在庫予想装置及び在庫予想プログラム
【課題】欠品の可能性がある部品在庫の推移を予測する。
【解決手段】対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報とに基づいて基準生産計画及び変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案部22と、部品調達計画立案部22において算出された基準生産計画及び変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期とに基づいて部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段24と、を設ける。
【解決手段】対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報とに基づいて基準生産計画及び変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案部22と、部品調達計画立案部22において算出された基準生産計画及び変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期とに基づいて部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段24と、を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産物流過程における部品の在庫を予想する在庫予想装置及び在庫予想プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やエンジン等の製品の組立工場では生産計画に従って製品が生産される。生産計画は、製品の需要、部品の供給量、物流ルート等の状況に応じて単位期間(例えば1日)毎に立案され、単位期間の生産計画を纏めて月次の生産計画等が作成される。
【0003】
一方、最小の完成品の在庫で市場の需要変動に対して柔軟に追従するために、一旦作成された生産計画に従って部品の納入を指示した後に生産計画を変更する必要が生ずる場合がある。このとき、生産計画の見直しに伴って、部品の在庫状況への影響を把握することが重要であり、変更後の生産計画の下で部品在庫がどのように推移するかを予測し、どの部品がいつ欠品になる可能性があるのかを検証しなければならない。
【0004】
特許文献1には、生産計画に対して、部品の納入を指示しても間に合わない単位期間が発生した場合に、欠品の発生が予想される部品種類と単位期間に対して代替の物流ルートを検索し、所望の生産計画の修正を行うことを可能とする技術が開示されている。ここでは、式(1)にて部品の在庫の推移を予測している。
【0005】
N日の部品在庫=N−1日の部品在庫+N日の部品納入予定数−N日の部品使用予定数
・・・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−77427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、部品の在庫の初期値(N−1日の部品在庫)と、部品の納入予定情報(N日の部品納入予定数)とを把握できなければ生産計画における欠品の予測ができない。
【0008】
例えば、部品在庫の初期値を求めるには、工場内に点在する部品置場で担当者が実際に在庫を数えたり、IDタグ等を部品箱に貼付して無線で読み取って在庫量を把握したりする必要がある。しかしながら、いずれの方法もコストや精度の観点から問題があり、実現的ではない。また、部品の納入予定情報を部品納品指示担当者や部品納品指示システム等から取得する必要がある。
【0009】
また、従来技術では、部品の中でも選択嵌合品と呼ばれる性能や信頼性等の機能確保のために適正な嵌め合いが得られるように部品の公差の中で実寸法によりランク分けした部品の使用予定数を予測することが困難である。
【0010】
選択嵌合品の使用予定数を予測することが難しい理由は、組付け作業を実施する段階(正確には、その直前の寸法計測段階)にならないと、どのランクの部品が使用されるのかが把握できないためである。上記式(1)では、将来の部品使用予定数が把握できなければ、部品の在庫推移を予測することができない。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑み、より少ない情報に基づいて部品在庫の推移を予測することを可能とする在庫予想装置及び在庫予想プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様は、対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、前記部品調達計画立案部において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、を備えることを特徴とする在庫予想装置である。
【0013】
本発明の別の態様は、コンピュータを、対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、前記部品調達計画立案部において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、して機能させることを特徴とする在庫予想プログラムである。
【0014】
ここで、前記部品在庫推移算出手段は、前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と前記基準生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数との差を前記納入周期分だけ累積して前記部品の在庫の変動分を算出することが好適である。
【0015】
また、前記部品在庫推移算出手段は、前記部品の安全在庫数と前記部品の在庫の変動分とから前記部品の在庫の有余数を算出することが好適である。
【0016】
このとき、前記部品の在庫の有余数が在庫基準値を下回った場合に警告を出力する警告判定手段を備えることが好適である。
【0017】
また、前記部品が前記対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品である場合に、前記部品調達計画立案手段は、前記基準生産計画と、前記変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数と使用比率が登録された部品情報と、に基づいて前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる前記複数の部品各々の個数を算出することが好適である。
【0018】
このとき、前記複数の部品の実際の使用比率に応じて前記部品情報に登録される使用比率を更新する部品使用傾向算出手段を備えることが好適である。
【0019】
ここで、前記複数の部品は、実寸法に応じて分けられた選択嵌合部品であることが好適である。
【0020】
また、前記複数の部品に対して単位数毎に割り当てられた納入タイミング指示カードに基づいて前記複数の部品の実際の使用量を読み取る読取手段を備え、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することが好適である。
【0021】
また、前記実寸法に対応して前記複数の部品の実際の使用量を求め、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することが好適である。
【0022】
また、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用比率の過去の傾向に基づいて前記部品情報に登録される使用比率を更新することが好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より少ない情報に基づいて部品在庫の推移を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る在庫予想装置の基本構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る在庫予想装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る在庫予想処理を示すフローチャートである。
【図4】基準生産計画データベースの例を示す図である。
【図5】部品データベースの例を示す図である。
【図6】基準部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図7】変更後生産計画データベースの例を示す図である。
【図8】変更後部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図9】在庫の推移を算出する処理を説明する図である。
【図10】第2の実施形態に係る在庫予想装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】第1の実施形態に係る在庫予想処理を示すフローチャートである。
【図12】部品データベースの例を示す図である。
【図13】基準部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図14】使用された部品数の取得例を示す図である。
【図15】各部品の使用傾向(使用率)の算出例を示す図である。
【図16】部品データベースの更新例を示す図である。
【図17】変更後部品調達計画データベースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施の形態>
自動車やエンジン等の製品の組立に使用される部品の調達管理には後補充方式が知られている。後補充方式では、組立工程で使用された部品は再度使用されるという前提の下に、納入タイミング指示カードによって納品の指示が行われる。
【0026】
納入タイミング指示カードは、所定の部品を所定の期日に所定の場所に納入するための情報を有し、部品と共に工場に納入される。通常、部品は箱詰めされており、部品箱1つに1枚の納入タイミング指示カードが添付されている。部品が使用されると、納入時にその部品の部品箱に添付されていた納入タイミング指示カードが外される。この外された納入タイミング指示カードを外れ納入タイミング指示カードという。その後、外れ納入タイミング指示カードを回収し、所定の頻度で納入指示便に乗せて部品工場に運ぶ。納入指示便としては、納入便の帰り便を利用してもよい。そして、部品工場では、外れ納入タイミング指示カードにより納入すべき部品、期日及び場所を把握して、その情報に従って組立工場に部品を納入する。このようにして、生産のサイクルが構成されている。
【0027】
本発明の実施の形態における在庫予想装置100は、図1に示すように、処理部10、記憶部12、入力部14、出力部16及びインターフェース部18を含んだコンピュータにより構成される。処理部10は、いわゆるCPUであり、記憶部12、入力部14、出力部16及びインターフェース部18と情報伝達可能に接続され、これらを統合的に制御する。処理部10は、記憶部12に予め記憶されている在庫予測プログラムを実行することによって在庫予想処理を行う。記憶部12は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、光ディスク等の記憶手段を含んで構成される。記憶部12は、在庫予想プログラム、在庫予想処理において使用されるデータやパラメータ等の情報を記憶する。また、記憶部12には、在庫予想処理で使用される各種データベースが登録される。入力部14は、例えば、キーボード等の文字入力手段やマウス等のポインティングデバイスを含んで構成される。入力部14は、在庫管理者等のユーザが在庫予想装置100へ指示を行う場合、在庫予想処理に必要な情報を入力する場合に用いられる。また、外れ納入タイミング指示カードに含まれる情報を読み取るためのスキャナを含んでもよい。納入タイミング指示カードの情報がバーコード等のコードである場合にはコードを読み取るためのコードリーダとし、情報がICタグ等に記憶されている場合にはICタグの読取装置とする。出力部16は、例えば、ディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の印刷手段を含んで構成される。出力部16は、在庫予想装置100に各種情報を入力するための入力用インターフェース画面や在庫予想装置100で得られた情報や警告を出力するために用いられる。インターフェース部18は、外部装置と在庫予想装置100を情報伝達可能に接続する。インターフェース部18は、例えば、TCP/IP等の所定のプロトコルに従って通信を行う。インターフェース部18に接続される外部装置は、例えば、工場内端末や部品工場にある納入指示受付装置等である。
【0028】
在庫予想装置100は、図2の機能ブロック図に示すように、生産計画立案部20、部品調達計画立案部22、部品在庫推移算出部24及び警告判定部26を含んで構成される。在庫予想装置100の各部の処理は、処理部10において在庫予想プログラムを実行することによって、図3に示すフローチャートに沿って在庫予想処理を行うことで実現される。
【0029】
生産計画の変更に伴う在庫予想処理を行う前に、変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画は立案されているものとする。
【0030】
変更前の基準となる基準生産計画は入力部14から入力される製品の需要に基づいて作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。ここでの処理は従来の生産計画立案処理により行うことができるので詳細な説明は省略する。例えば、生産計画の立案者が入力部14等を用いて将来の製品の生産数を単位期間毎に入力することで基準生産計画を作成することができる。基準生産計画は、基準生産計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0031】
基準生産計画データベースは、各製品種類の生産数量の単位期間(日次又は月次等)の計画を含んでいる。図4に、基準生産計画データベースに記憶されている生産計画を例示する。この例では、11月1日から11月5日までを1日を単位期間として、製品Aを100台ずつ生産する計画となっている。
【0032】
基準生産計画に対応する部品調達計画は部品表52を用いて作成される。部品表52は、記憶部12に予め部品データベースとして登録される。部品データベースには、対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数が製品毎に登録される。
【0033】
図5に、部品データベースの内容を例示する。生産に必要となる部品の種類と数量は、各製品について異なっている。部品データベースの登録内容は、新製品の導入や、既存製品の仕様変更がある毎に更新される。記憶内容の追加と削除は、入力部14から行うことができる。部品データベースは、製品設計を担当する関連部署と共有されていてもよい。
【0034】
基準生産計画に対応する部品調達計画54は、部品調達計画立案部22において作成される。基準生産計画に対応する部品調達計画54は、基準生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、基準生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された基準生産計画に対応する部品調達計画54は基準部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0035】
図6に、基準生産計画に対応する基準部品調達計画データベースの例を示す。図6に示す基準部品調達計画データベースは、図4に示す基準生産計画データベースの例及び図5に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0036】
基準生産計画データベース及び部品データベースは、在庫予想装置100のインターフェース部18を介して工場内に設置されている工場内端末装置に接続され、これらの装置と共有されてもよい。工場内端末は、例えば各生産ラインに設置されているコンピュータや部品の配送を担当する部署に設置されているコンピュータ等の生産計画に関する指示を受信する端末や生産計画企画部や生産管理部等の生産計画の立案および修正を行う関連部署の端末である。基準生産計画データベース及び部品データベースの内容は、工場内端末からの指示によって、あるいは入力部14を用いて書き換えることができる。
【0037】
このように変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画が立案されている状態で以下の在庫予想処理が行われる。
【0038】
ステップS10では、生産計画の変更が行われる。すなわち、製品の需要の変動等の要因に応じて、変更前の基準生産計画を変更して変更後の変更後生産計画56が作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。
【0039】
例えば、基準生産計画データベースの内容を記憶部12から読み出し、その内容を出力部16にて生産計画の立案者に提示する。立案者は、製品の需要の変動等に応じて、入力部14を用いて、基準生産計画における製品の単位期間毎の生産数を変更することで変更後生産計画56を作成することができる。変更後生産計画56は、変更後生産計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0040】
変更後生産計画データベースは、基準生産計画データベースと同様に、各製品種類の生産数量の単位期間(日次又は月次等)の計画を含んでいる。図7に、変更後生産計画データベースに記憶されている生産計画を例示する。この例では、11月1日から11月5日までを1日を単位期間として、11月1日及び2日の製品Aの生産台数を10台ずつ増加させて110台ずつ生産する計画に変更している。
【0041】
ステップS12では、変更後生産計画に対応する部品調達計画58が作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は部品表を用いて作成される。
【0042】
変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、部品調達計画立案部22において作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、変更後生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、変更後生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された変更後生産計画に対応する部品調達計画58は変更後部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0043】
図8に、変更後生産計画に対応する変更後部品調達計画データベースの例を示す。図8に示す基準部品調達計画データベースは、図7に示す変更後生産計画データベースの例及び図5に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0044】
ステップS14では、部品の在庫の推移66を算出する。すなわち、ステップS12で得られた変更後生産計画に対応する部品調達計画58と、部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期とに基づいて部品の在庫の変動分を算出する。この処理は部品在庫推移算出部24において行われる。
【0045】
まず、各部品について基準生産計画に対する部品調達計画54における使用数と変更後生産計画に対する部品調達計画58における使用数との差を単位期間毎に算出する。
【0046】
図9に、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例と図8に示す変更後生産計画に対する部品調達計画58の例に基づいて算出した部品イの使用数の差の算出結果を示す。例えば、11月1日では、基準生産計画に対する部品調達計画54における部品イの使用個数は100であり、変更後生産計画に対する部品調達計画58における部品イの使用個数は110であるので、部品イについての差は−10となる。同様に製品Aの生産台数を増加させた11月2日では差は−10となる。一方、製品Aの生産台数を増減させなかった11月3日から5日までは差は0となる。
【0047】
次に、部品が新たに納入されるまでのリードタイムを考慮して、部品の使用数の差の累計を算出する。部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期は、部品の仕入先毎に決められている部品納入サイクル60に基づいて求められる。部品納入サイクル60は、a−b−cの3つのパラメータにより表される。これは「a日当り、b回の納入指示(便)があり、c便遅れの納入便で部品が納入される」ことを示している。後補充方式の納入指示においては、部品を使用してc便後、すなわちac/b日後に部品が補充される。
【0048】
a−b−c=1−1−2である場合、「1日当り、1回の納入指示(便)があり、2便遅れの納入便で部品が納入される」ことを示す。この場合、1日当り1回の納入指示が行われ、納入指示からac/b=1×2/1=2日後に部品が補充される。したがって、納入指示を行う日を含めると、a(c+1)/b日がリードタイムとなる。そこで、当日を含むa(c+1)/b日部品の使用数の差の累計を単位期間毎に算出する。
【0049】
図9の例における11月1日の差の累計は、10月30日から11月1日までの3日間の差の累計であり、生産計画の初日より前の期間の差は0であるとして−10となる。11月2日の差の累計は、10月31日から11月2日までの3日間の差の累計であり、11月1日の差である−10と11月2日の差である−10とを加算して−20となる。11月3日の差の累計は、11月1日から11月3日までの3日間の差の累計であり、−20となる。11月4日の差の累計は、11月2日から11月4日までの3日間の差の累計であり、−10となる。11月5日の差の累計は、11月3日から11月5日までの3日間の差の累計であり、0となる。
【0050】
次に、生産計画に変更がなかった場合に設けられる在庫の余分である安全在庫数を考慮して部品の在庫の推移66を算出する。安全在庫は、生産計画の変更や部品の破損等によって部品の不足が発生することを防ぐために、生産工場に備えておく部品の在庫の余分である。基準となる安全在庫数は、例えば、安全在庫係数62として設定される。安全在庫係数62は、変更前の基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に対する安全在庫数の割合である。したがって、基準となる安全在庫数は、基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に安全在庫係数62を乗算することにより求めることができる。
【0051】
安全在庫の推移は、単位期間毎に基準となる安全在庫数と部品の使用数の差とに基づいて算出することができる。すなわち、単位期間毎の基準となる安全在庫数に部品の使用数の差を加算した値を安全在庫の推移として算出する。
【0052】
例えば、部品イの安全在庫係数62が25%に設定されている場合、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例に対しては11月1日から5日までの各単位期間における基準の安全在庫数は100個×0.25=25個となる。
【0053】
図9の例では、単位期間毎の部品の使用数に25個を加算することによって安全在庫の推移を算出することができ、11月1日は15個、11月2日は5個、11月3日は5個、11月4日は15個、11月5日は25個となる。
【0054】
ステップS16では、警告を出力するか否かの判定処理を行う。警告は、安全在庫の推移が所定の在庫基準値を下回った場合に出力する。警告は出力部16によりユーザに出力してもよいし、インターフェース部18により外部装置へ出力してもよい。
【0055】
在庫基準値は、例えば、在庫基準係数64によって設定される。在庫基準係数64は、変更前の基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に対する警告を出力する在庫数の割合である。したがって、在庫基準値は、基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に在庫基準係数64を乗算することにより求めることができる。
【0056】
例えば、部品イの在庫基準係数64が10%に設定されている場合、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例に対しては11月1日から5日までの各単位期間における基準の在庫基準値は100個×0.1=10個となる。
【0057】
図9の例では、安全在庫の推移は11月1日:15個、11月2日:5個、11月3日:5個、11月4日:15個、11月5日:25個であるので、在庫基準値である10個を下回る11月2日及び3日に警告を出力する。
【0058】
以上のように、部品の在庫の初期値及び部品の納入予定情報を用いることなく、生産計画に変更がなかった場合を基準として変更後の生産計画における部品の在庫を予測することができる。
【0059】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、選択嵌合品のように対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品についての在庫の予想処理について説明する。
【0060】
本実施の形態における在庫予想装置200は、図1と同じ構成を有するコンピュータにより実現される。在庫予想装置200は、図10の機能ブロック図に示すように、生産計画立案部20、部品調達計画立案部22a、部品在庫推移算出部24、警告判定部26、カード読取部28及び部品使用傾向算出部30を含んで構成される。在庫予想装置200の各部の処理は、処理部10において在庫予想プログラムを実行することによって、図11に示すフローチャートに沿って在庫予想処理を行うことで実現される。
【0061】
なお、第1の実施の形態における機能ブロックと同じ処理を行う機能ブロックについては同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施の形態においても、生産計画の変更に伴う在庫予想処理を行う前に、変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画は立案されているものとする。
【0063】
変更前の基準となる基準生産計画は入力部14から入力される製品の需要に基づいて作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。ここでの処理は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0064】
基準生産計画に対応する部品調達計画は部品表52を用いて作成される。本実施の形態における部品表52は、部品データベースとして記憶部12に登録される。部品データベースには、対象製品を生産するために必要な部品の種類、個数及び使用率が製品毎に登録される。すなわち、選択嵌合品のように対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品についての処理を対象としているので、対象製品を生産するために必要な部品の種類及び個数のみならず、その部品と排他的に使用される他の部品との使用の割合を示す使用率も登録されている。
【0065】
図12に、部品データベースの内容を例示する。以下、部品イ,部品ロ,部品ハが選択嵌合品のように互いに排他的に使用される部品であるとする。部品データベースには、生産に必要となる部品の数量及び使用率は部品毎に登録される。部品データベースの登録内容は、新製品の導入や、既存製品の仕様変更がある毎に更新される。記憶内容の追加と削除は、入力部14から行うことができる。部品データベースは、製品設計を担当する関連部署と共有されていてもよい。
【0066】
基準生産計画に対応する部品調達計画54は、部品調達計画立案部22aにおいて作成される。基準生産計画に対応する部品調達計画54は、基準生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、基準生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数及びその使用率を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された基準生産計画に対応する部品調達計画54は基準部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0067】
図13に、基準生産計画に対応する基準部品調達計画データベースの例を示す。図13に示す基準部品調達計画データベースは、図4に示す基準生産計画データベースの例及び図12に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0068】
このように変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画が立案されている状態で以下の在庫予想処理が行われる。
【0069】
ステップS10では、生産計画の変更が行われる。ここでの処理は第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0070】
ステップS20では、外れ納入タイミング指示カードの読み取りにより部品の使用実績68を取得する。この処理は、カード読取部28において行われる。
【0071】
入力部14に含まれる読取装置を用いて、所定の期間毎、例えば単位期間毎に部品の使用に伴って生じた外れ納入タイミング指示カードから部品の使用実績68を取得する。この処理は、在庫予想装置100のインターフェース部18を介して工場内に設置されている工場内端末装置に読取手段を設けておこなってもよい。
【0072】
例えば、単位期間を1日として、10月31日に使用された部品イ、部品ロ及び部品ハの使用実績68が図14に示すようにそれぞれ30個、90個及び80個であったとして以下の説明を行う。
【0073】
なお、選択嵌合品については、実寸を測定して、その測定結果に応じて嵌合させる部品との組み合わせを決め、その組み合わせにより組立ラインにどの選択嵌合品を使用するかの指示が出される。したがって、納入タイミング指示カードにより部品の使用実績68を取得する代わりに、選択嵌合品の実寸測定結果に応じた組立ラインへの指示から各部品の使用実績68を取得してもよい。
【0074】
ステップS22では、部品の使用の傾向を算出する。ステップS20で読み取った期間毎の部品の使用個数から、その期間の部品の使用傾向(使用率)70を算出する。この処理は部品使用傾向算出部30にて行われる。
【0075】
例えば、10月31日に使用された部品イ、部品ロ及び部品ハの使用個数がそれぞれ30個、90個及び80個であった場合、図15に示すように、その使用率70はそれぞれ30/(30+90+80)=15%、90/(30+90+80)=45%及び80/(30+90+80)=40%と算出される。また、図16に示すように、算出された部品の使用率70により部品データベースの内容を更新する。
【0076】
また、過去の各部品の使用数の履歴を記憶部12に記憶しておき、各部品の過去の使用数の推移を所定の関数等で外挿して、生産計画の各単位期間における使用個数及び使用率70を算出してもよい。
【0077】
ステップS24では、変更後生産計画に対応する部品調達計画58が作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は部品表を用いて作成される。
【0078】
変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、部品調達計画立案部22aにおいて作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、変更後生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、変更後生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数及びその使用率70を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された変更後生産計画に対応する部品調達計画58は変更後部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0079】
図17に、変更後生産計画に対応する変更後部品調達計画データベースの例を示す。図17に示す基準部品調達計画データベースは、図7に示す変更後生産計画データベースの例及び図16に示す更新された部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0080】
ステップS14及びステップS16では、各部品の在庫の推移の算出処理及び警告を出力するか否かの判定処理を行う。これらの処理は、各部品について上記第1の実施の形態と同様に行うものであるので説明を省略する。
【0081】
本実施の形態によれば、従来技術では困難であった選択嵌合部品のような互いに排他的に使用される複数の部品の使用予定数を予測することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 処理部、12 記憶部、14 入力部、16 出力部、18 インターフェース部、20 生産計画立案部、22,22a 部品調達計画立案部、24 部品在庫推移算出部、26 警告判定部、28 カード読取部、30 部品使用傾向算出部、52 部品表、54 部品調達計画、56 変更後生産計画、58 部品調達計画、60 部品納入サイクル、62 安全在庫係数、64 在庫基準係数(値)、66 部品在庫推移、68 部品使用実績、70 部品使用比率、100,200 在庫予想装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産物流過程における部品の在庫を予想する在庫予想装置及び在庫予想プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車やエンジン等の製品の組立工場では生産計画に従って製品が生産される。生産計画は、製品の需要、部品の供給量、物流ルート等の状況に応じて単位期間(例えば1日)毎に立案され、単位期間の生産計画を纏めて月次の生産計画等が作成される。
【0003】
一方、最小の完成品の在庫で市場の需要変動に対して柔軟に追従するために、一旦作成された生産計画に従って部品の納入を指示した後に生産計画を変更する必要が生ずる場合がある。このとき、生産計画の見直しに伴って、部品の在庫状況への影響を把握することが重要であり、変更後の生産計画の下で部品在庫がどのように推移するかを予測し、どの部品がいつ欠品になる可能性があるのかを検証しなければならない。
【0004】
特許文献1には、生産計画に対して、部品の納入を指示しても間に合わない単位期間が発生した場合に、欠品の発生が予想される部品種類と単位期間に対して代替の物流ルートを検索し、所望の生産計画の修正を行うことを可能とする技術が開示されている。ここでは、式(1)にて部品の在庫の推移を予測している。
【0005】
N日の部品在庫=N−1日の部品在庫+N日の部品納入予定数−N日の部品使用予定数
・・・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−77427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、部品の在庫の初期値(N−1日の部品在庫)と、部品の納入予定情報(N日の部品納入予定数)とを把握できなければ生産計画における欠品の予測ができない。
【0008】
例えば、部品在庫の初期値を求めるには、工場内に点在する部品置場で担当者が実際に在庫を数えたり、IDタグ等を部品箱に貼付して無線で読み取って在庫量を把握したりする必要がある。しかしながら、いずれの方法もコストや精度の観点から問題があり、実現的ではない。また、部品の納入予定情報を部品納品指示担当者や部品納品指示システム等から取得する必要がある。
【0009】
また、従来技術では、部品の中でも選択嵌合品と呼ばれる性能や信頼性等の機能確保のために適正な嵌め合いが得られるように部品の公差の中で実寸法によりランク分けした部品の使用予定数を予測することが困難である。
【0010】
選択嵌合品の使用予定数を予測することが難しい理由は、組付け作業を実施する段階(正確には、その直前の寸法計測段階)にならないと、どのランクの部品が使用されるのかが把握できないためである。上記式(1)では、将来の部品使用予定数が把握できなければ、部品の在庫推移を予測することができない。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑み、より少ない情報に基づいて部品在庫の推移を予測することを可能とする在庫予想装置及び在庫予想プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様は、対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、前記部品調達計画立案部において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、を備えることを特徴とする在庫予想装置である。
【0013】
本発明の別の態様は、コンピュータを、対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、前記部品調達計画立案部において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、して機能させることを特徴とする在庫予想プログラムである。
【0014】
ここで、前記部品在庫推移算出手段は、前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と前記基準生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数との差を前記納入周期分だけ累積して前記部品の在庫の変動分を算出することが好適である。
【0015】
また、前記部品在庫推移算出手段は、前記部品の安全在庫数と前記部品の在庫の変動分とから前記部品の在庫の有余数を算出することが好適である。
【0016】
このとき、前記部品の在庫の有余数が在庫基準値を下回った場合に警告を出力する警告判定手段を備えることが好適である。
【0017】
また、前記部品が前記対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品である場合に、前記部品調達計画立案手段は、前記基準生産計画と、前記変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数と使用比率が登録された部品情報と、に基づいて前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる前記複数の部品各々の個数を算出することが好適である。
【0018】
このとき、前記複数の部品の実際の使用比率に応じて前記部品情報に登録される使用比率を更新する部品使用傾向算出手段を備えることが好適である。
【0019】
ここで、前記複数の部品は、実寸法に応じて分けられた選択嵌合部品であることが好適である。
【0020】
また、前記複数の部品に対して単位数毎に割り当てられた納入タイミング指示カードに基づいて前記複数の部品の実際の使用量を読み取る読取手段を備え、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することが好適である。
【0021】
また、前記実寸法に対応して前記複数の部品の実際の使用量を求め、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することが好適である。
【0022】
また、前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用比率の過去の傾向に基づいて前記部品情報に登録される使用比率を更新することが好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、より少ない情報に基づいて部品在庫の推移を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る在庫予想装置の基本構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る在庫予想装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る在庫予想処理を示すフローチャートである。
【図4】基準生産計画データベースの例を示す図である。
【図5】部品データベースの例を示す図である。
【図6】基準部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図7】変更後生産計画データベースの例を示す図である。
【図8】変更後部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図9】在庫の推移を算出する処理を説明する図である。
【図10】第2の実施形態に係る在庫予想装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】第1の実施形態に係る在庫予想処理を示すフローチャートである。
【図12】部品データベースの例を示す図である。
【図13】基準部品調達計画データベースの例を示す図である。
【図14】使用された部品数の取得例を示す図である。
【図15】各部品の使用傾向(使用率)の算出例を示す図である。
【図16】部品データベースの更新例を示す図である。
【図17】変更後部品調達計画データベースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施の形態>
自動車やエンジン等の製品の組立に使用される部品の調達管理には後補充方式が知られている。後補充方式では、組立工程で使用された部品は再度使用されるという前提の下に、納入タイミング指示カードによって納品の指示が行われる。
【0026】
納入タイミング指示カードは、所定の部品を所定の期日に所定の場所に納入するための情報を有し、部品と共に工場に納入される。通常、部品は箱詰めされており、部品箱1つに1枚の納入タイミング指示カードが添付されている。部品が使用されると、納入時にその部品の部品箱に添付されていた納入タイミング指示カードが外される。この外された納入タイミング指示カードを外れ納入タイミング指示カードという。その後、外れ納入タイミング指示カードを回収し、所定の頻度で納入指示便に乗せて部品工場に運ぶ。納入指示便としては、納入便の帰り便を利用してもよい。そして、部品工場では、外れ納入タイミング指示カードにより納入すべき部品、期日及び場所を把握して、その情報に従って組立工場に部品を納入する。このようにして、生産のサイクルが構成されている。
【0027】
本発明の実施の形態における在庫予想装置100は、図1に示すように、処理部10、記憶部12、入力部14、出力部16及びインターフェース部18を含んだコンピュータにより構成される。処理部10は、いわゆるCPUであり、記憶部12、入力部14、出力部16及びインターフェース部18と情報伝達可能に接続され、これらを統合的に制御する。処理部10は、記憶部12に予め記憶されている在庫予測プログラムを実行することによって在庫予想処理を行う。記憶部12は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、光ディスク等の記憶手段を含んで構成される。記憶部12は、在庫予想プログラム、在庫予想処理において使用されるデータやパラメータ等の情報を記憶する。また、記憶部12には、在庫予想処理で使用される各種データベースが登録される。入力部14は、例えば、キーボード等の文字入力手段やマウス等のポインティングデバイスを含んで構成される。入力部14は、在庫管理者等のユーザが在庫予想装置100へ指示を行う場合、在庫予想処理に必要な情報を入力する場合に用いられる。また、外れ納入タイミング指示カードに含まれる情報を読み取るためのスキャナを含んでもよい。納入タイミング指示カードの情報がバーコード等のコードである場合にはコードを読み取るためのコードリーダとし、情報がICタグ等に記憶されている場合にはICタグの読取装置とする。出力部16は、例えば、ディスプレイ等の表示手段やプリンタ等の印刷手段を含んで構成される。出力部16は、在庫予想装置100に各種情報を入力するための入力用インターフェース画面や在庫予想装置100で得られた情報や警告を出力するために用いられる。インターフェース部18は、外部装置と在庫予想装置100を情報伝達可能に接続する。インターフェース部18は、例えば、TCP/IP等の所定のプロトコルに従って通信を行う。インターフェース部18に接続される外部装置は、例えば、工場内端末や部品工場にある納入指示受付装置等である。
【0028】
在庫予想装置100は、図2の機能ブロック図に示すように、生産計画立案部20、部品調達計画立案部22、部品在庫推移算出部24及び警告判定部26を含んで構成される。在庫予想装置100の各部の処理は、処理部10において在庫予想プログラムを実行することによって、図3に示すフローチャートに沿って在庫予想処理を行うことで実現される。
【0029】
生産計画の変更に伴う在庫予想処理を行う前に、変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画は立案されているものとする。
【0030】
変更前の基準となる基準生産計画は入力部14から入力される製品の需要に基づいて作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。ここでの処理は従来の生産計画立案処理により行うことができるので詳細な説明は省略する。例えば、生産計画の立案者が入力部14等を用いて将来の製品の生産数を単位期間毎に入力することで基準生産計画を作成することができる。基準生産計画は、基準生産計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0031】
基準生産計画データベースは、各製品種類の生産数量の単位期間(日次又は月次等)の計画を含んでいる。図4に、基準生産計画データベースに記憶されている生産計画を例示する。この例では、11月1日から11月5日までを1日を単位期間として、製品Aを100台ずつ生産する計画となっている。
【0032】
基準生産計画に対応する部品調達計画は部品表52を用いて作成される。部品表52は、記憶部12に予め部品データベースとして登録される。部品データベースには、対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数が製品毎に登録される。
【0033】
図5に、部品データベースの内容を例示する。生産に必要となる部品の種類と数量は、各製品について異なっている。部品データベースの登録内容は、新製品の導入や、既存製品の仕様変更がある毎に更新される。記憶内容の追加と削除は、入力部14から行うことができる。部品データベースは、製品設計を担当する関連部署と共有されていてもよい。
【0034】
基準生産計画に対応する部品調達計画54は、部品調達計画立案部22において作成される。基準生産計画に対応する部品調達計画54は、基準生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、基準生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された基準生産計画に対応する部品調達計画54は基準部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0035】
図6に、基準生産計画に対応する基準部品調達計画データベースの例を示す。図6に示す基準部品調達計画データベースは、図4に示す基準生産計画データベースの例及び図5に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0036】
基準生産計画データベース及び部品データベースは、在庫予想装置100のインターフェース部18を介して工場内に設置されている工場内端末装置に接続され、これらの装置と共有されてもよい。工場内端末は、例えば各生産ラインに設置されているコンピュータや部品の配送を担当する部署に設置されているコンピュータ等の生産計画に関する指示を受信する端末や生産計画企画部や生産管理部等の生産計画の立案および修正を行う関連部署の端末である。基準生産計画データベース及び部品データベースの内容は、工場内端末からの指示によって、あるいは入力部14を用いて書き換えることができる。
【0037】
このように変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画が立案されている状態で以下の在庫予想処理が行われる。
【0038】
ステップS10では、生産計画の変更が行われる。すなわち、製品の需要の変動等の要因に応じて、変更前の基準生産計画を変更して変更後の変更後生産計画56が作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。
【0039】
例えば、基準生産計画データベースの内容を記憶部12から読み出し、その内容を出力部16にて生産計画の立案者に提示する。立案者は、製品の需要の変動等に応じて、入力部14を用いて、基準生産計画における製品の単位期間毎の生産数を変更することで変更後生産計画56を作成することができる。変更後生産計画56は、変更後生産計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0040】
変更後生産計画データベースは、基準生産計画データベースと同様に、各製品種類の生産数量の単位期間(日次又は月次等)の計画を含んでいる。図7に、変更後生産計画データベースに記憶されている生産計画を例示する。この例では、11月1日から11月5日までを1日を単位期間として、11月1日及び2日の製品Aの生産台数を10台ずつ増加させて110台ずつ生産する計画に変更している。
【0041】
ステップS12では、変更後生産計画に対応する部品調達計画58が作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は部品表を用いて作成される。
【0042】
変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、部品調達計画立案部22において作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、変更後生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、変更後生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された変更後生産計画に対応する部品調達計画58は変更後部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0043】
図8に、変更後生産計画に対応する変更後部品調達計画データベースの例を示す。図8に示す基準部品調達計画データベースは、図7に示す変更後生産計画データベースの例及び図5に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0044】
ステップS14では、部品の在庫の推移66を算出する。すなわち、ステップS12で得られた変更後生産計画に対応する部品調達計画58と、部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期とに基づいて部品の在庫の変動分を算出する。この処理は部品在庫推移算出部24において行われる。
【0045】
まず、各部品について基準生産計画に対する部品調達計画54における使用数と変更後生産計画に対する部品調達計画58における使用数との差を単位期間毎に算出する。
【0046】
図9に、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例と図8に示す変更後生産計画に対する部品調達計画58の例に基づいて算出した部品イの使用数の差の算出結果を示す。例えば、11月1日では、基準生産計画に対する部品調達計画54における部品イの使用個数は100であり、変更後生産計画に対する部品調達計画58における部品イの使用個数は110であるので、部品イについての差は−10となる。同様に製品Aの生産台数を増加させた11月2日では差は−10となる。一方、製品Aの生産台数を増減させなかった11月3日から5日までは差は0となる。
【0047】
次に、部品が新たに納入されるまでのリードタイムを考慮して、部品の使用数の差の累計を算出する。部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期は、部品の仕入先毎に決められている部品納入サイクル60に基づいて求められる。部品納入サイクル60は、a−b−cの3つのパラメータにより表される。これは「a日当り、b回の納入指示(便)があり、c便遅れの納入便で部品が納入される」ことを示している。後補充方式の納入指示においては、部品を使用してc便後、すなわちac/b日後に部品が補充される。
【0048】
a−b−c=1−1−2である場合、「1日当り、1回の納入指示(便)があり、2便遅れの納入便で部品が納入される」ことを示す。この場合、1日当り1回の納入指示が行われ、納入指示からac/b=1×2/1=2日後に部品が補充される。したがって、納入指示を行う日を含めると、a(c+1)/b日がリードタイムとなる。そこで、当日を含むa(c+1)/b日部品の使用数の差の累計を単位期間毎に算出する。
【0049】
図9の例における11月1日の差の累計は、10月30日から11月1日までの3日間の差の累計であり、生産計画の初日より前の期間の差は0であるとして−10となる。11月2日の差の累計は、10月31日から11月2日までの3日間の差の累計であり、11月1日の差である−10と11月2日の差である−10とを加算して−20となる。11月3日の差の累計は、11月1日から11月3日までの3日間の差の累計であり、−20となる。11月4日の差の累計は、11月2日から11月4日までの3日間の差の累計であり、−10となる。11月5日の差の累計は、11月3日から11月5日までの3日間の差の累計であり、0となる。
【0050】
次に、生産計画に変更がなかった場合に設けられる在庫の余分である安全在庫数を考慮して部品の在庫の推移66を算出する。安全在庫は、生産計画の変更や部品の破損等によって部品の不足が発生することを防ぐために、生産工場に備えておく部品の在庫の余分である。基準となる安全在庫数は、例えば、安全在庫係数62として設定される。安全在庫係数62は、変更前の基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に対する安全在庫数の割合である。したがって、基準となる安全在庫数は、基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に安全在庫係数62を乗算することにより求めることができる。
【0051】
安全在庫の推移は、単位期間毎に基準となる安全在庫数と部品の使用数の差とに基づいて算出することができる。すなわち、単位期間毎の基準となる安全在庫数に部品の使用数の差を加算した値を安全在庫の推移として算出する。
【0052】
例えば、部品イの安全在庫係数62が25%に設定されている場合、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例に対しては11月1日から5日までの各単位期間における基準の安全在庫数は100個×0.25=25個となる。
【0053】
図9の例では、単位期間毎の部品の使用数に25個を加算することによって安全在庫の推移を算出することができ、11月1日は15個、11月2日は5個、11月3日は5個、11月4日は15個、11月5日は25個となる。
【0054】
ステップS16では、警告を出力するか否かの判定処理を行う。警告は、安全在庫の推移が所定の在庫基準値を下回った場合に出力する。警告は出力部16によりユーザに出力してもよいし、インターフェース部18により外部装置へ出力してもよい。
【0055】
在庫基準値は、例えば、在庫基準係数64によって設定される。在庫基準係数64は、変更前の基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に対する警告を出力する在庫数の割合である。したがって、在庫基準値は、基準生産計画における単位期間当りの部品の必要数に在庫基準係数64を乗算することにより求めることができる。
【0056】
例えば、部品イの在庫基準係数64が10%に設定されている場合、図6に示す基準生産計画に対する部品調達計画54の例に対しては11月1日から5日までの各単位期間における基準の在庫基準値は100個×0.1=10個となる。
【0057】
図9の例では、安全在庫の推移は11月1日:15個、11月2日:5個、11月3日:5個、11月4日:15個、11月5日:25個であるので、在庫基準値である10個を下回る11月2日及び3日に警告を出力する。
【0058】
以上のように、部品の在庫の初期値及び部品の納入予定情報を用いることなく、生産計画に変更がなかった場合を基準として変更後の生産計画における部品の在庫を予測することができる。
【0059】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、選択嵌合品のように対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品についての在庫の予想処理について説明する。
【0060】
本実施の形態における在庫予想装置200は、図1と同じ構成を有するコンピュータにより実現される。在庫予想装置200は、図10の機能ブロック図に示すように、生産計画立案部20、部品調達計画立案部22a、部品在庫推移算出部24、警告判定部26、カード読取部28及び部品使用傾向算出部30を含んで構成される。在庫予想装置200の各部の処理は、処理部10において在庫予想プログラムを実行することによって、図11に示すフローチャートに沿って在庫予想処理を行うことで実現される。
【0061】
なお、第1の実施の形態における機能ブロックと同じ処理を行う機能ブロックについては同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施の形態においても、生産計画の変更に伴う在庫予想処理を行う前に、変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画は立案されているものとする。
【0063】
変更前の基準となる基準生産計画は入力部14から入力される製品の需要に基づいて作成される。この処理は生産計画立案部20により行われる。ここでの処理は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0064】
基準生産計画に対応する部品調達計画は部品表52を用いて作成される。本実施の形態における部品表52は、部品データベースとして記憶部12に登録される。部品データベースには、対象製品を生産するために必要な部品の種類、個数及び使用率が製品毎に登録される。すなわち、選択嵌合品のように対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品についての処理を対象としているので、対象製品を生産するために必要な部品の種類及び個数のみならず、その部品と排他的に使用される他の部品との使用の割合を示す使用率も登録されている。
【0065】
図12に、部品データベースの内容を例示する。以下、部品イ,部品ロ,部品ハが選択嵌合品のように互いに排他的に使用される部品であるとする。部品データベースには、生産に必要となる部品の数量及び使用率は部品毎に登録される。部品データベースの登録内容は、新製品の導入や、既存製品の仕様変更がある毎に更新される。記憶内容の追加と削除は、入力部14から行うことができる。部品データベースは、製品設計を担当する関連部署と共有されていてもよい。
【0066】
基準生産計画に対応する部品調達計画54は、部品調達計画立案部22aにおいて作成される。基準生産計画に対応する部品調達計画54は、基準生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、基準生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数及びその使用率を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された基準生産計画に対応する部品調達計画54は基準部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0067】
図13に、基準生産計画に対応する基準部品調達計画データベースの例を示す。図13に示す基準部品調達計画データベースは、図4に示す基準生産計画データベースの例及び図12に示す部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0068】
このように変更前の基準となる基準生産計画とそれに伴う部品調達計画が立案されている状態で以下の在庫予想処理が行われる。
【0069】
ステップS10では、生産計画の変更が行われる。ここでの処理は第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0070】
ステップS20では、外れ納入タイミング指示カードの読み取りにより部品の使用実績68を取得する。この処理は、カード読取部28において行われる。
【0071】
入力部14に含まれる読取装置を用いて、所定の期間毎、例えば単位期間毎に部品の使用に伴って生じた外れ納入タイミング指示カードから部品の使用実績68を取得する。この処理は、在庫予想装置100のインターフェース部18を介して工場内に設置されている工場内端末装置に読取手段を設けておこなってもよい。
【0072】
例えば、単位期間を1日として、10月31日に使用された部品イ、部品ロ及び部品ハの使用実績68が図14に示すようにそれぞれ30個、90個及び80個であったとして以下の説明を行う。
【0073】
なお、選択嵌合品については、実寸を測定して、その測定結果に応じて嵌合させる部品との組み合わせを決め、その組み合わせにより組立ラインにどの選択嵌合品を使用するかの指示が出される。したがって、納入タイミング指示カードにより部品の使用実績68を取得する代わりに、選択嵌合品の実寸測定結果に応じた組立ラインへの指示から各部品の使用実績68を取得してもよい。
【0074】
ステップS22では、部品の使用の傾向を算出する。ステップS20で読み取った期間毎の部品の使用個数から、その期間の部品の使用傾向(使用率)70を算出する。この処理は部品使用傾向算出部30にて行われる。
【0075】
例えば、10月31日に使用された部品イ、部品ロ及び部品ハの使用個数がそれぞれ30個、90個及び80個であった場合、図15に示すように、その使用率70はそれぞれ30/(30+90+80)=15%、90/(30+90+80)=45%及び80/(30+90+80)=40%と算出される。また、図16に示すように、算出された部品の使用率70により部品データベースの内容を更新する。
【0076】
また、過去の各部品の使用数の履歴を記憶部12に記憶しておき、各部品の過去の使用数の推移を所定の関数等で外挿して、生産計画の各単位期間における使用個数及び使用率70を算出してもよい。
【0077】
ステップS24では、変更後生産計画に対応する部品調達計画58が作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は部品表を用いて作成される。
【0078】
変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、部品調達計画立案部22aにおいて作成される。変更後生産計画に対応する部品調達計画58は、変更後生産計画データベース及び部品データベースに基づいて作成される。すなわち、変更後生産計画データベースに含まれている各製品について、部品データベースに登録されている各製品の組立に必要な部品の個数を抽出し、各単位期間に生産が予定されている各製品の個数にその組立に必要な部品の個数及びその使用率70を乗算して、各単位期間に必要な部品の個数を算出して作成される。作成された変更後生産計画に対応する部品調達計画58は変更後部品調達計画データベースとして記憶部12に記憶される。
【0079】
図17に、変更後生産計画に対応する変更後部品調達計画データベースの例を示す。図17に示す基準部品調達計画データベースは、図7に示す変更後生産計画データベースの例及び図16に示す更新された部品データベースの例に基づいて作成した例である。
【0080】
ステップS14及びステップS16では、各部品の在庫の推移の算出処理及び警告を出力するか否かの判定処理を行う。これらの処理は、各部品について上記第1の実施の形態と同様に行うものであるので説明を省略する。
【0081】
本実施の形態によれば、従来技術では困難であった選択嵌合部品のような互いに排他的に使用される複数の部品の使用予定数を予測することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 処理部、12 記憶部、14 入力部、16 出力部、18 インターフェース部、20 生産計画立案部、22,22a 部品調達計画立案部、24 部品在庫推移算出部、26 警告判定部、28 カード読取部、30 部品使用傾向算出部、52 部品表、54 部品調達計画、56 変更後生産計画、58 部品調達計画、60 部品納入サイクル、62 安全在庫係数、64 在庫基準係数(値)、66 部品在庫推移、68 部品使用実績、70 部品使用比率、100,200 在庫予想装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、
前記部品調達計画立案手段において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、
を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項2】
請求項1に記載の在庫予想装置であって、
前記部品在庫推移算出手段は、前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と前記基準生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数との差を前記納入周期分だけ累積して前記部品の在庫の変動分を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の在庫予想装置であって、
前記部品在庫推移算出手段は、前記部品の安全在庫数と前記部品の在庫の変動分とから前記部品の在庫の有余数を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項4】
請求項3に記載の在庫予想装置であって、
前記部品の在庫の有余数が在庫基準値を下回った場合に警告を出力する警告判定手段を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記部品が前記対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品である場合に、
前記部品調達計画立案手段は、前記基準生産計画と、前記変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数と使用比率が登録された部品情報と、に基づいて前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる前記複数の部品各々の個数を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項6】
請求項5に記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品の実際の使用比率に応じて前記部品情報に登録される使用比率を更新する部品使用傾向算出手段を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品は、実寸法に応じて分けられた選択嵌合部品であることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品に対して単位数毎に割り当てられた納入タイミング指示カードに基づいて前記複数の部品の実際の使用量を読み取る読取手段を備え、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項9】
請求項7に記載の在庫予想装置であって、
前記実寸法に対応して前記複数の部品の実際の使用量を求め、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用比率の過去の傾向に基づいて前記部品情報に登録される使用比率を更新することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項11】
コンピュータを、
対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、
前記部品調達計画立案手段において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、
して機能させることを特徴とする在庫予想プログラム。
【請求項1】
対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、
前記部品調達計画立案手段において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、
を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項2】
請求項1に記載の在庫予想装置であって、
前記部品在庫推移算出手段は、前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と前記基準生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数との差を前記納入周期分だけ累積して前記部品の在庫の変動分を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の在庫予想装置であって、
前記部品在庫推移算出手段は、前記部品の安全在庫数と前記部品の在庫の変動分とから前記部品の在庫の有余数を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項4】
請求項3に記載の在庫予想装置であって、
前記部品の在庫の有余数が在庫基準値を下回った場合に警告を出力する警告判定手段を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記部品が前記対象製品の生産において互いに排他的に使用される複数の部品である場合に、
前記部品調達計画立案手段は、前記基準生産計画と、前記変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数と使用比率が登録された部品情報と、に基づいて前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる前記複数の部品各々の個数を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項6】
請求項5に記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品の実際の使用比率に応じて前記部品情報に登録される使用比率を更新する部品使用傾向算出手段を備えることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品は、実寸法に応じて分けられた選択嵌合部品であることを特徴とする在庫予想装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記複数の部品に対して単位数毎に割り当てられた納入タイミング指示カードに基づいて前記複数の部品の実際の使用量を読み取る読取手段を備え、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項9】
請求項7に記載の在庫予想装置であって、
前記実寸法に対応して前記複数の部品の実際の使用量を求め、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用量から前記複数の部品の実際の使用比率を算出することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1つに記載の在庫予想装置であって、
前記部品使用傾向算出手段は、前記複数の部品の実際の使用比率の過去の傾向に基づいて前記部品情報に登録される使用比率を更新することを特徴とする在庫予想装置。
【請求項11】
コンピュータを、
対象製品の生産量を期間毎に定めた基準となる基準生産計画と、前記基準生産計画において期間毎に定められた生産量を変更した変更後生産計画と、前記対象製品を生産するために必要な部品の種類と個数とが登録された部品情報と、に基づいて、前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数を算出する部品調達計画立案手段と、
前記部品調達計画立案手段において算出された前記基準生産計画及び前記変更後生産計画において期間毎に必要とされる部品の個数と、前記部品の納入指示から実際の納入までの時間である納入周期と、に基づいて、前記部品の在庫の変動分を算出する部品在庫推移算出手段と、
して機能させることを特徴とする在庫予想プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−176159(P2010−176159A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14891(P2009−14891)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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