地域型リフト式水力発電システム
【課題】点検、修理を容易に行うことができる地域型リフト式水力発電システムを提供する。
【解決手段】水の流れを利用して回転されるタービン4と、タービン4の回転を利用して発電する発電機6と、タービン4からの回動力を発電機6に伝達する駆動力伝達手段8と、を備えた地域型リフト式水力発電システムであって、タービン4、発電機6及び駆動力伝達手段8を発電ユニット10として構成し、この発電ユニット10を、タービン4が水に浸かって回転される発電位置と、タービン4が水面Qから上方に後退する非発電位置との間を移動自在に構成する。発電ユニット10は、タービン4及び発電機6が取り付けられたユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12を昇降動させるための複数のシリンダ機構38,40を設け、これらシリンダ機構38,40によって、ユニットハウジング12が発電位置と非発電位置との間を昇降動される。
【解決手段】水の流れを利用して回転されるタービン4と、タービン4の回転を利用して発電する発電機6と、タービン4からの回動力を発電機6に伝達する駆動力伝達手段8と、を備えた地域型リフト式水力発電システムであって、タービン4、発電機6及び駆動力伝達手段8を発電ユニット10として構成し、この発電ユニット10を、タービン4が水に浸かって回転される発電位置と、タービン4が水面Qから上方に後退する非発電位置との間を移動自在に構成する。発電ユニット10は、タービン4及び発電機6が取り付けられたユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12を昇降動させるための複数のシリンダ機構38,40を設け、これらシリンダ機構38,40によって、ユニットハウジング12が発電位置と非発電位置との間を昇降動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力を利用して発電を行う地域型リフト式水力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水路(例えば、農業用水など)を流れる水を利用して発電を行う発電装置として、水路に設置される支持体と、この支持体に回転自在に支持された回転体(例えば、水車)と、回転体によって回動される発電機とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この発電装置では、支持体は、溝に設置される一対の水平梁と、一対の水平梁の両端部間に支持された一対の補助梁とを備え、一対の補助梁間に回転体が回転自在に支持される。
【0003】
この発電装置においては、水路支持体が水路を渡すように設置され、回転体が水路の水に浸るように配設され、水路を流れる水によって回転体が所定方向に回動される。このように回転体が回動されると、回転体からの回動力が、例えばベルトを介して発電機に伝達され、発電機が稼働して発電される。
【0004】
また、別の形態の発電装置では、支持体は、溝に設置される一対の水平梁と、一対の水平梁間に支持された支持フレームとを備え、この支持フレームに回転体が回転自在に支持される。また、支持フレームの下流側部が下流側の水平梁に揺動自在に支持され、その上流側部がワイヤを介して上流側の水平梁に懸吊され、揚重器によりワイヤの長さを調整することによって、回転体(例えば、水車)の水面に対する高さが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−127447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した発電装置には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、回転体(例えば、水車)が水路の水に常時浸って回動される構成であり、それ故に、点検、修理を行う場合、発電装置全体を水路から外し、この点検、修理後に再び水路に設置する必要があり、その作業が煩雑である。
【0007】
第2に、水路を流れる水の流量が過剰に多くなる、或いは水の流速が過剰に速くなると、回転体(例えば、水車)が壊れるおそれがあり、このような場合、発電装置全体を水路から外す必要があり、そのための管理が煩雑となる。
【0008】
第3に、このような発電装置は、農業用水などに設置される小型のものであって、地域全体の電力供給に適用することができない。近年、原子力の平和利用が進められ、日本各地に原子力発電所が点在しているが、原子力については、人間の知識や知能が及ばず、人間が100%取り扱うことができるものではなく、高レベル放射能廃棄物処理は、未解決のままである。このようなことから、安全・安心のエネルギーとして、また環境に優しいエネルギーとして水力を利用した水力発電が見直され、地域全体(例えば、一つの市、町など)に電力を供給することができる水力発電システムの実現が望まれているが、上述した発電装置は小型である故に、このような要望を満たすことができない。
【0009】
本発明の目的は、点検、修理を容易に行うことができる地域型リフト式水力発電システムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、発電システムの管理を容易に行うことができる地域型リフト式水力発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システムは、水の流れを利用して回転されるタービンと、前記タービンの回転を利用して発電する発電機と、前記タービンからの回動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、を備えた地域型リフト式水力発電システムにおいて、
前記タービン、前記発電機及び前記駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、前記発電ユニットが、前記タービンが水に浸かって回転される発電位置と、前記タービンが水面から上方に後退する非発電位置との間を移動自在であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットは、前記タービン及び前記発電機が取り付けられたユニットハウジングを備え、前記ユニットハウジングに関連して、前記ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられており、前記ユニットハウジングは、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングには、前記タービンに関連して作業用プレートが設けられており、前記作業支持体は、前記タービンの下方に位置する作業位置と、前記タービンの下方から後退する収納位置との間を移動可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングは、水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して前記複数のシリンダ機構が設けられており、前記複数のユニットハウジングの各々は、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングには、前記タービンが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、前記複数のタービンの各々に対応して前記発電機及び前記駆動力伝達手段が設けられており、前記ユニットハウジングが、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットの上流側には、水力発電に利用する水を溜めるための第1溜め部が設けられ、その下流側には、水力発電後の水を溜めるための第2溜め部が設けられ、前記第1溜め部と前記第2溜め部との間には、前記第2溜め部の水を前記第1溜め部に掲げるための揚水流路が設けられ、前記揚水流路に揚水ポンプが配設されていることを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の請求項7に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットの上流側には、ゴミの流入を防止するためのゴミ流入防止手段が設けられ、前記ゴミ流入防止手段は、網部材が張られた第1及び第2網体を備え、前記第1及び第2網体は、前記第1網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第1状態と、前記第2網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第2状態とになるように連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、タービン、発電機及び駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、この発電ユニットが発電位置と非発電位置との間を移動自在であるので、発電ユニットを発電位置に位置付けることによって、発電ユニット(タービン、発電機及び駆動力伝達手段)の点検、修理を容易に行うことができる。また、この発電位置においては、タービンが水面から上方に後退するので、水の流量が増えたり、その流速が速くなったりしたときには、発電ユニットを非発電位置に位置付けることによって、タービンなどの破損を防止することができる。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられているので、複数のシリンダ機構の伸縮によって、発電ユニットを発電位置と非発電位置との間を昇降動されることができる。また、複数のシリンダ機構によって発電ユニットを昇降動させるので、水量が増減したり、流速が変化したときには、発電ユニットを昇降動させて発電ユニットと水面とのレベル関係を調整することができ、これによってタービンの回転数を適正に調整して発電を行うことができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングには作業用プレートが設けられ、この作業支持台が作業位置と収納位置との間を移動可能であるので、作業支持体を作業位置に位置付けることによって、この作業支持体がタービンの下方に位置し、かくして、作業支持体を用いてタービンなどの点検、修理を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して複数のシリンダ機構が設けられているので、各発電ユニット毎に発電位置と非発電位置との間を移動させることができ、発電システム全体の発電電力を大きく下げることなく点検、修理を行うことができる。また、水の流速が速くなったりしたときには、全ての発電ユニットを非発電位置に位置付けることによって、全発電ユニットの破損を未然に防ぐことができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングに複数のタービンが設けられているので、ユニットハウジング全体を非発電位置に位置付けることによって、複数のタービンなどの破損を未然に防止することができる。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、発電ユニットの上流側に第1溜め部が設けられ、その下流側に第2溜め部が設けられ、この第1溜め部と第2溜め部との間には、揚水ポンプが配設された揚水流路を介して接続されているので、発電時には、第1溜め部の水が発電ユニットを通して第2溜め部に流れて発電に利用され、余剰電力を利用する時には、余剰電力によって揚水ポンプが作動され、この揚水ポンプによって第2溜め部の水が揚水流路を通して第1溜め部に戻され、これによって、余剰電力を有効に利用することができる。
【0024】
更に、本発明の請求項7に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、発電ユニットの上流側にはゴミ流入防止手段が設けられているので、このゴミ流入防止手段によってタービンへのゴミの流入を防止することができる。また、ゴミ流入防止手段が網部材が張られた第1及び第2網体を有し、これら第1及び第2網体が第1状態(又は第2状態)になるように構成されているので、第1網体(又は第2網体)に付着したゴミを水の流れを利用して取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第1の実施形態を簡略的に示す正面図。
【図2】図1におけるII−II線による断面図。
【図3】図1におけるIII−III線による断面図。
【図4】図1の地域型リフト式水力発電システムにおける発電ユニットを非発電位置に位置付けた状態を示す正面図。
【図5】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第2の実施形態の適用例を示す概略図。
【図6】図5の地域型リフト式水力発電システムを簡略的に示す平面図。
【図7】図5の地域型リフト式水力発電システムにおける発電ユニットを示す正面図。
【図8】図5の地域型リフト式水力発電システムにおける一つの発電システムを非発電位置に位置付けた状態で示す断面図。
【図9】発電システムを非発電位置に保持した状態において作業支持体を収納位置に保持した状態で示す簡略図。
【図10】発電システムを非発電位置に保持した状態において作業支持体を作業位置に位置付けた状態で示す簡略図。
【図11】発電システムの変形形態を示す正面図。
【図12】発電システムにおける駆動力伝達手段の変形形態を示す図。
【図13】発電システムにおける駆動力伝達手段の更に他の変形形態を示す斜視図。
【図14】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第3の実施形態を簡略的に示す斜視図。
【図15】図14の地域型リフト式水力発電システムに装備されたゴミ流入防止手段を簡略的に示す平面図。
【図16】図15のゴミ流入防止手段を第1状態に保持した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの各種実施形態について説明する。
【0027】
〔第1の実施形態〕
まず、図1〜図4を参照して、第1の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。図1〜図3において、図示の地域型リフト式水力発電システム2は、水に流れによって回転されるタービン4と、タービン4の回転を利用して発電する発電機6と、タービン4の回動力を発電機6に駆動伝達するための駆動力伝達手段8とを備えている。この形態では、タービン4、発電機6及び駆動力伝達手段8は一つのユニット、即ち発電ユニット10として構成されている。
【0028】
図示の発電ユニット10はユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12は、上壁14と、この上壁14の両端部から下方に延びる両側壁16,18を有し、タービン4の軸部20,22が両側壁16,18に回転自在に支持されている。タービン4の一方の軸部20は、一方の側壁16を貫通して外方に突出している。また、発電機6は、このユニットハウジング12の上壁14の上面に取り付けられている。タービン4の大きさは、例えば、その直径D(図1参照)が5〜10m程度、その幅W(図1参照)が10〜20m程度のものを用いることができる。
【0029】
図示の駆動力伝達手段8は、タービン4と発電機6とを駆動連結する歯車列から構成され、タービン4の軸部20に取り付けられた大歯車24と、発電機6の入力軸26に取り付けられた小歯車28と、大歯車24と小歯車28との間に介在された中間歯車30とを含み、タービン4からの回動力が駆動力伝達手段8(大歯車24、中間歯車30及び小歯車28)を介して発電機6に伝達される。尚、この形態では、駆動力伝達手段8を歯車列によって簡略的に示しているが、実際には、回転数を調整するためのトランスファ(変速機)などを含んでいる。
【0030】
この発電ユニット10は、図1に示す発電位置(この形態では、最下位位置)と図4に示す非発電位置(この形態では、最上位位置)との間を昇降自在に構成されている。更に説明すると、タービン4が設置される水路32を覆うように発電施設(図示せず)が設けられ、この発電施設に水の流れ方向に間隔をおいて一対の支持軸34,36が設けられ、この一対の支持軸34,36に発電ユニット10が吊り下げられている。
【0031】
この形態では、発電ユニット10の上流側部が一対の上流側シリンダ機構38,40を介して上流側の支持軸34に支持され、その下流側部が一対の下流側シリンダ機構42,44を介して下流側の支持軸36に支持されている。具体的には、上流側シリンダ機構38,40の出力ロッド46の出力部48は、ユニットハウジング12の上壁14に固定された一対のブラケット50に取り付けられ、そのシリンダ52の連結部54が上流側の支持軸34に連結されている。また、下流側シリンダ機構42,44の出力ロッド56の出力部58は、ユニットハウジング12の上壁14に固定された一対のブラケット60に取り付けられ、そのシリンダ62の連結部64が下流側の支持軸36に連結されている。このように構成されているので、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が伸張すると、ユニットハウジング12(即ち、発電ユニット10)は上記発電位置に向けて下方に移動し、またこれらシリンダ機構38,40,42,44が収縮すると、ユニットハウジング12(即ち、発電ユニット10)は上記非発電位置に向けて上方に移動する。
【0032】
この発電システム2による発電は、例えば、次のようにして行われる。発電を行うときには、発電ユニット10は上記発電位置(図1に示す位置)に保持される。この状態においては、タービン4の下部は、図1に示すように水路32を流れる水68に浸漬され、タービン4は、矢印70(図2及び図3参照)で示す方向に流れる水68によって矢印72(図2参照)で示す方向に回動される。かくタービン4が回動すると、その回動力が駆動力電圧手段8を介して発電機6の入力軸26に伝達され、この入力軸26が所定方向に回動されて発電され、このように水路32を流れる水を利用して所要の通りに発電を行うことができる。
【0033】
このような発電状態において、水路32を流れる水68の面が上昇(又は低下)すると、その上昇(又は低下)に対応してタービン4も上昇(又は下降)し、タービン4と水面Qとが一定のレベル関係に保たれる。即ち、水路32を流れる水68が増えて(又は減って)水面Qが上昇(又は低下)すると、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が収縮(又は伸張)され、水路32の水面Qに対応するように発電ユニット10が上昇(又は下降)される。従って、タービン4と水路32の水面Qとのレベル関係が一定に保たれ、これによって、水路32の水の増減に関係なくタービン4の回転が一定に保たれ、発電機6による発電を安定させて発電電力を一定に保つことができる。尚、この場合、水路32を流れる水68の水面Qを検知する水面Qレベル検知手段を設け、この水面レベル検知手段(例えば、フロートセンサ)の検知レベルに基づいて上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を伸縮制御してタービン4と水路32の水面Qとのレベル関係を一定に保つのが望ましい。
【0034】
タービン4などを点検修理するときには、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を収縮させて発電ユニット10を上記非発電位置(図4に示す位置)に位置付ける。このような状態においては、図4に示す通り、タービン4を含む発電ユニット10全体が水路32を流れる水68の面よりも上方に位置し、タービン4などが水に浸かることはなく、発電ユニット10(特に、タービン4等)の点検、修理を容易に行うことができる。
【0035】
尚、水路32の水量が過剰に増えたり、その流速が過剰に速くなったときにも、上述したようにシリンダ機構38,40,42,44を収縮させて発電ユニット10を上記非発電位置に位置付けるのが望ましく、このように非発電位置に保持することによって、発電ユニット10の水による被害を未然に回避することができ、発電ユニット10の管理も容易に行うことができる。
【0036】
〔第2の実施形態〕
次に、図5〜図8を参照して、第2の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の構成要素については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図5及び図6において、この実施形態では、発電設備102の上流側に第1溜め部104が設けられ、この第1溜め部104に、水力発電に利用される水が溜められる。また、発電設備102の下流側に第2溜め部106が設けられ、この第2溜め部106に発電に利用した水が溜められる。第1及び第2溜め部104,106は、例えば、河川を堰き止めて形成される頭首湖から構成される。
【0038】
この形態では、第2溜め部106に溜まった水を第1溜め部104に揚水するための揚水流路108が設けられ、この揚水流路108に揚水ポンプ110が配設されている。この揚水ポンプ110を作動すると、第2溜め部106の水が、矢印112で示すように揚水流路108を通して第1溜め部104に送給され、例えば夜間などの余剰電力を利用して揚水ポンプ110を作動させることによって、余剰電力を有効に利用して再発電に利用するように揚水することができる。
【0039】
この第2の実施形態では、発電設備102は、図6〜図8に示すように構成されている。図6〜図8において、この形態では、第1溜め部104の水が流入流路114を通して発電設備102内の水路32に流れ、この水路32を流れた後に流出流路116を通して第2溜め部106に流出される。流入流路114は、例えば、逆U字状の流入管118から構成され、この流入管118の流入口に網部材120が取り付けられ、この網部材120は、第1溜め部104内のゴミなどが流入流路114を通して水路32内に流れるのを防止する。また、流出流路116は、例えば、流出管122から構成される。
【0040】
発電設備102には、矢印124で示す水に流れ方向に所定間隔をおいて複数の発電ユニット10Aが配設されている。図6及び図8において4つの発電ユニット10Aを示しているが、実際の発電設備102では多数の発電ユニット10Aが設けられる。
【0041】
複数の発電ユニット10Aは実質上同一の構成であり、それらの基本的構成は、上述した第1の実施形態のものと同一である。主として図7を参照して、各発電ユニット10Aは、ユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12の両側壁16,18にタービン4の軸部20,22が回転自在に支持されている。一方の軸部20は、上述したと同様に、ユニットハウジング12の一方の側壁16を貫通して外方に突出し、この突出端部が駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6の入力軸26に駆動連結されている。また、他方の軸部18は、ユニットハウジング12の他方の側壁18を貫通して外方に突出し、この突出端部が駆動力伝達手段8Aを介して他の発電機6Aの入力軸26Aに駆動連結されている。尚、図6においては、理解を容易にするために、タービン4の両側に発電機6,6Aを示している。
【0042】
駆動力伝達手段8(8A)は、上述したように、タービン4の軸部20(22)に取り付けられた大歯車24(24A)、発電機6(6A)の入力軸26(26A)に取り付けられた小歯車28(28A)及び大歯車24(24A)と小歯車28(28A)との間に介在された中間歯車30(30A)を含んでいる。このように構成されているので、矢印124で示す方向に流れる水によってタービン4が矢印126(図8参照)で示す方向に回動すると、この回動力は一方の軸部20から駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6に入力軸26に伝達されるとともに、他方の軸部22から駆動力伝達手段8Aを介して他方の発電機6Aに伝達される。従って、タービン4によって発電機6,6Aが作動して発電が行われ、各発電ユニット10Aにおいて、第1の実施形態のものに比して約2倍の発電電力を得ることができる。
【0043】
各発電ユニット10Aは、上述したと同様に、一対の上流側シリンダ機構38,40及び一対の下流側シリンダ機構42,44を備え、ユニットハウジング12の上流側部は、一対の上流側シリンダ機構38,40を介して支持軸34に支持され、その下流側部は、一対の下流側シリンダ機構42,44を介して他方の支持軸36に支持されている。これら発電ユニット10Aのその他の構成は、第1の実施形態のものと実質上同一である。
【0044】
この地域型リフト式水力発電システム2Aにおいても、各発電システム10Aは、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44の伸縮によって、タービン4が水路32の水68に所要の通りに浸漬する発電位置(図8において右側三つの発電システム10Aを示す位置)とタービン4が水路32の水68の上方に位置する非発電位置(図8において左側の発電システム10Aを示す位置)との間を昇降動自在である。
【0045】
発電位置にある発電ユニット10Aにおいては、水路32を流れる水68によってタービン4が所定方向に回動され、このタービン4の回動によって上述しように発電機6,6Aの発電が行われる。また、非発電位置にある発電ユニット10Aにおいては、タービン4が水路32内の水68から上方に位置し、このタービン4を含む発電ユニット10Aの点検、修理を容易に行うことができる。従って、他の発電ユニット10Aを発電状態に維持しながら特定の発電ユニット10Aの点検、修理を行うことができる。
【0046】
この形態では、発電設備102側に、各発電ユニット10Aに対応して、作業支持体128が設けられている。この作業支持体128は、横方向(図8において紙面に垂直な方向)に移動してタービン4の下方に位置する作業位置(図8の左側の発電ユニット10Aにおいて一点鎖線で示す位置)と、この作用位置から後退して収納される収納位置との間を移動自在に設けられる。作業位置においては、作業支持体128がタービン4の下方に位置するので、作業者が作業支持体128に移って作業することが可能となり、このようにして作業を行うことにより、点検、修理などを非常に容易に行うことができる。また、収納位置においては、作業支持体128が発電設備102側に収納されるので、タービン4を水路32内の水68に浸漬させて発電ユニット10Aを発電位置に位置付けることができる。
【0047】
作業支持体128は、一つのプレート状支持構造体から構成することもできるが、プレート状支持構造体自体が大きくなるために、図9及び図10に示すように構成するのが望ましい。図9及び図10において、図示の作業支持体128は、一対のプレート状支持構造体、即ち図9及び図10にて左側の左支持体131と図9及び図10にて右側の右支持体133とから構成されている。左支持体131及び右支持体133は実質上同一の構成でよく、左支持体131は、駆動源を含む左駆動機構(図示せず)よって、図9に示す収納位置と図10に示す作業位置との間を水平方向に移動自在に支持される。また、右支持体133は、駆動源を含む右駆動機構(図示せず)よって、図9に示す収納位置と図10に示す作業位置との間を水平方向に移動自在に支持される。
【0048】
このように構成されているので、左支持体131及び右支持体133が収納位置にあるときには、図9に示す通り、左支持体131は発電ユニット10Aの図9にて左外側に位置するとともに、右支持体133が発電ユニット10Aの図9にて右外側に位置し、このような状態においては、発電ユニット10Aは、左支持体131及び右支持体133間の空間を通して発電位置と非発電位置(図9及び図10に示す位置)の間を昇降動することができる。また、左支持体131及び右支持体133が作業位置にあるときには、図10に示す通り、左支持体131及び右支持体133は発電ユニット10Aの下方に突出して実質上連続した一つの作業支持体128を構成する。従って、作業者は、この作業支持体128(左支持体131及び右支持体133)上で作業を行うことができ、タービン4、駆力伝達手段8,8Aなどの保守、点検、修理などを容易に行うことができる。
【0049】
この場合、安全面の観点から、発電ユニット10Aが非発電位置に位置付けられて初めて作業支持体128(左支持体131及び右支持体133)の収納位置から作業位置への移動が許容されるように構成するのが望ましく、また作業支持体128が作業位置から収納位置に位置付けられて初めて発電ユニット10Aの非発電位置から発電位置への移動が許容されるように構成するのが望ましい。
【0050】
このような地域型リフト式水力発電システム2Aにおいても、各発電ユニット10Aにおけるタービン4として、直径が5m程度、幅が10m程度のものを用いることができ、このようなタービン4と組み合わせる発電機6,6Aとして、発電出力が900KVA(月間発電量50万kwh)程度のものを用いることができ、このような発電機6,6Aとを組み合わせたシステム2Aでは、約1400軒分の電力を賄うことが可能となる。そして、発電ユニット10Aの個数を増やすことによって、発電電力を増やすことができ、発電電力の増減に柔軟に対応することができる。このような地域型リフト式水力発電システム2Aは、河川を改修工事することによって容易に適用することができ、電力消費地近くの河川を改修して設置することによって、電力消費地の近くで発電して電力を供給することができる。
【0051】
発電ユニットは、図11に示すように構成するようにしてもよい。この変形形態においては、ユニットハウジング及びタービンに改良が施されている。図11において、発電ユニット10Bでは、ユニットハウジング12Bは上壁14と、この上壁14の両端部から下方に延びる両側壁16,18と、この上壁14の幅方向(図9において左右方向)中間部から下方に延びる一対の中間壁132,134とを備えている。そして、このことに関連して、タービン4Bは一対のタービン部材136,138から構成されている。一方のタービン部材136は、側壁16と中間側壁132との間に回動自在に支持され、このタービン部材136の回動力が駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6に駆動伝達され、この回動力によって発電機6が作動されて発電が行われる。また、他方のタービン部材138は、側壁18と中間側壁134との間に回動自在に支持され、このタービン部材138の回動力が駆動力伝達手段8Aを介して一方の発電機6Aに駆動伝達されて発電が行われる。この変形形態の発電ユニット10Bのその他の構成は、上述した第2の実施形態のものと実質上同一である。
【0052】
この変形形態においても、その基本的構成が上述した第2実施形態とものと同様であるので、上述したと同様の作用効果が達成される。
【0053】
また、駆動力伝達手段8(8A)に関連して、図12に示すように構成することもできる。図12において、この変形形態においては、タービン4の軸部20に駆動力伝達手段8の大歯車24が取り付けられ、また発電機6,6Cの入力軸26,26Cに小歯車28,28Cが取り付けられ、大歯車24と小歯車28,28Cとが噛合されている。尚、大歯車24と小歯車28,28Cとの間に、適宜の歯車列(図示せず)を介在させるようにしてもよい。
【0054】
このように構成した場合、タービン4の片側から取り出せる回動力を利用して二つの発電機6,6Cを作動させて発電を行うことができ、システム全体の発電出力をより多くすることができる。
【0055】
また、駆動力伝達手段に関連して、図13に示すように構成することもでき、この場合、一つのタービンについて8つの発電機が回転駆動されるように構成されている。図13において、この変形形態においては、発電機6,6Aが前後方向(左下から右上の方向)に2列に、また上下方向に2段に配設されている。以下、タービン4Bのタービン部材138及びその駆動力伝達手段8Cについて説明するが、タービン部材136及びその駆動力伝達手段(図示せず)については、タービン部材138及び駆動力伝達手段8Cと実質上同一であり、その説明を省略する。
【0056】
タービン4Bのタービン部材138の軸部23に駆動力伝達手段8Cの大歯車24が取り付けられ、この大歯車24が中間歯車26を介して下段の発電機6A(図13において右下側に位置する発電機)の小歯車30に噛合されている。またユニットハウジング12Cは、上壁14の上側に配設された天壁15を有し、この天壁15に上段の4つの発電機6,6Aが配設され、上段の一つの発電機6A(図11において右下側に位置する発電機)に取り付けられた小歯車191が中間歯車192,193を介して小歯車30に噛合されている。
【0057】
更に、大歯車24に噛して大歯車194が設けられ、この大歯車194に中間歯車195を介して下段の発電機6A(図13において右上側に位置する発電機)の小歯車196が噛合されている。更に、上段の一つの発電機6A(図13において右上側に位置する発電機)に取り付けられた小歯車197が中間歯車198,199を介して小歯車196(下段の発電機6Aに取り付けられたもの)に噛合されている。
【0058】
このように構成されているので、タービン4Bのタービン部材138の回動力は、前列側にて大歯車24、中間歯車26及び小歯車30を介して下段の発電機6Aに伝達され、更に中間歯車193,192及び小歯車191を介して上段の発電機6Aに伝達される。また、この回動力は、後列側にて大歯車24から大歯車194、中間歯車195及び小歯車196を介して下段の発電機6Aに伝達され、更に中間歯車199,198及び小歯車197を介して上段の発電機6Aに伝達される。このようにしてタービン部材138の回転を利用して4つの発電機6Aを作動させて発電をすることができ、同様にタービン部材136の回転を利用して残りの4つの発電機6を作動させて発電をすることができる。
【0059】
この変形形態では、発電機6,6Aを上下方向に2段に配設しているが、上下方向に3段以上配設するようにしてもよい。また発電機6,6Aを前後方向に2列に配設しているが、前後方向に3列以上配設するようにしてもよい。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、図14〜図16を参照して、第3の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。この第3の実施形態のものでは、大河を利用しての水力発電に好都合に適用することができる。図14において、この第3の実施形態では、大河内に発電建屋202が建造され、この発電建屋202の下側部分204が発電設備として利用され、その上側部分206が事務所として利用される。建屋202の発電設備は、例えば、上述した第2の実施形態と略同様に構成され、矢印208で示す水の流れ方向に間隔をおいて複数の発電ユニット10Aが配設され、各発電ユニット10Dは、矢印208で示す方向に間隔をおいて配設された一対のタービン4を備え、これらタービン4の回動力が駆動力伝達手段(図示せず)を介して対応する発電機(図示せず)に駆動伝達されるように構成されている。尚、各発電ユニット10Dのユニットハウジング12Dに上述のように一つのタービン4を設けるようにしてもよく、或いはこのユニットハウジング12Dに間隔をおいて3つ以上のタービン4を配設するようにしてもよい。
【0061】
この実施形態においても、各発電ユニット4Dの上流側部に対応して一対の上流側シリンダ機構38,40が設けられ、その下流側部に対応して一対の下流側シリンダ機構42,44が設けられ、各発電ユニット4Dのユニットハウジング12Dは、これら上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を介して昇降動自在に吊り下げられている。従って、これら上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44の伸縮によって発電ユニット4Dを昇降動させることができ、上述したと同様の効果を達成することができる。
【0062】
この形態では、図14及び図15から理解されるように、発電建屋202の一部、即ち建屋壁210,212によって流路214(第1及び第2実施形態における水路32に相当する)が規定され、各発電ユニット10Dのタービン4は、この流路214の水に浸漬され、水の流れを利用して所定方向に回動される。
【0063】
このような大河に設置する場合、流路214の流入側及び流出側に津波抑制手段216,217を設けるのが好ましい。図示の津波抑制手段216は、流路214の流入口の上流側に配設された複数の津波抑制ポール218から構成され、これら津波抑制ポール218が流路214の幅方向(図14において左上から右下の方向)に間隔をおいて配設される。また、津波抑制手段217は、流路214の流出口の下流側に配設された複数の津波抑制ポール220から構成され、これら津波抑制ポール220が流路214の幅方向に間隔をおいて配設される。このように津波抑制ポール218,220を設けることによって、大きな津波を小さく抑制することができ、これによって、発電建屋202及び発電システム2Dを津波から守ることができる。
【0064】
これら津波抑制ポール218の一つ(例えば、中央に位置する津波抑制ポール)に関連して、ゴミ流入防止手段222を設けることができる。この形態では、ゴミ流入防止手段222は、所定の大きさのメッシュを有する網部材224から構成され、この網部材224が発電建屋202の一方の建屋壁210から津波抑制ポール218を巻いて他方建屋壁212まで延びている。このように網部材224を設けることによって、発電建屋202の流路214の上流側が網部材224で覆われ、この網部材222によって、浮遊するゴミなどが発電建屋202の流路214に流入するのを防止することができる。
【0065】
このような地域型リフト式水力発電システム2Dにおいては、大河の水面Qの変動によって各発電ユニット10Dの上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が伸縮し、各発電ユニット10Dのタービン4と流路214を流れる水の面とが所定のレベル関係に維持されるように構成するのが好ましく、このことに関連して、更に、水面Qの変動によってゴミ取り網体22も上下動し、ゴミ取り網体22もこの水面Qに対して所定のレベル関係に維持されるように構成するのが好ましい。
【0066】
尚、波が問題となるときには、この津波抑制手段216,217に加えて、或いはこれに代えて、消波ネット(図示せず)を発電建屋202の流路214の上流側及び下流側に設けるようにしてもよい。
【0067】
ゴミ流入防止手段は、図15及び図16に示すように構成するようにしてもよい。この場合、ゴミ流入防止手段は、津波抑制手段とは別個に設けられる。
【0068】
図15及び図16において、図示のゴミ流入防止手段222Dは、発電建屋202の建屋壁210に揺動自在に取り付けられた第1網体232と、他方の建屋壁212に揺動自在に取り付けられた第2網体234とから構成され、第1及び第2網体232,234の先端部が、図15に示す中立状態から図16に一点鎖線で示す第1状態(及び図16に実線で示す第2状態)になるように連結されている。
【0069】
第1網体232は、略矩形状の第1枠部材236を備え、この第1枠部材236の表面側に第1網部材238が取り付けられている。また、第2網体234は、略矩形状の第2枠部材240を備え、この第2枠部材240の表面側に第2網部材242が設けられている。
ゴミ流入防止手段222Dの第1及び第2網体232,234が図15に示す中立状態にあるときには、それらの第1及び第2網部材238,242が発電建屋の流路214の上流側を覆い、第1及び第2網部材238,242によってゴミなどが流路214に流入するのを防止することができる。
【0070】
また、この中立状態から第1網体232を外側に揺動して第1状態にすると、第1網体232は水の流れ方向にほぼ平行な状態になるとともに、第2網体234は発電建屋の流路214の上流側を覆うようになる。この第1状態においては、水の流れに流されたゴミなどは第2網体234の第2網部材242に補足され、この第2網部材242によって流路214へのゴミの流入が防止される。このとき、第1網体232の第1網部材238の表面に沿って水が流れるので、かく流れる水が、第1網部材238に補足されたゴミに作用し、その流れの力によって補足されたゴミなどが第1網部材238から剥がされ、これによって、第1網部材238に付着したゴミなどを取り除くことができる。
【0071】
また、この中立状態から第2網体234を外側に揺動して第2状態にすると、上述とは反対に、第2網体234は水の流れ方向にほぼ平行な状態になるとともに、第1網体232は発電建屋の流路214の上流側を覆うようになる。この第2状態においては、水の流れに流されたゴミなどは第1網体232の第1網部材238に補足され、この第1網部材238によって流路214へのゴミの流入が防止される。このとき、第2網体234の第2網部材242の表面に沿って水が流れるので、かく流れる水が、第2網部材242に補足されたゴミに作用し、その流れの力によって補足されたゴミなどが第2網部材242から剥がされ、これによって、第2網部材242に付着したゴミなどを取り除くことができる。
【0072】
以上、本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0073】
2,2A,2B,2C,2D 地域型リフト式水力発電システム
4,4B タービン
6,6A、6C 発電機
8,8A 駆動力伝達手段
10,10A,10B,10D 発電ユニット
12,12B,12D ユニットハウジング
32 水路
38,40,42,44 シリンダ機構
68 水
102 発電設備
104 第1溜め部
106 第2溜め部
108 揚水流路
128 作業支持体
202 発電建屋
216,217 津波抑制手段
222,222D ゴミ流入防止手段
232 第1網体
234 第2網体
【技術分野】
【0001】
本発明は、水力を利用して発電を行う地域型リフト式水力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水路(例えば、農業用水など)を流れる水を利用して発電を行う発電装置として、水路に設置される支持体と、この支持体に回転自在に支持された回転体(例えば、水車)と、回転体によって回動される発電機とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この発電装置では、支持体は、溝に設置される一対の水平梁と、一対の水平梁の両端部間に支持された一対の補助梁とを備え、一対の補助梁間に回転体が回転自在に支持される。
【0003】
この発電装置においては、水路支持体が水路を渡すように設置され、回転体が水路の水に浸るように配設され、水路を流れる水によって回転体が所定方向に回動される。このように回転体が回動されると、回転体からの回動力が、例えばベルトを介して発電機に伝達され、発電機が稼働して発電される。
【0004】
また、別の形態の発電装置では、支持体は、溝に設置される一対の水平梁と、一対の水平梁間に支持された支持フレームとを備え、この支持フレームに回転体が回転自在に支持される。また、支持フレームの下流側部が下流側の水平梁に揺動自在に支持され、その上流側部がワイヤを介して上流側の水平梁に懸吊され、揚重器によりワイヤの長さを調整することによって、回転体(例えば、水車)の水面に対する高さが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−127447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した発電装置には、次の通りの解決すべき問題がある。第1に、回転体(例えば、水車)が水路の水に常時浸って回動される構成であり、それ故に、点検、修理を行う場合、発電装置全体を水路から外し、この点検、修理後に再び水路に設置する必要があり、その作業が煩雑である。
【0007】
第2に、水路を流れる水の流量が過剰に多くなる、或いは水の流速が過剰に速くなると、回転体(例えば、水車)が壊れるおそれがあり、このような場合、発電装置全体を水路から外す必要があり、そのための管理が煩雑となる。
【0008】
第3に、このような発電装置は、農業用水などに設置される小型のものであって、地域全体の電力供給に適用することができない。近年、原子力の平和利用が進められ、日本各地に原子力発電所が点在しているが、原子力については、人間の知識や知能が及ばず、人間が100%取り扱うことができるものではなく、高レベル放射能廃棄物処理は、未解決のままである。このようなことから、安全・安心のエネルギーとして、また環境に優しいエネルギーとして水力を利用した水力発電が見直され、地域全体(例えば、一つの市、町など)に電力を供給することができる水力発電システムの実現が望まれているが、上述した発電装置は小型である故に、このような要望を満たすことができない。
【0009】
本発明の目的は、点検、修理を容易に行うことができる地域型リフト式水力発電システムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、発電システムの管理を容易に行うことができる地域型リフト式水力発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システムは、水の流れを利用して回転されるタービンと、前記タービンの回転を利用して発電する発電機と、前記タービンからの回動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、を備えた地域型リフト式水力発電システムにおいて、
前記タービン、前記発電機及び前記駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、前記発電ユニットが、前記タービンが水に浸かって回転される発電位置と、前記タービンが水面から上方に後退する非発電位置との間を移動自在であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットは、前記タービン及び前記発電機が取り付けられたユニットハウジングを備え、前記ユニットハウジングに関連して、前記ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられており、前記ユニットハウジングは、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングには、前記タービンに関連して作業用プレートが設けられており、前記作業支持体は、前記タービンの下方に位置する作業位置と、前記タービンの下方から後退する収納位置との間を移動可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングは、水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して前記複数のシリンダ機構が設けられており、前記複数のユニットハウジングの各々は、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記ユニットハウジングには、前記タービンが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、前記複数のタービンの各々に対応して前記発電機及び前記駆動力伝達手段が設けられており、前記ユニットハウジングが、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットの上流側には、水力発電に利用する水を溜めるための第1溜め部が設けられ、その下流側には、水力発電後の水を溜めるための第2溜め部が設けられ、前記第1溜め部と前記第2溜め部との間には、前記第2溜め部の水を前記第1溜め部に掲げるための揚水流路が設けられ、前記揚水流路に揚水ポンプが配設されていることを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の請求項7に記載の地域型リフト式水力発電システムでは、前記発電ユニットの上流側には、ゴミの流入を防止するためのゴミ流入防止手段が設けられ、前記ゴミ流入防止手段は、網部材が張られた第1及び第2網体を備え、前記第1及び第2網体は、前記第1網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第1状態と、前記第2網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第2状態とになるように連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、タービン、発電機及び駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、この発電ユニットが発電位置と非発電位置との間を移動自在であるので、発電ユニットを発電位置に位置付けることによって、発電ユニット(タービン、発電機及び駆動力伝達手段)の点検、修理を容易に行うことができる。また、この発電位置においては、タービンが水面から上方に後退するので、水の流量が増えたり、その流速が速くなったりしたときには、発電ユニットを非発電位置に位置付けることによって、タービンなどの破損を防止することができる。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられているので、複数のシリンダ機構の伸縮によって、発電ユニットを発電位置と非発電位置との間を昇降動されることができる。また、複数のシリンダ機構によって発電ユニットを昇降動させるので、水量が増減したり、流速が変化したときには、発電ユニットを昇降動させて発電ユニットと水面とのレベル関係を調整することができ、これによってタービンの回転数を適正に調整して発電を行うことができる。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングには作業用プレートが設けられ、この作業支持台が作業位置と収納位置との間を移動可能であるので、作業支持体を作業位置に位置付けることによって、この作業支持体がタービンの下方に位置し、かくして、作業支持体を用いてタービンなどの点検、修理を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して複数のシリンダ機構が設けられているので、各発電ユニット毎に発電位置と非発電位置との間を移動させることができ、発電システム全体の発電電力を大きく下げることなく点検、修理を行うことができる。また、水の流速が速くなったりしたときには、全ての発電ユニットを非発電位置に位置付けることによって、全発電ユニットの破損を未然に防ぐことができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、ユニットハウジングに複数のタービンが設けられているので、ユニットハウジング全体を非発電位置に位置付けることによって、複数のタービンなどの破損を未然に防止することができる。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、発電ユニットの上流側に第1溜め部が設けられ、その下流側に第2溜め部が設けられ、この第1溜め部と第2溜め部との間には、揚水ポンプが配設された揚水流路を介して接続されているので、発電時には、第1溜め部の水が発電ユニットを通して第2溜め部に流れて発電に利用され、余剰電力を利用する時には、余剰電力によって揚水ポンプが作動され、この揚水ポンプによって第2溜め部の水が揚水流路を通して第1溜め部に戻され、これによって、余剰電力を有効に利用することができる。
【0024】
更に、本発明の請求項7に記載の地域型リフト式水力発電システムによれば、発電ユニットの上流側にはゴミ流入防止手段が設けられているので、このゴミ流入防止手段によってタービンへのゴミの流入を防止することができる。また、ゴミ流入防止手段が網部材が張られた第1及び第2網体を有し、これら第1及び第2網体が第1状態(又は第2状態)になるように構成されているので、第1網体(又は第2網体)に付着したゴミを水の流れを利用して取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第1の実施形態を簡略的に示す正面図。
【図2】図1におけるII−II線による断面図。
【図3】図1におけるIII−III線による断面図。
【図4】図1の地域型リフト式水力発電システムにおける発電ユニットを非発電位置に位置付けた状態を示す正面図。
【図5】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第2の実施形態の適用例を示す概略図。
【図6】図5の地域型リフト式水力発電システムを簡略的に示す平面図。
【図7】図5の地域型リフト式水力発電システムにおける発電ユニットを示す正面図。
【図8】図5の地域型リフト式水力発電システムにおける一つの発電システムを非発電位置に位置付けた状態で示す断面図。
【図9】発電システムを非発電位置に保持した状態において作業支持体を収納位置に保持した状態で示す簡略図。
【図10】発電システムを非発電位置に保持した状態において作業支持体を作業位置に位置付けた状態で示す簡略図。
【図11】発電システムの変形形態を示す正面図。
【図12】発電システムにおける駆動力伝達手段の変形形態を示す図。
【図13】発電システムにおける駆動力伝達手段の更に他の変形形態を示す斜視図。
【図14】本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの第3の実施形態を簡略的に示す斜視図。
【図15】図14の地域型リフト式水力発電システムに装備されたゴミ流入防止手段を簡略的に示す平面図。
【図16】図15のゴミ流入防止手段を第1状態に保持した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの各種実施形態について説明する。
【0027】
〔第1の実施形態〕
まず、図1〜図4を参照して、第1の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。図1〜図3において、図示の地域型リフト式水力発電システム2は、水に流れによって回転されるタービン4と、タービン4の回転を利用して発電する発電機6と、タービン4の回動力を発電機6に駆動伝達するための駆動力伝達手段8とを備えている。この形態では、タービン4、発電機6及び駆動力伝達手段8は一つのユニット、即ち発電ユニット10として構成されている。
【0028】
図示の発電ユニット10はユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12は、上壁14と、この上壁14の両端部から下方に延びる両側壁16,18を有し、タービン4の軸部20,22が両側壁16,18に回転自在に支持されている。タービン4の一方の軸部20は、一方の側壁16を貫通して外方に突出している。また、発電機6は、このユニットハウジング12の上壁14の上面に取り付けられている。タービン4の大きさは、例えば、その直径D(図1参照)が5〜10m程度、その幅W(図1参照)が10〜20m程度のものを用いることができる。
【0029】
図示の駆動力伝達手段8は、タービン4と発電機6とを駆動連結する歯車列から構成され、タービン4の軸部20に取り付けられた大歯車24と、発電機6の入力軸26に取り付けられた小歯車28と、大歯車24と小歯車28との間に介在された中間歯車30とを含み、タービン4からの回動力が駆動力伝達手段8(大歯車24、中間歯車30及び小歯車28)を介して発電機6に伝達される。尚、この形態では、駆動力伝達手段8を歯車列によって簡略的に示しているが、実際には、回転数を調整するためのトランスファ(変速機)などを含んでいる。
【0030】
この発電ユニット10は、図1に示す発電位置(この形態では、最下位位置)と図4に示す非発電位置(この形態では、最上位位置)との間を昇降自在に構成されている。更に説明すると、タービン4が設置される水路32を覆うように発電施設(図示せず)が設けられ、この発電施設に水の流れ方向に間隔をおいて一対の支持軸34,36が設けられ、この一対の支持軸34,36に発電ユニット10が吊り下げられている。
【0031】
この形態では、発電ユニット10の上流側部が一対の上流側シリンダ機構38,40を介して上流側の支持軸34に支持され、その下流側部が一対の下流側シリンダ機構42,44を介して下流側の支持軸36に支持されている。具体的には、上流側シリンダ機構38,40の出力ロッド46の出力部48は、ユニットハウジング12の上壁14に固定された一対のブラケット50に取り付けられ、そのシリンダ52の連結部54が上流側の支持軸34に連結されている。また、下流側シリンダ機構42,44の出力ロッド56の出力部58は、ユニットハウジング12の上壁14に固定された一対のブラケット60に取り付けられ、そのシリンダ62の連結部64が下流側の支持軸36に連結されている。このように構成されているので、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が伸張すると、ユニットハウジング12(即ち、発電ユニット10)は上記発電位置に向けて下方に移動し、またこれらシリンダ機構38,40,42,44が収縮すると、ユニットハウジング12(即ち、発電ユニット10)は上記非発電位置に向けて上方に移動する。
【0032】
この発電システム2による発電は、例えば、次のようにして行われる。発電を行うときには、発電ユニット10は上記発電位置(図1に示す位置)に保持される。この状態においては、タービン4の下部は、図1に示すように水路32を流れる水68に浸漬され、タービン4は、矢印70(図2及び図3参照)で示す方向に流れる水68によって矢印72(図2参照)で示す方向に回動される。かくタービン4が回動すると、その回動力が駆動力電圧手段8を介して発電機6の入力軸26に伝達され、この入力軸26が所定方向に回動されて発電され、このように水路32を流れる水を利用して所要の通りに発電を行うことができる。
【0033】
このような発電状態において、水路32を流れる水68の面が上昇(又は低下)すると、その上昇(又は低下)に対応してタービン4も上昇(又は下降)し、タービン4と水面Qとが一定のレベル関係に保たれる。即ち、水路32を流れる水68が増えて(又は減って)水面Qが上昇(又は低下)すると、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が収縮(又は伸張)され、水路32の水面Qに対応するように発電ユニット10が上昇(又は下降)される。従って、タービン4と水路32の水面Qとのレベル関係が一定に保たれ、これによって、水路32の水の増減に関係なくタービン4の回転が一定に保たれ、発電機6による発電を安定させて発電電力を一定に保つことができる。尚、この場合、水路32を流れる水68の水面Qを検知する水面Qレベル検知手段を設け、この水面レベル検知手段(例えば、フロートセンサ)の検知レベルに基づいて上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を伸縮制御してタービン4と水路32の水面Qとのレベル関係を一定に保つのが望ましい。
【0034】
タービン4などを点検修理するときには、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を収縮させて発電ユニット10を上記非発電位置(図4に示す位置)に位置付ける。このような状態においては、図4に示す通り、タービン4を含む発電ユニット10全体が水路32を流れる水68の面よりも上方に位置し、タービン4などが水に浸かることはなく、発電ユニット10(特に、タービン4等)の点検、修理を容易に行うことができる。
【0035】
尚、水路32の水量が過剰に増えたり、その流速が過剰に速くなったときにも、上述したようにシリンダ機構38,40,42,44を収縮させて発電ユニット10を上記非発電位置に位置付けるのが望ましく、このように非発電位置に保持することによって、発電ユニット10の水による被害を未然に回避することができ、発電ユニット10の管理も容易に行うことができる。
【0036】
〔第2の実施形態〕
次に、図5〜図8を参照して、第2の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の構成要素については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0037】
図5及び図6において、この実施形態では、発電設備102の上流側に第1溜め部104が設けられ、この第1溜め部104に、水力発電に利用される水が溜められる。また、発電設備102の下流側に第2溜め部106が設けられ、この第2溜め部106に発電に利用した水が溜められる。第1及び第2溜め部104,106は、例えば、河川を堰き止めて形成される頭首湖から構成される。
【0038】
この形態では、第2溜め部106に溜まった水を第1溜め部104に揚水するための揚水流路108が設けられ、この揚水流路108に揚水ポンプ110が配設されている。この揚水ポンプ110を作動すると、第2溜め部106の水が、矢印112で示すように揚水流路108を通して第1溜め部104に送給され、例えば夜間などの余剰電力を利用して揚水ポンプ110を作動させることによって、余剰電力を有効に利用して再発電に利用するように揚水することができる。
【0039】
この第2の実施形態では、発電設備102は、図6〜図8に示すように構成されている。図6〜図8において、この形態では、第1溜め部104の水が流入流路114を通して発電設備102内の水路32に流れ、この水路32を流れた後に流出流路116を通して第2溜め部106に流出される。流入流路114は、例えば、逆U字状の流入管118から構成され、この流入管118の流入口に網部材120が取り付けられ、この網部材120は、第1溜め部104内のゴミなどが流入流路114を通して水路32内に流れるのを防止する。また、流出流路116は、例えば、流出管122から構成される。
【0040】
発電設備102には、矢印124で示す水に流れ方向に所定間隔をおいて複数の発電ユニット10Aが配設されている。図6及び図8において4つの発電ユニット10Aを示しているが、実際の発電設備102では多数の発電ユニット10Aが設けられる。
【0041】
複数の発電ユニット10Aは実質上同一の構成であり、それらの基本的構成は、上述した第1の実施形態のものと同一である。主として図7を参照して、各発電ユニット10Aは、ユニットハウジング12を備え、このユニットハウジング12の両側壁16,18にタービン4の軸部20,22が回転自在に支持されている。一方の軸部20は、上述したと同様に、ユニットハウジング12の一方の側壁16を貫通して外方に突出し、この突出端部が駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6の入力軸26に駆動連結されている。また、他方の軸部18は、ユニットハウジング12の他方の側壁18を貫通して外方に突出し、この突出端部が駆動力伝達手段8Aを介して他の発電機6Aの入力軸26Aに駆動連結されている。尚、図6においては、理解を容易にするために、タービン4の両側に発電機6,6Aを示している。
【0042】
駆動力伝達手段8(8A)は、上述したように、タービン4の軸部20(22)に取り付けられた大歯車24(24A)、発電機6(6A)の入力軸26(26A)に取り付けられた小歯車28(28A)及び大歯車24(24A)と小歯車28(28A)との間に介在された中間歯車30(30A)を含んでいる。このように構成されているので、矢印124で示す方向に流れる水によってタービン4が矢印126(図8参照)で示す方向に回動すると、この回動力は一方の軸部20から駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6に入力軸26に伝達されるとともに、他方の軸部22から駆動力伝達手段8Aを介して他方の発電機6Aに伝達される。従って、タービン4によって発電機6,6Aが作動して発電が行われ、各発電ユニット10Aにおいて、第1の実施形態のものに比して約2倍の発電電力を得ることができる。
【0043】
各発電ユニット10Aは、上述したと同様に、一対の上流側シリンダ機構38,40及び一対の下流側シリンダ機構42,44を備え、ユニットハウジング12の上流側部は、一対の上流側シリンダ機構38,40を介して支持軸34に支持され、その下流側部は、一対の下流側シリンダ機構42,44を介して他方の支持軸36に支持されている。これら発電ユニット10Aのその他の構成は、第1の実施形態のものと実質上同一である。
【0044】
この地域型リフト式水力発電システム2Aにおいても、各発電システム10Aは、上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44の伸縮によって、タービン4が水路32の水68に所要の通りに浸漬する発電位置(図8において右側三つの発電システム10Aを示す位置)とタービン4が水路32の水68の上方に位置する非発電位置(図8において左側の発電システム10Aを示す位置)との間を昇降動自在である。
【0045】
発電位置にある発電ユニット10Aにおいては、水路32を流れる水68によってタービン4が所定方向に回動され、このタービン4の回動によって上述しように発電機6,6Aの発電が行われる。また、非発電位置にある発電ユニット10Aにおいては、タービン4が水路32内の水68から上方に位置し、このタービン4を含む発電ユニット10Aの点検、修理を容易に行うことができる。従って、他の発電ユニット10Aを発電状態に維持しながら特定の発電ユニット10Aの点検、修理を行うことができる。
【0046】
この形態では、発電設備102側に、各発電ユニット10Aに対応して、作業支持体128が設けられている。この作業支持体128は、横方向(図8において紙面に垂直な方向)に移動してタービン4の下方に位置する作業位置(図8の左側の発電ユニット10Aにおいて一点鎖線で示す位置)と、この作用位置から後退して収納される収納位置との間を移動自在に設けられる。作業位置においては、作業支持体128がタービン4の下方に位置するので、作業者が作業支持体128に移って作業することが可能となり、このようにして作業を行うことにより、点検、修理などを非常に容易に行うことができる。また、収納位置においては、作業支持体128が発電設備102側に収納されるので、タービン4を水路32内の水68に浸漬させて発電ユニット10Aを発電位置に位置付けることができる。
【0047】
作業支持体128は、一つのプレート状支持構造体から構成することもできるが、プレート状支持構造体自体が大きくなるために、図9及び図10に示すように構成するのが望ましい。図9及び図10において、図示の作業支持体128は、一対のプレート状支持構造体、即ち図9及び図10にて左側の左支持体131と図9及び図10にて右側の右支持体133とから構成されている。左支持体131及び右支持体133は実質上同一の構成でよく、左支持体131は、駆動源を含む左駆動機構(図示せず)よって、図9に示す収納位置と図10に示す作業位置との間を水平方向に移動自在に支持される。また、右支持体133は、駆動源を含む右駆動機構(図示せず)よって、図9に示す収納位置と図10に示す作業位置との間を水平方向に移動自在に支持される。
【0048】
このように構成されているので、左支持体131及び右支持体133が収納位置にあるときには、図9に示す通り、左支持体131は発電ユニット10Aの図9にて左外側に位置するとともに、右支持体133が発電ユニット10Aの図9にて右外側に位置し、このような状態においては、発電ユニット10Aは、左支持体131及び右支持体133間の空間を通して発電位置と非発電位置(図9及び図10に示す位置)の間を昇降動することができる。また、左支持体131及び右支持体133が作業位置にあるときには、図10に示す通り、左支持体131及び右支持体133は発電ユニット10Aの下方に突出して実質上連続した一つの作業支持体128を構成する。従って、作業者は、この作業支持体128(左支持体131及び右支持体133)上で作業を行うことができ、タービン4、駆力伝達手段8,8Aなどの保守、点検、修理などを容易に行うことができる。
【0049】
この場合、安全面の観点から、発電ユニット10Aが非発電位置に位置付けられて初めて作業支持体128(左支持体131及び右支持体133)の収納位置から作業位置への移動が許容されるように構成するのが望ましく、また作業支持体128が作業位置から収納位置に位置付けられて初めて発電ユニット10Aの非発電位置から発電位置への移動が許容されるように構成するのが望ましい。
【0050】
このような地域型リフト式水力発電システム2Aにおいても、各発電ユニット10Aにおけるタービン4として、直径が5m程度、幅が10m程度のものを用いることができ、このようなタービン4と組み合わせる発電機6,6Aとして、発電出力が900KVA(月間発電量50万kwh)程度のものを用いることができ、このような発電機6,6Aとを組み合わせたシステム2Aでは、約1400軒分の電力を賄うことが可能となる。そして、発電ユニット10Aの個数を増やすことによって、発電電力を増やすことができ、発電電力の増減に柔軟に対応することができる。このような地域型リフト式水力発電システム2Aは、河川を改修工事することによって容易に適用することができ、電力消費地近くの河川を改修して設置することによって、電力消費地の近くで発電して電力を供給することができる。
【0051】
発電ユニットは、図11に示すように構成するようにしてもよい。この変形形態においては、ユニットハウジング及びタービンに改良が施されている。図11において、発電ユニット10Bでは、ユニットハウジング12Bは上壁14と、この上壁14の両端部から下方に延びる両側壁16,18と、この上壁14の幅方向(図9において左右方向)中間部から下方に延びる一対の中間壁132,134とを備えている。そして、このことに関連して、タービン4Bは一対のタービン部材136,138から構成されている。一方のタービン部材136は、側壁16と中間側壁132との間に回動自在に支持され、このタービン部材136の回動力が駆動力伝達手段8を介して一方の発電機6に駆動伝達され、この回動力によって発電機6が作動されて発電が行われる。また、他方のタービン部材138は、側壁18と中間側壁134との間に回動自在に支持され、このタービン部材138の回動力が駆動力伝達手段8Aを介して一方の発電機6Aに駆動伝達されて発電が行われる。この変形形態の発電ユニット10Bのその他の構成は、上述した第2の実施形態のものと実質上同一である。
【0052】
この変形形態においても、その基本的構成が上述した第2実施形態とものと同様であるので、上述したと同様の作用効果が達成される。
【0053】
また、駆動力伝達手段8(8A)に関連して、図12に示すように構成することもできる。図12において、この変形形態においては、タービン4の軸部20に駆動力伝達手段8の大歯車24が取り付けられ、また発電機6,6Cの入力軸26,26Cに小歯車28,28Cが取り付けられ、大歯車24と小歯車28,28Cとが噛合されている。尚、大歯車24と小歯車28,28Cとの間に、適宜の歯車列(図示せず)を介在させるようにしてもよい。
【0054】
このように構成した場合、タービン4の片側から取り出せる回動力を利用して二つの発電機6,6Cを作動させて発電を行うことができ、システム全体の発電出力をより多くすることができる。
【0055】
また、駆動力伝達手段に関連して、図13に示すように構成することもでき、この場合、一つのタービンについて8つの発電機が回転駆動されるように構成されている。図13において、この変形形態においては、発電機6,6Aが前後方向(左下から右上の方向)に2列に、また上下方向に2段に配設されている。以下、タービン4Bのタービン部材138及びその駆動力伝達手段8Cについて説明するが、タービン部材136及びその駆動力伝達手段(図示せず)については、タービン部材138及び駆動力伝達手段8Cと実質上同一であり、その説明を省略する。
【0056】
タービン4Bのタービン部材138の軸部23に駆動力伝達手段8Cの大歯車24が取り付けられ、この大歯車24が中間歯車26を介して下段の発電機6A(図13において右下側に位置する発電機)の小歯車30に噛合されている。またユニットハウジング12Cは、上壁14の上側に配設された天壁15を有し、この天壁15に上段の4つの発電機6,6Aが配設され、上段の一つの発電機6A(図11において右下側に位置する発電機)に取り付けられた小歯車191が中間歯車192,193を介して小歯車30に噛合されている。
【0057】
更に、大歯車24に噛して大歯車194が設けられ、この大歯車194に中間歯車195を介して下段の発電機6A(図13において右上側に位置する発電機)の小歯車196が噛合されている。更に、上段の一つの発電機6A(図13において右上側に位置する発電機)に取り付けられた小歯車197が中間歯車198,199を介して小歯車196(下段の発電機6Aに取り付けられたもの)に噛合されている。
【0058】
このように構成されているので、タービン4Bのタービン部材138の回動力は、前列側にて大歯車24、中間歯車26及び小歯車30を介して下段の発電機6Aに伝達され、更に中間歯車193,192及び小歯車191を介して上段の発電機6Aに伝達される。また、この回動力は、後列側にて大歯車24から大歯車194、中間歯車195及び小歯車196を介して下段の発電機6Aに伝達され、更に中間歯車199,198及び小歯車197を介して上段の発電機6Aに伝達される。このようにしてタービン部材138の回転を利用して4つの発電機6Aを作動させて発電をすることができ、同様にタービン部材136の回転を利用して残りの4つの発電機6を作動させて発電をすることができる。
【0059】
この変形形態では、発電機6,6Aを上下方向に2段に配設しているが、上下方向に3段以上配設するようにしてもよい。また発電機6,6Aを前後方向に2列に配設しているが、前後方向に3列以上配設するようにしてもよい。
【0060】
〔第3の実施形態〕
次に、図14〜図16を参照して、第3の実施形態の地域型リフト式水力発電システムについて説明する。この第3の実施形態のものでは、大河を利用しての水力発電に好都合に適用することができる。図14において、この第3の実施形態では、大河内に発電建屋202が建造され、この発電建屋202の下側部分204が発電設備として利用され、その上側部分206が事務所として利用される。建屋202の発電設備は、例えば、上述した第2の実施形態と略同様に構成され、矢印208で示す水の流れ方向に間隔をおいて複数の発電ユニット10Aが配設され、各発電ユニット10Dは、矢印208で示す方向に間隔をおいて配設された一対のタービン4を備え、これらタービン4の回動力が駆動力伝達手段(図示せず)を介して対応する発電機(図示せず)に駆動伝達されるように構成されている。尚、各発電ユニット10Dのユニットハウジング12Dに上述のように一つのタービン4を設けるようにしてもよく、或いはこのユニットハウジング12Dに間隔をおいて3つ以上のタービン4を配設するようにしてもよい。
【0061】
この実施形態においても、各発電ユニット4Dの上流側部に対応して一対の上流側シリンダ機構38,40が設けられ、その下流側部に対応して一対の下流側シリンダ機構42,44が設けられ、各発電ユニット4Dのユニットハウジング12Dは、これら上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44を介して昇降動自在に吊り下げられている。従って、これら上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44の伸縮によって発電ユニット4Dを昇降動させることができ、上述したと同様の効果を達成することができる。
【0062】
この形態では、図14及び図15から理解されるように、発電建屋202の一部、即ち建屋壁210,212によって流路214(第1及び第2実施形態における水路32に相当する)が規定され、各発電ユニット10Dのタービン4は、この流路214の水に浸漬され、水の流れを利用して所定方向に回動される。
【0063】
このような大河に設置する場合、流路214の流入側及び流出側に津波抑制手段216,217を設けるのが好ましい。図示の津波抑制手段216は、流路214の流入口の上流側に配設された複数の津波抑制ポール218から構成され、これら津波抑制ポール218が流路214の幅方向(図14において左上から右下の方向)に間隔をおいて配設される。また、津波抑制手段217は、流路214の流出口の下流側に配設された複数の津波抑制ポール220から構成され、これら津波抑制ポール220が流路214の幅方向に間隔をおいて配設される。このように津波抑制ポール218,220を設けることによって、大きな津波を小さく抑制することができ、これによって、発電建屋202及び発電システム2Dを津波から守ることができる。
【0064】
これら津波抑制ポール218の一つ(例えば、中央に位置する津波抑制ポール)に関連して、ゴミ流入防止手段222を設けることができる。この形態では、ゴミ流入防止手段222は、所定の大きさのメッシュを有する網部材224から構成され、この網部材224が発電建屋202の一方の建屋壁210から津波抑制ポール218を巻いて他方建屋壁212まで延びている。このように網部材224を設けることによって、発電建屋202の流路214の上流側が網部材224で覆われ、この網部材222によって、浮遊するゴミなどが発電建屋202の流路214に流入するのを防止することができる。
【0065】
このような地域型リフト式水力発電システム2Dにおいては、大河の水面Qの変動によって各発電ユニット10Dの上流側シリンダ機構38,40及び下流側シリンダ機構42,44が伸縮し、各発電ユニット10Dのタービン4と流路214を流れる水の面とが所定のレベル関係に維持されるように構成するのが好ましく、このことに関連して、更に、水面Qの変動によってゴミ取り網体22も上下動し、ゴミ取り網体22もこの水面Qに対して所定のレベル関係に維持されるように構成するのが好ましい。
【0066】
尚、波が問題となるときには、この津波抑制手段216,217に加えて、或いはこれに代えて、消波ネット(図示せず)を発電建屋202の流路214の上流側及び下流側に設けるようにしてもよい。
【0067】
ゴミ流入防止手段は、図15及び図16に示すように構成するようにしてもよい。この場合、ゴミ流入防止手段は、津波抑制手段とは別個に設けられる。
【0068】
図15及び図16において、図示のゴミ流入防止手段222Dは、発電建屋202の建屋壁210に揺動自在に取り付けられた第1網体232と、他方の建屋壁212に揺動自在に取り付けられた第2網体234とから構成され、第1及び第2網体232,234の先端部が、図15に示す中立状態から図16に一点鎖線で示す第1状態(及び図16に実線で示す第2状態)になるように連結されている。
【0069】
第1網体232は、略矩形状の第1枠部材236を備え、この第1枠部材236の表面側に第1網部材238が取り付けられている。また、第2網体234は、略矩形状の第2枠部材240を備え、この第2枠部材240の表面側に第2網部材242が設けられている。
ゴミ流入防止手段222Dの第1及び第2網体232,234が図15に示す中立状態にあるときには、それらの第1及び第2網部材238,242が発電建屋の流路214の上流側を覆い、第1及び第2網部材238,242によってゴミなどが流路214に流入するのを防止することができる。
【0070】
また、この中立状態から第1網体232を外側に揺動して第1状態にすると、第1網体232は水の流れ方向にほぼ平行な状態になるとともに、第2網体234は発電建屋の流路214の上流側を覆うようになる。この第1状態においては、水の流れに流されたゴミなどは第2網体234の第2網部材242に補足され、この第2網部材242によって流路214へのゴミの流入が防止される。このとき、第1網体232の第1網部材238の表面に沿って水が流れるので、かく流れる水が、第1網部材238に補足されたゴミに作用し、その流れの力によって補足されたゴミなどが第1網部材238から剥がされ、これによって、第1網部材238に付着したゴミなどを取り除くことができる。
【0071】
また、この中立状態から第2網体234を外側に揺動して第2状態にすると、上述とは反対に、第2網体234は水の流れ方向にほぼ平行な状態になるとともに、第1網体232は発電建屋の流路214の上流側を覆うようになる。この第2状態においては、水の流れに流されたゴミなどは第1網体232の第1網部材238に補足され、この第1網部材238によって流路214へのゴミの流入が防止される。このとき、第2網体234の第2網部材242の表面に沿って水が流れるので、かく流れる水が、第2網部材242に補足されたゴミに作用し、その流れの力によって補足されたゴミなどが第2網部材242から剥がされ、これによって、第2網部材242に付着したゴミなどを取り除くことができる。
【0072】
以上、本発明に従う地域型リフト式水力発電システムの各種実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【符号の説明】
【0073】
2,2A,2B,2C,2D 地域型リフト式水力発電システム
4,4B タービン
6,6A、6C 発電機
8,8A 駆動力伝達手段
10,10A,10B,10D 発電ユニット
12,12B,12D ユニットハウジング
32 水路
38,40,42,44 シリンダ機構
68 水
102 発電設備
104 第1溜め部
106 第2溜め部
108 揚水流路
128 作業支持体
202 発電建屋
216,217 津波抑制手段
222,222D ゴミ流入防止手段
232 第1網体
234 第2網体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れを利用して回転されるタービンと、前記タービンの回転を利用して発電する発電機と、前記タービンからの回動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、を備えた地域型リフト式水力発電システムにおいて、
前記タービン、前記発電機及び前記駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、前記発電ユニットが、前記タービンが水に浸かって回転される発電位置と、前記タービンが水面から上方に後退する非発電位置との間を移動自在であることを特徴とする地域型リフト式水力発電システム。
【請求項2】
前記発電ユニットは、前記タービン及び前記発電機が取り付けられたユニットハウジングを備え、前記ユニットハウジングに関連して、前記ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられており、前記ユニットハウジングは、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項3】
前記ユニットハウジングには、前記タービンに関連して作業用プレートが設けられており、前記作業支持体は、前記タービンの下方に位置する作業位置と、前記タービンの下方から後退する収納位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項4】
前記ユニットハウジングは、水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して前記複数のシリンダ機構が設けられており、前記複数のユニットハウジングの各々は、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項5】
前記ユニットハウジングには、前記タービンが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、前記複数のタービンの各々に対応して前記発電機及び前記駆動力伝達手段が設けられており、前記ユニットハウジングが、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項6】
前記発電ユニットの上流側には、水力発電に利用する水を溜めるための第1溜め部が設けられ、その下流側には、水力発電後の水を溜めるための第2溜め部が設けられ、前記第1溜め部と前記第2溜め部との間には、前記第2溜め部の水を前記第1溜め部に掲げるための揚水流路が設けられ、前記揚水流路に揚水ポンプが配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項7】
前記発電ユニットの上流側には、ゴミの流入を防止するためのゴミ流入防止手段が設けられ、前記ゴミ流入防止手段は、網部材が張られた第1及び第2網体を備え、前記第1及び第2網体は、前記第1網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第1状態と、前記第2網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第2状態とになるように連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項1】
水の流れを利用して回転されるタービンと、前記タービンの回転を利用して発電する発電機と、前記タービンからの回動力を前記発電機に伝達する駆動力伝達手段と、を備えた地域型リフト式水力発電システムにおいて、
前記タービン、前記発電機及び前記駆動力伝達手段が発電ユニットとして構成され、前記発電ユニットが、前記タービンが水に浸かって回転される発電位置と、前記タービンが水面から上方に後退する非発電位置との間を移動自在であることを特徴とする地域型リフト式水力発電システム。
【請求項2】
前記発電ユニットは、前記タービン及び前記発電機が取り付けられたユニットハウジングを備え、前記ユニットハウジングに関連して、前記ユニットハウジングを昇降動させるための複数のシリンダ機構が設けられており、前記ユニットハウジングは、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項3】
前記ユニットハウジングには、前記タービンに関連して作業用プレートが設けられており、前記作業支持体は、前記タービンの下方に位置する作業位置と、前記タービンの下方から後退する収納位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項4】
前記ユニットハウジングは、水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、各ユニットハウジングに対応して前記複数のシリンダ機構が設けられており、前記複数のユニットハウジングの各々は、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項2に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項5】
前記ユニットハウジングには、前記タービンが水の流れ方向に間隔をおいて複数設けられ、前記複数のタービンの各々に対応して前記発電機及び前記駆動力伝達手段が設けられており、前記ユニットハウジングが、前記複数のシリンダ機構によって前記発電位置と前記非発電位置との間を昇降動されることを特徴とする請求項1に記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項6】
前記発電ユニットの上流側には、水力発電に利用する水を溜めるための第1溜め部が設けられ、その下流側には、水力発電後の水を溜めるための第2溜め部が設けられ、前記第1溜め部と前記第2溜め部との間には、前記第2溜め部の水を前記第1溜め部に掲げるための揚水流路が設けられ、前記揚水流路に揚水ポンプが配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の地域型リフト式水力発電システム。
【請求項7】
前記発電ユニットの上流側には、ゴミの流入を防止するためのゴミ流入防止手段が設けられ、前記ゴミ流入防止手段は、網部材が張られた第1及び第2網体を備え、前記第1及び第2網体は、前記第1網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第1状態と、前記第2網体に付着したゴミを水の流れを利用して取り除く第2状態とになるように連結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の地域型リフト式水力発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−113247(P2013−113247A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261433(P2011−261433)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(511290695)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(511290695)
【Fターム(参考)】
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