説明

圧電式電源変換器

【課題】従来のキャパシタが持つ低電圧、漏電の多さ、小さい電源出力の欠点を改善できる圧電式電源変換器を提供すること。
【解決手段】本発明の圧電式電源変換器は、圧電素子を利用して従来のキャパシタに取って代わり、圧電素子は従来のキャパシタよりも更に高いキャパシタンスを含み、且つ、通電変形時に逆電圧効果を発生させ、変形後に正電圧効果を発生させることができ、これによって正電荷が生じるので、電圧効果が増大して大きい電源出力を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電式電源変換器に関するものであって、特に、圧電素子を利用して電源出力を増大する電源変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、より多くの携帯式機器がカラーディスプレイ、立体音響、ハイパーリンクなどの先進機能を提供している。例えばGPRS、無線ネットワーク、Bluetooth(登録商標)及びビデオやカメラの撮影機器である。かさばって重い従来の携帯式機器と比べて、消費者が望むものは、デザインがよく軽くて小さいだけでなく、操作が簡単で電池の使用寿命が長い製品である。
【0003】
消費者の嗜好は回路設計のエンジニアに2つの難題もたらした。一つは、より多くの電源をシステムに供給し、より多くの電圧を発生させる必要があることであり、もう一つは、携帯式製品の電源供給器の使用スペースと電池容量を減少することである。
【0004】
これらの技術的要求を満たすため、設計者は、高い電源効率を採用する必要がある。一般電源変換器の回路中、一般キャパシタはインダクタに直列或いは並列して共振効果をもたらす。
【0005】
しかし、一般キャパシタのキャパシタンスは小さいため、入力電圧信号が大き過ぎると、大きな漏電が生じ、電源出力の効率も高くなく、キャパシタが耐圧性不足となり、故障モードはキャパシタを爆発させる可能性があり、容易に出火する危険性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の技術的欠点を改善するため、本発明は圧電式電源変換器を提供する。本発明の目的の一つは、簡単な圧電素子の構造を利用して一般変圧器に組み合わせることで、倍増する出力電源を提供し、大きな電源出力の効果を達成することができる圧電式電源変換器を提供することである。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、簡単な圧電素子の構造を利用して、一般のキャパシタの使用に取って代わり、圧電素子の漏電が少なく、耐圧性が高く、過熱による出火の危険性がなく、信頼性の高い特性を活かし、従来の電源変換器中のキャパシタが持つ、耐圧性が低く過熱による出火の危険性があるという問題を解決し、体積が小さく包装の厚みが薄いという特性を活かして市場競争力を強化することができる圧電式電源変換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明は、交流−直流変換の電源変換器に応用し、一次側と二次側を備える変圧器と、一端が一次側に接続し、もう一端がパルス電圧を受信して一次側に出力する少なくとも1つの第一圧電素子と、二次側に位置し、且つ、直流電圧を外部負荷に出力して作動させる、出力端に設けた少なくとも1つの第二圧電素子と、を含む圧電式電源変換器を提供する。
【0009】
また、本発明は、交流−交流変換の電源変換器に応用し、一次側と二次側を備える変圧器と、一端が一次側に接続し、もう一端がパルス電圧を受信して一次側に出力し、二次側から交流電圧を外部負荷に出力して作動させる少なくとも1つの第一圧電素子を含む圧電式電源変換器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る圧電式電源変換器は、高い電源出力の効率を達成し、圧電素子の電量漏れが少なく、耐圧性が高く、過熱による出火の危険性がななくなる。このような圧電式電源変換器の信頼性の高い特性を活かし、従来の電源変換器中の、耐圧性が低く過熱による出火の危険性があるという問題を解決できるとともに、体積が小さく包装の厚みを薄くできるので市場競争力が強化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第一実施例を示す図である。
【図2A】本発明実施例が提供する圧電発振器を示す図である。
【図2B】本発明実施例が提供する圧電発振器の等価回路を示す図である。
【図2C】本発明実施例が提供する圧電キャパシタの等価回路である。
【図3】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第二実施例を示す図である。
【図4】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第三実施例を示す図である。
【図5】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第四実施例を示す図である。
【図6】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第五実施例を示す図である。
【図7】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第六実施例を示す図である。
【図8】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第七実施例を示す図である。
【図9】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第八実施例を示す図である。
【図10A】本発明実施例が提供する絶縁型圧電発振器の等価回路である。
【図10B】本発明実施例が提供する絶縁型圧電発振器の構造断面図である。
【図11】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第九実施例を示す図である。
【図12】本発明をハーフブリッジ式交流−交流変換に応用する電源変換器の第十実施例を示す図である。
【図13】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十一実施例を示す図である。
【図14】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十二実施例を示す図である。
【図15】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十三実施例を示す図である。
【図16】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十四実施例を示す図である。
【図17】本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十五実施例を示す図である。
【図18】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十六実施例を示す図である。
【図19】本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十七実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術内容、特色、その他の効果の理解のために、以下に図面を参照しながら、具体的な実施例を挙げて詳しく説明する。
【実施例】
【0013】
図1は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第一実施例を示す図である。
圧電式電源変換器は、変圧器11、少なくとも1つの第一圧電素子、及び少なくとも1つの第二圧電素子を含む。
変圧器11は一次側111と二次側112を備える。
変圧器11の一次側111を利用してインダクタとして使用し、第一圧電素子と直列して共振回路を構成する。第一圧電素子はそれ自体が有するキャパシタ特性を利用して圧電発振器12として使用し、且つ、従来の電源変換器中のキャパシタに取って代わる。
【0014】
本実施例中に示される圧電発振器12は、図2Aに示すように、圧電材質によって作製された円板形状の基材21を含むが、もちろんその形状は正方形、長方形、或いはその他の如何なる幾何形状でもよい。
【0015】
また、銀ペースト、銅ペースト、或いはニッケルペーストによって同様に作製された円形の導電層22、23は基材21の全体或いは部分的な上表面と下表面に位置し、圧電発振器12の両電極を構成して電流を誘導する。
【0016】
図2Bによると、圧電発振器12の等価回路は、等価回路中に等価抵抗R、等価インダクタL、及び力学特性と電気特性をそれぞれ別々に表示する等価キャパシタCaとCbを有する。
【0017】
本実施例では、変圧器11の一次側111を利用してインダクタとして使用してハーフブリッジ共振回路形成できる。圧電発振器12は共振回路が共振する時に電気エネルギーを保存するのに用いる。
圧電発振器12は圧電特性を有し、力率を調整して電源を出力することが可能で、通電変形時に逆圧電効果が生じ、変形後に正圧電効果が生じ、その正、逆圧電効果の転換が正電荷を生成し、電圧を増大させ、電圧増大効果を有し、大きな電源出力の効果を達成する。
【0018】
等価回路中の等価キャパシタンスの力学特性Cb値は電気特性Ca値の約3倍のキャパシタンスである。Ca値とCb値のキャパシタンスを相加すると、このように圧電発振器12は高いキャパシタンス(Q=C*V)を有し、倍増する出力電源を提供し、効率エネルギー変換の効果を高めることができる。
【0019】
第二圧電素子は二次側112に位置する。第二圧電素子はそれ自体の有するキャパシタ特性を利用し第一圧電キャパシタ13として使用し、従来の電源変換器中のキャパシタに取って代わる。
【0020】
本実施例が示す圧電キャパシタ13に関して、図2Cは圧電キャパシタ13等価回路であり、等価回路中に等価抵抗R、等価インダクタL、及び電気特性を表示する等価キャパシタCaを有する。
【0021】
一般のキャパシタと異なるのは、本実施例の圧電発振器12と圧電キャパシタ13の電流漏れは小さく、耐圧性は高く、過熱による出火の危険性がなく、信頼性が高く、従来の電源変換器中のキャパシタが引き起こす低い耐圧性と過熱による出火の危険性の問題を解決できるところにある。
また、圧電発振器12と圧電キャパシタ13の体積は小さく、包装が薄くて済むので、市場競争において極めて優勢である。
【0022】
変圧器11の二次側112の両端はそれぞれ2つの二極体D1とD2に接続し、二極体D1とD2はフィルタインダクタ14に接続している。第二圧電素子はフィルタインダクタ14に接続して出力フィルタ整流開路を形成する。
二極体D1とD2は単一方向導電の特性を有するので、方向と大きさの変換により交流電圧を直流電圧に変換することができ、整流のために用いられる。
【0023】
一次側111の入力電圧が正の値の時、誘導された二次側112の入力電圧も正の値を示す。入力電圧が正半周期になった時、変圧器11の二次側112の上端は正の値であり、下端は負の値であり、二極体D1は順方向バイアスであり、電流は二極体D1から流出してフィルタインダクタ14を通過して圧電キャパシタ13に送られ充電を実行する。
【0024】
しかし、二極体D2は逆バイアスになり、開路状態と同様で電流は流れない。
入力電圧が負半周期の時、変圧器11の二次側112の上端は負であり、下端は正であり、二極体D1は逆バイアスであり、電流は流れず、二極体D2は順方向バイアスであり、電流は二極体D2から流出してフィルタインダクタ14を通過して圧電キャパシタ13に送られ充電を実行する。
これにより、圧電キャパシタ13は、直流電圧を外部負荷に出力して作動させるのに用いられる。
【0025】
図1と図3を参照する。図3は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第二実施例を示す図であり、図1の実施例とほぼ同じなので同じ部分は説明を省略する。
【0026】
異なる部分は、2つの第一圧電素子を備えていて、それら自体が有するキャパシタ特性を利用して第一圧電発振器31と第二圧電発振器32として使用し、且つ、変圧器11の一次側111に位置し、変圧器11の一次側をインダクタとして使用してフルブリッジ共振回路を形成し、圧電発振器31、32はそれぞれ一次側111の両端に接続し、第一圧電発振器31と第二圧電発振器32はパルス電圧を受信することである。
【0027】
共振回路が共振するとき、圧電効果が生じキャパシタンスが増加して一次側111に出力され、1つの圧電発振器を使用するよりも電源の出力を高めることができる。
【0028】
図3と図4を参照する。図4は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第三実施例を示す図であり、図3の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0029】
異なる部分は、変圧器11は少なくとも1つのセンタータップ41を備え、且つ、二次側112の中間に位置し、センタータップ41から両端のまでの電圧は等しいことである。
【0030】
出力電圧が正半周期の時、二極体D1は順方向バイアスであり、電流は二極体D1から流出してフィルタインダクタ14を通過し圧電キャパシタ13に送られ充電を実行し、センタータップ41に戻る。
【0031】
しかし、二極体D2は逆バイアスであり、開路状態と同様で、電流が流れない。入力電圧が負半周期の時、二極体D1は逆バイアスであり、電流は流れることができず、二極体D2は順方向バイアスであり、電流は二極体D2から流出し、フィルタインダクタ14を通過して圧電キャパシタ13に送られ充電を実行し、センタータップ41に戻る。
【0032】
このように、圧電キャパシタ13では、正半周期時と同様、電圧低下の極性が生じる。即ち、圧電キャパシタ13を通過した電流は全て同一方向であり、圧電キャパシタ13は直流電圧を外部負荷に出力して作動させる。
【0033】
図4と図5を参照する。図5は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第四実施例を示す図である。図4の実施例とほぼ同じなので、同じ部分は説明を省略する。
【0034】
異なる部分は、第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52を含み、それらはそれぞれ第一圧電発振器31と第二圧電発振器32に対応して直列しフルブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置することである。
【0035】
第一圧電発振器31と第二圧電発振器32はそれぞれ第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52を通してパルス電圧を受信し、第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52はエネルギー蓄積効果を有しているので、第一圧電発振器31と第二圧電発振器32は更に高い電圧を提供できる。
【0036】
共振回路が共振する時、圧電効果が生じることでキャパシタンスが増加して一次側111への出力が可能なので、外部負荷のより大きな電源出力の提供に用いられる。
また、変圧器11はセンタータップを備えない設計も可能で、図6は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第五実施例を示す図である。
変圧器11の二次側112の両端はそれぞれ2つの二極体D1、D2に接続し、交流電圧を直流電圧に変換するのに用いられる。圧電キャパシタ13は直流電圧を外部負荷に出力して作動させる。
【0037】
図5と図7を参照する。図7は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第六実施例を示す図である。図5の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0038】
異なる部分は、1つの共振インダクタ51を使用して1つの圧電発振器31に直列接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置することである。
共振回路が共振するとき、圧電効果が生じることでキャパシタンスが増加して一次側111への出力が可能なので、外部負荷のより小さい電源出力の提供に用いられる。
【0039】
また、変圧器はセンタータップを備えない設計も可能で、図8は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第七実施例を示す図である。変圧器11の二次側112の両端はそれぞれ2つの二極体D1、D2に接続し、交流電圧を直流電圧に変換するのに用いられ、圧電キャパシタ13は直流電圧を外部負荷に出力して作動させる。
【0040】
図6と図9を参照する。図9は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第八実施例を示す図である。図6とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0041】
異なる部分は、図6の第一発振器31と第二発振器32を合わせて1つの絶縁型圧電発振器91として代替使用することである。これを例にとると、もちろん、絶縁型圧電発振器91は需要に合わせて更に多くの圧電発振器を合わせて使用することができる。
【0042】
図10Aは、絶縁型圧電発振器91の等価回路であり、図2Bが示す2つの等価回路を合わせたものである。このように、第一入力端911、第二入力端912と第一出力端913、第二出力端914を作り出すことができる。
【0043】
図10Bは絶縁型圧電発振器91の構造断面図であり、基材92、少なくとも1つの第一上電極93、少なくとも1つの第一下電極94、少なくとも1つの第二上電極95、及び少なくとも1つの第二下電極96を含む。
【0044】
基材92はセラミック材料で構成されており、上表面と下表面を備え、第一上電極93は基材92の上表面に設置し、第一下電極94は基材92の下表面に設置し、第一上電極93と対称で、第一入力端911がパルス電圧受信して第一上電極93に送り、内部圧電効果を経てキャパシタンスが増加し、第一下電極94から出力し、それは第一出力端913となる。
【0045】
一方、第二入力端912によって受信したパルス電圧が基材92の上表面に設置された第二上電極95に送られ、第二下電極96は基材92の下表面に設置され、第二上電極95と対称で、第二上電極95はパルス電圧を受信し内部圧電効果を経てキャパシタンスは増加し、第二下電極96から出力し、それは第二出力端914となる。
【0046】
第一上、下電極93、94の間の基材と第二上、下電極95、96の間の基材はそれぞれ交流電圧を通して分極し、分極後は正負極性を有する。
中間の分極していない部分はセラミック材料の特性を保持するため極性を有さず、交流電圧が通過する時、絶縁状態になる。
【0047】
更に、本実施例は、第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52をそれぞれ絶縁型圧電発振器91の第一入力端911と第二入力端912に接続し、フルブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置する。
共振回路が共振する時、絶縁型圧電発振器91の第一入力端911と第二入力端912はそれぞれ第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52に接続し、圧電効果が生じてキャパシタンスが増加し、絶縁型圧電発振器91の第一出力端913、第二出力端914は一次側111の両端に接続し、一次側111は圧電変換後の高い交流電圧を有し、外部負荷のより大ききな電源出力の提供に用いられる。
【0048】
また、図11は、本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第九実施例を示す図であり、第一共振インダクタ51を利用して絶縁型圧電発振器91に接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置する。
共振回路が共振する時、絶縁型発振器91は圧電効果を生じさせキャパシタンスが増加し一次側111に出力することができ、外部負荷のより小さな電源出力の提供に用いられる。
【0049】
上述した実施例からわかるように、これらの実施例では全て1つの外部負荷への電圧出力により作動するが、入力する電圧信号が更に大きい場合は、2つ以上の出力を設計することができる。言い換えると、2つ以上のセンタータップと2つ以上のフィルター整流回路を組み合わせる必要があり、それにより2つ以上の外部負荷への電圧を出力を提供して作動させる。
【0050】
図12は、本発明をハーフブリッジ式交流−交流変換に応用する電源変換器の第十実施例を示す図である。図1と異なるのは、本実施例は交流−交流変換の電源変換器に応用することであり、図1の実施例は交流−直流変換の電源変換器であるので、変圧器11の二次側112はフィルター整流回路を出力して交流電圧を直流電圧に変換する動作が必要ない。
【0051】
交流−交流変換の電源変換器は変圧器11及び少なくとも1つの第一圧電素子を含む。
変圧器11は一次側111と二次側112を備える。変圧器11の一次側をインダクタとして使用し、第一圧電素子と接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、第一圧電素子はそれ自体の有するキャパシタ特性を利用して第一圧電発振器12として使用し、且つ、従来の電源変換器中のキャパシタに代替して使用される。
【0052】
本実施例が示す圧電発振器12の構造と等価回路はそれぞれ図2Aと図2Bに示す。
本実施例は変圧器11の一次側111をインダクタとして使用しハーフブリッジ共振回路を形成し、共振回路が共振する時、圧電発振器12は電気エネルギーを保存するのに用いられる。圧電発振器12は圧電特性を有し、力率を調整して電源を出力することが可能で、通電変形時に逆圧電効果が生じ、変形後に正圧電効果が生じ、その正、逆圧電効果の変換が正電荷を生成し、電圧を増大させるので電圧増大の効果を有し、大きな電源出力の効果を達成する。
【0053】
等価回路中の等価キャパシタンスの力学特性Cb値は電気特性Ca値の約3倍のキャパシタンスであり、Ca値とCb値のキャパシタンスを相加すると、このように圧電発振器12は高いキャパシタンス(Q=C*V)を有し、倍増する電源出力を提供し、効率エネルギー変換の効果を高めることができる。
【0054】
図12と図13を参照する。図13は、本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十一実施例を示す図である。図12の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0055】
異なる部分は、2つの圧電素子を備え、それら自体の有するキャパシタ特性を利用して第一圧電発振器31と第二圧電発振器32として使用し、且つ、変圧器11の一次側111に位置し、変圧器11の一次側をインダクタとして使用してフルブリッジ共振回路を形成し、第一圧電発振器31と第二圧電発振器32はそれぞれ一次側111の両端に接続し、第一圧電発振器31と第二圧電発振器32はパルス電圧を受信することである。
共振回路が共振する時、圧電効果が生じてキャパシタンス値が増加し一次側111に出力し、1つの圧電発振器を使用するよりも出原の出力を高めることができる。
【0056】
図13と図14を参照する。図14は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十二実施例を示す図である。図13の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0057】
異なる部分は、変圧器11は少なくとも1つのセンタータップ41を備えていることである。センタータップ41は二次側112の中間に位置し、センタータップ41から両端までの電圧は等しく、2組の出力電圧を有し、外部負荷のより大きい電源出力を提供するのに用いられる。
【0058】
また、図15は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十三実施例を示す図である。変圧器11は少なくとも1つのセンタータップ41を備える。センタータップ41は二次側112の中間に位置し、センタータップ41から両端までの電圧は等しく、2組の出力電圧を有し、外部負荷のより小さい電源出力を提供するのに用いられる。
【0059】
図14と図16を参照する。図16は本発明をフルブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十四実施例を示す図である。図14の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0060】
異なる部分は、第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52を含み、それらは第一圧電発振器31と第二圧電発振器32にそれぞれ対応して直列しフルブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置することである。
【0061】
第一圧電発振器31と第二圧電発振器32はそれぞれ第一共振インダクタ51と第二共振インダクタ52を通してパルス電圧を受信し、2つの共振インダクタ51、52はエネルギーを蓄積する効果を有するので、2つの圧電発振器31、32により高い電圧を提供できる。
共振回路が共振する時、圧電効果が生じてキャパシタンス値が増加して一次側111に出力し、外部負荷のより大きな電源出力を提供するのに用いられる。
【0062】
また、変圧器11はセンタータップを備えない設計も可能で、図17は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十五実施例を示す図である。変圧器11の一次側111は二次側112を誘導し、二次側112から交流電圧を出力して、外部負荷のより小さい電源出力を提供するのに用いられる。
【0063】
図15と図18を参照する。図18は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十六実施例を示す図であり、図15の実施例とほぼ同じなので、同じ部分の説明は省略する。
【0064】
異なる部分は、1つの第一共振インダクタ51を使用して1つの第一圧電素発振器31に直列接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、且つ、変圧器11の一次側111に位置することである。
共振回路が共振する時、圧電効果が生じてキャパシタンス値が増加して一次側111に出力し、外部負荷のより小さな電源出力を提供するのに用いられる。
【0065】
また、変圧器11はセンタータップを備えない設計も可能で、図19は本発明をハーフブリッジ入力に応用する圧電式電源変換器の第十七実施例を示す図である。変圧器11の一次側111は二次側112を誘導し、二次側112から交流電圧を出力して、外部負荷のより小さい電源出力を提供するのに用いられる。
【0066】
上述した実施例からわかるように、これらの実施例では全て1つの外部負荷への電圧出力により作動するが、入力する電圧信号が更に大きい場合は、2つ以上の出力を設計することができる。言い換えると、2つ以上のセンタータップを組み合わせる必要があり、それにより2つ以上の外部負荷への電圧を出力を提供して作動させる。
【0067】
上述した実施例の記載は本発明の技術的思想と利点を説明するためのものであり、その目的は当業者が本発明の内容と実施根拠を理解することにある。本発明を限定的に解釈するためのものではなく、本発明の示す精神に基づいて適宜加えた変更や置換等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
11 変圧器
111 一次側
112 二次側
12 圧電発振器
13 圧電キャパシタ
14 フィルタインダクタ
21 基材
22 導電層
23 導電層
31 第一圧電発振器
32 第二圧電発振器
41 センタータップ
51 第一共振インダクタ
52 第二共振インダクタ
91 絶縁型圧電発振器
911 第一入力端
912 第二入力端
913 第一出力端
914 第二出力端
92 基材
93 第一上電極
94 第一下電極
95 第二上電極
96 第二下電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側と二次側を備えた変圧器と、
一端が前記一次側に接続し、もう一端がパルス電圧を受信し前記一次側に出力する、少なくとも1つの第一圧電素子と、
前記二次側に位置し、且つ、直流電圧を外部負荷に出力して作動させる、少なくとも1つの第二圧電素子と、
を含むことを特徴とする圧電式電源変換器。
【請求項2】
前記第二圧電素子が圧電キャパシタであることを特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項3】
前記第一圧電素子が圧電発振器であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項4】
前記圧電発振器は、基材及び2つの導電層を含み、前記基材は上表面と下表面を備え、前記2つの導電層は前記上表面と下表面にそれぞれ形成され、前記圧電発振器の両極を構成することを特徴とする、請求項3に記載の圧電式電源変換器。
【請求項5】
前記基材の形状は円形、正方形、或いは長方形であることを特徴とする、請求項4に記載の圧電式電源変換器。
【請求項6】
前記第一圧電素子は絶縁型圧電発振器であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項7】
前記絶縁型圧電発振器は、基材、少なくとも1つの第一上電極、少なくとも1つの第一下電極、少なくとも1つの第二上電極、及び少なくとも1つの第二下電極を含み、前記基材はセラミック材料で構成されており、上表面と下表面を備え、前記第一上電極は前記基材の上表面に設置し、前記第一下電極は前記基材の下表面に設置し、前記第一上電極と対称で、前記第二上電極は前記基材の上表面に設置し、前記第二下電極は前記基材の下表面に設置し、前記第二上電極と対称で、前記第一上、下電極の間の基材と前記第二上、下電極の間の基材はそれぞれ前記パルス電圧を通して分極し、中間に周波数の入力電圧が無い時、中間の分極していない部分は絶縁状態になることを特徴とする、請求項6に記載の圧電式電源変換器。
【請求項8】
更に共振インダクタを含み、それが前記第一圧電素子に直列接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、且つ、前記変圧器の前記一次側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項9】
更に2つの共振インダクタを含み、それらが2つの前記第一圧電素子前記第一圧電素子に対応して直列接続しフルブリッジ共振回路を形成し、且つ、前記変圧器の前記一次側に位置することを特徴とする、請求項8に記載の圧電式電源変換器。
【請求項10】
前記フルブリッジ共振回路は前記2つの共振インダクタと前記第一圧電素子を含み、且つ、前記2つの共振インダクタはそれぞれ前記第一圧電素子に直列接続すること特徴とする、請求項9に記載の圧電式電源変換器。
【請求項11】
更に2つの二極体とフィルタインダクタを含み、前記フィルタインダクタの一端は前記2つの二極体に接続し、もう一端は前記第二圧電素子に接続してフィルタ整流回路を形成し、且つ、前記変圧器の前記二次側に位置すること特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項12】
前記変圧器は少なくとも1つのセンタータップを備え、前記二次側の中間に位置して両端の電圧を等しくしすること特徴とする、請求項1に記載の圧電式電源変換器。
【請求項13】
交流−交流変換の変換器に応用し、一次側と二次側を備える変圧器と、
一端は前記一次側に接続し、もう一端はパルス電圧を受信し前記一次側に出力し、前記二次側から交流電圧を外部負荷に出力して作動する、少なくとも1つの第一圧電素子を含むこと特徴とする、圧電式電源変換器。
【請求項14】
前記第一圧電素子が圧電発振器であること特徴とする、請求項13に記載の圧電式電源変換器。
【請求項15】
前記圧電発振器は、基材及び2つの導電層を含み、前記基材は上表面と下表面を備え、前記2つの導電層は前記上表面と下表面にそれぞれ形成され、前記圧電発振器の両電極を構成することを特徴とする、請求項14に記載の圧電式電源変換器。
【請求項16】
前記基材の形状は円形、正方形、長方形、或いはその他の幾何形状であることを特徴とする、請求項15に記載の圧電式電源変換器。
【請求項17】
前記第一圧電素子は絶縁型圧電発振器であることを特徴とする、請求項13に記載の圧電式電源変換器。
【請求項18】
前記絶縁型圧電発振器は、基材、少なくとも1つの第一上電極、少なくとも1つの第一下電極、少なくとも1つの第二上電極、及び少なくとも1つの第二下電極を含み、前記基材はセラミック材料で構成されており、上表面と下表面を備え、前記第一上電極は前記基材の上表面に設置し、前記第一下電極は前記基材の下表面に設置し、前記第一上電極と対称で、前記第二上電極は前記基材の上表面に設置し、前記第二下電極は前記基材の下表面に設置し、前記第二上電極と対称で、前記第一上、下電極の間の基材と前記第二上、下電極の間の基材はそれぞれ前記パルス電圧を通して分極し、中間に周波数の入力電圧が無い時、中間の分極していない部分は絶縁状態になることを特徴とする、請求項17に記載の圧電式電源変換器。
【請求項19】
更に共振インダクタを含み、それが前記第一圧電素子に接続してハーフブリッジ共振回路を形成し、且つ、前記変圧器の前記一次側に位置することを特徴とする、請求項13に記載の圧電式電源変換器。
【請求項20】
更に2つの共振インダクタを含み、それらが2つの前記第一圧電素子に対応して直列接続しフルブリッジ共振回路を形成し、且つ、前記変圧器の前記一次側に位置することを特徴とする、請求項19に記載の圧電式電源変換器。
【請求項21】
前記変圧器は少なくとも1つのセンタータップを備え、前記二次側の中間に位置して両端の電圧を等しくすること特徴とする、請求項13に記載の圧電式電源変換器。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−273528(P2010−273528A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184553(P2009−184553)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(504348415)金威貿易有限公司 (7)
【出願人】(504348426)チャンピオン エライト カンパニー リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CHAMPION ELITE COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】Skelton Building, Road Town, Tortola, British Virgin Islands
【Fターム(参考)】