説明

地下構造物の構築工法

【課題】地下水が存在する地山での施工に際し、継手の嵌合部に地下水が侵入するのを防止することができ、これにより薬液注入工などの補助工法の必要がなく、施工を短期間で、かつ低コストで実施することができる地下構造物の構築構築工法を提供する。
【解決手段】地山に先行して挿入される覆工エレメントの継手のうち、後行して地山に挿入される覆工エレメントの継手に嵌合されるもの(被防護継手)6,9に、その嵌合溝15の長手方向に沿う開口部16を覆うように防護部材30を取り付けるとともに、被防護継手6,9の嵌合溝15内部にゲル状充填材31を密に充填しておく。また、被防護継手6,9に嵌合される継手の湾曲部先端との間を閉塞するための水膨張性のシール部材14を取り付けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地下構造物の構築工法に関し、さらに詳細には、覆工エレメントを用いて鉄道線路や道路の下方に地下構造物を構築する工法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路や道路の下方に立体交差する地下構造物を構築する工法の1つとして、長尺の多数の鋼製エレメントを地山に挿入して覆工を行うHEP&JES(High Speed Element Pull & Jointed Element Structure) 工法が知られている。
【0003】
この工法は、図1に示すように、例えば線路1下の地山に構造物の断面を区画するように、長尺の多数の覆工エレメント2,3を牽引又は推進により並列させて地山に順次挿入し、エレメント内部にコンクリートを打設して覆工壁4を構築した後、覆工壁4内方の地山を掘削して、覆工壁4を箱形ラーメン形式又は円形等の構造物とする工法である。
【0004】
このような工法に使用する覆工エレメントとして、断面が四角形の基準覆工エレメントと、その側部に順次連設される断面コ字形の連設覆工エレメントとを用い、さらに各エレメント間の継手を全強状態に接合することができる構造とした工法について既に提案がされている(特許文献1,2参照)。
【0005】
これらの基準覆工エレメント及び連設覆工エレメントは、いずれも鋼製のもので、その構造が図2及び図3に示されている。すなわち、基準覆工エレメント2は、図2に示すように、4枚のプレート5によって断面四角形に形成され、各隅角部には断面略C字形の継手6が長手方向に沿って設けられている。
【0006】
また、連設覆工エレメント3は、図3に示すように、3枚のプレート7,8によって断面コ字形に形成され、各隅角部及びプレート7の開放側端部には上記継手6と同形状の継手9,10が長手方向に沿ってそれぞれ設けられている。基準覆工エレメント2は最初に地山に挿入され、次いで、基準覆工エレメント2の両側部の地山に連設覆工エレメント3が挿入される。
【0007】
その際、図4に一方側のみを示すように、連設覆工エレメント3は、その開放部側の継手10を基準覆工エレメント2の継手6に嵌合させながら地山に挿入される。先行して地山に挿入された連設覆工エレメント3に並列させて、さらに後行する連設覆工エレメント3が地山に挿入され、この後行する連設覆工エレメント3は、その開放部側の継手10を先行する連設覆工エレメントの隅角部側の継手9に嵌合させながら地山に挿入される。このようにして、連設覆工エレメント3を順次地山に挿入し、図1に示したような覆工壁4が構築される。なお、各エレメントの先端には外形形状がエレメントと同形状の掘削装置連結され、各エレメントは掘削装置により地山を掘削しながら推進又は牽引により発進側から到達側に向けて地山に挿入される。
【0008】
継手6,9,10は、いずれも鋼製のものであり、図5に拡大して示すように、基部11と、基部11からそれぞれ延びる傾斜板状部12及び湾曲部13とを備え、板状部12の先端には膨出部14が形成されている。継手どうしが嵌合する嵌合溝15は、板状部12と湾曲部13との内面によって略C字形に規定され、一方の継手の膨出部14が他方の継手の嵌合溝15に嵌合されることにより、両継手が接合される。
【0009】
このような継手を有する覆工エレメントからなる覆工壁4を本体構造物として利用する場合、部材に発生する引張力はエレメント間の継手により伝達されるため、継手部は十分な強度を必要とする。このため、嵌合時には十分な遊びが有るが、嵌合完了後、その空隙にグラウトを注入することにより固定し、引張力を負担させるようにしている。
【0010】
ところで、エレメントの地山への挿入時、嵌合溝15に土砂等の異物を噛み込んだり、あるいはグラウト注入時にこれが漏出したりすると、グラウト注入が不完全となり、継手は十分な強度を発現することができない。このため、この出願人は、エレメントが地山に挿入される前に継手を予め防護する方法について、これまでいくつか提案している(特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。
【0011】
しかしながら、上記各文献に記載された方法は、いずれも地下水が存在しない地山での施工を前提としている。このため、地下水が存在する地山での施工に適用すると、継手の嵌合部に地下水が侵入してくるのを避けることができない。このようなことから、地下水が存在する地山での施工に際しては、施工前に薬液注入により地山の地盤改良を行っているのが実状であり、結果として施工期間が長くなり、また施工コストが高くなるという問題が生じている。
【特許文献1】特開2000−120372号公報
【特許文献2】特開2000−179282号公報
【特許文献3】特開2001−122200号公報
【特許文献4】特開2002−168100号公報
【特許文献5】特開2006−169780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、地下水が存在する地山での施工に際し、継手の嵌合部に地下水が侵入するのを防止することができ、これにより薬液注入工などの補助工法の必要がなく、施工を短期間で、かつ低コストで実施することができる地下構造物の構築工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、嵌合溝を形成する断面略C字形の継手が長手方向に沿って設けられた多数の長尺の覆工エレメントを、隣接するエレメントどうしの前記継手を嵌合させながら並列させて順次地山に挿入することにより、地下構造物を構築する工法であって、
地山に先行して挿入される前記覆工エレメントの前記継手のうち、後行して地山に挿入される前記覆工エレメントの前記継手に嵌合されるもの(以下、被防護継手という)に、その嵌合溝の長手方向に沿う開口部を覆うように防護部材を取り付けるとともに、該被防護継手の嵌合溝内部にゲル状充填材を密に充填しておくことを特徴とする地下構造物の構築工法にある。
【0014】
より具体的には、前記継手は基部と、この基部からそれぞれ延びて前記嵌合溝を形成する板状部及び湾曲部とからなり、前記被防護継手の前記板状部表面に、該被防護継手に嵌合される継手の前記湾曲部先端との間を閉塞するための水膨張性のシール部材を取り付けておく。
【0015】
また、前記防護部材は、前記被防護継手の前記嵌合溝の開口部を覆うように配置される防護ボードと、長手方向に沿う一方の端部が前記板状部側の継手表面に固着されるとともに、他方の端部が前記防護ボードに固着される第1防護シートと、長手方向に沿う一方の端部が前記湾曲部側の継手表面に固着されるとともに、他方の端部が前記防護ボードに固着される第2防護シートとからなる。この場合、前記防護ボードは、撓み性を有するボードからなるものを使用するとよい。また、前記第1,第2防護シートは、光硬化型の樹脂シートからなるものを使用するとよい。
【0016】
さらに、この発明では、地山に後行して挿入される前記覆工エレメントの先端部には掘削装置と、この掘削装置と前記覆工エレメントとの間に位置する中間エレメントとが連結され、
前記掘削装置はその側部に、前記被防護継手に嵌合され、かつ先端部にスクレーパが設けられた前記継手と同形状の継手を有し、前記中間エレメントはその側部に、前記被防護継手に嵌合される清掃継手を有し、
地山に後行して挿入される前記覆工エレメントの地山への挿入に伴って、前記スクレーパにより前記防護ボードを前記被防護継手から徐々に離脱させることにより、前記第1,第2防護シートの各端部を前記掘削装置の前記継手を挟み込むようにその湾曲部及び板状部にそれぞれ当接させ、
また、前記中間エレメントの前記清掃継手により前記被防護継手の前記嵌合溝に充填されている前記ゲル状充填材を除去する手順が踏まれる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、先行覆工エレメントの被防護継手の嵌合溝にゲル状充填材を充填しておくので、後行覆工エレメントの継手との嵌合のために防護部材を継手から離脱させて嵌合溝が一部開口しても、嵌合溝には地下水が流入することがなく、地下水が存在する地山での施工が可能となる。したがって、薬液注入工などの補助工法の必要がなく、工期の短縮及び施工コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。地下構造物を構築するにあたり、覆工エレメントとしては、図2及び図3に示したような基準覆工エレメント2及び連設覆工エレメント3を用いることができる。そして、図4を参照して説明したように、隣接するエレメントどうしの継手6,10及び継手9,10を嵌合させながらこれらのエレメントを並列させて順次地山に挿入し、図1に示したような地下構造物を構築する。以上の点は、従来と同様である。
【0019】
図6は、先行して地山に挿入される覆工エレメント(図2〜図4に示した基準覆工エレメント2又は連設覆工エレメント3)の継手のうち、後行して地山に挿入される覆工エレメント(図2〜図4に示した連設覆工エレメント3)の継手10に嵌合されることとなる継手6,9を示している。この継手6,9が防護されるべき継手であり、以下、適宜、被防護継手と称する。
【0020】
被防護継手6,9には嵌合溝15の長手方向に沿う開口部16を覆うように防護部材30が取り付けられている。防護部材30は、開口部16を覆うように配置される防護ボード17と、この防護ボード17を継手6,9に保持するための第1,第2防護シート18,19とからなる。防護ボード17は、長手方向に沿う両端面がテーパ面17a,17aとなっている。防護ボード17は、この実施形態ではセメント系繊維補強ボードが用いられている。この繊維補強ボードは、例えばポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、ポリエステル系の合成繊維をマット状の不織布に成形し、これにセメントミルク、セメントモルタル等のセメント系固化材を含浸させ、プレスして成形したボードである。このような繊維補強ボードは高い強度と靱性を有し、このため破断することなく、大きな撓み変形を与えることが可能である。
【0021】
第1,第2防護シート18,19は、防護ボード17を保持するのみならず、後述するように、継手嵌合後に嵌合部の隙間を覆うことにより、グラウト材が漏出するのを防止するためのものでもある。これらの第1,第2防護シート18,19は被防護継手6,9の両表面と防護ボード17との間に長手方向に沿って固定配置されている。第1,第2防護シート18,19は、この実施形態では光(紫外線)硬化性樹脂シートが用いられている。光硬化性樹脂シートは、樹脂材料にガラス繊維と紫外線硬化剤とを添加して形成され、紫外線を照射する前は可撓性を有しているが、紫外線を照射すると硬化する樹脂シートである(光硬化性FRPシート)。ただし、硬化後も弾性による撓み変形は可能である。このような防護シート18,19を紫外線非照射の状態で被防護継手6,9及び防護ボード17に貼り付け、その後紫外線を照射して硬化させる。この光照射によって硬化した第1,第2防護シート18,19により、防護ボード17が継手6,9に保持される。
【0022】
より詳細には、第1防護シート18は、長手方向に沿う一方の端部が板状部12側の基部11表面に貼り付けられる。プライマー処理をして貼り付ける範囲が符号Bで示されている。また、第1防護シート18の他方の端部は防護ボード17の一方のテーパ面17aにプライマー処理したうえ貼り付けられる。第2防護シート19は、長手方向に沿う一方の端部が湾曲部13の表面に貼り付けられる。第1防護シート18の場合と同様に、プライマー処理をして貼り付ける範囲が符号Bで示されている。また、第2防護シート19の他方の端部は防護ボード17の他方のテーパ面17aにプライマー処理したうえ貼り付けられる。
【0023】
このように、第1,第防護シート18,19として、光硬化性樹脂シートを使用することにより、継手の複雑な形状に対応させて容易に賦形することができる。また、継手の製造誤差も吸収することができる。
【0024】
覆工エレメントは、実際はその長さ方向に複数に分割されていることから、それに対応して、図7に示すように、上記防護ボード17及び第1,第2防護シート18,19も、継手の長さ方向に関して複数枚に分割されている。このため、隣接する防護ボード間及び防護シート間にはつなぎ合わせ部が生じる。このつなぎ合わせ部には、防護シート18,19と同様の光硬化性FRPシートからなる、つなぎ合わせ用のシート22が貼り付けられる。なお、防護シート18,19のシート厚は 1.5mm 程度、つなぎ合わせシート22のシート厚は 2.5mm 程度であり、各図面では誇張して示されている。
【0025】
再び、図6を参照して、防護部材30によって開口部16が覆われた被防護継手6,9の嵌合溝15にはゲル状充填材31が密に充填されている。このゲル状充填材としては、薬液注入工で用いられる水ガラス系薬液(溶液型)を嵌合溝15に充填し、ゲル化させることにより得ることができる。また、板状部12の表面には水膨張性のシール部材32が貼り付けられている。このシール部材32は、土木・建築の分野で止水のために用いられている周知の水膨張シールであり、その貼り付け位置は被防護継手6,9に嵌合される継手の湾曲部13の先端と対向する部分である
【0026】
図8は、図3に示した覆工エレメント3の地山への挿入後、同覆工エレメント3を地山に挿入している状態を示す平面図である。図8において、先行覆工エレメントは便宜的に符号3−aで示され、後行覆工エレメントは符号3−bで示されている。後行覆工エレメント3bの先端部には掘削装置35と、この掘削装置35と後行覆工エレメント3bとの間に位置する中間エレメント36とが連結される。
【0027】
掘削装置35は図9に示すように、外形形状がほぼ四角形の函体を備え、側部に被防護継手9と嵌合する2つの継手37を有している。この継手37は、上述した各継手6,9,10と全く同じ構造のものである。この継手37の先端部にはスクレーパ25が設けられている。スクレーパ25は、図11に示すように、この実施形態では、先細りとなっている三角形のプレート26と、このプレート26に直交して固定される補強プレート27とからなっている。プレート26は被防護継手9の嵌合溝15に一側部が嵌合可能であり、嵌合状態で他側部のテーパ面26aが継手9の側方に突出する。なお、補強プレート27は嵌合時において側面が継手9に当接してガイドの役目もなす。
【0028】
中間エレメント36も図10に示すように、外形形状が四角形のものであり、側部に被防護継手9と嵌合する2つの清掃継手38を有している。この清掃継手38は、上述した各継手6,9,10において、湾曲部13を残して板状部12を無くしたものである。そして、板状部12の代わりに被防護継手9の嵌合溝15に入り込むブラシ39が設けられている(図12(b)も併せて参照)。
【0029】
図12は、後行覆工エレメント3−bの地山への挿入時における、各継手の嵌合状態を示している。同図において、(a),(b),(c)は、それぞれ図8におけるA−A線、B−B線及びC−C線断面で示される上下2つの嵌合部のうち下方の嵌合部を示している。
【0030】
図8に示すように、後行覆工エレメント3−bの地山への挿入に伴って、スクレーパ25、具体的にはプレート26のテーパ端面26aにより、被防護継手9に取り付けられた防護ボード17が徐々に継手9の側方に押しやられる。これにより、防護ボード17が第1,第2防護シート18,19から剥離して被防護継手9から離脱し、掘削装置35の継手37が被防護継手9に嵌合する。
【0031】
その際、防護ボード17は前記のように撓み性を持つ材料でできているので、湾曲しながら継手9から徐々に離脱し、被防護継手9の開口大きさは最小限に抑えられる。また、第1,第2防護シート18,19は弾性による撓み変形をして徐々に拡がり、それらの端部は継手37を挟み込むようにその湾曲部13及び板状部12に当接する。この結果、継手9,37の嵌合部の隙間は第1,第2防護シート18,19によって覆われる。このように、スクレーパ25から掘削装置35の継手37にかけての被防護継手9と嵌合する部分では、被防護継手9が僅かではあるが開口するとともに、第1,第2防護シート18,19が拡がるが、被防護継手9の嵌合溝15にはゲル状充填材31が充填されているので、嵌合溝15には地下水が侵入することはない(図12(a))。
【0032】
掘削装置35の継手37の後方では、被防護継手9には中間エレメント36の清掃継手38が嵌合している。清掃継手38のブラシ39が被防護継手9の嵌合溝15に入り込み、後行覆工エレメント3−bの地山への挿入に伴って、嵌合溝15内のゲル状充填材が除去される(図12(b))。したがって、清掃継手38の後方で被防護継手9と嵌合している覆工エレメント3−bの継手10は、ゲル状充填材31が除去された嵌合溝15と嵌合することとなる(図12(c))。
【0033】
なお、掘削装置35の前方から、この掘削装置35と先行覆工エレメント3−aとの間に流入する地下水や土砂は、掘削装置35の側部から取り込み排出される。このため、掘削装置35の後方における中間エレメント36と先行覆工エレメント3−aとの間、及び後行覆工エレメント3−aと先行覆工エレメント3−bとの間には地下水が流入しない。したがって、中間エレメント36の清掃エレメント38及び後行覆工エレメント3−bの継手10が被防護継手9とそれぞれ嵌合する嵌合部において、被防護継手9の湾曲部13側(図12(b),(c)参照)ついては、地下水を考慮する必要がない。
【0034】
他方、この嵌合部において被防護継手9の板状部12側は地山側となり、嵌合部隙間に地下水が侵入するおそれがある。しかし、この地山側では被防護継手9の板状部12に水膨張性のシール部材32が設けられ、継手38,10の各湾曲部13の先端部との間を閉塞するので、地下水が嵌合部隙間に侵入することはない。
【0035】
図13は、後行覆工エレメント3−bの地山への挿入・敷設完了後の嵌合部状態を示している。シール部材32は水との接触により膨張し、地山側から嵌合部隙間に地下水が侵入するのが完全に阻止される。この状態で継手9と継手10との嵌合部隙間にグラウト材を注入する。注入されたグラウト材は、嵌合部隙間が第1,第2防護シートで覆われているので、外部に漏出することがない。
【0036】
上記各実施の形態は例示にすぎず、使用するエレメント及び継手等は種々の形態をとることができる。また、防護ボードや防護シートも上記実施形態のものに限定されるものではない。また、スクレーパも上記実施形態のものに代えて、継手先端部を先細りとなるように研削加工し、スクレーパ機能を持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】地下構造物の全体を示す正面図である。
【図2】使用するエレメントの一例を示す正面図である。
【図3】使用するエレメントの一例を示す正面図である。
【図4】継手の嵌合により接合されたエレメントを示す図である。
【図5】継手を拡大して示す図である。
【図6】先行エレメントの被防護継手を示す図である。
【図7】防護ボード及び防護シートのつなぎ合わせ部を示す斜視図である。
【図8】先行エレメントの地山への挿入後、後行エレメントを地山に挿入している状態を示す平面図である。
【図9】掘削装置の正面図である。
【図10】中間エレメントの正面図である。
【図11】スクレーパと被防護継手の嵌合状態を示す斜視図である。
【図12】図8のA−A線断面(a)、B−B線断面(b)及びC−C線断面(c)による上下2つの継手嵌合部のうち下方の嵌合部を示す図である。
【図13】後行エレメントの地山への挿入・敷設完了後の継手嵌合部状態を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
2 基準覆工エレメント
3 連設覆工エレメント
4 覆工壁
6,9,10 継手
6,9 被防護継手
11 基部
12 板状部
13 湾曲部
14 膨出部
15 嵌合溝
16 開口部
17 防護ボード
18 第1防護シート
19 第2防護シート
25 スクレーパ
30 防護部材
31 ゲル状充填材
32 水膨張性のシール材
35 掘削装置
36 中間エレメント
37 継手
38 清掃継手
39 ブラシ
3−a 先行覆工エレメント
3−b 後行覆工エレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合溝を形成する断面略C字形の継手が長手方向に沿って設けられた多数の長尺の覆工エレメントを、隣接するエレメントどうしの前記継手を嵌合させながら並列させて順次地山に挿入することにより、地下構造物を構築する工法であって、
地山に先行して挿入される前記覆工エレメントの前記継手のうち、後行して地山に挿入される前記覆工エレメントの前記継手に嵌合されるもの(以下、被防護継手という)に、その嵌合溝の長手方向に沿う開口部を覆うように防護部材を取り付けるとともに、該被防護継手の嵌合溝内部にゲル状充填材を密に充填しておくことを特徴とする地下構造物の構築工法。
【請求項2】
前記継手は基部と、この基部からそれぞれ延びて前記嵌合溝を形成する板状部及び湾曲部とからなり、前記被防護継手の前記板状部表面に、該被防護継手に嵌合される継手の前記湾曲部先端との間を閉塞するための水膨張性のシール部材を取り付けておくことを特徴とする請求項1記載の地下構造物の構築工法。
【請求項3】
前記防護部材は、前記被防護継手の前記嵌合溝の開口部を覆うように配置される防護ボードと、長手方向に沿う一方の端部が前記板状部側の継手表面に固着されるとともに、他方の端部が前記防護ボードに固着される第1防護シートと、長手方向に沿う一方の端部が前記湾曲部側の継手表面に固着されるとともに、他方の端部が前記防護ボードに固着される第2防護シートとからなることを特徴とする請求項2記載の地下構造物の構築工法。
【請求項4】
前記防護ボードは、撓み性を有するボードからなることを特徴とする請求項3記載の地下構造物の構築工法。
【請求項5】
前記第1,第2防護シートは、光硬化型の樹脂シートからなることを特徴とする請求項3記載の地下構造物の構築工法。
【請求項6】
地山に後行して挿入される前記覆工エレメントの先端部には掘削装置と、この掘削装置と前記覆工エレメントとの間に位置する中間エレメントとが連結され、
前記掘削装置はその側部に、前記被防護継手に嵌合され、かつ先端部にスクレーパが設けられた前記継手と同形状の継手を有し、前記中間エレメントはその側部に、前記被防護継手に嵌合される清掃継手を有し、
地山に後行して挿入される前記覆工エレメントの地山への挿入に伴って、前記スクレーパにより前記防護ボードを前記被防護継手から徐々に離脱させることにより、前記第1,第2防護シートの各端部を前記掘削装置の前記継手を挟み込むようにその湾曲部及び板状部にそれぞれ当接させ、
また、前記中間エレメントの前記清掃継手により前記被防護継手の前記嵌合溝に充填されている前記ゲル状充填材を除去することを特徴とする請求項3,4又は5記載の地下構造物の構築工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−108474(P2009−108474A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278426(P2007−278426)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)
【出願人】(391042601)ジェイアール東海建設株式会社 (7)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【出願人】(399101337)株式会社ジェイテック (20)
【Fターム(参考)】