畳みステーション606、ローラ608のセット、オーブン610及びカレンダ加工ローラ612のセット及び巻戻しステーション614を含んでいる。
【0107】
システム600において、粗繊維ウェブ616は、乾式積層プロセス又は空気積層プロセスを用いてステープル繊維から形成される。この実施の形態のステープル繊維は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を備える2構成要素繊維である。2構成要素ステープル繊維は、比較的短く、不連続であるが、従来の設備で扱うために十分な長さを有する。ステープル繊維の複数の包装(bales)が、シュート供給装置602を通って供給される。カーディング装置603において、2構成要素ステープル繊維は個別の繊維に分離され、空気積層されて、粗繊維ウェブ616を形成する。ここで、粗繊維ウェブ616は強く綿毛状に膨らめられた(fluffed)厚い状態で共に緩く交絡され、共に結合されていなくてもよい。粗繊維のウェブ616は、手作業による非常にわずかな労力で容易にバラバラにすることができ、この点で、従来の意味ではフィルタ媒体又は基材と見ることができない程まで構造的完全性が低い。
【0108】
粗繊維ウェブ616は、コンベヤベルト617により電界紡糸ステーション604に向けて移送され、そこで細繊維618が形成されて、粗繊維ウェブ616の表面上に堆積する。細繊維618が粗繊維ウェブ616の上に堆積すると共に、細繊維618は、基材416を用いた前述の実施の形態以上に、粗繊維ウェブ616の粗繊維と一体化する。その理由は、粗繊維ウェブ616が、はるかに多くの多孔質性とはるかに低い密度とを有し、それにより細繊維618のより深い一体化が可能となるからである。
【0109】
次に、細繊維618と一体化した粗繊維ウェブ616は、折り畳みステーション606で10乃至30折りへと折り畳まれ、ローラ608のセットで圧縮され、オーブン610で加熱され、システム400と同様に、カレンダ加工ローラ612のセットで再び圧縮される。次に、凝集粗大化媒体630は、媒体層626及び多孔質層628と共に積層されて、凝集粗大化フィルタ媒体632を形成する。この実施の形態の凝集粗大化媒体630の粗い2構成要素繊維と細繊維とは、はるかに強く一体化される。したがって、凝集粗大化媒体630の断面からは複数の層が見えず、殆ど単体の一体化された媒体630のように見える。凝集粗大化媒体630は、炭化水素燃料流れ等の流体の流れから水滴を凝集粗大化するために十分な細繊維カバレッジ及び緊密性(中実性)を有する。更に、凝集粗大化フィルタ媒体632はかかる流体の流れから水を除去するように構成される。
【0110】
本発明の多様な実施の形態による凝集粗大化媒体は、様々な用途のために様々な形状と大きさに構成することができる。例えば、これらの凝集粗大化媒体を、スピンオンフィルタ(螺合取付ろ過材)用途、大型燃料ろ過容器、航空機用フィルタシステム、液圧フィルタエレメント及びバイオ燃料システムに使用することができる。凝集粗大化媒体にひだ加工(pleated)又はギャザー加工(gathered)を施して、溝付きフィルタ(fluted filter)、ひだ付きフィルタ(pleated filter)、又は他のかかる典型的なフィルタエレメント構成とすることができる。凝集粗大化媒体は、凝集粗大化用途で特に良好に機能するが、水からの微粒子のろ過等の他のろ過用途でも効果的に機能する。
【0111】
典型的な凝集粗大化フィルタエレメント(凝集粗大化ろ過要素/凝集粗大化ろ過媒体組立体)は前置フィルタエレメント(pre‐filter element)(前置ろ過要素/前置ろ過媒体組立体)及び凝集粗大化エレメント(凝集粗大化要素/凝集粗大化媒体組立体)を含んでもよい。前置フィルタエレメントは、典型的には凝集粗大化エレメントとは別の構造体であり、燃料の流れが凝集粗大化エレメントに入る前に燃料の流れから微粒子をろ過して、微粒子が凝集粗大化媒体の孔を塞ぐことを防止するように構成される。一の実施の形態では、凝集粗大化フィルタエレメントは、拡張されたナノ繊維複合媒体及び圧縮された凝集粗大化フィルタ媒体を含むように構成される。かかる凝集粗大化フィルタエレメントは微粒子をろ過し、水を凝集粗大化させて、前置フィルタエレメントの必要性を解消することができる。
【0112】
図16は、拡張されたナノ繊維複合媒体702、圧縮された凝集粗大化媒体704、及び排水層706を含む凝集粗大化フィルタ媒体700を示す。図示するように、燃料の流れ708は、凝集粗大化フィルタ媒体700に流入して拡張されたナノ繊維複合媒体702を経由し、圧縮された凝集粗大化媒体704を通過して流れ、排水層706を経て流出する。かかる拡張されたナノ繊維複合媒体は、本願出願人に譲渡された米国仮特許出願61/308,488号の「ナノ繊維マトリクスを含む拡張された複合フィルタ媒体及び方法」に開示されており、その開示の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0113】
本実施の形態では、拡張されたナノ繊維複合媒体702は3層の基材710、712、714を含み、基材層712及び714はナノ繊維726及び728を担持する。圧縮されたナノ繊維複合媒体704は5層の基材716、718、720、722、724を含み、5層の基材の各々がナノ繊維730、732、734、736、738を担持する。基材710、712、714、716、718、720、722、724の層の各々を同一の又は異なる多孔質材料で形成することができる。本実施の形態では、基材の層の各々は、凝集粗大化媒体の他の実施の形態に関して前述したように、2構成要素繊維を有するスクリムで形成される。ナノ繊維726、728、730、732、734、736、738は、前述の他の実施の形態と同様に、電界紡糸によって対応する基材層上に堆積する。
【0114】
拡張されたナノ繊維複合媒体702は、ナノ繊維726、728を堆積したスクリム層712、714にスクリム層710を積層し、オーブンでこれらの積層された層を加熱して、スクリム層の繊維を再配向及びかさ高にすることによって構築される。スクリム層710、712、714が再配向し、かさ高になる際に、ナノ繊維726、728もスクリム層の繊維と共に再配向し、拡張する。その結果、ナノ繊維の体積カバレッジ(volumetric coverage)は増大し(拡張によりナノ繊維が3Dマトリクスへと広げられ拡張するので、同一の坪量(basis weight)の適用に対してより高い体積カバレッジとなる)、圧力損失が、拡張により低下し、及び/又は、ダストの填装(目詰まり)による圧力損失の増大が緩やかになる。したがって、拡張されたナノ繊維複合媒体702の層は、燃料の流れの中の微粒子を、それらが続いて圧縮された凝集粗大化媒体層704に流入する前に効果的にろ過することが可能となる。
【0115】
圧縮された凝集粗大化媒体704を、詳細に前述した凝集粗大化フィルタ媒体100又は500と同様に構築することができる。ナノ繊維堆積スクリム層は、積層、加熱、及び圧縮されて、燃料の流れの中の水を凝集粗大化させるための圧縮された凝集粗大化媒体を形成する。排水層706は、前述の任意の多孔質材料とすることができる。本実施の形態では、排水層706は疎水性のシリコーンを付与(処理)されたセルロース材料とする。この排水層706は基材層724に対して連続的に結合されず、側面に沿ったいくつかの箇所(spot)で基材に固定される。疎水性の排水層706は凝集粗大化した水滴が排水層706の孔を通過して流れることを防止する。水滴が排水層706の孔を通過して流れるのではなく、凝集粗大化された水滴は排水層706の内側の表面725に沿って流れ、集められる。そのため、凝集粗大化された水滴を含まない燃料の流れのみが、排水層を通過してエンジンシステムに流入することができる。
【0116】
本明細書中で引用する公報、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献を個々に、具体的に示し、引用して組み込むかのように、又、その全体を本明細書に記載するかのように、引用して組み込まれる。
【0117】
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(即ち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「等」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
【0118】
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。従って本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の修正及び均等物を全て含む。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、全ての変形における上記要素のいずれの組み合わせも本発明に包含される。
【符号の説明】
【0119】
22 2構成要素繊維(同心型)
24 芯
26 鞘
28 2構成要素繊維(偏心型)
30 芯
32 鞘
34 2構成要素繊維(並列型)
36 第1のポリマー構成要素
38 第2のポリマー構成要素
40 2構成要素繊維(パイ楔型)
42 第1のポリマー構成要素
44 第2のポリマー構成要素
46 2構成要素繊維(中空パイ楔型)
48 第1のポリマー楔
50 第2のポリマー楔
52 中空中心
54 2構成要素繊維(島/海型)
56 第1のポリマー構成要素
58 第2のポリマー構成要素
60 2構成要素繊維(3つ葉型)
62 2構成要素繊維(3つ葉型)
64 第1のポリマー構成要素
66 第1のポリマー構成要素
68 第2のポリマー構成要素
70 第2のポリマー構成要素
72 直径
74 直径
78 2構成要素繊維(3つ葉端部型)
80 2構成要素繊維(十字端部型)
82 第1のポリマー中央部
84 第2のポリマー端部
86 第1のポリマー中央部
88 第2のポリマー端部
100 凝集粗大化フィルタ媒体
102、104、106、108、110、112、114、116、118、120 基材
122 媒体
124、126、128、130、132、134、136、138、140、142 細繊維
144 圧縮前状態
146 圧縮状態
148 カレンダ加工ローラ
150 カレンダ加工ローラ
200 システム
201 上流システム
202 巻出しステーション
203 下流システム
204 電界紡糸ステーション
206 オーブン
207 カレンダ加工ローラ
208 巻戻しステーション
210 スクリムロール
212 スクリム
214 マシン方向
216 細繊維
218 複合媒体
220 複合媒体
222 電界紡糸セル
224 真空コレクタコンベヤ
230、232、234、236、238、240、242、244、246、248 複合媒体ロール
250 媒体ロール
252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272 巻出しステーション
274 ローラ
276 オーブン
280 複合媒体(積層された複数の層)
281 かさ高となった複合媒体
282 カレンダローラ
284、286、288、290、292、294、296、298、300 基材
302、304、306、308、310、312、314、316、318 電界紡糸ナノ繊維
320 複合媒体(圧縮状態)
322 排水層
324 凝集粗大化媒体ロール
400 システム
402 巻出しステーション
404 電界紡糸ステーション
406 折り畳みステーション
408 ローラ
410 オーブン
412 カレンダローラ
414 巻戻しステーション
416 基材
418 細繊維
420 複合媒体
422 折り畳まれた複合媒体
424 複合媒体
426 媒体層
428 多孔質層
430 凝集粗大化媒体
432 凝集粗大化フィルタ媒体
500 凝集粗大化フィルタ媒体
502、504、506、508、510、512、514、516、518、520 基材
524、526、528、530、532、534、536、538、540、542 細繊維
522 媒体層
544 排水層(多孔質層)
546 上流側の表面(上流面)
548 下流側の表面(下流面)
600 システム
602 シュート供給装置
603 カーディング装置
604 電界紡糸ステーション
606 折り畳みステーション
608 ローラ
610 オーブン
612 カレンダローラ
614 巻戻しステーション
616 粗繊維ウェブ
617 コンベヤベルト
618 細繊維
626 媒体層
628 多孔質層
630 凝集粗大化媒体
632 凝集粗大化フィルタ媒体
700 凝集粗大化フィルタ媒体
702 拡張されたナノ繊維複合媒体
704 圧縮された凝集粗大化媒体
706 排水層
708 燃料の流れ
710、712、714 基材
716、718、720、722、724 基材
725 内側の表面(排水層)
726、728 ナノ繊維
730、732、734、736、738 ナノ繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均直径が1マイクロメートル未満の細繊維を静電紡糸するステップと;
平均直径が1マイクロメートルを超える粗繊維を有する少なくとも1つの基材に前記細繊維を付与するステップと;
前記細繊維と前記粗繊維とを一緒にコンパクト化するステップと;
前記コンパクト化するステップにより、流体の流れから水滴を凝集粗大化させるために十分な細繊維カバレッジ及び緊密度をもたらすステップと;
前記粗繊維と細繊維とを、前記流体の流れから水を除去するために作動可能な凝集粗大化フィルタ媒体として構築するステップとを備える;
凝集粗大化フィルタ媒体を製造する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの基材は、前記細繊維を付与するステップの前に、成形されたフィルタ媒体として共に結合された繊維交絡を有し、前記細繊維を付与するステップの間に、前記細繊維を前記成形されたフィルタ媒体上に堆積させるように構成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの基材は、高融点構成要素及び低融点構成要素を有する2構成要素繊維で形成された少なくとも1つのスクリムを有し、前記細繊維は前記少なくとも1つのスクリムの表面に堆積され、前記少なくとも1つのスクリムにより担持されるように構成された、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の分離した基材の層を供給するステップによって、又は1つ以上の個別の基材の層を重ね合わせるステップによって、複数の個別の層の上に前記細繊維としてのナノ繊維が担持された複数の前記基材の層を生成するステップと、前記複数の基材の層を生成するステップによって前記凝集粗大化フィルタ媒体の厚さの中で前記複数の基材の層で前記細繊維を相互に離間させるステップとを更に備え、前記コンパクト化するステップは、前記細繊維を担持する前記複数の基材の層を積層するステップと、前記細繊維を担持する前記複数の基材の層を圧縮して複合フィルタ媒体を形成するステップとを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記細繊維を担持する前記複数の基材の層を合わせて恒久的に結合して一体化された複合フィルタ媒体の層を形成するステップを更に備える、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基材の各々は、細繊維カバレッジが約0.075g/m乃至0.225g/mであり、前記凝集粗大化フィルタ媒体において約0.75g/m乃至2.25g/mの、前記凝集粗大化フィルタ媒体中の合計細繊維カバレッジを集合的にもたらすことによって、前記十分な細繊維カバレッジ及び緊密度を提供するように前記細繊維を前記基材の各々の一方の表面に沿って個別に担持するように構成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の層及び前記細繊維は一緒に圧縮されて、全体として約4.763mm乃至12.7mm(約3/16インチ乃至1/2インチ)の厚さまで厚さが減じられる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記凝集粗大化フィルタ媒体の下流側又は前記下流側の近傍に排水フィルタ層を積層するステップ更に備え、前記排水フィルタ層は、細繊維により凝集粗大化された水滴を回収及び成長させるように配置される、
請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基材は、高融点構成要素及び低融点構成要素を有する2構成要素繊維で形成された少なくとも1つのスクリムを有し、前記細繊維は前記少なくとも1つのスクリムの表面に堆積され、前記少なくとも1つのスクリムにより担持されるように構成され;
前記細繊維を担持する前記スクリムの複数の層を、前記低融点構成要素の溶融温度又は溶融温度付近まで加熱するステップを更に備え;
前記低融点構成要素は溶融又は軟化することにより、前記スクリムの複数の層及び前記細繊維を合わせて結合する結合剤として作用する;
請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記細繊維を担持する前記スクリムは複数折りに折り畳まれて全体が圧縮され、前記折り畳みによって前記細繊維の相互積層表面及び前記スクリムの相互積層表面が生成される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基材は緩く交絡した前記粗繊維を有する前記粗繊維のウェブであり、前記細繊維は、前記細繊維を付与するステップの間に前記緩く交絡した前記粗繊維に対して付与されるように構成され、前記細繊維を付与された前記粗繊維のウェブは複数折りに折り畳まれて全体が圧縮され、前記細繊維及び前記粗繊維が一体化された単体の凝集粗大化媒体を形成するように構成された、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記細繊維を静電紡糸するステップは、親水性ポリマーを含む溶液から前記細繊維を紡糸するステップを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
平均直径が1マイクロメートル未満の細繊維のウェブを静電紡糸するステップと;
基材に前記細繊維を付与するステップであって、前記基材は、相互に結合されることによりフィルタ媒体を形成する複数の粗繊維を有し、前記粗繊維の平均繊維直径は1マイクロメートルを超える、基材に前記細繊維を付与するステップと;
前記細繊維がオーバーラップするように、前記細繊維が付与された基材を組み合わせて重ね合わせるステップとを備える;
圧縮されたフィルタ媒体を製造する方法。
【請求項14】
巻出しステーションからフィルタ媒体のロールを巻き出すステップと、前記フィルタ媒体を静電紡糸ステーションに移送するステップとを更に備え、前記フィルタ媒体は工程の張力によって浮揚状態に維持される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基材は2構成要素繊維を有するスクリムであり、前記2構成要素繊維は高融点ポリエステルの芯と低融点ポリエステルの鞘とを有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記細繊維を付与するステップは、約0.075g/m乃至0.225g/mの細繊維カバレッジをもたらし、前記細繊維は、スクリムに担持される、
請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記基材を組み合わせて重ね合わせるステップは、前記細繊維を担持する前記基材を2乃至20折りに折り畳むステップを有し、前記折り畳むステップは、前記細繊維の相互積層表面及び前記基材の相互積層表面をもたらし、前記折り畳まれた複数の基材の層は加熱及び圧縮されて前記圧縮されたフィルタ媒体を形成し、前記加熱及び圧縮により約50%乃至300%の厚さに厚さが調節される、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記圧縮されたフィルタ媒体は、約0.09g/m乃至5.25g/mの合計細繊維カバレッジを有するように構成された、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記細繊維を静電紡糸するステップは、ポリアミド‐6を含む溶液から前記細繊維を紡糸するステップを有する、
請求項13に記載の方法。
【請求項20】
平均繊維直径が1マイクロメートルを超える粗繊維を有する少なくとも1つのフィルタ媒体を有する少なくとも1つの基材と;
前記基材に担持される細繊維であって、平均繊維直径が1マイクロメートル未満の親水性繊維を有して炭化水素燃料中の乳化された水を凝集粗大化させるために十分な繊維表面積を提供する、細繊維とを備え;
前記親水性繊維が水滴の形成と成長を促進するように構成された;
凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項21】
前記凝集粗大化フィルタ媒体の下流側の表面上に配置された排水層を更に備え、前記排水層は疎水性の多孔質材料で形成された、
請求項20に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項22】
前記排水層はセルロース材料又はガラス繊維材料で形成された、
請求項21に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項23】
前記細繊維は親水性ポリマーで形成された電界紡糸ナノ繊維である、
請求項20に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項24】
前記細繊維はポリアミド‐6で形成された、
請求項23に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項25】
前記細繊維は約0.09g/m乃至5.25g/mの合計細繊維カバレッジを有する、
請求項24に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項26】
前記基材は2構成要素繊維を有するスクリムであり、前記2構成要素繊維は高融点構成要素及び低融点構成要素を有する、
請求項20に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項27】
前記2構成要素繊維は、高融点ポリエステルの芯及び低融点ポリエステルの鞘を有し、前記少なくとも1つの基材及び前記細繊維は、加熱され、一緒に圧縮されて、凝集粗大化媒体を形成し、前記低融点ポリエステルの鞘が溶融又は軟化して、前記粗繊維と前記細繊維とを結合して設けられた、
請求項26に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項28】
前記凝集粗大化フィルタ媒体は複数の前記フィルタ媒体の層を備え、前記複数のフィルタ媒体の層の各々は約0.075g/m乃至0.225g/mの細繊維カバレッジを有する前記細繊維の層を担持するように構成された、
請求項20に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項29】
前記細繊維の層の各々は、複数の前記基材の層の間及び/又は前記基材の層と前記フィルタ媒体の層の間に挟まれて設けられた、
請求項28に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項30】
前記凝集粗大化フィルタ媒体は前記細繊維の相互積層表面及び前記基材の相互積層表面を有する、
請求項29に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項31】
前記凝集粗大化フィルタ媒体は10層の前記基材の層を備え、前記基材の層の各々は2構成要素繊維を有するスクリムで形成され、前記細繊維の層の各々はポリアミド‐6の電界紡糸されたナノ繊維を有し、10層の前記細繊維の層は約0.75g/m乃至2.25g/mの合計細繊維カバレッジをもたらす、
請求項28に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項32】
前記凝集粗大化フィルタ媒体の下流側の表面上に配置された排水層を更に備え、前記排水層はガラス繊維マットで形成され、前記凝集粗大化フィルタ媒体の全体の厚さは約4.763mm乃至12.7mm(約3/16インチ乃至1/2インチ)である、
請求項31に記載の凝集粗大化フィルタ媒体。
【請求項33】
少なくとも1つの基材であって、前記少なくとも1つの基材は1マイクロメートルを超える平均繊維直径を有する粗繊維を有する、少なくとも1つの基材と;
前記少なくとも1つの基材によって担持される細繊維であって、前記細繊維は1マイクロメートル未満の平均繊維直径を有する、細繊維とを備え;
圧縮された状態において、前記細繊維の少なくともいくらかは前記粗繊維内に少なくとも部分的に埋め込まれた;
圧縮されたフィルタ媒体。
【請求項34】
前記細繊維の少なくともいくらかは、平坦な層とは反対の、前記細繊維の3次元マトリクスを形成する、
請求項33に記載の圧縮されたフィルタ媒体。
【請求項35】
前記細繊維の少なくともいくらかは前記基材の層の間に略挟まれて設けられた、
請求項33に記載の圧縮されたフィルタ媒体。
【請求項36】
前記細繊維の融点は、前記粗繊維の少なくとも一の構成要素の融点よりも高く、前記細繊維は前記粗繊維に対して恒久的に固着及び配向された、
請求項33に記載の圧縮されたフィルタ媒体。
【請求項37】
前記細繊維を担持する前記少なくとも1つの基材は、前記圧縮された状態となるように一緒にカレンダ加工されて設けられた、
請求項33に記載の圧縮されたフィルタ媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【公表番号】特表2013−521105(P2013−521105A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555147(P2012−555147)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026088
【国際公開番号】WO2011/106534
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510135935)クラーコア インコーポレーテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CLARCOR Inc.
【住所又は居所原語表記】840 Crescent Centre Drive, Suite 600, Franklin, Tennessee 37067 United States of America
【Fターム(参考)】