説明

地盤または岩盤にボーリングで孔をあけるための方法および装置

本発明は、地盤または岩盤に孔をあけるためのボーリング、特に衝撃式ボーリングまたは回転衝撃式ボーリングのための方法および装置に関する。本発明によれば、ボアホールが、ボーリングロッド3に装着されたボアクラウン2によって実施される衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ボアクラウン2に結合されたジャケットチューブ6が、ボアホールに導入される。前記ジャケットチューブ6は、ボアクラウン2に結合された外被チューブ4の端部上の受入れ要素5に受け取られ、前記端部は、ボアクラウン2の掘削面とは反対側にあり、ジャケットチューブ6は、そのボアクラウンとは反対側にある端部に、正確な方向に孔をあけることができるように、衝撃応力または圧縮応力を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボーリングすなわちドリリングのための方法に関し、詳しくは、地盤または岩盤に孔をあける衝撃式ドリリングまたは回転衝撃式ドリリングのための方法に関し、ボアホールが、ドリルロッド組立体に装着されたドリルビットによって実施される衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ドリルビットに結合されたジャケットチューブが、ボアホールに導入される、ならびに本発明は、ボーリングすなわちドリリングのための装置に関し、詳しくは、地盤または岩盤に孔をあける衝撃式ドリリングまたは回転衝撃式ドリリングのための装置に関し、ボアホールが、ドリルロッド組立体に装着されたドリルビットによって実施される衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ドリルビットに結合されたジャケットチューブが、ボアホールに導入可能である。
【背景技術】
【0002】
地盤または岩盤の中に、特に衝撃式ドリリングまたは回転衝撃式ドリリングによって孔をあけることに関しては、さまざまな実施形態が知られており、一般に、ボアホールは、ドリルロッド組立体に装着されたドリルビットによる衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ドリルビットに結合されたジャケットチューブが、ボアホールに導入される。例えば続いてライニングチューブとして使用しようとするジャケットチューブを、ボアホールに導入することに関しては、一方では、ドリルビットまたはこれに連結された衝撃シューと適切に結合することによって、引張り応力を通じてボアホールの内部にジャケットチューブを導入することが知られている。ボアホールのこのような引張りエントレインメントには、ボアホールの内部にジャケットチューブを導入する間に結果的に生じる過度の応力またはひずみを回避するために、ジャケットチューブが応じて薄くて軽量の構成であることを前提とする。代替案として、ボアホールから離れる側に突き出た端部に衝撃応力を及ぼすことによって、ジャケットチューブまたは外被チューブを、ボアホールの内部にドリルビットとは別に導入することが知られている。さらに、それに応じて頑丈に設計された外被チューブに作用する衝撃応力によって、ドリリング作業またはドリル送りのすべてが、ドリルビットに伝えられる実施形態も知られている。
【0003】
単に引張り応力を受け、それに応じて壁を薄くしたジャケットチューブは、特にそれに応じてジャケットチューブを挿入するために導入される力が減少する利点を提供するが、このような薄壁のジャケットチューブは、ジャケットチューブの低い強度のために正確なドリリングが不可能になるという欠点を伴うことが多い。他方では、それに応じて頑丈に構成された外被チューブは、作られるべきボアホールの周囲壁に高い摩擦負荷をかけ、さらにまた、それに応じて頑丈に作られた個別の駆動機構が、外被チューブを導入するために一般に必要になるという欠点を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最初に規定された種類の方法と装置から出発して、本発明の目的は、長大な長さに渡る場合でも、正確で目標をつけたドリリングのみならず、薄壁のジャケットチューブの利点の利用も、簡単な実施形態によって可能にする、地盤または岩盤の中に孔のドリリングを行なうための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的を解決するために、最初に規定された種類の方法は、ジャケットチューブが、ドリルビットに結合された外被チューブのドリルビット作用面とは反対側の端部に備えられたソケットに受け取られること、およびジャケットチューブが、ドリルビットとは反対側の端部で衝撃応力および/または圧縮応力を受けることを特徴とする。本発明によれば、ジャケットチューブは、ドリルビットに結合された外被チューブのソケットに受け取られ、かつジャケットチューブは、そのドリルビットとは反対側の端部において個別の衝撃応力および/または圧縮応力を受けることによって、外被チューブを介して目標をつけた正確なボーリングを確実にするように、ドリルビットに結合されて比較的短い長さを有する外被チューブをボーリング中に導入することが可能になった。さらに、ジャケットチューブは、ドリルビット、または例えばドリルビットの領域における衝撃シューによって、ボアホールに導入されるべきジャケットチューブ全体に、それに応じて高いエネルギーが及ぼされる必要がないように、衝撃応力および/または圧縮応力によってボアホールの内部に個別に導入される。これに加えて、それに応じてボアホールの正確で精密な形成によって、通常はより低い強度を有する次に続くジャケットチューブを、それに応じて簡単な方法で過度の摩擦抵抗を伴わず、それに応じて低い衝撃応力および/または圧縮応力を加えることによっても、ボアホールの内部に導入できることを想定すべきである。
【0006】
外被チューブが、ジャケットチューブがドリルビットとは反対側の端部において衝撃応力および/または圧縮応力を受ける少なくとも範囲に、ボアホールに確実に導入されるために、すなわちボアホールに沿って取り入れられるために、好ましい一実施形態では、ドリルビットとは反対側の端部でジャケットチューブに作用する圧縮応力を、外被チューブにドリルビットによって加えられる引張り応力よりも小さくなるように選択することが提案される。ジャケットチューブに作用する圧縮応力を、外被チューブに及ぼされる引張り応力よりも小さくなるように選択することによって、単に簡単な差込み式連結によって外被チューブのソケットに有利な方法で受け取られるジャケットチューブが、ドリルビットとこれに結合された外被チューブとの場合よりも大きな程度には挿入されず、したがってすえ込み応力が、ジャケットチューブに及ぼされないことが確保される。
【0007】
ドリルビットに作用する回転応力および衝撃応力を考慮しながら同時に、外被チューブとジャケットチューブ両方の適切な導入を確保するために、別の好ましい実施形態によれば、ドリルビットを、それ自体知られている方法で、外被チューブおよび/またはジャケットチューブに対して回転式に取り付けることが提案される。
【0008】
ドリルビットの領域から掘削された材料を、簡単かつ適切に搬出することを確実にするために、さらに別の好ましい実施形態によれば、掘削された材料を、ドリルビットと外被チューブとの間の連結個所の領域に設けられた少なくとも1つの開口部を介して、および/またはドリルビットとジャケットチューブとの間の連結個所からある距離だけ離れた所に設けられた通路開口部を介して、ドリルロッド組立体の外周と外被チューブおよび隣接ジャケットチューブの内周との間に画定された環状空間内に導入し、それからボアホールの外に搬出することが提案される。
【0009】
最初に規定された目的を達成するために、最初に規定された種類の装置は、ジャケットチューブが、ドリルビットと結合された外被チューブのドリルビットの作用面とは反対側の端部に備えられたソケットに受け取られること、および衝撃応力および/または圧縮応力が、ドリルビットとは反対側のジャケットチューブの端部に作用することを本質的に特徴とする。こうして、構造的に簡単な構成によって、ジャケットチューブに作用する可能性のある影響を、したがってボーリングの正確さに対する悪影響を考慮することを必要とせず、ドリルビットと結合された外被チューブを通じて、ドリルビットの信頼性のある目標をつけられた導入が確保されながら、これが実施される。
【0010】
ドリルビットと共に外被チューブを持ち込むために簡単に力を伝達するため、好ましい一実施形態では、外被チューブをドリルビットと結合するために、スリーブ状の中間要素を、ドリルロッド組立体によって加えられる引張り応力を外被チューブに伝達するために設けることが提案されている。このようなスリーブ状の中間要素は、簡単な方法で製造されることができ、ドリリング作業を行なうためにドリルビットに直接結合されたドリルロッド組立体と、外被チューブとの間の適切で確かな力の伝達をもたらす。
【0011】
ジャケットチューブに個別の衝撃応力と圧縮応力とを特に簡単かつ確かに伝達するために、さらに別の好ましい実施形態によれば、スリーブ状の中間要素を、ドリルロッド組立体によって及ぼされる圧縮応力のジャケットチューブへの伝達のために設けることが提案される。
【0012】
ドリリング長が長い場合においても、場合によっては必要とされる大きな力を、ジャケットチューブに、並びにボアホールの寸法に実質的に適合しており、したがって高い摩擦抵抗を受ける外被チューブに導入可能にするために、さらに別の好ましい実施形態によれば、ドリルロッド組立体と外被チューブとの間、並びにドリルロッド組立体とドリルビットとは反対側を向くジャケットチューブ端部との間に設けられたスリーブ状中間要素の停止表面が、各々、ドリルロッド組立体、外被チューブ、およびジャケットチューブの長手方向軸と鋭角を囲む停止表面からなり、これらの停止表面は、ドリルロッド組立体またはこれに結合されたアダプタのそれぞれの相補的な停止表面と協働することが提案される。このような停止表面を、外被チューブとジャケットチューブの両方への適切で確かな力の伝達および導入のために、応じて費用効果的かつ正確に利用可能にすることができる。
【0013】
別の好ましい実施形態によれば、ドリルロッド組立体と外被チューブとの間に設けられた中間要素の停止表面は、ドリルロッド組立体と、ドリルビットと反対側のジャケットチューブ端との間に設けられた中間要素の停止表面より長く、これによって外被チューブに伝達される引張り応力は、上に既に指摘したように、ジャケットチューブに及ぼされる衝撃応力よりも確実に大きいことが提案される。
【0014】
適正なドリル送りのために、さらに別の好ましい実施形態では、ドリリング手順のために必要なドリルビットの回転運動の他に、ボアホール内部への外被チューブとジャケットチューブの両方の直線導入を確実に避けるように、ドリルビットを、それ自体知られている方法で、外被チューブおよび/またはジャケットチューブに対して回転可能に取り付けることが提案される。
【0015】
既に何回か上記で指摘したように、外被チューブは、目標をつけられた正確なドリリングを保証し、このことは、外被チューブの外径が、ジャケットチューブの外径を超えることによってさらに支援される。したがって、外被チューブの外径を、作られるべきボアホールの寸法に正確に一致させることができ、外被チューブは、これに応じて短い長さを有するので、ボアホール内壁における外被チューブのぴったり合った当接によって発生する摩擦力を、安全に克服することができ、同時にこれに応じて小さくなった直径を有する隣接したジャケットチューブを、大きな摩擦抵抗を伴うことなくボアホール内部に容易に導入することができる。
【0016】
正確なボアの作成を助けるために、さらに別の好ましい実施形態によれば、外被チューブが、ジャケットチューブに対して大きな断面および/または高い強度を有することが提案される。外被チューブが、大きな断面および/または高い強度を有することによって、所望のドリリング方向からの逸脱が、外被チューブの強度または剛性によって確実に防止される。
【0017】
隣接するジャケットチューブ要素の特に簡単で確実な連結を提供するために、さらに別の好ましい実施形態によれば、隣接するジャケットチューブ要素を連結するためにスリーブ状要素を備え、各スリーブ状要素は、ジャケットチューブ要素の隣接する端部領域を被い、ジャケットチューブ要素の周辺の周りに設けられた相補的なくぼみすなわち凹部に係合する突出部すなわち隆起部と共に形成され、もしくは形成可能であることが提案される。相補的なくぼみすなわち凹部に係合するこのような突出部すなわち隆起部は、製造するために簡単で費用効果があるのみならず、従来のねじ連結部と異なって、通常は荒いボーリングすなわちドリリング作業において、延長のための簡単な連結部としてジャケットチューブ部分の確実な連結または結合も可能にする。その上に、このようなくぼみすなわち凹部および突出部すなわち隆起部は、それぞれ、ジャケットチューブ要素を延長するために使用される、知られているねじ連結部の場合におけるように容易には破損しない。
【0018】
隣接するジャケットチューブ要素の特に簡単な連結部のために、さらに別の好ましい実施形態によれば、スリーブ状要素が、突出部すなわち隆起部の領域において減少した材料断面を有するように構成計されること、および突出部すなわち隆起部が、連結されるべきジャケットチューブ要素の外周にスリーブ状要素を配置した後に、ジャケットチューブ要素のくぼみと対応するように形成可能であることが提案される。
【0019】
隣接するジャケットチューブ要素を連結するために提案されるスリーブ状要素の他に、さらに別の好ましい実施形態によれば、例えばピン状スタッドまたはスピゴットなどの追加の固定要素を、連結位置の応じた確実な維持を可能にするように、スリーブ状要素の位置決めおよび/または固定のために備えることが提案される。
【0020】
ドリルビットの領域から掘削された材料を特に確実に搬出するために、さらに別の好ましい実施形態によれば、外被チューブをドリルビットおよび/または衝撃シューまたはこれに連結されたアダプタに固定する領域に、ドリルロッド組立体の外周と、外被チューブおよび隣接ジャケットチューブの内周との間に形成された環状空間に掘削された材料を導入するための、少なくとも1つの通路開口部を備えることが提案される。
【0021】
掘削された材料の搬出を助けるために、または外被チューブもしくは隣接ジャケットチューブとドリルロッド組立体の外周との間の環状空間内部に掘削された材料を導入するために、さらに別の好ましい実施形態によれば、ドリルビット、またはこれに掘削面とは反対に向くその後側において連結されたアダプタが、多角形輪郭を備え、この多角形輪郭は、外被チューブに対して引き込めるときに、外被チューブに結合するために、アダプタまたは中間要素の相補的な多角形受入れ開口部に入ることが提案される。
【0022】
掘削された材料を、外被チューブとドリルビットとの連結個所の領域に直接導入することができる他に、さらに別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの通路開口部を、ドリルビットおよび/またはアダプタと外被チューブとの間の連結個所からある距離において、外被チューブの周囲に備え、この通路開口部は、ドリルロッド組立体の外周と外被チューブの内周との間に画定された環状空間の内部に開いていることが提案される。
【0023】
次に本発明を、添付の図面に概略的に図示された例示的な実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1および図2による図解から、全体的に1で示されるボーリングすなわち回転衝撃式ドリリング用の装置は、概略的に2で示されているドリルビットを含み、このドリルビットは、図1および図2には詳細には図示されていない材料を掘削するための、ドリルロッド組立体3を介する衝撃式または回転衝撃式ドリリングのために構成されていることが明らかである。
【0025】
ドリルビット2には、比較的厚い断面と高い強度を有する外被チューブ4が連結され、外被チューブ4は、そのドリルビット2とは反対側の端部にソケット5を含み、このソケット5内に、ジャケットチューブ6が受け取られ、前記ジャケットチューブ6は、外被チューブ4の直径Dと比較して小さな直径dを有するのみならず、より小さな壁厚およびより低い強度を有する。
【0026】
ドリルビット2は、図3に詳細に示されたアダプタ7を介して、ドリルロッド組立体3に直接結合され、アダプタ7を介して、外被チューブ4のエントレインメントも、特に図5bに詳細に図示された中間要素8を介して引張り応力も生じる。
【0027】
外被チューブ4が比較的大きな長さを有し、適切な強度に加えて、詳細には示されていないドリルビット2によって形成されたボアホールの寸法に主として一致する直径Dを有することを考慮すると、正確なボーリングが実施可能であることが、外被チューブ4によって確実にされる。
【0028】
ドリルビット2とは反対側にある外被チューブ端部におけるソケット5に受け取られるジャケットチューブ6は、同様に、図4および図5aにさらに詳細に示されているさらに別の中間要素10を介して、ドリルロッド組立体3によって圧縮応力を受けるので、ジャケットチューブ6も、同様に、ドリルビット2の前進作業中に矢印11の方向にボアホール内に導入される。
【0029】
図3に拡大して示すアダプタ7から、このアダプタ7は停止表面12を含むことが分かり、停止表面12は、図5bに示す中間部品8の応じて相補的に形状形成された停止表面13と協働し、したがって、アダプタ7が、矢印9の方向に、図3には詳細に示されていないねじ14内にねじ込まれたドリルロッド組立体3を介して作用を受けるので、ドリルビット2の前進の他に、外被チューブ4のエントレインメントが生じる。
【0030】
図3に示す図解では、後でさらに詳細に説明するような、ドリル2の洗浄および/または掘削された材料の運び出しのための通路チャネル15並びに出口開口部16が、アダプタ7内に追加的に示されている。
【0031】
図4および図5aに詳細に示されている中間要素10は、ジャケットチューブ6に対する衝撃作用または回転作用のために備えられている。中間要素10のエントレインメント、および続くジャケットチューブ6のエントレインメントも、やはり、ボアホールから突き出るドリルロッド組立体3の領域において停止表面17を介して生じ、ドリルロッド組立体3の停止表面17は、応じて相補的な停止表面18と協働する。
【0032】
図3から図5a、図5bまでから特に明らかなように、アダプタ7とドリルロッド組立体3の両方の停止表面、並びにスリーブ状中間要素8の停止表面13およびスリーブ状中間要素10の停止表面18は、各々、図4で19によって示されるドリルロッド組立体の長手方向軸に対して傾斜している。
【0033】
図5aおよび図5bから、ドリルロッド組立体3とジャケットチューブ6との間に備えられた中間要素10の停止表面18は、アダプタ7したがってドリルロッド組立体3と、外被チューブ4との間に備えられた中間要素8の停止表面3よりも小さく、このため概して、ドリルロッド組立体3の前進動作の際に、より大きな力が、ジャケットチューブ6よりも外被チューブ4に伝達され、したがって外被チューブ4が、少なくともジャケットチューブ6と同じ程度にボアホール内に確実に導入される。さらに、外被チューブ4をボアホール内に導入するために、外被チューブ4の適切な導入には、より大きな直径のために、したがって外被チューブ4の外径とボアホールの壁との間の高い摩擦抵抗のために、大きな力が必要になることがわかる。
【0034】
さらにまた、図4には、ピンまたはボルト20によるジャケットチューブ6の追加固定が示されている。
【0035】
図6および図7に示される、隣接するジャケットチューブ要素6’および6”の間の簡単な連結のために、スリーブ状要素21が、それぞれ備えられ、ジャケットチューブ6の内部に向かって突出する突出部すなわち隆起部22が示され、これらは、ジャケットチューブのそれぞれのくぼみすなわち凹部23に係合し、隣接するジャケットチューブ要素6’および6”の確実な連結を保証する。前記突出部すなわち隆起部22を、隣接するジャケットチューブ要素6’および6”を接合するときに、スリーブ状要素21が適切な弾性を示さなければならないように予め形成することができ、またはこれらを、連結されるべきジャケットチューブ要素6’および6”の領域にスリーブ状要素21を配置した後に、簡単なツールを使用して所定の破断点の領域に形成することもできる。
【0036】
複数の通路開口部24が、既に図1および図2の概略図においてドリルビットに対して離隔した関係で、外被チューブ4内に示されており、ドリルビット2の領域からの材料の搬出は、図8から図12までによって説明されている。
【0037】
ドリルビット2からある距離に設けられた通路開口部24に加えて、長手方向に延びる、応じてオフセットされたまたはくぼんだ領域25が、外被チューブ4の外周の周りに設けられて、概略的に26によって示された掘削された材料を通路開口部24の領域へ確実に運び入れるが、外被チューブ4の端面27の領域におけるドリルビット2の後側において、材料が、図8および図9に示すボーリング位置に突き出たアダプタ7の前面部分の領域に入ることは予想される。
【0038】
図11および図12から、並びに図5bにおけるスリーブ状中間要素8の概略図から明らかなように、アダプタ7は、ドリルロッド組立体3もしくはアダプタ7と、この領域における外被チューブ4との間の環状空間すなわち自由空間に材料が入ることを可能にするように、ドリルビット2の連結ゾーンにおいて多角形、および特に丸くなった隅を有する実質的に三角形になるように構成されている。外被チューブ4および中間要素8から突き出たアダプタ部分の多角形状の構成32、33によって、ドリルビット2の背後に存在する掘削された材料が、大部分分解され、確実な除去を可能にすることが保証される。
【0039】
外被チューブ4とドリルロッド組立体3との間の環状空間に、特に通路開口部24を通じて入る材料を適切に運ぶために、ドリルロッド組立体3の最前部に、ねじ状の輪郭またはウォームコンベヤからなるガイド手段28が、追加的に備えられている。ウォームコンベヤまたはガイド手段28は、さらに図1および図2にも概略的に示されている。
【0040】
ドリルビット2とドリルロッド組立体3の反時計方向の回転運動によって、外被チューブ4とドリルロッド組立体3との間に設けられた環状空間31と、ドリルロッド組立体3と外被チューブ4に続くジャケットチューブ6との間の環状空間の両方を通じた、ウォームコンベヤまたはガイド手段28による掘削された材料の確実な搬出が保証される。
【0041】
こうして、特に比較的高い強度と大きな断面を有する外被チューブ4によってもたらされる目標つけられた正確なボーリングの他に、掘削された材料の選択的な搬出によって、ボーリング速度と方向精度との両方の改善が可能になる。
【0042】
特に除去すべき材料によって妨害されることが時々ある、通路開口部の定期的な清掃のために、ドリルビット2は、矢印29の方向に外被チューブ4と当接した状態で引っ込められることができ、これによって、通路開口部24の清掃効果がエントレインメントによって得られるように、通路開口部24に対するガイド手段またはウォームコンベヤ28の変位が行なわれる。さらに、本来の掘削方向とは逆方向のドリルロッド組立体3の回転運動、すなわち例えば図9および図10に示す図では、時計回りの回転運動は、ウォームコンベヤ28の逆運搬方向によって、通路開口部24の清浄を行なうことができる。
【0043】
清掃後、掘削手順を続けるために、ドリルビット2は、再び図9の矢印30の方向に作用を受ける。
【0044】
ドリルロッド組立体3から、外被チューブ4とジャケットチューブ6とに、それぞれ挿入されたスリーブ状の中間要素8および10を介して力を伝達することによって、さらに、ドリルロッド組立体3に直接結合されたドリルビット2を、回転運動と衝撃運動との両方で設定可能であり、同時に外被チューブ4とジャケットチューブ6の両方を、回転応力を受けることなく、作成されるべきボアホール内に単に軸方向すなわちボアホールの長手方向に導入されることが確実である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による方法を実施するための本発明による装置の断面図である。
【図2】図1と同様な図で示す、本発明による装置の部分側面断面図である。
【図3】ドリルビットをドリルロッド組立体に結合するため、およびドリルビットに続く外被チューブのに引張り応力を伝達するための、本発明による装置のアダプタの拡大図である。
【図4】本発明による装置のジャケットチューブに衝撃応力または圧縮応力を加えるための、ドリルロッド組立体とジャケットチューブとの間の結合領域の概略断面図である。
【図5a】圧縮応力をドリルロッド組立体からジャケットチューブへ伝達する働きをする中間要素の斜視図である。
【図5b】引張り応力をドリルロッド組立体から外被チューブへ伝達するための中間要素の斜視図である。
【図6】2つの隣接するジャケットチューブ要素の間の連結部の拡大図である。
【図7】図6は図7の矢印VIの方向に見たものであり、隣接するジャケットチューブ要素の連結部を通る図6の線VIIに沿った断面図である。
【図8】図2と同様な図であるが、掘削された材料を搬出するために使用される外被チューブの領域だけを示す、本発明による装置の側面図である。
【図9】図8におけるように、ドリルビットが、外被チューブからある距離に配置されている、図8による構成の部分断面図である。
【図10】図9と同様な図であるが、外被チューブに当接するために引き込まれた位置にあるドリルビットを示す図である。
【図11】外被チューブの最前部における図8の線XI−XIに沿った断面図である。
【図12】図11の領域XIIの詳細拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤または岩盤に孔をあけるボーリングすなわちドリリング、特に衝撃式ドリリングまたは回転衝撃式ドリリングのための方法であり、ボアホールが、ドリルロッド組立体(3)に装着されたドリルビット(2)によって実施される衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ドリルビット(2)に結合されたジャケットチューブ(6)が、ボアホールに導入される方法であって、ジャケットチューブ(6)が、ドリルビット(2)と結合された外被チューブ(4)のドリルビット作用面とは反対側の端部に備えられたソケットに受け取られること、およびジャケットチューブ(6)が、ドリルビット(2)とは反対側の端部で衝撃応力および/または圧縮応力を受けることを特徴とする方法。
【請求項2】
ドリルビット(2)とは反対側にある端部でジャケットチューブ(6)に作用する圧縮応力が、ドリルビット(2)によって外被チューブ(4)に加えられる引張り応力よりも小さくなるように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドリルビット(2)が、それ自体知られている方法で、外被チューブ(4)および/またはジャケットチューブ(6)に対して回転式に取り付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
掘削された材料が、ドリルビット(2)と外被チューブ(4)との間の連結個所の領域に設けられた少なくとも1つの開口部を介して、および/またはドリルビット(2)と外被チューブ(4)との間の連結個所からある距離だけ離れた所に設けられた通路開口部を介して、ドリルロッド組立体(3)の外周と外被チューブ(4)および隣接ジャケットチューブ(6)の内周との間に画定された環状空間(31)に導入され、それからボアホールの外に搬出されること特徴とする、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
地盤または岩盤に孔をあけるボーリングすなわちドリリング、特に衝撃式ドリリングまたは回転衝撃式ドリリングのための装置であり、ボアホールが、ドリルロッド組立体(3)に装着されたドリルビット(2)によって実施される衝撃運動および/または回転運動によって形成され、ドリルビット(2)に結合されたジャケットチューブ(6)が、ボアホール内に導入される装置であって、ジャケットチューブ(6)が、ドリルビット(2)と結合された外被チューブ(4)のドリルビット作用面とは反対側の端部に備えられたソケット(5)に受け取られること、および衝撃応力および/または圧縮応力が、ドリルビット(2)とは反対側にあるジャケットチューブ(6)の端部に加えられることを特徴とする装置。
【請求項6】
外被チューブ(4)をドリルビット(2)に結合するために、スリーブ状中間要素(8)が、ドリルロッド組立体(3)によって加えられる引張り応力を外被チューブ(4)に伝達するために備えられることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
スリーブ状中間要素(10)が、ドリルビット組立体(3)によって加えられる圧縮応力をジャケットチューブ(6)に伝達のために備えられていることを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
ドリルロッド組立体(3)と外被チューブ(4)との間、並びにドリルロッド組立体(3)とドリルビット(2)とは反対側のジャケットチューブ端部との間に設けられたスリーブ状中間要素(8、10)の停止表面(13、18)が、各々、ドリルロッド組立体(3)、外被チューブ(4)、およびジャケットチューブ(6)の長手方向軸と鋭角を囲む停止表面からなり、停止表面が、ドリルロッド組立体(3)またはドリルロッド組立体に結合されたアダプタ(7)のそれぞれの相補的な停止表面(12、17)と協働することを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
ドリルロッド組立体(3)と外被チューブ(4)との間に設けられた中間要素(8)の停止表面(13)が、ドリルロッド組立体(3)とドリルビット(6)とは反対側にあるジャケットチューブの端部との間に設けられた中間要素(10)の停止表面(18)よりも大きいことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ドリルビット(2)が、それ自体知られている方法で、外被チューブ(4)および/またはジャケットチューブ(6)に対して回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項5から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
外被チューブ(4)の外径(D)が、ジャケットチューブ(6)の外径(d)を超えることを特徴とする、請求項5から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
外被チューブ(4)が、ジャケットチューブ(6)に対して大きな断面および/または高い強度を有することを特徴とする、請求項5から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
隣接するジャケットチューブ要素(6’、6”)を連結するために、スリーブ状要素(21)を備え、各スリーブ状要素が、ジャケットチューブ要素の隣接する端部領域を被い、ジャケットチューブ要素(6’、6”)の周辺の周りに設けられた相補的なくぼみすなわち凹部(23)に係合する突出部すなわち隆起部(22)と共に形成され、もしくは前記突出部すなわち隆起部(22)と共に形成可能であることを特徴とする、請求項5から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
スリーブ状要素(21)が、突出部すなわち隆起部(22)の領域において減少した材料断面を有するように構成されること、および突出部すなわち隆起部(22)が、連結されるべきジャケットチューブ要素(6’、6”)の外周にスリーブ状要素(21)を配置した後に、ジャケットチューブ要素(6’、6”)のくぼみ(23)と対応するように形成可能であることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
スリーブ状要素(21)の位置決めおよび/または固定のために、例えばピン状スタッドまたはスピゴットなどの追加の固定要素(20)が備えられることを特徴とする、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
外被チューブ(4)をドリルビット(2)および/または衝撃シューまたは衝撃シューに連結されたアダプタ(7)に固定する領域に、ドリルロッド組立体(3)の外周と外被チューブ(4)と隣接ジャケットチューブ(6)の内周との間に形成された環状空間(31)に掘削された材料を導入するめの少なくとも1つの通路開口部が、備えられることを特徴とする、請求項5から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ドリルビット(2)、または掘削面とは反対側の後側においてドリルビット(2)に連結されたアダプタ(7)が、多角形輪郭(32)を備え、該多角形輪郭(32)が、外被チューブ(4)に対して引き込まれるときに、外被チューブ(4)に結合するために、アダプタ(7)または中間要素(8)の相補的な多角形受入れ開口部(33)に入ることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つの通路開口部(24)が、ドリルビット(2)および/またはアダプタ(7)と外被チューブ(4)との間の連結個所からある距離において外被チューブ(4)の周囲に備えられ、通路開口部が、ドリルロッド組立体(3)の外周と外被チューブ(4)の内周との間に画定された環状空間(31)の内部に開いていることを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−507626(P2007−507626A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529426(P2006−529426)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000325
【国際公開番号】WO2005/031108
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501069692)“アールバーク”・トウンネーラウスバーウ・ゲゼルシヤフト・エム・ベー・ハー (9)
【Fターム(参考)】