地盤支持力試験装置
【課題】 地盤支持力試験を行うのに、従来では平板載荷試験装置を使用するのが一般的であるが、この平板載荷試験装置では、装置全体が大掛かりとなって、製作コストが高くなり且つ1箇所当たりの試験時間が長くかかっていた。
【解決手段】人が載り得る程度の大きさの踏台1と、踏台1上に合体されるピストン2と、ピストン2の可動体25を押し下げる圧力手段3と、圧力手段3の圧力を計測する圧力計測手段4と、ピストン2の可動体25に取付けられていて可動体25の下動によって地盤G中に進入する細棒状の進入体5と、進入体5の地中進入量を計測する進入量計測手段6とを備え、踏台1上に人が載り、圧力手段3により進入体5を押し下げて、進入体5を地盤中に進入させたときの圧力計測量と進入計測量とから地盤支持力を算出できるようにすることで、製作コストが安価で且つ短時間で地盤支持力試験を行えるようにした。
【解決手段】人が載り得る程度の大きさの踏台1と、踏台1上に合体されるピストン2と、ピストン2の可動体25を押し下げる圧力手段3と、圧力手段3の圧力を計測する圧力計測手段4と、ピストン2の可動体25に取付けられていて可動体25の下動によって地盤G中に進入する細棒状の進入体5と、進入体5の地中進入量を計測する進入量計測手段6とを備え、踏台1上に人が載り、圧力手段3により進入体5を押し下げて、進入体5を地盤中に進入させたときの圧力計測量と進入計測量とから地盤支持力を算出できるようにすることで、製作コストが安価で且つ短時間で地盤支持力試験を行えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば建物や擁壁等の構造物を建設したり道路を舗装したりする際の、地盤の支持力を計測するための地盤支持力試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば建物や擁壁等の構造物を建設したり道路を舗装したりする際には、予め当該建設予定地の地盤の支持力を計測しておくことが好ましい。
【0003】
この種の地盤支持力を計測するための装置の代表例として、例えば図15に示すような平板載荷試験装置がある。この図15に示す公知の平板載荷試験装置は、直径が30cm程度の載荷板101と、該載荷板101を押し下げる油圧ジャッキ102(載荷板101に一体化されている)と、該ジャッキ用の油圧ポンプ103と、該油圧ポンプ103の出力を計測する圧力計104と、載荷板101の沈下量を計測する沈下量計測器(一般に4個のダイヤルゲージが使用される)106とを備えている。尚、この種の平板載荷試験装置の公知例としては、例えば特開2002−296159号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0004】
この図15に示す公知の平板載荷試験装置は、次のようにして使用される。即ち、地盤支持力を計測すべき箇所において、地盤G上に油圧ジャッキ102付きの載荷板101を載せ、油圧ジャッキ102の上に大重量の荷重体110(例えば重機のような大重量でジャッキ反力を受け得るもの)を配置した状態で、油圧ポンプ103により油圧ジャッキ102を伸長させる。このとき、油圧ポンプ103の出力(油圧ジャッキ102の伸長力)を試験目的に応じて所定圧力まで高め(精密試験では、計画最大荷重を複数段階に等分して行う段階式載荷を行う場合が多い)、その所定圧力を所定時間(例えば30分間)維持させる。尚、油圧ジャッキ102により載荷板101を押し下げると該載荷板101が地表面から沈下し、そのとき油圧ジャッキ102の押し下げ力(伸長側圧力)が低下するが、所定の試験時間は圧力計104を見ながら増圧し、常時所定圧力に維持させておく。そして、所定の試験時間経過後における載荷板101の沈下量を沈下量計測器106で計測し、その計測した沈下量によって地盤支持力を算出する。尚、地盤支持力の算出は、圧力計104で計測される油圧ジャッキ102の圧力を沈下量計測器106で計測される載荷板101の沈下量で除算することによって求められる。
【0005】
尚、段階式載荷試験では、1箇所につき、第1段階荷重による試験が終了した後、順次同様に第2段階荷重〜最大計画荷重までの複数回に分けて試験を行う(この場合は、1箇所につき、1回約30分×試験回数だけの時間がかかる)。又、地盤支持力を計測すべき現場が、大面積である場合や長い距離である場合には、適宜の面積範囲(又は長さ範囲)に分けて複数箇所をそれぞれ計測する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−296159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した従来の平板載荷試験装置では、地盤支持力を比較的精密に計測できるものの、次のような問題点を有していた。
【0008】
(1) 比較的大面積(直径が30cm程度)の載荷板101を地盤中に沈下させる必要があるために、試験装置として大掛かりなもの(例えば高出力の油圧ジャッキ関連装置)が使用されるので、設備コストが高くなる。
【0009】
(2) 試験装置が大掛かりであると、試験箇所を変更する度に試験装置全体(大重量荷重体となる重機を含む)の移動が大掛かりとなり且つセッティングも繁雑になるとともに、それらに長時間を要するので時間コストが高くなる。
【0010】
(3) 油圧ジャッキの反力受けとして大重量荷重体(例えば重機)を使用する場合が一般的であるが、地盤支持力試験箇所が狭隘な場所では重機(大重量荷重体)の搬入が困難になることがある。
【0011】
(4) 1箇所当たりの試験時間が長くかかるので、地盤支持力試験のための人件費コストが高くつくとともに、試験のための工期が長くなる。
【0012】
尚、工事現場の地質は多種多様であり、広い面積や距離の長い工事場所等で試験箇所数を少なくすると、試験しない箇所に地盤支持力が低い場所があることがあり、後日のトラブルの原因になることがある。又、比較的小規模工事では、上記のような大掛かりな平板載荷試験を行うほどの工事費が出ない場合が多々あり、現場の地盤支持力試験を行わないまま本体工事を実施することがあるが、その場合には安全性を損なうおそれがある。
【0013】
そこで、本願発明は、地盤支持力試験の精度は若干劣るものの、簡易に且つ安価でしかも短時間で地盤支持力を計測できるようにした地盤支持力試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、地盤の支持力を計測するための地盤支持力試験装置を対象にしている。
【0015】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明の地盤支持力試験装置は、人が載り得る程度の大きさの踏台と、踏台上に該踏台に対して浮き上がり不能に設置される筒体内で可動体が上下動し得るようにしたピストンと、ピストンの可動体を押し下げる圧力手段と、圧力手段の圧力を計測する圧力計測手段と、ピストンの可動体に間接又は直接連結されていて可動体の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体と、進入体の地中進入量を計測する進入量計測手段とを備えて構成されている。
【0016】
踏台には、鉄鋼・硬質プラスチック・木材等の剛性のある(撓まない)板材やフレーム材が使用される。そして、板材製の踏台では、円形、楕円形、三角形、四角形等の適宜形状の面状に形成でき、フレーム材製の踏台では、四角枠や平行棒状に形成できる。この踏台の大きさは、直径(又は左右長さ)が40〜50cm程度あればよく、踏台上にピストンを立設した状態で、人の両足を載せ得るスペースがあればよい。尚、フレーム材で四角枠や平行棒状に形成した踏台でも、人の両足を載せ得る構造にする。踏台の上面には、踏台の水平度を検出する水準器を取付けておくとよい。
【0017】
この踏台は、ピストンの筒体に固定(スペーサーを介して間接固定したものも含む)したものでもよく、あるいはピストン筒体に対して着脱自在に合体させ得るようにしたものでもよい。又、踏台をピストン筒体に着脱自在に合体させ得るものでは、踏台とピストン筒体(又はピストン筒体に固定されたスペーサー)とを試験現場においてボルト・ナット等で固着させるようにしたものでもよく、あるいは踏台をピストン筒体の下端部フランジ上(筒体下端部にスペーサーを固定したものでは該スペーサーの下端部フランジ上)に単に載せるだけでもよい。
【0018】
ピストンは、適宜高さを有する筒体内で可動体が上下動し得るものであればよく、例えば油圧(又は水圧)ジャッキやエアージャッキや手動押圧式のものが使用可能である。ピストン筒体の立設位置は、踏台の中央部が好ましいが、踏台中央部から偏位した位置でもよい。踏台をピストン筒体の下面に設置したものでは、該踏台における筒体取付位置に進入体を上下に移動させ得る穴が形成される。
【0019】
圧力手段は、ピストンの可動体を圧力によって押し下げ得るものであればよい。例えば、ピストンが油圧ジャッキであれば圧力手段として油圧ポンプを使用し、ジャッキがエアージャッキであれば圧力手段としてエアーポンプを使用し、ピストンが手動押圧式のものでは圧力手段としてコイルバネを使用できる。
【0020】
圧力計測手段は、圧力手段の圧力を計測するもので、圧力手段が油圧ポンプやエアーポンプであれば圧力計測手段として圧力計が使用され、圧力手段がコイルバネであれば該コイルバネの圧縮量を計測する目盛板が使用できる。
【0021】
進入体は、鋼製の直棒状で、特に限定するものではないが直径が5〜50mm程度で、地盤中に進入する長さが100mm程度確保できるものであればよい(全長が150mm程度でよい)。この進入体は、ピストン可動体の下方に突出する状態で取付けられている。尚、この進入体は、太さの異なるものを複数種類用意しておき、計測すべき地盤の支持力によって太さの異なる進入体を使い分けるようにしてもよい。その場合、軟弱地盤ほど太い進入体を使用する。
【0022】
進入量計測手段は、進入体の地盤中への進入量を計測するもので、該進入体の地中進入量を外部から視認できる目盛板が使用可能である。
【0023】
そして、本願請求項1の地盤支持力試験装置は、地盤支持力試験箇所において、踏台上に人が載り、圧力手段により可動体を介して進入体を押し下げて、進入体を地盤中に進入させたときの圧力計測手段で計測した圧力計測量と進入量計測手段で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにしたものである。
【0024】
尚、本願の地盤支持力試験装置を使用するのに当たり、圧力手段の複数の圧力量と進入体の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段で計測された実際の圧力計測量と進入量計測手段で計測された実際の進入計測量から、データマップにより地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておくとよい。
【0025】
ところで、本願の地盤支持力試験装置の使用時において、圧力手段(油圧ポンプ、エアーポンプ、手動圧縮式のコイルバネ等)の圧力で進入体が地盤中に進入する際には、該進入体に反力(進入抵抗)が発生してピストンの筒体や踏台を持ち上げるような作用が働くが、本願の地盤支持力試験装置に使用されている進入体は直径が細い(5〜50mm)ので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、この地盤支持力試験装置の使用時には踏台上に人が載って行われるので、進入体が地中進入時に発生するピストン筒体や踏台に対する浮き上げ作用を人の体重で阻止できる。
【0026】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明の地盤支持力試験装置は、上記請求項1における踏板を椅子に変更したものである。
【0027】
この請求項2の地盤支持力試験装置は、人が腰掛け状態で座れる椅子と、該椅子の座部の下面に下向きに固定された筒体内で可動体が上下動し得るようにしたピストンと、該ピストンの可動体を押し下げる圧力手段と、該圧力手段の圧力を計測する圧力計測手段と、ピストンの可動体に間接又は直接連結されていて該可動体の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体と、該進入体の地中進入量を計測する進入量計測手段とを備えて構成されている。
【0028】
椅子の座部は、人が座れる程度の大きさで、該座部に腰掛けた状態で足裏が地面にとどく程度の通常高さのものでよい。
【0029】
この請求項2の地盤支持力試験装置におけるピストン、圧力計測手段、進入体、進入量計測手段等は、それぞれ上記請求項1に記載したものを使用できる。尚、この請求項2の場合は、圧力手段として油圧ポンプやエアーポンプ等の流体圧ポンプを使用することが好ましい(ピストンが椅子の座部下面にあるので、圧力手段として手動圧縮式のコイルバネは不向きである)。
【0030】
そして、この請求項2の地盤支持力試験装置では、地盤支持力試験箇所において、椅子の座部上に人が座り、圧力手段により可動体を介して進入体を押し下げて、該進入体を地盤中に進入させたときの圧力計測手段で計測した圧力計測量と進入量計測手段で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにしたものである。
【0031】
この請求項2の地盤支持力試験装置では、圧力手段(油圧ポンプ、エアーポンプ等)の圧力で進入体が地盤中に進入する際には、該進入体に反力(進入抵抗)が発生してピストンの筒体や椅子の座部を持ち上げるような作用が働くが、本願の地盤支持力試験装置に使用されている進入体は直径が細い(5〜50mm)ので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、この地盤支持力試験装置の使用時には椅子座部に人が座って行われるので、進入体が地中進入時に発生するピストン筒体や椅子座部に対する浮き上げ作用を人の体重で阻止できる。
【0032】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1の地盤支持力試験装置(踏板を使用したもの)において、圧力手段として、人力によって圧縮させるコイルバネの弾発力によって可動体を押し下げ得るものを使用している。
【0033】
この場合、ピストンの筒体内の可動体上部にコイルバネを配置させ、該コイルバネを筒体の上方から人力操作される圧縮部材で圧縮させることで、コイルバネの弾発力を可動体上面に作用させるものである。
【0034】
尚、この請求項3の場合、コイルバネによる圧力量は、圧縮部材の押し下げ量と可動体の下動量から算出できる。
【0035】
この請求項3のように、圧力手段として人力で圧縮させるコイルバネを使用したものでは、油圧ジャッキの場合に使用される油圧ポンプやその配管等が不要になる。
【0036】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項2の地盤支持力試験装置(椅子を使用したもの)において、圧力手段は椅子の座部に座ったままで操作できる手動式の流体圧ポンプを使用し、且つ圧力計測手段となる圧力計を椅子の座部に座った人が目視できる場所に位置させることができるようにしている一方、進入量計測手段で計測した進入計測量の表示部を座部の上面における該座部に座った人が目視できる位置に設けている。
【0037】
この請求項4の地盤支持力試験装置に使用される流体圧ポンプとしては、油圧ポンプやエアーポンプ等の手押し式又は足踏み式のものが使用されるが、この流体圧ポンプは、椅子の座部に座っている人が操作できるものである。尚、この流体圧ポンプの流体吐出口とピストンの流体導入口とは、ホースで接続されている。
【0038】
圧力計測手段としては圧力計(ピストン内の流体圧を計測するもの)が用いられるが、この圧力計は椅子の座部に座った人が目視できる場所に位置させることができる。
【0039】
進入量計測手段としては、例えば柔軟性のある目盛付きテープを使用できる。そして、この目盛付きテープは、その一端部をピストンの可動部分(例えば可動体に連続する下ロッドや進入体)に固定し、他端側を椅子座部の下面側から座部の外周寄り上面に貫通させて該座部上面に所定長さ範囲(例えば2〜5cm長さ)だけ露出させた後に座部下方に垂れ下げて設置する。尚、目盛付きテープの垂れ下げ側の下端部には重りを取付けて、該目盛付きテープを常時緊張状態に維持させるとよい。この場合は、目盛付きテープにおける椅子座部の外周寄り上面に露出している部分が進入計測量の表示部となる。そして、椅子座部に座るときには、該表示部が股の間に位置するように座ることで、該表示部を椅子座部に座った状態で目視できる。
【0040】
この目盛付きテープを使用した進入量計測手段では、ピストンの可動部分が上下動することにより、目盛付きテープが押し引き移動され、表示部に露出している目盛変化を読み取ることで進入体の進入量を計測できるようになっている。
【0041】
この請求項4の地盤支持力試験装置では、椅子座部に座っている人が一人で、圧力手段(流体圧ポンプ)の操作と、圧力計測量(圧力計)の読み取りと、進入量計測手段による進入計測量の読み取りとを行うことができる。
【0042】
本願請求項5の発明
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項の地盤支持力試験装置において、進入体として、可動体に間接又は直接連結される直棒部の下端に該直棒部の太さよりやや大きい外径の大径部を設けたものを使用している。
【0043】
ところで、本願の地盤支持力試験装置は、細棒状の進入体を地盤中に進入させることで地盤支持力を計測し得るようにしたものであるが、進入体が全長に亘って同直径の棒状体であれば、進入体が地盤中に進入していくときに進入体(棒状体)の外側面も地盤土壌に接触することになる。このように進入体の地中進入時に進入体外側面が地盤土壌に接触すると、進入体外側面部分でも摩擦抵抗が生じるが、この進入体外側面部分で生じる摩擦抵抗は地盤の土質やそのときの含水量によって大きく変わり、地盤の状況(土質や含水量)によっては進入体に同じ圧力を加えても進入体の進入量にバラツキが生じることになる。
【0044】
そこで、本願請求項5の地盤支持力試験装置では、進入体として直棒部の下端に大径部を設けたものを使用することで、進入体の地中進入時に進入体下端部(大径部)で進入体直棒部の直径より大きい内径の穴を形成しながら進入させることができ、それによって進入体直棒部に地盤土壌との摩擦抵抗が発生しないようにしている。即ち、進入体の地中進入時には、進入体下端の大径部のみが抵抗を受ける。
【発明の効果】
【0045】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の地盤支持力試験装置は、次のような効果を有している。
【0046】
(1) 地盤中に進入させる進入体として細棒状のものを使用しているので、該進入体を地盤中に圧入させるための圧力が小さくて済み、その分、装置全体をコンパクトで且つ安価に製作できる。
【0047】
(2) 進入体が細棒状であるために該進入体の地中進入時に発生する反力が小さいので、その反力受けとして人が載り得る程度の面積の踏台を用いることができる(実際の試験時には踏台上に人が載るだけでよい)。従って、従来(例えば図15)の平板載荷試験装置のように大重量の荷重体(例えば重機)が不要になり(該荷重体のセット作業も不要になる)、地盤支持力試験に際しての準備が簡単に且つ短時間で行える。
【0048】
(3) 踏台上に人が載り、圧力手段により進入体を押し下げることで、そのときの圧力計測量と進入体の進入計測量とから地盤支持力を算出し得るので、1箇所当たりの試験を短時間で行える(試験工期短縮と人件費削減を達成できる)。
【0049】
(4) 装置全体がコンパクトで且つ人力で持ち運び得る程度の重量・大きさであるので、試験場所でのセッティングや移動時の取り扱いが容易であり且つ短時間で行える。
【0050】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明の地盤支持力試験装置では、上記請求項1の踏板に代えて人が腰掛け得る椅子を使用しているが、この請求項2の地盤支持力試験装置でも、人が椅子座部に座って地盤支持力試験を行えるので、上記請求項1と同様の効果を達成できる。
【0051】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、請求項1の地盤支持力試験装置において、圧力手段として人力によって圧縮させるコイルバネの弾発力によって可動体を押し下げ得るものを使用している。
【0052】
従って、この請求項2の地盤支持力試験装置では、上記請求項1の効果に加えて、圧力手段を簡単且つコンパクトに構成できるとともに、油圧ポンプを使用したものに比して安価となるという効果がある。
【0053】
本願請求項4の発明の効果
本願請求項4の発明は、請求項2の地盤支持力試験装置において、圧力手段(流体圧ポンプ)の操作と、圧力計測手段(圧力計)による圧力計測量の読み取りと、進入量計測手段による進入計測量の読み取りとを、椅子の座部に座った一人の作業員で行える。
【0054】
従って、この請求項4の地盤支持力試験装置では、上記請求項2の効果に加えて、地盤支持力試験を一人の作業員で行えるので、上記請求項2の効果に加えて、人件費コストを一層低減できるという効果がある。
【0055】
本願請求項5の発明の効果
本願請求項の発明は、請求項1〜4の地盤支持力試験装置において、進入体として、可動体に連結される直棒部の下端に該直棒部の太さよりやや大きい外径の大径部を設けたものを使用している。
【0056】
この請求項5に使用される進入体では、地中進入時に、進入体直棒部が地盤土壌に接触しないので該直棒部に地盤土壌との摩擦抵抗が発生しない(進入体下端の大径部のみが進入抵抗を受ける)。このことは、計測されたデータの誤差範囲を小さくすることに寄与するものである。
【0057】
従って、この請求項5の地盤支持力試験装置では、上記請求項1〜4の効果に加えて、試験により算出された地盤支持力の精度(信頼性)を高めることができるという効果がある。
【実施例】
【0058】
以下、図1〜図14を参照して本願の地盤支持力試験装置のいくつかの実施例を説明すると、図1〜図4には第1実施例、図5〜図6には第2実施例、図7〜図9には第3実施例、図10〜図11には第4実施例、図12〜図14には第5実施例がそれぞれ示されている。
【0059】
図1〜図4の第1実施例
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、図1及び図2に示すように、人が載り得る程度の面積を有する踏台1と、踏台1上に取付けられたピストン2と、ピストン2の可動体25を押し下げる圧力手段3と、圧力手段3の圧力を計測する圧力計測手段4と、可動体25の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体4と、進入体5の地中進入量を計測する進入量計測手段6とを基本構造としている。
【0060】
踏台1は、この第1実施例では、鉄板・硬質プラスチック・木材等の剛性のある(撓まない)板材製で、円形に形成したものが使用されている。この踏台1の大きさは、直径が40〜50cm程度あればよく、踏台1上にピストン2を立設した状態で、人の両足F,F(図1)を載せ得るスペースがあればよい。又、踏台1の上面には、該踏台1の水平度を検出する水準器9を取付けている。
【0061】
尚、他の実施例では、踏台1の形状として、円形のほかに楕円形、三角形、四角形等の適宜の形状のものを使用できる。さらに他の実施例では、踏台1の材料としてフレーム材を使用し、該フレーム材を四角枠状に組付けたものや、単に平行棒状に配置したものも採用できる。
【0062】
ピストン2は、縦向き姿勢の筒体21内に可動体25を上下動し得る状態で配置したものであり、この第1実施例では油圧ジャッキが採用されている。尚、この第1実施例では、ピストン2を油圧ジャッキということがある。
【0063】
油圧ジャッキ2の有効ストロークは、可動体25を少なくとも10cm程度上下動させ得るものであればよいが、この第1実施例では、余裕をもって15cm程度のストロークをもつ油圧ジャッキを使用している。
【0064】
油圧ジャッキ(ピストン)2の筒体21は、踏台1の上面に対して適宜高さ(例えば15cm程度)の筒状スペーサー8を介して立設固定されている。又、踏台1と筒状スペーサー8、及び筒状スペーサー8とピストン2の筒体21は、それぞれ連結固定されていて、踏台1と筒状スペーサー8とピストン筒体21とが一体化されている。尚、この第1実施例では、ピストン2及び筒状スペーサー8は、踏台1の中央部に位置させている。又、踏台1における筒状スペーサー8が位置する部分には、進入体5を上下動させ得る穴11が形成されている。
【0065】
ピストン2の可動体25には、上ロッド26と下ロッド27が取付けられている。上ロッド26はピストン筒体21の天板を貫通してその上方に所定長さだけ突出させており、下ロッド27はピストン筒体21の底板を貫通してその下方に所定長さだけ突出させている。そして、可動体25がピストン筒体21内で上下動するのに伴って、上ロッド26及び下ロッド27がそれぞれ筒体21の上方又は下方に出没するようになっている。
【0066】
この第1実施例では、ピストン2として油圧ジャッキを採用している関係で、可動体25を上下動させる圧力手段3に油圧ポンプ31(レバーによる手動式のもの)を使用している。
【0067】
油圧ポンプ31と油圧ジャッキ2とは、2本のホース32,33で接続されている。尚、図2に示すように、油圧ポンプ31の供給側ポート31aは油圧ジャッキ2の可動体押し下げ側ポート21aに接続され、油圧ポンプ31の還流側ポート31bは油圧ジャッキ2の可動体押し上げ側ポート21bに接続されている。
【0068】
圧力計測手段4は、この第1実施例では圧力手段3に油圧ポンプ31を使用している関係で油圧計41が使用されている。この油圧計41は、油圧ポンプ31からの供給側ホース32に接続させている。
【0069】
進入体5は、図3に拡大図示するように、鋼棒製で直棒部51の下端に該直棒部51の直径Dよりやや大きい外径Eの大径部52を設けたものが使用されている。直棒部51は、例えば直径Dが5〜50mm程度の範囲で長さが120〜200mm程度の範囲のものが使用可能であるが、図示例では、直棒部51として直径Dが10〜13mm程度で長さが150〜160mm程度のものを使用している。又、直棒部下端の大径部52は、小高さで外径Eが直棒部直径Dより3〜5mm程度大きい形状に形成されている。
【0070】
進入体5は、大径部52の外径Eが異なるものを複数種類用意しておき(その場合でも、大径部外径Eは直棒部51の直径Dより大きい)、計測すべき地盤の支持力によって大径部外径Eの異なる進入体5を使い分けるようにしてもよい。又、他の実施例では、進入体5として下端に大径部52の無い直棒部51だけのものも使用可能であるが、その場合は直棒部51の太さが異なるものを複数種類用意しておくとよい。
【0071】
この第1実施例では、進入体5はピストン可動体25の下ロッド27下端に下向きに突出する状態で連結されている。従って、この第1実施例では、ピストン可動体25の上下動量がそのまま進入体5の上下動量になる。
【0072】
進入体5の連結方法としては、この第1実施例では、進入体直棒部51の上端部に雄ネジ53を形成し、下ロッド27の下端部に雌ネジ28を形成して、進入体5を下ロッド27に対して着脱自在に螺合させ得るようにしている。又、進入体5の連結状態では、ピストン(油圧ジャッキ)2の可動体25が最上動位置にあるときに、進入体5の下端(大径部52)が踏台1の下面より若干上方に位置するようになっている。尚、図2の状態では、進入体5の下端面が踏台1の下面と同高さにある状態で表示しているが、図2の状態から可動体25が若干上動し得る余裕を有している。
【0073】
進入量計測手段6は、進入体5の地盤G中への進入量を計測するもので、この第1実施例では、固定側となるピストン筒体21に設けた目盛板61と可動側となる可動体25の上ロッド26に設けた指針62とで構成されている。目盛板61はピストン筒体21の上面に上向きに立設固定されており、指針62は上ロッド26の上端に取付けられている。そして、この進入量計測手段6は、進入体5の大径部52下面が踏台1下面と同高さに位置する状態で、指針62が目盛板61の「0」点位置を指示するように設定している。従って、この進入量計測手段6では、ピストン可動体25が下動し、進入体5が図2に鎖線図示(符号5′)するように地中に進入したときの進入長さだけ指針62が下動し(図2に符号62′)、そのときの指針62が示す目盛板61の目盛量を読み取ることで進入体5の地中進入量を計測できるようになっている。
【0074】
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、地盤G中に進入させる進入体5が細棒状であるので、圧力手段3(油圧ポンプ31)やピストン(油圧ジャッキ)2等を低能力で小型のものを採用できる。従って、装置全体を人力で持ち運びし得る程度まで小型軽量化することができ、しかも製作コストが安価となる。
【0075】
ところで、この第1実施例の地盤支持力試験装置を使用するのに当たり、圧力手段3(油圧ポンプ31)の複数の圧力量と進入体5の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段4(油圧計41)で計測された実際の圧力計測量と進入量計測手段6(目盛板61と指針62)で計測された実際の進入計測量とで、地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておく。
【0076】
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、次のようにして使用される。まず、地盤支持力試験箇所の地表面を平坦(水平)に均し、その地表面を箒等で掃除して実質的な地盤Gを露出させる。そして、図2に示すように、その地盤G上に装置の踏台1を水平に設置する。このとき水準器9で踏台1の水平状態を確認する。尚、この状態では、進入体5の下端(大径部52)が接地していても地面から離間していてもよい。
【0077】
次に、作業員(一人でよい)が踏台1上に載り(図1に示すように両足F,Fを、ピストン2を跨ぐ位置に置く)、踏台1上に荷重(体重)をかけた状態で、他の作業員が圧力手段3(油圧ポンプ31)を可動体押し下げ側に操作する。すると、作動油圧力により油圧ジャッキ2の可動体25に押し下げ力が作用し、進入体5が地盤Gの抵抗を受けながら地中に進入していく。このとき進入体5に反力(進入抵抗)が発生してピストン筒体21や踏台1を持ち上げるような作用が働くが、進入体5は細棒状であるので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、試験時には踏台1上に人が載って行われるので、進入体5が地中進入時に発生する踏台浮き上げ作用を人の体重で十分阻止できる。
【0078】
又、この実施例では、進入体5として直棒部51の下端に大径部52を設けたものを使用しているが、進入体大径部52が地中に進入していくと、図4に示すように、進入体5の周囲の地盤G中に進入体大径部52の外径(図3の寸法E)とほぼ同径の穴Gaがあけられる。この穴Gaは、進入体5の直棒部51の直径D(図3)より大きいので、進入体5の地中進入時に進入体直棒部51と地盤土壌との間に摩擦抵抗が発生しない。従って、計測データが地盤の状況(土質や含水量)に影響されにくくなる。
【0079】
ところで、試験場所の地盤支持力を求めるのに2通りあるが、その1つは油圧計41に表示される圧力が所定値に達したときの進入量計測手段6(目盛板61と指針62)による実際の進入体進入量を読み取る方法であり、もう1つは進入量計測手段6に現れる進入量が所定値に達したときの油圧計41の圧力を読み取る方法である。そして、その何れかの方法で計測した圧力計測量(油圧計41)と進入計測量(進入量計測手段6)とにより、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求めることができる。当該試験位置での地盤支持力を算出すると、油圧ポンプ31を逆作動させて進入体5を地盤G中から抜き取ればよい。
【0080】
この第1実施例の地盤支持力試験装置では、上記の作業で1箇所の地盤支持力試験が完了するので、作業が極めて簡単であり且つ短時間で行える。又、当該試験位置での地盤支持力試験が完了すると、装置全体を次の試験場所まで持ち運んで上記と同様の試験作業を行うが、この地盤支持力試験装置は人力で持ち運べるので、場所移動が容易で且つ短時間で行える。
【0081】
図5〜図6の第2実施例
この第2実施例の地盤支持力試験装置は、上記第1実施例における踏台1の変形例を示したものである。
【0082】
この第2実施例では、図5及び図6に示すように、踏台1として2枚の分割板材1a,1aを使用し、該各分割板材1a,1aをピストン筒体21の下部に固定した筒状スペーサー8の下部に着脱自在に合体させ得るようにしている。
【0083】
ピストン筒体21の下部に固定した筒状スペーサー8の下端部には、前後水平方向に小長さ(例えば5〜6cm)ずつ突出する張出し板81,81が設けられている。この各張出し板81,81上には、上向きで小高さのボルト82が2本ずつ取付けられている。尚、他の実施例では、各張出し板81,81は小幅の環状フランジでもよい。
【0084】
各分割板材1a,1aは、長辺長さが40〜50cmで短辺長さが10〜15cm程度の細長い形状で、長辺側の中間位置に筒状スペーサー8の外側面を嵌入させる円弧状の切欠部を設けている。各分割板材1a,1aの左右各端部寄り下面には、それぞれ筒状スペーサー8の張出し板81,81の厚さとほぼ同厚さの接地板12,12が取付けられている。又、各分割板材1a,1aの中間部位置には、上記張出し板81上に立設した各ボルト82,82をそれぞれ挿通させる2つの小孔13,13が形成されている。尚、各ボルト82,82・・には、それぞれナット14が螺合される。
【0085】
この第2実施例におけるその他の構成(油圧ジャッキ2、油圧ポンプ31等)は、上記第1実施例と同じものが使用されており、それらの説明は第1実施例に記載したものを援用する。
【0086】
この第2実施例の地盤支持力試験装置では、保管時又は運搬時には各分割板材1a,1aを図5に実線図示するようにピストン2(筒状スペーサー8)から分離しておき、現場での試験時に各分割板材1a,1aを各張出し板81,81に対して次のように合体させる。即ち、各分割板材1a,1aの各張出し板81,81への合体は、まず図5に鎖線図示するように、各分割板材1a,1aを筒状スペーサー8の前後から該筒状スペーサー8を挟みつけるように配置し、各分割板材1a,1aのそれぞれ2つの小孔13,13を各張出し板81,81のそれぞれ2つのボルト82,82に嵌合させた後、各分割板材1a,1aの上から各ボルト82,82にそれぞれナット14,14を螺合・緊締させることで完了する(両分割板材1a,1aからなる踏台1が完成する)。
【0087】
図5の鎖線図示又は図6に示す踏台1の合体状態では、各分割板材1a,1aが筒状スペーサー8の各張出し板81,81上にナット14,14・・で固定されているので、強固に一体化されている。又、各分割板材1a,1aの合体状態で試験地盤上に設置すると、該各分割板材1a,1a下面の4つの接地板12,12・・がそれぞれ地盤上面に接地し、この試験装置全体を安定姿勢(グラつかない姿勢)で自立させることができる。
【0088】
そして、地盤支持力試験を行うには、合体させた踏台1上に、ピストン2を跨ぐようにして両足F,Fを載せる。尚、この第2実施例における地盤支持力試験の方法は、上記第1実施例の場合と同様であるので、その説明を援用する。
【0089】
この第2実施例の地盤支持力試験装置では、踏台1を装置本体(筒状スペーサー8)に対して着脱自在に取付け得るようにしているので、保管時又は運搬時に踏台1を装置本体から分離させておくとコンパクトに取り扱える。
【0090】
尚、この第2実施例の変形例(他の実施例)として、次のようにすることができる。
【0091】
第1に、踏台1は、各張出し板81,81の下面側で着脱自在に取付けてもよい。この場合は、踏台1として分割していない一体物の板材を使用してもよい。
【0092】
第2に、各分割板材1a,1aに代えてフレーム(角材)状のものを使用でき、2本の各フレームを各張出し板81,81の上面又は下面に着脱自在に固定(ナット締め等)したものでもよい。
【0093】
第3に、各分割板材1a,1aは、各張出し板81,81上に単に載せるだけでもよい(ボルト・ナット不使用)。尚、この場合でも、各分割板材1a,1aに跨がって両足を載せると、体重でピストン筒体21の浮き上がりを防止できるが、安定性の点で各張出し板81,81と各分割板材1a,1aを固着させておくことが好ましい。
【0094】
図7〜図9の第3実施例
この第3実施例の地盤支持力試験装置は、図7及び図8に示すように、踏台1上にピストン2(筒体21内で可動体25が上下動し得るもの)を立設固定し、可動体25を押し下げる圧力手段3としてコイルバネ34を使用しているとともに、該コイルバネ34を圧縮させる圧縮部材35を備え、さらに圧力計測手段4としてコイルバネ34の圧縮量を計測する目盛板42と2つの指針43,44を設け、ピストン可動体25の下面に直接進入体5を取付けて構成されている。
【0095】
ピストン2の筒体21は、一体物で第1実施例における油圧ジャッキ2の筒体と筒状スペーサー8との合計長さを有している。そして、可動体25は、このピストン筒体21内に上下動自在に収容している。
【0096】
圧力手段3となるコイルバネ34は、人力で圧縮させ得るもので比較的弾発力の強いものが使用されている。
【0097】
コイルバネ圧縮用の圧縮部材35は、筒体21内に収容された押板36と、該押板36上面から筒体21の上方に突出するロッド37と、該ロッド37の上端に設けた押し下げ用のハンドル38とを有している。
【0098】
そして、コイルバネ34は、ピストン筒体21内において圧縮部材35の押板36とピストン可動体25との間に介設されている。又、このコイルバネ34の上端部は押板36の下面にフックで係止されており、他方コイルバネ34の下端部は可動体25の上面にフックで係止されていて、可動体25がコイルバネ34を介して押板36に吊り持ちされている。
【0099】
ピストン可動体25の下面には、進入体5が下向き姿勢で取付けられている。この第3実施例の進入体5も第1実施例のもの(図3)と同様に、直棒部51の下端に大径部52を有し、直棒部51の上端部に雄ネジ53を設けている。そして、この進入体5は、上端部の雄ネジ53を可動体25の下面中央部に着脱自在に螺合している。
【0100】
尚、圧縮部材35を最上方位置まで持ち上げた状態では、進入体5の下端面が踏台1の下面より突出しない(若干高さだけ上方位置にある)ようにしている。又、圧縮部材35は、最上方位置において例えばロックピンでロックすることにより、可動体25及び進入体5が不用意に下動しないようにすることができる。
【0101】
ピストン筒体21の側面には、縦長でスリット状のガイド穴22が形成されている。他方、圧縮部材35の押板36にはガイド穴22から突出する突出部39が設けられており、ピストン可動体25にも該ガイド穴22から突出する突出部29が設けられている。尚、押板36の突出部39は該押板36とともに上下動し、可動体25の突出部29は該可動体25とともに上下動する。
【0102】
ピストン筒体21の外面におけるガイド穴22の近傍には、図7に示すように、圧力計測手段4の一部となる目盛板42と、進入量計測手段6の一部となる目盛板61とが取付けられている。
【0103】
圧力計測手段4は、この第3実施例では、コイルバネ34の圧縮量を読み取ることで可動体25(進入体5)に対する圧力(押し下げ力)を計測するもので、上記目盛板42と、押板36の突出部39に設けた指針43と、可動体25の突出部29に設けた指針44とで構成されている。そして、この第3実施例で使用される圧力計測手段4は、上記2つの指針43,44間の間隔を目盛板42で読み取ることにより、コイルバネ34の圧縮量を確認できる。
【0104】
進入量計測手段6は、この第3実施例では、可動体25の下動量を読み取ることで進入体5の地中進入量を計測するもので、上記目盛板61と可動体25の突出部29に設けた指針62とで構成されている。尚、指針62は、進入体5の大径部52下面が踏台1の下面と同高さにあるときに目盛板61の「0」点位置を指示するように設定されている。
【0105】
尚、第3実施例におけるその他の構成は、上記第1実施例のものと同様である。
【0106】
そして、この第3実施例の地盤支持力試験装置でも、圧力手段3(コイルバネ34)の複数の圧縮量と進入体5の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段4(目盛板42と両指針43,44)で計測された実際の圧力計測量(コイルバネ圧縮量)と進入量計測手段6(目盛板61と指針62)で計測された実際の進入計測量とで、地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておく。
【0107】
この第3実施例の地盤支持力試験装置では、圧力手段3としてピストン筒体21内に収容したコイルバネ34を採用しているので、第1実施例の油圧ポンプ31が不要になるとともに、ピストン2に油圧ジャッキを使用しなくてもよい。従って、装置全体が一層コンパクトになるとともに、一層安価に製作できる。
【0108】
この第3実施例の地盤支持力試験装置を使用するには、地盤支持力試験箇所の地盤G上に踏台1を水平姿勢状態で設置する。このとき圧縮部材35が上下自由状態であると、図8に示すように進入体5の大径部52下面が地面G上に軽く接地している一方、圧縮部材35の重量がコイルバネ34に加わっているものの、コイルバネ34の圧縮量はほぼ「0」である。そして、この状態での押板側指針43と可動体側指針62との間隔を目盛板42で読み取って、それをコイルバネ初期状態(圧縮量「0」状態)とする。尚、このとき進入量計測手段6の指針62は、目盛板61に対して「0」点位置を指示している。
【0109】
そして、作業員(一人でよい)が踏台1上に載り、その作業員が圧縮部材35のハンドル38を押し下げ操作すると、押板36が下動するのに伴ってコイルバネ34が圧縮されていき、そのときのコイルバネ弾発力が可動体25上面に作用して、進入体5を地中に進入させていく(図9参照)。そして、図9に示すように、ハンドル38を適宜の位置まで押し下げたときの、コイルバネ34の圧縮量を圧力計測手段4から読み取る(図9における押板側指針43と可動体側指針44との間隔を図7の目盛板42で読み取る)一方、進入体5の地中進入量を進入量計測手段6から読み取って(指針62の位置を図7の目盛板61で読み取る)、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求める。尚、この第3実施例の地盤支持力試験装置では、コイルバネ34の圧縮量及び進入体5の地中進入量の各計測を、圧縮部材35の押し下げ作業員とは別の作業員が行う。
【0110】
この第3実施例の場合も、進入体5の下端に大径部52を設けているので、進入体5が地中に進入するときに、図9に示すように地盤G中に大径部52の外径とほぼ同径の穴Gaがあけられるので、進入体直棒部51と地盤土壌との間に摩擦抵抗が発生しない。従って、計測データが地盤の状況(地質や含水量)に影響されにくくなる。
【0111】
そして、各データを読み取った後、圧縮部材35を最上位置(図8)まで持ち上げると、コイルバネ34及び可動体25が引き上げられて、進入体5を地中から抜き上げることができ、その装置全体を次の試験場所まで持ち運んで上記と同様の試験作業を行う。尚、この第3実施例の地盤支持力試験装置では、第1実施例のように油圧ポンプを使用しないので、装置全体が一層コンパクトになっており、場所移動が一層簡単になる。
【0112】
図10〜図11の第4実施例
この第4実施例の地盤支持力試験装置は、上記第3実施例における圧縮部材35部分の変形例を示している。
【0113】
即ち、この第4実施例の地盤支持力試験装置では、圧縮部材35のロッド部分に雄ネジ棒40を使用する一方、ピストン筒体21の上面に雌ネジ体28を取付けて、雄ネジ棒40を雌ネジ体28に螺合させている。
【0114】
又、雄ネジ棒40の下端は、押板36の上面に対して回転自在に(例えばスラストベアリング10を介して)連結されている。
【0115】
尚、第4実施例におけるその他の構成は、上記第3実施例(図7〜図9)のものと同様であり、該第3実施例の説明を援用する。
【0116】
この第4実施例の地盤支持力試験装置では、図10に示すように試験位置にセットし、踏台1上に人が載って、ハンドル38を雄ネジ棒40の螺入方向に回転させることで、押板36を順次押し下げてコイルバネ34を圧縮させることができる。そして、コイルバネ34が圧縮されると該コイルバネ34に弾発力が発生し、その弾発力により可動体25を押し下げて進入体5を地中に進入させていく(図11参照)。
【0117】
そして、例えば図11の示すように、圧縮部材35を所定量だけ下動させた時点で、ハンドル38から手を離し、そのときのコイルバネ34の圧縮量を圧力計測手段4から読み取る(押板側指針43と可動体側指針44との間隔を図7の目盛板42で読み取る)一方、進入体5の地中進入量を進入量計測手段6から読み取って(指針62の位置を図7の目盛板61で読み取る)、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求める。
【0118】
この第4実施例のものでは、圧縮部材35が雄ネジ棒40の螺入・螺解によって上下動するようになっているので、途中でハンドル38から手を離しても各部材がそのままの位置で位置保持される。そして、例えば図11に示す押し下げ終了段階でハンドル38から手を離し、その圧縮部材35の操作員自身が各種計測データを読み取ることができる。従って、この第4実施例のものでは、上記第3実施例の場合より地盤支持力試験のための作業員を削減することができる。
【0119】
尚、この第4実施例におけるその他の機能は、第3実施例のものとほぼ同様であるので、第3実施例での説明を援用する。
【0120】
図12〜図14の第5実施例
この第5実施例の地盤支持力試験装置では、上記第1〜第4実施例の踏板1に代えて椅子7を使用している。
【0121】
この椅子7は、図12に示すように、人Mが座れる程度の面積を有した座部71の下面に3本の脚72,72,72を取付けている。座部71の高さは、人Mが座部71上に座った状態で両足F,Fが地面上に届く程度のものである。各脚72,72,72の下端には、それぞれ沈み込み防止用の接地板73,73,73を取付けている。尚、各脚72,72,72は、半径方向内方に折畳み得る構造のものが採用でき、持ち運び時に各脚72,72,72を中心方向に折畳むことによってコンパクトにし得るようにするとよい。
【0122】
椅子7の座部71の外周寄り部分には、後述する目盛付きテープ64を座部上面に迂回させるための2つの長穴74,74(図13、図14)が形成されている。
【0123】
座部71の下面中央部には、ピストン2が下向き姿勢で固定されている。この第5実施例では、ピストン2としてエアージャッキ(他の実施例では油圧ジャッキでも可)が使用されている。このエアージャッキ2は、図14に示すように、筒体21内にエアー圧で押し下げられる可動体25を有し、該可動体25の下面に下ロッド27を下向きに取付けている。尚、下ロッド27の下端は、筒体21の下面から所定長さだけ突出している。
【0124】
ピストン2の下ロッド27の下端部には、細棒状の進入体5が下向きに連結されている。この進入体5は、第1実施例(図1〜図4)と同様に、直棒部51の下端部に大径部52を設けたものが使用されている。尚、この進入体5の下ロッド27に対する連結構造は、第1実施例(図1〜図4)と同様にネジによる螺合を採用できる。
【0125】
圧力手段3としては、手押し式のエアーポンプ31Aが採用されている。このエアーポンプ31Aは、ハンドル38Aを人力で押下げることで圧縮エアーを吐出させることができる。
【0126】
エアーポンプ31Aのエアー吐出口とエアージャッキ2のエアー導入口とはホース32で接続されていて、エアーポンプ31Aを作動させると圧縮エアーがホース32を介してエアージャッキ2の伸長側室に導入されるようになっている。
【0127】
尚、ピストン2に油圧ジャッキを使用した場合には、エアーポンプ31Aに代えて油圧ポンプ(例えば図1の足踏み式のもの)が採用される。又、足踏み式の流体圧ポンプを使用した場合には、該流体圧ポンプの踏み板を椅子座部に座った人の足元に位置させて、人が椅子座部に座ったままで流体圧ポンプを作動させ得るようにする。
【0128】
圧力計測手段4としては、エアージャッキ2内のエアー圧を計測する圧力計41が採用されている。この圧力計41は、この実施例ではエアーポンプ31Aの近傍に設置されていて、該エアーポンプ31Aを操作する状態で該圧力計41を見ることができるようになっている。尚、足踏み式の流体圧ポンプを使用した場合にも、圧力計41を椅子座部に座った人が見ることができる位置に設ける。
【0129】
この第5実施例では、進入体5の地盤G中への進入量を計測するための進入量計測手段6として、柔軟性のある目盛付きテープ64を使用している。この目盛付きテープ64は、その一端部64aをピストン2の下ロッド27に取付けた取付台27aに固定し、他端側を椅子座部71の下面側から座部71の外周寄り部分に設けた2つの長穴74,74を通して座部上面に所定長さ範囲(例えば2〜5cm長さ)だけ露出させた後に座部下方に垂れ下げて設置している。目盛付きテープ64の垂れ下げ側端部64bには重り66を取付けて、該目盛付きテープ64を常時緊張状態に維持させている。この場合は、目盛付きテープ64における椅子座部71の外周寄り上面に露出している部分が進入体5の進入計測量の表示部63となる。
【0130】
尚、目盛付きテープ64の表示部63には、指針65(図13)が設けられている。そして、この表示部63は、椅子7を地面上に置いた状態で進入体5の下端(大径部52下面)が地面に接した時点の表示値を起点(「0」点)とする。
【0131】
椅子座部71の上面には、上記表示部63の近傍に水準器9を設けている。この水準器9は、椅子7を地面上に設置したときに、座部71が水平(ピストン2が鉛直)になっているかどうかを確認するするものである。
【0132】
この第5実施例の地盤支持力試験装置は、次のように使用される。まず、地盤支持力試験箇所の地面G上に椅子7を置く(座部71を水平にする)が、該椅子7を地面G上に置いた状態では、進入体5の下端(大径部52下面)が地面から若干高さだけ離間していてもよい。
【0133】
次に、作業員Mがエアーポンプ31Aを手に持って椅子座部71に座るが、図12及び図13に示すように進入量計測手段6の表示部63が股の間に位置するように座る。そして、エアーポンプ31Aを図12に鎖線図示(符号31A′)するように、股の間で座部71の上面に縦向き姿勢で載せると作業の準備が完了する。
【0134】
この作業準備完了状態では、椅子7に座っている作業員Mが、エアーポンプ31Aを操作(ハンドル38Aの操作)でき、圧力計41及び進入量計測手段6の表示部63をそれぞれ目視できる状態にある。
【0135】
次に、エアーポンプ31Aを操作してエアーをピストン2に供給すると、可動体25、下ロッド27、進入体5が下動して、該進入体5の下端(大径部52)が地面上に接地するが、この時点の目盛付きテープ64の目盛を起点(「0点」)として記録する。
【0136】
続いて、エアーポンプ31Aを操作すると、エアー圧により可動体25に押し下げ力が作用し、進入体5が地盤Gの抵抗を受けながら地中に進入していく。このとき進入体5に反力(進入抵抗)が発生してピストン筒体21や椅子座部71を持ち上げるような作用が働くが、椅子座部71に人Mが座っているので、進入体5が地中進入時に発生する椅子座部71の浮き上げ作用を人の体重で十分阻止できる。
【0137】
進入体5が地盤G中に進入していく(例えば図14に鎖線図示する符号5′の状態)と、目盛付きテープ64の取付台固定側端部64aが下方に引っ張られて、表示部63の指針65に対応する目盛付きテープ64の目盛(進入計測量)が変化するとともに、圧力計41の圧力計測量も変化するが、これらの計測量(目盛付きテープ64及び圧力計41)は、椅子座部71に座っている作業員一人で読み取ることができる。
【0138】
そして、圧力計測量(圧力計41)が所定値に達したとき、あるいは進入計測量(目盛付きテープ64の目盛)が所定値に達したときに、その時点での圧力計測量と進入計測量(起点からの変位量)とにより、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求めることができる。
【0139】
この第5実施例の地盤支持力試験装置を使用すると、地盤支持力試験の各作業(エアーポンプ31Aの操作、圧力計41及び目盛付きテープ64の各読み取り)を一人の作業員で行うことができ、人件費コストを低減できる。
【0140】
尚、この第5実施例の地盤支持力試験装置におけるその他の基本的機能は、上記の各実施例のものと同様であるので、その説明を援用する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本願第1実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1〜図2の地盤支持力試験装置に使用されている進入体の拡大図である。
【図4】図2の地盤支持力試験装置における作動状態の一部拡大図である。
【図5】本願第2実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図6】図5の地盤支持力試験装置における踏台組付け状態の平面図である。
【図7】本願第3実施例の地盤支持力試験装置の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】図8からの作動変化図である。
【図10】本願第4実施例の地盤支持力試験装置の図8相当断面図である。
【図11】図10からの作動変化図である。
【図12】本願第5実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面図である。
【図15】従来の平板載荷試験装置の概略図である。
【符号の説明】
【0142】
1は踏台、2はピストン、3は圧力手段、4は圧力計測手段、5は進入体、6は進入量計測手段、7は椅子、21はピストン筒体、25はピストン可動体、31は油圧ポンプ、31Aはエアーポンプ、34はコイルバネ、35は圧縮部材、41は圧力計、42は目盛板、43,44は指針、51は直棒部、52は大径部、61は目盛板、62は指針、63は表示部、64は目盛付きテープ、65は指針、71は座部である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば建物や擁壁等の構造物を建設したり道路を舗装したりする際の、地盤の支持力を計測するための地盤支持力試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば建物や擁壁等の構造物を建設したり道路を舗装したりする際には、予め当該建設予定地の地盤の支持力を計測しておくことが好ましい。
【0003】
この種の地盤支持力を計測するための装置の代表例として、例えば図15に示すような平板載荷試験装置がある。この図15に示す公知の平板載荷試験装置は、直径が30cm程度の載荷板101と、該載荷板101を押し下げる油圧ジャッキ102(載荷板101に一体化されている)と、該ジャッキ用の油圧ポンプ103と、該油圧ポンプ103の出力を計測する圧力計104と、載荷板101の沈下量を計測する沈下量計測器(一般に4個のダイヤルゲージが使用される)106とを備えている。尚、この種の平板載荷試験装置の公知例としては、例えば特開2002−296159号公報(特許文献1)に示されるものがある。
【0004】
この図15に示す公知の平板載荷試験装置は、次のようにして使用される。即ち、地盤支持力を計測すべき箇所において、地盤G上に油圧ジャッキ102付きの載荷板101を載せ、油圧ジャッキ102の上に大重量の荷重体110(例えば重機のような大重量でジャッキ反力を受け得るもの)を配置した状態で、油圧ポンプ103により油圧ジャッキ102を伸長させる。このとき、油圧ポンプ103の出力(油圧ジャッキ102の伸長力)を試験目的に応じて所定圧力まで高め(精密試験では、計画最大荷重を複数段階に等分して行う段階式載荷を行う場合が多い)、その所定圧力を所定時間(例えば30分間)維持させる。尚、油圧ジャッキ102により載荷板101を押し下げると該載荷板101が地表面から沈下し、そのとき油圧ジャッキ102の押し下げ力(伸長側圧力)が低下するが、所定の試験時間は圧力計104を見ながら増圧し、常時所定圧力に維持させておく。そして、所定の試験時間経過後における載荷板101の沈下量を沈下量計測器106で計測し、その計測した沈下量によって地盤支持力を算出する。尚、地盤支持力の算出は、圧力計104で計測される油圧ジャッキ102の圧力を沈下量計測器106で計測される載荷板101の沈下量で除算することによって求められる。
【0005】
尚、段階式載荷試験では、1箇所につき、第1段階荷重による試験が終了した後、順次同様に第2段階荷重〜最大計画荷重までの複数回に分けて試験を行う(この場合は、1箇所につき、1回約30分×試験回数だけの時間がかかる)。又、地盤支持力を計測すべき現場が、大面積である場合や長い距離である場合には、適宜の面積範囲(又は長さ範囲)に分けて複数箇所をそれぞれ計測する。
【0006】
【特許文献1】特開2002−296159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した従来の平板載荷試験装置では、地盤支持力を比較的精密に計測できるものの、次のような問題点を有していた。
【0008】
(1) 比較的大面積(直径が30cm程度)の載荷板101を地盤中に沈下させる必要があるために、試験装置として大掛かりなもの(例えば高出力の油圧ジャッキ関連装置)が使用されるので、設備コストが高くなる。
【0009】
(2) 試験装置が大掛かりであると、試験箇所を変更する度に試験装置全体(大重量荷重体となる重機を含む)の移動が大掛かりとなり且つセッティングも繁雑になるとともに、それらに長時間を要するので時間コストが高くなる。
【0010】
(3) 油圧ジャッキの反力受けとして大重量荷重体(例えば重機)を使用する場合が一般的であるが、地盤支持力試験箇所が狭隘な場所では重機(大重量荷重体)の搬入が困難になることがある。
【0011】
(4) 1箇所当たりの試験時間が長くかかるので、地盤支持力試験のための人件費コストが高くつくとともに、試験のための工期が長くなる。
【0012】
尚、工事現場の地質は多種多様であり、広い面積や距離の長い工事場所等で試験箇所数を少なくすると、試験しない箇所に地盤支持力が低い場所があることがあり、後日のトラブルの原因になることがある。又、比較的小規模工事では、上記のような大掛かりな平板載荷試験を行うほどの工事費が出ない場合が多々あり、現場の地盤支持力試験を行わないまま本体工事を実施することがあるが、その場合には安全性を損なうおそれがある。
【0013】
そこで、本願発明は、地盤支持力試験の精度は若干劣るものの、簡易に且つ安価でしかも短時間で地盤支持力を計測できるようにした地盤支持力試験装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、地盤の支持力を計測するための地盤支持力試験装置を対象にしている。
【0015】
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明の地盤支持力試験装置は、人が載り得る程度の大きさの踏台と、踏台上に該踏台に対して浮き上がり不能に設置される筒体内で可動体が上下動し得るようにしたピストンと、ピストンの可動体を押し下げる圧力手段と、圧力手段の圧力を計測する圧力計測手段と、ピストンの可動体に間接又は直接連結されていて可動体の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体と、進入体の地中進入量を計測する進入量計測手段とを備えて構成されている。
【0016】
踏台には、鉄鋼・硬質プラスチック・木材等の剛性のある(撓まない)板材やフレーム材が使用される。そして、板材製の踏台では、円形、楕円形、三角形、四角形等の適宜形状の面状に形成でき、フレーム材製の踏台では、四角枠や平行棒状に形成できる。この踏台の大きさは、直径(又は左右長さ)が40〜50cm程度あればよく、踏台上にピストンを立設した状態で、人の両足を載せ得るスペースがあればよい。尚、フレーム材で四角枠や平行棒状に形成した踏台でも、人の両足を載せ得る構造にする。踏台の上面には、踏台の水平度を検出する水準器を取付けておくとよい。
【0017】
この踏台は、ピストンの筒体に固定(スペーサーを介して間接固定したものも含む)したものでもよく、あるいはピストン筒体に対して着脱自在に合体させ得るようにしたものでもよい。又、踏台をピストン筒体に着脱自在に合体させ得るものでは、踏台とピストン筒体(又はピストン筒体に固定されたスペーサー)とを試験現場においてボルト・ナット等で固着させるようにしたものでもよく、あるいは踏台をピストン筒体の下端部フランジ上(筒体下端部にスペーサーを固定したものでは該スペーサーの下端部フランジ上)に単に載せるだけでもよい。
【0018】
ピストンは、適宜高さを有する筒体内で可動体が上下動し得るものであればよく、例えば油圧(又は水圧)ジャッキやエアージャッキや手動押圧式のものが使用可能である。ピストン筒体の立設位置は、踏台の中央部が好ましいが、踏台中央部から偏位した位置でもよい。踏台をピストン筒体の下面に設置したものでは、該踏台における筒体取付位置に進入体を上下に移動させ得る穴が形成される。
【0019】
圧力手段は、ピストンの可動体を圧力によって押し下げ得るものであればよい。例えば、ピストンが油圧ジャッキであれば圧力手段として油圧ポンプを使用し、ジャッキがエアージャッキであれば圧力手段としてエアーポンプを使用し、ピストンが手動押圧式のものでは圧力手段としてコイルバネを使用できる。
【0020】
圧力計測手段は、圧力手段の圧力を計測するもので、圧力手段が油圧ポンプやエアーポンプであれば圧力計測手段として圧力計が使用され、圧力手段がコイルバネであれば該コイルバネの圧縮量を計測する目盛板が使用できる。
【0021】
進入体は、鋼製の直棒状で、特に限定するものではないが直径が5〜50mm程度で、地盤中に進入する長さが100mm程度確保できるものであればよい(全長が150mm程度でよい)。この進入体は、ピストン可動体の下方に突出する状態で取付けられている。尚、この進入体は、太さの異なるものを複数種類用意しておき、計測すべき地盤の支持力によって太さの異なる進入体を使い分けるようにしてもよい。その場合、軟弱地盤ほど太い進入体を使用する。
【0022】
進入量計測手段は、進入体の地盤中への進入量を計測するもので、該進入体の地中進入量を外部から視認できる目盛板が使用可能である。
【0023】
そして、本願請求項1の地盤支持力試験装置は、地盤支持力試験箇所において、踏台上に人が載り、圧力手段により可動体を介して進入体を押し下げて、進入体を地盤中に進入させたときの圧力計測手段で計測した圧力計測量と進入量計測手段で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにしたものである。
【0024】
尚、本願の地盤支持力試験装置を使用するのに当たり、圧力手段の複数の圧力量と進入体の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段で計測された実際の圧力計測量と進入量計測手段で計測された実際の進入計測量から、データマップにより地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておくとよい。
【0025】
ところで、本願の地盤支持力試験装置の使用時において、圧力手段(油圧ポンプ、エアーポンプ、手動圧縮式のコイルバネ等)の圧力で進入体が地盤中に進入する際には、該進入体に反力(進入抵抗)が発生してピストンの筒体や踏台を持ち上げるような作用が働くが、本願の地盤支持力試験装置に使用されている進入体は直径が細い(5〜50mm)ので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、この地盤支持力試験装置の使用時には踏台上に人が載って行われるので、進入体が地中進入時に発生するピストン筒体や踏台に対する浮き上げ作用を人の体重で阻止できる。
【0026】
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明の地盤支持力試験装置は、上記請求項1における踏板を椅子に変更したものである。
【0027】
この請求項2の地盤支持力試験装置は、人が腰掛け状態で座れる椅子と、該椅子の座部の下面に下向きに固定された筒体内で可動体が上下動し得るようにしたピストンと、該ピストンの可動体を押し下げる圧力手段と、該圧力手段の圧力を計測する圧力計測手段と、ピストンの可動体に間接又は直接連結されていて該可動体の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体と、該進入体の地中進入量を計測する進入量計測手段とを備えて構成されている。
【0028】
椅子の座部は、人が座れる程度の大きさで、該座部に腰掛けた状態で足裏が地面にとどく程度の通常高さのものでよい。
【0029】
この請求項2の地盤支持力試験装置におけるピストン、圧力計測手段、進入体、進入量計測手段等は、それぞれ上記請求項1に記載したものを使用できる。尚、この請求項2の場合は、圧力手段として油圧ポンプやエアーポンプ等の流体圧ポンプを使用することが好ましい(ピストンが椅子の座部下面にあるので、圧力手段として手動圧縮式のコイルバネは不向きである)。
【0030】
そして、この請求項2の地盤支持力試験装置では、地盤支持力試験箇所において、椅子の座部上に人が座り、圧力手段により可動体を介して進入体を押し下げて、該進入体を地盤中に進入させたときの圧力計測手段で計測した圧力計測量と進入量計測手段で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにしたものである。
【0031】
この請求項2の地盤支持力試験装置では、圧力手段(油圧ポンプ、エアーポンプ等)の圧力で進入体が地盤中に進入する際には、該進入体に反力(進入抵抗)が発生してピストンの筒体や椅子の座部を持ち上げるような作用が働くが、本願の地盤支持力試験装置に使用されている進入体は直径が細い(5〜50mm)ので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、この地盤支持力試験装置の使用時には椅子座部に人が座って行われるので、進入体が地中進入時に発生するピストン筒体や椅子座部に対する浮き上げ作用を人の体重で阻止できる。
【0032】
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1の地盤支持力試験装置(踏板を使用したもの)において、圧力手段として、人力によって圧縮させるコイルバネの弾発力によって可動体を押し下げ得るものを使用している。
【0033】
この場合、ピストンの筒体内の可動体上部にコイルバネを配置させ、該コイルバネを筒体の上方から人力操作される圧縮部材で圧縮させることで、コイルバネの弾発力を可動体上面に作用させるものである。
【0034】
尚、この請求項3の場合、コイルバネによる圧力量は、圧縮部材の押し下げ量と可動体の下動量から算出できる。
【0035】
この請求項3のように、圧力手段として人力で圧縮させるコイルバネを使用したものでは、油圧ジャッキの場合に使用される油圧ポンプやその配管等が不要になる。
【0036】
本願請求項4の発明
本願請求項4の発明は、上記請求項2の地盤支持力試験装置(椅子を使用したもの)において、圧力手段は椅子の座部に座ったままで操作できる手動式の流体圧ポンプを使用し、且つ圧力計測手段となる圧力計を椅子の座部に座った人が目視できる場所に位置させることができるようにしている一方、進入量計測手段で計測した進入計測量の表示部を座部の上面における該座部に座った人が目視できる位置に設けている。
【0037】
この請求項4の地盤支持力試験装置に使用される流体圧ポンプとしては、油圧ポンプやエアーポンプ等の手押し式又は足踏み式のものが使用されるが、この流体圧ポンプは、椅子の座部に座っている人が操作できるものである。尚、この流体圧ポンプの流体吐出口とピストンの流体導入口とは、ホースで接続されている。
【0038】
圧力計測手段としては圧力計(ピストン内の流体圧を計測するもの)が用いられるが、この圧力計は椅子の座部に座った人が目視できる場所に位置させることができる。
【0039】
進入量計測手段としては、例えば柔軟性のある目盛付きテープを使用できる。そして、この目盛付きテープは、その一端部をピストンの可動部分(例えば可動体に連続する下ロッドや進入体)に固定し、他端側を椅子座部の下面側から座部の外周寄り上面に貫通させて該座部上面に所定長さ範囲(例えば2〜5cm長さ)だけ露出させた後に座部下方に垂れ下げて設置する。尚、目盛付きテープの垂れ下げ側の下端部には重りを取付けて、該目盛付きテープを常時緊張状態に維持させるとよい。この場合は、目盛付きテープにおける椅子座部の外周寄り上面に露出している部分が進入計測量の表示部となる。そして、椅子座部に座るときには、該表示部が股の間に位置するように座ることで、該表示部を椅子座部に座った状態で目視できる。
【0040】
この目盛付きテープを使用した進入量計測手段では、ピストンの可動部分が上下動することにより、目盛付きテープが押し引き移動され、表示部に露出している目盛変化を読み取ることで進入体の進入量を計測できるようになっている。
【0041】
この請求項4の地盤支持力試験装置では、椅子座部に座っている人が一人で、圧力手段(流体圧ポンプ)の操作と、圧力計測量(圧力計)の読み取りと、進入量計測手段による進入計測量の読み取りとを行うことができる。
【0042】
本願請求項5の発明
本願請求項5の発明は、上記請求項1から4のいずれか1項の地盤支持力試験装置において、進入体として、可動体に間接又は直接連結される直棒部の下端に該直棒部の太さよりやや大きい外径の大径部を設けたものを使用している。
【0043】
ところで、本願の地盤支持力試験装置は、細棒状の進入体を地盤中に進入させることで地盤支持力を計測し得るようにしたものであるが、進入体が全長に亘って同直径の棒状体であれば、進入体が地盤中に進入していくときに進入体(棒状体)の外側面も地盤土壌に接触することになる。このように進入体の地中進入時に進入体外側面が地盤土壌に接触すると、進入体外側面部分でも摩擦抵抗が生じるが、この進入体外側面部分で生じる摩擦抵抗は地盤の土質やそのときの含水量によって大きく変わり、地盤の状況(土質や含水量)によっては進入体に同じ圧力を加えても進入体の進入量にバラツキが生じることになる。
【0044】
そこで、本願請求項5の地盤支持力試験装置では、進入体として直棒部の下端に大径部を設けたものを使用することで、進入体の地中進入時に進入体下端部(大径部)で進入体直棒部の直径より大きい内径の穴を形成しながら進入させることができ、それによって進入体直棒部に地盤土壌との摩擦抵抗が発生しないようにしている。即ち、進入体の地中進入時には、進入体下端の大径部のみが抵抗を受ける。
【発明の効果】
【0045】
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の地盤支持力試験装置は、次のような効果を有している。
【0046】
(1) 地盤中に進入させる進入体として細棒状のものを使用しているので、該進入体を地盤中に圧入させるための圧力が小さくて済み、その分、装置全体をコンパクトで且つ安価に製作できる。
【0047】
(2) 進入体が細棒状であるために該進入体の地中進入時に発生する反力が小さいので、その反力受けとして人が載り得る程度の面積の踏台を用いることができる(実際の試験時には踏台上に人が載るだけでよい)。従って、従来(例えば図15)の平板載荷試験装置のように大重量の荷重体(例えば重機)が不要になり(該荷重体のセット作業も不要になる)、地盤支持力試験に際しての準備が簡単に且つ短時間で行える。
【0048】
(3) 踏台上に人が載り、圧力手段により進入体を押し下げることで、そのときの圧力計測量と進入体の進入計測量とから地盤支持力を算出し得るので、1箇所当たりの試験を短時間で行える(試験工期短縮と人件費削減を達成できる)。
【0049】
(4) 装置全体がコンパクトで且つ人力で持ち運び得る程度の重量・大きさであるので、試験場所でのセッティングや移動時の取り扱いが容易であり且つ短時間で行える。
【0050】
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明の地盤支持力試験装置では、上記請求項1の踏板に代えて人が腰掛け得る椅子を使用しているが、この請求項2の地盤支持力試験装置でも、人が椅子座部に座って地盤支持力試験を行えるので、上記請求項1と同様の効果を達成できる。
【0051】
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、請求項1の地盤支持力試験装置において、圧力手段として人力によって圧縮させるコイルバネの弾発力によって可動体を押し下げ得るものを使用している。
【0052】
従って、この請求項2の地盤支持力試験装置では、上記請求項1の効果に加えて、圧力手段を簡単且つコンパクトに構成できるとともに、油圧ポンプを使用したものに比して安価となるという効果がある。
【0053】
本願請求項4の発明の効果
本願請求項4の発明は、請求項2の地盤支持力試験装置において、圧力手段(流体圧ポンプ)の操作と、圧力計測手段(圧力計)による圧力計測量の読み取りと、進入量計測手段による進入計測量の読み取りとを、椅子の座部に座った一人の作業員で行える。
【0054】
従って、この請求項4の地盤支持力試験装置では、上記請求項2の効果に加えて、地盤支持力試験を一人の作業員で行えるので、上記請求項2の効果に加えて、人件費コストを一層低減できるという効果がある。
【0055】
本願請求項5の発明の効果
本願請求項の発明は、請求項1〜4の地盤支持力試験装置において、進入体として、可動体に連結される直棒部の下端に該直棒部の太さよりやや大きい外径の大径部を設けたものを使用している。
【0056】
この請求項5に使用される進入体では、地中進入時に、進入体直棒部が地盤土壌に接触しないので該直棒部に地盤土壌との摩擦抵抗が発生しない(進入体下端の大径部のみが進入抵抗を受ける)。このことは、計測されたデータの誤差範囲を小さくすることに寄与するものである。
【0057】
従って、この請求項5の地盤支持力試験装置では、上記請求項1〜4の効果に加えて、試験により算出された地盤支持力の精度(信頼性)を高めることができるという効果がある。
【実施例】
【0058】
以下、図1〜図14を参照して本願の地盤支持力試験装置のいくつかの実施例を説明すると、図1〜図4には第1実施例、図5〜図6には第2実施例、図7〜図9には第3実施例、図10〜図11には第4実施例、図12〜図14には第5実施例がそれぞれ示されている。
【0059】
図1〜図4の第1実施例
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、図1及び図2に示すように、人が載り得る程度の面積を有する踏台1と、踏台1上に取付けられたピストン2と、ピストン2の可動体25を押し下げる圧力手段3と、圧力手段3の圧力を計測する圧力計測手段4と、可動体25の下動によって地盤中に進入する細棒状の進入体4と、進入体5の地中進入量を計測する進入量計測手段6とを基本構造としている。
【0060】
踏台1は、この第1実施例では、鉄板・硬質プラスチック・木材等の剛性のある(撓まない)板材製で、円形に形成したものが使用されている。この踏台1の大きさは、直径が40〜50cm程度あればよく、踏台1上にピストン2を立設した状態で、人の両足F,F(図1)を載せ得るスペースがあればよい。又、踏台1の上面には、該踏台1の水平度を検出する水準器9を取付けている。
【0061】
尚、他の実施例では、踏台1の形状として、円形のほかに楕円形、三角形、四角形等の適宜の形状のものを使用できる。さらに他の実施例では、踏台1の材料としてフレーム材を使用し、該フレーム材を四角枠状に組付けたものや、単に平行棒状に配置したものも採用できる。
【0062】
ピストン2は、縦向き姿勢の筒体21内に可動体25を上下動し得る状態で配置したものであり、この第1実施例では油圧ジャッキが採用されている。尚、この第1実施例では、ピストン2を油圧ジャッキということがある。
【0063】
油圧ジャッキ2の有効ストロークは、可動体25を少なくとも10cm程度上下動させ得るものであればよいが、この第1実施例では、余裕をもって15cm程度のストロークをもつ油圧ジャッキを使用している。
【0064】
油圧ジャッキ(ピストン)2の筒体21は、踏台1の上面に対して適宜高さ(例えば15cm程度)の筒状スペーサー8を介して立設固定されている。又、踏台1と筒状スペーサー8、及び筒状スペーサー8とピストン2の筒体21は、それぞれ連結固定されていて、踏台1と筒状スペーサー8とピストン筒体21とが一体化されている。尚、この第1実施例では、ピストン2及び筒状スペーサー8は、踏台1の中央部に位置させている。又、踏台1における筒状スペーサー8が位置する部分には、進入体5を上下動させ得る穴11が形成されている。
【0065】
ピストン2の可動体25には、上ロッド26と下ロッド27が取付けられている。上ロッド26はピストン筒体21の天板を貫通してその上方に所定長さだけ突出させており、下ロッド27はピストン筒体21の底板を貫通してその下方に所定長さだけ突出させている。そして、可動体25がピストン筒体21内で上下動するのに伴って、上ロッド26及び下ロッド27がそれぞれ筒体21の上方又は下方に出没するようになっている。
【0066】
この第1実施例では、ピストン2として油圧ジャッキを採用している関係で、可動体25を上下動させる圧力手段3に油圧ポンプ31(レバーによる手動式のもの)を使用している。
【0067】
油圧ポンプ31と油圧ジャッキ2とは、2本のホース32,33で接続されている。尚、図2に示すように、油圧ポンプ31の供給側ポート31aは油圧ジャッキ2の可動体押し下げ側ポート21aに接続され、油圧ポンプ31の還流側ポート31bは油圧ジャッキ2の可動体押し上げ側ポート21bに接続されている。
【0068】
圧力計測手段4は、この第1実施例では圧力手段3に油圧ポンプ31を使用している関係で油圧計41が使用されている。この油圧計41は、油圧ポンプ31からの供給側ホース32に接続させている。
【0069】
進入体5は、図3に拡大図示するように、鋼棒製で直棒部51の下端に該直棒部51の直径Dよりやや大きい外径Eの大径部52を設けたものが使用されている。直棒部51は、例えば直径Dが5〜50mm程度の範囲で長さが120〜200mm程度の範囲のものが使用可能であるが、図示例では、直棒部51として直径Dが10〜13mm程度で長さが150〜160mm程度のものを使用している。又、直棒部下端の大径部52は、小高さで外径Eが直棒部直径Dより3〜5mm程度大きい形状に形成されている。
【0070】
進入体5は、大径部52の外径Eが異なるものを複数種類用意しておき(その場合でも、大径部外径Eは直棒部51の直径Dより大きい)、計測すべき地盤の支持力によって大径部外径Eの異なる進入体5を使い分けるようにしてもよい。又、他の実施例では、進入体5として下端に大径部52の無い直棒部51だけのものも使用可能であるが、その場合は直棒部51の太さが異なるものを複数種類用意しておくとよい。
【0071】
この第1実施例では、進入体5はピストン可動体25の下ロッド27下端に下向きに突出する状態で連結されている。従って、この第1実施例では、ピストン可動体25の上下動量がそのまま進入体5の上下動量になる。
【0072】
進入体5の連結方法としては、この第1実施例では、進入体直棒部51の上端部に雄ネジ53を形成し、下ロッド27の下端部に雌ネジ28を形成して、進入体5を下ロッド27に対して着脱自在に螺合させ得るようにしている。又、進入体5の連結状態では、ピストン(油圧ジャッキ)2の可動体25が最上動位置にあるときに、進入体5の下端(大径部52)が踏台1の下面より若干上方に位置するようになっている。尚、図2の状態では、進入体5の下端面が踏台1の下面と同高さにある状態で表示しているが、図2の状態から可動体25が若干上動し得る余裕を有している。
【0073】
進入量計測手段6は、進入体5の地盤G中への進入量を計測するもので、この第1実施例では、固定側となるピストン筒体21に設けた目盛板61と可動側となる可動体25の上ロッド26に設けた指針62とで構成されている。目盛板61はピストン筒体21の上面に上向きに立設固定されており、指針62は上ロッド26の上端に取付けられている。そして、この進入量計測手段6は、進入体5の大径部52下面が踏台1下面と同高さに位置する状態で、指針62が目盛板61の「0」点位置を指示するように設定している。従って、この進入量計測手段6では、ピストン可動体25が下動し、進入体5が図2に鎖線図示(符号5′)するように地中に進入したときの進入長さだけ指針62が下動し(図2に符号62′)、そのときの指針62が示す目盛板61の目盛量を読み取ることで進入体5の地中進入量を計測できるようになっている。
【0074】
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、地盤G中に進入させる進入体5が細棒状であるので、圧力手段3(油圧ポンプ31)やピストン(油圧ジャッキ)2等を低能力で小型のものを採用できる。従って、装置全体を人力で持ち運びし得る程度まで小型軽量化することができ、しかも製作コストが安価となる。
【0075】
ところで、この第1実施例の地盤支持力試験装置を使用するのに当たり、圧力手段3(油圧ポンプ31)の複数の圧力量と進入体5の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段4(油圧計41)で計測された実際の圧力計測量と進入量計測手段6(目盛板61と指針62)で計測された実際の進入計測量とで、地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておく。
【0076】
この第1実施例の地盤支持力試験装置は、次のようにして使用される。まず、地盤支持力試験箇所の地表面を平坦(水平)に均し、その地表面を箒等で掃除して実質的な地盤Gを露出させる。そして、図2に示すように、その地盤G上に装置の踏台1を水平に設置する。このとき水準器9で踏台1の水平状態を確認する。尚、この状態では、進入体5の下端(大径部52)が接地していても地面から離間していてもよい。
【0077】
次に、作業員(一人でよい)が踏台1上に載り(図1に示すように両足F,Fを、ピストン2を跨ぐ位置に置く)、踏台1上に荷重(体重)をかけた状態で、他の作業員が圧力手段3(油圧ポンプ31)を可動体押し下げ側に操作する。すると、作動油圧力により油圧ジャッキ2の可動体25に押し下げ力が作用し、進入体5が地盤Gの抵抗を受けながら地中に進入していく。このとき進入体5に反力(進入抵抗)が発生してピストン筒体21や踏台1を持ち上げるような作用が働くが、進入体5は細棒状であるので地中進入時の反力(進入抵抗)は比較的小さいものとなる。そして、試験時には踏台1上に人が載って行われるので、進入体5が地中進入時に発生する踏台浮き上げ作用を人の体重で十分阻止できる。
【0078】
又、この実施例では、進入体5として直棒部51の下端に大径部52を設けたものを使用しているが、進入体大径部52が地中に進入していくと、図4に示すように、進入体5の周囲の地盤G中に進入体大径部52の外径(図3の寸法E)とほぼ同径の穴Gaがあけられる。この穴Gaは、進入体5の直棒部51の直径D(図3)より大きいので、進入体5の地中進入時に進入体直棒部51と地盤土壌との間に摩擦抵抗が発生しない。従って、計測データが地盤の状況(土質や含水量)に影響されにくくなる。
【0079】
ところで、試験場所の地盤支持力を求めるのに2通りあるが、その1つは油圧計41に表示される圧力が所定値に達したときの進入量計測手段6(目盛板61と指針62)による実際の進入体進入量を読み取る方法であり、もう1つは進入量計測手段6に現れる進入量が所定値に達したときの油圧計41の圧力を読み取る方法である。そして、その何れかの方法で計測した圧力計測量(油圧計41)と進入計測量(進入量計測手段6)とにより、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求めることができる。当該試験位置での地盤支持力を算出すると、油圧ポンプ31を逆作動させて進入体5を地盤G中から抜き取ればよい。
【0080】
この第1実施例の地盤支持力試験装置では、上記の作業で1箇所の地盤支持力試験が完了するので、作業が極めて簡単であり且つ短時間で行える。又、当該試験位置での地盤支持力試験が完了すると、装置全体を次の試験場所まで持ち運んで上記と同様の試験作業を行うが、この地盤支持力試験装置は人力で持ち運べるので、場所移動が容易で且つ短時間で行える。
【0081】
図5〜図6の第2実施例
この第2実施例の地盤支持力試験装置は、上記第1実施例における踏台1の変形例を示したものである。
【0082】
この第2実施例では、図5及び図6に示すように、踏台1として2枚の分割板材1a,1aを使用し、該各分割板材1a,1aをピストン筒体21の下部に固定した筒状スペーサー8の下部に着脱自在に合体させ得るようにしている。
【0083】
ピストン筒体21の下部に固定した筒状スペーサー8の下端部には、前後水平方向に小長さ(例えば5〜6cm)ずつ突出する張出し板81,81が設けられている。この各張出し板81,81上には、上向きで小高さのボルト82が2本ずつ取付けられている。尚、他の実施例では、各張出し板81,81は小幅の環状フランジでもよい。
【0084】
各分割板材1a,1aは、長辺長さが40〜50cmで短辺長さが10〜15cm程度の細長い形状で、長辺側の中間位置に筒状スペーサー8の外側面を嵌入させる円弧状の切欠部を設けている。各分割板材1a,1aの左右各端部寄り下面には、それぞれ筒状スペーサー8の張出し板81,81の厚さとほぼ同厚さの接地板12,12が取付けられている。又、各分割板材1a,1aの中間部位置には、上記張出し板81上に立設した各ボルト82,82をそれぞれ挿通させる2つの小孔13,13が形成されている。尚、各ボルト82,82・・には、それぞれナット14が螺合される。
【0085】
この第2実施例におけるその他の構成(油圧ジャッキ2、油圧ポンプ31等)は、上記第1実施例と同じものが使用されており、それらの説明は第1実施例に記載したものを援用する。
【0086】
この第2実施例の地盤支持力試験装置では、保管時又は運搬時には各分割板材1a,1aを図5に実線図示するようにピストン2(筒状スペーサー8)から分離しておき、現場での試験時に各分割板材1a,1aを各張出し板81,81に対して次のように合体させる。即ち、各分割板材1a,1aの各張出し板81,81への合体は、まず図5に鎖線図示するように、各分割板材1a,1aを筒状スペーサー8の前後から該筒状スペーサー8を挟みつけるように配置し、各分割板材1a,1aのそれぞれ2つの小孔13,13を各張出し板81,81のそれぞれ2つのボルト82,82に嵌合させた後、各分割板材1a,1aの上から各ボルト82,82にそれぞれナット14,14を螺合・緊締させることで完了する(両分割板材1a,1aからなる踏台1が完成する)。
【0087】
図5の鎖線図示又は図6に示す踏台1の合体状態では、各分割板材1a,1aが筒状スペーサー8の各張出し板81,81上にナット14,14・・で固定されているので、強固に一体化されている。又、各分割板材1a,1aの合体状態で試験地盤上に設置すると、該各分割板材1a,1a下面の4つの接地板12,12・・がそれぞれ地盤上面に接地し、この試験装置全体を安定姿勢(グラつかない姿勢)で自立させることができる。
【0088】
そして、地盤支持力試験を行うには、合体させた踏台1上に、ピストン2を跨ぐようにして両足F,Fを載せる。尚、この第2実施例における地盤支持力試験の方法は、上記第1実施例の場合と同様であるので、その説明を援用する。
【0089】
この第2実施例の地盤支持力試験装置では、踏台1を装置本体(筒状スペーサー8)に対して着脱自在に取付け得るようにしているので、保管時又は運搬時に踏台1を装置本体から分離させておくとコンパクトに取り扱える。
【0090】
尚、この第2実施例の変形例(他の実施例)として、次のようにすることができる。
【0091】
第1に、踏台1は、各張出し板81,81の下面側で着脱自在に取付けてもよい。この場合は、踏台1として分割していない一体物の板材を使用してもよい。
【0092】
第2に、各分割板材1a,1aに代えてフレーム(角材)状のものを使用でき、2本の各フレームを各張出し板81,81の上面又は下面に着脱自在に固定(ナット締め等)したものでもよい。
【0093】
第3に、各分割板材1a,1aは、各張出し板81,81上に単に載せるだけでもよい(ボルト・ナット不使用)。尚、この場合でも、各分割板材1a,1aに跨がって両足を載せると、体重でピストン筒体21の浮き上がりを防止できるが、安定性の点で各張出し板81,81と各分割板材1a,1aを固着させておくことが好ましい。
【0094】
図7〜図9の第3実施例
この第3実施例の地盤支持力試験装置は、図7及び図8に示すように、踏台1上にピストン2(筒体21内で可動体25が上下動し得るもの)を立設固定し、可動体25を押し下げる圧力手段3としてコイルバネ34を使用しているとともに、該コイルバネ34を圧縮させる圧縮部材35を備え、さらに圧力計測手段4としてコイルバネ34の圧縮量を計測する目盛板42と2つの指針43,44を設け、ピストン可動体25の下面に直接進入体5を取付けて構成されている。
【0095】
ピストン2の筒体21は、一体物で第1実施例における油圧ジャッキ2の筒体と筒状スペーサー8との合計長さを有している。そして、可動体25は、このピストン筒体21内に上下動自在に収容している。
【0096】
圧力手段3となるコイルバネ34は、人力で圧縮させ得るもので比較的弾発力の強いものが使用されている。
【0097】
コイルバネ圧縮用の圧縮部材35は、筒体21内に収容された押板36と、該押板36上面から筒体21の上方に突出するロッド37と、該ロッド37の上端に設けた押し下げ用のハンドル38とを有している。
【0098】
そして、コイルバネ34は、ピストン筒体21内において圧縮部材35の押板36とピストン可動体25との間に介設されている。又、このコイルバネ34の上端部は押板36の下面にフックで係止されており、他方コイルバネ34の下端部は可動体25の上面にフックで係止されていて、可動体25がコイルバネ34を介して押板36に吊り持ちされている。
【0099】
ピストン可動体25の下面には、進入体5が下向き姿勢で取付けられている。この第3実施例の進入体5も第1実施例のもの(図3)と同様に、直棒部51の下端に大径部52を有し、直棒部51の上端部に雄ネジ53を設けている。そして、この進入体5は、上端部の雄ネジ53を可動体25の下面中央部に着脱自在に螺合している。
【0100】
尚、圧縮部材35を最上方位置まで持ち上げた状態では、進入体5の下端面が踏台1の下面より突出しない(若干高さだけ上方位置にある)ようにしている。又、圧縮部材35は、最上方位置において例えばロックピンでロックすることにより、可動体25及び進入体5が不用意に下動しないようにすることができる。
【0101】
ピストン筒体21の側面には、縦長でスリット状のガイド穴22が形成されている。他方、圧縮部材35の押板36にはガイド穴22から突出する突出部39が設けられており、ピストン可動体25にも該ガイド穴22から突出する突出部29が設けられている。尚、押板36の突出部39は該押板36とともに上下動し、可動体25の突出部29は該可動体25とともに上下動する。
【0102】
ピストン筒体21の外面におけるガイド穴22の近傍には、図7に示すように、圧力計測手段4の一部となる目盛板42と、進入量計測手段6の一部となる目盛板61とが取付けられている。
【0103】
圧力計測手段4は、この第3実施例では、コイルバネ34の圧縮量を読み取ることで可動体25(進入体5)に対する圧力(押し下げ力)を計測するもので、上記目盛板42と、押板36の突出部39に設けた指針43と、可動体25の突出部29に設けた指針44とで構成されている。そして、この第3実施例で使用される圧力計測手段4は、上記2つの指針43,44間の間隔を目盛板42で読み取ることにより、コイルバネ34の圧縮量を確認できる。
【0104】
進入量計測手段6は、この第3実施例では、可動体25の下動量を読み取ることで進入体5の地中進入量を計測するもので、上記目盛板61と可動体25の突出部29に設けた指針62とで構成されている。尚、指針62は、進入体5の大径部52下面が踏台1の下面と同高さにあるときに目盛板61の「0」点位置を指示するように設定されている。
【0105】
尚、第3実施例におけるその他の構成は、上記第1実施例のものと同様である。
【0106】
そして、この第3実施例の地盤支持力試験装置でも、圧力手段3(コイルバネ34)の複数の圧縮量と進入体5の複数の地中進入量によるそれぞれの地盤支持力を予め実験によりデーターマップ化しておき、圧力計測手段4(目盛板42と両指針43,44)で計測された実際の圧力計測量(コイルバネ圧縮量)と進入量計測手段6(目盛板61と指針62)で計測された実際の進入計測量とで、地盤支持力を瞬時に求め得るようにしておく。
【0107】
この第3実施例の地盤支持力試験装置では、圧力手段3としてピストン筒体21内に収容したコイルバネ34を採用しているので、第1実施例の油圧ポンプ31が不要になるとともに、ピストン2に油圧ジャッキを使用しなくてもよい。従って、装置全体が一層コンパクトになるとともに、一層安価に製作できる。
【0108】
この第3実施例の地盤支持力試験装置を使用するには、地盤支持力試験箇所の地盤G上に踏台1を水平姿勢状態で設置する。このとき圧縮部材35が上下自由状態であると、図8に示すように進入体5の大径部52下面が地面G上に軽く接地している一方、圧縮部材35の重量がコイルバネ34に加わっているものの、コイルバネ34の圧縮量はほぼ「0」である。そして、この状態での押板側指針43と可動体側指針62との間隔を目盛板42で読み取って、それをコイルバネ初期状態(圧縮量「0」状態)とする。尚、このとき進入量計測手段6の指針62は、目盛板61に対して「0」点位置を指示している。
【0109】
そして、作業員(一人でよい)が踏台1上に載り、その作業員が圧縮部材35のハンドル38を押し下げ操作すると、押板36が下動するのに伴ってコイルバネ34が圧縮されていき、そのときのコイルバネ弾発力が可動体25上面に作用して、進入体5を地中に進入させていく(図9参照)。そして、図9に示すように、ハンドル38を適宜の位置まで押し下げたときの、コイルバネ34の圧縮量を圧力計測手段4から読み取る(図9における押板側指針43と可動体側指針44との間隔を図7の目盛板42で読み取る)一方、進入体5の地中進入量を進入量計測手段6から読み取って(指針62の位置を図7の目盛板61で読み取る)、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求める。尚、この第3実施例の地盤支持力試験装置では、コイルバネ34の圧縮量及び進入体5の地中進入量の各計測を、圧縮部材35の押し下げ作業員とは別の作業員が行う。
【0110】
この第3実施例の場合も、進入体5の下端に大径部52を設けているので、進入体5が地中に進入するときに、図9に示すように地盤G中に大径部52の外径とほぼ同径の穴Gaがあけられるので、進入体直棒部51と地盤土壌との間に摩擦抵抗が発生しない。従って、計測データが地盤の状況(地質や含水量)に影響されにくくなる。
【0111】
そして、各データを読み取った後、圧縮部材35を最上位置(図8)まで持ち上げると、コイルバネ34及び可動体25が引き上げられて、進入体5を地中から抜き上げることができ、その装置全体を次の試験場所まで持ち運んで上記と同様の試験作業を行う。尚、この第3実施例の地盤支持力試験装置では、第1実施例のように油圧ポンプを使用しないので、装置全体が一層コンパクトになっており、場所移動が一層簡単になる。
【0112】
図10〜図11の第4実施例
この第4実施例の地盤支持力試験装置は、上記第3実施例における圧縮部材35部分の変形例を示している。
【0113】
即ち、この第4実施例の地盤支持力試験装置では、圧縮部材35のロッド部分に雄ネジ棒40を使用する一方、ピストン筒体21の上面に雌ネジ体28を取付けて、雄ネジ棒40を雌ネジ体28に螺合させている。
【0114】
又、雄ネジ棒40の下端は、押板36の上面に対して回転自在に(例えばスラストベアリング10を介して)連結されている。
【0115】
尚、第4実施例におけるその他の構成は、上記第3実施例(図7〜図9)のものと同様であり、該第3実施例の説明を援用する。
【0116】
この第4実施例の地盤支持力試験装置では、図10に示すように試験位置にセットし、踏台1上に人が載って、ハンドル38を雄ネジ棒40の螺入方向に回転させることで、押板36を順次押し下げてコイルバネ34を圧縮させることができる。そして、コイルバネ34が圧縮されると該コイルバネ34に弾発力が発生し、その弾発力により可動体25を押し下げて進入体5を地中に進入させていく(図11参照)。
【0117】
そして、例えば図11の示すように、圧縮部材35を所定量だけ下動させた時点で、ハンドル38から手を離し、そのときのコイルバネ34の圧縮量を圧力計測手段4から読み取る(押板側指針43と可動体側指針44との間隔を図7の目盛板42で読み取る)一方、進入体5の地中進入量を進入量計測手段6から読み取って(指針62の位置を図7の目盛板61で読み取る)、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求める。
【0118】
この第4実施例のものでは、圧縮部材35が雄ネジ棒40の螺入・螺解によって上下動するようになっているので、途中でハンドル38から手を離しても各部材がそのままの位置で位置保持される。そして、例えば図11に示す押し下げ終了段階でハンドル38から手を離し、その圧縮部材35の操作員自身が各種計測データを読み取ることができる。従って、この第4実施例のものでは、上記第3実施例の場合より地盤支持力試験のための作業員を削減することができる。
【0119】
尚、この第4実施例におけるその他の機能は、第3実施例のものとほぼ同様であるので、第3実施例での説明を援用する。
【0120】
図12〜図14の第5実施例
この第5実施例の地盤支持力試験装置では、上記第1〜第4実施例の踏板1に代えて椅子7を使用している。
【0121】
この椅子7は、図12に示すように、人Mが座れる程度の面積を有した座部71の下面に3本の脚72,72,72を取付けている。座部71の高さは、人Mが座部71上に座った状態で両足F,Fが地面上に届く程度のものである。各脚72,72,72の下端には、それぞれ沈み込み防止用の接地板73,73,73を取付けている。尚、各脚72,72,72は、半径方向内方に折畳み得る構造のものが採用でき、持ち運び時に各脚72,72,72を中心方向に折畳むことによってコンパクトにし得るようにするとよい。
【0122】
椅子7の座部71の外周寄り部分には、後述する目盛付きテープ64を座部上面に迂回させるための2つの長穴74,74(図13、図14)が形成されている。
【0123】
座部71の下面中央部には、ピストン2が下向き姿勢で固定されている。この第5実施例では、ピストン2としてエアージャッキ(他の実施例では油圧ジャッキでも可)が使用されている。このエアージャッキ2は、図14に示すように、筒体21内にエアー圧で押し下げられる可動体25を有し、該可動体25の下面に下ロッド27を下向きに取付けている。尚、下ロッド27の下端は、筒体21の下面から所定長さだけ突出している。
【0124】
ピストン2の下ロッド27の下端部には、細棒状の進入体5が下向きに連結されている。この進入体5は、第1実施例(図1〜図4)と同様に、直棒部51の下端部に大径部52を設けたものが使用されている。尚、この進入体5の下ロッド27に対する連結構造は、第1実施例(図1〜図4)と同様にネジによる螺合を採用できる。
【0125】
圧力手段3としては、手押し式のエアーポンプ31Aが採用されている。このエアーポンプ31Aは、ハンドル38Aを人力で押下げることで圧縮エアーを吐出させることができる。
【0126】
エアーポンプ31Aのエアー吐出口とエアージャッキ2のエアー導入口とはホース32で接続されていて、エアーポンプ31Aを作動させると圧縮エアーがホース32を介してエアージャッキ2の伸長側室に導入されるようになっている。
【0127】
尚、ピストン2に油圧ジャッキを使用した場合には、エアーポンプ31Aに代えて油圧ポンプ(例えば図1の足踏み式のもの)が採用される。又、足踏み式の流体圧ポンプを使用した場合には、該流体圧ポンプの踏み板を椅子座部に座った人の足元に位置させて、人が椅子座部に座ったままで流体圧ポンプを作動させ得るようにする。
【0128】
圧力計測手段4としては、エアージャッキ2内のエアー圧を計測する圧力計41が採用されている。この圧力計41は、この実施例ではエアーポンプ31Aの近傍に設置されていて、該エアーポンプ31Aを操作する状態で該圧力計41を見ることができるようになっている。尚、足踏み式の流体圧ポンプを使用した場合にも、圧力計41を椅子座部に座った人が見ることができる位置に設ける。
【0129】
この第5実施例では、進入体5の地盤G中への進入量を計測するための進入量計測手段6として、柔軟性のある目盛付きテープ64を使用している。この目盛付きテープ64は、その一端部64aをピストン2の下ロッド27に取付けた取付台27aに固定し、他端側を椅子座部71の下面側から座部71の外周寄り部分に設けた2つの長穴74,74を通して座部上面に所定長さ範囲(例えば2〜5cm長さ)だけ露出させた後に座部下方に垂れ下げて設置している。目盛付きテープ64の垂れ下げ側端部64bには重り66を取付けて、該目盛付きテープ64を常時緊張状態に維持させている。この場合は、目盛付きテープ64における椅子座部71の外周寄り上面に露出している部分が進入体5の進入計測量の表示部63となる。
【0130】
尚、目盛付きテープ64の表示部63には、指針65(図13)が設けられている。そして、この表示部63は、椅子7を地面上に置いた状態で進入体5の下端(大径部52下面)が地面に接した時点の表示値を起点(「0」点)とする。
【0131】
椅子座部71の上面には、上記表示部63の近傍に水準器9を設けている。この水準器9は、椅子7を地面上に設置したときに、座部71が水平(ピストン2が鉛直)になっているかどうかを確認するするものである。
【0132】
この第5実施例の地盤支持力試験装置は、次のように使用される。まず、地盤支持力試験箇所の地面G上に椅子7を置く(座部71を水平にする)が、該椅子7を地面G上に置いた状態では、進入体5の下端(大径部52下面)が地面から若干高さだけ離間していてもよい。
【0133】
次に、作業員Mがエアーポンプ31Aを手に持って椅子座部71に座るが、図12及び図13に示すように進入量計測手段6の表示部63が股の間に位置するように座る。そして、エアーポンプ31Aを図12に鎖線図示(符号31A′)するように、股の間で座部71の上面に縦向き姿勢で載せると作業の準備が完了する。
【0134】
この作業準備完了状態では、椅子7に座っている作業員Mが、エアーポンプ31Aを操作(ハンドル38Aの操作)でき、圧力計41及び進入量計測手段6の表示部63をそれぞれ目視できる状態にある。
【0135】
次に、エアーポンプ31Aを操作してエアーをピストン2に供給すると、可動体25、下ロッド27、進入体5が下動して、該進入体5の下端(大径部52)が地面上に接地するが、この時点の目盛付きテープ64の目盛を起点(「0点」)として記録する。
【0136】
続いて、エアーポンプ31Aを操作すると、エアー圧により可動体25に押し下げ力が作用し、進入体5が地盤Gの抵抗を受けながら地中に進入していく。このとき進入体5に反力(進入抵抗)が発生してピストン筒体21や椅子座部71を持ち上げるような作用が働くが、椅子座部71に人Mが座っているので、進入体5が地中進入時に発生する椅子座部71の浮き上げ作用を人の体重で十分阻止できる。
【0137】
進入体5が地盤G中に進入していく(例えば図14に鎖線図示する符号5′の状態)と、目盛付きテープ64の取付台固定側端部64aが下方に引っ張られて、表示部63の指針65に対応する目盛付きテープ64の目盛(進入計測量)が変化するとともに、圧力計41の圧力計測量も変化するが、これらの計測量(目盛付きテープ64及び圧力計41)は、椅子座部71に座っている作業員一人で読み取ることができる。
【0138】
そして、圧力計測量(圧力計41)が所定値に達したとき、あるいは進入計測量(目盛付きテープ64の目盛)が所定値に達したときに、その時点での圧力計測量と進入計測量(起点からの変位量)とにより、予め作成したデーターマップにより当該試験位置の地盤支持力を求めることができる。
【0139】
この第5実施例の地盤支持力試験装置を使用すると、地盤支持力試験の各作業(エアーポンプ31Aの操作、圧力計41及び目盛付きテープ64の各読み取り)を一人の作業員で行うことができ、人件費コストを低減できる。
【0140】
尚、この第5実施例の地盤支持力試験装置におけるその他の基本的機能は、上記の各実施例のものと同様であるので、その説明を援用する。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本願第1実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1〜図2の地盤支持力試験装置に使用されている進入体の拡大図である。
【図4】図2の地盤支持力試験装置における作動状態の一部拡大図である。
【図5】本願第2実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図6】図5の地盤支持力試験装置における踏台組付け状態の平面図である。
【図7】本願第3実施例の地盤支持力試験装置の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【図9】図8からの作動変化図である。
【図10】本願第4実施例の地盤支持力試験装置の図8相当断面図である。
【図11】図10からの作動変化図である。
【図12】本願第5実施例の地盤支持力試験装置の斜視図である。
【図13】図12の平面図である。
【図14】図13のXIV−XIV断面図である。
【図15】従来の平板載荷試験装置の概略図である。
【符号の説明】
【0142】
1は踏台、2はピストン、3は圧力手段、4は圧力計測手段、5は進入体、6は進入量計測手段、7は椅子、21はピストン筒体、25はピストン可動体、31は油圧ポンプ、31Aはエアーポンプ、34はコイルバネ、35は圧縮部材、41は圧力計、42は目盛板、43,44は指針、51は直棒部、52は大径部、61は目盛板、62は指針、63は表示部、64は目盛付きテープ、65は指針、71は座部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が載り得る程度の大きさの踏台(1)と、該踏台(1)に固定又は着脱自在に合体されて該踏台(1)に対して浮き上がり不能に設置される筒体(21)内で可動体(25)が上下動し得るようにしたピストン(2)と、該ピストン(2)の可動体(25)を押し下げる圧力手段(3)と、該圧力手段(3)の圧力を計測する圧力計測手段(4)と、前記ピストン(2)の可動体(25)に間接又は直接連結されていて該可動体(25)の下動によって地盤(G)中に進入する細棒状の進入体(5)と、該進入体(5)の地中進入量を計測する進入量計測手段(6)とを備え、
地盤支持力試験箇所において、前記踏台(1)上に人が載り、前記圧力手段(3)により可動体(25)を介して進入体(5)を押し下げて、該進入体(5)を地盤(G)中に進入させたときの前記圧力計測手段(4)で計測した圧力計測量と前記進入量計測手段(6)で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにした、
ことを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項2】
人が腰掛け状態で座れる椅子(7)と、該椅子(7)の座部(71)の下面に下向きに固定された筒体(21)内で可動体(25)が上下動し得るようにしたピストン(2)と、該ピストン(2)の可動体(25)を押し下げる圧力手段(3)と、該圧力手段(3)の圧力を計測する圧力計測手段(4)と、前記ピストン(2)の可動体(25)に間接又は直接連結されていて該可動体(25)の下動によって地盤(G)中に進入する細棒状の進入体(5)と、該進入体(5)の地中進入量を計測する進入量計測手段(6)とを備え、
地盤支持力試験箇所において、前記椅子(7)の座部(71)上に人が座り、前記圧力手段(3)により可動体(25)を介して進入体(5)を押し下げて、該進入体(5)を地盤(G)中に進入させたときの前記圧力計測手段(4)で計測した圧力計測量と前記進入量計測手段(6)で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにした、
ことを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項3】
請求項1において、圧力手段(3)は、人力によって圧縮させるコイルバネ(34)の弾発力によって可動体(25)を押し下げ得るものであることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項4】
請求項2において、圧力手段(3)は椅子(7)の座部(71)に座ったままで操作できる手動式の流体圧ポンプ(31A)を使用し、且つ圧力計測手段(4)となる圧力計(41)を椅子(7)の座部(71)に座った人が目視できる場所に位置させることができるようにしている一方、進入量計測手段(6)で計測した進入計測量の表示部(63)を前記座部(71)の上面における該座部(71)に座った人が目視できる位置に設けていることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、進入体(5)は、可動体(25)に間接又は直接連結される直棒部(51)の下端に該直棒部(51)の太さ(D)よりやや大きい外径(E)の大径部(52)を設けたものを使用していることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項1】
人が載り得る程度の大きさの踏台(1)と、該踏台(1)に固定又は着脱自在に合体されて該踏台(1)に対して浮き上がり不能に設置される筒体(21)内で可動体(25)が上下動し得るようにしたピストン(2)と、該ピストン(2)の可動体(25)を押し下げる圧力手段(3)と、該圧力手段(3)の圧力を計測する圧力計測手段(4)と、前記ピストン(2)の可動体(25)に間接又は直接連結されていて該可動体(25)の下動によって地盤(G)中に進入する細棒状の進入体(5)と、該進入体(5)の地中進入量を計測する進入量計測手段(6)とを備え、
地盤支持力試験箇所において、前記踏台(1)上に人が載り、前記圧力手段(3)により可動体(25)を介して進入体(5)を押し下げて、該進入体(5)を地盤(G)中に進入させたときの前記圧力計測手段(4)で計測した圧力計測量と前記進入量計測手段(6)で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにした、
ことを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項2】
人が腰掛け状態で座れる椅子(7)と、該椅子(7)の座部(71)の下面に下向きに固定された筒体(21)内で可動体(25)が上下動し得るようにしたピストン(2)と、該ピストン(2)の可動体(25)を押し下げる圧力手段(3)と、該圧力手段(3)の圧力を計測する圧力計測手段(4)と、前記ピストン(2)の可動体(25)に間接又は直接連結されていて該可動体(25)の下動によって地盤(G)中に進入する細棒状の進入体(5)と、該進入体(5)の地中進入量を計測する進入量計測手段(6)とを備え、
地盤支持力試験箇所において、前記椅子(7)の座部(71)上に人が座り、前記圧力手段(3)により可動体(25)を介して進入体(5)を押し下げて、該進入体(5)を地盤(G)中に進入させたときの前記圧力計測手段(4)で計測した圧力計測量と前記進入量計測手段(6)で計測した進入計測量とから地盤支持力を算出し得るようにした、
ことを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項3】
請求項1において、圧力手段(3)は、人力によって圧縮させるコイルバネ(34)の弾発力によって可動体(25)を押し下げ得るものであることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項4】
請求項2において、圧力手段(3)は椅子(7)の座部(71)に座ったままで操作できる手動式の流体圧ポンプ(31A)を使用し、且つ圧力計測手段(4)となる圧力計(41)を椅子(7)の座部(71)に座った人が目視できる場所に位置させることができるようにしている一方、進入量計測手段(6)で計測した進入計測量の表示部(63)を前記座部(71)の上面における該座部(71)に座った人が目視できる位置に設けていることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、進入体(5)は、可動体(25)に間接又は直接連結される直棒部(51)の下端に該直棒部(51)の太さ(D)よりやや大きい外径(E)の大径部(52)を設けたものを使用していることを特徴とする地盤支持力試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−146627(P2007−146627A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231436(P2006−231436)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(502443105)有限会社アスラック (15)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(502443105)有限会社アスラック (15)
【Fターム(参考)】
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