説明

圧縮空気除湿システムおよび圧縮空気除湿方法

【課題】冷凍サイクルの負担を軽減しつつ、熱交換器における圧縮空気の冷却効率を向上させる。
【解決手段】圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33および蒸発器34を有する冷凍サイクル3と、蒸発器34が配設されると共に除湿対象の圧縮空気および蒸発器34内の冷媒を相互に熱交換させて圧縮空気を冷却する二次冷却部22とを備えて圧縮空気中の水分を除湿可能に構成され、冷凍サイクル3内において冷媒が循環する冷媒流路における圧縮機31の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁33までの間の予め規定された位置(この例では、凝縮器32の位置)に配設されると共に、圧縮空気除湿システム1を含んで構成された圧縮空気供給システム1内において生じたドレン水Wと冷凍サイクル3内の冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却する第2熱交換部(冷却器7および凝縮器32)と、この第2熱交換部においてドレン水Wを断熱膨張させる膨張弁6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルによって圧縮空気を冷却することで圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿システムおよび圧縮空気除湿方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の圧縮空気除湿システムとして、出願人は、特開2010−12426号公報(特許文献1)、および特開2010−12427号公報(特許文献2)において圧縮空気除湿装置(以下、単に「除湿装置」ともいう)を開示している。出願人が開示している除湿装置は、冷凍サイクルにおける蒸発器が配設された熱交換器を備え、熱交換器内に導入した圧縮空気を蒸発器で冷却することによって圧縮空気中の水分を結露させて除湿する構成が採用されている。この場合、出願人が開示している除湿装置では、熱交換器において生じたドレン水と冷凍サイクル内の冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却するドレン熱交換部を備え、冷凍サイクルの負担を軽減しつつ、熱交換器内における圧縮空気の冷却効率を向上させる構成が採用されている。
【0003】
具体的には、特許文献1の除湿装置では、冷凍サイクルにおける凝縮器の下流側(凝縮器と膨張弁との間)にドレン熱交換部が配設されて、凝縮器において液化されて膨張弁に向かって冷媒配管内を移動する液化冷媒をドレン水によって冷却する構成が採用されている。また、特許文献2の除湿装置では、冷凍サイクルにおける圧縮機の下流側(圧縮機と凝縮器との間)にドレン熱交換部が配設されて、圧縮機において圧縮されて凝縮器に向かって冷媒配管内を移動する気化冷媒をドレン水によって冷却する構成が採用されている。この場合、ドレン熱交換部としては、熱交換器から排水されたドレン水を収容可能に容器状に構成された外管の内側に冷媒配管を挿通させる構造や、冷媒配管の周囲にドレン配管を螺旋状に巻き付ける構成が採用されている。これにより、出願人が開示している除湿装置では、ドレン熱交換部においてドレン水によって冷媒が冷却される分だけ冷凍サイクルの負担が軽減されると共に、熱交換器において圧縮空気が好適に冷却される。
【0004】
一方、特開平11−193782号公報(特許文献3)には、冷凍式エアードライヤー(以下、単に「ドライヤー」ともいう)において生じたドレン水を利用して、空気圧縮機によって圧縮された高温高圧の圧縮空気を、ドライヤーに導入する前に温度低下させる構成のシステム(以下、「除湿システム」ともいう)が開示されている。具体的には、この除湿システムは、ドライヤーにおいて生じたドレン水を貯留可能に構成された冷却槽(水槽)内を圧縮空気配管が通過するように構成された水冷式アフタークーラ(以下、単に「アフタークーラ」ともいう)を備え、このアフタークーラにおいて、圧縮空気とドレン水とを相互に熱交換させて、ある程度温度低下した状態の圧縮空気をドライヤーに導入して除湿する構成が採用されている。これにより、この除湿システムでは、アフタークーラにおいて圧縮空気の温度が低下させられる分だけ、ドライヤーにおいて圧縮空気を冷却する冷凍サイクルの負担が軽減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−12426号公報(第4−7頁、第1−5図)
【特許文献2】特開2010−12427号公報(第4−7頁、第1−5図)
【特許文献3】特開平11−193782号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、出願人が開示している除湿装置や、従来の除湿システムには、以下の解決すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開示している除湿装置では、熱交換器において生じたドレン水と冷凍サイクル内の冷媒とをドレン熱交換部において相互に熱交換させることで冷媒を冷却する構成が採用され、従来の除湿システムでは、ドライヤーにおいて生じたドレン水と空気圧縮機から排気された圧縮空気とをアフタークーラにおいて相互に熱交換させることで圧縮空気を冷却する構成が採用されている。この場合、熱交換器やドライヤーにおいて生じたドレン水は、冷凍サイクルにおける蒸発器の周囲に結露した結露水であるため、その水温が比較的低温となっている。このため、このドレン水と冷媒や圧縮空気とを相互に熱交換させることで、冷媒や圧縮空気の温度がある程度低下する結果、冷凍サイクルの負担をある程度軽減することが可能となっている。
【0007】
しかしながら、地球環境の保護が重要な課題となっている今日において、出願人が開示している除湿装置や、従来の除湿システムには、冷凍サイクルの負担をより一層軽減すると共に、熱交換器(ドライヤー)における圧縮空気の冷却効率をより一層向上させて、圧縮空気除湿システムにおける消費エネルギーを一層低減すべきとの課題がある。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、冷凍サイクルの負担を軽減しつつ、熱交換器における圧縮空気の冷却効率を向上させ得る圧縮空気除湿システムおよび圧縮空気除湿方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の圧縮空気除湿システムは、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷凍サイクルと、前記蒸発器が配設されると共に除湿対象の圧縮空気および当該蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却する第1熱交換部とを備えて、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿システムであって、前記冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における前記冷媒圧縮機の冷媒排出口から当該冷媒流路における前記膨張弁までの間の予め規定された位置に配設されると共に、当該圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と当該冷凍サイクル内の前記冷媒とを相互に熱交換させて当該冷媒を冷却する第2熱交換部と、前記第2熱交換部において前記ドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている。
【0010】
また、請求項2記載の圧縮空気除湿システムは、請求項1記載の圧縮空気除湿システムにおいて、少なくとも前記第1熱交換部における前記圧縮空気の冷却によって生じた前記ドレン水を送水するドレン配管が前記第2熱交換部に接続されている。
【0011】
さらに、請求項3記載の圧縮空気除湿システムは、請求項1または2記載の圧縮空気除湿システムにおいて、前記第2熱交換部が前記凝縮器と一体的に構成されている。
【0012】
また、請求項4記載の圧縮空気除湿システムは、請求項1から3のいずれかに記載の圧縮空気除湿システムにおいて、前記第2熱交換部に対して前記ドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えている。
【0013】
また、請求項5記載の圧縮空気除湿システムは、冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷凍サイクルと、前記蒸発器が配設されると共に除湿対象の圧縮空気および当該蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却するA熱交換部とを備えて、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿システムであって、当該圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システムにおいて空気圧縮機によって生成された圧縮空気を送気する圧縮空気流路における当該空気圧縮機の空気排出口から当該圧縮空気流路における前記A熱交換部の下流側端部までの間の予め規定された位置に配設されて、当該圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と前記圧縮空気とを相互に熱交換させて当該圧縮空気を冷却するB熱交換部と、前記B熱交換部において前記ドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている。
【0014】
さらに、請求項6記載の圧縮空気除湿システムは、請求項5記載の圧縮空気除湿システムにおいて、少なくとも前記A熱交換部における前記圧縮空気の冷却によって生じた前記ドレン水を送水するドレン配管が前記B熱交換部に接続されている。
【0015】
また、請求項7記載の圧縮空気除湿システムは、請求項5または6記載の圧縮空気除湿システムにおいて、前記B熱交換部が前記圧縮空気流路における前記A熱交換部よりも上流側に配設されると共に、当該A熱交換部および当該B熱交換部が1つの圧力容器内に一体的に設けられている。
【0016】
さらに、請求項8記載の圧縮空気除湿システムは、請求項5から7のいずれかに記載の圧縮空気除湿システムにおいて、前記B熱交換部に対して前記ドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えている。
【0017】
また、請求項9記載の圧縮空気除湿方法は、除湿対象の圧縮空気および冷凍サイクルにおける蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却する第1熱交換処理を実行して、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿方法であって、前記冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における冷媒圧縮機の冷媒排出口から当該冷媒流路における膨張弁までの間の予め規定された位置において、前記圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と当該冷凍サイクル内の前記冷媒とを相互に熱交換させて当該冷媒を冷却する第2熱交換処理を実行すると共に、当該第2熱交換処理に際して前記ドレン水を断熱膨張させる。
【0018】
また、請求項10記載の圧縮空気除湿方法は、除湿対象の圧縮空気および冷凍サイクルにおける蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却するA熱交換処理を実行して、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿方法であって、当該圧縮空気除湿方法に従って除湿すべき前記圧縮空気が送気される圧縮空気流路における空気圧縮機の空気排出口から当該圧縮空気流路における前記A熱交換処理の実行位置の下流側端部までの間の予め規定された位置において、当該圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と当該圧縮空気とを相互に熱交換させて当該圧縮空気を冷却するB熱交換処理を実行すると共に、当該B熱交換処理に際して前記ドレン水を断熱膨張させる圧縮空気除湿方法。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の圧縮空気除湿システムでは、冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における冷媒圧縮機の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁までの間の予め規定された位置に配設されると共に、圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と冷凍サイクル内の冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却する第2熱交換部と、第2熱交換部においてドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている。また、請求項9記載の圧縮空気除湿方法では、冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における冷媒圧縮機の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁までの間の予め規定された位置において、圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却する第2熱交換処理を実行すると共に、第2熱交換処理に際してドレン水を断熱膨張させる。
【0020】
したがって、請求項1記載の圧縮空気除湿システム、および請求項9記載の圧縮空気除湿方法によれば、断熱膨張によってドレン水の温度が十分に低下するため、単にドレン水と冷媒とを相互に熱交換させる構成・方法と比較して、第2熱交換部における第2熱交換処理において冷凍サイクルの冷媒を十分に冷却することができる。これにより、高温高圧の気化冷媒が膨張弁に供給される事態を好適に回避することができるだけでなく、十分に温度低下した液化冷媒を膨張弁に供給して蒸発器内に噴出させることができるため、蒸発器の温度を十分に低下させることができる結果、第1熱交換部における第1熱交換処理において圧縮空気中の水分を好適に除去することができると共に、冷凍サイクルの負担を十分に軽減することができる。
【0021】
また、請求項2記載の圧縮空気除湿システムによれば、少なくとも第1熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水を送水するドレン配管を第2熱交換部に接続したことにより、冷凍サイクルの蒸発器に接して十分に温度低下したドレン水を使用することで第2熱交換部を十分に温度低下させることができるため、第1熱交換部(蒸発器)に対して一層低温の冷媒を供給することができる。これにより、圧縮空気中の水分を一層好適に除去することができると共に、冷凍サイクルの負担を一層軽減することができる。
【0022】
さらに、請求項3記載の圧縮空気除湿システムによれば、第2熱交換部を凝縮器と一体的に構成したことにより、冷媒の温度を効率よく低下させることができると共に、第2熱交換部および凝縮器を少ない材料でコンパクトにまとめて構成することができるため、圧縮空気除湿システムを小型化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。
【0023】
また、請求項4記載の圧縮空気除湿システムによれば、第2熱交換部に対してドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えたことにより、第2熱交換部に向けてドレン水を常時流動させる構成とは異なり、第2熱交換部において冷媒を冷却するためのドレン水が存在しなくなる事態を回避することができると共に、圧縮空気除湿システムによる除湿対象の圧縮空気に加えられている圧力の損失を必要最低限に抑えることができる。
【0024】
また、請求項5記載の圧縮空気除湿システムでは、圧縮空気除湿システムが接続されている圧縮空気供給システムにおいて空気圧縮機によって生成された圧縮空気を送気する圧縮空気流路における空気圧縮機の空気排出口から圧縮空気流路におけるA熱交換部の下流側端部までの間の予め規定された位置に配設されて、圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と圧縮空気とを相互に熱交換させて圧縮空気を冷却するB熱交換部と、B熱交換部においてドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている。また、請求項10記載の圧縮空気除湿方法では、圧縮空気除湿方法に従って除湿すべき圧縮空気を送気する圧縮空気流路における空気圧縮機の空気排出口から圧縮空気流路におけるA熱交換処理の実行位置の下流側端部までの間の予め規定された位置において、圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と圧縮空気とを相互に熱交換させて圧縮空気を冷却するB熱交換処理を実行すると共に、B熱交換処理に際してドレン水を断熱膨張させる。
【0025】
したがって、請求項5記載の圧縮空気除湿システム、および請求項10記載の圧縮空気除湿方法によれば、断熱膨張によってドレン水の温度が十分に低下するため、単にドレン水と圧縮空気とを相互に熱交換させる構成・方法と比較して、B熱交換部におけるB熱交換処理において圧縮空気を十分に冷却することができる。これにより、B熱交換部におけるB熱交換処理において圧縮空気中の水分を好適に除去することができるだけでなく、A熱交換部におけるA熱交換処理において、冷凍サイクルの負担を十分に軽減することができる。
【0026】
また、請求項6記載の圧縮空気除湿システムによれば、少なくともA熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水を送水するドレン配管をB熱交換部に接続したことにより、冷凍サイクルの蒸発器に接して十分に温度低下したドレン水を使用することでB熱交換部を十分に温度低下させることができるため、B熱交換部において圧縮空気中の水分を一層好適に除去することができると共に、A熱交換部に導入させる圧縮空気の温度を十分に低下させることができる結果、冷凍サイクルの負担を一層軽減することができる。
【0027】
さらに、請求項7記載の圧縮空気除湿システムによれば、B熱交換部を圧縮空気流路におけるA熱交換部よりも上流側に配設すると共に、A熱交換部およびB熱交換部を1つの圧力容器内に一体的に設けたことにより、B熱交換部からA熱交換部まで圧縮空気を短時間でスムーズに移動させることができるため、B熱交換部におけるB熱交換処理による冷却を完了した圧縮空気がA熱交換部に移動する際に温度上昇する事態を回避して、冷却に要したエネルギーの損失を十分に低減することができる。加えて、この圧縮空気除湿システムによれば、両熱交換部を別個独立した圧力容器で構成するのと比較して、両熱交換部を少ない材料でコンパクトにまとめて構成することができるため、圧縮空気除湿システムを小型化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。
【0028】
また、請求項8記載の圧縮空気除湿システムによれば、B熱交換部に対してドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えたことにより、B熱交換部に向けてドレン水を常時流動させる構成とは異なり、B熱交換部において圧縮空気を冷却するためのドレン水が存在しなくなる事態を回避することができると共に、圧縮空気除湿システムによる除湿対象の圧縮空気に加えられている圧力の損失を必要最低限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧縮空気除湿システム1の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る圧縮空気除湿システム1Aの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る圧縮空気除湿システムおよび圧縮空気除湿方法の実施の形態について説明する。
【0031】
図1に示す圧縮空気除湿システム1は、エアーコンプレッサCPによって圧縮された圧縮空気中に含まれている水分を除去するシステムであって、熱交換器2、冷凍サイクル3、制御部4および電磁弁5を備えて構成されている。この場合、エアーコンプレッサCPは、「空気圧縮機」の一例であって、圧縮空気除湿システム1(または、後述する圧縮空気除湿システム1A(図2参照))と相まって「圧縮空気供給システム」を構成する。なお、「圧縮空気供給システム」を構成する要素は、エアーコンプレッサCPおよび圧縮空気除湿システム1(または、圧縮空気除湿システム1A)だけではなく、エアーコンプレッサCPによって生成された圧縮空気を貯留するエアータンク(図示せず)や、圧縮空気中に含まれている塵埃および油分などを除去する各種のフィルタ装置(図示せず)を備えて構成することができる。
【0032】
一方、熱交換器2は、円筒状に形成された容器本体10aと、容器本体10aにおける両開口部を閉塞する蓋体10b,10cとを備えて構成されている。この熱交換器2は、容器本体10a内に取り付けられた仕切板15a〜15cによって容器本体10a内に中室13a,13bが設けられると共に、容器本体10aに対して蓋体10b,10cが取り付けられた状態において中室13a,13bを挟んで前室11および後室12が形成されている。また、上記の前室11および後室12は、中室13aを通過するように仕切板15a,15bの2枚を貫通させられた複数の連結管14によって相互に連結されている。なお、同図では、熱交換器2の構成についての理解を容易とするために、2本の連結管14だけを図示しているが、実際には、数本から数十本の連結管14によって前室11および後室12が連結されている。
【0033】
この場合、中室13aには、除湿対象の圧縮空気を導入する導入口Haが設けられ、後室12には、除湿を完了した圧縮空気を送気するための送気口Hbが設けられている。また、中室13aには、後述するようにして各連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる低温低湿の圧縮空気(除湿を完了した圧縮空気)によって、導入口Haから導入された高温高湿の圧縮空気(除湿対象の圧縮空気)を冷却する一次冷却部21(各連結管14の周囲)と、導入口Haから導入された高温高湿の圧縮空気によって、各連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる低温低湿の圧縮空気を加熱する再熱部23(各連結管14の内部)とが設けられている。さらに、中室13bには、冷凍サイクル3における蒸発器34が配設されている。また、中室13bには、上記の一次冷却部21における冷却を完了した圧縮空気と蒸発器34内の冷媒とを相互に熱交換させて圧縮空気をさらに冷却する二次冷却部22が設けられている。この場合、この圧縮空気除湿システム1では、熱交換器2における二次冷却部22が「第1熱交換部」を構成する。
【0034】
また、前室11(熱交換器2の底部)には、圧縮空気中から除去されて底部に集水されたドレン水W(圧縮空気中の水分を結露させた結露水)を熱交換器2の外部に排水するための排水口Hcが設けられている。この場合、排水口Hcには、後述するように制御部4によって開閉制御されることで、圧縮空気の放出を阻止しつつ、ドレン水Wを間欠的に通過させる電磁弁5が取り付けられている。また、電磁弁5は、後述するように冷凍サイクル3の凝縮器32と一体的に構成された冷却器7に対してドレン配管8を介して接続されている。この場合、この圧縮空気除湿システム1では、凝縮器32および冷却器7が相まって「第2熱交換部」を構成する(「少なくとも第1熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水を送水するドレン配管が第2熱交換部に接続されている」との構成の一例)。さらに、この圧縮空気除湿システム1では、電磁弁5と冷却器7とを接続するドレン配管8に、冷却器7内においてドレン水Wを断熱膨張させるための膨張弁6(「ドレン水用膨張弁」の一例)が取り付けられている。なお、この圧縮空気除湿システム1におけるドレン水Wの流れについては、後に詳細に説明する。
【0035】
冷凍サイクル3は、圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33および蒸発器34を備え、これらが、冷凍サイクル3内において冷媒を循環させるための冷媒配管を介して環状に接続されている。圧縮機31は、「冷媒圧縮機」の一例であって、蒸発器34において圧縮空気と熱交換して温度上昇させられた気化冷媒を制御部4の制御に従って凝縮器32に向けて圧送する。凝縮器32は、圧縮機31によって圧送された高温高圧の気化冷媒を冷却することで凝縮させる(液化させる)。この場合、この圧縮空気除湿システム1では、前述したように、熱交換器2において生じたドレン水Wによって冷凍サイクル3の冷媒を冷却するための冷却器7が凝縮器32と一体的に形成されて「第2熱交換部」が構成されている。また、凝縮器32には、冷却器7を通過したドレン水Wを図示しないドレン水処理装置に送水するためのドレン配管9が接続されている。
【0036】
膨張弁33は、一例として電子膨張弁で構成されて、蒸発器34内に液化冷媒を吐出させることで蒸発器34内において冷媒を気化させる。この場合、電子膨張弁に代えて、キャピラリチューブによって膨張弁を構成することもできる。蒸発器34は、上記したように、熱交換器2における二次冷却部22内に配設されて膨張弁33から吐出された冷媒の気化熱によって周囲の圧縮空気(二次冷却部22内の圧縮空気)を冷却する。なお、実際の冷凍サイクル3には、圧縮機31によって圧送される冷媒の一部を蒸発器34と圧縮機31との間に戻すための冷媒配管や、キャパシティコントロールバルブ、および凝縮器32に対して送風するファンなどを備えているが、圧縮空気除湿システム1(冷凍サイクル3)の構成についての理解を容易とするために、これらについての説明および図示を省略する。
【0037】
一方、制御部4は、圧縮空気除湿システム1を総括的に制御する。具体的には、制御部4は、圧縮機31を制御して冷媒の圧送能力を調整すると共に、膨張弁33を制御して蒸発器34に対する冷媒の吐出量を調整することにより、冷凍サイクル3の冷凍能力を調整する。また、制御部4は、電磁弁5を開閉制御して、熱交換器2において生じたドレン水Wを冷却器7に対して間欠的に供給させる。
【0038】
次に、圧縮空気除湿システム1による圧縮空気の除湿処理について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0039】
この圧縮空気除湿システム1では、図示しない電源スイッチが投入されたときに、制御部4が圧縮機31および膨張弁33を作動させて冷凍サイクル3内における冷媒の循環を開始させる。この際には、後述するように、蒸発器34内における冷媒の気化熱によって二次冷却部22内が冷却される。この状態において、エアーコンプレッサCPが作動させられたときには、エアーコンプレッサCPによって圧縮された圧縮空気が圧縮空気除湿システム1に供給される。この際には、供給された圧縮空気が、矢印Aで示すように導入口Haから熱交換器2内(一次冷却部21)に導入される。この場合、熱交換器2内に導入された圧縮空気は、エアーコンプレッサCPによって圧縮された際に温度上昇させられて高温となり、かつ、大気よりも湿度が高くなっている(大気よりも高温高湿となっている)。
【0040】
この高温高湿の圧縮空気(除湿対象の圧縮空気)は、矢印B,Cで示すように中室13aを移動する際に、後述する除湿過程において冷却されて連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる除湿処理後の低温低湿の圧縮空気(除湿を完了した圧縮空気)と一次冷却部21において熱交換することによって冷却される。この結果、導入口Haから導入された圧縮空気に含まれている水分の一部が、一次冷却部21において連結管14の周囲に結露して圧縮空気から取り除かれ、圧縮空気の流れに沿って熱交換器2内を移動して、ドレン水Wとして熱交換器2の底部に集水される。
【0041】
また、一次冷却部21において一次冷却された圧縮空気は、一次冷却部21から二次冷却部22に矢印Dで示すように排出され、矢印E1〜E4で示すように中室13b内を移動する際に、二次冷却部22内において、蒸発器34内の冷媒と熱交換することによって冷却される(「第1熱交換処理」の一例)。この際には、一次冷却部21から排出された圧縮空気に含まれている水分のほぼすべてが二次冷却部22内において蒸発器34の周囲に結露して圧縮空気から取り除かれ、圧縮空気の流れに沿って熱交換器2内を移動して、ドレン水Wとして熱交換器2の底部に集水される結果、圧縮空気が十分に除湿される。
【0042】
また、一次冷却部21および二次冷却部22において冷却されて除湿された低温低湿の圧縮空気は、矢印Fで示すように二次冷却部22から前室11に排出された後に、矢印Gで示すように前室11から後室12に向かって再熱部23(各連結管14の内部)を移動する。この際には、導入口Haから順次導入されている高温高湿の圧縮空気と、各連結管14内の低温低湿の圧縮空気とが再熱部23において相互に熱交換することにより、各連結管14内の圧縮空気が、後室12に排出されるまでの間に十分に加熱されて高温となる。この場合、この圧縮空気除湿システム1では、再熱部23において、導入口Haから熱交換器2内(中室13a内)に導入された直後の高温の圧縮空気によって各連結管14内の圧縮空気を加熱するため、各連結管14内の圧縮空気が十分に温度上昇させられる。この後、後室12に排出された高温低湿の圧縮空気は、矢印Hで示すように、送気口Hbから図示しない接続用配管を介して供給対象体(例えば、エアーツール)に供給される。
【0043】
一方、この圧縮空気除湿システム1では、一次冷却部21および二次冷却部22において圧縮空気から除去されて熱交換器2の底部に集水されたドレン水Wを、冷凍サイクル3における凝縮器32と一体的に構成した冷却器7に供給して、冷媒を冷却するための冷却水として使用する構成が採用されている。具体的には、この圧縮空気除湿システム1では、制御部4が、電磁弁5を間欠的に開閉制御することにより、熱交換器2の底部に集水されているドレン水Wを、一定時間間隔でドレン配管8を介して冷却器7に供給させる。この際には、二次冷却部22において圧縮空気と熱交換することで(圧縮空気を冷却することで)温度上昇した後に圧縮機31によって圧縮されることで一層温度上昇した高温の気化冷媒と、冷却器7に供給された低温のドレン水Wとが相互に熱交換して冷媒が十分に冷却される(「第2熱交換処理」の一例)。
【0044】
この場合、二次冷却部22において生じたドレン水Wは、圧縮空気中の水分が低温の蒸発器34に接して生じた結露水であるため、その温度が非常に低くなっている。したがって、この二次冷却部22において生じたドレン水Wを含むドレン水Wが冷却器7に供給されることで、冷却器7の温度が十分に低下することとなる。また、この圧縮空気除湿システム1では、冷却器7においてドレン水Wを断熱膨張させる膨張弁6が配設されている。したがって、熱交換器2内において生じた低温のドレン水Wが冷却器7内において断熱膨張することによって一層温度低下した状態で冷媒と熱交換することとなるため、ドレン水Wを単に冷却器7に供給して冷媒と熱交換させるだけの構成と比較して、冷媒の温度を一層低下させることが可能となっている。これにより、凝縮器32において、気化冷媒が、確実かつスムーズに凝縮すると共に、凝縮した液化冷媒の温度も十分に低下する。
【0045】
この後、十分に温度低下させられた液化冷媒は、膨張弁33を介して蒸発器34に供給されることで、前述したように、一次冷却部21内の圧縮空気を冷却する。また、冷却器7において冷媒と熱交換して温度上昇させられたドレン水Wは、ドレン配管9を介して図示しないドレン水処理装置に送水されて、油分や不純物を除去された後に、排水溝等に排水される。
【0046】
このように、この圧縮空気除湿システム1では、冷凍サイクル3内において冷媒が循環する冷媒流路における圧縮機31の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁33までの間の予め規定された位置(この例では、凝縮器32の位置)に配設されると共に、圧縮空気除湿システム1が接続されている(圧縮空気除湿システム1を含んで構成された)圧縮空気供給システム内において生じたドレン水Wと冷凍サイクル3内の冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却する冷却器7および凝縮器32(第2熱交換部)と、冷却器7においてドレン水Wを断熱膨張させる膨張弁6とを備えている。また、この圧縮空気除湿システム1による圧縮空気除湿方法では、冷凍サイクル3内において冷媒が循環する冷媒流路における圧縮機31の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁33までの間の予め規定された位置(この例では、凝縮器32の位置)において、圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水Wと冷媒とを相互に熱交換させて冷媒を冷却する「第2熱交換処理」を実行すると共に、「第2熱交換処理」に際してドレン水Wを断熱膨張させる。
【0047】
したがって、この圧縮空気除湿システム1、および圧縮空気除湿システム1による圧縮空気除湿方法によれば、断熱膨張によってドレン水Wの温度が十分に低下するため、単にドレン水Wと冷媒とを相互に熱交換させる構成・方法と比較して、第2熱交換部(冷却器7および凝縮器32)における「第2熱交換処理」において冷凍サイクル3の冷媒を十分に冷却することができる。これにより、高温の気化冷媒が膨張弁33に供給される事態を好適に回避することができるだけでなく、十分に温度低下した液化冷媒を膨張弁33に供給して蒸発器34内に噴出させることができるため、蒸発器34の温度を十分に低下させることができる結果、二次冷却部22における「第1熱交換処理」において圧縮空気中の水分を好適に除去することができると共に、冷凍サイクル3の負担を十分に軽減することができる。
【0048】
また、この圧縮空気除湿システム1によれば、少なくとも二次冷却部22における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水Wを送水するドレン配管8を「第2熱交換部(冷却器7)」に接続したことにより、冷凍サイクル3の蒸発器34に接して十分に温度低下したドレン水Wを使用することで冷却器7および凝縮器32を十分に温度低下させることができるため、二次冷却部22(蒸発器34)に対して一層低温の冷媒を供給することができる。これにより、圧縮空気中の水分を一層好適に除去することができると共に、冷凍サイクル3の負担を一層軽減することができる。
【0049】
さらに、この圧縮空気除湿システム1によれば、冷却器7(第2熱交換部)を凝縮器32と一体的に構成したことにより、冷媒の温度を効率よく低下させることができると共に、冷却器7および凝縮器32を少ない材料でコンパクトにまとめて構成することができるため、圧縮空気除湿システム1を小型化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。
【0050】
また、この圧縮空気除湿システム1によれば、冷却器7(第2熱交換部)に対してドレン水Wを間欠的に供給する電磁弁5を備えたことにより、冷却器7に向けてドレン水Wを常時流動させる構成とは異なり、冷却器7(凝縮器32)において冷媒を冷却するためのドレン水Wが存在しなくなる事態を回避することができると共に、圧縮空気除湿システム1による除湿対象の圧縮空気に加えられている圧力の損失を必要最低限に抑えることができる。
【0051】
次に、添付図面を参照して、本発明に係る圧縮空気除湿システムおよび圧縮空気除湿方法の他の実施の形態について説明する。
【0052】
図2に示す圧縮空気除湿システム1Aは、エアーコンプレッサCPによって圧縮された圧縮空気中に含まれている水分を除去するシステムであって、熱交換器2A、冷凍サイクル3A、制御部4および電磁弁5を備えて構成されている。なお、前述した圧縮空気除湿システム1と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
熱交換器2Aは、「圧力容器」の一例であって、前述した圧縮空気除湿システム1における熱交換器2と同様にして、円筒状に形成された容器本体10aと、容器本体10aにおける両開口部を閉塞する蓋体10b,10cとを備えて構成されている。この熱交換器2Aは、容器本体10a内に取り付けられた仕切板15a〜15dによって容器本体10a内に中室13a〜13cが設けられている。この場合、中室13aには、各連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる低温低湿の圧縮空気(除湿を完了した圧縮空気)によって、導入口Haから導入された高温高湿の圧縮空気(除湿対象の圧縮空気)を冷却する一次冷却部41(各連結管14の周囲)と、導入口Haから導入された高温高湿の圧縮空気によって各連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる低温低湿の圧縮空気を加熱する再熱部44(各連結管14の内部)とが設けられている。
【0054】
また、中室13cには、後述するようにしてこの熱交換器2Aにおいて生じたドレン水W(「圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システム内において生じたドレン水(圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水)」の一例であって「少なくともA熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水」を含んだドレン水の一例)によって圧縮空気を冷却するための冷却器7Aが配設されている。この中室13cには、上記の一次冷却部41における冷却を完了した圧縮空気と冷却器7A内のドレン水Wとを相互に熱交換させて、一次冷却部41における冷却を完了した圧縮空気をさらに冷却する二次冷却部42が設けられている。この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、熱交換器2Aにおける二次冷却部42が「B熱交換部」を構成する。
【0055】
さらに、中室13bには、冷凍サイクル3Aにおける蒸発器34が配設されている。この中室13bには、上記の二次冷却部42における冷却を完了した圧縮空気と蒸発器34内の冷媒とを相互に熱交換させて圧縮空気をさらに冷却する三次冷却部43が設けられている。この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、熱交換器2Aにおける三次冷却部43が「A熱交換部」を構成する。このように、この圧縮空気除湿システム1Aでは、一次冷却部41および再熱部44と、「B熱交換部」を構成する二次冷却部42と、「A熱交換部」を構成する三次冷却部43とが1つの熱交換器2A(圧力容器)内に一体的に設けられて構成されている。
【0056】
また、前室11(熱交換器2Aの底部)には、前述した圧縮空気除湿システム1と同様にして、排水口Hcが設けられ、この排水口Hcには、電磁弁5が取り付けられている。この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、電磁弁5が、上記の冷却器7Aに対してドレン配管8を介して接続されている(「少なくともA熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水を送水するドレン配管がB熱交換部に接続されている」との構成の一例)。さらに、この圧縮空気除湿システム1Aでは、電磁弁5と冷却器7Aとを接続するドレン配管8に、冷却器7A内においてドレン水Wを断熱膨張させるための膨張弁6(「ドレン水用膨張弁」の一例)が取り付けられている。また、冷却器7Aを通過したドレン水Wは、ドレン配管9を介して図示しないドレン水処理装置に送水される。
【0057】
次に、圧縮空気除湿システム1Aによる圧縮空気の除湿処理について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0058】
この圧縮空気除湿システム1Aでは、図示しない電源スイッチが投入されたときに、制御部4が圧縮機31および膨張弁33を作動させて冷凍サイクル3A内における冷媒の循環を開始させる。この際には、後述するように、蒸発器34内における冷媒の気化熱によって三次冷却部43内が冷却される。この状態において、エアーコンプレッサCPが作動させられたときには、エアーコンプレッサCPによって圧縮された圧縮空気が圧縮空気除湿システム1Aに供給される。この際には、エアーコンプレッサCPによって圧縮された高温高湿の圧縮空気が、矢印Aで示すように導入口Haから熱交換器2A内(一次冷却部41)に導入される。
【0059】
また、導入口Haから導入された高温高湿の圧縮空気(除湿対象の圧縮空気)は、矢印B1で示すように中室13aを移動する際に、後述する除湿過程において冷却されて連結管14内を前室11から後室12に向かって通過させられる除湿処理後の低温低湿の圧縮空気(除湿を完了した圧縮空気)と一次冷却部41において熱交換することによって冷却される。この結果、導入口Haから導入された圧縮空気に含まれている水分の一部が、一次冷却部41において連結管14の周囲に結露して圧縮空気から取り除かれ、圧縮空気の流れに沿って熱交換器2A内を移動して、ドレン水Wとして熱交換器2Aの底部に集水される。
【0060】
さらに、一次冷却部41において一次冷却された圧縮空気は、一次冷却部41から二次冷却部42に矢印B2で示すように排出され、矢印C1〜C4で示すように中室13c内を移動する際に、二次冷却部42内において、後述するように冷却器7Aに供給されたドレン水Wと熱交換することによって冷却される(「B熱交換処理」の一例)。この結果、一次冷却部41から二次冷却部42に導入された圧縮空気に含まれている水分の一部が、二次冷却部42において冷却器7Aの周囲に結露して圧縮空気から取り除かれ、圧縮空気の流れに沿って熱交換器2A内を移動して、ドレン水Wとして熱交換器2Aの底部に集水される。
【0061】
また、二次冷却部42において二次冷却された圧縮空気(「B熱交換部」における冷却を完了した圧縮空気)は、二次冷却部42から三次冷却部43に矢印Dで示すように排出され、矢印E1〜E4で示すように中室13b内を移動する際に、三次冷却部43内において、蒸発器34内の冷媒と熱交換することによって冷却される(「A熱交換処理」の他の一例)。この際には、二次冷却部42から排出された圧縮空気に含まれている水分のほぼすべてが三次冷却部43内において蒸発器34の周囲に結露して圧縮空気から取り除かれて、ドレン水Wとして熱交換器2Aの底部に集水される結果、圧縮空気が十分に除湿される。この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、三次冷却部43に導入される圧縮空気が、一次冷却部41および二次冷却部42の二段階に亘って順次冷却されて、その温度が十分に低温となっている。したがって、冷凍サイクル3Aの冷凍能力(運転)を低下させた状態であっても、三次冷却部43において圧縮空気中の水分が十分に除去される。
【0062】
また、一次冷却部41、二次冷却部42および三次冷却部43において順次冷却されて除湿された低温低湿の圧縮空気は、矢印Fで示すように三次冷却部43から前室11に排出された後に、矢印Gで示すように前室11から後室12に向かって再熱部44(各連結管14の内部)を移動する。この際には、導入口Haから順次導入されている高温高湿の圧縮空気と、各連結管14内の低温低湿の圧縮空気とが再熱部44において相互に熱交換することにより、各連結管14内の圧縮空気が、後室12に排出されるまでの間に十分に加熱されて高温となる。この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、再熱部44において、導入口Haから熱交換器2A内(中室13a内)に導入された直後の高温の圧縮空気によって各連結管14内の圧縮空気を加熱するため、各連結管14内の圧縮空気が十分に温度上昇させられる。この後、後室12に排出された高温低湿の圧縮空気は、矢印Hで示すように、送気口Hbから図示しない接続用配管を介して供給対象体(例えば、エアーツール)に供給される。
【0063】
この場合、この圧縮空気除湿システム1Aでは、一次冷却部41、二次冷却部42および三次冷却部43において圧縮空気から除去されて熱交換器2Aの底部に集水されたドレン水Wを冷却器7Aに供給して、圧縮空気を冷却するための冷却水として使用する構成が採用されている。具体的には、この圧縮空気除湿システム1Aでは、制御部4が、電磁弁5を間欠的に開閉制御することにより、熱交換器2Aの底部に集水されているドレン水Wを、一定時間間隔でドレン配管8を介して冷却器7Aに供給させる。この場合、三次冷却部43において生じたドレン水Wは、圧縮空気中の水分が低温の蒸発器34に接して生じた結露水であるため、その温度が非常に低くなっている。したがって、この三次冷却部43において生じたドレン水Wを含むドレン水Wが冷却器7Aに供給されることで、冷却器7Aの温度が十分に低下することとなる。
【0064】
また、この圧縮空気除湿システム1Aでは、冷却器7Aにおいてドレン水Wを断熱膨張させる膨張弁6が配設されている。したがって、熱交換器2A内において生じた低温のドレン水Wが冷却器7A内において断熱膨張することによって一層温度低下した状態で圧縮空気と熱交換することとなるため、ドレン水Wを単に冷却器7Aに供給して圧縮空気と熱交換させるだけの構成と比較して、圧縮空気の温度を一層低下させることが可能となっている。これにより、前述した二次冷却部42における圧縮空気の冷却時において、一次冷却部41からの圧縮空気に含まれている水分の一部が好適に取り除かれるだけでなく、二次冷却部42から三次冷却部43に排出される圧縮空気の温度が十分に低下する結果、三次冷却部43内に蒸発器34が配設されている冷凍サイクル3Aの冷凍能力をある程度低下させた状態であっても、二次冷却部42からの圧縮空気の温度を、三次冷却部43において、露点温度よりも低温の好適な温度まで十分に低下させることができる。この後、二次冷却部42において圧縮空気と熱交換することで加温されたドレン水Wは、ドレン配管9を介して図示しないドレン水処理装置に送水されて、油分や不純物を除去された後に、排水溝等に排水される。
【0065】
このように、この圧縮空気除湿システム1Aでは、圧縮空気除湿システム1Aが接続されている(圧縮空気除湿システム1Aを含んで構成された)圧縮空気供給システムにおいてエアーコンプレッサCPによって生成された圧縮空気を送気する圧縮空気流路におけるエアーコンプレッサCPの空気排出口から圧縮空気流路における三次冷却部43の下流側端部までの間の予め規定された位置(この例では、熱交換器2Aにおける一次冷却部41と三次冷却部43との間)に配設されて、圧縮空気供給システム内において生じたドレン水Wと圧縮空気とを相互に熱交換させて圧縮空気を冷却する二次冷却部42と、二次冷却部42(冷却器7A)においてドレン水Wを断熱膨張させる膨張弁6とを備えている。また、この圧縮空気除湿システム1Aによる圧縮空気除湿方法では、除湿すべき圧縮空気を送気する圧縮空気流路におけるエアーコンプレッサCPの空気排出口から圧縮空気流路における「A熱交換処理」の実行位置の下流側端部までの間の予め規定された位置(この例では、熱交換器2Aにおける一次冷却部41と三次冷却部43との間)において、圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水Wと圧縮空気とを相互に熱交換させて圧縮空気を冷却する「B熱交換処理」を実行すると共に、「B熱交換処理」に際してドレン水Wを断熱膨張させる。
【0066】
したがって、この圧縮空気除湿システム1A、および圧縮空気除湿システム1Aによる圧縮空気除湿方法によれば、断熱膨張によってドレン水Wの温度が十分に低下するため、単にドレン水Wと圧縮空気とを相互に熱交換させる構成・方法と比較して、二次冷却部42における「B熱交換処理」において圧縮空気を十分に冷却することができる。これにより、二次冷却部42における「B熱交換処理」において圧縮空気中の水分を好適に除去することができるだけでなく、三次冷却部43における「A熱交換処理」において、冷凍サイクル3Aの負担を十分に軽減することができる。
【0067】
また、この圧縮空気除湿システム1Aによれば、少なくとも三次冷却部43における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水Wを送水するドレン配管8を二次冷却部42(冷却器7A)に接続したことにより、冷凍サイクル3Aの蒸発器34に接して十分に温度低下したドレン水Wを使用することで二次冷却部42(冷却器7A)を十分に温度低下させることができるため、二次冷却部42において圧縮空気中の水分を一層好適に除去することができると共に、三次冷却部43に導入させる圧縮空気の温度を十分に低下させることができる結果、冷凍サイクル3Aの負担を一層軽減することができる。
【0068】
さらに、この圧縮空気除湿システム1Aによれば、二次冷却部42を圧縮空気流路における三次冷却部43よりも上流側に配設すると共に、三次冷却部43および二次冷却部42を1つの圧力容器(熱交換器2A)内に一体的に設けたことにより、二次冷却部42から三次冷却部43まで圧縮空気を短時間でスムーズに移動させることができるため、二次冷却部42における冷却を完了した圧縮空気が三次冷却部43に移動する際に温度上昇する事態を回避して、冷却に要したエネルギーの損失を十分に低減することができる。加えて、この圧縮空気除湿システム1Aによれば、「両熱交換部」を別個独立した圧力容器で構成するのと比較して、両熱交換部を少ない材料でコンパクトにまとめて構成することができるため、圧縮空気除湿システム1Aを小型化することができると共に、その製造コストを十分に低減することができる。
【0069】
また、この圧縮空気除湿システム1Aによれば、二次冷却部42に対してドレン水Wを間欠的に供給する電磁弁5を備えたことにより、二次冷却部42に向けてドレン水Wを常時流動させる構成とは異なり、二次冷却部42において圧縮空気を冷却するためのドレン水Wが存在しなくなる事態を回避することができると共に、圧縮空気除湿システム1Aによる除湿対象の圧縮空気に加えられている圧力の損失を必要最低限に抑えることができる。
【0070】
なお、「圧縮空気除湿システム」および「圧縮空気除湿方法」は、上記の構成や方法に限定されるものではない。例えば、一次冷却部21および二次冷却部22において生じたドレン水Wを使用する構成の圧縮空気除湿システム1、並びに、一次冷却部41、二次冷却部42および三次冷却部43において生じたドレン水Wを使用する構成の圧縮空気除湿システム1A(いずれも、「第1熱交換部またはA熱交換部における圧縮空気の冷却によって生じたドレン水」を含むドレン水Wを使用する形態)を例に挙げて説明したが、圧縮空気除湿システム1,1Aを含んで構成された圧縮空気供給システム内における圧縮空気除湿システム1,1A以外の構成要素、例えば、エアータンク、各種フィルタ装置、およびエアー配管内等において生じた「ドレン水」を使用する構成および方法を採用することもできる。このような構成および方法を採用した場合においても、冷媒や圧縮空気を冷却するための冷却水を流動させるためのポンプ等を用いることなく、圧縮空気に加えられている圧力を利用して冷却用のドレン水を送水することができる。
【0071】
また、「冷媒流路における冷媒圧縮機の冷媒排出口から冷媒流路における膨張弁までの間の予め規定された位置」の一例である凝縮器32の位置に「第2熱交換処理」を実行する「第2熱交換部」を構成する冷却部7を配設した(冷却部7および凝縮器32を一体的に構成した)圧縮空気除湿システム1を例に挙げて説明したが、「第2熱交換処理」を実行する「第2熱交換部」を配設する位置は、この例に限定されない。具体的には、冷凍サイクル3内において冷媒を循環させる冷媒流路における圧縮機31の冷媒排出口(図1に示す位置P1)から、冷媒流路における膨張弁33の位置(図1に示す位置P2)までの間の任意の位置に「第2熱交換処理」を実行する「第2熱交換部」を配設する(上記の例における冷却器7を配設する)ことができる。このような構成を採用した場合においても、上記の圧縮空気除湿システム1と同様の効果を奏することができる。
【0072】
また、「圧縮空気流路における空気圧縮機の空気排出口から圧縮空気流路におけるA熱交換部の下流側端部までの間の予め規定された位置」の一例である「A熱交換部(三次冷却部43)の手前」に「B熱交換処理」を実行する「B熱交換部」を構成する冷却部7Aを配設した圧縮空気除湿システム1Aを例に挙げて説明したが、「B熱交換処理」を実行する「B熱交換部」を配設する位置は、この例に限定されない。具体的には、圧縮空気除湿システム1Aを含んで構成された圧縮空気供給システムにおける圧縮空気流路におけるエアーコンプレッサCPの空気排出口(図2に示す位置PA)から、圧縮空気流路における「A熱交換部(三次冷却部43)」の下流側端部(図2に示す位置PB)までの間の任意の位置に「B熱交換処理」を実行する「B熱交換部」を配設する(上記の例における冷却器7Aを配設する)ことができる。このような構成を採用した場合においても、上記の圧縮空気除湿システム1Aと同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0073】
1,1A 圧縮空気除湿システム
2,2A 熱交換器
3,3A 冷凍サイクル
4 制御部
5 電磁弁
6 膨張弁
7,7A 冷却器
8,9 ドレン配管
21,41 一次冷却部
22,42 二次冷却部
23,44 再熱部
31 圧縮機
32 凝縮器
33 膨張弁
34 蒸発器
43 三次冷却部
CP エアーコンプレッサ
Ha 導入口
Hb 送気口
Hc 排水口
W ドレン水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷凍サイクルと、前記蒸発器が配設されると共に除湿対象の圧縮空気および当該蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却する第1熱交換部とを備えて、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿システムであって、
前記冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における前記冷媒圧縮機の冷媒排出口から当該冷媒流路における前記膨張弁までの間の予め規定された位置に配設されると共に、当該圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と当該冷凍サイクル内の前記冷媒とを相互に熱交換させて当該冷媒を冷却する第2熱交換部と、前記第2熱交換部において前記ドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている圧縮空気除湿システム。
【請求項2】
少なくとも前記第1熱交換部における前記圧縮空気の冷却によって生じた前記ドレン水を送水するドレン配管が前記第2熱交換部に接続されている請求項1記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項3】
前記第2熱交換部が前記凝縮器と一体的に構成されている請求項1または2記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項4】
前記第2熱交換部に対して前記ドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えている請求項1から3のいずれかに記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項5】
冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁および蒸発器を有する冷凍サイクルと、前記蒸発器が配設されると共に除湿対象の圧縮空気および当該蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却するA熱交換部とを備えて、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿システムであって、
当該圧縮空気除湿システムを含んで構成された圧縮空気供給システムにおいて空気圧縮機によって生成された圧縮空気を送気する圧縮空気流路における当該空気圧縮機の空気排出口から当該圧縮空気流路における前記A熱交換部の下流側端部までの間の予め規定された位置に配設されて、当該圧縮空気供給システム内において生じたドレン水と前記圧縮空気とを相互に熱交換させて当該圧縮空気を冷却するB熱交換部と、前記B熱交換部において前記ドレン水を断熱膨張させるドレン水用膨張弁とを備えている圧縮空気除湿システム。
【請求項6】
少なくとも前記A熱交換部における前記圧縮空気の冷却によって生じた前記ドレン水を送水するドレン配管が前記B熱交換部に接続されている請求項5記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項7】
前記B熱交換部が前記圧縮空気流路における前記A熱交換部よりも上流側に配設されると共に、当該A熱交換部および当該B熱交換部が1つの圧力容器内に一体的に設けられている請求項5または6記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項8】
前記B熱交換部に対して前記ドレン水を間欠的に供給する電磁弁を備えている請求項5から7のいずれかに記載の圧縮空気除湿システム。
【請求項9】
除湿対象の圧縮空気および冷凍サイクルにおける蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却する第1熱交換処理を実行して、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿方法であって、
前記冷凍サイクル内において冷媒が循環する冷媒流路における冷媒圧縮機の冷媒排出口から当該冷媒流路における膨張弁までの間の予め規定された位置において、前記圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と当該冷凍サイクル内の前記冷媒とを相互に熱交換させて当該冷媒を冷却する第2熱交換処理を実行すると共に、当該第2熱交換処理に際して前記ドレン水を断熱膨張させる圧縮空気除湿方法。
【請求項10】
除湿対象の圧縮空気および冷凍サイクルにおける蒸発器内の冷媒を相互に熱交換させて当該除湿対象の圧縮空気を冷却するA熱交換処理を実行して、前記圧縮空気中の水分を除湿する圧縮空気除湿方法であって、
当該圧縮空気除湿方法に従って除湿すべき前記圧縮空気が送気される圧縮空気流路における空気圧縮機の空気排出口から当該圧縮空気流路における前記A熱交換処理の実行位置の下流側端部までの間の予め規定された位置において、当該圧縮空気中の水分が結露して生じたドレン水と当該圧縮空気とを相互に熱交換させて当該圧縮空気を冷却するB熱交換処理を実行すると共に、当該B熱交換処理に際して前記ドレン水を断熱膨張させる圧縮空気除湿方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−101167(P2012−101167A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251399(P2010−251399)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】