説明

圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法

【課題】信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電素子の製造方法は、第1電極10に第1前駆体層22aを形成する工程と、第1電極10および第1前駆体層22aを、スペーサー部材120を介して基板110に載置する工程であって、第1前駆体層22aの、第1電極10側の第1面23と反対側の第2面24が、スペーサー部材120によって区画される空隙122を介して、基板110の第3面112と対向するように、載置する工程と、基板110に載置された第1前駆体層22aを結晶化させて、第1圧電体層を形成するための第1熱処理を行う工程と、スペーサー部材120から、第1圧電体層を離し、第1圧電体層の第2面24側に第2前駆体層を形成する工程と、を含み、第1前駆体層22aおよび第2前駆体層は、アルカリ金属元素を含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子の製造方法、および液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した圧電性セラミックス等からなる圧電体を、2つの電極で挟んで構成されたものがある。このような圧電素子は、2つの電極によって電圧が印加されることによって変形することができ、この変形を利用して、アクチュエーターとして、例えば、撓み振動モードで動作させることができる。
【0003】
特許文献1には、圧電体材料として、化学組成がx[(Bi1−a)TiO]−(1−x)[BiFeO](但し、0.3≦x≦0.8、0.4<a<0.6)で表されるアルカリ金属元素を含有したビスマス系の酸化物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−69051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなアルカリ金属元素を含有した酸化物からなる前駆体層を、熱処理により結晶化させて圧電体層とする際に、前記前駆体層の表面からアルカリ金属元素が抜けてしまうことがある。そのため、例えば複数の圧電体層を積層させて圧電素子を形成する場合に、圧電体層間の界面に変質層が生成し、圧電素子の信頼性が低下する場合がある。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記圧電素子の製造方法を含む液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧電素子の製造方法は、
第1電極に第1前駆体層を形成する工程と、
前記第1電極および前記第1前駆体層を、スペーサー部材を介して基板に載置する工程であって、前記第1前駆体層の、前記第1電極側の第1面と反対側の第2面が、前記スペーサー部材によって区画される空隙を介して、前記基板の第3面と対向するように、載置する工程と、
前記基板に載置された前記第1前駆体層を結晶化させて、第1圧電体層を形成するための第1熱処理を行う工程と、
前記スペーサー部材から、前記第1圧電体層を離し、前記第1圧電体層の前記第2面側に第2前駆体層を形成する工程と、
前記第1電極、前記第1圧電体層、および前記第2前駆体層を、前記スペーサー部材を介して前記基板に載置する工程であって、前記第2前駆体層の、前記第1圧電体層側の第4面と反対側の第5面が、前記空隙を介して前記第3面と対向するように、載置する工程と、
前記基板に載置された前記第2前駆体層を結晶化させて、第2圧電体層を形成するための第2熱処理を行う工程と、
前記スペーサー部材から、前記第2圧電体層を離し、前記第2圧電体層の前記第5面側に第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1前駆体層および前記第2前駆体層は、アルカリ金属元素を含有している。
【0008】
このような圧電素子の製造方法によれば、第1圧電体層と第2圧電体層との界面に、変質層が生成することを抑制することができる。したがって、信頼性の高い圧電素子を製造することができる。
【0009】
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記第1熱処理において、前記空隙は、前記スペーサー部材、前記第1前駆体層、および前記基板によって密閉され、
前記第2熱処理において、前記空隙は、前記スペーサー部材、前記第2前駆体層、および前記基板によって密閉されることができる。
【0010】
このような圧電素子の製造方法によれば、仮に、アルカリ金属元素が気体となって第1前駆体層および第2前駆体層から抜けたとしても、空隙は、アルカリ金属元素の雰囲気となることができる。これにより、第1前駆体層および第2前駆体層からアルカリ金属元素が抜ける量を低減することができる。
【0011】
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記第1熱処理および前記第2熱処理は、第1ランプおよび第2ランプを有するランプアニール装置を用いたRTA(Rapid Thermal Annealing)処理によって行われ、
前記第1熱処理において、前記第1ランプと前記第1前駆体層との間に前記第1電極が位置し、前記第2ランプと前記第1前駆体層との間に前記基板が位置し、
前記第2熱処理において、前記第1ランプと前記第2前駆体層との間に前記第1電極が位置し、前記第2ランプと前記第2前駆体層との間に前記基板が位置することができる。
【0012】
このような圧電素子の製造方法によれば、信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供することができる。
【0013】
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記アルカリ金属元素は、カリウム、またはナトリウムであることができる。
【0014】
このような圧電素子の製造方法によれば、信頼性の高い圧電素子の製造方法を提供することができる。
【0015】
本発明に係る圧電素子の製造方法において、
前記第1圧電体層および前記第2圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸カリウムビスマスとの固溶体を主成分とすることができる。
【0016】
このような圧電素子の製造方法によれば、鉛元素を含有していないため、環境に優しい圧電体層を形成することができる。
【0017】
本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、
本発明に係る圧電素子の製造方法を含む。
【0018】
このような液体噴射ヘッドの製造方法によれば、信頼性の高い液体噴射ヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す断面図。
【図2】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図3】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】実施例のSEM観察結果。
【図10】比較例1のSEM観察結果。
【図11】比較例2のSEM観察結果。
【図12】比較例3のSEM観察結果。
【図13】実施例の金属顕微鏡観察結果。
【図14】比較例1の金属顕微鏡観察結果。
【図15】実施例および比較例1のI−V特性評価結果。
【図16】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。
【図17】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
1. 圧電素子
まず、本実施形態に係る圧電素子について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる圧電素子100を模式的に示す断面図である。
【0022】
圧電素子100は、図1に示すように、第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む。圧電素子100は、例えば、基体1の上方に形成されている。
【0023】
基体1は、例えば、導電体、半導体、絶縁体で形成された平板である。基体1は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。基体1は、上面が平面的な形状であれば内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。基体1は、可撓性を有し、圧電体20の動作によって変形(屈曲)することのできる振動板を含んでいてもよい。振動板の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化シリコン、またはこれらの積層体が挙げられる。この場合、圧電素子100は、振動板と、第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む圧電アクチュエーター102となる。
【0024】
第1電極10は、基体1上に形成されている。第1電極10の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第1電極10の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第1電極10の平面形状は、第2電極30が対向して配置されたときに両者の間に圧電体20を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形である。
【0025】
第1電極10の材質としては、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物(SrRuO:SRO)、ランタンとニッケルの複合酸化物(LaNiO:LNO)が挙げられる。第1電極10は、上記に例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
【0026】
第1電極10の機能の一つとしては、第2電極30と一対になって、圧電体20に電圧を印加するための一方の電極(例えば、圧電体20の下方に形成された下部電極)となることが挙げられる。
【0027】
なお、基体1が振動板を有さず、第1電極10が振動板であってもよい。すなわち、第1電極10は、圧電体20に電圧を印加するための一方の電極としての機能と、圧電体20の動作によって変形することのできる振動板としての機能と、を有していてもよい。この場合、圧電素子100は、振動板としての機能を有する第1電極10と、圧電体20と、第2電極30と、を含む圧電アクチュエーター102となる。
【0028】
また、図示はしないが、第1電極10と基体1との間には、例えば、両者の密着性を付与する層や、強度や導電性を付与する層が形成されてもよい。このような層の例としては、例えば、チタン、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの酸化物の層が挙げられる。
【0029】
圧電体20は、第1電極10上に形成されている。第1電極10の形状は、例えば、層状または薄膜状である。圧電体20の厚みは、例えば、300nm以上1000nm以下である。圧電体20は、圧電体層を積層することにより構成され、圧電体層の積層数を増やすことにより、圧電体20の厚みを大きくすることができる。図示の例では、圧電体20は、第1電極10上に形成された第1圧電体層22と、第1圧電体層22上に形成された第2圧電体層26と、を有している。図示はしないが、圧電体20は、3層以上の圧電体層を有していてもよい。
【0030】
圧電体20(圧電体層22,26)の材質は、アルカリ金属元素を含有した圧電材料である。アルカリ金属元素としては、例えば、カリウム、ナトリウムが挙げられる。より具体的には、圧電体20は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸カリウムビスマスとの固溶体を主成分とする。ここで、「鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸カリウムビスマスとの固溶体を主成分とする」とは、鉄、マンガン、ビスマス、チタン、カリウム、および酸素以外の元素が、20元素%以下含まれている場合を含み、また、各種の分析において、上記列挙した元素以外の元素が、痕跡量認められる場合、および検出できない場合を含む。
【0031】
鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸カリウムビスマスとの固溶体は、Bi(Fe,Mn)O−(Bi,K)TiO(以下、「BFM−BKT」ともいう)表される複合酸化物であり、例えば、下記式(1)として表記することができる。
【0032】
x[Bi(Fe(1−a)Mn)O]−(1−x)[(Bi(1−b))TiO]・・・式(1)
ただし、式(1)において、xの範囲は0<x<1であり、aの範囲は0<a<1であり、bの範囲は0<b<1である。
【0033】
BFM−BKTは、一般式としては、ABOで示される複合酸化物であり、ペロブスカイト型の結晶構造をとることができる。そのため、BFM−BKTは、圧電性を呈することができる。これにより、圧電体20は、第1電極10および第2電極30によって電界が印加されることで変形することができる(電気機械変換)。
【0034】
第2電極30は、圧電体20上に形成されている。第2電極30の形状は、例えば、層状または薄膜状である。第2電極30の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下である。第2電極30の平面形状は、特に限定されず、例えば、矩形、円形である。第2電極30としては、第1電極10の材質として列挙した上記の材料を用いることができる。
【0035】
第2電極30の機能の一つとしては、第1電極10と一対になって、圧電体20に電圧を印加するための他方の電極(例えば、圧電体20の上方に形成された上部電極)となることが挙げられる。
【0036】
以上のような圧電素子100は、例えば、圧電アクチュエーターとして、液体噴射ヘッドや、該液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置(インクジェットプリンター)などに適用される。
【0037】
2. 圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子の製造方法について説明する。図2〜図8は、本実施形態に係る圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0038】
図2に示すように、基体1を用意する。基体1は、シリコンウェハーであってもよい。次に、基体1上に第1電極10を形成する。より具体的には、第1電極10は、第1電極層(図示せず)を成膜した後、該第1電極層をパターニングすることにより形成される。第1電極層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により成膜される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術により行われる。
【0039】
図3に示すように、第1電極10上に第1前駆体層22aを形成する。第1前駆体層22aは、例えば、MOD(Metal Organic Decomposition) 法、ゾルゲル法、スパッタ法、MOCVD法、レーザーアブレーション法によって形成される。
【0040】
第1前駆体層22aをMOD法やゾルゲル法などの液相法によって形成する場合、例えばBFM−BKTの元素組成を有する前駆体溶液を、スピンコート等により塗布し、乾燥・脱脂することによって形成することができる。例えば、前駆体溶液の塗布−乾燥・脱脂工程を複数回繰り返すことによって、第1前駆体層22aが形成されてもよい。このような前駆体溶液としては、以下のような金属化合物を、所望の組成となるように、例えば、溶媒n−ブタノールに混合したものが挙げられる。
【0041】
ビスマスを含有する金属化合物としては、例えば、トリエトキシビスマス、トリ−i−プロポキシビスマス、アセチルアセトナートビスマス、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス、クエン酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、酒石酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸ビスマスが挙げられる。
【0042】
鉄を含有する金属化合物としては、例えば、トリエトキシ鉄、トリ−i−プロポキシ鉄、トリス(アセチルアセトナート)鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、酒石酸鉄、クエン酸鉄、2−エチルヘキサン酸鉄が挙げられる。
【0043】
マンガンを含有する金属化合物としては、例えば、ジ−i−プロポキシマンガン、マンガン(III)アセチルアセトナート、硝酸マンガン、酢酸マンガン、クエン酸マンガン、シュウ酸マンガン、酒石酸マンガン、2−エチルヘキサン酸マンガンが挙げられる。
【0044】
チタンを含有する金属化合物としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−i−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、アセチルアセトナトチタン、硝酸チタン、酢酸チタン、シュウ酸チタン、酒石酸チタン、クエン酸チタン、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートが挙げられる。
【0045】
カリウムを含有する金属化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸カリウムが挙げられる。
【0046】
第1前駆体層22aの形状は、例えば、層状または薄膜状である。第1前駆体層22aは、第1電極10側(図3の例では下側)の第1面23と、第1面23と反対側(図3の例では上側)の第2面24と、を有する。図示の例では、第1面23は、第1電極10に接している。第1面23および第2面24は、例えば、平坦な面である。
【0047】
図4に示すように、第1前駆体層22aの第2面24が、空隙122を介して、基板110の第3面112と対向するように、第1前駆体層22aをスペーサー部材120上に載置する。例えば、基体1、第1電極10および第1前駆体層22aは、図3に示す状態に対して、上下が反転した状態(裏返した状態)となる。
【0048】
基板110は、平板状であり、基板110の第3面112は、例えば、平坦な面である。基板110の材質としては、例えば、シリコンが挙げられる。
【0049】
スペーサー部材120は、基板110の第3面112に形成されている。スペーサー部材120は、空隙122を区画している。空隙122は、スペーサー部材によって囲まれているともいえる。スペーサー部材120の平面形状は、空隙122を囲むことができれば、特に限定されない。空隙122は、スペーサー部材120、第1前駆体層22a(第2面24)、基板110(第3面112)によって気密状態となるように、密閉されていてもよい。スペーサー部材の厚みは、例えば、0.4mm以上0.8mm以下である。したがって、第2面24と第3面112との間の距離(空隙122の厚み)も、例えば、0.4mm以上0.8mm以下となる。スペーサー部材120の材質は、例えば、シリコンが挙げられる。
【0050】
図5に示すように、第1前駆体層22aを結晶化させて第1圧電体層22を形成するための第1熱処理を行う。第1熱処理の温度は、600℃以上800℃以下であり、雰囲気は、例えば、酸素雰囲気または窒素雰囲気である。
【0051】
図5に示す例では、第1熱処理は、第1ランプ132および第2ランプ134を有するランプアニール装置130を用いて、RTA(Rapid Thermal Annealing)によって行われる。
【0052】
第1ランプ132および第2ランプ134は、互いに対向して配置しており、両者の間に被処理体(基体1、第1電極10、第1前駆体層22a、スペーサー部材120、および基板110を含む被処理体)が搬送される。被処理体は、ランプアニール装置130内において、例えば支持部材(図示せず)によって支持されている。
【0053】
ランプ132,134は、光L(例えば、赤外線L)を照射して、被処理体を熱処理することができる。熱処理時において、第1ランプ132と第1前駆体層22aとの間には、第1電極10および基体1が位置し、第2ランプ134と第1前駆体層22aとの間には、基板110が位置している。そのため、第1前駆体層22aに直接赤外線Lが照射されることを抑制することができる。これにより、第1前駆体層22aの第2面24からアルカリ金属元素が抜けることを抑制することができる。例えば、第1前駆体層に、直接赤外線が照射される場合は、第1前駆体層中のアルカリ金属元素が抜け、第1前駆体層と第2前駆体層との間に変質層が生成され易くなる(詳細は後述)。
【0054】
また、熱処理時において、空隙122は、上記のとおり密閉されることができる。そのため、仮に、アルカリ金属元素(例えばカリウム)が気体となって第1前駆体層22aから抜けたとしても、空隙122は、カリウム雰囲気となることができる。これにより、アルカリ金属元素が抜ける量を低減することができる。
【0055】
図6に示すように、スペーサー部材120から第1圧電体層22を離し、第1圧電体層22の第2面24に、第2前駆体層26aを形成する。第2前駆体層26aの形成方法は、第1前駆体層22aを形成する方法として、上記に例示した方法を用いることができる。
【0056】
第2前駆体層26aの形状は、例えば、層状または薄膜状である。第2前駆体層22aは、第1圧電体層22側(図6の例では下側)の第4面27と、第4面27と反対側(図6の例では上側)の第5面28と、を有する。図示の例では、第4面27は、第2面24に接している。第4面27および第5面28は、例えば、平坦な面である。
【0057】
図7に示すように、第2前駆体層26aの第5面28が、空隙122を介して、基板110の第3面112と対向するように、第2前駆体層26aをスペーサー部材120上に載置する。空隙122は、スペーサー部材120、第2前駆体層26a(第5面28)、基板110(第3面112)によって気密状態となるように、密閉されていてもよい。
【0058】
なお、本工程で用いるスペーサー部材および基板は、第1前駆体層を載置させたスペーサー部材および基板(図4参照)と同等の形状および材質を有していれば、第1前駆体層を載置させたスペーサー部材および基板と同一の部材でなくてもよい。
【0059】
図8に示すように、第2前駆体層26aを結晶化させて第2圧電体層26を形成するための第2熱処理を行う。第2熱処理の温度は、600℃以上800℃以下であり、雰囲気は、例えば、酸素雰囲気または窒素雰囲気である。
【0060】
第2熱処理は、第1熱処理と同様に、ランプアニール装置130を用いて、RTAによって行われる。熱処理時において、第1ランプ132と第2前駆体層26aとの間には、第1圧電体層22、第1電極10、および基体1が位置し、第2ランプ134と第2前駆体層26aとの間には、基板110が位置している。そのため、第2前駆体層26aに直接赤外線Lが照射されることを抑制することができる。これにより、第2前駆体層26aの第5面28からアルカリ金属元素が抜けることを抑制することができる。
【0061】
また、熱処理時において、空隙122は、上記のとおり密閉されていることができる。そのため、仮に、アルカリ金属元素(例えばカリウム)が気体となって第2前駆体層26aから抜けたとしても、空隙122は、カリウム雰囲気となることができる。これにより、アルカリ金属元素が抜ける量を低減することができる。
【0062】
なお、本工程で用いるランプアニール装置は、第1熱処理を行ったランプアニール装置(図5参照)と同等の機能を有していれば、第1熱処理を行ったランプアニール装置と同一の装置でなくてもよい。
【0063】
上記の工程によって、第1圧電体層22および第2圧電体層26からなる圧電体20を形成することができる。なお、図示はしないが、上述の、前駆体層を形成する工程−熱処理を行う工程を繰り返すことによって、3層以上の圧電体層からなる圧電体を形成することができる。
【0064】
図1に示すように、第1圧電体層22および第2圧電体層26を、所定の形状にパターニングする。パターニングは、第1圧電体層22および第2圧電体層26を、一括して行ってもよいし、各層毎に行ってもよい。
【0065】
次に、第2圧電体層26上に(第2圧電体層26の第5面28側に)第2電極30を形成する。より具体的には、第2電極30は、第2電極層(図示せず)を成膜した後、該第2電極層をパターニングすることにより形成される。第2電極層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、MOCVD法により成膜される。
【0066】
その後、必要に応じて、600℃以上800℃以下の温度で、ポストアニールを行ってもよい。これにより、圧電体20と第2電極30との界面を良好な状態にすることができ、圧電体20と第2電極30と密着性を向上させることができる。
【0067】
以上の工程により、圧電素子100を製造することができる。
【0068】
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0069】
圧電素子100の製造方法によれば、第1前駆体層22aを結晶化させるための第1熱処理において、基板110によって、ランプから出射された光L(例えば赤外光L)が、直接第1前駆体層22aの第2面24に照射されることを抑制することができる。そのため、第2面24からアルカリ金属元素(例えばカリウム)が抜けることを抑制することができる。これにより、第1圧電体層22と第2圧電体層26との界面に、変質層が生成することを抑制することができる(詳細は後述)。同様に、第2前駆体層26aを結晶化させるための第2熱処理において、基板110によって、ランプから出射された赤外光Lが、直接第2前駆体層26aの第5面28に照射されることを抑制することができる。そのため、第5面28からカリウムが抜けることを抑制することができる。その結果、信頼性の高い圧電素子100を製造することができる。
【0070】
圧電素子100の製造方法によれば、第1熱処理および第2熱処理において、空隙122は、密閉されていることができる。そのため、仮に、例えばカリウムが気体となって前駆体層22a,26aから抜けたとしても、空隙122は、カリウム雰囲気となることができる。これにより、アルカリ金属元素が抜ける量を低減することができる。
【0071】
圧電素子100の製造方法によれば、第1圧電体層22および第2圧電体層26は、BFM−BKTを主成分とすることができる。BFM−BKTは、鉛元素を含有していないため、環境に優しい圧電体層22,26を形成することができる。
【0072】
3. 実施例
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例等によってなんら限定されるものではない。
【0073】
3.1. 圧電体の作製
まず、いずれの例においても、共通の基体(白金付き)を準備した。各例の基体は、単結晶シリコン基板であり、その上にスパッタ法により白金(第1電極)を形成したものを用いた。
【0074】
3.1.1. 実施例
実施例の圧電体としては、白金上に、BFM−BKTをMOD法によって形成た。BFM−BKTの形成に用いた前駆体溶液は、2−エチルヘキサン酸ビスマス、トリエトキシ鉄、2−エチルヘキサン酸マンガン、テトラエトキシチタン、および2−エチルヘキサン酸カリウムを、溶媒n−ブタノールに混合したものであり、前駆体溶液中に含まれる各元素の組成を、化学量論組成としたものを用いた。
【0075】
上記のような前駆体溶液の塗布−乾燥・脱脂工程を2回行い、前駆体層を形成した。塗布は、スピンコート法によって行い、回転速度および時間は、最初は500rpm・10sec、次に3000rpm・30secとした。乾燥は、大気中において、150℃〜200℃で2分間行い、溶媒を除去した。脱脂は、大気中において、400℃で4分間行い、有機成分を除去した。
【0076】
次に、前駆体層の第1電極側と反対側の面を基板に向け(被処理体を裏返して)、ランプアニール装置を用いて、結晶化のための熱処理(RTA)を行った(図5参照)。熱処理は、0.5L/minの窒素フローを行いながら、赤外線を照射することにより、650℃で、2分間焼成した。これにより、圧電体層を形成した。
【0077】
以上のような、前駆体層形成工程−圧電体層形成工程を2回繰り返し、3層の圧電体層からなる圧電体を形成した。なお、2回目および3回目の前駆体層を形成する工程において、前駆体溶液の塗布−乾燥・脱脂工程は3回行った。
【0078】
3.1.2. 比較例1
比較例1としては、結晶化のための熱処理において被処理体を裏返さないこと以外は、実施例と同じ条件で圧電体を形成した。すなわち、比較例1では、結晶化のための熱処理において、赤外線が直接、前駆体層の表面に照射されることになる。
【0079】
3.1.3. 比較例2
比較例2としては、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸ビスマスとの固溶体(Bi(Fe,Mn)O−BiTiO、以下「BFM−BT」ともいう)を圧電体として形成すること以外は、比較例1と同じ条件で圧電体を形成した。すなわち、比較例2の圧電体は、アルカリ金属元素を含有していない。
【0080】
BFM−BTの形成に用いた前駆体溶液は、2−エチルヘキサン酸ビスマス、トリエトキシ鉄、2−エチルヘキサン酸マンガン、およびテトラエトキシチタンを、溶媒n−ブタノールに混合したものであり、前駆体溶液中に含まれる各元素の組成を、化学量論組成としたものを用いた。
【0081】
3.1.4. 比較例3
比較例3としては、ニオブ酸ナトリウムカリウム((K,Na)NbO、以下「KNN」ともいう)を圧電体として形成すること以外は、比較例1と同じ条件で圧電体を形成した。
【0082】
KNNの形成に用いた前駆体溶液は、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、およびニオブエトキシドを、溶媒n−ブタノールに混合したものであり、前駆体溶液中に含まれる各元素の組成を、化学量論組成としたものを用いた。
【0083】
3.2. SEM観察結果
実施例および比較例1〜3の断面を、SEMにより観察した。図9は、実施例のSEM観察結果である。図10は、比較例1のSEM観察結果である。図11は、比較例2のSEM観察結果である。図12は、比較例3のSEM観察結果である。
【0084】
図9および図10に示すように、実施例の圧電体層間の変質層の膜厚T1は、比較例1の変質層の膜厚T2に比べて、小さかった。すなわち、実施例の方が比較例1に比べて、変質層が発生しにくいといえる。つまり、結晶化のための熱処理において、前駆体層の第1電極側と反対側の面を基板に向けることにより(被処理体を裏返すことにより)、変質層の生成を抑制することができるといえる。
【0085】
図11に示すように、アルカリ金属元素を含有しないBFM−BTでは、被処理体を裏返えさなくても(結晶化のための熱処理において、赤外線が直接、前駆体層の表面に照射されても)、変質層は生成しなかった。また、図12に示すように、アルカリ金属元素を含有するKNNでは、変質層が生成した。
【0086】
以上より、変質層は、アルカリ金属元素の有無によって生成するものであり、結晶化のための熱処理において、前駆体層の第1電極側と反対側の面を基板に向けることにより、変質層の生成を抑制できる(変質層が生成しにくくできる)ことがわかった。比較例1および3では、熱処理において、赤外線が前駆体層の表面に直接照射され、アルカリ金属元素が前駆体層の表面から抜けることにより、実施例に比べて、変質層が生成しやすいと推察される。
【0087】
3.3. 金属顕微鏡観察結果
実施例および比較例1の圧電体の表面を、金属顕微鏡により観察した。図13は、実施例の金属顕微鏡観察結果である。図14は、比較例1の金属顕微鏡観察結果である。
【0088】
図13および図14に示すように、比較例1の圧電体の表面にはクラックが発生したのに対し、実施例の圧電体の表面にはクラックは発生しなかった。すなわち、結晶化のための熱処理において、前駆体層の第1電極側と反対側の面を基板に向けることにより(被処理体を裏返すことにより)、クラックの発生を抑制できることがわかった。
【0089】
3.4. I−V特性評価結果
実施例および比較例1の圧電体上に、スパッタ法により白金(第2電極)を形成し、第1電極および第2電極間に電圧を印加して、I−V(電流密度−電圧)特性を評価した。図15は、実施例および比較例1のI−V特性評価結果である。
【0090】
比較例1では、マイナス電圧を印加したところ、ショートしてしまい、測定することができなかった。したがって、実施例は、比較例1に対して、耐圧が大きいことがわかった。
【0091】
4. 液体噴射ヘッド
次に、本実施形態にかかる圧電素子(圧電アクチュエーター)の用途の一例として、これらを有する液体噴射ヘッド600について、図面を参照しながら説明する。図16は、液体噴射ヘッド600の要部を模式的に示す断面図である。図17は、液体噴射ヘッド600の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。
【0092】
液体噴射ヘッド600は、本発明に係る圧電素子(圧電アクチュエーター)を有する。以下では、基板1(上部に振動板1aを含む構造体)の上に圧電素子100が形成され、圧電素子100と振動板1aとが圧電アクチュエーター102を構成している液体噴射ヘッド600を例示して説明する。
【0093】
液体噴射ヘッド600は、図16および図17に示すように、ノズル板610と、圧力室基板620と、圧電素子100と、を含む。さらに、液体噴射ヘッド600は、図17に示すように、筐体630を有することができる。なお、図17では、圧電素子100を簡略化して図示している。
【0094】
ノズル板610は、図16および図17に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクが吐出される。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板610の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
【0095】
ノズル孔612は、ノズル板610を、例えばフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成される。
【0096】
圧力室基板620は、ノズル板610上(図17の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と振動板1aとの間の空間を区画することにより、図17に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体の流路(例えば、マニホールドということもできる)であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。
【0097】
リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板1aに設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、振動板1aの変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612からインク等が吐出される。
【0098】
リザーバー624、供給口626、および圧力室622は、圧力室基板620を、例えばフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によりパターニングすることで形成される。
【0099】
圧電素子100は、圧力室基板620上(図17の例では下)に設けられている。圧電素子100は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板1aは、圧電体30の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
【0100】
筐体630は、図17に示すように、ノズル板610、圧力室基板620、および圧電素子100を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
【0101】
液体噴射ヘッド600によれば、信頼性の高い圧電素子100を含む。したがって、液体噴射ヘッド600は、高い信頼性を有することができる。
【0102】
なお、ここでは、液体噴射ヘッド600がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本実施形態の液体噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
【0103】
なお、上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0104】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0105】
1 基体、1a 振動板、10 第1電極、20 圧電体、22 第1圧電体層、
22a 第1前駆体層、23 第1面、24 第2面、26 第2圧電体層、
26a 第2前駆体層、27 第4面、28 第5面、30 第2電極、
100 圧電素子、110 基板、112 第3表面、120 スペーサー部材、
122 空隙、130 ランプアニール装置、132 第1ランプ、
134 第2ランプ、600 液体噴射ヘッド、610 ノズル板、612 ノズル孔、
620 圧力室基板、622 圧力室、624 リザーバー、626 供給口、
628 貫通孔、630 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極に第1前駆体層を形成する工程と、
前記第1電極および前記第1前駆体層を、スペーサー部材を介して基板に載置する工程であって、前記第1前駆体層の、前記第1電極側の第1面と反対側の第2面が、前記スペーサー部材によって区画される空隙を介して、前記基板の第3面と対向するように、載置する工程と、
前記基板に載置された前記第1前駆体層を結晶化させて、第1圧電体層を形成するための第1熱処理を行う工程と、
前記スペーサー部材から、前記第1圧電体層を離し、前記第1圧電体層の前記第2面側に第2前駆体層を形成する工程と、
前記第1電極、前記第1圧電体層、および前記第2前駆体層を、前記スペーサー部材を介して前記基板に載置する工程であって、前記第2前駆体層の、前記第1圧電体層側の第4面と反対側の第5面が、前記空隙を介して前記第3面と対向するように、載置する工程と、
前記基板に載置された前記第2前駆体層を結晶化させて、第2圧電体層を形成するための第2熱処理を行う工程と、
前記スペーサー部材から、前記第2圧電体層を離し、前記第2圧電体層の前記第5面側に第2電極を形成する工程と、
を含み、
前記第1前駆体層および前記第2前駆体層は、アルカリ金属元素を含有している、圧電素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1熱処理において、前記空隙は、前記スペーサー部材、前記第1前駆体層、および前記基板によって密閉され、
前記第2熱処理において、前記空隙は、前記スペーサー部材、前記第2前駆体層、および前記基板によって密閉される、圧電素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1熱処理および前記第2熱処理は、第1ランプおよび第2ランプを有するランプアニール装置を用いたRTA(Rapid Thermal Annealing)処理によって行われ、
前記第1熱処理において、前記第1ランプと前記第1前駆体層との間に前記第1電極が位置し、前記第2ランプと前記第1前駆体層との間に前記基板が位置し、
前記第2熱処理において、前記第1ランプと前記第2前駆体層との間に前記第1電極が位置し、前記第2ランプと前記第2前駆体層との間に前記基板が位置する、圧電素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記アルカリ金属元素は、カリウム、またはナトリウムである、圧電素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記第1圧電体層および前記第2圧電体層は、鉄酸マンガン酸ビスマスとチタン酸カリウムビスマスとの固溶体を主成分とする、圧電素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法を含む、液体噴射ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−33683(P2012−33683A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171621(P2010−171621)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】