地中探査レーダ用アンテナ
【課題】地中埋設物の3次元の位置を迅速にかつ正確に検出する。
【解決手段】導電性アンテナハウジング2に形成された複数の部分収納空間に、送受信一対のアンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2の3組が配置される。これらのアンテナ素子は、一対の導体5a,5b,5c1,5c2,5d1,5d2,6a,6b,6c1,6c2,6d1,6d2が一直線上に配置されて、ダイポールアンテナを構成する。導体は、波長をλとするとき、λ/2の長さを有し、1組のアンテナ素子1a,1bと各組のアンテナ素子1c1,1c2;1d1,1d2とは、これらの導体の長手方向に、λ/2だけずれて配置される。各組の送信アンテナ素子1a,1c1,1d1に与えられるパルス状送信信号と、各組の受信アンテナ素子1b,1c2,1d2から得られる受信信号との時間差に基づき、地中埋設物の距離、したがって位置を検出することができる。
【解決手段】導電性アンテナハウジング2に形成された複数の部分収納空間に、送受信一対のアンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2の3組が配置される。これらのアンテナ素子は、一対の導体5a,5b,5c1,5c2,5d1,5d2,6a,6b,6c1,6c2,6d1,6d2が一直線上に配置されて、ダイポールアンテナを構成する。導体は、波長をλとするとき、λ/2の長さを有し、1組のアンテナ素子1a,1bと各組のアンテナ素子1c1,1c2;1d1,1d2とは、これらの導体の長手方向に、λ/2だけずれて配置される。各組の送信アンテナ素子1a,1c1,1d1に与えられるパルス状送信信号と、各組の受信アンテナ素子1b,1c2,1d2から得られる受信信号との時間差に基づき、地中埋設物の距離、したがって位置を検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたたとえば管などの地中埋設物の位置を探査する際に、電磁波を放射および受信するために用いられる地中探査レーダ用アンテナおよびそのアンテナを用いた地中探査レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中埋設物を探査するための先行技術は、地表面から土壌中に電磁波を放射する送信アンテナと、地中埋設物による反射波を受信する受信アンテナとを備え、送信アンテナから電磁波を放射した後、受信アンテナで地中埋設物による反射波を受信するまでの時間に対応した地中埋設物の深さを検出する。このような用途に用いられるアンテナとしては、従来では、単一の送信アンテナと単一の受信アンテナとが対を成して配置されて構成される。
【0003】
このような先行技術では、地中埋設物の位置を正確に検出するために、埋設物が埋設されている土壌の表面を、走査する位置を、走査方向に垂直にずらしながら、複数回走査して探査する必要がある。したがって地中埋設物の位置を迅速に探査することができない。またその走査方向に垂直な位置を正確に把握できなければ、埋設位置を正確に検出することができないという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、地中埋設物の位置を迅速に、しかも正確に検出することができるようにした地中探査レーダ用アンテナ、およびそのアンテナを備える地中探査レーダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとを含み、各組の一対の送信アンテナと受信アンテナとは、土壌に臨んで、走査方向に垂直な方向に同一位置にあり、しかも各組毎に走査方向に垂直な方向にずれて配置され、各組の送信アンテナに、パルス状送信信号が時間的にずれて、与えられ、パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す受信アンテナによって、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナである。
【0006】
本発明に従えば、後述の図10および図11に示されるように、一対の送信および受信アンテナの組が複数、備えられ、一対の送信および受信アンテナは、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)に同一位置にあり、しかも各組は、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)にずれて配置される。各組の送信アンテナに、図8に示されるようなパルス状送信信号が時間的にずれて与えられ、その走査パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す組みの受信アンテナによって、地中埋設物による反射波を受信する。こうして1回の走査で広い範囲にわたって前述と同様に探査することができ、効率的に作業を行うことができることになる。
【0007】
また本発明は、全ての各組の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各組の対を成す送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の給電点は、導体の長手方向に一致しており、各組毎に給電点が、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に従えば、図10および図11のように一対の送信および受信アンテナから成る組が、複数設けられ、前述と同様に分解能を向上することができる。
【0009】
また本発明は、前記地中探査レーダ用アンテナと、送信アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を各受信アンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置である。
【0010】
本発明に従えば、図1〜図11にように、複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子が、ずれて配置されることによって、地中探査レーダ用アンテナを地表に配置して、地中埋設物の位置を迅速にかつ正確に検出して探査することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の本発明によれば、複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとの組合せによって、地中埋設物の距離、したがって位置を迅速にかつ正確に検出して地中埋設物の探査を行うことができる。したがって本件地中探査レーダ用アンテナを、走査方向に対して垂直にずらして複数回走査する作業を行う必要がなく、地中埋設物の探査の作業が容易になる。
【0012】
請求項2の本発明によれば、複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子の給電点は、それらのアンテナ素子を構成する導体の長さだけ、導体の長手方向にずれて配置され、こうして分解能を向上して、地中埋設物の検出を行うことができる。
【0013】
また本発明によれば、単一の送信アンテナ素子の給電点は複数の受信アンテナ素子のうちの1つの給電点と一致しており、または単一の受信アンテナ素子の給電点は、複数の送信アンテナ素子のうちの1つの給電点と一致しており、こうして本件地中探査レーダ用アンテナの全体の構成をできるだけ小形化し、しかも地中埋設物の距離、したがって位置を、迅速にかつ正確に検出することができる。
【0014】
請求項3の本発明によれば、地中探査レーダ用アンテナをアンテナ駆動手段によって駆動し、送信信号と受信信号との間の各時間差に対応する地中埋設物までの距離、したがってその地中までの位置を演算手段によって迅速にかつ正確に検出することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。この地中探査レーダ用アンテナ1は、土壌に電磁波を放射する単一の送信アンテナ素子1aと、地中埋設物による反射波を受信する複数(たとえば3つ)の受信アンテナ素子1b,1c,1dとを有する。なお、図1は図解を容易にするため、後述の図2および図3に示される誘電体10a〜10dを省略して示されている。
【0016】
図2は、図1の切断面線II−IIから見た断面図である。図3は、図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。地中探査レーダ用アンテナ1は、アンテナハウジング2と、このアンテナハウジング2に設けられる単一の送信アンテナ素子1aと3つの受信アンテナ素子1b〜1dとを含む。アンテナハウジング2は、下方(図1の紙面の上方、図2および図3の下方)に臨んで開放した収納空間3を有する。この収納空間3は、仕切り壁7〜9によって部分収納空間4a〜4dに仕切られている。各部分収納空間4a〜4dには、送信アンテナ素子1aおよび受信アンテナ素子1b〜1dをそれぞれ構成する合計4組の各対を成す導体5a,6a;5b,6b;5c,6c;5d,6dと、これらの部分収納空間4a〜4dにそれぞれ充填される誘電体10a〜10dと、さらに抵抗などのインピーダンス素子39a,40a;39b,40b;39c,40c;39d,40dとが収納される。参照符の添え字a〜dを省略して、総括的に数字だけで示すことがある。
【0017】
図4は、図1、図2および図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。土壌12には、ガスなどの流体を輸送する鋼管などの地中埋設物体である管13が埋設される。地上では、この管13の探査を行うために、送信アンテナ素子1aから電磁波が参照符14で示されるように土壌12に向けて放射される。送信アンテナ素子1aから放射された電磁波14は、地中埋設管13によって反射され、その反射波15は、受信アンテナ素子1b〜1dによって受信される。
【0018】
送信アンテナ素子1aには、送信回路16から、たとえば中心周波数が100MHz〜700MHzの図5(1)に示される波形を有する複数のパルス状送信信号54が時間順次的に与えられる。受信アンテナ素子1b〜1dは、管13による反射波15b〜15dを受信する。これらの受信アンテナ素子1b〜1dの各出力は、切換え回路61を介して受信回路17に与える。図5(2)は、受信アンテナ素子1bによって受信された受信信号15bが、切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。図5(3)は、受信アンテナ素子1cによって受信された受信信号15cが切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。図5(4)は、受信アンテナ素子1dによって受信された受信信号15dが切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。切換え回路61はこのように、送信回路16からの電磁波54が放射される周期W1毎に、受信アンテナ素子1b〜1dの各出力を順次的に切換えて受信回路17に与える。この受信信号15b〜15dは、送信アンテナ素子1aによる電磁波の放射直後の第1信号成分55と、その第1信号成分55の受信後に得られる管13の反射による第2信号成分56とを含む。第1信号成分55は、送信アンテナ素子1aから、受信アンテナ素子1b〜1dに直接に伝搬した直接波と、送信アンテナ素子1aから土壌12の地表面で反射して受信アンテナ素子1b〜1dによって受信された地表面の反射波とを含む。
【0019】
送信アンテナ素子1aに図5(1)に示されるパルス状送信信号54が与えられ、これによって電磁波が土壌12に向けて放射される。受信アンテナ素子1bによって図5(2)で示される受信信号に含まれる第2信号成分56bが得られるまでの時間差ΔW1は、管13のアンテナ1からの距離に対応し、したがって土壌12の管13の深さに対応する。処理回路18は、マイグレーション処理を用いるなどして演算し、管13の深さおよび走査方向における距離X1を求めるようにしてもよい。土壌12の地表面上を、移動体19が導体5,6の長手方向(図1の左右方向)に垂直な走査方向(図1の上下方向)である矢符20で示されるように移動し、管13を地表面で横切ることによって、管13を含む土壌12の鉛直面内での断面の原画像を図5(2)〜図5(4)のごとく得ることができ、表示手段21で表示することができる。同様にして受信アンテナ素子1c,1dによる管13の第2信号成分56c,56dの時間差ΔW2,ΔW3によって、管13の深さ、走査方向における距離X2,X3をそれぞれ検出することができる。
【0020】
表示手段21は、たとえば液晶または陰極線管などによって実現される。処理回路18には、キーボードなどの入力手段22が接続され、また前記画像などをストアするメモリ23が接続される。移動体19には車輪が設けられ、土壌12の地表面を走行することができる。この移動体19の移動量を移動距離測定手段によって測定し、各移動位置毎に地中埋設管13の深さを検出することによって、前述のように土壌12の断面画像を得ることができる。
【0021】
再び図1、図2および図3を参照して、アンテナハウジング2は、底板25と、底板25に連なり導体5,6と平行に延びる両側壁27,28と、さらに側壁27,28に連なり、導体5,6の軸線に垂直な両端壁31,32とを含む。これらの底板25と側壁27,28と各端壁31,32と仕切り壁7〜9,100a〜100dとは、電気的に接地される。送信アンテナ素子1a内の部分収納空間4a内で、一対の導体5a,6aは、共通な一直線33上にそれぞれ軸線を有して延びる。導体5a,6aの近接した各一端部34a,35aは、給電点36aに接続される。導体5a,6aの他端部37a,38aは、インピーダンス素子39a,40aを介して端壁31,32にそれぞれ接続される。
【0022】
受信アンテナ素子1b,1c,1dもまた、同様な構成を有し、各アンテナ素子1a〜1dを構成する一対の導体5,6の軸線は、それらの導体5,6の長手方向に垂直(図1の上下方向)にずれており、かつ一水平面内で相互に平行である。導体5,6は同一形状を有し、その軸線方向の長さは同一である。各アンテナ素子1a〜1dの導体5,6は、使用される送信信号の周波数の波長をλとするとき、λ/2に選ばれる。これらの導体5,6の長手方向に沿って、送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとは同一位置にあり、受信アンテナ素子1c,1dは、λ/2だけ相互にずれて配置される。すなわち給電点36a,36bは、導体5,6の長手方向に同一位置にあり、給電点36c,36dは、λ/2ずつずれて配置される。
【0023】
したがって一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとの各給電点36a,36b間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)63aは、図1の直線63上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1bによる探査領域は、直線63の図1における左右両側に拡がる。一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1cとの各給電点36a,36c間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)64aは、図1の直線64上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1cによる探査領域は、直線64の左右両側に拡がる。また同様にして一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1dとの各給電点36a,36d間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)65aは、図1の直線65上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1dによる探査範囲は、直線65の左右に拡がる。このようにして各受信アンテナ素子1b〜1dからの受信信号によって管13の位置を、一度にできるだけ高い分解能で探査することができるようになる。すなわち各受信アンテナ素子1b〜1dによって検出された深さおよび走査方向の距離は、位置63,64,65からの深さ、平面位置とみなして管13の3次元位置を知ることができるようになる。
【0024】
収納空間3を構成する各部分収納空間4a〜4dには、発泡スチロールなどの誘電体10が充填される。こうして導体5,6は、底板25と開放端42との間で、誘電体10によって保持される。
【0025】
本発明の参考例では、誘電体10の導体6に関して底板25側の厚みd1と、開放端42側の厚みd2とは、たとえば等しく、d1=d2=約2cmであり、したがって誘電体10の全体の厚みは、約4cmである。たとえば導体5,6の長さL5=L6=約16cmである。たとえばアンテナハウジング2の導体5,6の軸線方向の長さL21=38cmであり、導体5,6の軸線に垂直方向の長さL22=26cmであってもよい。
【0026】
導体5,6は、銅などの金属製である直円筒体の管であってもよい。この導体5,6の外径5mmφであり、肉厚1mmであってもよい。導体5,6が直円筒状であるので、断面2次モーメントが大きく、強度が向上され、外力によって変形することが防がれる。
【0027】
本発明の他の参考例では、導体5,6が、直円筒状の管に代えて、たとえば正方形などの軸直角断面を有する角筒状の管であってもよく、その他の形状を有する管であってもよく、さらにまた線材である導線であってもよく、さらに電気絶縁性材料の表面に形成された金属箔などであってもよい。図1〜図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1は、先行技術であるボータイアンテナに比べて構成が細長い形状であるので、小形化され得る。
【0028】
図6は、図1〜図5に示される本発明の参考例における処理回路18の動作を説明するためのフローチャートである。ステップa1からステップa2に移り、i=1とし、次のステップa3に移る。送信回路16は、送信アンテナ素子1aに、前述の図5(1)に示されるパルス状送信信号54を、一定の周期で与える。切換え回路61は、各送信信号54毎に、時間W1ずつ、受信アンテナ素子1b〜1dからの出力を切換えて受信回路17に与える。ステップa4では、送信信号54が送信されてから受信信号56bが受信されるまでの時間ΔW1に反射信号を持つ画像が、処理回路18で演算される。
【0029】
ステップa5では、iを1だけインクリメントし、再びステップa3に戻る。このような動作を繰返し、受信アンテナ素子1c,1dによって検出される時間ΔW2,ΔW3を、処理回路18で演算する。こうして受信アンテナ素子1b〜1dからの出力によって、時間ΔW1〜ΔW3を演算した後、ステップa6からステップa61に移り、移動体19の走査が終了していれば、ステップa7に移り、管13の3次元の位置を演算して求める。前記走査が終了していなければ、ステップa61からステップa2に戻り、再び他の走査位置での時間差ΔW1〜ΔW3の値も計測し、メモリ23に蓄積する。
【0030】
図7は、本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。この参考例は、前述の図1〜図6に示される参考例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの参考例では、地中探査レーダ用アンテナにおいて、単一の受信アンテナ素子1aと、複数(この参考例ではたとえば3)の送信アンテナ素子1b〜1dとが用いられる。これらの各送信アンテナ素子1b〜1dには、送信回路16から切換え回路67を介して、図8(1)〜図8(3)にそれぞれ示されるパルス状送信信号54b〜54dが時間順次的にそれぞれ与えられる。これによって各送信アンテナ素子1b〜1dからは電磁波14b〜14dが放射される。
【0031】
管13による反射波15は、共通の受信アンテナ素子1aで受信され、受信信号が受信回路17に与えられる。管13の反射波による受信信号56a1〜56a3が検出されるまでの各送信信号54b〜54dの放射からの時間ΔW1〜ΔW3は、処理回路18において前述と同様にして検出される。これによって各時間ΔW1〜ΔW3に対応した各送信アンテナ素子1b〜1dに対応する深さを検出し、したがって管13の3次元の位置を検出することができる。そのほかの構成と動作は、前述の図1〜図6の参考例と同様である。
【0032】
図9は、本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。この参考例は、前述の図1に示される地中探査レーダ用アンテナ1に対応する。単一の送信アンテナ素子1aと複数(たとえば3)の受信アンテナ素子1b〜1dとがアンテナハウジング2内の収納空間3の部分収納空間4a〜4cに収納される。これらの各アンテナ素子1a〜1dは、導体5,6の長手方向(図9の左右方向)に垂直(図9の上下方向)にずれて配置されている。送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとの導体5,6の長手方向の位置は一致しており、部分収納空間4a,4bにそれぞれ配置される。残りの2つの受信アンテナ素子1c,1dは、導体5,6の長手方向に、使用される周波数の波長λとするとき、λ/2だけ、送信アンテナ素子1aの給電点36aに関して図9の左右にずれて配置される。すなわち、図9の地中探査レーダ用アンテナ1の左右の中央位置に関してアンテナ素子1c,1dの給電点36c,36dは、距離L1,L2を隔てて配置され、L1=L2=L5=L6=λ/2に選ばれる。
【0033】
このような構成によってもまた、前述の図1〜図6に関連して前述した本発明の参考例と同様に、良好な分解能で、地中埋設物の探査を行うことができる。本発明の他の参考例では、前述の図7および図8の参考例と同様に、図9の地中探査レーダ用アンテナ1において、単一の受信アンテナ素子1aと複数の送信アンテナ素子1b〜1dを用いるようにしてもよい。
【0034】
本発明の実施の一形態では、複数のアンテナ素子が、導体5,6の長手方向に上述の各参考例とは異なる態様で、図10のように送受一対の組が、配置されて構成される。図10の実施の形態は、前述の図9の参考例に類似し、受信アンテナ素子1aと送信アンテナ素子1bとが対を成し、受信アンテナ素子1c1と送信アンテナ素子1c2とが対を成し、受信アンテナ素子1d1と送信アンテナ素子1d2とが対を成し、このようにして複数(たとえば3)の組みを成す送受一対のアンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2を用いて、走査方向20の移動による探査を行う。アンテナ素子1a,1bの給電点36a,36bは、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)に関して中央位置に設けられ、アンテナ素子1c1,1c2の給電点36c1,36c2は、図10の右方に中央から距離L1だけ隔てられ、またアンテナ素子1b1,1b2の給電点36d1,36d2は、中央位置から図10の左方に距離L2だけ隔てて配置される。用いられる周波数信号の波長をλとするとき、L1=L2=λ/2である。アンテナ素子1c1,1c2;1d1,1d2は、導体5c1,6c1;5c2,6c2:5b1,6b1;5d2,6d2を有する。図10の実施の形態のそのほかの構成は、前述の図7〜図9の参考例に類似する。
【0035】
図11は、図10に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。送信回路16からは切換え回路67を介して送信アンテナ素子1b,1c2,1d2に、前述の図8(1)〜図8(3)にそれぞれ示されるパルス状送信信号を切換えて与え、地中埋設物による反射波を、受信アンテナ1a,1c1,1d1から切換え回路61を介して受信回路17に与える。切換え回路67,61は同期してスイッチング状態が切換わり、対を成す送受信アンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2が用いられて、地中埋設物の探査が行われる。そのほかの構成と動作は、前述の参考例と同様である。
【0036】
また図12の参考例のように送受信兼用の複数のアンテナ素子1a,1c,1dが配置されてもよい。図11の実施の形態は、前述の図9および図10の実施の形態に類似する。注目すべきはこの参考例では、アンテナ素子1a,1c,1dは送信および受信を兼用する。アンテナ素子1aに図8(1)の送信信号を与え、地中埋設物による反射波を、同一のアンテナ素子1で受信する。同様にしてアンテナ素子1c,1bには、図8(2)および図8(3)にそれぞれ示される送信信号を与え、地中埋設物による反射波を、同一のアンテナ素子1c,1dによってそれぞれ受信する。そのほかの構成は、前述の参考例、実施の形態と同様である。
【0037】
図13は、図12に示される地中探査レーダ用アンテナ1を用いる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。送信回路16からのパルス状送信信号は、切換え回路67から方向性結合器71,72,73をそれぞれ経て、アンテナ素子1a,1c,1dにそれぞれ与えられ、電磁波が地中に放射される。地中埋設物による反射波は、これらのアンテナ素子1a,1c,1dから方向性結合器71,72,73を経て、前述の切換え回路67と同期的に切換え動作するもう1つの切換え回路61を経て受信回路17に与えられる。方向性結合器71,72,73は、たとえばサーキュレータなどによって実現することができる。そのほかの構成と動作は、前述の参考例と同様である。
【0038】
本発明は、以下の実施の形態が可能である。
(1)土壌に臨んで配置され、パルス状送信信号が与えられる単一の送信アンテナ素子と、土壌に臨んで送信アンテナ素子とともにほぼ一平面内に配置される複数の受信アンテナ素子であって、各受信アンテナ素子は、走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置され、送信アンテナ素子から放射されたパルス状送信信号が地中埋設物によって反射された反射波を受信する受信アンテナ素子とを含むことを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0039】
図1〜図6および図9に関連して後述されるように、単一の送信アンテナ素子から、パルス状送信信号が土壌に放射され、地中埋設物によって反射された反射波を、複数の受信アンテナ素子によって受信し、これらの受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子とともにほぼ同一平面内に配置され、各受信アンテナ素子は、走査方向20に垂直な方向に相互にずれて配置される。したがって一対の送信アンテナと受信アンテナとの各給電点間を結ぶ線分の直線の中点(見掛けの送受信点)63,64,65(図1参照)が走査方向20に垂直な方向(図1の左右方向)に相互にずれることになる。このことにより、従来の一対の送受信アンテナの組合せしか持たないシステムに比べ、たとえば図1の場合のように三対の送受信アンテナの組合せの方が1回の走査で3倍のライン数を走査方向20に探査することになり、効率的に作業を行うことができることになる。
【0040】
(2)土壌に臨んでほぼ一平面内で走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置され、相互に異なるパルス状送信信号がそれぞれ与えられる複数の送信アンテナ素子と、土壌に臨んで、前記一平面内に配置され、各送信アンテナ素子から放射されたパルス状送信信号が地中埋設物によって反射された反射波を、受信する単一の受信アンテナ素子とを含むことを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0041】
図7および図8に関連して後述されるように、複数の送信アンテナ素子と単一の受信アンテナ素子とを含み、各送信アンテナ素子は、土壌に臨んでほぼ一平面内で相互にずれて配置され、これらの各送信アンテナ素子には、時間的に相互にずれて異なるパルス状送信信号がそれぞれ順次的に与えられる。単一の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子が配置される前記一平面内に同様に配置され、各送信アンテナ素子から放射されて地中埋設物によって反射された反射波を共通に受信する。したがって図1の例で述べたような効果が同様に得られる。
【0042】
(3)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含むことを特徴とする。
【0043】
たとえば本件出願人による特願平11−80619記載のように、導電性アンテナハウジングの土壌に臨んで開放した収納空間は、複数の平行な部分収納空間に仕切られており、各部分収納空間には、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とが収納される。これらの送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、ダイポールアンテナであって、軸線方向に順次的に隣接して配置される一対の導体を含み、これらの導体の相互に近接した一端部を給電点とし、この給電点にパルス状送信信号を与え、電磁波を発生し、地中埋設物、たとえば管などによって反射された反射波は、受信され、給電点から受信信号として導出される。各アンテナ素子の導体の相互の離間した各他端部は、ハウジングとの間に、インピーダンス素子、たとえば抵抗などを介して接続される地中探査レーダ用アンテナ。
【0044】
アンテナハウジングは、たとえばアルミニウムなどの金属製板が組合わされて構成されてもよいけれども、金属箔が電気絶縁性材料から成る板の表面に付着されて形成されてもよい。この地中探査レーダ用アンテナは、比較的広帯域であり、指向性が優れており、さらに導体とアンテナハウジングとによる干渉を防いで土壌とは反対側に放射される電磁界の悪影響を、抑圧することができる。このアンテナは、構成が簡単であり、製造が容易であり、小形化が可能であるなどの優れた効果を達成することができる。さらに得られる受信信号には振動波形が含まれず、リンギングを充分に抑制することができる。
【0045】
ボータイアンテナなどに関連してフェライトなどの磁性材料を用いる必要なしに、不要な電磁波の放射を抑制し、導体とアンテナハウジングとの間の電磁波の干渉を防ぐことができるようになる。
【0046】
アンテナハウジング内には、誘電体が充填される。これによって、ハウジングの収納空間内に誘電体、たとえば電気絶縁性材料である発泡スチロールなどを充填し、これによってアンテナ効率を向上することができるとともに、導体を支持することができる。アンテナハウジングの収納空間には、誘電体が充填されず、空気が存在する構成であってもよい。
【0047】
導体は、導線であってもよいけれども、導体を金属製とし、たとえば直円筒状などの管とすることによって、断面2次モーメントを向上し、強度を向上し、導体を直線状に正確に保つことができるようになる。
【0048】
アンテナ素子に接続されて装荷されるインピーダンス素子の抵抗などのインピーダンスが、地中埋設物による反射波を正確に検出する地中探査のための最適値に選ばれる。したがってアンテナ素子などの構成および地中探査されるべき土壌の比誘電率などに拘わらず、地中埋設物体の反射波を常に正確に検出することができるようになる。インピーダンス素子のインピーダンスを適切に選ぶことによって、受信アンテナ素子から導出される受信信号のリンギング波形を抑制することができる。
【0049】
送信アンテナ素子および受信アンテナ素子をそれぞれ構成する一対の各導体は、その長手方向に同一長さを有し、これらの一対の導体によって構成されるアンテナ素子の全体の長さは、使用される送信信号および受信信号の周波数の波長λにほぼ等しく選ばれる。各導体の長さは、ほぼλ/2に選ばれる。導体の長さは、そのほかの値に選ばれてもよい。
【0050】
(4)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各受信アンテナ素子の給電点が、受信アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置され、送信アンテナ素子の給電点は、或る1つの受信アンテナ素子の給電点と、導体の長手方向に一致していることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0051】
(5)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各送信アンテナ素子の給電点が、送信アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置され、受信アンテナ素子の給電点は、或る1つの送信アンテナ素子の給電点と、導体の長手方向に一致していることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0052】
複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子は、これらのアンテナ素子を構成する給電点が、導体の長手方向に、その導体の長さだけ、ずれて配置され、これによって複数の受信または送信アンテナ素子の配置によって一度に得られる地中埋設物の位置を検出する導体の長手方向に沿う分解能を向上することができる。複数の受信または送信アンテナ素子のうちの1つは、単一の送信または受信アンテナ素子と、それらの給電点が導体の長手方向に一致して配置され、したがって本件アンテナの導体の長手方向に垂直な方向の長さをできるだけ短くして、小形化することができる。複数の受信または送信の各アンテナ素子は、導体の長手方向に上述のようにずれて配置されてもよいけれども、本発明の実施の他の形態では、導体の長手方向に垂直な方向にずれて配置されてもよく、このような構成によっても、地中埋設物の位置を、分解能を向上して、検出することができる。
【0053】
(6)土壌に臨んで、かつ走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置される複数のアンテナ素子を含み、複数の各アンテナ素子には、パルス状送信信号が与えられ、そのパルス状送信信号が与えられたアンテナ素子は、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0054】
図12および図13に関連して後述されるように、送受信アンテナを兼用し、1回の走査で広い範囲にわたって探査することを可能にし、効率的に作業を行うことができるとともに、構成を小型化することができるようになる。
【0055】
(7)各アンテナ素子は、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各アンテナ素子の給電点が、アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0056】
アンテナ素子の給電点が走査方向20に垂直な方向にずれており、したがって分解能を向上して地中埋設物の位置を検出することができる。
【0057】
(8)前記地中探査レーダ用アンテナと、各アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を、パルス状送信信号を与えたアンテナ素子と同じアンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置。
【0058】
図12および図13のように、送受信のためにアンテナ素子を兼用し、パルス状送信信号を与えたアンテナ素子からの地中埋設物による反射波を受信し、地中埋設物の位置を迅速にかつ正確に検出して探査すること可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図である。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
【図4】図1、図2および図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】送信回路16の送信信号54および受信回路17の受信信号55b〜55d,56b〜56dの各画像を示す図であり、図5(1)は送信回路16から送信アンテナ素子1aに与えられる送信信号を示し、図5(2)は受信アンテナ素子1bから受信回路17に与えられる受信画像を示し、図5(3)は受信アンテナ素子1cから受信回路17に与えられる受信画像を示し、図5(4)は受信アンテナ素子1dから受信回路17に与えられる受信画像を示す。
【図6】図1〜図5に示される本発明の参考例における処理回路18の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】送信回路16の送信信号54b〜54dおよび受信回路17の受信信号55a1〜55a3,56a1〜56a3の各波形を示す図であり、図8(1)は送信回路16から送信アンテナ素子1bに与えられる送信信号を示し、図8(2)は送信回路16から送信アンテナ素子1cに与えられる送信信号を示し、図8(3)は送信回路16から送信アンテナ素子1dに与えられる送信信号を示す。
【図9】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図10】本発明の実施の一形態の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図11】図10に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図13】図12に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いれらる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1 地中探査レーダ用アンテナ
1a〜1d,1c1,1c2,1d1,1d2 アンテナ素子
2 アンテナハウジング
3 収納空間
4a〜4d 部分収納空間
5a〜5d,6a〜6d 導体
10a〜10d 誘電体
34a〜34d,35a〜35d 一端部
36a〜36d 給電点
37a〜37d,38a〜38d 他端部
39a〜39d,40a〜40d インピーダンス素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたたとえば管などの地中埋設物の位置を探査する際に、電磁波を放射および受信するために用いられる地中探査レーダ用アンテナおよびそのアンテナを用いた地中探査レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中埋設物を探査するための先行技術は、地表面から土壌中に電磁波を放射する送信アンテナと、地中埋設物による反射波を受信する受信アンテナとを備え、送信アンテナから電磁波を放射した後、受信アンテナで地中埋設物による反射波を受信するまでの時間に対応した地中埋設物の深さを検出する。このような用途に用いられるアンテナとしては、従来では、単一の送信アンテナと単一の受信アンテナとが対を成して配置されて構成される。
【0003】
このような先行技術では、地中埋設物の位置を正確に検出するために、埋設物が埋設されている土壌の表面を、走査する位置を、走査方向に垂直にずらしながら、複数回走査して探査する必要がある。したがって地中埋設物の位置を迅速に探査することができない。またその走査方向に垂直な位置を正確に把握できなければ、埋設位置を正確に検出することができないという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、地中埋設物の位置を迅速に、しかも正確に検出することができるようにした地中探査レーダ用アンテナ、およびそのアンテナを備える地中探査レーダ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとを含み、各組の一対の送信アンテナと受信アンテナとは、土壌に臨んで、走査方向に垂直な方向に同一位置にあり、しかも各組毎に走査方向に垂直な方向にずれて配置され、各組の送信アンテナに、パルス状送信信号が時間的にずれて、与えられ、パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す受信アンテナによって、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナである。
【0006】
本発明に従えば、後述の図10および図11に示されるように、一対の送信および受信アンテナの組が複数、備えられ、一対の送信および受信アンテナは、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)に同一位置にあり、しかも各組は、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)にずれて配置される。各組の送信アンテナに、図8に示されるようなパルス状送信信号が時間的にずれて与えられ、その走査パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す組みの受信アンテナによって、地中埋設物による反射波を受信する。こうして1回の走査で広い範囲にわたって前述と同様に探査することができ、効率的に作業を行うことができることになる。
【0007】
また本発明は、全ての各組の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各組の対を成す送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の給電点は、導体の長手方向に一致しており、各組毎に給電点が、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に従えば、図10および図11のように一対の送信および受信アンテナから成る組が、複数設けられ、前述と同様に分解能を向上することができる。
【0009】
また本発明は、前記地中探査レーダ用アンテナと、送信アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を各受信アンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置である。
【0010】
本発明に従えば、図1〜図11にように、複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子が、ずれて配置されることによって、地中探査レーダ用アンテナを地表に配置して、地中埋設物の位置を迅速にかつ正確に検出して探査することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の本発明によれば、複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとの組合せによって、地中埋設物の距離、したがって位置を迅速にかつ正確に検出して地中埋設物の探査を行うことができる。したがって本件地中探査レーダ用アンテナを、走査方向に対して垂直にずらして複数回走査する作業を行う必要がなく、地中埋設物の探査の作業が容易になる。
【0012】
請求項2の本発明によれば、複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子の給電点は、それらのアンテナ素子を構成する導体の長さだけ、導体の長手方向にずれて配置され、こうして分解能を向上して、地中埋設物の検出を行うことができる。
【0013】
また本発明によれば、単一の送信アンテナ素子の給電点は複数の受信アンテナ素子のうちの1つの給電点と一致しており、または単一の受信アンテナ素子の給電点は、複数の送信アンテナ素子のうちの1つの給電点と一致しており、こうして本件地中探査レーダ用アンテナの全体の構成をできるだけ小形化し、しかも地中埋設物の距離、したがって位置を、迅速にかつ正確に検出することができる。
【0014】
請求項3の本発明によれば、地中探査レーダ用アンテナをアンテナ駆動手段によって駆動し、送信信号と受信信号との間の各時間差に対応する地中埋設物までの距離、したがってその地中までの位置を演算手段によって迅速にかつ正確に検出することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。この地中探査レーダ用アンテナ1は、土壌に電磁波を放射する単一の送信アンテナ素子1aと、地中埋設物による反射波を受信する複数(たとえば3つ)の受信アンテナ素子1b,1c,1dとを有する。なお、図1は図解を容易にするため、後述の図2および図3に示される誘電体10a〜10dを省略して示されている。
【0016】
図2は、図1の切断面線II−IIから見た断面図である。図3は、図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。地中探査レーダ用アンテナ1は、アンテナハウジング2と、このアンテナハウジング2に設けられる単一の送信アンテナ素子1aと3つの受信アンテナ素子1b〜1dとを含む。アンテナハウジング2は、下方(図1の紙面の上方、図2および図3の下方)に臨んで開放した収納空間3を有する。この収納空間3は、仕切り壁7〜9によって部分収納空間4a〜4dに仕切られている。各部分収納空間4a〜4dには、送信アンテナ素子1aおよび受信アンテナ素子1b〜1dをそれぞれ構成する合計4組の各対を成す導体5a,6a;5b,6b;5c,6c;5d,6dと、これらの部分収納空間4a〜4dにそれぞれ充填される誘電体10a〜10dと、さらに抵抗などのインピーダンス素子39a,40a;39b,40b;39c,40c;39d,40dとが収納される。参照符の添え字a〜dを省略して、総括的に数字だけで示すことがある。
【0017】
図4は、図1、図2および図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。土壌12には、ガスなどの流体を輸送する鋼管などの地中埋設物体である管13が埋設される。地上では、この管13の探査を行うために、送信アンテナ素子1aから電磁波が参照符14で示されるように土壌12に向けて放射される。送信アンテナ素子1aから放射された電磁波14は、地中埋設管13によって反射され、その反射波15は、受信アンテナ素子1b〜1dによって受信される。
【0018】
送信アンテナ素子1aには、送信回路16から、たとえば中心周波数が100MHz〜700MHzの図5(1)に示される波形を有する複数のパルス状送信信号54が時間順次的に与えられる。受信アンテナ素子1b〜1dは、管13による反射波15b〜15dを受信する。これらの受信アンテナ素子1b〜1dの各出力は、切換え回路61を介して受信回路17に与える。図5(2)は、受信アンテナ素子1bによって受信された受信信号15bが、切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。図5(3)は、受信アンテナ素子1cによって受信された受信信号15cが切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。図5(4)は、受信アンテナ素子1dによって受信された受信信号15dが切換え回路61を介して受信回路17に与えられる画像を示す。切換え回路61はこのように、送信回路16からの電磁波54が放射される周期W1毎に、受信アンテナ素子1b〜1dの各出力を順次的に切換えて受信回路17に与える。この受信信号15b〜15dは、送信アンテナ素子1aによる電磁波の放射直後の第1信号成分55と、その第1信号成分55の受信後に得られる管13の反射による第2信号成分56とを含む。第1信号成分55は、送信アンテナ素子1aから、受信アンテナ素子1b〜1dに直接に伝搬した直接波と、送信アンテナ素子1aから土壌12の地表面で反射して受信アンテナ素子1b〜1dによって受信された地表面の反射波とを含む。
【0019】
送信アンテナ素子1aに図5(1)に示されるパルス状送信信号54が与えられ、これによって電磁波が土壌12に向けて放射される。受信アンテナ素子1bによって図5(2)で示される受信信号に含まれる第2信号成分56bが得られるまでの時間差ΔW1は、管13のアンテナ1からの距離に対応し、したがって土壌12の管13の深さに対応する。処理回路18は、マイグレーション処理を用いるなどして演算し、管13の深さおよび走査方向における距離X1を求めるようにしてもよい。土壌12の地表面上を、移動体19が導体5,6の長手方向(図1の左右方向)に垂直な走査方向(図1の上下方向)である矢符20で示されるように移動し、管13を地表面で横切ることによって、管13を含む土壌12の鉛直面内での断面の原画像を図5(2)〜図5(4)のごとく得ることができ、表示手段21で表示することができる。同様にして受信アンテナ素子1c,1dによる管13の第2信号成分56c,56dの時間差ΔW2,ΔW3によって、管13の深さ、走査方向における距離X2,X3をそれぞれ検出することができる。
【0020】
表示手段21は、たとえば液晶または陰極線管などによって実現される。処理回路18には、キーボードなどの入力手段22が接続され、また前記画像などをストアするメモリ23が接続される。移動体19には車輪が設けられ、土壌12の地表面を走行することができる。この移動体19の移動量を移動距離測定手段によって測定し、各移動位置毎に地中埋設管13の深さを検出することによって、前述のように土壌12の断面画像を得ることができる。
【0021】
再び図1、図2および図3を参照して、アンテナハウジング2は、底板25と、底板25に連なり導体5,6と平行に延びる両側壁27,28と、さらに側壁27,28に連なり、導体5,6の軸線に垂直な両端壁31,32とを含む。これらの底板25と側壁27,28と各端壁31,32と仕切り壁7〜9,100a〜100dとは、電気的に接地される。送信アンテナ素子1a内の部分収納空間4a内で、一対の導体5a,6aは、共通な一直線33上にそれぞれ軸線を有して延びる。導体5a,6aの近接した各一端部34a,35aは、給電点36aに接続される。導体5a,6aの他端部37a,38aは、インピーダンス素子39a,40aを介して端壁31,32にそれぞれ接続される。
【0022】
受信アンテナ素子1b,1c,1dもまた、同様な構成を有し、各アンテナ素子1a〜1dを構成する一対の導体5,6の軸線は、それらの導体5,6の長手方向に垂直(図1の上下方向)にずれており、かつ一水平面内で相互に平行である。導体5,6は同一形状を有し、その軸線方向の長さは同一である。各アンテナ素子1a〜1dの導体5,6は、使用される送信信号の周波数の波長をλとするとき、λ/2に選ばれる。これらの導体5,6の長手方向に沿って、送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとは同一位置にあり、受信アンテナ素子1c,1dは、λ/2だけ相互にずれて配置される。すなわち給電点36a,36bは、導体5,6の長手方向に同一位置にあり、給電点36c,36dは、λ/2ずつずれて配置される。
【0023】
したがって一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとの各給電点36a,36b間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)63aは、図1の直線63上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1bによる探査領域は、直線63の図1における左右両側に拡がる。一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1cとの各給電点36a,36c間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)64aは、図1の直線64上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1cによる探査領域は、直線64の左右両側に拡がる。また同様にして一対の送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1dとの各給電点36a,36d間を結ぶ線分の中点(すなわち見掛けの送受信点)65aは、図1の直線65上にあり、したがってこれらの送受信アンテナ素子1a,1dによる探査範囲は、直線65の左右に拡がる。このようにして各受信アンテナ素子1b〜1dからの受信信号によって管13の位置を、一度にできるだけ高い分解能で探査することができるようになる。すなわち各受信アンテナ素子1b〜1dによって検出された深さおよび走査方向の距離は、位置63,64,65からの深さ、平面位置とみなして管13の3次元位置を知ることができるようになる。
【0024】
収納空間3を構成する各部分収納空間4a〜4dには、発泡スチロールなどの誘電体10が充填される。こうして導体5,6は、底板25と開放端42との間で、誘電体10によって保持される。
【0025】
本発明の参考例では、誘電体10の導体6に関して底板25側の厚みd1と、開放端42側の厚みd2とは、たとえば等しく、d1=d2=約2cmであり、したがって誘電体10の全体の厚みは、約4cmである。たとえば導体5,6の長さL5=L6=約16cmである。たとえばアンテナハウジング2の導体5,6の軸線方向の長さL21=38cmであり、導体5,6の軸線に垂直方向の長さL22=26cmであってもよい。
【0026】
導体5,6は、銅などの金属製である直円筒体の管であってもよい。この導体5,6の外径5mmφであり、肉厚1mmであってもよい。導体5,6が直円筒状であるので、断面2次モーメントが大きく、強度が向上され、外力によって変形することが防がれる。
【0027】
本発明の他の参考例では、導体5,6が、直円筒状の管に代えて、たとえば正方形などの軸直角断面を有する角筒状の管であってもよく、その他の形状を有する管であってもよく、さらにまた線材である導線であってもよく、さらに電気絶縁性材料の表面に形成された金属箔などであってもよい。図1〜図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1は、先行技術であるボータイアンテナに比べて構成が細長い形状であるので、小形化され得る。
【0028】
図6は、図1〜図5に示される本発明の参考例における処理回路18の動作を説明するためのフローチャートである。ステップa1からステップa2に移り、i=1とし、次のステップa3に移る。送信回路16は、送信アンテナ素子1aに、前述の図5(1)に示されるパルス状送信信号54を、一定の周期で与える。切換え回路61は、各送信信号54毎に、時間W1ずつ、受信アンテナ素子1b〜1dからの出力を切換えて受信回路17に与える。ステップa4では、送信信号54が送信されてから受信信号56bが受信されるまでの時間ΔW1に反射信号を持つ画像が、処理回路18で演算される。
【0029】
ステップa5では、iを1だけインクリメントし、再びステップa3に戻る。このような動作を繰返し、受信アンテナ素子1c,1dによって検出される時間ΔW2,ΔW3を、処理回路18で演算する。こうして受信アンテナ素子1b〜1dからの出力によって、時間ΔW1〜ΔW3を演算した後、ステップa6からステップa61に移り、移動体19の走査が終了していれば、ステップa7に移り、管13の3次元の位置を演算して求める。前記走査が終了していなければ、ステップa61からステップa2に戻り、再び他の走査位置での時間差ΔW1〜ΔW3の値も計測し、メモリ23に蓄積する。
【0030】
図7は、本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。この参考例は、前述の図1〜図6に示される参考例に類似し、対応する部分には同一の参照符を付す。注目すべきはこの参考例では、地中探査レーダ用アンテナにおいて、単一の受信アンテナ素子1aと、複数(この参考例ではたとえば3)の送信アンテナ素子1b〜1dとが用いられる。これらの各送信アンテナ素子1b〜1dには、送信回路16から切換え回路67を介して、図8(1)〜図8(3)にそれぞれ示されるパルス状送信信号54b〜54dが時間順次的にそれぞれ与えられる。これによって各送信アンテナ素子1b〜1dからは電磁波14b〜14dが放射される。
【0031】
管13による反射波15は、共通の受信アンテナ素子1aで受信され、受信信号が受信回路17に与えられる。管13の反射波による受信信号56a1〜56a3が検出されるまでの各送信信号54b〜54dの放射からの時間ΔW1〜ΔW3は、処理回路18において前述と同様にして検出される。これによって各時間ΔW1〜ΔW3に対応した各送信アンテナ素子1b〜1dに対応する深さを検出し、したがって管13の3次元の位置を検出することができる。そのほかの構成と動作は、前述の図1〜図6の参考例と同様である。
【0032】
図9は、本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。この参考例は、前述の図1に示される地中探査レーダ用アンテナ1に対応する。単一の送信アンテナ素子1aと複数(たとえば3)の受信アンテナ素子1b〜1dとがアンテナハウジング2内の収納空間3の部分収納空間4a〜4cに収納される。これらの各アンテナ素子1a〜1dは、導体5,6の長手方向(図9の左右方向)に垂直(図9の上下方向)にずれて配置されている。送信アンテナ素子1aと受信アンテナ素子1bとの導体5,6の長手方向の位置は一致しており、部分収納空間4a,4bにそれぞれ配置される。残りの2つの受信アンテナ素子1c,1dは、導体5,6の長手方向に、使用される周波数の波長λとするとき、λ/2だけ、送信アンテナ素子1aの給電点36aに関して図9の左右にずれて配置される。すなわち、図9の地中探査レーダ用アンテナ1の左右の中央位置に関してアンテナ素子1c,1dの給電点36c,36dは、距離L1,L2を隔てて配置され、L1=L2=L5=L6=λ/2に選ばれる。
【0033】
このような構成によってもまた、前述の図1〜図6に関連して前述した本発明の参考例と同様に、良好な分解能で、地中埋設物の探査を行うことができる。本発明の他の参考例では、前述の図7および図8の参考例と同様に、図9の地中探査レーダ用アンテナ1において、単一の受信アンテナ素子1aと複数の送信アンテナ素子1b〜1dを用いるようにしてもよい。
【0034】
本発明の実施の一形態では、複数のアンテナ素子が、導体5,6の長手方向に上述の各参考例とは異なる態様で、図10のように送受一対の組が、配置されて構成される。図10の実施の形態は、前述の図9の参考例に類似し、受信アンテナ素子1aと送信アンテナ素子1bとが対を成し、受信アンテナ素子1c1と送信アンテナ素子1c2とが対を成し、受信アンテナ素子1d1と送信アンテナ素子1d2とが対を成し、このようにして複数(たとえば3)の組みを成す送受一対のアンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2を用いて、走査方向20の移動による探査を行う。アンテナ素子1a,1bの給電点36a,36bは、走査方向20に垂直な方向(図10の左右方向)に関して中央位置に設けられ、アンテナ素子1c1,1c2の給電点36c1,36c2は、図10の右方に中央から距離L1だけ隔てられ、またアンテナ素子1b1,1b2の給電点36d1,36d2は、中央位置から図10の左方に距離L2だけ隔てて配置される。用いられる周波数信号の波長をλとするとき、L1=L2=λ/2である。アンテナ素子1c1,1c2;1d1,1d2は、導体5c1,6c1;5c2,6c2:5b1,6b1;5d2,6d2を有する。図10の実施の形態のそのほかの構成は、前述の図7〜図9の参考例に類似する。
【0035】
図11は、図10に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。送信回路16からは切換え回路67を介して送信アンテナ素子1b,1c2,1d2に、前述の図8(1)〜図8(3)にそれぞれ示されるパルス状送信信号を切換えて与え、地中埋設物による反射波を、受信アンテナ1a,1c1,1d1から切換え回路61を介して受信回路17に与える。切換え回路67,61は同期してスイッチング状態が切換わり、対を成す送受信アンテナ素子1a,1b;1c1,1c2;1d1,1d2が用いられて、地中埋設物の探査が行われる。そのほかの構成と動作は、前述の参考例と同様である。
【0036】
また図12の参考例のように送受信兼用の複数のアンテナ素子1a,1c,1dが配置されてもよい。図11の実施の形態は、前述の図9および図10の実施の形態に類似する。注目すべきはこの参考例では、アンテナ素子1a,1c,1dは送信および受信を兼用する。アンテナ素子1aに図8(1)の送信信号を与え、地中埋設物による反射波を、同一のアンテナ素子1で受信する。同様にしてアンテナ素子1c,1bには、図8(2)および図8(3)にそれぞれ示される送信信号を与え、地中埋設物による反射波を、同一のアンテナ素子1c,1dによってそれぞれ受信する。そのほかの構成は、前述の参考例、実施の形態と同様である。
【0037】
図13は、図12に示される地中探査レーダ用アンテナ1を用いる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。送信回路16からのパルス状送信信号は、切換え回路67から方向性結合器71,72,73をそれぞれ経て、アンテナ素子1a,1c,1dにそれぞれ与えられ、電磁波が地中に放射される。地中埋設物による反射波は、これらのアンテナ素子1a,1c,1dから方向性結合器71,72,73を経て、前述の切換え回路67と同期的に切換え動作するもう1つの切換え回路61を経て受信回路17に与えられる。方向性結合器71,72,73は、たとえばサーキュレータなどによって実現することができる。そのほかの構成と動作は、前述の参考例と同様である。
【0038】
本発明は、以下の実施の形態が可能である。
(1)土壌に臨んで配置され、パルス状送信信号が与えられる単一の送信アンテナ素子と、土壌に臨んで送信アンテナ素子とともにほぼ一平面内に配置される複数の受信アンテナ素子であって、各受信アンテナ素子は、走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置され、送信アンテナ素子から放射されたパルス状送信信号が地中埋設物によって反射された反射波を受信する受信アンテナ素子とを含むことを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0039】
図1〜図6および図9に関連して後述されるように、単一の送信アンテナ素子から、パルス状送信信号が土壌に放射され、地中埋設物によって反射された反射波を、複数の受信アンテナ素子によって受信し、これらの受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子とともにほぼ同一平面内に配置され、各受信アンテナ素子は、走査方向20に垂直な方向に相互にずれて配置される。したがって一対の送信アンテナと受信アンテナとの各給電点間を結ぶ線分の直線の中点(見掛けの送受信点)63,64,65(図1参照)が走査方向20に垂直な方向(図1の左右方向)に相互にずれることになる。このことにより、従来の一対の送受信アンテナの組合せしか持たないシステムに比べ、たとえば図1の場合のように三対の送受信アンテナの組合せの方が1回の走査で3倍のライン数を走査方向20に探査することになり、効率的に作業を行うことができることになる。
【0040】
(2)土壌に臨んでほぼ一平面内で走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置され、相互に異なるパルス状送信信号がそれぞれ与えられる複数の送信アンテナ素子と、土壌に臨んで、前記一平面内に配置され、各送信アンテナ素子から放射されたパルス状送信信号が地中埋設物によって反射された反射波を、受信する単一の受信アンテナ素子とを含むことを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0041】
図7および図8に関連して後述されるように、複数の送信アンテナ素子と単一の受信アンテナ素子とを含み、各送信アンテナ素子は、土壌に臨んでほぼ一平面内で相互にずれて配置され、これらの各送信アンテナ素子には、時間的に相互にずれて異なるパルス状送信信号がそれぞれ順次的に与えられる。単一の受信アンテナ素子は、送信アンテナ素子が配置される前記一平面内に同様に配置され、各送信アンテナ素子から放射されて地中埋設物によって反射された反射波を共通に受信する。したがって図1の例で述べたような効果が同様に得られる。
【0042】
(3)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含むことを特徴とする。
【0043】
たとえば本件出願人による特願平11−80619記載のように、導電性アンテナハウジングの土壌に臨んで開放した収納空間は、複数の平行な部分収納空間に仕切られており、各部分収納空間には、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とが収納される。これらの送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、ダイポールアンテナであって、軸線方向に順次的に隣接して配置される一対の導体を含み、これらの導体の相互に近接した一端部を給電点とし、この給電点にパルス状送信信号を与え、電磁波を発生し、地中埋設物、たとえば管などによって反射された反射波は、受信され、給電点から受信信号として導出される。各アンテナ素子の導体の相互の離間した各他端部は、ハウジングとの間に、インピーダンス素子、たとえば抵抗などを介して接続される地中探査レーダ用アンテナ。
【0044】
アンテナハウジングは、たとえばアルミニウムなどの金属製板が組合わされて構成されてもよいけれども、金属箔が電気絶縁性材料から成る板の表面に付着されて形成されてもよい。この地中探査レーダ用アンテナは、比較的広帯域であり、指向性が優れており、さらに導体とアンテナハウジングとによる干渉を防いで土壌とは反対側に放射される電磁界の悪影響を、抑圧することができる。このアンテナは、構成が簡単であり、製造が容易であり、小形化が可能であるなどの優れた効果を達成することができる。さらに得られる受信信号には振動波形が含まれず、リンギングを充分に抑制することができる。
【0045】
ボータイアンテナなどに関連してフェライトなどの磁性材料を用いる必要なしに、不要な電磁波の放射を抑制し、導体とアンテナハウジングとの間の電磁波の干渉を防ぐことができるようになる。
【0046】
アンテナハウジング内には、誘電体が充填される。これによって、ハウジングの収納空間内に誘電体、たとえば電気絶縁性材料である発泡スチロールなどを充填し、これによってアンテナ効率を向上することができるとともに、導体を支持することができる。アンテナハウジングの収納空間には、誘電体が充填されず、空気が存在する構成であってもよい。
【0047】
導体は、導線であってもよいけれども、導体を金属製とし、たとえば直円筒状などの管とすることによって、断面2次モーメントを向上し、強度を向上し、導体を直線状に正確に保つことができるようになる。
【0048】
アンテナ素子に接続されて装荷されるインピーダンス素子の抵抗などのインピーダンスが、地中埋設物による反射波を正確に検出する地中探査のための最適値に選ばれる。したがってアンテナ素子などの構成および地中探査されるべき土壌の比誘電率などに拘わらず、地中埋設物体の反射波を常に正確に検出することができるようになる。インピーダンス素子のインピーダンスを適切に選ぶことによって、受信アンテナ素子から導出される受信信号のリンギング波形を抑制することができる。
【0049】
送信アンテナ素子および受信アンテナ素子をそれぞれ構成する一対の各導体は、その長手方向に同一長さを有し、これらの一対の導体によって構成されるアンテナ素子の全体の長さは、使用される送信信号および受信信号の周波数の波長λにほぼ等しく選ばれる。各導体の長さは、ほぼλ/2に選ばれる。導体の長さは、そのほかの値に選ばれてもよい。
【0050】
(4)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各受信アンテナ素子の給電点が、受信アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置され、送信アンテナ素子の給電点は、或る1つの受信アンテナ素子の給電点と、導体の長手方向に一致していることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0051】
(5)送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各送信アンテナ素子の給電点が、送信アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置され、受信アンテナ素子の給電点は、或る1つの送信アンテナ素子の給電点と、導体の長手方向に一致していることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0052】
複数の受信アンテナ素子または複数の送信アンテナ素子は、これらのアンテナ素子を構成する給電点が、導体の長手方向に、その導体の長さだけ、ずれて配置され、これによって複数の受信または送信アンテナ素子の配置によって一度に得られる地中埋設物の位置を検出する導体の長手方向に沿う分解能を向上することができる。複数の受信または送信アンテナ素子のうちの1つは、単一の送信または受信アンテナ素子と、それらの給電点が導体の長手方向に一致して配置され、したがって本件アンテナの導体の長手方向に垂直な方向の長さをできるだけ短くして、小形化することができる。複数の受信または送信の各アンテナ素子は、導体の長手方向に上述のようにずれて配置されてもよいけれども、本発明の実施の他の形態では、導体の長手方向に垂直な方向にずれて配置されてもよく、このような構成によっても、地中埋設物の位置を、分解能を向上して、検出することができる。
【0053】
(6)土壌に臨んで、かつ走査方向に垂直な方向に相互にずれて配置される複数のアンテナ素子を含み、複数の各アンテナ素子には、パルス状送信信号が与えられ、そのパルス状送信信号が与えられたアンテナ素子は、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0054】
図12および図13に関連して後述されるように、送受信アンテナを兼用し、1回の走査で広い範囲にわたって探査することを可能にし、効率的に作業を行うことができるとともに、構成を小型化することができるようになる。
【0055】
(7)各アンテナ素子は、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各アンテナ素子の給電点が、アンテナ素子相互に、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されることを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【0056】
アンテナ素子の給電点が走査方向20に垂直な方向にずれており、したがって分解能を向上して地中埋設物の位置を検出することができる。
【0057】
(8)前記地中探査レーダ用アンテナと、各アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を、パルス状送信信号を与えたアンテナ素子と同じアンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置。
【0058】
図12および図13のように、送受信のためにアンテナ素子を兼用し、パルス状送信信号を与えたアンテナ素子からの地中埋設物による反射波を受信し、地中埋設物の位置を迅速にかつ正確に検出して探査すること可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図である。
【図3】図1の切断面線III−IIIから見た断面図である。
【図4】図1、図2および図3に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】送信回路16の送信信号54および受信回路17の受信信号55b〜55d,56b〜56dの各画像を示す図であり、図5(1)は送信回路16から送信アンテナ素子1aに与えられる送信信号を示し、図5(2)は受信アンテナ素子1bから受信回路17に与えられる受信画像を示し、図5(3)は受信アンテナ素子1cから受信回路17に与えられる受信画像を示し、図5(4)は受信アンテナ素子1dから受信回路17に与えられる受信画像を示す。
【図6】図1〜図5に示される本発明の参考例における処理回路18の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】送信回路16の送信信号54b〜54dおよび受信回路17の受信信号55a1〜55a3,56a1〜56a3の各波形を示す図であり、図8(1)は送信回路16から送信アンテナ素子1bに与えられる送信信号を示し、図8(2)は送信回路16から送信アンテナ素子1cに与えられる送信信号を示し、図8(3)は送信回路16から送信アンテナ素子1dに与えられる送信信号を示す。
【図9】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図10】本発明の実施の一形態の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図11】図10に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いられる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の他の参考例の地中探査レーダ用アンテナ1の底面図である。
【図13】図12に示される地中探査レーダ用アンテナ1が用いれらる地中探査レーダ装置11の全体の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
1 地中探査レーダ用アンテナ
1a〜1d,1c1,1c2,1d1,1d2 アンテナ素子
2 アンテナハウジング
3 収納空間
4a〜4d 部分収納空間
5a〜5d,6a〜6d 導体
10a〜10d 誘電体
34a〜34d,35a〜35d 一端部
36a〜36d 給電点
37a〜37d,38a〜38d 他端部
39a〜39d,40a〜40d インピーダンス素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとを含み、各組の一対の送信アンテナと受信アンテナとは、土壌に臨んで、走査方向に垂直な方向に同一位置にあり、しかも各組毎に走査方向に垂直な方向にずれて配置され、各組の送信アンテナに、パルス状送信信号が時間的にずれて、与えられ、パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す受信アンテナによって、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【請求項2】
全ての各組の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各組の対を成す送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の給電点は、導体の長手方向に一致しており、各組毎に給電点が、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されていることを特徴とする請求項1記載の地中探査レーダ用アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の地中探査レーダ用アンテナと、送信アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を受信アンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置。
【請求項1】
複数組の対を成す送信アンテナと受信アンテナとを含み、各組の一対の送信アンテナと受信アンテナとは、土壌に臨んで、走査方向に垂直な方向に同一位置にあり、しかも各組毎に走査方向に垂直な方向にずれて配置され、各組の送信アンテナに、パルス状送信信号が時間的にずれて、与えられ、パルス状送信信号が与えられた送信アンテナと対を成す受信アンテナによって、地中埋設物によって反射された反射波を受信することを特徴とする地中探査レーダ用アンテナ。
【請求項2】
全ての各組の送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とは、同一構造を有し、土壌に臨んで開放した収納空間を有し、その収納空間が、複数の平行に延びる部分収納空間に仕切られている導電性材料から成るアンテナハウジングの前記各部分収納空間内にそれぞれ設けられ、各部分収納空間内で、共通な一直線上に軸線を有して細長く延び、相互の近接した各一端部を給電点とする一対の導体と、導体の相互の離間した各他端部とアンテナハウジングとの間に介在されるインピーダンス素子とを含み、各組の対を成す送信アンテナ素子および受信アンテナ素子の給電点は、導体の長手方向に一致しており、各組毎に給電点が、導体の長手方向に、導体の長さだけ、ずれて配置されていることを特徴とする請求項1記載の地中探査レーダ用アンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載の地中探査レーダ用アンテナと、送信アンテナ素子にパルス状送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を受信アンテナ素子によって受信して導出するアンテナ駆動手段と、送信信号と受信信号との各時間差に対応する地中埋設物の距離を演算し、その距離に基づいて、地中埋設物の位置を検出する演算手段とを含むことを特徴とする地中探査レーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−275639(P2008−275639A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163874(P2008−163874)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【分割の表示】特願平11−367065の分割
【原出願日】平成11年12月24日(1999.12.24)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【分割の表示】特願平11−367065の分割
【原出願日】平成11年12月24日(1999.12.24)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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