地盤改良体の構築工法
【課題】低コストとなる施工方法により異なる種類の地盤改良体どうしを確実に一体化させることができる。
【解決手段】浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築し、第１地盤Ｇ１より深部側の第２地盤Ｇ２に対して鉛直ジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を施工し、その後、第２地盤改良体２の硬化前で第２地盤改良体２の施工から略半日経過後に、第２地盤改良体２の沈下に伴う第１地盤改良体１との界面に形成される隙間に対して、再度、鉛直ジェットグラウト工法によって地盤改良を行って追加地盤改良部３を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させる地盤改良体の構築工法を提供する。
【解決手段】浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築し、第１地盤Ｇ１より深部側の第２地盤Ｇ２に対して鉛直ジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を施工し、その後、第２地盤改良体２の硬化前で第２地盤改良体２の施工から略半日経過後に、第２地盤改良体２の沈下に伴う第１地盤改良体１との界面に形成される隙間に対して、再度、鉛直ジェットグラウト工法によって地盤改良を行って追加地盤改良部３を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させる地盤改良体の構築工法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、地盤の長期の支持力向上や地震時における杭の水平抵抗確保を目的として、セメントミルクを用いた地盤改良が多く使用されている。そして、Ｎ値が０〜２０程度の軟弱地盤には深層混合処理工法（例えば、特許文献１参照）のような比較的安価な機械攪拌工法が用いられるが、３０〜４０程度とＮ値が高い地盤に対しては、セメントミルクを高圧で噴射して地盤改良体を構築するジェットグラウト工法が用いられているのが一般的である（例えば、特許文献２参照）。このようなジェットグラウト方法では、Ｎ値の高低にかかわらず地盤改良を行うことが可能であるが、施工コストが増大するため、すべての地盤に対して適用するのは難しい現状がある。
【０００３】
図４は、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを構築する工法であって、浅部側の軟弱地盤（第１地盤Ｇ１）に対しては安価な深層混合処理工法で第１地盤改良体１１を施工し、深部側で第１地盤Ｇ１より軟弱Ｎ値が高い第２地盤Ｇ２とその下層の第３地盤Ｇ３に対しては高価なジェットグラウト工法で第２地盤改良体１２を施工する状態を示している。
すなわち、Ｎ値が３０〜４０程度の第２地盤Ｇ２が表層から数ｍの深さで現れる場合には、先ず機械攪拌工法を用いて深層混合処理工法により第１地盤Ｇ１を地表から地盤改良している。これは、ジェットグラウト工法により先に施工すると施工部表面に凹凸ができ、通常の深層混合処理工法では固い凹凸部分を施工することができないためである。そして、深層混合処理工法によって構築した第１地盤改良体１１に径寸法で３００ｍｍ程度のボーリング孔を削孔し、その第１地盤改良体１１の下の第２地盤Ｇ２および第３地盤Ｇ３に対してジェットグラウト工法により第３地盤Ｇ３の下から順に第１地盤改良体１１まで打設して地盤改良することで、第１地盤改良体１１と第２地盤改良体１２との一体化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平８−７４２４３号公報
【特許文献２】特開平７−２６５４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、従来の上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしの一体化に関しては以下のような問題があった。
すなわち、深層混合処理工法によって構築された図４に示す第１地盤改良体１１の底面１１ａは平滑ではなく、全面にわたって凹凸が形成されている。そのため、凹部に入り込んでいる土も改良する必要があるが、鉛直方向に施工されるジェットグラウトでは水平噴射となることから、凹部内の土を十分に改良することが困難であり、未改良土が残ってしまい、第１地盤改良体１１と第２地盤改良体１２との一体化が不十分となる問題があった。
【０００６】
そして、上述したように異なる種類の地盤改良体どうしの一体化が不十分となる場合には、地盤支持力確保の有効性を失うとともに、地震時には杭の損傷を発生させる原因ともなることから、高価であっても全ての地層に対応可能な地盤改良工法を用いている現状がある。したがって、地盤に応じて適した地盤改良工法を選択でき、且つ異なった地盤改良体を一体化させる好適な方法が求められていた。
【０００７】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、低コストとなる施工方法により異なる種類の地盤改良体どうしを確実に一体化させることができる地盤改良体の構築工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するため、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法であって、浅部側の地盤に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体を構築する工程と、第１地盤改良体より深部側の地盤に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体を構築する工程と、第１地盤改良体の側方から第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部を設ける工程とを有することを特徴としている。
【０００９】
本発明では、第２地盤改良体と第１地盤改良体との界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によってさらに水平方向の地盤改良を施すことができる。このときの水平方向に施工するジェットグラウト工法では、その高圧噴射方向が水平方向に延びるロッドを中心として径方向外側の向きとなるので、第１地盤改良体の底面に形成される凹部に入り込んだ土に対しても高圧噴射によって確実に改良することができる。そのため、界面部分全面にわたって未改良部分の無い追加地盤改良部を構築することができ、その追加地盤改良部を介して第１地盤改良体と第２地盤改良体との一体化を図ることができる。
【００１０】
また、前記界面部分に施される追加地盤改良部の施工のタイミングを第２地盤改良体の硬化前とすることで、その界面部分の追加地盤改良部と第２地盤改良体とが確実に一体化されることになる。
このように上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを追加地盤改良部を介して確実に一体化させることができるので、地盤支持力を十分に確保でき、地震時における杭の損傷の発生を防止することができる。
【００１１】
そして、本発明では、浅部側に軟弱地盤があり、その下層の深部側に前記軟弱地盤よりもＮ値の大きな地盤を有する場合に好適であり、深部側の地盤に対しては高価なジェットグラウト工法を用いるとともに、浅部側の地盤に対しては安価な深層混合処理工法が適用されるので、全体の地盤改良にかかるコストの低減を図ることができる。とくに、軟弱層が厚く、その下のＮ値が３０〜４０の地盤を改良する場合には改良にかかるコストの低減効果が大きくなる利点がある。
【００１２】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、第１地盤改良体から所定間隔をあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって第２地盤改良体を構築することで、界面に未改良層を設けることが好ましい。
【００１３】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、未改良層は、略１〜１．５ｍの高さであることがより好ましい。
【００１４】
本発明では、第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面に積極的に所定高さを有する未改良層を設けることで、水平方向に施工するジェットグラウト工法によるロッドの挿入および引抜きが容易となり、施工の効率を向上させることができる。
そして、所定高さを有する未改良層を設けることで、追加地盤改良部も一定の厚さをもたせることができ、高圧噴射されるセメント系硬化材と土とが混合されるのに十分な領域を確保することができ、良好な地盤改良が行えることから、第１地盤改良体と第２地盤改良体との一体化をより確実なものとすることができる。
【００１５】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、第１地盤改良体の側方の地盤を界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部を設け、掘削部から水平方向に施工するジェットグラウト工法によって追加地盤改良部を構築するようにしてもよい。
この場合、未改良層の直ぐ側方に設けられる掘削部を使用し、その掘削部にジェットグラウト装置を配置して未改良層へ向けて水平方向の追加地盤改良部を構築することができる。すなわち、掘削部と未改良層との位置が近いうえ、掘削部から未改良層の位置を特定し易いため、精度の高い地盤改良が行える利点がある。
【発明の効果】
【００１６】
本発明の地盤改良体の構築工法によれば、適宜なタイミングで第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面部分に対して追加地盤改良部を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを確実に一体化させることができる。そのため、浅部側の軟弱地盤に対しては安価な深層混合処理工法を用い、地盤改良範囲のうち高価なジェットグラウト工法で施工する割合を減らすことが可能となるので、地盤改良にかかるコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の実施の形態による地盤改良体の構築工法の概略構成を示す立面図である。
【図２】図１に示すＡ−Ａ線断面図であって、ジェットグラウト装置を省略した図である。
【図３】（ａ）〜（ｄ）は、地盤改良体の構築工法の工程を示す図である。
【図４】従来の地盤改良体の施工状態を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
以下、本発明の実施の形態による地盤改良体の構築工法について、図面に基づいて説明する。
【００１９】
図１に示すように、本実施の形態による地盤改良体の構築工法は、建物を支持する基礎杭（図示省略）の周囲の地盤を改良するものであって、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させる施工に適用されている。
【００２０】
ここで、図１において、符号Ｇ１はＮ値が１０程度の軟弱地盤（第１地盤）、符号Ｇ２はＮ値が４０程度の第２地盤、符号Ｇ３はＮ値が１０程度の第３地盤、符号Ｇ２はＮ値が４０程度の第２地盤、および符号Ｇ５はＮ値が５０以上の支持層をそれぞれ示し、第１地盤Ｇ１、第２地盤Ｇ２、第３地盤Ｇ３が本実施の形態による地盤改良の適用対象となっている。
【００２１】
地盤改良体の構築工法は、浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築し、第１地盤改良体１より深部側の第２地盤Ｇ２に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を構築し、第１地盤改良体１の側方の地盤を第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部４を設け、その後、掘削部４から第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分（後述する未改良層Ｔ）に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部３を設ける施工を行うものである。
【００２２】
第１地盤改良体１は、例えば機械攪拌工法などの深層混合処理工法により施工され、複数の基礎杭の周囲を囲む適宜な改良範囲に施工される。
【００２３】
一方、図１および図２に示すように、第２地盤改良体２は、平面視で第１地盤改良体１とほぼ同じ範囲であり、ジェットグラウト工法により鉛直方向に施工され、隣り合う円柱状の改良部分どうしをオーバーラップさせた状態で施工されている。
なお、第２地盤改良体２は、第１地盤改良体１の底面１ａから所定間隔Ｄをあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって構築される。このとき、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分には、未改良層Ｔが設けられることになる。この未改良層Ｔは、略１〜１．５ｍの高さ（上記所定間隔Ｄに相当）で設けられている。
【００２４】
また、未改良層Ｔに対してジェットグラウト工法によって水平方向に施工される追加地盤改良部３は、上述した第２地盤改良体２の施工箇所と平面視で同じ箇所に施工される。
【００２５】
次に、上述した地盤改良体の構築工法の施工手順と作用について、図面に基づいて説明する。
図３（ａ）に示すように、先ず、浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築する。具体的には、例えば並設した２軸あるいは３軸の回転軸の先端部に複数段の攪拌翼を備えた図示しない多軸深層混合処理装置を用い、それら攪拌翼で攪拌領域を形成して原地盤の土と固化材とを攪拌混合して改良土とする。
【００２６】
次いで、図３（ｂ）に示すように、第１地盤Ｇ１より深部側の第２地盤Ｇ２および第３地盤Ｇ３に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を構築する。具体的には、先ず所定位置にボーリング孔を削孔し、図示しないジェットグラウト装置を地上の所定位置に配置し、グラウト注入用のロッドを所定の地盤改良範囲の下端位置（図１の第３地盤Ｇ３の下端付近）まで挿入した後、ロッドを上方へ引抜きながら高圧のセメント系硬化材を圧縮空気と同時に横方向に噴射、回転させることで、地盤中に所定径の複数の円柱状固結体からなる第２地盤改良体２を構築する。
【００２７】
その後、図３（ｃ）に示すように、第１地盤改良体１の側方の地盤を第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面近傍（未改良層Ｔ）の高さ（第２地盤Ｇ２の上下方向中間部）まで掘り下げて掘削部４を設ける。この掘削部４を施工する際には、その掘削領域の外周部分に止水矢板５を設置して土留めを施してから、その内部を掘削する。
【００２８】
次に、図３（ｄ）に示すように、掘削部４から未改良層Ｔに対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部３を構築する。具体的には、先ず所定位置にボーリング孔を削孔し、ジェットグラウト装置６を掘削部４の底盤部４ａに配置し、グラウト注入用の水平ロッド７を未改良層Ｔの端部位置（掘削部４と反対側の端部付近）まで挿入した後、水平ロッド７を掘削部４側へ引抜きながら高圧のセメント系硬化材を圧縮空気と同時に噴射、回転させることで、未改良層Ｔ中に所定径の複数の円柱状固結体からなる追加地盤改良部３を構築する。
なお、この追加地盤改良部３の構築は、複数箇所の円柱状固結体からなる第２地盤改良体２の全てが完了してから行われる。
【００２９】
本地盤改良体の構築工法では、第２地盤改良体２と第１地盤改良体１との界面部分の未改良層Ｔに対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によってさらに水平方向の地盤改良を施すことができる。このときの水平方向に施工するジェットグラウト工法では、その高圧噴射方向が水平方向に延びる水平ロッド７を中心として径方向外側の向きとなるので、第１地盤改良体１の底面１ａに形成される凹部に入り込んだ土に対しても高圧噴射によって確実に改良することができる。そのため、界面部分全面にわたって未改良部分の無い追加地盤改良部３を構築することができ、その追加地盤改良部３を介して第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との一体化を図ることができる。
【００３０】
また、未改良層Ｔに施される追加地盤改良部３の施工のタイミングを第２地盤改良体２の硬化前とすることで、その未改良層Ｔの追加地盤改良部３と第２地盤改良体２とが確実に一体化されることになる。
このように上下に配置される異なる種類の地盤改良体１、２どうしを追加地盤改良部３を介して確実に一体化させることができるので、地盤支持力を十分に確保でき、地震時における杭の損傷の発生を防止することができる。
【００３１】
そして、本構築工法では、浅部側に軟弱地盤があり、その下層の深部側に前記軟弱地盤よりもＮ値の大きな地盤を有する場合に好適であり、深部側の地盤に対しては高価なジェットグラウト工法を用いるとともに、浅部側の地盤に対しては安価な深層混合処理工法が適用されるので、全体の地盤改良にかかるコストの低減を図ることができる。とくに、軟弱層が厚く、その下のＮ値が３０〜４０の地盤を改良する場合には改良にかかるコストの低減効果が大きくなる利点がある。
【００３２】
また、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面に積極的に所定高さを有する未改良層Ｔを設けることで、水平方向に施工するジェットグラウト工法による水平ロッド７の挿入および引抜きが容易となり、施工の効率を向上させることができる。
そして、所定高さを有する未改良層Ｔを設けることで、追加地盤改良部３も一定の厚さをもたせることができ、高圧噴射されるセメント系硬化材と土とが混合されるのに十分な領域を確保することができ、良好な地盤改良が行えることから、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との一体化をより確実なものとすることができる。
【００３３】
さらに、本構築工法では、未改良層Ｔの直ぐ側方に設けられる掘削部４を使用し、その掘削部４にジェットグラウト装置６を配置して未改良層Ｔへ向けて水平方向の追加地盤改良部３を構築することができる。すなわち、掘削部４と未改良層Ｔとの位置が近いうえ、掘削部４から未改良層Ｔの位置を特定し易いため、精度の高い地盤改良が行える利点がある。
【００３４】
さらにまた、第２地盤改良体２は、時間の経過とともに、ブリージングによる沈下が発生し、第１地盤改良体１の底面１ａとの間に未改良部分をなす隙間が形成されることになるが、本構築工法によれば、この隙間部分も前記未改良層Ｔと同様に扱い、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって追加地盤改良部３を構築することができ、前記沈下に伴う隙間にも対応することができる。
【００３５】
上述のように本実施の形態による地盤改良体の構築工法では、適宜なタイミングで第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分に形成される未改良層Ｔに対して追加地盤改良部３を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体１、２どうしを確実に一体化させることができる。そのため、浅部側の軟弱地盤に対しては安価な深層混合処理工法を用い、地盤改良範囲のうち高価なジェットグラウト工法で施工する割合を減らすことが可能となるので、地盤改良にかかるコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【００３６】
以上、本発明による地盤改良体の構築工法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では第１地盤改良体１（未改良層Ｔ）の側方に掘削部４を設ける方法としているが、掘削部４を設けることに制限されることはない。例えば、地下構造物や、既設の立坑など、第１地盤改良体１（未改良層Ｔ）の側方に水平方向を施工するジェットグラウト装置を配置できる空間が有り、この空間を使用してジェットグラウト工法を行うことが可能であればよい。そのため、この空間（掘削部４）の位置、広さ、深さ等は、そこに配置する装置の大きさ、未改良層Ｔの位置、厚さ寸法などの条件に応じて設定することができる。つまり、第１地盤改良体１から水平方向に離れた位置に掘削部４を設けるようにしてもかまわない。
【００３７】
また、本実施の形態では第２地盤改良体３の構築後に掘削部４を施工する手順としているが、これに限定されない。例えば、第１地盤改良体１の施工に影響がなければ、この第１地盤改良体１と同時、或いは先行して掘削部４を施工しても良い。
さらに、深層混合処理工法およびジェットグラウト工法の具体的な方法、使用する装置の構造などは、地盤の条件、施工範囲等の条件に応じて適宜変更可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【００３８】
１ 第１地盤改良体
２ 第２地盤改良体
３ 追加地盤改良部
４ 掘削部
６ ジェットグラウト装置
７ 水平ロッド
Ｇ１ 第１地盤
Ｇ２ 第２地盤
Ｇ３ 第３地盤
Ｔ 未改良層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、地盤の長期の支持力向上や地震時における杭の水平抵抗確保を目的として、セメントミルクを用いた地盤改良が多く使用されている。そして、Ｎ値が０〜２０程度の軟弱地盤には深層混合処理工法（例えば、特許文献１参照）のような比較的安価な機械攪拌工法が用いられるが、３０〜４０程度とＮ値が高い地盤に対しては、セメントミルクを高圧で噴射して地盤改良体を構築するジェットグラウト工法が用いられているのが一般的である（例えば、特許文献２参照）。このようなジェットグラウト方法では、Ｎ値の高低にかかわらず地盤改良を行うことが可能であるが、施工コストが増大するため、すべての地盤に対して適用するのは難しい現状がある。
【０００３】
図４は、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを構築する工法であって、浅部側の軟弱地盤（第１地盤Ｇ１）に対しては安価な深層混合処理工法で第１地盤改良体１１を施工し、深部側で第１地盤Ｇ１より軟弱Ｎ値が高い第２地盤Ｇ２とその下層の第３地盤Ｇ３に対しては高価なジェットグラウト工法で第２地盤改良体１２を施工する状態を示している。
すなわち、Ｎ値が３０〜４０程度の第２地盤Ｇ２が表層から数ｍの深さで現れる場合には、先ず機械攪拌工法を用いて深層混合処理工法により第１地盤Ｇ１を地表から地盤改良している。これは、ジェットグラウト工法により先に施工すると施工部表面に凹凸ができ、通常の深層混合処理工法では固い凹凸部分を施工することができないためである。そして、深層混合処理工法によって構築した第１地盤改良体１１に径寸法で３００ｍｍ程度のボーリング孔を削孔し、その第１地盤改良体１１の下の第２地盤Ｇ２および第３地盤Ｇ３に対してジェットグラウト工法により第３地盤Ｇ３の下から順に第１地盤改良体１１まで打設して地盤改良することで、第１地盤改良体１１と第２地盤改良体１２との一体化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平８−７４２４３号公報
【特許文献２】特開平７−２６５４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、従来の上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしの一体化に関しては以下のような問題があった。
すなわち、深層混合処理工法によって構築された図４に示す第１地盤改良体１１の底面１１ａは平滑ではなく、全面にわたって凹凸が形成されている。そのため、凹部に入り込んでいる土も改良する必要があるが、鉛直方向に施工されるジェットグラウトでは水平噴射となることから、凹部内の土を十分に改良することが困難であり、未改良土が残ってしまい、第１地盤改良体１１と第２地盤改良体１２との一体化が不十分となる問題があった。
【０００６】
そして、上述したように異なる種類の地盤改良体どうしの一体化が不十分となる場合には、地盤支持力確保の有効性を失うとともに、地震時には杭の損傷を発生させる原因ともなることから、高価であっても全ての地層に対応可能な地盤改良工法を用いている現状がある。したがって、地盤に応じて適した地盤改良工法を選択でき、且つ異なった地盤改良体を一体化させる好適な方法が求められていた。
【０００７】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、低コストとなる施工方法により異なる種類の地盤改良体どうしを確実に一体化させることができる地盤改良体の構築工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するため、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法であって、浅部側の地盤に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体を構築する工程と、第１地盤改良体より深部側の地盤に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体を構築する工程と、第１地盤改良体の側方から第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部を設ける工程とを有することを特徴としている。
【０００９】
本発明では、第２地盤改良体と第１地盤改良体との界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によってさらに水平方向の地盤改良を施すことができる。このときの水平方向に施工するジェットグラウト工法では、その高圧噴射方向が水平方向に延びるロッドを中心として径方向外側の向きとなるので、第１地盤改良体の底面に形成される凹部に入り込んだ土に対しても高圧噴射によって確実に改良することができる。そのため、界面部分全面にわたって未改良部分の無い追加地盤改良部を構築することができ、その追加地盤改良部を介して第１地盤改良体と第２地盤改良体との一体化を図ることができる。
【００１０】
また、前記界面部分に施される追加地盤改良部の施工のタイミングを第２地盤改良体の硬化前とすることで、その界面部分の追加地盤改良部と第２地盤改良体とが確実に一体化されることになる。
このように上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを追加地盤改良部を介して確実に一体化させることができるので、地盤支持力を十分に確保でき、地震時における杭の損傷の発生を防止することができる。
【００１１】
そして、本発明では、浅部側に軟弱地盤があり、その下層の深部側に前記軟弱地盤よりもＮ値の大きな地盤を有する場合に好適であり、深部側の地盤に対しては高価なジェットグラウト工法を用いるとともに、浅部側の地盤に対しては安価な深層混合処理工法が適用されるので、全体の地盤改良にかかるコストの低減を図ることができる。とくに、軟弱層が厚く、その下のＮ値が３０〜４０の地盤を改良する場合には改良にかかるコストの低減効果が大きくなる利点がある。
【００１２】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、第１地盤改良体から所定間隔をあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって第２地盤改良体を構築することで、界面に未改良層を設けることが好ましい。
【００１３】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、未改良層は、略１〜１．５ｍの高さであることがより好ましい。
【００１４】
本発明では、第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面に積極的に所定高さを有する未改良層を設けることで、水平方向に施工するジェットグラウト工法によるロッドの挿入および引抜きが容易となり、施工の効率を向上させることができる。
そして、所定高さを有する未改良層を設けることで、追加地盤改良部も一定の厚さをもたせることができ、高圧噴射されるセメント系硬化材と土とが混合されるのに十分な領域を確保することができ、良好な地盤改良が行えることから、第１地盤改良体と第２地盤改良体との一体化をより確実なものとすることができる。
【００１５】
また、本発明に係る地盤改良体の構築工法では、第１地盤改良体の側方の地盤を界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部を設け、掘削部から水平方向に施工するジェットグラウト工法によって追加地盤改良部を構築するようにしてもよい。
この場合、未改良層の直ぐ側方に設けられる掘削部を使用し、その掘削部にジェットグラウト装置を配置して未改良層へ向けて水平方向の追加地盤改良部を構築することができる。すなわち、掘削部と未改良層との位置が近いうえ、掘削部から未改良層の位置を特定し易いため、精度の高い地盤改良が行える利点がある。
【発明の効果】
【００１６】
本発明の地盤改良体の構築工法によれば、適宜なタイミングで第１地盤改良体と第２地盤改良体との間の界面部分に対して追加地盤改良部を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを確実に一体化させることができる。そのため、浅部側の軟弱地盤に対しては安価な深層混合処理工法を用い、地盤改良範囲のうち高価なジェットグラウト工法で施工する割合を減らすことが可能となるので、地盤改良にかかるコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の実施の形態による地盤改良体の構築工法の概略構成を示す立面図である。
【図２】図１に示すＡ−Ａ線断面図であって、ジェットグラウト装置を省略した図である。
【図３】（ａ）〜（ｄ）は、地盤改良体の構築工法の工程を示す図である。
【図４】従来の地盤改良体の施工状態を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
以下、本発明の実施の形態による地盤改良体の構築工法について、図面に基づいて説明する。
【００１９】
図１に示すように、本実施の形態による地盤改良体の構築工法は、建物を支持する基礎杭（図示省略）の周囲の地盤を改良するものであって、上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させる施工に適用されている。
【００２０】
ここで、図１において、符号Ｇ１はＮ値が１０程度の軟弱地盤（第１地盤）、符号Ｇ２はＮ値が４０程度の第２地盤、符号Ｇ３はＮ値が１０程度の第３地盤、符号Ｇ２はＮ値が４０程度の第２地盤、および符号Ｇ５はＮ値が５０以上の支持層をそれぞれ示し、第１地盤Ｇ１、第２地盤Ｇ２、第３地盤Ｇ３が本実施の形態による地盤改良の適用対象となっている。
【００２１】
地盤改良体の構築工法は、浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築し、第１地盤改良体１より深部側の第２地盤Ｇ２に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を構築し、第１地盤改良体１の側方の地盤を第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部４を設け、その後、掘削部４から第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分（後述する未改良層Ｔ）に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部３を設ける施工を行うものである。
【００２２】
第１地盤改良体１は、例えば機械攪拌工法などの深層混合処理工法により施工され、複数の基礎杭の周囲を囲む適宜な改良範囲に施工される。
【００２３】
一方、図１および図２に示すように、第２地盤改良体２は、平面視で第１地盤改良体１とほぼ同じ範囲であり、ジェットグラウト工法により鉛直方向に施工され、隣り合う円柱状の改良部分どうしをオーバーラップさせた状態で施工されている。
なお、第２地盤改良体２は、第１地盤改良体１の底面１ａから所定間隔Ｄをあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって構築される。このとき、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分には、未改良層Ｔが設けられることになる。この未改良層Ｔは、略１〜１．５ｍの高さ（上記所定間隔Ｄに相当）で設けられている。
【００２４】
また、未改良層Ｔに対してジェットグラウト工法によって水平方向に施工される追加地盤改良部３は、上述した第２地盤改良体２の施工箇所と平面視で同じ箇所に施工される。
【００２５】
次に、上述した地盤改良体の構築工法の施工手順と作用について、図面に基づいて説明する。
図３（ａ）に示すように、先ず、浅部側の第１地盤Ｇ１に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体１を構築する。具体的には、例えば並設した２軸あるいは３軸の回転軸の先端部に複数段の攪拌翼を備えた図示しない多軸深層混合処理装置を用い、それら攪拌翼で攪拌領域を形成して原地盤の土と固化材とを攪拌混合して改良土とする。
【００２６】
次いで、図３（ｂ）に示すように、第１地盤Ｇ１より深部側の第２地盤Ｇ２および第３地盤Ｇ３に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体２を構築する。具体的には、先ず所定位置にボーリング孔を削孔し、図示しないジェットグラウト装置を地上の所定位置に配置し、グラウト注入用のロッドを所定の地盤改良範囲の下端位置（図１の第３地盤Ｇ３の下端付近）まで挿入した後、ロッドを上方へ引抜きながら高圧のセメント系硬化材を圧縮空気と同時に横方向に噴射、回転させることで、地盤中に所定径の複数の円柱状固結体からなる第２地盤改良体２を構築する。
【００２７】
その後、図３（ｃ）に示すように、第１地盤改良体１の側方の地盤を第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面近傍（未改良層Ｔ）の高さ（第２地盤Ｇ２の上下方向中間部）まで掘り下げて掘削部４を設ける。この掘削部４を施工する際には、その掘削領域の外周部分に止水矢板５を設置して土留めを施してから、その内部を掘削する。
【００２８】
次に、図３（ｄ）に示すように、掘削部４から未改良層Ｔに対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部３を構築する。具体的には、先ず所定位置にボーリング孔を削孔し、ジェットグラウト装置６を掘削部４の底盤部４ａに配置し、グラウト注入用の水平ロッド７を未改良層Ｔの端部位置（掘削部４と反対側の端部付近）まで挿入した後、水平ロッド７を掘削部４側へ引抜きながら高圧のセメント系硬化材を圧縮空気と同時に噴射、回転させることで、未改良層Ｔ中に所定径の複数の円柱状固結体からなる追加地盤改良部３を構築する。
なお、この追加地盤改良部３の構築は、複数箇所の円柱状固結体からなる第２地盤改良体２の全てが完了してから行われる。
【００２９】
本地盤改良体の構築工法では、第２地盤改良体２と第１地盤改良体１との界面部分の未改良層Ｔに対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によってさらに水平方向の地盤改良を施すことができる。このときの水平方向に施工するジェットグラウト工法では、その高圧噴射方向が水平方向に延びる水平ロッド７を中心として径方向外側の向きとなるので、第１地盤改良体１の底面１ａに形成される凹部に入り込んだ土に対しても高圧噴射によって確実に改良することができる。そのため、界面部分全面にわたって未改良部分の無い追加地盤改良部３を構築することができ、その追加地盤改良部３を介して第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との一体化を図ることができる。
【００３０】
また、未改良層Ｔに施される追加地盤改良部３の施工のタイミングを第２地盤改良体２の硬化前とすることで、その未改良層Ｔの追加地盤改良部３と第２地盤改良体２とが確実に一体化されることになる。
このように上下に配置される異なる種類の地盤改良体１、２どうしを追加地盤改良部３を介して確実に一体化させることができるので、地盤支持力を十分に確保でき、地震時における杭の損傷の発生を防止することができる。
【００３１】
そして、本構築工法では、浅部側に軟弱地盤があり、その下層の深部側に前記軟弱地盤よりもＮ値の大きな地盤を有する場合に好適であり、深部側の地盤に対しては高価なジェットグラウト工法を用いるとともに、浅部側の地盤に対しては安価な深層混合処理工法が適用されるので、全体の地盤改良にかかるコストの低減を図ることができる。とくに、軟弱層が厚く、その下のＮ値が３０〜４０の地盤を改良する場合には改良にかかるコストの低減効果が大きくなる利点がある。
【００３２】
また、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面に積極的に所定高さを有する未改良層Ｔを設けることで、水平方向に施工するジェットグラウト工法による水平ロッド７の挿入および引抜きが容易となり、施工の効率を向上させることができる。
そして、所定高さを有する未改良層Ｔを設けることで、追加地盤改良部３も一定の厚さをもたせることができ、高圧噴射されるセメント系硬化材と土とが混合されるのに十分な領域を確保することができ、良好な地盤改良が行えることから、第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との一体化をより確実なものとすることができる。
【００３３】
さらに、本構築工法では、未改良層Ｔの直ぐ側方に設けられる掘削部４を使用し、その掘削部４にジェットグラウト装置６を配置して未改良層Ｔへ向けて水平方向の追加地盤改良部３を構築することができる。すなわち、掘削部４と未改良層Ｔとの位置が近いうえ、掘削部４から未改良層Ｔの位置を特定し易いため、精度の高い地盤改良が行える利点がある。
【００３４】
さらにまた、第２地盤改良体２は、時間の経過とともに、ブリージングによる沈下が発生し、第１地盤改良体１の底面１ａとの間に未改良部分をなす隙間が形成されることになるが、本構築工法によれば、この隙間部分も前記未改良層Ｔと同様に扱い、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって追加地盤改良部３を構築することができ、前記沈下に伴う隙間にも対応することができる。
【００３５】
上述のように本実施の形態による地盤改良体の構築工法では、適宜なタイミングで第１地盤改良体１と第２地盤改良体２との間の界面部分に形成される未改良層Ｔに対して追加地盤改良部３を構築することで、上下に配置される異なる種類の地盤改良体１、２どうしを確実に一体化させることができる。そのため、浅部側の軟弱地盤に対しては安価な深層混合処理工法を用い、地盤改良範囲のうち高価なジェットグラウト工法で施工する割合を減らすことが可能となるので、地盤改良にかかるコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【００３６】
以上、本発明による地盤改良体の構築工法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では第１地盤改良体１（未改良層Ｔ）の側方に掘削部４を設ける方法としているが、掘削部４を設けることに制限されることはない。例えば、地下構造物や、既設の立坑など、第１地盤改良体１（未改良層Ｔ）の側方に水平方向を施工するジェットグラウト装置を配置できる空間が有り、この空間を使用してジェットグラウト工法を行うことが可能であればよい。そのため、この空間（掘削部４）の位置、広さ、深さ等は、そこに配置する装置の大きさ、未改良層Ｔの位置、厚さ寸法などの条件に応じて設定することができる。つまり、第１地盤改良体１から水平方向に離れた位置に掘削部４を設けるようにしてもかまわない。
【００３７】
また、本実施の形態では第２地盤改良体３の構築後に掘削部４を施工する手順としているが、これに限定されない。例えば、第１地盤改良体１の施工に影響がなければ、この第１地盤改良体１と同時、或いは先行して掘削部４を施工しても良い。
さらに、深層混合処理工法およびジェットグラウト工法の具体的な方法、使用する装置の構造などは、地盤の条件、施工範囲等の条件に応じて適宜変更可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【００３８】
１ 第１地盤改良体
２ 第２地盤改良体
３ 追加地盤改良部
４ 掘削部
６ ジェットグラウト装置
７ 水平ロッド
Ｇ１ 第１地盤
Ｇ２ 第２地盤
Ｇ３ 第３地盤
Ｔ 未改良層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法であって、
浅部側の地盤に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体を構築する工程と、
前記第１地盤改良体より深部側の地盤に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体を構築する工程と、
前記第１地盤改良体の側方から前記第１地盤改良体と前記第２地盤改良体との間の界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部を設ける工程と、
を有することを特徴とする地盤改良体の構築工法。
【請求項２】
前記第１地盤改良体から所定間隔をあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって前記第２地盤改良体を構築することで、前記界面に未改良層を設けることを特徴とする請求項１に記載の地盤改良体の構築工法。
【請求項３】
前記未改良層は、略１〜１．５ｍの高さであることを特徴とする請求項２に記載の地盤改良体の構築工法。
【請求項４】
前記第１地盤改良体の側方の地盤を前記界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部を設け、該掘削部から水平方向に施工するジェットグラウト工法によって前記追加地盤改良部を構築することを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の地盤改良体の構築工法。
【請求項１】
上下に配置される異なる種類の地盤改良体どうしを一体化させるための地盤改良体の構築工法であって、
浅部側の地盤に対して深層混合処理工法によって地盤改良を行って第１地盤改良体を構築する工程と、
前記第１地盤改良体より深部側の地盤に対して鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行って第２地盤改良体を構築する工程と、
前記第１地盤改良体の側方から前記第１地盤改良体と前記第２地盤改良体との間の界面部分に対して、水平方向に施工するジェットグラウト工法によって地盤改良を行うことで追加地盤改良部を設ける工程と、
を有することを特徴とする地盤改良体の構築工法。
【請求項２】
前記第１地盤改良体から所定間隔をあけた高さまで鉛直方向に施工するジェットグラウト工法によって前記第２地盤改良体を構築することで、前記界面に未改良層を設けることを特徴とする請求項１に記載の地盤改良体の構築工法。
【請求項３】
前記未改良層は、略１〜１．５ｍの高さであることを特徴とする請求項２に記載の地盤改良体の構築工法。
【請求項４】
前記第１地盤改良体の側方の地盤を前記界面近傍の高さまで掘り下げて掘削部を設け、該掘削部から水平方向に施工するジェットグラウト工法によって前記追加地盤改良部を構築することを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の地盤改良体の構築工法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１２−１７７２７８（Ｐ２０１２−１７７２７８Ａ）
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−４１６５８（Ｐ２０１１−４１６５８）
【出願日】平成２３年２月２８日（２０１１．２．２８）
【出願人】（０００００２２９９）清水建設株式会社 (2,433)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月２８日（２０１１．２．２８）
【出願人】（０００００２２９９）清水建設株式会社 (2,433)
【Ｆターム（参考）】
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