説明

地形の三次元データ生成方法、地形変化評価方法及び地形変化評価システム

【課題】過去に空中写真の撮影が行われた領域について現在までの地形変化を評価する。
【解決手段】評価領域を最近に空中から撮影したステレオ画像311と、ステレオ画像311撮影時に評価領域に設置した対空標識の測量データ301を用いて、最近の評価領域の三次元データ312とオルソフォト画像を作成する。評価領域を過去に空中から撮影したステレオ画像321と、最近撮影したステレオ画像311の双方に経時変化なく写っている地点を共通ポイント351/352として設定し、最近撮影したステレオ画像311中の共通ポイント351の座標に基づいて、この座標の経緯度標高座標361を三次元データ312より抽出する。そして、この経緯度標高座標361を、過去に撮影したステレオ画像321中の共通ポイント352の測量データとして代用し、過去の評価領域の三次元データ322とオルソフォト画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空測量を用いて地形変化を評価する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空測量を用いて地形変化を評価する技術としては、土砂崩落などの災害発生時に、発生した崩落土砂量を航空測量を用いて計測する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
この技術では、まず、予め、崩落が予測される領域である監視領域の三次元モデルを監視領域の空中写真(「航空写真」とも呼ばれる)と、監視領域地表に設置した標識の地上よりの三角測量値とより作成しておく。また、崩落が発生したならば、再び、監視領域の空中写真の撮影と監視領域地表に設定した基準点の地上よりの三角測量を行い、撮影した空中写真と基準点の測量値より監視領域の崩落後の三次元モデルを作成する。そして、作成した崩落後の監視領域の三次元モデルと予め作成しておいた崩落前の監視領域の三次元モデルとの差分として、崩落土砂量を算出する。
【特許文献1】特開2002-328021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1記載の技術によれば、崩落などの評価しようとする地形変化が生じる前に、地形変化を評価する領域である評価領域の空中写真の撮影と評価領域に設置した標識の地上よりの測量が既に行われている必要がある。
したがって、たとえば、過去のある時点から現在までの地形変化を評価しようとしても、その過去の時点において、評価領域の空中写真の撮影と評価領域に設置した標識の地上よりの測量が行われていなければ、その地形変化を評価することができない。
ここで、我が国における空中写真の撮影は地図作成のために比較的古くから行われてきている。一方で、三次元の航空測量の歴史は比較的新しく、過去の空中写真が存在する領域であっても、その時点における当該領域内の標識の地上よりの測量は行われていないことが多い。
【0004】
そこで、本発明は、過去に空中写真の撮影が行われた領域について、当該過去の時点における当該領域内の標識の地上よりの測量の有無にかかわらずに、当該過去の時点からの地形変化を評価可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、対象とする地理的領域である対象領域を過去に撮影した空中写真である過去空中写真に基づいて、当該過去空中写真撮影時の対象領域の三次元形状を表す三次元データを生成する三次元データ生成方法として、前記過去空中写真を撮影した時点より時間的に後の時点である後方時点において、経緯度標高座標を測量済みの対空標識が設置された前記対象領域を空中より撮影し、前記後方時点の対象領域の空中写真である後方時点空中写真を作成するステップと、前記後方時点空中写真と、前記対空標識の経緯度標高座標とより当該後方時点の対象領域の三次元形状を表す後方時点三次元データを生成するステップと、前記後方時点空中写真と前記過去空中写真の双方に写っている経時変化が認められない地点を共通ポイントとして設定するステップと、前記後方時点三次元データから前記共通ポイントの経緯度標高座標を取得するステップと、前記過去空中写真と前記共通ポイントの経緯度標高座標とより、当該過去空中写真撮影時の対象領域の三次元形状を表す三次元データを生成するステップとを備えた三次元データ生成方法を提供する。
【0006】
このような三次元データ生成方法によれば、過去空中写真中の共通ポイントを対空標識位置として代用し、後方時点における三次元データから求まる共通ポイントの経緯度標高座標を過去空中写真中の対空標識の経緯度標高座標として代用することにより、対空標識の設置や地上よりの測量を行うことなく過去に空中写真の撮影が行われた対象領域についても、当該過去の時点における三次元形状を表す三次元データを作成することができる。
【0007】
また、このような三次元データ生成方法を利用して、対空標識の設置や地上よりの測量を行うことなく過去に空中写真の撮影が行われた領域についての、当該過去の時点から、その後に空中写真の撮影及び対空標識の地上よりの測量が行われた任意の時点までの地形変化を評価することができるようになる。したがって、現在において空中写真の撮影及び対空標識の地上よりの測量を行えば、過去に空中写真の撮影を行った時点から、現在までの地形変化の評価を行うことができる。
【0008】
より具体的には、経時的な地形変化を評価する地形変化評価方法を、たとえば、地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に後方の時点である後方時点において、地形変化の評価の対象とする地理的領域である対象領域を空中より撮影した空中写真である後方時点空中写真と、当該後方時点空中写真に写り込んでいる対空標識について測量された経緯度標高座標より、当該後方時点の前記対象領域の三次元形状を表す後方時点三次元データを生成するステップと、地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に前方の時点である前方時点において、前記対象領域を空中より撮影した空中写真である前方時点空中写真と、前記後方時点空中写真との双方に写っている経時変化が認められない地点を共通ポイントとして設定するステップと、前記後方時点三次元データから前記共通ポイントの経緯度標高座標を取得するステップと、前記前方時点空中写真と前記共通ポイントの経緯度標高座標とより、当該前方時点の前記対象領域の三次元形状を表す前方時点三次元データを生成するステップと、前記前方時点三次元データと前記後方時点三次元データとの差分に基づいて、前記前方時点と後方時点との間の経時的な地形変化を評価するステップとを備えて構成するようにすればよい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、過去に空中写真の撮影が行われた領域について、当該過去の時点における当該領域内の標識の地上よりの測量の有無にかかわらずに、当該過去の時点からの地形変化を評価することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る地形評価システムの構成を示す。
図示するように、地形評価システムは、図化処理システム1と地形変化表示装置2とを備えて構成される。
図化処理システム1は、過去及び現在のオルソフォト画像やコントア図画像や三次元データを作成するシステムである。そして、図化処理システム1は、測定データ記憶部11、数値図化処理部12、共通ポイント設定部13、共通ポイント座標抽出部14、オルソフォト作成部15を備えている。また、測定データ記憶部11には、地形変化を評価する領域である評価領域の最近の空中写真である現在ステレオ画像や、過去に撮影された評価領域の空中写真である過去ステレオ画像や、現在ステレオ画像撮影時に評価領域に複数設置した対空標識の地上よりの三角測量により測量した経緯度座標を表す対空標識測量データが格納される。
【0011】
次に、地形変化表示装置2は、地形変化評価用の出力を行う装置である。そして、地形変化表示装置2は、地図データ記憶部21、画像合成部22、地形変化量算出部23、地形変化表示画像生成部24、GUI制御部25、表示装置26、入力装置27、制御部28とを備えている。また、地図データ記憶部21には、図化処理システム1が作成した過去及び現在のオルソフォト画像やコントア図画像や三次元データが格納される。
【0012】
ただし、地形変化表示装置2は、CPUやメモリや外部記憶装置を備えた汎用コンピュータを用いて構成することができ、この場合、地図データ記憶部21、画像合成部22、地形変化量算出部23、地形変化表示画像生成部24、GUI制御部25は、CPUが予め用意されたプログラムを実行することによりコンピュータ上にプロセスや記憶領域として具現化される。
【0013】
以下、このような地形評価システムの動作について説明する。
過去と現在との間の地形変化の評価を行う場合、まず、地形変化の評価を行う領域である評価領域の地表上に、空中から撮影可能に対空標識を設置し、設定した対空標識の座標を地上より三角測量などにより測量し、対空標識の経緯度座標を表す対空標識測量データを得る。
次に、空中の異なる位置より画像内に評価領域がオーバーラップするように撮影した画像であるステレオ画像を、航空機を用いて撮影し、撮影したステレオ画像を現在ステレオ写真として得る。
そして、このようにして取得した対空標識測量データと、現在ステレオ写真をスキャニングしてデジタル画像化したステレオ画像とを図化処理システム1の測定データ記憶部11に格納する。また、過去に撮影された評価領域の写真をスキャニングしてデジタル画像化したステレオ画像を、過去ステレオ画像として測定データ記憶部11に格納する。
【0014】
次に、図化処理システム1において、図2に示した手順により現在及び過去のオルソフォト画像、コントア図画像、三次元データを生成し、地図データ記憶部21に格納する。
すなわち、図化処理システム1では、まず、数値図化処理部12において、測量データ記憶部に記憶されている現在ステレオ画像と対空標識測量データを用いて、評価領域の現在の三次元データとコントア図画像を作成し、現在三次元データと現在コントア図画像として地図データ記憶部21に格納する(ステップ202)。三次元データは、たとえば、 DEM(Digital Elevation Model)やTIN(Triangulated Lrregular Network)などとして生成する。なお、数値図化処理部12は、自動的に三次元データを作成する装置であってもよいし、たとえば、解析図化機やデジタル図化機などのオペレータ作業を介在して三次元データを作成する装置であってもよい。
【0015】
次に、図化処理システム1では、オルソフォト作成部15において、測定データ記憶部11に記憶されている現在ステレオ画像と地図データ記憶部21に格納した現在三次元データとより、評価領域の正射投影画像(DOM:Digital Ortho Mosaic)を生成し、現在オルソフォト画像として、地図データ記憶部21に格納する(ステップ204)。
【0016】
そして、次に、共通ポイント設定部13において、現在ステレオ画像と過去ステレオ画像を読み出し、現在ステレオ画像と過去ステレオ画像の双方に経時変化なく写っている地点を共通ポイントとして設定する(ステップ206)。ここで、この共通ポイントの設定は、共通ポイント設定部13において、パターンマッチングの技術などを適用して、現在ステレオ画像中と過去ステレオ画像中において周辺の画像パターンが一致するポイントを共通ポイントとして自動的に設定することにより行うようにしてもよいし、共通ポイント設定部13において、現在ステレオ画像と過去ステレオ画像を表示した上で、表示上でオペレータより共通ポイントとする地点の指定を受け付けることにより行うようにしてもよい。なお、ここで、設定する共通ポイントとは、たとえば、岩場上のポイントなど、過去ステレオ画像が撮影された時点と現在ステレオ画像が撮影された時点において経緯度標高座標に変化がない地点を設定する。
【0017】
次に、共通ポイント座標抽出部14は、共通ポイント設定部13が設定した共通ポイントの現在ステレオ画像中の座標に基づいて、この座標の経緯度標高座標を、地図データ記憶部21に格納された現在三次元データより抽出する(ステップ208)。そして、この経緯度標高座標を、共通ポイント設定部13が設定した共通ポイントの過去ステレオ画像中の座標と共に、数値図化処理部12に通知する。
【0018】
数値図化処理部12は、共通ポイント座標抽出部14から通知された過去ステレオ画像中の共通ポイントの座標に対応する地点の経緯度標高座標を、共通ポイント座標抽出部14から通知された経緯度標高座標として、評価領域の過去の三次元データとコントア図画像を作成し、過去三次元データと過去コントア図画像として地図データ記憶部21に格納する(ステップ210)。すなわち、共通ポイント座標抽出部14から通知された過去ステレオ画像中の共通ポイントの座標を、過去ステレオ画像中の対空標識の位置と見なし、共通ポイント座標抽出部14から通知された経緯度標高座標を対空標識の測量データと見なして、過去三次元データと過去コントア図画像を作成する。
【0019】
そして、最後にオルソフォト作成部15において、測定データ記憶部11に記憶されている過去ステレオ画像と地図データ記憶部21に格納した過去三次元データとより、評価領域の正射投影画像を生成し、過去オルソフォト画像として、地図データ記憶部21に格納し(ステップ212)、処理を終了する。
【0020】
以上の図化処理システム1の動作によれば、たとえば、現在ステレオ画像を撮影した時点をT3、過去ステレオ画像を撮影した時点をT2とすれば、図3に示すように、現在ステレオ画像311と現在ステレオ画像311に写り込んでいる対空標識3111の経緯度標高座標である対空標識測量データ301とから、現在三次元データ312が生成される。また、この現在三次元データ312と現在ステレオ画像311とより、現在コントア図画像と現在オルソフォト画像も生成されることになる。
【0021】
そして、現在ステレオ画像311に設定した共通ポイント351に対応する経緯度標高座標が現在三次元データ312から求められ、共通ポイント351に対応して過去ステレオ画像321に設定した共通ポイント352の経緯度標高座標361とされる。そして、この共通ポイント352の経緯度標高座標361と過去ステレオ画像321より、過去三次元データ322が生成される。そして、この過去三次元データ322と過去ステレオ画像321とより、過去コントア図画像と過去オルソフォト画像も生成されることになる。なお、共通ポイントは、実際には複数の地点を設定するのがよい。
【0022】
次に、地形変化表示装置2の動作について説明する。
地形変化表示装置2は、地図データ記憶部21に格納された過去及び現在のオルソフォト画像やコントア図画像や三次元データの各々の表示を行う他、これらを編集した地形評価画像の表示を行う。
すなわち、たとえば、制御部28は、GUI制御部25、入力装置27を介して、オペレータより、過去オルソフォト画像や現在オルソフォト画像の表示が指示されると、画像合成部22に地図データ記憶部21に記憶された現在オルソフォト画像や過去オルソフォト画像の表示を指示する。そして、画像合成部22は、指示に従い地図データ記憶部21に記憶された過去オルソフォト画像や現在オルソフォト画像を読み出し、GUI制御部25を介して表示装置26に、図4a、bに示すように過去オルソフォト画像や現在オルソフォト画像を表示する。
【0023】
また、制御部28は、GUI制御部25、入力装置27を介して、オペレータより、現在オルソフォト画像と過去オルソフォト画像の合成表示が指示されると、画像合成部22に地図データ記憶部21に記憶された現在オルソフォト画像と過去オルソフォト画像との合成表示を指示する。そして、画像合成部22は、指示に従い地図データ記憶部21に記憶された現在オルソフォト画像と過去オルソフォト画像とを読み出して各々配置した画像レイヤを、所定の合成比で合成した合成画像を生成し、GUI制御部25を介して表示装置26に、図4cに示すように表示する。このような合成画像の表示によれば、時間経過による地形変化箇所が直感的に把握できるようになる。
【0024】
また、制御部28は、GUI制御部25、入力装置27を介して、オペレータより、現在オルソフォト画像上への地形変化量の表示が指示されると、地形変化量算出部23に地形変化量の算出を、地形変化表示画像生成部24に地形変化表示画像の生成を、画像合成部22に地形変化表示画像と現在オルソフォト画像の合成を指示する。指示を受けた地形変化量算出部23は、地図データ記憶部21から現在三次元データと過去三次元データを読み出し、図3に示すように各経緯度領域(たとえば、三次元データがDEMである場合のDEMメッシュ)毎の過去三次元データが表す標高と現在三次元データが表す標高の差を求め、この差を各経緯度領域毎の地形変化量とする三次元地形変化データ371を生成する。また、地形変化表示画像生成部24は、三次元地形変化データに基づき、各経緯度領域毎に、その地形変化量を、地形変化量の程度毎に異なるパターンや色で表した地形変化表示画像を、たとえば、図4dに示すように生成する。なお、地形変化量を、地形変化量の程度毎に異なる色で表す場合には、標高が減少した領域については寒色系の色で減少の度合いが大きいほど濃色となるように表し、標高が増加した領域は暖色系の色で増加の度合いが大きいほど濃色となるように表すなどするのが良い。
【0025】
そして、画像合成部22は、指示に従い地図データ記憶部21に記憶された現在オルソフォト画像と、生成された地形変化表示画像とを各々配置した画像レイヤを、所定の合成比で合成した合成画像を生成し、GUI制御部25を介して表示装置26に、図4eに示すように表示する。このような合成画像の表示によれば、時間経過による地形変化箇所や地形変化量や崩落における土砂等の流れが表示より直ちに把握できるようになる。
【0026】
また、地形変化表示装置2は、この他、現在オルソフォト画像の上に現在コントア図画像を合成した現在のオルソフォトコントア画像や、過去オルソフォト画像の上に過去コントア図画像を合成した過去のオルソフォトコントア画像などもユーザの指示に応じて適宜表示する。
【0027】
以上、本実施形態に係る地形評価システムについて説明した。
以上のように、本実施形態によれば、対空標識の設置や地上よりの測量を行うことなく過去に空中写真の撮影が行われた領域について、当該過去の時点から、その後に空中写真の撮影及び対空標識の地上よりの測量が行われた時点までの地形変化を評価することができるようになる。したがって、過去に空中写真の撮影が行われた任意の領域について、過去から現在までの地形変化の評価を行うことができる。
【0028】
ここで、本実施形態に係る地形評価システムは、砂防分野における表面浸食・崩壊・地滑りなどによる土砂生産位置や土砂生産量の評価、防災分野における危険箇所設定のための盛土地域などの人為改変地盤の把握、河川管理分野における河道堆積・浸食領域や堆積・浸食量の評価などの各種用途に適用することができる。
【0029】
ところで、以上の実施形態では、現在(T3)と、過去(T2)との間の地形変化の評価を行う場合について説明したが、過去(T2)より前の過去(T1)と現在(T3)との間の地形変化の評価も同様に行うことができる。そして、過去(T1)と現在(T3)との間の地形変化の評価に際して生成した過去(T1)の三次元データと、過去(T2)と現在(T3)との間の地形変化の評価に際して生成した過去(T2)の三次元データを用いて、過去(T2)と過去(T1)の地形変化の評価も行うことができる。
【0030】
また、図3に示すように、過去(T2)の空中写真321と過去(T1)の空中写真331との間で共通ポイントを設定し、過去(T2)の空中写真321と現在(T3)の空中写真311と対空標識測量データ301を用いて生成した過去(T2)の三次元データ322から設定した共通ポイントの経緯度標高座標362を取得し、取得した共通ポイントの経緯度標高座標362と過去(T1)の空中写真331とから、過去(T1)の三次元データ332を生成するようにしてもよい。このようにしても、T1、T2、T3の各時点間の地形変化を表す三次元地形変化データ371、372、373を生成して、その評価を行うようにすることができる。このような手法によれば、過去(T2)の空中写真321と過去(T1)の空中写真331との間で共通ポイントとして設定するのに適した地点と、過去(T2)の空中写真321と現在(T3)の空中写真311との間で共通ポイントとして設定するのに適した地点が異なることを許容することができる。すなわち、たとえば、過去(T1)と過去(T2)の間に建設された人工物を、過去(T2)の空中写真321と現在(T3)の空中写真311との間で共通ポイントとして設定しつつ、過去(T2)の空中写真321と過去(T1)の空中写真331との間では、これと異なる地点、たとえば、過去(T2)と現在(T3)の間に失われてしまった人工物を共通ポイントとして設定するようなことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る地形評価システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る図化処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る図化処理例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る地形評価システムの表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1…図化処理システム、2…地形変化表示装置、11…測定データ記憶部、12…数値図化処理部、13…共通ポイント設定部、14…共通ポイント座標抽出部、15…オルソフォト作成部、21…地図データ記憶部、22…画像合成部、23…地形変化量算出部、24…地形変化表示画像生成部、25…GUI制御部、26…表示装置、27…入力装置、28…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする地理的領域である対象領域を過去に撮影した空中写真である過去空中写真に基づいて、当該過去空中写真撮影時の対象領域の三次元形状を表す三次元データを生成する三次元データ生成方法であって、
前記過去空中写真を撮影した時点より時間的に後の時点である後方時点において、経緯度標高座標を測量済みの対空標識が設置された前記対象領域を空中より撮影し、前記後方時点の対象領域の空中写真である後方時点空中写真を作成するステップと、
前記後方時点空中写真と、前記対空標識の経緯度標高座標とより当該後方時点の対象領域の三次元形状を表す後方時点三次元データを生成するステップと、
前記後方時点空中写真と前記過去空中写真の双方に写っている経時変化が認められない地点を共通ポイントとして設定するステップと、
前記後方時点三次元データから前記共通ポイントの経緯度標高座標を取得するステップと、
前記過去空中写真と前記共通ポイントの経緯度標高座標とより、当該過去空中写真撮影時の対象領域の三次元形状を表す三次元データを生成するステップとを有することを特徴とする三次元データ生成方法。
【請求項2】
経時的な地形変化を評価する地形変化評価方法であって、
地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に後方の時点である後方時点において、地形変化の評価の対象とする地理的領域である対象領域を空中より撮影した空中写真である後方時点空中写真と、当該後方時点空中写真に写り込んでいる対空標識について測量された経緯度標高座標より、当該後方時点の前記対象領域の三次元形状を表す後方時点三次元データを生成するステップと、
地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に前方の時点である前方時点において、前記対象領域を空中より撮影した空中写真である前方時点空中写真と、前記後方時点空中写真との双方に写っている経時変化が認められない地点を共通ポイントとして設定するステップと、
前記後方時点三次元データから前記共通ポイントの経緯度標高座標を取得するステップと、
前記前方時点空中写真と前記共通ポイントの経緯度標高座標とより、当該前方時点の前記対象領域の三次元形状を表す前方時点三次元データを生成するステップと、
前記前方時点三次元データと前記後方時点三次元データとの差分に基づいて、前記前方時点と後方時点との間の経時的な地形変化を評価するステップとを有することを特徴とする地形変化評価方法。
【請求項3】
経時的な地形変化を評価する地形変化評価システムであって、
地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に後方の時点である後方時点において、地形変化の評価の対象とする地理的領域である対象領域を空中より撮影した空中写真である後方時点空中写真と、当該後方時点空中写真に写り込んでいる対空標識について測量された経緯度標高座標よりの、当該後方時点の前記対象領域の三次元形状を表す後方時点三次元データの生成に用いられる図化機と、
地形変化を評価する二つの時点のうちの時間的に前方の時点である前方時点において、前記対象領域を空中より撮影した空中写真である前方時点空中写真と、前記後方時点空中写真との双方に写っている経時変化が認められない地点を共通ポイントとして設定し、前記後方時点三次元データから前記共通ポイントの経緯度標高座標を取得する共通ポイント座標設定取得手段と、
前記前方時点空中写真と前記共通ポイントの経緯度標高座標とよりの、当該前方時点の前記対象領域の三次元形状を表す前方時点三次元データを生成に用いられる前記図化機と同一または異なる図化機と、
前記前方時点三次元データと前記後方時点三次元データとの差分に基づいて、前記前方時点と後方時点との間の経時的な地形変化を表す評価画像を出力する評価画像出力手段とを有することを特徴とする地形変化評価システム。
【請求項4】
請求項3記載の地形変化評価システムであって、
前記評価画像出力手段は、前記前方時点三次元データと前記後方時点三次元データとの標高の差分の程度毎の区域を、前記前方時点空中写真または前記後方時点空中写真に基づいて作成した前記対象領域のオルソフォト画像上に、各区域に対応する前記標高の差分の程度に応じた形態で示した画像を、前記評価画像として出力することを特徴とする地形変化評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−284224(P2006−284224A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101439(P2005−101439)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000125978)株式会社きもと (167)
【Fターム(参考)】