圧電素子駆動式制御弁
【課題】 圧電アクチュエータ16が縮む時に圧電素子に掛かる引っ張り力を緩和し、高温環境下に於いても安定した流量制御を行えるようにする。
【解決手段】 弁座8dを有するボディ8と、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、ボディ8側に昇降自在に支持されたアクチュエータボックス13と、ボディ8側に固定された割りベース11と、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢して金属ダイヤフラム9を弁座8dへ当座させる皿バネ15と、アクチュエータボックス13内に収容され、電圧の印加により上方へ伸長してアクチュエータボックス13を皿バネ15の弾性力に抗して押し上げる圧電アクチュエータ16とから成る圧電素子駆動式制御弁1に於いて、割りベース11と圧電アクチュエータ16との間に、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20を介設する。
【解決手段】 弁座8dを有するボディ8と、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、ボディ8側に昇降自在に支持されたアクチュエータボックス13と、ボディ8側に固定された割りベース11と、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢して金属ダイヤフラム9を弁座8dへ当座させる皿バネ15と、アクチュエータボックス13内に収容され、電圧の印加により上方へ伸長してアクチュエータボックス13を皿バネ15の弾性力に抗して押し上げる圧電アクチュエータ16とから成る圧電素子駆動式制御弁1に於いて、割りベース11と圧電アクチュエータ16との間に、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20を介設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体製造設備等のガス制御ラインに介設される圧力式流量制御装置の制御弁やマスフローコントローラの流量制御部の制御弁として用いられる圧電素子駆動式制御弁の改良に係り、特に圧電アクチュエータが縮む時に圧電素子に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子の破壊を防止すると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにした圧電素子駆動式制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造設備や化学品製造設備等に於いては、マスフローコントローラに替えて圧力式流量制御装置が広く利用されている。この圧力式流量制御装置には、耐食性が高いこと、発塵が少ないこと、ガスの置換性が良いこと、開閉速度が速いこと等の点から所謂金属ダイヤフラム型制御弁が多く使用されている。又、圧力式流量制御装置の駆動装置としては、推力が大きくて応答性やコントロール特性に優れている圧電素子駆動式の駆動装置(圧電アクチュエータ)が多く使用されている。
【0003】
従来、駆動装置に圧電アクチュエータ(ピエゾポジショナ)を用いた金属ダイヤフラム型制御弁としては、例えば特開2003−120832号公報(特許文献1)等に開示された構造のものが知られている。
【0004】
即ち、前記制御弁30は、図11に示す如く、弁室31a及び弁座31b等を形成したボディ31と、弁室31a内に配設され、弁座31bに当離座する金属ダイヤフラム32と、金属ダイヤフラム32の外周縁部をボディ31側へ気密状に押圧する押えアダプター33と、押えアダプター33をボディ31側へ押圧する半割り構造の割りベース34と、押えアダプター33及び割りベース34をボディ31側へ固定するベース押え35と、ベース押え35に昇降自在に支持されたアクチュエータボックス36と、アクチュエータボックス36の下端に挿着され、金属ダイヤフラム32に当接するダイヤフラム押え37と、割りベース34とアクチュエータボックス36との間に介設され、アクチュエータボックス36を下方へ押圧附勢する皿バネ38と、アクチュエータボックス36内に収容され、下端側がボール受け39を介して割りベース34に支持された圧電アクチュエータ40(ピエゾポジショナ)と、アクチュエータボックス36の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ40の上端側をベアリング受け41及びベアリング42を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット43等から成り、電圧の印加によって圧電アクチュエータ40が伸長すると、アクチュエータボックス36がベース押え35に支持された状態で皿バネ38の弾性力に抗して上昇し、これに伴って金属ダイヤフラム32がその弾性力により弁座31bから離座して開弁状態となり、又、圧電アクチュエータ40への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ40が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、アクチュエータボックス36が皿バネ38の弾性力により押し下げられ、これに伴って金属ダイヤフラム32がダイヤフラム押え37により下方へ押圧されて弁座31bへ当座して閉弁状態となるノーマルクローズ型の圧電素子駆動式制御弁に構成されている。
【0005】
この圧電素子駆動式制御弁30は、各部材の軸心の一致を自動的に図ることができ、組み付け精度が大幅に向上して組み付け精度のバラツキやヒステリシス現象が減少する等の利点を有する。
【0006】
ところで、前記圧電素子駆動式制御弁30に用いる圧電アクチュエータ40(ピエゾポジショナ)には、図12に示す如く、金属製のケーシング40a内に積層型の圧電素子40bを密封状に収容した積層型の圧電アクチュエータ40が使用されている。この積層型の圧電アクチュエータ40は、圧電素子40bの伸縮に伴ってケーシング40aの先端部に設けた半球状の変位部40cが圧電アクチュエータ40の軸心に沿って往復移動するようになっている。
【0007】
ところが、前記積層型の圧電アクチュエータ40は、伸縮を行う際に変位部40cよりも圧電素子40bの伸縮スピードが速いため、縮む際に圧電素子40b間に引っ張り力が掛かって圧電素子40b自体が破壊されてしまい、製品寿命を短くしてしまうという問題がある。そのため、積層型の圧電アクチュエータ40を実際に動作させるためには、引っ張り力に弱い圧電素子40bに圧縮方向の予圧荷重を与えておき、圧電素子40b間に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子40bの破壊を防止する構造にする必要がある。
【0008】
図11に示す従来の圧電素子駆動式制御弁30に於いては、アクチュエータボックス36を皿バネ38の弾性力により下方へ押圧附勢しているため、圧電アクチュエータ40には皿バネ38の弾性力により予圧が掛けられた状態になっている。
しかし、この圧電素子駆動式制御弁30に使用されている皿バネ38は、アクチュエータボックス36を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え37により金属ダイヤフラム32を弁座31bへ当座させるためのものであるため、あまり強い弾性力を有する皿バネ38を使用した場合には、金属ダイヤフラム32や弁座31bが損傷してしまうことになる。そのため、圧電素子駆動式制御弁30の皿バネ38には、あまり強い弾性力を有する皿バネ38を使用することができない。その結果、圧電アクチュエータ40にも、あまり大きな予圧荷重を掛けることができず、圧電素子40bに大きな引っ張り応力が作用したときに圧電素子40bが破壊されてしまうと云う問題があった。
【0009】
又、従来の圧電素子駆動式制御弁30に於いては、当該制御弁30を温度が100℃以上のような高温環境下に於いて使用する場合には、圧電アクチュエータ40を収容するアクチュエータボックス36の熱膨張によって、圧電アクチュエータ40の上端部とアクチュエータボックス36の上端部に螺着した調整用袋ナット43との間に隙間が発生し、圧電アクチュエータ40の伸長時にその発生力がアクチュエータボックス36へ確実且つ良好に伝わらず、高精度な流量制御が困難になると云う問題があった。特に、圧電アクチュエータ40の変位量が極僅かであるため、制御弁30を構成する各部材(アクチュエータボックス36等)の僅かの熱膨張でも、その流量制御特性に大きな影響を与えることになる。
この問題(アクチュエータボックス36の熱膨張による隙間の発生)を解決するためには、制御弁30自体を予め圧電アクチュエータ40に外部から200N程度の圧縮力を加えられるような構造の制御弁とすることが好ましいが、このような制御弁は未だ開発されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2003−120832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、圧電アクチュエータが縮む時に圧電素子に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子の破壊を防止すると共に、高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにした圧電素子駆動式制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、上方が開放された弁室の底面に弁座を形成したボディと、弁室内に配設され、下方への押圧により弁座へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座から離座する金属ダイヤフラムと、ボディ側に昇降自在に支持され、下端に金属ダイヤフラムの上面に当接するダイヤフラム押えを設けた有底筒状のアクチュエータボックスと、ボディ側に固定され、アクチュエータボックスの下端部周壁に形成した縦長のガイド穴に挿入されてアクチュエータボックスの底壁上面に対向する上壁を有する割りベースと、アクチュエータボックスの底壁と割りベースの上壁との間に介設され、アクチュエータボックスを下方へ押圧附勢してダイヤフラム押えを介して金属ダイヤフラムを弁座へ当座させる皿バネと、アクチュエータボックス内に収容され、上端がアクチュエータボックスの上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端が割りベースの上壁側に支持された圧電アクチュエータとから成り、圧電アクチュエータの圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータが上方へ伸長してアクチュエータボックスを皿バネの弾性力に抗して上方へ押し上げ、金属ダイヤフラムがその弾性力により弁座から離座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記割りベースの上壁と圧電アクチュエータの下端との間に、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を介設したことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、上方が開放された弁室の底面に弁座を形成したボディと、弁室内に配設され、下方への押圧により弁座へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座から離座する金属ダイヤフラムと、弁室の上方に配設され、下端部がボディ側に固定された筒状のアクチュエータボックスと、アクチュエータボックスの下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラムの上面に当接するダイヤフラム押えを設けたステムと、アクチュエータボックス内に収容され、上端がアクチュエータボックスの上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端がステム側に支持される圧電アクチュエータと、ステムの上端と圧電アクチュエータの下端との間に介設され、金属ダイヤフラムが弁座へ当座したときに圧電アクチュエータの伸長を吸収して弁座及び金属ダイヤフラムの弁座に接触する部分から成るシート部へ所定の押圧力を印加する緩衝用皿バネとから成り、圧電アクチュエータの圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータが下方へ伸長して緩衝用皿バネを介してステム及びダイヤフラム押えを押し下げ、これにより金属ダイヤフラムが弁座へ当座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記圧電アクチュエータの下端と緩衝用皿バネとの間に、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を介設したことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が割りベースの上壁に当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔部とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が割りベースの上壁に当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成ることに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、請求項2の発明に於いて、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネに当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が緩衝用皿バネに当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成ることに特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を備えているため、圧電アクチュエータが縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、引っ張り力による圧電アクチュエータの圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータの延命化を図れると共に、圧電アクチュエータの信頼性を確保することができる。
又、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を備えているため、例えば、当該制御弁を高温環境下に於いて使用する場合に、圧電アクチュエータを収容するアクチュエータボックスが熱膨張により伸びても、予圧機構を介して圧電アクチュエータの圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子の伸長時にその発生力をアクチュエータボックスへ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
更に、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が割りベースの上壁又は緩衝用皿バネに当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔部とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が割りベースの上壁又は緩衝用皿バネに当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成るため、予圧用の皿バネの枚数を変えることにより圧電アクチュエータの圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができる。然も、予圧機構の組み立て時には、割りベースの上壁又は緩衝用皿バネと圧電アクチュエータの下端面との間に予圧パーツ及び予圧用の皿バネを入れるだけで良く、組み立ても比較的簡単且つ容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁1を圧力式流量制御装置用の制御弁として用いたものであり、前記圧力式流量制御装置は、圧電素子駆動式制御弁1と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に接続された入口側ブロック2と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に接続された出口側ブロック3と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に設けた流量制御用のオリフィス4と、オリフィス4の上流側に設けられてオリフィス4の上流側圧力を検出する圧力センサー5と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に設けたガスケットフィルター6と、圧電素子駆動式制御弁1を制御する制御回路7等から構成されており、オリフィス4の上流側圧力によりオリフィス通過流量を演算しながら圧電素子駆動式制御弁1の開閉によりオリフィス通過流量を制御するようにしたものである。
【0017】
前記圧電素子駆動式制御弁1は、図2に示す如く、弁室8a′及び弁座8d等を形成したボディ8と、弁室8a′内に配設され、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧する押えアダプター10と、押えアダプター10をボディ8側へ押圧する割りベース11と、押えアダプター10及び割りベース11をボディ8側へ固定するベース押え12と、ベース押え12に昇降自在に支持された有底筒状のアクチュエータボックス13と、アクチュエータボックス13の下端に挿着され、金属ダイヤフラム9に当接するダイヤフラム押え14と、割りベース11とアクチュエータボックス13との間に介設され、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢する皿バネ15と、アクチュエータボックス13内に収容され、下端側が予圧機構20の予圧パーツ21を介して割りベース11に支持された圧電アクチュエータ16(ピエゾポジショナ)と、アクチュエータボックス13の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ16の上端側をベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット19と、割りベース11の上壁11bと圧電アクチュエータ16の下端との間に介設され、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20等から成り、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止できると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにしたものである。この例では、圧電素子駆動式制御弁1は、ノーマルクローズ型の制御弁に構成されている。
【0018】
具体的には、ボディ8は、図1及び図2に示す如く、ステンレス材によりブロック状に形成されており、上方が開放された弁室8a′を形成する凹部8aと、凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bと、弁室8a′に連通する入口通路8cと、弁室8a′の底面に形成した環状の弁座8dと、弁室8a′に連通する出口通路8eと、圧力センサー5が挿着されるセンサー挿着穴8fと、ガスケットフィルター6が挿着されるフィルター挿着孔8gと、オリフィス4が挿着されるオリフィス挿着孔8h等を備えている。
このボディ8の上流側には、ボディ8の入口通路8cに連通する導入通路2aと、導入通路2aの出口側に形成されたフィルター挿着孔2bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート2cとを夫々備えたステンレス材製の入口側ブロック2が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。又、ボディ8の下流側には、ボディ8の出口通路8eに連通する排出通路3aと、排出通路3aの入口側に形成されたオリフィス挿着孔3bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート3cとを夫々備えたステンレ材製の出口側ブロック3が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。
【0019】
金属ダイヤフラム9は、図1及び図2に示す如く、コバルト、ニッケルを基ベースにタングステン、モリブデン、チタン、クローム等を加えた耐久性、耐食性、耐熱性に優れた高弾性合金(例えば、スプロン100)製の極薄板材により中央部が上方へ膨出した逆皿形に形成されている。
この金属ダイヤフラム9は、弁座8dと対向するように凹部8a内へ配置されてその外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定されており、下方への押圧により弁座8dへ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座8dから離座するようになっている。
尚、金属ダイヤフラム9の材質は、ステンレス鋼やインコネル、その他の合金鋼であっても良く、又、複数枚の金属ダイヤフラム9を積層した金属ダイヤフラム9であっても良い。
【0020】
押えアダプター10は、図1及び図2に示す如く、ステンレス材により環状に形成されており、ボディ8の凹部8a内に挿入されて金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧固定するものである。
【0021】
割りベース11は、図1、図2、図4及び図5に示す如く、半割り状の一対の割りベース片11′から成り、各割りベース片11′をアクチュエータボックス13の下端部に両側から対向状に組み付け、この状態で各割りベース片11′とアクチュエータボックス13の下端部とをボディ8の凹部8a内に挿入し、当該凹部8a内にベース押え12の下端部を捩じ込むことによって、アクチュエータボックス13に保持固定されている。
割りベース11を構成する各割りベース片11′は、短い円筒部11aの上端にアクチュエータボックス13の下端部周壁に形成したガイド穴13cに挿入されてアクチュエータボックス13の底壁13a上面に対向する上壁11bを、又、円筒部11aの下端にボディ8の凹部8a内に挿入される鍔部11cを夫々形成したものを中央部で二つ割することにより形成されている。
そして、割りベース11の上壁11bとアクチュエータボックス13の底壁13aとの間には、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え14を介して金属ダイヤフラム9の中央部分を弁座8dへ当座させる複数枚の皿バネ15が介設されている。
【0022】
ベース押え12は、図1及び図2示す如く、ステンレス材により筒状に形成されており、下端部外周面には、ボディ8の凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bに螺合する雄ネジ12aが形成されていると共に、内周面には、複数本のOリング23が一定間隔毎に嵌着されている。
このベース押え12は、ボディ8の凹部8a内に起立姿勢で螺着固定されており、アクチュエータボックス13をボディ8側へ昇降自在に支持すると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部、押えアダプター10及び割りベース11の鍔部11cをボディ8側へ押圧固定するためのものである。
【0023】
アクチュエータボックス13は、図2、図6及び図7に示す如く、熱膨張率の小さなインバー材により有底筒状に形成されており、その下半部側がベース押え12にOリング23を介して昇降自在に支持されている。
このアクチュエータボックス13は、その内部空間に皿バネ15、圧電アクチュエータ16及び予圧機構20を収容すると共に、金属ダイヤフラム9の中央部を下方へ押し下げる作用をするものであり、当該アクチュエータボックス13の底壁13a下面には、金属ダイヤフラム9の上面側中央部に当接する合成樹脂製のダイヤフラム押え14が挿着される下向きの挿着穴13bが形成されている。
又、アクチュエータボックス13の下端部周壁には、割りベース11の上壁11bが挿入される縦長のガイド穴13cが対向状に形成されていると共に、アクチュエータボックス13の下端部内周面の割りベース11の上壁11bよりも高い位置には、予圧機構20の予圧用の皿バネ22を支持載置するための段部13dが形成されている。
更に、アクチュエータボックス13の上端部外周面には、調整用袋ナット19及びロックナット24が上下方向へ移動調整自在に螺着される雄ネジ13eが形成されている。
【0024】
圧電アクチュエータ16(ピエゾアクチュエータ)は、金属製のケーシング内に積層型の圧電素子を密封状に収容して成り、圧電素子の伸縮に伴ってケーシングの先端部に設けた半球状の変位部16aが圧電アクチュエータ16の軸心に沿って往復移動する積層型の圧電アクチュエータ16に構成されている。
この圧電アクチュエータ16は、図1及び図2に示す如く、その半球状の変位部16aが下を向く状態でアクチュエータボックス13内に収容されており、その下端が割りベース11の上壁11bに予圧機構20の予圧パーツ21を介して支持されていると共に、その上端がアクチュエータボックス13の上端部に上下方向へ移動調整自在に螺着した調整用袋ナット19にベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持されている
従って、この圧電アクチュエータ16は、電圧の印加により上方へ伸長してアクチュエータボックス13を皿バネ15の弾性力に抗して上方へ押し上げるようになっている。
【0025】
予圧機構20は、割りベース11の上壁11bと圧電アクチュエータ16の下端との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸縮に拘わらず圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加え、圧電素子が縮む際に圧電素子間に掛かる引っ張り力を緩和すると共に、アクチュエータボックス13が熱膨張により伸びても、圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができるように構成されている。
【0026】
即ち、予圧機構20は、図1及び図2に示す如く、アクチュエータボックス13内の圧電アクチュエータ16の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ16の下端面に設けた変位部16aに当接すると共に、下端面が割りベース11の上壁11bに当接可能な鍔21a付の軸状の予圧パーツ21と、予圧パーツ21の鍔21aとアクチュエータボックス13の下端部内周面に形成した段部13dとの間に介設され、予圧パーツ21の下端面が割りベース11の上壁11bに当接したときに予圧パーツ21を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ16の圧電素子を常時加圧する複数枚の予圧用の皿バネ22とから成り、予圧用の皿バネ22の枚数を変えることによって、圧電アクチュエータ16の圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができるように構成されている。
又、予圧パーツ21は、ステンレス材により形成されており、その上端面中心部には、圧電アクチュエータ16の半球状の変位部16aが支持載置される円錐状の受け溝21bが形成されている。
【0027】
上述した圧電素子駆動式制御弁1の組み立てに際しては、先ず、ボディ8の凹部8a内に金属ダイヤフラム9、押えアダプター10、ダイヤフラム押え14を挿着したアクチュエータボックス13、皿バネ15、割りベース11の順に組み付け、ベース押え12を介してアクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、ベース押え12の下端部をボディ8の凹部8aの内周面へ捩じ込む。これにより、押えアダプター10及び割りベース11がボディ8側へ保持固定されると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定される。又、アクチュエータボックス13がベース押え12にOリング23を介して昇降自在に支持される。
【0028】
次に、アクチュエータボックス13内に予圧機構20の予圧用の皿バネ22、予圧機構20の予圧パーツ21、圧電アクチュエータ16を順次収容する。このとき、予圧パーツ21は、図3に示す如く、アクチュエータボックス13の下端部内周面の段部13dに支持載置された予圧用の皿バネ22に支持されており、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0029】
最後に、圧電アクチュエータ16の上端部にベアリング受け17及びベアリング18を装着すると共に、アクチュエータボックス13の上端部外周面に調整用袋ナット19及びロックナット24を螺着し、調整用袋ナット19の締め込み量を調整して予圧パーツ21の下端面を割りベース11の上壁11bの上面に当接させると共に、圧電アクチュエータ16による金属ダイヤフラム9の作動ストロークを設定値に調整する。このとき、予圧用の皿バネ22が撓み、圧電アクチュエータ16には常時圧縮力が掛かることになる。
【0030】
前記圧電素子駆動式制御弁1に於いては、バネ定数が215N/mm、最大撓み量が2.4mmの予圧用の皿バネ22を12枚使用し、金属ダイヤフラム9のストローク調整前には、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間に1.4mmの隙間を設けるようにしているため、金属ダイヤフラム9のストロークの調整後(予圧パーツ21の下端面が割りベース11の上壁11bの上面に当接した後)には、予圧用の皿バネ22が1.4mm撓み、圧電アクチュエータ16には約300N(215N/mm×1.4mm)の予圧が掛かることになる。
又、この圧電素子駆動式制御弁1は、組み立てる際に押えアダプター10、割りベース11、アクチュエータボックス13、ベース押え12、予圧機構20の予圧パーツ21及び予圧用の皿バネ22、圧電アクチュエータ16等は全て所定の位置に整然と自動的に固定されると共に、各部材の軸心は極めて高精度に一致されることになる。その結果、圧電素子駆動式制御弁1は、組み付け精度が大幅に向上して組み付け精度のバラツキやヒステリシス現象が減少するだけでなく、作動の安定性及び応答性の向上が可能となる。
【0031】
而して、前記圧電素子駆動式制御弁1によれば、制御回路(図示省略)からコネクター25を介して圧電アクチュエータ16に駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ16は印加電圧に応じて設定値だけ上方へ伸長する。
これにより、大きな押し上げ力がベアリング受け17、ベアリング18及び調整用袋ナット19を介してアクチュエータボックス13に働き、当該アクチュエータボックス13がベース押え12にその軸心を保持された状態で皿バネ15の弾性力に抗して上記設定値だけ上昇する。その結果、金属ダイヤフラム9がその弾性力によって弁座8dから離座し、圧電素子駆動式制御弁1は開弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、例えば、圧電素子駆動式制御弁1を高温環境下に於いて使用した場合に、圧電アクチュエータ16を収容するアクチュエータボックス13等が熱膨張により伸びても、圧電アクチュエータ16の上端部と調整用袋ナット19との間に隙間が生じることがなく、予圧機構20を介して圧電アクチュエータ16に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の伸長時にその発生力をアクチュエータボックス13へ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
【0032】
一方、圧電アクチュエータ16への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ16が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、皿バネ15の弾性力によりアクチュエータボックス13が押し下げられ、アクチュエータボックス13の下端に設けたダイヤフラム押え14により金属ダイヤフラム9の中央部分が弁座8d側へ押し下げられて弁座8dへ当座し、圧電素子駆動式制御弁1は閉弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16が縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構20の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータ16の延命化を図れると共に、圧電アクチュエータ16の信頼性を確保することができる。
【0033】
図8は予圧機構20を組み込んだ圧電素子駆動式制御弁1のアクチュエータボックス13の変位量を確認するため、圧電素子駆動式制御弁1に最大変位量が96μm以上(150V印加時)、ヒステリシスが15%以内の圧電アクチュエータ16を使用し、当該圧電アクチュエータ16にピエゾドライバ(図示省略)により0〜140V(10V毎)の電圧を印加し、アクチュエータボックス13の変位量をデプスゲージ(図示省略)により測定したアクチュエータボックス13の電圧と変位の関係をグラフ化したものである。
図8のグラフからも明らかなように、圧電アクチュエータ16の特性は十分に確保できていることが確認された。
【0034】
図9は本発明の第2の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁1を圧力式流量制御装置用の制御弁として用いたものであり、前記圧力式流量制御装置は、圧電素子駆動式制御弁1と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に接続された入口側ブロック2と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に接続された出口側ブロック3と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に設けた流量制御用のオリフィス4と、オリフィス4の上流側に設けられてオリフィス4の上流側圧力を検出する圧力センサー5と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に設けたガスケットフィルター6と、圧電素子駆動式制御弁1を制御する制御回路7等から構成されており、オリフィス4の上流側圧力によりオリフィス通過流量を演算しながら圧電素子駆動式制御弁1の開閉によりオリフィス通過流量を制御するようにしたものである。
【0035】
前記圧電素子駆動式制御弁1は、図10に示す如く、弁室8a′及び弁座8d等を形成したボディ8と、弁室8a′内に配設され、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧する押えアダプター10と、下端部がボディ8側へ固定され、押えアダプター10をボディ8側へ押圧する筒状のアクチュエータボックス13と、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13の下端部をボディ8側へ固定してアクチュエータボックス13を支持するベース押え12と、アクチュエータボックス13の下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラム9の上面に当接するダイヤフラム押え14を設けたステム26と、アクチュエータボックス13内に収容された圧電アクチュエータ16(ピエゾポジショナ)と、ステム26と圧電アクチュエータ16との間に介設され、金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座したときに圧電アクチュエータ16の伸長を吸収する緩衝用皿バネ27と、アクチュエータボックス13の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ16の上端側をベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット19と、圧電アクチュエータ16の下端と緩衝用皿バネ27との間に介設され、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20等から成り、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止できると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにしたものである。この例では、圧電素子駆動式制御弁1は、ノーマルオープン型の制御弁に構成されている。
【0036】
具体的には、ボディ8は、図9及び図10に示す如く、ステンレス材によりブロック状に形成されており、上方が開放された弁室8a′を形成する凹部8aと、凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bと、弁室8a′に連通する入口通路8cと、弁室8a′の底面に形成した環状の弁座8dと、弁室8a′に連通する出口通路8eと、圧力センサー5が挿着されるセンサー挿着穴8fと、ガスケットフィルター6が挿着されるフィルター挿着孔8gと、オリフィス4が挿着されるオリフィス挿着孔8h等を備えている。
このボディ8の上流側には、ボディ8の入口通路8cに連通する導入通路2aと、導入通路2aの出口側に形成されたフィルター挿着孔2bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート2cとを夫々備えたステンレス材製の入口側ブロック2が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。又、ボディ8の下流側には、ボディ8の出口通路8eに連通する排出通路3aと、排出通路3aの入口側に形成されたオリフィス挿着孔3bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート3cとを夫々備えたステンレ材製の出口側ブロック3が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。
【0037】
金属ダイヤフラム9は、図9及び図10に示す如く、コバルト、ニッケルを基ベースにタングステン、モリブデン、チタン、クローム等を加えた耐久性、耐食性、耐熱性に優れた高弾性合金(例えば、スプロン100)製の極薄板材により中央部が上方へ膨出した逆皿形に形成されている。
この金属ダイヤフラム9は、弁座8dと対向するように凹部8a内へ配置されてその外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定されており、下方への押圧により弁座8dへ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座8dから離座するようになっている。
尚、金属ダイヤフラム9の材質は、ステンレス鋼やインコネル、その他の合金鋼であっても良く、又、複数枚の金属ダイヤフラム9を積層した金属ダイヤフラム9であっても良い。
【0038】
押えアダプター10は、図9及び図10に示す如く、ステンレス材により環状に形成されており、ボディ8の凹部8a内に挿入されて金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧固定するものである。
【0039】
アクチュエータボックス13は、図9及び図10に示す如く、熱膨張率の小さなインバー材により筒状に形成されており、アクチュエータボックス13の下端部外周面には、ボディ8の凹部8aに挿入されてベース押え12により下方へ押圧される外側段部13fが形成されている。
このアクチュエータボックス13は、その内部空間にステム26、圧電アクチュエータ16、緩衝用皿バネ27及び予圧機構21を収容するものであり、当該アクチュエータボックス13の下端部内周面には、予圧機構20の予圧用の皿バネ22を支持載置するための段部13dが形成されている。
又、アクチュエータボックス13の上端部外周面には、調整用袋ナット19及びロックナット24が上下方向へ移動調整自在に螺着される雄ネジ13eが形成されている。
【0040】
ベース押え12は、図9及び図10示す如く、ステンレス材により筒状に形成されており、下端部外周面には、ボディ8の凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bに螺合する雄ネジ12aが形成されていると共に、内周面には、複数本のOリング23が一定間隔毎に嵌着されている。
このベース押え12は、ボディ8の凹部8a内に起立姿勢で螺着固定されており、アクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13の外側段部13fをボディ8側へ押圧固定するためのものである。
【0041】
ステム26は、図9及び図10示す如く、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により段付きの軸状に形成されており、アクチュエータボックス13の下端部に昇降自在に挿入されている。
このステム26の下端には、金属ダイヤフラム9の上面側中央部に当接する合成樹脂製のダイヤフラム押え14が挿着されている。
【0042】
圧電アクチュエータ16(ピエゾアクチュエータ)は、金属製のケーシング内に積層型の圧電素子を密封状に収容して成り、圧電素子の伸縮に伴ってケーシングの先端部に設けた半球状の変位部16aが圧電アクチュエータ16の軸心に沿って往復移動する積層型の圧電アクチュエータ16に構成されている。
この圧電アクチュエータ16は、図9及び図10に示す如く、その半球状の変位部16aが下を向く状態でアクチュエータボックス13内に収容されており、その上端がアクチュエータボックス13の上端部に上下方向へ移動調整自在に螺着した調整用袋ナット19にベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持されていると共に、その下端が予圧機構20及び緩衝用皿バネ27を介してステム26側に支持された格好になっている。
又、この圧電アクチュエータ16は、電圧の印加により下方へ伸長して予圧機構20及び緩衝用皿バネ27を介してステム26を下方へ押し下げるようになっている。
【0043】
緩衝用皿バネ27は、ステム26の上端と圧電アクチュエータ16の下端との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸長によりステム26が押し下げられて金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座したときに圧電アクチュエータ16の伸長を吸収すると共に、圧電素子駆動式制御弁1のシート部(弁座8d及び金属ダイヤフラム9の弁座8dに接触する部分から成る)へ所定の押圧力を印加するものである。この例では、緩衝用皿バネ27は、ステム26の上面に複数枚積層状に支持載置されている。
【0044】
予圧機構20は、圧電アクチュエータ16の下端と緩衝用皿バネ27との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸縮に拘わらず圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加え、圧電素子が縮む際に圧電素子間に掛かる引っ張り力を緩和すると共に、アクチュエータボックス13が熱膨張により伸びても、圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができるように構成されている。
【0045】
即ち、予圧機構20は、図9及び図10に示す如く、アクチュエータボックス13内の圧電アクチュエータ16の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ16の下端面に設けた変位部16aに当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネ27に当接可能な鍔21a付の軸状の予圧パーツ21と、予圧パーツ21の鍔21aとアクチュエータボックス13の下端部内周面に形成した段部13dとの間に介設され、予圧パーツ21の下端面が緩衝用皿バネ27に当接したときに予圧パーツ21を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ16の圧電素子を常時加圧する複数枚の予圧用の皿バネ22とから成り、予圧用の皿バネ22の枚数を変えることによって、圧電アクチュエータ16の圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができるように構成されている。
又、予圧パーツ21は、ステンレス材により形成されており、その上端面中心部には、圧電アクチュエータ16の半球状の変位部16aが支持載置される円錐状の受け溝21bが形成されている。
【0046】
上述した図9及び図10に示す圧電素子駆動式制御弁1の組み立てに際しては、先ず、ボディ8の凹部8a内に金属ダイヤフラム9、押えアダプター10、ステム26及び緩衝用皿バネ27を挿入したアクチュエータボックス13の順に組み付け、ベース押え12を介してアクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、ベース押え12の下端部をボディ8の凹部8aの内周面へ捩じ込む。これにより、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13がボディ8側へ保持固定されると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定される。
【0047】
次に、アクチュエータボックス13内に予圧機構20の予圧用の皿バネ22、予圧機構20の予圧パーツ21、圧電アクチュエータ16を順次収容する。このとき、予圧パーツ21は、アクチュエータボックス13の下端部内周面の段部13dに支持載置された予圧用の皿バネ22に支持されており、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0048】
最後に、圧電アクチュエータ16の上端部にベアリング受け17及びベアリング18を装着すると共に、アクチュエータボックス13の上端部外周面に調整用袋ナット19及びロックナット24を螺着し、調整用袋ナット19の締め込み量を調整して予圧パーツ21の下端面を緩衝用皿バネ27の上面に当接させると共に、圧電アクチュエータ16による金属ダイヤフラム9の作動ストロークを設定値に調整する。このとき、予圧用の皿バネ22が撓み、圧電アクチュエータ16には常時圧縮力が掛かることになる。この例では、圧電アクチュエータ16には、約300Nの予圧が掛けられた状態になっている。
【0049】
而して、図9及び図10に示す圧電素子駆動式制御弁1によれば、制御回路(図示省略)からコネクター25を介して圧電アクチュエータ16に駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ16は印加電圧に応じて設定値だけ下方へ伸長する。
そうすると、予圧パーツ21及び緩衝用皿バネ27を介してステム26が押し下げられると共に、ステム26の下端に設けたダイヤフラム押え14により金属ダイヤフラム9の中央部分が弁座8d側へ押し下げられて弁座8dへ当座し、圧電素子駆動式制御弁1は閉弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、例えば、圧電素子駆動式制御弁1を高温環境下に於いて使用した場合に、圧電アクチュエータ16を収容するアクチュエータボックス13等が熱膨張により伸びても、圧電アクチュエータ16の上端部と調整用袋ナット19との間に隙間が生じることがなく、予圧機構20を介して圧電アクチュエータ16に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の伸長時にその発生力をアクチュエータボックス13へ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
【0050】
そして、金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座した後は、ステム26と予圧パーツ21との間に介設した緩衝用皿バネ27が圧電アクチュエータ16の伸長を吸収し、シート部(弁座8d及び金属ダイヤフラム9の弁座8dに接触する部分から成る)には緩衝用皿バネ27の変位量に応じた反発力が印加される。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の大きな発生力が直にシート部に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム9及び弁座8dの損傷を防止することができる。
【0051】
一方、圧電アクチュエータ16への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ16が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、金属ダイヤフラム9に加わっていた押圧力が喪失し、これにより金属ダイヤフラム9がその弾性力により元の状態に復帰して弁座8dから離座し、圧電素子駆動式制御弁1は開弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16が縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構20の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータ16の延命化を図れると共に、圧電アクチュエータ16の信頼性を確保することができる。
又、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16の重量が金属ダイヤフラム9に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム9に掛かる重量はダイヤフラム押え14とステム26と緩衝用皿バネ27の重さとなる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、金属ダイヤフラム9に掛かる重量を制限することができ、金属ダイヤフラム9がその弾性力により弁座8dから離座するときに金属ダイヤフラム9に掛かる負担が小さくなって金属ダイヤフラム9の延命化を図れる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る圧電素子駆動式制御弁1は、主として半導体製造設備等のガス制御ラインに於いて利用されるが、その利用対象は上記半導体製造装置等に限定されるものではなく、化学産業や薬品産業、食品産業等の各種装置に於けるガス供給ラインに於いても利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁を用いた圧力式流量制御装置の縦断正面図である。
【図2】同じく圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図3】同じく圧電素子駆動式制御弁の要部を示し、圧電アクチュエータに予圧を掛ける前の縦断側面図である。
【図4】割りベースの平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】アクチュエータボックスの縦断面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】予圧機構を組み込んだ圧電素子駆動式制御弁のアクチュエータボックスの電圧と変位との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁を用いた圧力式流量制御装置の縦断正面図である。
【図10】図9に示す圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図11】従来の圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図12】圧電アクチュエータ(ピエゾポジショナ)の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1は圧電素子駆動式制御弁、8はボディ、8a′は弁室、8dは弁座、9は金属ダイヤフラム、11は割りベース、11bは割りベースの上壁、13はアクチュエータボックス、13aはアクチュエータボックスの底壁、13cはアクチュエータボックスのガイド穴、13dはアクチュエータボックスの段部、14はダイヤフラム押え、15は皿バネ、16は圧電アクチュエータ、16aは圧電アクチュエータの変位部、20は予圧機構、21は予圧パーツ、21aは予圧パーツの鍔、22は予圧用の皿バネ、26はステム、27は緩衝用皿バネ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に半導体製造設備等のガス制御ラインに介設される圧力式流量制御装置の制御弁やマスフローコントローラの流量制御部の制御弁として用いられる圧電素子駆動式制御弁の改良に係り、特に圧電アクチュエータが縮む時に圧電素子に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子の破壊を防止すると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにした圧電素子駆動式制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造設備や化学品製造設備等に於いては、マスフローコントローラに替えて圧力式流量制御装置が広く利用されている。この圧力式流量制御装置には、耐食性が高いこと、発塵が少ないこと、ガスの置換性が良いこと、開閉速度が速いこと等の点から所謂金属ダイヤフラム型制御弁が多く使用されている。又、圧力式流量制御装置の駆動装置としては、推力が大きくて応答性やコントロール特性に優れている圧電素子駆動式の駆動装置(圧電アクチュエータ)が多く使用されている。
【0003】
従来、駆動装置に圧電アクチュエータ(ピエゾポジショナ)を用いた金属ダイヤフラム型制御弁としては、例えば特開2003−120832号公報(特許文献1)等に開示された構造のものが知られている。
【0004】
即ち、前記制御弁30は、図11に示す如く、弁室31a及び弁座31b等を形成したボディ31と、弁室31a内に配設され、弁座31bに当離座する金属ダイヤフラム32と、金属ダイヤフラム32の外周縁部をボディ31側へ気密状に押圧する押えアダプター33と、押えアダプター33をボディ31側へ押圧する半割り構造の割りベース34と、押えアダプター33及び割りベース34をボディ31側へ固定するベース押え35と、ベース押え35に昇降自在に支持されたアクチュエータボックス36と、アクチュエータボックス36の下端に挿着され、金属ダイヤフラム32に当接するダイヤフラム押え37と、割りベース34とアクチュエータボックス36との間に介設され、アクチュエータボックス36を下方へ押圧附勢する皿バネ38と、アクチュエータボックス36内に収容され、下端側がボール受け39を介して割りベース34に支持された圧電アクチュエータ40(ピエゾポジショナ)と、アクチュエータボックス36の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ40の上端側をベアリング受け41及びベアリング42を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット43等から成り、電圧の印加によって圧電アクチュエータ40が伸長すると、アクチュエータボックス36がベース押え35に支持された状態で皿バネ38の弾性力に抗して上昇し、これに伴って金属ダイヤフラム32がその弾性力により弁座31bから離座して開弁状態となり、又、圧電アクチュエータ40への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ40が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、アクチュエータボックス36が皿バネ38の弾性力により押し下げられ、これに伴って金属ダイヤフラム32がダイヤフラム押え37により下方へ押圧されて弁座31bへ当座して閉弁状態となるノーマルクローズ型の圧電素子駆動式制御弁に構成されている。
【0005】
この圧電素子駆動式制御弁30は、各部材の軸心の一致を自動的に図ることができ、組み付け精度が大幅に向上して組み付け精度のバラツキやヒステリシス現象が減少する等の利点を有する。
【0006】
ところで、前記圧電素子駆動式制御弁30に用いる圧電アクチュエータ40(ピエゾポジショナ)には、図12に示す如く、金属製のケーシング40a内に積層型の圧電素子40bを密封状に収容した積層型の圧電アクチュエータ40が使用されている。この積層型の圧電アクチュエータ40は、圧電素子40bの伸縮に伴ってケーシング40aの先端部に設けた半球状の変位部40cが圧電アクチュエータ40の軸心に沿って往復移動するようになっている。
【0007】
ところが、前記積層型の圧電アクチュエータ40は、伸縮を行う際に変位部40cよりも圧電素子40bの伸縮スピードが速いため、縮む際に圧電素子40b間に引っ張り力が掛かって圧電素子40b自体が破壊されてしまい、製品寿命を短くしてしまうという問題がある。そのため、積層型の圧電アクチュエータ40を実際に動作させるためには、引っ張り力に弱い圧電素子40bに圧縮方向の予圧荷重を与えておき、圧電素子40b間に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子40bの破壊を防止する構造にする必要がある。
【0008】
図11に示す従来の圧電素子駆動式制御弁30に於いては、アクチュエータボックス36を皿バネ38の弾性力により下方へ押圧附勢しているため、圧電アクチュエータ40には皿バネ38の弾性力により予圧が掛けられた状態になっている。
しかし、この圧電素子駆動式制御弁30に使用されている皿バネ38は、アクチュエータボックス36を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え37により金属ダイヤフラム32を弁座31bへ当座させるためのものであるため、あまり強い弾性力を有する皿バネ38を使用した場合には、金属ダイヤフラム32や弁座31bが損傷してしまうことになる。そのため、圧電素子駆動式制御弁30の皿バネ38には、あまり強い弾性力を有する皿バネ38を使用することができない。その結果、圧電アクチュエータ40にも、あまり大きな予圧荷重を掛けることができず、圧電素子40bに大きな引っ張り応力が作用したときに圧電素子40bが破壊されてしまうと云う問題があった。
【0009】
又、従来の圧電素子駆動式制御弁30に於いては、当該制御弁30を温度が100℃以上のような高温環境下に於いて使用する場合には、圧電アクチュエータ40を収容するアクチュエータボックス36の熱膨張によって、圧電アクチュエータ40の上端部とアクチュエータボックス36の上端部に螺着した調整用袋ナット43との間に隙間が発生し、圧電アクチュエータ40の伸長時にその発生力がアクチュエータボックス36へ確実且つ良好に伝わらず、高精度な流量制御が困難になると云う問題があった。特に、圧電アクチュエータ40の変位量が極僅かであるため、制御弁30を構成する各部材(アクチュエータボックス36等)の僅かの熱膨張でも、その流量制御特性に大きな影響を与えることになる。
この問題(アクチュエータボックス36の熱膨張による隙間の発生)を解決するためには、制御弁30自体を予め圧電アクチュエータ40に外部から200N程度の圧縮力を加えられるような構造の制御弁とすることが好ましいが、このような制御弁は未だ開発されていないのが現状である。
【特許文献1】特開2003−120832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、圧電アクチュエータが縮む時に圧電素子に掛かる引っ張り力を緩和して圧電素子の破壊を防止すると共に、高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにした圧電素子駆動式制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、上方が開放された弁室の底面に弁座を形成したボディと、弁室内に配設され、下方への押圧により弁座へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座から離座する金属ダイヤフラムと、ボディ側に昇降自在に支持され、下端に金属ダイヤフラムの上面に当接するダイヤフラム押えを設けた有底筒状のアクチュエータボックスと、ボディ側に固定され、アクチュエータボックスの下端部周壁に形成した縦長のガイド穴に挿入されてアクチュエータボックスの底壁上面に対向する上壁を有する割りベースと、アクチュエータボックスの底壁と割りベースの上壁との間に介設され、アクチュエータボックスを下方へ押圧附勢してダイヤフラム押えを介して金属ダイヤフラムを弁座へ当座させる皿バネと、アクチュエータボックス内に収容され、上端がアクチュエータボックスの上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端が割りベースの上壁側に支持された圧電アクチュエータとから成り、圧電アクチュエータの圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータが上方へ伸長してアクチュエータボックスを皿バネの弾性力に抗して上方へ押し上げ、金属ダイヤフラムがその弾性力により弁座から離座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記割りベースの上壁と圧電アクチュエータの下端との間に、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を介設したことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項2の発明は、上方が開放された弁室の底面に弁座を形成したボディと、弁室内に配設され、下方への押圧により弁座へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座から離座する金属ダイヤフラムと、弁室の上方に配設され、下端部がボディ側に固定された筒状のアクチュエータボックスと、アクチュエータボックスの下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラムの上面に当接するダイヤフラム押えを設けたステムと、アクチュエータボックス内に収容され、上端がアクチュエータボックスの上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端がステム側に支持される圧電アクチュエータと、ステムの上端と圧電アクチュエータの下端との間に介設され、金属ダイヤフラムが弁座へ当座したときに圧電アクチュエータの伸長を吸収して弁座及び金属ダイヤフラムの弁座に接触する部分から成るシート部へ所定の押圧力を印加する緩衝用皿バネとから成り、圧電アクチュエータの圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータが下方へ伸長して緩衝用皿バネを介してステム及びダイヤフラム押えを押し下げ、これにより金属ダイヤフラムが弁座へ当座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記圧電アクチュエータの下端と緩衝用皿バネとの間に、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を介設したことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が割りベースの上壁に当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔部とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が割りベースの上壁に当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成ることに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項4の発明は、請求項2の発明に於いて、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネに当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が緩衝用皿バネに当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成ることに特徴がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を備えているため、圧電アクチュエータが縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、引っ張り力による圧電アクチュエータの圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータの延命化を図れると共に、圧電アクチュエータの信頼性を確保することができる。
又、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構を備えているため、例えば、当該制御弁を高温環境下に於いて使用する場合に、圧電アクチュエータを収容するアクチュエータボックスが熱膨張により伸びても、予圧機構を介して圧電アクチュエータの圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、圧電アクチュエータの圧電素子の伸長時にその発生力をアクチュエータボックスへ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
更に、本発明の圧電素子駆動式制御弁は、予圧機構が、アクチュエータボックス内の圧電アクチュエータの直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータの下端面に設けた変位部に当接すると共に、下端面が割りベースの上壁又は緩衝用皿バネに当接可能な鍔付の軸状の予圧パーツと、予圧パーツの鍔部とアクチュエータボックスの下端部内周面に形成した段部との間に介設され、予圧パーツの下端面が割りベースの上壁又は緩衝用皿バネに当接したときに予圧パーツを弾性的に押し上げて圧電アクチュエータの圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネとから成るため、予圧用の皿バネの枚数を変えることにより圧電アクチュエータの圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができる。然も、予圧機構の組み立て時には、割りベースの上壁又は緩衝用皿バネと圧電アクチュエータの下端面との間に予圧パーツ及び予圧用の皿バネを入れるだけで良く、組み立ても比較的簡単且つ容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁1を圧力式流量制御装置用の制御弁として用いたものであり、前記圧力式流量制御装置は、圧電素子駆動式制御弁1と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に接続された入口側ブロック2と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に接続された出口側ブロック3と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に設けた流量制御用のオリフィス4と、オリフィス4の上流側に設けられてオリフィス4の上流側圧力を検出する圧力センサー5と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に設けたガスケットフィルター6と、圧電素子駆動式制御弁1を制御する制御回路7等から構成されており、オリフィス4の上流側圧力によりオリフィス通過流量を演算しながら圧電素子駆動式制御弁1の開閉によりオリフィス通過流量を制御するようにしたものである。
【0017】
前記圧電素子駆動式制御弁1は、図2に示す如く、弁室8a′及び弁座8d等を形成したボディ8と、弁室8a′内に配設され、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧する押えアダプター10と、押えアダプター10をボディ8側へ押圧する割りベース11と、押えアダプター10及び割りベース11をボディ8側へ固定するベース押え12と、ベース押え12に昇降自在に支持された有底筒状のアクチュエータボックス13と、アクチュエータボックス13の下端に挿着され、金属ダイヤフラム9に当接するダイヤフラム押え14と、割りベース11とアクチュエータボックス13との間に介設され、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢する皿バネ15と、アクチュエータボックス13内に収容され、下端側が予圧機構20の予圧パーツ21を介して割りベース11に支持された圧電アクチュエータ16(ピエゾポジショナ)と、アクチュエータボックス13の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ16の上端側をベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット19と、割りベース11の上壁11bと圧電アクチュエータ16の下端との間に介設され、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20等から成り、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止できると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにしたものである。この例では、圧電素子駆動式制御弁1は、ノーマルクローズ型の制御弁に構成されている。
【0018】
具体的には、ボディ8は、図1及び図2に示す如く、ステンレス材によりブロック状に形成されており、上方が開放された弁室8a′を形成する凹部8aと、凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bと、弁室8a′に連通する入口通路8cと、弁室8a′の底面に形成した環状の弁座8dと、弁室8a′に連通する出口通路8eと、圧力センサー5が挿着されるセンサー挿着穴8fと、ガスケットフィルター6が挿着されるフィルター挿着孔8gと、オリフィス4が挿着されるオリフィス挿着孔8h等を備えている。
このボディ8の上流側には、ボディ8の入口通路8cに連通する導入通路2aと、導入通路2aの出口側に形成されたフィルター挿着孔2bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート2cとを夫々備えたステンレス材製の入口側ブロック2が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。又、ボディ8の下流側には、ボディ8の出口通路8eに連通する排出通路3aと、排出通路3aの入口側に形成されたオリフィス挿着孔3bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート3cとを夫々備えたステンレ材製の出口側ブロック3が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。
【0019】
金属ダイヤフラム9は、図1及び図2に示す如く、コバルト、ニッケルを基ベースにタングステン、モリブデン、チタン、クローム等を加えた耐久性、耐食性、耐熱性に優れた高弾性合金(例えば、スプロン100)製の極薄板材により中央部が上方へ膨出した逆皿形に形成されている。
この金属ダイヤフラム9は、弁座8dと対向するように凹部8a内へ配置されてその外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定されており、下方への押圧により弁座8dへ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座8dから離座するようになっている。
尚、金属ダイヤフラム9の材質は、ステンレス鋼やインコネル、その他の合金鋼であっても良く、又、複数枚の金属ダイヤフラム9を積層した金属ダイヤフラム9であっても良い。
【0020】
押えアダプター10は、図1及び図2に示す如く、ステンレス材により環状に形成されており、ボディ8の凹部8a内に挿入されて金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧固定するものである。
【0021】
割りベース11は、図1、図2、図4及び図5に示す如く、半割り状の一対の割りベース片11′から成り、各割りベース片11′をアクチュエータボックス13の下端部に両側から対向状に組み付け、この状態で各割りベース片11′とアクチュエータボックス13の下端部とをボディ8の凹部8a内に挿入し、当該凹部8a内にベース押え12の下端部を捩じ込むことによって、アクチュエータボックス13に保持固定されている。
割りベース11を構成する各割りベース片11′は、短い円筒部11aの上端にアクチュエータボックス13の下端部周壁に形成したガイド穴13cに挿入されてアクチュエータボックス13の底壁13a上面に対向する上壁11bを、又、円筒部11aの下端にボディ8の凹部8a内に挿入される鍔部11cを夫々形成したものを中央部で二つ割することにより形成されている。
そして、割りベース11の上壁11bとアクチュエータボックス13の底壁13aとの間には、アクチュエータボックス13を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え14を介して金属ダイヤフラム9の中央部分を弁座8dへ当座させる複数枚の皿バネ15が介設されている。
【0022】
ベース押え12は、図1及び図2示す如く、ステンレス材により筒状に形成されており、下端部外周面には、ボディ8の凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bに螺合する雄ネジ12aが形成されていると共に、内周面には、複数本のOリング23が一定間隔毎に嵌着されている。
このベース押え12は、ボディ8の凹部8a内に起立姿勢で螺着固定されており、アクチュエータボックス13をボディ8側へ昇降自在に支持すると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部、押えアダプター10及び割りベース11の鍔部11cをボディ8側へ押圧固定するためのものである。
【0023】
アクチュエータボックス13は、図2、図6及び図7に示す如く、熱膨張率の小さなインバー材により有底筒状に形成されており、その下半部側がベース押え12にOリング23を介して昇降自在に支持されている。
このアクチュエータボックス13は、その内部空間に皿バネ15、圧電アクチュエータ16及び予圧機構20を収容すると共に、金属ダイヤフラム9の中央部を下方へ押し下げる作用をするものであり、当該アクチュエータボックス13の底壁13a下面には、金属ダイヤフラム9の上面側中央部に当接する合成樹脂製のダイヤフラム押え14が挿着される下向きの挿着穴13bが形成されている。
又、アクチュエータボックス13の下端部周壁には、割りベース11の上壁11bが挿入される縦長のガイド穴13cが対向状に形成されていると共に、アクチュエータボックス13の下端部内周面の割りベース11の上壁11bよりも高い位置には、予圧機構20の予圧用の皿バネ22を支持載置するための段部13dが形成されている。
更に、アクチュエータボックス13の上端部外周面には、調整用袋ナット19及びロックナット24が上下方向へ移動調整自在に螺着される雄ネジ13eが形成されている。
【0024】
圧電アクチュエータ16(ピエゾアクチュエータ)は、金属製のケーシング内に積層型の圧電素子を密封状に収容して成り、圧電素子の伸縮に伴ってケーシングの先端部に設けた半球状の変位部16aが圧電アクチュエータ16の軸心に沿って往復移動する積層型の圧電アクチュエータ16に構成されている。
この圧電アクチュエータ16は、図1及び図2に示す如く、その半球状の変位部16aが下を向く状態でアクチュエータボックス13内に収容されており、その下端が割りベース11の上壁11bに予圧機構20の予圧パーツ21を介して支持されていると共に、その上端がアクチュエータボックス13の上端部に上下方向へ移動調整自在に螺着した調整用袋ナット19にベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持されている
従って、この圧電アクチュエータ16は、電圧の印加により上方へ伸長してアクチュエータボックス13を皿バネ15の弾性力に抗して上方へ押し上げるようになっている。
【0025】
予圧機構20は、割りベース11の上壁11bと圧電アクチュエータ16の下端との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸縮に拘わらず圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加え、圧電素子が縮む際に圧電素子間に掛かる引っ張り力を緩和すると共に、アクチュエータボックス13が熱膨張により伸びても、圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができるように構成されている。
【0026】
即ち、予圧機構20は、図1及び図2に示す如く、アクチュエータボックス13内の圧電アクチュエータ16の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ16の下端面に設けた変位部16aに当接すると共に、下端面が割りベース11の上壁11bに当接可能な鍔21a付の軸状の予圧パーツ21と、予圧パーツ21の鍔21aとアクチュエータボックス13の下端部内周面に形成した段部13dとの間に介設され、予圧パーツ21の下端面が割りベース11の上壁11bに当接したときに予圧パーツ21を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ16の圧電素子を常時加圧する複数枚の予圧用の皿バネ22とから成り、予圧用の皿バネ22の枚数を変えることによって、圧電アクチュエータ16の圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができるように構成されている。
又、予圧パーツ21は、ステンレス材により形成されており、その上端面中心部には、圧電アクチュエータ16の半球状の変位部16aが支持載置される円錐状の受け溝21bが形成されている。
【0027】
上述した圧電素子駆動式制御弁1の組み立てに際しては、先ず、ボディ8の凹部8a内に金属ダイヤフラム9、押えアダプター10、ダイヤフラム押え14を挿着したアクチュエータボックス13、皿バネ15、割りベース11の順に組み付け、ベース押え12を介してアクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、ベース押え12の下端部をボディ8の凹部8aの内周面へ捩じ込む。これにより、押えアダプター10及び割りベース11がボディ8側へ保持固定されると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定される。又、アクチュエータボックス13がベース押え12にOリング23を介して昇降自在に支持される。
【0028】
次に、アクチュエータボックス13内に予圧機構20の予圧用の皿バネ22、予圧機構20の予圧パーツ21、圧電アクチュエータ16を順次収容する。このとき、予圧パーツ21は、図3に示す如く、アクチュエータボックス13の下端部内周面の段部13dに支持載置された予圧用の皿バネ22に支持されており、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0029】
最後に、圧電アクチュエータ16の上端部にベアリング受け17及びベアリング18を装着すると共に、アクチュエータボックス13の上端部外周面に調整用袋ナット19及びロックナット24を螺着し、調整用袋ナット19の締め込み量を調整して予圧パーツ21の下端面を割りベース11の上壁11bの上面に当接させると共に、圧電アクチュエータ16による金属ダイヤフラム9の作動ストロークを設定値に調整する。このとき、予圧用の皿バネ22が撓み、圧電アクチュエータ16には常時圧縮力が掛かることになる。
【0030】
前記圧電素子駆動式制御弁1に於いては、バネ定数が215N/mm、最大撓み量が2.4mmの予圧用の皿バネ22を12枚使用し、金属ダイヤフラム9のストローク調整前には、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間に1.4mmの隙間を設けるようにしているため、金属ダイヤフラム9のストロークの調整後(予圧パーツ21の下端面が割りベース11の上壁11bの上面に当接した後)には、予圧用の皿バネ22が1.4mm撓み、圧電アクチュエータ16には約300N(215N/mm×1.4mm)の予圧が掛かることになる。
又、この圧電素子駆動式制御弁1は、組み立てる際に押えアダプター10、割りベース11、アクチュエータボックス13、ベース押え12、予圧機構20の予圧パーツ21及び予圧用の皿バネ22、圧電アクチュエータ16等は全て所定の位置に整然と自動的に固定されると共に、各部材の軸心は極めて高精度に一致されることになる。その結果、圧電素子駆動式制御弁1は、組み付け精度が大幅に向上して組み付け精度のバラツキやヒステリシス現象が減少するだけでなく、作動の安定性及び応答性の向上が可能となる。
【0031】
而して、前記圧電素子駆動式制御弁1によれば、制御回路(図示省略)からコネクター25を介して圧電アクチュエータ16に駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ16は印加電圧に応じて設定値だけ上方へ伸長する。
これにより、大きな押し上げ力がベアリング受け17、ベアリング18及び調整用袋ナット19を介してアクチュエータボックス13に働き、当該アクチュエータボックス13がベース押え12にその軸心を保持された状態で皿バネ15の弾性力に抗して上記設定値だけ上昇する。その結果、金属ダイヤフラム9がその弾性力によって弁座8dから離座し、圧電素子駆動式制御弁1は開弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、例えば、圧電素子駆動式制御弁1を高温環境下に於いて使用した場合に、圧電アクチュエータ16を収容するアクチュエータボックス13等が熱膨張により伸びても、圧電アクチュエータ16の上端部と調整用袋ナット19との間に隙間が生じることがなく、予圧機構20を介して圧電アクチュエータ16に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の伸長時にその発生力をアクチュエータボックス13へ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
【0032】
一方、圧電アクチュエータ16への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ16が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、皿バネ15の弾性力によりアクチュエータボックス13が押し下げられ、アクチュエータボックス13の下端に設けたダイヤフラム押え14により金属ダイヤフラム9の中央部分が弁座8d側へ押し下げられて弁座8dへ当座し、圧電素子駆動式制御弁1は閉弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16が縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構20の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータ16の延命化を図れると共に、圧電アクチュエータ16の信頼性を確保することができる。
【0033】
図8は予圧機構20を組み込んだ圧電素子駆動式制御弁1のアクチュエータボックス13の変位量を確認するため、圧電素子駆動式制御弁1に最大変位量が96μm以上(150V印加時)、ヒステリシスが15%以内の圧電アクチュエータ16を使用し、当該圧電アクチュエータ16にピエゾドライバ(図示省略)により0〜140V(10V毎)の電圧を印加し、アクチュエータボックス13の変位量をデプスゲージ(図示省略)により測定したアクチュエータボックス13の電圧と変位の関係をグラフ化したものである。
図8のグラフからも明らかなように、圧電アクチュエータ16の特性は十分に確保できていることが確認された。
【0034】
図9は本発明の第2の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁1を圧力式流量制御装置用の制御弁として用いたものであり、前記圧力式流量制御装置は、圧電素子駆動式制御弁1と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に接続された入口側ブロック2と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に接続された出口側ブロック3と、圧電素子駆動式制御弁1の下流側に設けた流量制御用のオリフィス4と、オリフィス4の上流側に設けられてオリフィス4の上流側圧力を検出する圧力センサー5と、圧電素子駆動式制御弁1の上流側に設けたガスケットフィルター6と、圧電素子駆動式制御弁1を制御する制御回路7等から構成されており、オリフィス4の上流側圧力によりオリフィス通過流量を演算しながら圧電素子駆動式制御弁1の開閉によりオリフィス通過流量を制御するようにしたものである。
【0035】
前記圧電素子駆動式制御弁1は、図10に示す如く、弁室8a′及び弁座8d等を形成したボディ8と、弁室8a′内に配設され、弁座8dに当離座する金属ダイヤフラム9と、金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧する押えアダプター10と、下端部がボディ8側へ固定され、押えアダプター10をボディ8側へ押圧する筒状のアクチュエータボックス13と、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13の下端部をボディ8側へ固定してアクチュエータボックス13を支持するベース押え12と、アクチュエータボックス13の下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラム9の上面に当接するダイヤフラム押え14を設けたステム26と、アクチュエータボックス13内に収容された圧電アクチュエータ16(ピエゾポジショナ)と、ステム26と圧電アクチュエータ16との間に介設され、金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座したときに圧電アクチュエータ16の伸長を吸収する緩衝用皿バネ27と、アクチュエータボックス13の上端部に螺着され、圧電アクチュエータ16の上端側をベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持する調整用袋ナット19と、圧電アクチュエータ16の下端と緩衝用皿バネ27との間に介設され、圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構20等から成り、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止できると共に、高温の反応ガス等を使用する高温環境下に於いても、高精度な安定した流量制御を行えるようにしたものである。この例では、圧電素子駆動式制御弁1は、ノーマルオープン型の制御弁に構成されている。
【0036】
具体的には、ボディ8は、図9及び図10に示す如く、ステンレス材によりブロック状に形成されており、上方が開放された弁室8a′を形成する凹部8aと、凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bと、弁室8a′に連通する入口通路8cと、弁室8a′の底面に形成した環状の弁座8dと、弁室8a′に連通する出口通路8eと、圧力センサー5が挿着されるセンサー挿着穴8fと、ガスケットフィルター6が挿着されるフィルター挿着孔8gと、オリフィス4が挿着されるオリフィス挿着孔8h等を備えている。
このボディ8の上流側には、ボディ8の入口通路8cに連通する導入通路2aと、導入通路2aの出口側に形成されたフィルター挿着孔2bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート2cとを夫々備えたステンレス材製の入口側ブロック2が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。又、ボディ8の下流側には、ボディ8の出口通路8eに連通する排出通路3aと、排出通路3aの入口側に形成されたオリフィス挿着孔3bと、流体の漏洩を検査するためのリークポート3cとを夫々備えたステンレ材製の出口側ブロック3が複数本のボルト(図示省略)により接続されている。
【0037】
金属ダイヤフラム9は、図9及び図10に示す如く、コバルト、ニッケルを基ベースにタングステン、モリブデン、チタン、クローム等を加えた耐久性、耐食性、耐熱性に優れた高弾性合金(例えば、スプロン100)製の極薄板材により中央部が上方へ膨出した逆皿形に形成されている。
この金属ダイヤフラム9は、弁座8dと対向するように凹部8a内へ配置されてその外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定されており、下方への押圧により弁座8dへ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座8dから離座するようになっている。
尚、金属ダイヤフラム9の材質は、ステンレス鋼やインコネル、その他の合金鋼であっても良く、又、複数枚の金属ダイヤフラム9を積層した金属ダイヤフラム9であっても良い。
【0038】
押えアダプター10は、図9及び図10に示す如く、ステンレス材により環状に形成されており、ボディ8の凹部8a内に挿入されて金属ダイヤフラム9の外周縁部をボディ8側へ気密状に押圧固定するものである。
【0039】
アクチュエータボックス13は、図9及び図10に示す如く、熱膨張率の小さなインバー材により筒状に形成されており、アクチュエータボックス13の下端部外周面には、ボディ8の凹部8aに挿入されてベース押え12により下方へ押圧される外側段部13fが形成されている。
このアクチュエータボックス13は、その内部空間にステム26、圧電アクチュエータ16、緩衝用皿バネ27及び予圧機構21を収容するものであり、当該アクチュエータボックス13の下端部内周面には、予圧機構20の予圧用の皿バネ22を支持載置するための段部13dが形成されている。
又、アクチュエータボックス13の上端部外周面には、調整用袋ナット19及びロックナット24が上下方向へ移動調整自在に螺着される雄ネジ13eが形成されている。
【0040】
ベース押え12は、図9及び図10示す如く、ステンレス材により筒状に形成されており、下端部外周面には、ボディ8の凹部8aの内周面に形成した雌ネジ8bに螺合する雄ネジ12aが形成されていると共に、内周面には、複数本のOリング23が一定間隔毎に嵌着されている。
このベース押え12は、ボディ8の凹部8a内に起立姿勢で螺着固定されており、アクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13の外側段部13fをボディ8側へ押圧固定するためのものである。
【0041】
ステム26は、図9及び図10示す如く、ステンレス材や熱膨張率の小さなインバー材により段付きの軸状に形成されており、アクチュエータボックス13の下端部に昇降自在に挿入されている。
このステム26の下端には、金属ダイヤフラム9の上面側中央部に当接する合成樹脂製のダイヤフラム押え14が挿着されている。
【0042】
圧電アクチュエータ16(ピエゾアクチュエータ)は、金属製のケーシング内に積層型の圧電素子を密封状に収容して成り、圧電素子の伸縮に伴ってケーシングの先端部に設けた半球状の変位部16aが圧電アクチュエータ16の軸心に沿って往復移動する積層型の圧電アクチュエータ16に構成されている。
この圧電アクチュエータ16は、図9及び図10に示す如く、その半球状の変位部16aが下を向く状態でアクチュエータボックス13内に収容されており、その上端がアクチュエータボックス13の上端部に上下方向へ移動調整自在に螺着した調整用袋ナット19にベアリング受け17及びベアリング18を介して位置調整可能に支持されていると共に、その下端が予圧機構20及び緩衝用皿バネ27を介してステム26側に支持された格好になっている。
又、この圧電アクチュエータ16は、電圧の印加により下方へ伸長して予圧機構20及び緩衝用皿バネ27を介してステム26を下方へ押し下げるようになっている。
【0043】
緩衝用皿バネ27は、ステム26の上端と圧電アクチュエータ16の下端との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸長によりステム26が押し下げられて金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座したときに圧電アクチュエータ16の伸長を吸収すると共に、圧電素子駆動式制御弁1のシート部(弁座8d及び金属ダイヤフラム9の弁座8dに接触する部分から成る)へ所定の押圧力を印加するものである。この例では、緩衝用皿バネ27は、ステム26の上面に複数枚積層状に支持載置されている。
【0044】
予圧機構20は、圧電アクチュエータ16の下端と緩衝用皿バネ27との間に介設されており、圧電アクチュエータ16の伸縮に拘わらず圧電アクチュエータ16の圧電素子に常時圧縮力を加え、圧電素子が縮む際に圧電素子間に掛かる引っ張り力を緩和すると共に、アクチュエータボックス13が熱膨張により伸びても、圧電素子に常時一定の圧縮力を加えることができるように構成されている。
【0045】
即ち、予圧機構20は、図9及び図10に示す如く、アクチュエータボックス13内の圧電アクチュエータ16の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ16の下端面に設けた変位部16aに当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネ27に当接可能な鍔21a付の軸状の予圧パーツ21と、予圧パーツ21の鍔21aとアクチュエータボックス13の下端部内周面に形成した段部13dとの間に介設され、予圧パーツ21の下端面が緩衝用皿バネ27に当接したときに予圧パーツ21を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ16の圧電素子を常時加圧する複数枚の予圧用の皿バネ22とから成り、予圧用の皿バネ22の枚数を変えることによって、圧電アクチュエータ16の圧電素子に加わる圧縮力を自由に調整することができるように構成されている。
又、予圧パーツ21は、ステンレス材により形成されており、その上端面中心部には、圧電アクチュエータ16の半球状の変位部16aが支持載置される円錐状の受け溝21bが形成されている。
【0046】
上述した図9及び図10に示す圧電素子駆動式制御弁1の組み立てに際しては、先ず、ボディ8の凹部8a内に金属ダイヤフラム9、押えアダプター10、ステム26及び緩衝用皿バネ27を挿入したアクチュエータボックス13の順に組み付け、ベース押え12を介してアクチュエータボックス13をボディ8側へ支持すると共に、ベース押え12の下端部をボディ8の凹部8aの内周面へ捩じ込む。これにより、押えアダプター10及びアクチュエータボックス13がボディ8側へ保持固定されると共に、金属ダイヤフラム9の外周縁部が押えアダプター10等によりボディ8側へ気密状に保持固定される。
【0047】
次に、アクチュエータボックス13内に予圧機構20の予圧用の皿バネ22、予圧機構20の予圧パーツ21、圧電アクチュエータ16を順次収容する。このとき、予圧パーツ21は、アクチュエータボックス13の下端部内周面の段部13dに支持載置された予圧用の皿バネ22に支持されており、予圧パーツ21の下端面と割りベース11の上壁11bの上面との間には、所定の隙間が設けられている。
【0048】
最後に、圧電アクチュエータ16の上端部にベアリング受け17及びベアリング18を装着すると共に、アクチュエータボックス13の上端部外周面に調整用袋ナット19及びロックナット24を螺着し、調整用袋ナット19の締め込み量を調整して予圧パーツ21の下端面を緩衝用皿バネ27の上面に当接させると共に、圧電アクチュエータ16による金属ダイヤフラム9の作動ストロークを設定値に調整する。このとき、予圧用の皿バネ22が撓み、圧電アクチュエータ16には常時圧縮力が掛かることになる。この例では、圧電アクチュエータ16には、約300Nの予圧が掛けられた状態になっている。
【0049】
而して、図9及び図10に示す圧電素子駆動式制御弁1によれば、制御回路(図示省略)からコネクター25を介して圧電アクチュエータ16に駆動電圧が印加されると、圧電アクチュエータ16は印加電圧に応じて設定値だけ下方へ伸長する。
そうすると、予圧パーツ21及び緩衝用皿バネ27を介してステム26が押し下げられると共に、ステム26の下端に設けたダイヤフラム押え14により金属ダイヤフラム9の中央部分が弁座8d側へ押し下げられて弁座8dへ当座し、圧電素子駆動式制御弁1は閉弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、例えば、圧電素子駆動式制御弁1を高温環境下に於いて使用した場合に、圧電アクチュエータ16を収容するアクチュエータボックス13等が熱膨張により伸びても、圧電アクチュエータ16の上端部と調整用袋ナット19との間に隙間が生じることがなく、予圧機構20を介して圧電アクチュエータ16に常時一定の圧縮力を加えることができる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の伸長時にその発生力をアクチュエータボックス13へ確実且つ良好に伝達することができ、高精度な流量制御を行うことができる。
【0050】
そして、金属ダイヤフラム9が弁座8dへ当座した後は、ステム26と予圧パーツ21との間に介設した緩衝用皿バネ27が圧電アクチュエータ16の伸長を吸収し、シート部(弁座8d及び金属ダイヤフラム9の弁座8dに接触する部分から成る)には緩衝用皿バネ27の変位量に応じた反発力が印加される。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、圧電アクチュエータ16の大きな発生力が直にシート部に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム9及び弁座8dの損傷を防止することができる。
【0051】
一方、圧電アクチュエータ16への印加電圧を解除すると、圧電アクチュエータ16が伸長状態から元の長さ寸法に復帰すると共に、金属ダイヤフラム9に加わっていた押圧力が喪失し、これにより金属ダイヤフラム9がその弾性力により元の状態に復帰して弁座8dから離座し、圧電素子駆動式制御弁1は開弁状態となる。
このとき、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16が縮む際に圧電素子間に引っ張り力が掛かっても、予圧機構20の圧縮力により圧電素子間に掛かる引っ張り力が緩和されることになる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、引っ張り力による圧電アクチュエータ16の圧電素子の破壊を防止することができ、圧電アクチュエータ16の延命化を図れると共に、圧電アクチュエータ16の信頼性を確保することができる。
又、圧電アクチュエータ16には、予圧機構20により圧電アクチュエータ16を常時上方へ圧縮する圧縮力が加えられているため、圧電アクチュエータ16の重量が金属ダイヤフラム9に掛かると云うことがなく、金属ダイヤフラム9に掛かる重量はダイヤフラム押え14とステム26と緩衝用皿バネ27の重さとなる。その結果、この圧電素子駆動式制御弁1は、金属ダイヤフラム9に掛かる重量を制限することができ、金属ダイヤフラム9がその弾性力により弁座8dから離座するときに金属ダイヤフラム9に掛かる負担が小さくなって金属ダイヤフラム9の延命化を図れる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る圧電素子駆動式制御弁1は、主として半導体製造設備等のガス制御ラインに於いて利用されるが、その利用対象は上記半導体製造装置等に限定されるものではなく、化学産業や薬品産業、食品産業等の各種装置に於けるガス供給ラインに於いても利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁を用いた圧力式流量制御装置の縦断正面図である。
【図2】同じく圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図3】同じく圧電素子駆動式制御弁の要部を示し、圧電アクチュエータに予圧を掛ける前の縦断側面図である。
【図4】割りベースの平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】アクチュエータボックスの縦断面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】予圧機構を組み込んだ圧電素子駆動式制御弁のアクチュエータボックスの電圧と変位との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る圧電素子駆動式制御弁を用いた圧力式流量制御装置の縦断正面図である。
【図10】図9に示す圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図11】従来の圧電素子駆動式制御弁の要部の縦断正面図である。
【図12】圧電アクチュエータ(ピエゾポジショナ)の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1は圧電素子駆動式制御弁、8はボディ、8a′は弁室、8dは弁座、9は金属ダイヤフラム、11は割りベース、11bは割りベースの上壁、13はアクチュエータボックス、13aはアクチュエータボックスの底壁、13cはアクチュエータボックスのガイド穴、13dはアクチュエータボックスの段部、14はダイヤフラム押え、15は皿バネ、16は圧電アクチュエータ、16aは圧電アクチュエータの変位部、20は予圧機構、21は予圧パーツ、21aは予圧パーツの鍔、22は予圧用の皿バネ、26はステム、27は緩衝用皿バネ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開放された弁室(8a′)の底面に弁座(8d)を形成したボディ(8)と、弁室(8a′)内に配設され、下方への押圧により弁座(8d)へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座(8d)から離座する金属ダイヤフラム(9)と、ボディ(8)側に昇降自在に支持され、下端に金属ダイヤフラム(9)の上面に当接するダイヤフラム押え(14)を設けた有底筒状のアクチュエータボックス(13)と、ボディ(8)側に固定され、アクチュエータボックス(13)の下端部周壁に形成した縦長のガイド穴(13c)に挿入されてアクチュエータボックス(13)の底壁(13a)上面に対向する上壁(11b)を有する割りベース(11)と、アクチュエータボックス(13)の底壁(13a)と割りベース(11)の上壁(11b)との間に介設され、アクチュエータボックス(13)を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え(14)を介して金属ダイヤフラム(9)を弁座(8d)へ当座させる皿バネ(15)と、アクチュエータボックス(13)内に収容され、上端がアクチュエータボックス(13)の上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端が割りベース(11)の上壁(11b)側に支持された圧電アクチュエータ(16)とから成り、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータ(16)が上方へ伸長してアクチュエータボックス(13)を皿バネ(15)の弾性力に抗して上方へ押し上げ、金属ダイヤフラム(9)がその弾性力により弁座(8d)から離座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記割りベース(11)の上壁(11b)と圧電アクチュエータ(16)の下端との間に、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構(20)を介設したことを特徴とする圧電素子駆動式制御弁。
【請求項2】
上方が開放された弁室(8a′)の底面に弁座(8d)を形成したボディ(8)と、弁室(8a′)内に配設され、下方への押圧により弁座(8d)へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座(8d)から離座する金属ダイヤフラム(9)と、弁室(8a′)の上方に配設され、下端部がボディ(8)側に固定された筒状のアクチュエータボックス(13)と、アクチュエータボックス(13)の下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラム(9)の上面に当接するダイヤフラム押え(14)を設けたステム(26)と、アクチュエータボックス(13)内に収容され、上端がアクチュエータボックス(13)の上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端がステム(26)側に支持される圧電アクチュエータ(16)と、ステム(26)の上端と圧電アクチュエータ(16)の下端との間に介設され、金属ダイヤフラム(9)が弁座(8d)へ当座したときに圧電アクチュエータ(16)の伸長を吸収して弁座(8d)及び金属ダイヤフラム(9)の弁座(8d)に接触する部分から成るシート部へ所定の押圧力を印加する緩衝用皿バネ(27)とから成り、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータ(16)が下方へ伸長して緩衝用皿バネ(27)を介してステム(26)及びダイヤフラム押え(14)を押し下げ、これにより金属ダイヤフラム(9)が弁座(8d)へ当座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記圧電アクチュエータ(16)の下端と緩衝用皿バネ(27)との間に、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構(20)を介設したことを特徴とする圧電素子駆動式制御弁。
【請求項3】
予圧機構(20)は、アクチュエータボックス(13)内の圧電アクチュエータ(16)の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ(16)の下端面に設けた変位部(16a)に当接すると共に、下端面が割りベース(11)の上壁(11b)に当接可能な鍔(21a)付の軸状の予圧パーツ(21)と、予圧パーツ(21)の鍔(21a)とアクチュエータボックス(13)の下端部内周面に形成した段部(13d)との間に介設され、予圧パーツ(21)の下端面が割りベース(11)の上壁(11b)に当接したときに予圧パーツ(21)を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ(16)の圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネ(22)とから成ることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式制御弁。
【請求項4】
予圧機構(20)は、アクチュエータボックス(13)内の圧電アクチュエータ(16)の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ(16)の下端面に設けた変位部(16a)に当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネ(27)に当接可能な鍔(21a)付の軸状の予圧パーツ(21)と、予圧パーツ(21)の鍔(21a)とアクチュエータボックス(13)の下端部内周面に形成した段部(13d)との間に介設され、予圧パーツ(21)の下端面が緩衝用皿バネ(27)に当接したときに予圧パーツ(21)を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ(16)の圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネ(22)とから成ることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子駆動式制御弁。
【請求項1】
上方が開放された弁室(8a′)の底面に弁座(8d)を形成したボディ(8)と、弁室(8a′)内に配設され、下方への押圧により弁座(8d)へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座(8d)から離座する金属ダイヤフラム(9)と、ボディ(8)側に昇降自在に支持され、下端に金属ダイヤフラム(9)の上面に当接するダイヤフラム押え(14)を設けた有底筒状のアクチュエータボックス(13)と、ボディ(8)側に固定され、アクチュエータボックス(13)の下端部周壁に形成した縦長のガイド穴(13c)に挿入されてアクチュエータボックス(13)の底壁(13a)上面に対向する上壁(11b)を有する割りベース(11)と、アクチュエータボックス(13)の底壁(13a)と割りベース(11)の上壁(11b)との間に介設され、アクチュエータボックス(13)を下方へ押圧附勢してダイヤフラム押え(14)を介して金属ダイヤフラム(9)を弁座(8d)へ当座させる皿バネ(15)と、アクチュエータボックス(13)内に収容され、上端がアクチュエータボックス(13)の上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端が割りベース(11)の上壁(11b)側に支持された圧電アクチュエータ(16)とから成り、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータ(16)が上方へ伸長してアクチュエータボックス(13)を皿バネ(15)の弾性力に抗して上方へ押し上げ、金属ダイヤフラム(9)がその弾性力により弁座(8d)から離座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記割りベース(11)の上壁(11b)と圧電アクチュエータ(16)の下端との間に、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構(20)を介設したことを特徴とする圧電素子駆動式制御弁。
【請求項2】
上方が開放された弁室(8a′)の底面に弁座(8d)を形成したボディ(8)と、弁室(8a′)内に配設され、下方への押圧により弁座(8d)へ当座すると共に、押圧力の喪失時にその弾性力により弁座(8d)から離座する金属ダイヤフラム(9)と、弁室(8a′)の上方に配設され、下端部がボディ(8)側に固定された筒状のアクチュエータボックス(13)と、アクチュエータボックス(13)の下端部内に昇降自在に配設され、下端に金属ダイヤフラム(9)の上面に当接するダイヤフラム押え(14)を設けたステム(26)と、アクチュエータボックス(13)内に収容され、上端がアクチュエータボックス(13)の上端部側に位置調整可能に支持されていると共に、下端がステム(26)側に支持される圧電アクチュエータ(16)と、ステム(26)の上端と圧電アクチュエータ(16)の下端との間に介設され、金属ダイヤフラム(9)が弁座(8d)へ当座したときに圧電アクチュエータ(16)の伸長を吸収して弁座(8d)及び金属ダイヤフラム(9)の弁座(8d)に接触する部分から成るシート部へ所定の押圧力を印加する緩衝用皿バネ(27)とから成り、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子への電圧の印加により圧電アクチュエータ(16)が下方へ伸長して緩衝用皿バネ(27)を介してステム(26)及びダイヤフラム押え(14)を押し下げ、これにより金属ダイヤフラム(9)が弁座(8d)へ当座するようにした圧電素子駆動式制御弁に於いて、前記圧電アクチュエータ(16)の下端と緩衝用皿バネ(27)との間に、圧電アクチュエータ(16)の圧電素子に常時圧縮力を加える予圧機構(20)を介設したことを特徴とする圧電素子駆動式制御弁。
【請求項3】
予圧機構(20)は、アクチュエータボックス(13)内の圧電アクチュエータ(16)の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ(16)の下端面に設けた変位部(16a)に当接すると共に、下端面が割りベース(11)の上壁(11b)に当接可能な鍔(21a)付の軸状の予圧パーツ(21)と、予圧パーツ(21)の鍔(21a)とアクチュエータボックス(13)の下端部内周面に形成した段部(13d)との間に介設され、予圧パーツ(21)の下端面が割りベース(11)の上壁(11b)に当接したときに予圧パーツ(21)を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ(16)の圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネ(22)とから成ることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子駆動式制御弁。
【請求項4】
予圧機構(20)は、アクチュエータボックス(13)内の圧電アクチュエータ(16)の直下位置に上下動自在に配設され、上端面が圧電アクチュエータ(16)の下端面に設けた変位部(16a)に当接すると共に、下端面が緩衝用皿バネ(27)に当接可能な鍔(21a)付の軸状の予圧パーツ(21)と、予圧パーツ(21)の鍔(21a)とアクチュエータボックス(13)の下端部内周面に形成した段部(13d)との間に介設され、予圧パーツ(21)の下端面が緩衝用皿バネ(27)に当接したときに予圧パーツ(21)を弾性的に押し上げて圧電アクチュエータ(16)の圧電素子を常時加圧する予圧用の皿バネ(22)とから成ることを特徴とする請求項2に記載の圧電素子駆動式制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−249002(P2008−249002A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90082(P2007−90082)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】
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