説明

地上デジタル放送ネットワークシステム及び情報伝送方法

【課題】各局間をSTL/TTL回線で接続したシステムにあって、末端の中継局を除いて専用の通信回線を用意することなくテレビジョン放送TS以外の情報の伝送を実現できるようにした地上デジタル放送ネットワークシステムを提供する。
【解決手段】演奏所1と末端となる中継局6との間をSTL/TTL回線とは異なる通信回線により接続することで、ループ化するとともに、ヌルパケットといった放送情報の利用していない区間を利用して、そのヌルパケットの代わりに、各種LANデータのLANデータパケットを伝送することにより、各演奏所1、親局2、中継局3〜6内の機器の監視制御や監視カメラM2〜M6及びAIRモニタの画像伝送、各演奏所1、親局2、中継局3〜6における社内電話やパーソナル・コンピュータ等の情報機器の接続といった付加サービスを要求し実行できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地上デジタル放送の多段中継伝送を行う地上デジタル放送ネットワークシステム及び情報伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運用が開始されている地上デジタル放送では、放送プログラムを伝送する手段として、マイクロ波回線などのSTL(Studio to Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)回線により演奏所(スタジオ)、放送送信所(親局)、各中継局間を接続し、このSTL/TTL回線を利用した多段中継が行われている。
【0003】
ところで、上記地上デジタル放送では、演奏所と放送送信所、各中継局間において、機器の監視制御を行う必要がある。このため、演奏所と放送送信所、各中継局間をSTL/TTL回線の他に、監視・制御のためのアナログ公衆回線や携帯電話網、インターネットといった通信回線で接続し、この通信回線を介して機器の監視・制御情報を伝送するようにしている。
【0004】
しかしながら、地上デジタル放送の放送送信所、各中継局における機器の監視制御において、通信回線が繋がりにくい場合や、災害等で通信回線が断になった場合には、その局の機器の監視制御はできなくなってしまう。また、監視制御のための回線の費用もかかっている。
【0005】
なお、この種に関連する従来技術として、特許文献1に、STL/TTL伝送パケットに特定領域を設けて、この特定領域に監視・制御情報を挿入してSTL/TTL回線に送信する手法が提案されている。但し、この特許文献1に記載のものは、中継伝送を行う場合に、遅延時間が増えてしまうことを問題としており、通信回線が断になった場合に対する監視・制御情報の伝送対策に関するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−165753公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、演奏所と放送送信所、各中継局間をSTL/TTL回線とは別に、通信回線により接続し、通信回線を介して監視・制御情報を伝送する手法では、通信回線が断になった場合には監視・制御情報を伝送することができず、また通信回線の維持費用や通信トラフィックに関する問題もあり、有効な対策が強く望まれていた。
【0008】
そこで、この発明の目的は、演奏所と放送送信所、各中継局間をSTL/TTL回線で接続したシステムにあって、末端の中継局を除き専用の通信回線を用意することなくテレビジョン放送TS以外の情報の伝送を実現できるようにした地上デジタル放送ネットワークシステム及び情報伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明に係る地上デジタル放送ネットワークシステムは、放送帯域を複数階層に分割し、各階層に割り当てられるテレビジョン放送用のTS(Transport Stream)パケットからなる放送情報をSTL(Studio to Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)回線で接続される演奏所(スタジオ)と放送送信所(親局)、各中継局の伝送を多段中継で行う地上デジタル放送ネットワークシステムにおいて、複数の中継局のうち末端となる中継局と演奏所との間をSTL/TTL回線とは異なる通信回線により接続し、放送送信所(親局)、各中継局は、情報伝送要求発生時に、放送情報の利用していない区間にテレビジョン放送情報以外の情報を挿入して送信する送信手段と、受信した放送情報中の利用していない区間に情報が挿入されていた場合に、当該情報の内容に応じたサービスを実行するサービス実行手段とを備えるようにしたものである。
【0010】
この構成によれば、末端となる中継局と演奏所との間をSTL/TTL回線とは異なる通信回線により接続することで、ループ化するとともに、ヌルパケットといった放送情報の利用していない区間を利用して、ヌルパケットの代わりに放送送信所、各中継局の機器の監視制御や監視カメラ及びAIRモニタの画像伝送、放送送信所、各中継局における社内電話やパーソナル・コンピュータ等の情報機器の接続といった付加サービスを要求し実行することが可能となる。
【0011】
従って、末端中継局を除き監視制御回線が敷けないところでも局の監視制御を行うことができる。また、災害時においてその局の監視制御回線が断となっても当該局の状態を監視制御することができる。さらに、地上デジタル放送とは別の新たなプログラムを伝送するために新たにSTL/TTL回線を構築する必要がなくプログラムを伝送することができるようになり、回線費用の削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、演奏所と放送送信所、各中継局間をSTL/TTL回線で接続したシステムにあって、末端中継局を除き専用の通信回線を用意することなくテレビジョン放送TS以外の情報の伝送を実現できるようにした地上デジタル放送ネットワークシステム及び情報伝送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る地上デジタル放送ネットワークシステムの第1の実施形態を示す概略構成図。
【図2】上記図1に示した演奏所と親局と各中継局との接続構成を示すブロック図。
【図3】上記図2における再多重装置出力パケット信号出力例を示す図。
【図4】上記図1に示した演奏所、親局、各中継局にて、TS信号のヌルパケットにてLANデータを伝送する時の処理手順を示すフローチャート。
【図5】同第1の実施形態における親局の送信機器の電源オン/オフ制御動作を説明するために示す図。
【図6】同第1の実施形態における情報送信要求動作を説明するために示す図。
【図7】この発明に係る地上デジタル放送ネットワークシステムの第2の実施形態を示す概略構成図。
【図8】上記図7に示した演奏所において、TS信号のヌルパケットにて新たな他プログラムを伝送する時の処理手順を示すフローチャート。
【図9】上記図7に示した親局及び各中継局において、TS信号のヌルパケットにて新たな他プログラムを伝送する時の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係る地上デジタル放送ネットワークシステムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【0015】
このシステムは、演奏所1と、親局2と、中継局3〜6とを有し、演奏所1と親局2との間をSTL回線で接続し、親局2と中継局3との間をTTL回線で接続し、中継局3と中継局4との間、中継局4と中継局5との間、中継局5と中継局6との間をそれぞれTTL回線で接続している。そして、末端となる中継局6と演奏所1との間を光回線等による通信回線により接続している。
【0016】
また、演奏所1は、パーソナル・コンピュータPC1と、電話機T1と、制御器CR1とを備えている。また、親局2は、パーソナル・コンピュータPC2と、電話機T2と、制御器CR2と、監視カメラM2とを備えている。さらに、中継局3〜6も、親局2と同様に、パーソナル・コンピュータPC3〜PC6と、電話機T3〜T6と、制御機器CR3〜CR6と、監視カメラM3〜M6とを備えている。
【0017】
図2は、演奏所1と親局2と各中継局3〜6との接続構成を示すブロック図である。ここでは、各中継局3〜6において、同様な構成であるので、演奏所1と親局2と中継局6との接続構成を代表として説明する。
【0018】
図2において、演奏所1は、再多重装置11と、LANデータ送信装置12と、64QAM変調装置13と、マイクロ波送信装置14と、マイクロ波送信アンテナ15と、回線インタフェース部16と、LANデータ受信装置17とを備える。
【0019】
まず、再多重装置11は、MPEG2システムズに規定されるTSパケット(番組情報)を入力し、放送波の伝送パラメータで決定する多重フレームパターンに従って、各パケットが属する階層を定めると共に、その伝送パラメータ(パケット階層情報、各階層の放送用符号化率、各階層の放送用変調方法、放送用インターリーブ長)を示すTMCC(Transmission Mode Configuration Control)信号を生成するものである。
【0020】
再多重装置11から出力されるパケットと階層情報は、LANデータ送信装置12に入力される。また、LANデータ送信装置12には、パーソナル・コンピュータPC1、電話機T1、制御機器CR1などから発生されるLAN(Local Area Network)データが入力される。
【0021】
図3に示すように再多重装置11からは、TMCC情報を基に、STL/TTL回線のように伝送可能情報量が放送波での伝送可能容量より大きい場合には、ダミーパケットのような47H同期バイトを含んだパケットや無効なヌルパケットが追加される。
【0022】
そして、LANデータ送信装置12では、LANデータであることを示すパケットID及び宛先となる局を示すアドレスIDを付加し、LANデータパケットとして従来のヌルパケットの代わりに挿入して、64QAM変調装置13に送出する。
【0023】
64QAM変調装置13の出力は、マイクロ波送信装置14に送られる。このマイクロ波送信装置14は、64QAM変調装置13の出力をSTL回線伝送用マイクロ波帯に周波数変換し電力増幅して、TS信号を64QAM信号として送信アンテナ15より送信するものである。
【0024】
上記演奏所1の送信アンテナ15から送信された信号は、親局2における受信アンテナ21及びマイクロ波受信装置22で受信検波され、ベースバンド信号に変換されて、64QAM復調装置23によりフレーム同期信号、TSパケットが復調される。
【0025】
親局2において、QAM復調装置23の復調出力はLANデータ送受信装置24に入力される。また、QAM復調装置23の復調出力はOFDM変調装置25に入力され、中継局送信機26及び送信アンテナ27を介して放送波として送出される。
【0026】
LANデータ送受信装置24はLANデータパケット中に自局宛のLANデータが挿入されている場合には、当該LANデータを抽出し、抽出後ヌルパケットに置き換える。送信すべきLANデータがある場合には、LANデータをLANデータパケットとしてヌルパケットの代わりに、LANデータであることを示すパケットID及び宛先となる局を示すアドレスIDを付加し挿入するとともに、64QAM装置28に送出する。
【0027】
64QAM変調装置28の出力は、マイクロ波送信装置29に送られる。このマイクロ波送信装置29は、64QAM変調装置28の出力をTTL回線伝送用マイクロ波帯に周波数変換し電力増幅して、送信アンテナ20より送信するものである。
【0028】
上記親局2の送信アンテナ20から送信された信号は、中継局3で受信検波される。なお、中継局3〜5の処理は、親局2の処理と同様であるので省略する。
【0029】
上記中継局5から送信された信号は、中継局6における受信アンテナ61及びマイクロ波受信装置62で受信検波され、ベースバンド信号に変換されて、64QAM復調装置63によりフレーム同期信号、TSパケットが復調される。
【0030】
中継局6において、QAM復調装置63の復調出力はLANデータ送受信装置64に入力される。また、QAM復調装置63の復調出力はOFDM変調装置65に入力され、中継局送信機66及び送信アンテナ67を介して放送波として送出される。
【0031】
LANデータ送受信装置64はLANデータパケット中に自局宛のLANデータが挿入されている場合には、当該LANデータを抽出し、抽出後ヌルパケットに置き換える。送信すべきLANデータがある場合には、LANデータをLANデータパケットとしてヌルパケットの代わりにLANデータであることを示すパケットID及び宛先となる局を示すアドレスIDを付加し挿入する。
【0032】
また、LANデータ送受信装置64の出力は、回線インタフェース部68により通信回線を介して演奏所1に送られる。
【0033】
演奏所1では中継局6より通信回線を介して送られてきたLANデータを回線インタフェース部16を介してLANデータ受信装置17で受信する。
【0034】
次に、上記構成における動作について説明する。
図4は、演奏所1、親局2、各中継局3〜6にて、TS信号のヌルパケットの代わりにLANデータをLANデータパケットとして伝送する時の処理手順を示すフローチャートである。ここでは、親局2を代表して説明する。
【0035】
親局2のLANデータ送受信装置24は、TS信号を受信し、パケットIDにてヌルパケットかどうか判断する(ステップST4a)。ヌルパケットの場合は、ステップST4aからステップST4bに移行してここで自局に送出するLANデータがある場合にはそのヌルパケットの代わりに自局が送出するLANデータを、パケットIDや送り先アドレスやデータを加えてLANデータパケットとして次の局へ送出する(ステップST4c)。
【0036】
一方、自局に送出するLANデータがない場合には、親局2のLANデータ送受信装置24はそのままヌルパケットを次の局へ送出する(ステップST4d)。
【0037】
上記ステップST4aにおいてヌルパケットでない場合、親局2のLANデータ送受信装置24はパケットIDで放送プログラムかどうかを判断する(ステップST4e)。放送プログラムの場合は、そのまま受信した放送プログラムを次の局へ送出する(ステップST4f)。
【0038】
一方、放送プログラムでない場合、親局2のLANデータ送受信装置24はパケットIDにてLANデータどうか判断する(ステップST4g)。ここで、LANデータでない場合、親局2のLANデータ送受信装置24は上記ステップST4fに移行してそのまま受信したパケットを次の局へ送出する。
【0039】
一方、パケットIDにてLANデータと判断した場合、親局2のLANデータ送受信装置24はアドレスIDにて自局宛のデータかどうか判断する(ステップST4h)。自局宛のデータでない場合には、上記ステップST4fに移行してそのまま受信したLANデータのパケットを次の局へ送出する。
【0040】
アドレスIDで自局宛のデータと判断した場合には、親局2のLANデータ送受信装置24はLANデータを受信する(ステップST4i)。そして、自局に送出するLANデータがあり、受信した自局宛のLANデータのパケットを、自局が送出するLANデータのパケットに相手先のアドレスIDやデータを書換えてLANデータとしてパケットを次の局へ送出する。自局に送出するLANデータがない場合にヌルパケットに書き換えて次の局へ送出する。
【0041】
(親局2の制御機器の電源オン/オフ制御)
いま、図5に示すように親局2の制御機器CR2の電源がオンであるとする。このとき、演奏所1のユーザが制御機器CR1を操作して親局2の制御機器CR2の電源をオンからオフに制御したとする。そうすると、演奏所1は、TS信号のヌルパケットの代わりに制御機器CR2の電源をオンからオフにする旨を示す制御情報、例えば「%0001」をLANデータとして、親局2を示すアドレスID及びLANデータを示すパケットIDを付加してLANデータパケットとして挿入して、親局2へ送信する。
【0042】
親局2は、STL回線を介してLANデータパケットを受信すると、まずこのLANデータパケットに付加されるアドレスID及びパケットIDから自局宛のLANデータが挿入されているかを判定する。そして、自局宛の制御情報が挿入されていれば、当該情報の内容に従い制御機器CR2の電源をオンからオフに制御する。そして、制御を終了すると、「正常」を挿入したLANデータパケットを中継局3〜6経由で要求元の演奏所1へ返送する。
【0043】
かくして、演奏所1のユーザは、親局2の制御機器CR2の電源を遠隔操作でオン/オフ切替を行うことができる。
【0044】
(情報送信要求動作)
いま図6に示すように演奏所1のユーザが中継局3の状態を表す情報を取得するべくパーソナル・コンピュータPC1を操作したとする。この場合、演奏所1は、ヌルパケットの代わりに、中継局3の状態を取得するための要求情報、例えば「%0010」のLANデータを、中継局3を示すアドレスID及びLANデータを示すパケットIDを付加してLANデータパケットとして挿入して、親局2へ送信する。
【0045】
親局2は、LANデータパケットを受信すると、まずこのLANデータパケットに付加されるアドレスID及びパケットIDから自局宛のLANデータが挿入されているかを判定する。ここでは、自局宛ではないので、次の中継局3にLANデータパケットをそのままを送信する。
【0046】
中継局3は、LANデータパケットを受信すると、まずこのLANデータパケットに付加されるアドレスID及びパケットIDから自局宛のLANデータが挿入されているかを判定する。そして、自局宛の要求情報「%0010」が挿入されていれば、当該情報の内容に従い、監視カメラM3で撮影される監視画像データをヌルパケットの代わりに、演奏所1を示すアドレスID及びLANデータを示すパケットIDを付加してLANデータパケットとして中継局4〜6経由で要求元の演奏所1へ返送する。
【0047】
演奏所1は、LANデータパケットを受信すると、まずこのLANデータパケットに付加されるアドレスID及びパケットIDから自局宛のLANデータが挿入されているかを判定する。そして、自局宛の監視画像データが挿入されていれば、監視画像データをパーソナル・コンピュータPC1に転送して表示させる。
【0048】
かくして、演奏所1のユーザは、パーソナル・コンピュータPC1により中継局3の状態をリアルタイムに確認することができる。
【0049】
以上のように上記第1の実施形態では、末端となる中継局6と演奏所1との間をSTL/TTL回線とは異なる通信回線により接続することで、ループ化するとともに、ヌルパケットといった放送情報の利用していない区間を利用してヌルパケットの代わりにLANデータパケットを伝送することにより各演奏所1、親局2、中継局3〜6内の機器の監視制御や監視カメラM2〜M6及びAIRモニタの画像伝送、各演奏所1、親局2、中継局3〜6における社内電話やパーソナル・コンピュータ等の情報機器の接続といった付加サービスを要求し実行できるようにしている。
【0050】
従って、各演奏所1、親局2、中継局3〜6にそれぞれ監視制御回線を敷設することなく、STL/TTL回線を利用して各演奏所1、親局2、中継局3〜6の監視制御を行うことができる。また、災害時においてその局の監視制御回線が断となっても当該局の状態を監視制御することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
図7は、この発明に係る地上デジタル放送ネットワークシステムの第2の実施形態を示す概略構成図である。なお、図7において、上記図1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
この第2の実施形態は、TS信号の放送情報の利用していない区間のヌルパケットを用いて、ヌルパケットの代わりに地上デジタル放送と同じ送信所へ地上デジタル放送とは別の新たな他プログラム(マルチメディア放送・・デジタルラジオ、新型コミュニティ、ポータルサービス等)の伝送を行なうシステムである。
【0053】
図8は、上記演奏所1において、TS信号の放送情報の利用していない区間のヌルパケットを用いて、ヌルパケットの代わりに地上デジタル放送とは別の新たな他プログラムを伝送する時の処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
演奏所1は、再多重装置11の出力のTS信号に対して、パケットIDにてヌルパケットかどうか判断する(ステップST8a)。ここで、ヌルパケットでない場合はそのまま再多重装置11の出力のTS信号を送出する(ステップST8b)。
【0055】
一方、ヌルパケットの場合は、送出すべき地上デジタル放送とは別の新たな他プログラム(マルチメディア放送・・デジタルラジオ、新型コミュニティ、ポータルサービス等)があるか否かを判断し(ステップST8c)、送出すべき新たな他プログラムがある場合には、送出すべき新たな他プログラムのパケットIDやデータに書き換えて、ヌルパケットの代わりに、新たなプログラムを送出するパケットとして、パケットを送出する(ステップST8d)。一方、送出する新たな他プログラムがない場合には、ヌルパケットをそのまま送出する(ステップST8e)。
【0056】
図9は、上記親局2及び各中継局3〜6において、TS信号のヌルパケットの代わりに新たな他プログラムのパケットを伝送する時の処理手順を示すフローチャートである。
【0057】
親局2、各中継局3〜6では、TS信号を分配し(ステップST9a)、一方は次の中継所へ伝送する。もう一方はパケットIDを検出して地上デジタル放送であるか否かを判断し(ステップST9c)、地上デジタル放送の場合はそのプログラムを受信して地上デジタル放送を放送する(ステップST9d)。
【0058】
さらに、他の一方はパケットIDを検出して新たな他プログラム(マルチメディア放送・・デジタルラジオ、新型コミュニティ、ポータルサービス等)であるか否かを判断し(ステップST9e)、地上デジタル放送とは別の新たな他プログラムの場合は、そのプログラムを受信して、新たな他プログラム(マルチメディア放送・・デジタルラジオ、新型コミュニティ、ポータルサービス等)を放送する(ステップST9f)。
【0059】
なお、上記ステップST9c及びステップST9eにおいて、いずれにも該当しない場合には、TS信号のパケットを破棄する(ステップST9g及びステップST9h)。
【0060】
以上のように上記第2の実施形態であっても、上記第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができ、さらに、新たなプログラムを伝送するために新たにSTL/TTL回線を構築する必要がなくプログラムを伝送することができるようになり、回線費用の削減を図ることができる。
【0061】
(その他の実施形態)
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態では、4個の中継局を備える例について説明したが、さらに多段の中継局であってもよい。
【0062】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…演奏所、2…親局、3〜6…中継局、11…再多重装置、12…LANデータ送受信装置、13,28…64QAM変調装置、14,29…マイクロ波送信装置、15,20…送信アンテナ、17…LANデータ受信装置、22,62…マイクロ波受信装置、23,63…64QAM復調装置、24,64…LANデータ送受信装置、25,65…OFDM変調装置、16,68…回線インタフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送帯域を複数階層に分割し、各階層に割り当てられるテレビジョン放送用のTS(Transport Stream)パケットからなる放送情報をSTL(Studio to Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)回線で接続される複数の局間伝送により多段中継を行う地上デジタル放送ネットワークシステムにおいて、
前記複数の局のうち演奏所と末端となる中継局との間を前記STL/TTL回線とは異なる通信回線により接続し、
前記複数の局は、
情報伝送要求発生時に、前記放送情報の利用していない区間に前記テレビジョン放送情報以外の情報を挿入して送信する送信手段と、
受信した放送情報中の利用していない区間に情報が挿入されていた場合に、当該情報の内容に応じたサービスを実行するサービス実行手段とを備えたことを特徴とする地上デジタル放送ネットワークシステム。
【請求項2】
前記送信手段は、前記放送情報の利用していない区間に各局個別のプログラムを挿入して送信し、
前記サービス実行手段は、受信した放送情報中の利用していない区間に各局個別のプログラムが挿入されている場合に、当該プログラムが自局宛であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、当該プログラムの処理を実行することを特徴とする請求項1記載の地上デジタル放送ネットワークシステム。
【請求項3】
前記送信手段は、前記放送情報の利用していない区間に局の制御情報を挿入して送信し、
前記サービス実行手段は、受信した放送情報中の利用していない区間に局の制御情報が挿入されている場合に、当該制御情報が自局宛であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、局の制御処理を実行することを特徴とする請求項1記載の地上デジタル放送ネットワークシステム。
【請求項4】
前記送信手段は、前記放送情報の利用していない区間に局の監視情報を挿入して送信し、
前記サービス実行手段は、受信した放送情報中の利用していない区間に局の監視情報が挿入されている場合に、当該監視情報が自局宛であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて、局の監視処理を実行することを特徴とする請求項1記載の地上デジタル放送ネットワークシステム。
【請求項5】
前記放送情報の利用していない区間は、ヌルパケットであることを特徴とする請求項1記載の地上デジタル放送ネットワークシステム。
【請求項6】
放送帯域を複数階層に分割し、各階層に割り当てられるテレビジョン放送用のTS(Transport Stream)パケットからなる放送情報をSTL(Studio to Transmitter Link)/TTL(Transmitter to Transmitter Link)回線で接続される複数の局間伝送により多段中継を行い、前記複数の局のうち演奏所と末端となる中継局との間を前記STL/TTL回線とは異なる通信回線により接続した地上デジタル放送ネットワークシステムの情報伝送方法において、
複数の局にて、
情報伝送要求発生時に、前記放送情報の利用していない区間に前記テレビジョン放送情報以外の情報を挿入して送信し、
受信した放送情報中の利用していない区間に情報が挿入されていた場合に、当該情報の内容に応じたサービスを実行することを特徴とする情報伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−15060(P2011−15060A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155970(P2009−155970)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000229276)日本テレビ放送網株式会社 (53)
【Fターム(参考)】