地盤改良工法および地盤改良機械
【課題】処理深度別に流動性を積極的に変化させることで、高品質で且つ経済性に優れた地盤改良工法を提供する。
【解決手段】現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌する地盤改良工法として、バックホウに持たせた混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施す。その際に、(a)処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその処理深度−流動性特性を予め定めておき、対象領域の処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を上記特性から求め、対象領域での処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となり、同時に、(b)実混合撹拌時における混合撹拌翼の周回速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないようにする。
【解決手段】現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌する地盤改良工法として、バックホウに持たせた混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施す。その際に、(a)処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその処理深度−流動性特性を予め定めておき、対象領域の処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を上記特性から求め、対象領域での処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となり、同時に、(b)実混合撹拌時における混合撹拌翼の周回速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水とセメント等の固化材とを混ぜ合わせたミルク状固化材もしくは粉体状固化材を地中に噴射しながら現位置土(原土)の掘削と混合撹拌処理を施すことにより、その処理土の強度を増加させるようにした地盤改良工法とその工法に用いる地盤改良機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントに代表されるような固化材と水とを予め混練したミルク状固化材を地中噴射しながら処理対象となる原土と混合撹拌する地盤改良工法においては、そのミルク状固化材量の決定は処理品質や経済性および施工性の上で重要な要素となる。そこで従来は、処理対象となる現場の土(現位置土もしくは原土)を先ず採取し、目標強度を達成するであろうと思われる固化材量を決定した上で、水との混合比率を変えた複数のミルク状固化材のパターンでの強度を測定して相関グラフを作成し、最終的にはそのグラフをもとに、目標強度を達成できて且つ最も経済性に優れた固化材量を求めるようにしている。
【0003】
例えば特許文献1では、図28に示すように、処理対象となる特定の原土での目標強度を160kN/m2とした場合、水(W)と固化材(C)との混合率W/Cの値をそれぞれ70%、90%および110%と経験的に推測した上で、それぞれの強度を測定してグラフ化し、同グラフから目標強度160kN/m2を満足し得る固化材量として、W/C=70%のときには71kg/m3、W/C=90%のときには93kg/m3、W/C=110%のときには111kg/m3をそれぞれ求めるようにしている。そして、現場での施工性や経済性を考慮して、特に水分量が小さいほど強度発現が顕著となることから、多くの場合には水分量の最も少ない固化材量で目標強度を達成できるものとして、W/C=70%の場合の71kg/m3を最終的に選定するようにしている。
【0004】
ただし、上記のような固化材量の決定はあくまで原土サンプルを使用した室内土質試験での目標強度に基づくものであって、実際の現場での改良深度や施工性等を忠実に反映したものではないことから、多くの場合には室内強度の75〜50%程度とみなして実際の施工を行うことになる。
【特許文献1】特願2002−82436号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように原土のサンプルを採取した上で混合すべき固化材量を決定したとしても、現場での実際の原土の性状によっては粘着性が高すぎて十分な混合撹拌が行えなかったり、特に深度が3m程度よりも大きくなる場合には土圧による拘束圧もかかり、機械負荷が大きすぎて十分な混合撹拌ができずに混合むらが生じるなど品質の低下を招くことがある。また、逆に要求品質を満たすような混合撹拌を行おうとすると必要以上に時間がかかり、不経済となって好ましくない。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、地盤改良による機械負荷を考慮して予め改良処理深度−流動性特性または改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を定めておき、これらの特性から求めた目標とする流動性特性値となるように改良処理を行うことにより、例えばミルク状固化材と原土とを均一に混合撹拌することができ、しかもその混合撹拌によって処理土が流動化を呈する状態とすることで後処理としての締め固めを必要としない地盤改良工法と地盤改良機械を提供するものである。
【0007】
すなわち、一般に、土壌は含水比の大きさに応じて「固体−(収縮限界)−半固体−(塑性限界)−塑性体−(液性限界)−液体」のように変化し、含水比が小さく比較的安定した状態であっても、含水比が大きくなるのに伴い液状化を呈する軟弱土へと変化してゆく。これは、土壌の力学的性質を支配している主要因子が含水量であることを示していることにほかならない。その一方、ミルク状固化材を地中に噴射しながら原土と混合撹拌する地盤改良工法は、ミルク状固化材との混合撹拌による水分補給によって処理土が流動化する故に、一般的には後処理として処理土の締め固めを必要としない工法であると言われているが、先にも述べたように原土の土質性状によっては混合むらや空隙の発生が余儀なくされる。
【0008】
そこで、土質試験によって得られた原土の含水比や液性限界等の諸性状数値により原土の硬軟の程度や粘着度の強弱を把握し、その程度に応じ改良深度ごとに機械負荷のかからない流動性を確保できる程度にまでミルク状固化材に含まれる水分量を大きくすることで、混合撹拌直後に処理土を積極的に流動化させ品質を向上させるのが本発明の目的である。
【0009】
さらに、常に処理土が流動化することによって処理土の強度発現に最も影響を与える混合度合いを最適化するべく深度別に流動性を変化させ、最も経済的な流動性のもとで施工を行い、高品質で且つ経済性に優れた地盤改良工法と地盤改良機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、深度が15m以下の現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌して現位置土の強度増加を図る地盤改良工法において、母機として機能する建設機械のアーム先端に、上下方向に周回移動する混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを装着し、この混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施すにあたり、下記(a),(b)の条件を満たすように改良処理を施すことを特徴とする。
【0011】
(a)少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるようにすること。
【0012】
(b)実際の混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないこと。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、上記改良処理深度−流動性特性に代えて、少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなり且つ原土の湿潤密度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度と原土の湿潤密度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるように改良処理を行うことを特徴とする。
【0014】
この場合、上記流動性の度合いを示す指標としては、例えばJIS R 5201に準拠したフロー試験(テーブルフロー試験)におけるフロー値や、同じくJIS A 1101のスランプ試験に準拠したスランプ値、あるいは粘性度合い等のパラメータを使用することができる。
【0015】
さらに、実際の施工時には、地盤改良処理品質の向上の観点から、予め定めた養生期間経過後の目標強度を満足させるのに必要な固化材の添加量にて改良処理を行うものとする。また、請求項3,4に記載のように、混合撹拌翼の周回速度や混合撹拌ヘッドによる改良処理深度をリアルタイムで計測しながら改良処理を行うことが望ましい。
【0016】
また、請求項1〜4に記載の発明において、より効率的な地盤改良処理を行う上では、請求項5に記載のように、平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うものとする。
【0017】
より具体的には、請求項6に記載のように、略矩形波状の移動軌跡となる混合撹拌ヘッドの動きは、平面視におけるアーム長さ方向での往動動作と復動動作および双方の動作位置間でのシフト動作を1サイクルとしてこれらを複数サイクル繰り返すものとし、上記混合撹拌ヘッドのシフト動作は、平面視における混合撹拌ヘッドの処理幅寸法以内のものとして行うものとする。
【0018】
この場合、平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、請求項7に記載のように、平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させるか、請求項8に記載のように、平面視にて略N字状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うようにしてもよい。
【0019】
また、請求項1〜8のいずれかに記載の地盤改良工法に用いる地盤改良機械としては、請求項9に記載のように、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えていることが望ましく、特に、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度を計測する手段と混合撹拌ヘッドの鉛直度を計測する手段はその両者を併用することが望ましい。さらに、請求項10に記載のように、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度をそれぞれ計測する手段を共に備えていることがより望ましい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,2に記載の発明によれば、予め改良処理深度−流動性特性または改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を定めておき、これらの特性から求めた目標とする流動性特性値、すなわち改良処理深度に応じた流動性特性値となるように地盤改良処理を行うことにより、処理機械が無理なく作動するので処理品質のばらつきがなく、混合むらや空隙の発生をなくして処理品質を向上させることができるほか、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができることによって経済性にも優れ、コストダウンを図ることができる。
【0021】
また、請求項3,4に記載の発明によれば、混合撹拌翼の周回速度あるいは混合撹拌ヘッドによる改良処理深度を計測しながら改良処理を行うことで、処理品質が一段と向上する。
【0022】
請求項5〜8に記載の発明によれば、処理機械たる混合撹拌ヘッドを地中において平面視にて略矩形波状、ジグザグ状もしくは略N字状に移動させて改良処理を行うようにしたことにより、混合撹拌ヘッドの地中への貫入と引き上げとを繰り返し行う従来工法に比べて一段と効率よく作業を行える。
【0023】
請求項9,10に記載の発明によれば、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えているため、改良処理深度や混合撹拌度合いが安定化して処理品質が一段と向上し、特に混合撹拌ヘッドの鉛直度を計測する手段を備えている場合には鉛直精度の優れた施工を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜5は本発明の好ましい実施の形態として地盤改良のための施工システムを示し、特に図1〜3は建設機械であるバックホウ1をベースマシン(母機)とする地盤改良機械の全体構造を、図4,5はその細部の構造をそれぞれ示している。なお、図1と図2は同一のものであるが、図面の錯綜化を避けるために二つの図に分けて描いてある。
【0025】
図1に示すように、ベースマシンであるバックホウ1のアーム2の先端には、土壌の掘削と混合撹拌のためにチェーン駆動式のいわゆるトレンチャー式と称される処理機械としての油圧駆動式の混合撹拌ヘッド3が着脱可能に装着されている。
【0026】
トレンチャー式の混合撹拌ヘッド3は、図4,5に示すようにフレーム4の上部の駆動論であるチェーンスプロケット5と下部の従動輪6との間にエンドレスなドライブチェーン7を巻き掛けるとともに、そのドライブチェーン7の外周に等ピッチで複数の混合撹拌翼8,8…を装着したものであり、各混合撹拌翼8には図5に示すように複数のカッター刃9が突設されている。上記フレーム4の先端には固化材吐出口10が設けられており、例えば図示しないグラウトポンプ等によって配管11を通して圧送されてきたスラリ状もしくは粉体状の固化材が吐出されるようになっている。そして、フレーム4の上部に設けられた油圧モータ12を起動することにより各混合撹拌翼8,8…がドライブチェーン7とともに周回移動し、それに併せてバックホウ1の推力にて混合撹拌ヘッド3を地中に貫入することにより、土壌の掘削と先に述べた固化材吐出口10から吐出されるスラリ状固化材もしくは粉体状固化材との混合撹拌が行われる。
【0027】
ここで、油圧モータ12と同軸上にはロータリーエンコーダ等の回転センサ13が設けられており、この回転センサ13をもってチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm)が検出されるようになっている。また、上記ドライブチェーン7を駆動するための駆動輪はそのドライブチェーン7と噛み合うチェーンスプロケット5である必要があるが、従動輪6については必ずしもチェーンスプロケットである必要はない。
【0028】
このような混合撹拌ヘッド3による地盤改良工法に際しては、先ず従来と同様に、地盤改良の対象となる土壌を採取して事前に配合試験を行って、図28のグラフに基づいて目標強度を達成するのに必要な水/セメント比(W/C)を決定し、その上で固化材添加量すなわち例えばセメント添加量を決定する。なお、この固化材添加量は、予め定めた養生期間経過後の目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量であることは言うまでもない。
【0029】
さらに、施工すべき改良処理深度の大きさにかかわらず、上記のように原位置土の掘削と混合撹拌処理を司ることになるトレンチャー式の混合撹拌ヘッド3の負荷が常に65%以下となるように、その改良処理深度に応じ改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。より具体的には、混合撹拌時における混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率をAv、無負荷時における混合撹拌翼8の周回速度すなわちドライブチェーン7の周回速度をB(m/sec)、混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回平均速度をC(m/sec)とした場合に、下記(1)式より算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下となるように、改良処理深度に応じて改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。
【0030】
Av={(B−C)/B}×100(%)‥‥(1)
ただし、
Av:混合撹拌時における混合撹拌ヘッドの負荷抵抗率
B:無負荷時における混合撹拌翼の周回速度
C:混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度
上記の無負荷時におけるドライブチェーンの周回速度B(m/sec)は、先の回転センサ13によって検出される油圧モータ12の回転数をN(rpm)、ドライブチェーン駆動用のチェーンスプロケット5の円周寸法をK(m)とすれば、下記(2)式によって算出される。
【0031】
B(m/sec)=(N×K)/60‥‥(2)
また、上記の混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回平均速度C(m/sec)は、無負荷時と異なり混合撹拌抵抗を受けて変動するので、例えば予め試運転等を行って所定時間(例えば10分間)でのドライブチェーン7の速度C1(m/sec)を記憶もしくは記録した上で、その所定時間内でのドライブチェーン7の平均速度C(m/sec)として算出して予め求めておくものとする。
【0032】
上記(1)式によって算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うためには、実際の混合撹拌時におけるドライブチェーン7(混合撹拌翼8)の周回速度C1が無負荷時におけるドライブチェーン7の周回速度B(m/sec)の二分の一の大きさを下回らないように施工することにほかならないことから、後述するように実際の混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回速度C1を例えばバックホウ1のキャビン内等にリアルタイムで可視表示して、オペレータに対し実際の施工時の周回速度C1が無負荷時の周回速度B(m/sec)の二分の一の大きさを下回らないで施工するように促す。
【0033】
より具体的には、例えば図3に示すように、平面視にて幅がL、長さがMの矩形状に区割りされた一つの領域(以下、これを1区割りという)Eを1単位として地盤改良処理を行う場合、図6の(A)に示すように混合撹拌ヘッド3を地表よりも上方に上昇させた状態でいわゆる空運転を行い、実質的に無負荷の状態で混合撹拌翼8,8…をドライブチェーン7とともに周回移動させて、その時のドライブチェーン7の周回速度Bを上記(2)式に基づいて計測する。ここでは周回速度Bとして例えば1.4(m/sec)を計測したと仮定する。
【0034】
次いで、指定された1区割りEについて、同図(B)に示すように所定の改良処理深度のもとで実際の施工を行い、所定時間内(例えば10分間)もしくは1区割りEについての処理が終了するまでの実際のドライブチェーン7の周回速度C1(m/sec)をリアルタイムで且つ連続して計測し、その値を記憶もしくは記録する。その上で、作業終了後にそれらの周回平均速度C(m/sec)を算出する。ここでは、その周回平均速度Cが1.2(m/sec)であったと仮定する。
【0035】
こうして求めたドライブチェーン7の周回速度B=1.4(m/sec)および周回平均速度C=1.2(m/sec)の値をもとに、検証の意味で先の(1)式に基づいて混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avを算出する。すなわち、負荷抵抗率Avは
Av={(1.4−1.2)/1.4}×100=14.3(%)
となる。
【0036】
そして、ここで算出した負荷抵抗率Av=14.3%の値は、先に述べたような負荷抵抗率Avが65%以下という要求条件を満たしていることになる。言い換えるならば、上記(1)式よりして実際の施工時にそのドライブチェーン7の周回速度C1が無負荷時のドライブチェーン7の周回速度Bの二分の一の値を下回らないように配慮さえすれば、負荷抵抗率Avとして65%以下という要求条件を常に満たしていることになる。
【0037】
そこで、上記の例では、以降の実際の施工すなわち地盤改良処理に際して、オペレータに対し施工条件として無負荷時のドライブチェーン7の周回速度B=1.4(m/sec)の二分の一に相当するデータとして0.7(m/sec)という管理目標値を提示し、当該管理目標値以上となるようなドライブチェーン7の周回速度で処理するように指示する。その一方で、施工中のドライブチェーン7の周回速度C1をリアルタイムで計測した上で後述するようにバックホウ1のキャビン等に可視表示するものとし、その結果としてオペレータは可視表示されたデータを目視確認しながら上記管理目標値である0.7(m/sec)以上となるように施工を行えば、要求される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avを充足することができる。
【0038】
さらに、実際の施工時に少なくとも経済性と施工性を両立し得るであろう改良処理深度と改良処理直後における処理土の流動性との相関として、図7に示すような改良処理深度−流動性特性のグラフを予め用意しておくものとする。このグラフは、過去の施工実績すなわち種々の土質や改良処理深度等、過去に蓄積した施工データから経験的に定めたものであり、横軸は改良処理深度を、縦軸は改良処理直後の流動性の指標であるテーブル試験のフロー値(JIS R 5201に準拠)をそれぞれ指示している。ここでは、改良処理深度3mのときのフロー値の許容下限値を100mm、同じく許容上限値を140mmとするとともに、改良処理深度15mのときのフロー値の許容下限値を180mm、同じく許容上限値を220mmとした上で、上記許容下限値同士および許容上限値同士を結ぶように所定勾配の二本の平行線を引き、それら二本の平行線の範囲内を、改良処理直後の流動性の指標であるフロー値の許容範囲として設定してある。同図から明らかなように、改良処理深度が大きくなるほど処理直後の処理土の流動性が高くなるように設定してある。
【0039】
なお、同図のグラフから明らかなように、改良処理深度が3m未満の場合にはそのフロー値の許容範囲は改良処理深度が3mのときと同じに設定してあり、同様に改良処理深度が15mを越える場合にはブリージング防止の観点からそのフロー値の許容範囲は改良処理深度が15mのときと同じに設定してある。
【0040】
そして、先に述べた混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うべく、実際の施工箇所(地盤改良の対象となる地盤)の深度に応じて図7のグラフから該当するフロー値を選択し、そのフロー値条件を満たすように改良処理深度ごとに改良処理直後の処理土の流動性を変化させて施工を行うものとする。この流動性の選択は、図28に基づいて最初に決定した水/セメント比(W/C)に基づく固化材添加量(セメント添加量)に優先するものとする。例えば改良処理深度が15mの場合には、図7のグラフからフロー値として180mm〜220mmの範囲を選択し、その許容範囲の中央値である200mmを目標値として流動性を調整するものとする。
【0041】
すなわち、常に処理土が流動化することによってその処理土の強度発現に最も影響を与える混合度合いを最適化するべく改良処理深度別に改良処理直後の流動性を積極的に変化させ、最も経済的な流動性のもとで施工を行うものとする。
【0042】
こうすることにより、混合撹拌ヘッド3が無理なく且つ安定して混合撹拌処理を行うことになるので、品質のばらつきが少なく、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができて、結果的にコストダウンを図ることができるようになる。
【0043】
なお、当然のことではあるが、超軟弱な地盤を施工する場合には、スラリ状固化材ではなく粉体状の固化材を直接地中に吐出して施工を行うものとする。
【0044】
また、希に施工対象箇所が超々軟弱な地盤であるような場合には、図7に示すグラフのフロー値の許容範囲を満たそうとすると必要とする固化材添加量が極端に増大することが予想される。そのような場合には経済性を重視し、例外としてフロー値が図7に示すグラフの許容範囲を上方側に逸脱した状態で施工を行うこともある。
【0045】
図8は、本実施の形態の変形例として図7のものに代えて用いられる相関グラフを示し、図7では改良処理深度と処理土の流動性の指標であるテーブルフロー値との相関を示しているのに対して、図8では改良処理深度と処理土の流動性の指標であるテーブルフロー値、および原土の物性(物性値)の指標である湿潤密度ρt(t/m3)との相関を示している。
【0046】
このグラフもまた、過去の施工実績すなわち種々の土質や改良処理深度等、過去に蓄積した施工データから経験的に定めたものであり、横軸は改良処理深度を、縦軸は改良処理直後の流動性の指標であるテーブル試験のフロー値のほか原土の物性値である湿潤密度ρt(t/m3)をそれぞれ指示している。
【0047】
実際の施工に際し流動性の指標であるフロー値は、施工性の面からは混合撹拌抵抗が小さくなる高めの値が望ましく(混合撹拌抵抗と処理土のフロー値は反比例する)、また品質的にも混合撹拌性を良くするためにはフロー値として高めの値が望ましいと言える(処理土のフロー値と施工性は正比例する)。しかしながら、高めのフロー値にて目標強度を満足させるには固化材を多量に使用することになり、不経済となる(処理土のフロー値と目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量は反比例する)。よって、施工的にも品質的にも且つ経済的にも望ましい流動値たるフロー値を決定するにあたって、先に述べた図8の相関グラフを使用するものとする。
【0048】
先に述べたように、図8の相関グラフは、改良処理深度および流動性の指標であるテーブルフロー値以外に原土の物性値として原土の湿潤密度ρtを併用している点で図7のものと異なっている。
【0049】
実際の施工時の混合撹拌抵抗は、改良処理深度および原土の湿潤密度ρtに正比例して増減することが知られている。また、混合撹拌性は混合撹拌抵抗に正比例するとともに、原土の湿潤密度ρtと目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量は反比例することもまた知られている。
【0050】
そこで、先の場合と同様に、混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うべく、実際の施工箇所(地盤改良の対象となる地盤)の深度と原土の湿潤密度ρtの値に応じて図8のグラフから該当するフロー値を選択し、そのフロー値条件を満たすように改良処理深度ごとに改良処理直後の処理土の流動性を変化させて施工を行うものとする。
【0051】
こうすることにより、先の場合と同様に、混合撹拌ヘッド3が無理なく且つ安定して混合撹拌処理を行うことになるので、品質のばらつきが少なく、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができて、コストダウンを図ることができることはもちろんのこと、施工性、処理品質および経済性を共に満足することができるようになる。
【0052】
図1〜3に示すバックホウ1のキャビン内の例えばインストルメントパネルには施工管理装置としての計測表示盤14が着脱可能に装着される。この計測表示盤14は、図9に示すように演算処理部15のほか施工に必要な各種データを可視表示する第1,第2の表示部16,17および設定器18を備えていて、後述するように施工に必要な各種データがリアルタイムで第1,第2の表示部16,17に可視表示されるようになっているとともに、必要に応じて上記各種データの算出に必要なデータを設定器18からマニュアル操作にてプリセットできるようになっている。本実施の形態では、先に述べた混合攪拌ヘッド3のドライブチェーン7を駆動するためのチェーンスプロケット5の円周寸法Kの値等が設定器18でプリセットされて演算処理部15に取り込まれる。なお、計測表示盤14は計時機能部19を有していて、例えば任意のタイミングで図示外のスタートボタンを押圧操作してから現在時刻までの時間、およびスタートボタンを押圧操作してから同じく図示外のストップボタンを押圧操作するまでの時間を計時可能となっている。
【0053】
また、バックホウ1にはアーム2の回転角度を検出するための角度センサ20や、ブーム21の回転角度を検出するための角度センサ22、および混合撹拌ヘッド3の首振り旋回方向(θ方向)での鉛直度合いを検出するための角度センサ23がそれぞれ設けられていて、これらの各角度センサ20,22,23の検出出力は先に述べた混合撹拌ヘッド3側の回転センサ13の検出出力(ドライブチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm))とともに計測表示盤14の演算処理部15に入力される。なお、上記の角度センサ20,22,23としてはいわゆるトルクバランス方式と称される公知の構造のものが使用される。
【0054】
上記の計測表示盤14の演算処理部15では、回転センサ13や角度センサ20,22,23からの検出出力ならびにプリセットデータをもとに所定の演算を行って、例えば図1に示すように、その演算結果であるチェーン速度と1区割りE当たりの累積移動距離および深度とがそれぞれ数値と累積積算波形の二つの形態としてリアルタイムで第1の表示部16に可視表示され、同時に図2に示すように混合撹拌ヘッド3の鉛直度合いがリアルタイムで第2の表示部17に可視表示される。
【0055】
ここで、チェーン速度は先に述べたように混合撹拌翼8,8…の周回速度にほかならないから、回転センサ13の回転出力N(rpm)とチェーンスプロケット5の円周K(m)とをもとに先の(2)式に基づいて算出される。
【0056】
一方、1区割りE当たりの累積移動距離は、図3に示した1区割りEの地盤改良処理に要したドライブチェーン7の現在までの総移動距離にほかならず、上記のチェーン速度(混合撹拌翼8,8…の周回速度)と1区割りEの地盤改良処理に要した時間とを乗じることによって算出される。つまり、1区割りEの地盤改良に際してドライブチェーン7が混合撹拌翼8,8…とともに絶えず周回移動しているものとみなして、その1区割りEの処理開始時にオペレータがスタートボタンを押してから現在(現在時刻)までの累積作業時間を計時し、その累積作業時間(秒)にチェーン速度(m/sec)を乗じることによって算出される。なお、上記累積作業時間は図示しないリセットボタンの操作により任意のタイミングでリセット可能である。
【0057】
また、深度H(m)は図1に示すように地面から混合撹拌ヘッド3の先端(下端)までの掘り下げ施工深さであり、次の式(3)によって算出される。なお、この深度についても図示しないリセットボタンの操作により任意のタイミングでリセット可能である。
【0058】
H=D1−D2−α‥‥(3)
D1=L1×sinθ1
D2=L2×sinθ2
ただし、
D1:アーム2の角度による垂直方向の距離
D2:ブーム21の角度による垂直方向の距離
L1:混合撹拌ヘッド3の上端からアーム2とブーム21の接続部までの距離(定数)
L2:アーム2とブーム21の接続部からブーム21の車両固定部までの距離(定数)
C:リセットボタン操作によるオフセット量
ここで、先に述べたように幅M×長さLの1区割りEの施工に当たっては、図3に示すようにその1区割りEの領域を例えば(1)〜(9)の細領域に分けた上で、その都度所定量ずつオーバーラップさせながら施工を行うものとする。
【0059】
より具体的には、図10に示すようにその1区割りEの始端部に有効処理幅Wの混合撹拌ヘッド3を貫入したならばその混合撹拌ヘッド3を幅方向Lにおいて矢印a1方向に連続移動させながら地盤改良処理として掘削と混合撹拌処理を行うものとする。そして、矢印a1方向のストロークエンドに達したならば、混合撹拌ヘッド3を抜き上げることなくそのまま図11の矢印b1方法に有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせ、引き続き混合撹拌ヘッド3を図12の矢印a2方向に連続移動させて同様に処理を行う。混合撹拌ヘッド3が矢印a2方向のストロークエンドに達したならば、混合撹拌ヘッド3を同図の矢印b2方向に有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせ、以降は図13に示すように同様の動作を1区割りEの終端部に至るまで繰り返す。
【0060】
この場合、オペレータはバックホウ1のキャビンに設置された計測表示盤14の第2の表示部17(図2および図9参照)を確認しながら、混合撹拌ヘッド3が常に鉛直方向(図2における第2の表示部17の0度の方向)を指向するようにその姿勢を制御する。
【0061】
すなわち、図10〜13における矢印a1方向の混合撹拌ヘッド3の移動を往動動作、矢印a2方向の混合撹拌ヘッド3の移動を復動動作、矢印b1,b2方向の混合撹拌ヘッド3の移動をシフト動作とすると、これらの往動動作と復動動作およびシフト動作を1サイクルとしてこれら動作を複数回繰り返すことで平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッド3を動かして施工を行うものとする。そして、上記シフト動作の際に混合撹拌ヘッド3の有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせることにより、1区割りEのどの部分についても少なくとも2回の混合撹拌処理が施されることになり、処理品質の向上と均一化が図れるようになる。
【0062】
ここで、1区割りEについての最初の往動動作と最後の往動もしくは復動動作の際には、混合撹拌ヘッド3の移動速度を通常の二分の一程度として極低速で処理を行うものとする。こうすることにより、混合撹拌ヘッド3の一回の通過にもかかわらず二回通過した場合と同等の処理を行える。その結果として、図10〜13の(B)に示すように、処理後の1区割りEのなかには3回の混合撹拌処理が行われた部分e1が一部存在するものの、1区割りEの全領域について平均的に少なくとも2回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0063】
ここで、上記のように平面視にて略矩形波状の混合撹拌ヘッド3の移動軌跡のもとで混合撹拌処理を行うのに代えて、図14〜17に示すように平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌処理を行うようにしても同等の効果が得られる。
【0064】
また、図18に示すように混合撹拌ヘッド3の有効長さt1よりも改良処理深度tが大きい場合には、その混合撹拌ヘッド3の上端部、より具体的にはチェーン駆動用のチェーンスプロケット5の半径寸法t2程度が地表に出るまで、混合撹拌ヘッド3全体を積極的に上下動させながら施工を行うものとする。こうすることにより、改良処理深度tよりも混合撹拌ヘッド3の有効長さt1が小さいにもかかわらず、深さ方向においてより均一な施工を行えるようになる。
【0065】
図19〜図23には別の施工例を示す。この施工例では、混合撹拌ヘッド3の移動軌跡が平面視にて略N字状のものとなるように施工を行うようにしたものである。
【0066】
図19に示すように、1区割りEの施工にあたり、目印となる4本のポール29,29‥を立てた上で、1レーン目として施工基本速度の1/2の速度で混合撹拌ヘッド3にて混合撹拌処理を行う。施工基本速度の1/2の速度で施工を行うことで、1レーン目の施工領域e11について実質的に2回混合撹拌処理を行った場合と同等の効果が得られることになる。
続いて、図20に示すように、同様にポール29,29‥を目印として、1レーン目の施工領域e11と半分がオーバーラップするように、施工基本速度にて斜めに2レーン目の領域e12について施工を行う。これにより、上記のオーバーラップ領域e13では合計で3回の混合撹拌処理が行われたことになる。
【0067】
続いて、図21に示すように、2レーン目の施工領域e12と半分がオーバーラップするように、3レーン目の領域e14について施工基本速度で真っ直ぐに施工を行う。これにより、上記のオーバーラップ領域e15では合計で2回の混合撹拌処理が行われたことになる。そして、以降は図20,21と全く同様の施工を順次繰り返す。
【0068】
ここで、1日分の作業の終わりのレーンである領域e20の施工に際しては、図22に示すように施工基本速度の1/2の速度で施工を行う。こうすることにより、その直前に施工が完了した隣りのレーンとのオーバーラップ領域e19では、実質的に合計3回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0069】
一方、翌日の最初の1レーン目の領域e21の施工については、一部固化が進行している前日の最終施工レーンの領域e20に隣接して、図19の場合と同様に施工基本速度の1/2の速度で施工を行い、以降は図20〜図23と全く同様の施工を順次繰り返す。
【0070】
この施工方法においても、処理後の1区割りEのなかには3回の混合撹拌処理が行われた部分が一部存在するものの、1区割りEの全領域について平均的に少なくとも2回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0071】
図24〜図26は、本発明の第2の実施の形態を示す。
【0072】
先の第1の実施の形態では、混合撹拌ヘッド3に設けた回転センサ13にてチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm)を検出し、その検出出力に基づきドライブチェーン7の周回速度C1を算出した上で、そのドライブチェーン7の周回速度C1をもって施工管理を行っているのに対して、この第2の実施の形態では、バックホウ1に搭載されている油圧パワーユニット30から混合撹拌ヘッド3への作動油の吐出圧力をもって施工管理を行うようにしたものである。なお、深度管理については先の第1の実施の形態と同様である。
【0073】
図24のほか図25に示すように、混合撹拌ヘッド3の油圧モータ12はバックホウ1に搭載されている油圧パワーユニット30からの作動油の供給をもって駆動されるものであることから、その油圧パワーユニット30の主要素である油圧ポンプには圧力センサ31が付設されていて、その圧力センサ31をもって混合撹拌ヘッド3の油圧モータ12に供給される作動油の吐出圧力が検出されるようになっている。
【0074】
上記油圧パワーユニット30の油圧ポンプは一般的に可変容量型のものが使用されていることから、その吐出圧力P(MPa)と流量Q(リットル/min)との相関であるP−Q特性は図25のようになる。そして、可変容量型の油圧ポンプはその吐出する油量が負荷に応じて変化することから、後述するように図25の吐出圧力Pに基づいて、先の実施の形態と同様に混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率を算出しようとするものである。
【0075】
なお、上記油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pは、図24に示すように、計測表示盤14の第2の表示部16に数値と累積積算波形の二つの形態としてリアルタイムで可視表示される。
【0076】
そして、施工すべき改良処理深度の大きさにかかわらず、上記のように原位置土の掘削と混合撹拌処理を司ることになるトレンチャー式の混合撹拌ヘッド3の負荷が常に65%以下となるように、その改良処理深度に応じ改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。より具体的には、混合撹拌時における混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率をAp、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力をPa(MPa)、混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力をPd(MPa)とした場合に、下記(4)式より算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apの値が65%以下となるように、改良処理深度に応じて改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。
【0077】
Ap={1−(Pa/Pd)}×100(%)‥‥(4)
ただし、
Ap:混合撹拌時における混合撹拌ヘッドの負荷抵抗率
Pa:無負荷時における油圧パワーユニットの作動油吐出圧力
Pd:混合撹拌時における油圧パワーユニットの作動油吐出圧力
この場合において、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pa(MPa)は、図26の(A)に示すように混合撹拌ヘッド3を地上に引き上げた状態でいわゆる空運転としてその周回駆動を行い、その時の作動油吐出圧力Pa(MPa)を測定して予め記録しておく。
【0078】
また、上記の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pd(MPa)は、無負荷時と異なり混合撹拌抵抗を受けて変動するので、例えば図26の(B)に示すように予め1区割りE分の試運転等を行って実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pd(MPa)をリアルタイムで記憶もしくは記録した上で、予めそれらの平均値を求めておく。
【0079】
上記(4)式によって算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apの値が65%の以下という条件を満たすように施工を行うためには、実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが特定の圧力値を超えないように施工を行うことにほかならないことから、後述するように実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdを例えばバックホウ1のキャビン内等にリアルタイムで可視表示して、同時に上記の特定の圧力値をオペレータに対して提示するものとする。
【0080】
より具体的には、例えば図26の(A)に示すように、いわゆる空運転を行って実質的に無負荷の状態で混合撹拌翼8,8…をドライブチェーン7とともに周回移動させた時の作動油吐出圧力Paが例えば10MPaをであったと仮定する。
【0081】
これを先の式(4)に当てはめると、負荷抵抗率Apが65%となる作動油吐出圧力Pdは28.6MPaとなる。そこで、オペレータに対して28.6MPaという圧力を管理限界値として提示し、先に述べたように実際の混合撹拌時にキャビン内にリアルタイムで可視表示されることになる油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが上記の管理限界値に越えることがないよう施工を行うように指示する。これにより、オペレータはキャビン内にリアルタイムで可視表示されることになる油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdを目視確認しながら、その値が上記の管理限界値に越えないように施工を行えば、要求される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apとして65%以下という条件を充足することができる。
【0082】
例えば図25のほか図26に示すように、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Paが10MPa、実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが23.5MPaであった場合、これを先の(4)式の当てはめると混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apは下記(5)式のようになる。なお、上記の23.5MPaという数値は、オペレータが予め提示されている管理限界値(=28.6MPa)を意識してこれを越えないように施工を行った結果にほかならない。
【0083】
Ap={1−(10/23.5)}×100(%)=57.4%‥‥(5)
このように、負荷抵抗率Ap=57.4%という数値は、その値Apが65%以下という要求条件を十分に満たしていることになる。
【0084】
ここで、施工管理装置である計測表示盤14の第1の表示部16として、実質的に図1に示した第1の実施の形態のものと図24に示した第2の実施の形態のものとを併用し、図27に示すように、チェーン速度、1区割り累積移動距離、深度および作動油吐出圧力のそれぞれについて、数値と累積積算波形の二つの形態で可視表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の好ましい実施の形態として地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図2】同じく地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図3】図1,2の平面説明図。
【図4】図1,2に示す混合撹拌ヘッドの拡大図で、(A)は正面説明図、(B)は側面説明図。
【図5】(A)は図4に示すドライブチェーンを展開した説明図、(B)は混合撹拌翼単独での説明図。
【図6】図1,2に示す施工システムでの施工手順を示す説明図。
【図7】改良処理深度とテーブル試験のフロー値との相関を示すグラフ。
【図8】改良処理深度とテーブル試験のフロー値および原土の湿潤密度との相関を示すグラフ。
【図9】図1,2に示す計測表示盤の機能ブロック回路図。
【図10】図1,2に示す施工システムでのより詳細な施工手順を示す説明図。
【図11】図10に続く施工手順の説明図。
【図12】図11に続く施工手順の説明図。
【図13】図12に続く施工手順の説明図。
【図14】図1,2に示す施工システムでの別の施工手順を示す説明図。
【図15】図14に続く施工手順の説明図。
【図16】図15に続く施工手順の説明図。
【図17】図16に続く施工手順の説明図。
【図18】図1,2に示す施工システムでのさらに別の施工手順を示す説明図。
【図19】図1,2に示す施工システムでのさらなる別の施工手順を示す説明図。
【図20】図19に続く施工手順の説明図。
【図21】図20に続く施工手順の説明図。
【図22】図21に続く施工手順の説明図。
【図23】図22に続く施工手順の説明図。
【図24】本発明の第2の実施の形態として地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図25】図1に示すバックホウの油圧パワーユニットにおけるポンプ圧力Pと流量Qとの相関を示すP−Q線図。
【図26】図24に示す施工システムでの施工手順を示す説明図。
【図27】図24に示す施工管理装置の表示部の変形例を示す説明図。
【図28】目標強度と固化材添加量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0086】
1…建設機械としてのバックホウ(ベースマシンもしくは母機)
2…アーム
3…混合撹拌ヘッド(処理機械)
7…ドライブチェーン
8…混合撹拌翼
13…回転センサ(検出手段)
14…計測表示盤
15…演算処理部
16…第1の表示部(表示手段)
17…第2の表示部(表示手段)
20…角度センサ(検出手段)
22…角度センサ(検出手段)
23…角度センサ(検出手段)
30…油圧パワーユニット
31…圧力センサ(検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、水とセメント等の固化材とを混ぜ合わせたミルク状固化材もしくは粉体状固化材を地中に噴射しながら現位置土(原土)の掘削と混合撹拌処理を施すことにより、その処理土の強度を増加させるようにした地盤改良工法とその工法に用いる地盤改良機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントに代表されるような固化材と水とを予め混練したミルク状固化材を地中噴射しながら処理対象となる原土と混合撹拌する地盤改良工法においては、そのミルク状固化材量の決定は処理品質や経済性および施工性の上で重要な要素となる。そこで従来は、処理対象となる現場の土(現位置土もしくは原土)を先ず採取し、目標強度を達成するであろうと思われる固化材量を決定した上で、水との混合比率を変えた複数のミルク状固化材のパターンでの強度を測定して相関グラフを作成し、最終的にはそのグラフをもとに、目標強度を達成できて且つ最も経済性に優れた固化材量を求めるようにしている。
【0003】
例えば特許文献1では、図28に示すように、処理対象となる特定の原土での目標強度を160kN/m2とした場合、水(W)と固化材(C)との混合率W/Cの値をそれぞれ70%、90%および110%と経験的に推測した上で、それぞれの強度を測定してグラフ化し、同グラフから目標強度160kN/m2を満足し得る固化材量として、W/C=70%のときには71kg/m3、W/C=90%のときには93kg/m3、W/C=110%のときには111kg/m3をそれぞれ求めるようにしている。そして、現場での施工性や経済性を考慮して、特に水分量が小さいほど強度発現が顕著となることから、多くの場合には水分量の最も少ない固化材量で目標強度を達成できるものとして、W/C=70%の場合の71kg/m3を最終的に選定するようにしている。
【0004】
ただし、上記のような固化材量の決定はあくまで原土サンプルを使用した室内土質試験での目標強度に基づくものであって、実際の現場での改良深度や施工性等を忠実に反映したものではないことから、多くの場合には室内強度の75〜50%程度とみなして実際の施工を行うことになる。
【特許文献1】特願2002−82436号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように原土のサンプルを採取した上で混合すべき固化材量を決定したとしても、現場での実際の原土の性状によっては粘着性が高すぎて十分な混合撹拌が行えなかったり、特に深度が3m程度よりも大きくなる場合には土圧による拘束圧もかかり、機械負荷が大きすぎて十分な混合撹拌ができずに混合むらが生じるなど品質の低下を招くことがある。また、逆に要求品質を満たすような混合撹拌を行おうとすると必要以上に時間がかかり、不経済となって好ましくない。
【0006】
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、地盤改良による機械負荷を考慮して予め改良処理深度−流動性特性または改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を定めておき、これらの特性から求めた目標とする流動性特性値となるように改良処理を行うことにより、例えばミルク状固化材と原土とを均一に混合撹拌することができ、しかもその混合撹拌によって処理土が流動化を呈する状態とすることで後処理としての締め固めを必要としない地盤改良工法と地盤改良機械を提供するものである。
【0007】
すなわち、一般に、土壌は含水比の大きさに応じて「固体−(収縮限界)−半固体−(塑性限界)−塑性体−(液性限界)−液体」のように変化し、含水比が小さく比較的安定した状態であっても、含水比が大きくなるのに伴い液状化を呈する軟弱土へと変化してゆく。これは、土壌の力学的性質を支配している主要因子が含水量であることを示していることにほかならない。その一方、ミルク状固化材を地中に噴射しながら原土と混合撹拌する地盤改良工法は、ミルク状固化材との混合撹拌による水分補給によって処理土が流動化する故に、一般的には後処理として処理土の締め固めを必要としない工法であると言われているが、先にも述べたように原土の土質性状によっては混合むらや空隙の発生が余儀なくされる。
【0008】
そこで、土質試験によって得られた原土の含水比や液性限界等の諸性状数値により原土の硬軟の程度や粘着度の強弱を把握し、その程度に応じ改良深度ごとに機械負荷のかからない流動性を確保できる程度にまでミルク状固化材に含まれる水分量を大きくすることで、混合撹拌直後に処理土を積極的に流動化させ品質を向上させるのが本発明の目的である。
【0009】
さらに、常に処理土が流動化することによって処理土の強度発現に最も影響を与える混合度合いを最適化するべく深度別に流動性を変化させ、最も経済的な流動性のもとで施工を行い、高品質で且つ経済性に優れた地盤改良工法と地盤改良機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、深度が15m以下の現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌して現位置土の強度増加を図る地盤改良工法において、母機として機能する建設機械のアーム先端に、上下方向に周回移動する混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを装着し、この混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施すにあたり、下記(a),(b)の条件を満たすように改良処理を施すことを特徴とする。
【0011】
(a)少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるようにすること。
【0012】
(b)実際の混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないこと。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、上記改良処理深度−流動性特性に代えて、少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなり且つ原土の湿潤密度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度と原土の湿潤密度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるように改良処理を行うことを特徴とする。
【0014】
この場合、上記流動性の度合いを示す指標としては、例えばJIS R 5201に準拠したフロー試験(テーブルフロー試験)におけるフロー値や、同じくJIS A 1101のスランプ試験に準拠したスランプ値、あるいは粘性度合い等のパラメータを使用することができる。
【0015】
さらに、実際の施工時には、地盤改良処理品質の向上の観点から、予め定めた養生期間経過後の目標強度を満足させるのに必要な固化材の添加量にて改良処理を行うものとする。また、請求項3,4に記載のように、混合撹拌翼の周回速度や混合撹拌ヘッドによる改良処理深度をリアルタイムで計測しながら改良処理を行うことが望ましい。
【0016】
また、請求項1〜4に記載の発明において、より効率的な地盤改良処理を行う上では、請求項5に記載のように、平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うものとする。
【0017】
より具体的には、請求項6に記載のように、略矩形波状の移動軌跡となる混合撹拌ヘッドの動きは、平面視におけるアーム長さ方向での往動動作と復動動作および双方の動作位置間でのシフト動作を1サイクルとしてこれらを複数サイクル繰り返すものとし、上記混合撹拌ヘッドのシフト動作は、平面視における混合撹拌ヘッドの処理幅寸法以内のものとして行うものとする。
【0018】
この場合、平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、請求項7に記載のように、平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させるか、請求項8に記載のように、平面視にて略N字状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うようにしてもよい。
【0019】
また、請求項1〜8のいずれかに記載の地盤改良工法に用いる地盤改良機械としては、請求項9に記載のように、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えていることが望ましく、特に、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度を計測する手段と混合撹拌ヘッドの鉛直度を計測する手段はその両者を併用することが望ましい。さらに、請求項10に記載のように、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度をそれぞれ計測する手段を共に備えていることがより望ましい。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,2に記載の発明によれば、予め改良処理深度−流動性特性または改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を定めておき、これらの特性から求めた目標とする流動性特性値、すなわち改良処理深度に応じた流動性特性値となるように地盤改良処理を行うことにより、処理機械が無理なく作動するので処理品質のばらつきがなく、混合むらや空隙の発生をなくして処理品質を向上させることができるほか、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができることによって経済性にも優れ、コストダウンを図ることができる。
【0021】
また、請求項3,4に記載の発明によれば、混合撹拌翼の周回速度あるいは混合撹拌ヘッドによる改良処理深度を計測しながら改良処理を行うことで、処理品質が一段と向上する。
【0022】
請求項5〜8に記載の発明によれば、処理機械たる混合撹拌ヘッドを地中において平面視にて略矩形波状、ジグザグ状もしくは略N字状に移動させて改良処理を行うようにしたことにより、混合撹拌ヘッドの地中への貫入と引き上げとを繰り返し行う従来工法に比べて一段と効率よく作業を行える。
【0023】
請求項9,10に記載の発明によれば、混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えているため、改良処理深度や混合撹拌度合いが安定化して処理品質が一段と向上し、特に混合撹拌ヘッドの鉛直度を計測する手段を備えている場合には鉛直精度の優れた施工を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1〜5は本発明の好ましい実施の形態として地盤改良のための施工システムを示し、特に図1〜3は建設機械であるバックホウ1をベースマシン(母機)とする地盤改良機械の全体構造を、図4,5はその細部の構造をそれぞれ示している。なお、図1と図2は同一のものであるが、図面の錯綜化を避けるために二つの図に分けて描いてある。
【0025】
図1に示すように、ベースマシンであるバックホウ1のアーム2の先端には、土壌の掘削と混合撹拌のためにチェーン駆動式のいわゆるトレンチャー式と称される処理機械としての油圧駆動式の混合撹拌ヘッド3が着脱可能に装着されている。
【0026】
トレンチャー式の混合撹拌ヘッド3は、図4,5に示すようにフレーム4の上部の駆動論であるチェーンスプロケット5と下部の従動輪6との間にエンドレスなドライブチェーン7を巻き掛けるとともに、そのドライブチェーン7の外周に等ピッチで複数の混合撹拌翼8,8…を装着したものであり、各混合撹拌翼8には図5に示すように複数のカッター刃9が突設されている。上記フレーム4の先端には固化材吐出口10が設けられており、例えば図示しないグラウトポンプ等によって配管11を通して圧送されてきたスラリ状もしくは粉体状の固化材が吐出されるようになっている。そして、フレーム4の上部に設けられた油圧モータ12を起動することにより各混合撹拌翼8,8…がドライブチェーン7とともに周回移動し、それに併せてバックホウ1の推力にて混合撹拌ヘッド3を地中に貫入することにより、土壌の掘削と先に述べた固化材吐出口10から吐出されるスラリ状固化材もしくは粉体状固化材との混合撹拌が行われる。
【0027】
ここで、油圧モータ12と同軸上にはロータリーエンコーダ等の回転センサ13が設けられており、この回転センサ13をもってチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm)が検出されるようになっている。また、上記ドライブチェーン7を駆動するための駆動輪はそのドライブチェーン7と噛み合うチェーンスプロケット5である必要があるが、従動輪6については必ずしもチェーンスプロケットである必要はない。
【0028】
このような混合撹拌ヘッド3による地盤改良工法に際しては、先ず従来と同様に、地盤改良の対象となる土壌を採取して事前に配合試験を行って、図28のグラフに基づいて目標強度を達成するのに必要な水/セメント比(W/C)を決定し、その上で固化材添加量すなわち例えばセメント添加量を決定する。なお、この固化材添加量は、予め定めた養生期間経過後の目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量であることは言うまでもない。
【0029】
さらに、施工すべき改良処理深度の大きさにかかわらず、上記のように原位置土の掘削と混合撹拌処理を司ることになるトレンチャー式の混合撹拌ヘッド3の負荷が常に65%以下となるように、その改良処理深度に応じ改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。より具体的には、混合撹拌時における混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率をAv、無負荷時における混合撹拌翼8の周回速度すなわちドライブチェーン7の周回速度をB(m/sec)、混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回平均速度をC(m/sec)とした場合に、下記(1)式より算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下となるように、改良処理深度に応じて改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。
【0030】
Av={(B−C)/B}×100(%)‥‥(1)
ただし、
Av:混合撹拌時における混合撹拌ヘッドの負荷抵抗率
B:無負荷時における混合撹拌翼の周回速度
C:混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度
上記の無負荷時におけるドライブチェーンの周回速度B(m/sec)は、先の回転センサ13によって検出される油圧モータ12の回転数をN(rpm)、ドライブチェーン駆動用のチェーンスプロケット5の円周寸法をK(m)とすれば、下記(2)式によって算出される。
【0031】
B(m/sec)=(N×K)/60‥‥(2)
また、上記の混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回平均速度C(m/sec)は、無負荷時と異なり混合撹拌抵抗を受けて変動するので、例えば予め試運転等を行って所定時間(例えば10分間)でのドライブチェーン7の速度C1(m/sec)を記憶もしくは記録した上で、その所定時間内でのドライブチェーン7の平均速度C(m/sec)として算出して予め求めておくものとする。
【0032】
上記(1)式によって算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うためには、実際の混合撹拌時におけるドライブチェーン7(混合撹拌翼8)の周回速度C1が無負荷時におけるドライブチェーン7の周回速度B(m/sec)の二分の一の大きさを下回らないように施工することにほかならないことから、後述するように実際の混合撹拌時におけるドライブチェーン7の周回速度C1を例えばバックホウ1のキャビン内等にリアルタイムで可視表示して、オペレータに対し実際の施工時の周回速度C1が無負荷時の周回速度B(m/sec)の二分の一の大きさを下回らないで施工するように促す。
【0033】
より具体的には、例えば図3に示すように、平面視にて幅がL、長さがMの矩形状に区割りされた一つの領域(以下、これを1区割りという)Eを1単位として地盤改良処理を行う場合、図6の(A)に示すように混合撹拌ヘッド3を地表よりも上方に上昇させた状態でいわゆる空運転を行い、実質的に無負荷の状態で混合撹拌翼8,8…をドライブチェーン7とともに周回移動させて、その時のドライブチェーン7の周回速度Bを上記(2)式に基づいて計測する。ここでは周回速度Bとして例えば1.4(m/sec)を計測したと仮定する。
【0034】
次いで、指定された1区割りEについて、同図(B)に示すように所定の改良処理深度のもとで実際の施工を行い、所定時間内(例えば10分間)もしくは1区割りEについての処理が終了するまでの実際のドライブチェーン7の周回速度C1(m/sec)をリアルタイムで且つ連続して計測し、その値を記憶もしくは記録する。その上で、作業終了後にそれらの周回平均速度C(m/sec)を算出する。ここでは、その周回平均速度Cが1.2(m/sec)であったと仮定する。
【0035】
こうして求めたドライブチェーン7の周回速度B=1.4(m/sec)および周回平均速度C=1.2(m/sec)の値をもとに、検証の意味で先の(1)式に基づいて混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avを算出する。すなわち、負荷抵抗率Avは
Av={(1.4−1.2)/1.4}×100=14.3(%)
となる。
【0036】
そして、ここで算出した負荷抵抗率Av=14.3%の値は、先に述べたような負荷抵抗率Avが65%以下という要求条件を満たしていることになる。言い換えるならば、上記(1)式よりして実際の施工時にそのドライブチェーン7の周回速度C1が無負荷時のドライブチェーン7の周回速度Bの二分の一の値を下回らないように配慮さえすれば、負荷抵抗率Avとして65%以下という要求条件を常に満たしていることになる。
【0037】
そこで、上記の例では、以降の実際の施工すなわち地盤改良処理に際して、オペレータに対し施工条件として無負荷時のドライブチェーン7の周回速度B=1.4(m/sec)の二分の一に相当するデータとして0.7(m/sec)という管理目標値を提示し、当該管理目標値以上となるようなドライブチェーン7の周回速度で処理するように指示する。その一方で、施工中のドライブチェーン7の周回速度C1をリアルタイムで計測した上で後述するようにバックホウ1のキャビン等に可視表示するものとし、その結果としてオペレータは可視表示されたデータを目視確認しながら上記管理目標値である0.7(m/sec)以上となるように施工を行えば、要求される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avを充足することができる。
【0038】
さらに、実際の施工時に少なくとも経済性と施工性を両立し得るであろう改良処理深度と改良処理直後における処理土の流動性との相関として、図7に示すような改良処理深度−流動性特性のグラフを予め用意しておくものとする。このグラフは、過去の施工実績すなわち種々の土質や改良処理深度等、過去に蓄積した施工データから経験的に定めたものであり、横軸は改良処理深度を、縦軸は改良処理直後の流動性の指標であるテーブル試験のフロー値(JIS R 5201に準拠)をそれぞれ指示している。ここでは、改良処理深度3mのときのフロー値の許容下限値を100mm、同じく許容上限値を140mmとするとともに、改良処理深度15mのときのフロー値の許容下限値を180mm、同じく許容上限値を220mmとした上で、上記許容下限値同士および許容上限値同士を結ぶように所定勾配の二本の平行線を引き、それら二本の平行線の範囲内を、改良処理直後の流動性の指標であるフロー値の許容範囲として設定してある。同図から明らかなように、改良処理深度が大きくなるほど処理直後の処理土の流動性が高くなるように設定してある。
【0039】
なお、同図のグラフから明らかなように、改良処理深度が3m未満の場合にはそのフロー値の許容範囲は改良処理深度が3mのときと同じに設定してあり、同様に改良処理深度が15mを越える場合にはブリージング防止の観点からそのフロー値の許容範囲は改良処理深度が15mのときと同じに設定してある。
【0040】
そして、先に述べた混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うべく、実際の施工箇所(地盤改良の対象となる地盤)の深度に応じて図7のグラフから該当するフロー値を選択し、そのフロー値条件を満たすように改良処理深度ごとに改良処理直後の処理土の流動性を変化させて施工を行うものとする。この流動性の選択は、図28に基づいて最初に決定した水/セメント比(W/C)に基づく固化材添加量(セメント添加量)に優先するものとする。例えば改良処理深度が15mの場合には、図7のグラフからフロー値として180mm〜220mmの範囲を選択し、その許容範囲の中央値である200mmを目標値として流動性を調整するものとする。
【0041】
すなわち、常に処理土が流動化することによってその処理土の強度発現に最も影響を与える混合度合いを最適化するべく改良処理深度別に改良処理直後の流動性を積極的に変化させ、最も経済的な流動性のもとで施工を行うものとする。
【0042】
こうすることにより、混合撹拌ヘッド3が無理なく且つ安定して混合撹拌処理を行うことになるので、品質のばらつきが少なく、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができて、結果的にコストダウンを図ることができるようになる。
【0043】
なお、当然のことではあるが、超軟弱な地盤を施工する場合には、スラリ状固化材ではなく粉体状の固化材を直接地中に吐出して施工を行うものとする。
【0044】
また、希に施工対象箇所が超々軟弱な地盤であるような場合には、図7に示すグラフのフロー値の許容範囲を満たそうとすると必要とする固化材添加量が極端に増大することが予想される。そのような場合には経済性を重視し、例外としてフロー値が図7に示すグラフの許容範囲を上方側に逸脱した状態で施工を行うこともある。
【0045】
図8は、本実施の形態の変形例として図7のものに代えて用いられる相関グラフを示し、図7では改良処理深度と処理土の流動性の指標であるテーブルフロー値との相関を示しているのに対して、図8では改良処理深度と処理土の流動性の指標であるテーブルフロー値、および原土の物性(物性値)の指標である湿潤密度ρt(t/m3)との相関を示している。
【0046】
このグラフもまた、過去の施工実績すなわち種々の土質や改良処理深度等、過去に蓄積した施工データから経験的に定めたものであり、横軸は改良処理深度を、縦軸は改良処理直後の流動性の指標であるテーブル試験のフロー値のほか原土の物性値である湿潤密度ρt(t/m3)をそれぞれ指示している。
【0047】
実際の施工に際し流動性の指標であるフロー値は、施工性の面からは混合撹拌抵抗が小さくなる高めの値が望ましく(混合撹拌抵抗と処理土のフロー値は反比例する)、また品質的にも混合撹拌性を良くするためにはフロー値として高めの値が望ましいと言える(処理土のフロー値と施工性は正比例する)。しかしながら、高めのフロー値にて目標強度を満足させるには固化材を多量に使用することになり、不経済となる(処理土のフロー値と目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量は反比例する)。よって、施工的にも品質的にも且つ経済的にも望ましい流動値たるフロー値を決定するにあたって、先に述べた図8の相関グラフを使用するものとする。
【0048】
先に述べたように、図8の相関グラフは、改良処理深度および流動性の指標であるテーブルフロー値以外に原土の物性値として原土の湿潤密度ρtを併用している点で図7のものと異なっている。
【0049】
実際の施工時の混合撹拌抵抗は、改良処理深度および原土の湿潤密度ρtに正比例して増減することが知られている。また、混合撹拌性は混合撹拌抵抗に正比例するとともに、原土の湿潤密度ρtと目標強度を満足させるのに必要な固化材添加量は反比例することもまた知られている。
【0050】
そこで、先の場合と同様に、混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Avの値が65%以下という条件を満たすように施工を行うべく、実際の施工箇所(地盤改良の対象となる地盤)の深度と原土の湿潤密度ρtの値に応じて図8のグラフから該当するフロー値を選択し、そのフロー値条件を満たすように改良処理深度ごとに改良処理直後の処理土の流動性を変化させて施工を行うものとする。
【0051】
こうすることにより、先の場合と同様に、混合撹拌ヘッド3が無理なく且つ安定して混合撹拌処理を行うことになるので、品質のばらつきが少なく、単位時間当たりの作業量を大きく確保することができて、コストダウンを図ることができることはもちろんのこと、施工性、処理品質および経済性を共に満足することができるようになる。
【0052】
図1〜3に示すバックホウ1のキャビン内の例えばインストルメントパネルには施工管理装置としての計測表示盤14が着脱可能に装着される。この計測表示盤14は、図9に示すように演算処理部15のほか施工に必要な各種データを可視表示する第1,第2の表示部16,17および設定器18を備えていて、後述するように施工に必要な各種データがリアルタイムで第1,第2の表示部16,17に可視表示されるようになっているとともに、必要に応じて上記各種データの算出に必要なデータを設定器18からマニュアル操作にてプリセットできるようになっている。本実施の形態では、先に述べた混合攪拌ヘッド3のドライブチェーン7を駆動するためのチェーンスプロケット5の円周寸法Kの値等が設定器18でプリセットされて演算処理部15に取り込まれる。なお、計測表示盤14は計時機能部19を有していて、例えば任意のタイミングで図示外のスタートボタンを押圧操作してから現在時刻までの時間、およびスタートボタンを押圧操作してから同じく図示外のストップボタンを押圧操作するまでの時間を計時可能となっている。
【0053】
また、バックホウ1にはアーム2の回転角度を検出するための角度センサ20や、ブーム21の回転角度を検出するための角度センサ22、および混合撹拌ヘッド3の首振り旋回方向(θ方向)での鉛直度合いを検出するための角度センサ23がそれぞれ設けられていて、これらの各角度センサ20,22,23の検出出力は先に述べた混合撹拌ヘッド3側の回転センサ13の検出出力(ドライブチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm))とともに計測表示盤14の演算処理部15に入力される。なお、上記の角度センサ20,22,23としてはいわゆるトルクバランス方式と称される公知の構造のものが使用される。
【0054】
上記の計測表示盤14の演算処理部15では、回転センサ13や角度センサ20,22,23からの検出出力ならびにプリセットデータをもとに所定の演算を行って、例えば図1に示すように、その演算結果であるチェーン速度と1区割りE当たりの累積移動距離および深度とがそれぞれ数値と累積積算波形の二つの形態としてリアルタイムで第1の表示部16に可視表示され、同時に図2に示すように混合撹拌ヘッド3の鉛直度合いがリアルタイムで第2の表示部17に可視表示される。
【0055】
ここで、チェーン速度は先に述べたように混合撹拌翼8,8…の周回速度にほかならないから、回転センサ13の回転出力N(rpm)とチェーンスプロケット5の円周K(m)とをもとに先の(2)式に基づいて算出される。
【0056】
一方、1区割りE当たりの累積移動距離は、図3に示した1区割りEの地盤改良処理に要したドライブチェーン7の現在までの総移動距離にほかならず、上記のチェーン速度(混合撹拌翼8,8…の周回速度)と1区割りEの地盤改良処理に要した時間とを乗じることによって算出される。つまり、1区割りEの地盤改良に際してドライブチェーン7が混合撹拌翼8,8…とともに絶えず周回移動しているものとみなして、その1区割りEの処理開始時にオペレータがスタートボタンを押してから現在(現在時刻)までの累積作業時間を計時し、その累積作業時間(秒)にチェーン速度(m/sec)を乗じることによって算出される。なお、上記累積作業時間は図示しないリセットボタンの操作により任意のタイミングでリセット可能である。
【0057】
また、深度H(m)は図1に示すように地面から混合撹拌ヘッド3の先端(下端)までの掘り下げ施工深さであり、次の式(3)によって算出される。なお、この深度についても図示しないリセットボタンの操作により任意のタイミングでリセット可能である。
【0058】
H=D1−D2−α‥‥(3)
D1=L1×sinθ1
D2=L2×sinθ2
ただし、
D1:アーム2の角度による垂直方向の距離
D2:ブーム21の角度による垂直方向の距離
L1:混合撹拌ヘッド3の上端からアーム2とブーム21の接続部までの距離(定数)
L2:アーム2とブーム21の接続部からブーム21の車両固定部までの距離(定数)
C:リセットボタン操作によるオフセット量
ここで、先に述べたように幅M×長さLの1区割りEの施工に当たっては、図3に示すようにその1区割りEの領域を例えば(1)〜(9)の細領域に分けた上で、その都度所定量ずつオーバーラップさせながら施工を行うものとする。
【0059】
より具体的には、図10に示すようにその1区割りEの始端部に有効処理幅Wの混合撹拌ヘッド3を貫入したならばその混合撹拌ヘッド3を幅方向Lにおいて矢印a1方向に連続移動させながら地盤改良処理として掘削と混合撹拌処理を行うものとする。そして、矢印a1方向のストロークエンドに達したならば、混合撹拌ヘッド3を抜き上げることなくそのまま図11の矢印b1方法に有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせ、引き続き混合撹拌ヘッド3を図12の矢印a2方向に連続移動させて同様に処理を行う。混合撹拌ヘッド3が矢印a2方向のストロークエンドに達したならば、混合撹拌ヘッド3を同図の矢印b2方向に有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせ、以降は図13に示すように同様の動作を1区割りEの終端部に至るまで繰り返す。
【0060】
この場合、オペレータはバックホウ1のキャビンに設置された計測表示盤14の第2の表示部17(図2および図9参照)を確認しながら、混合撹拌ヘッド3が常に鉛直方向(図2における第2の表示部17の0度の方向)を指向するようにその姿勢を制御する。
【0061】
すなわち、図10〜13における矢印a1方向の混合撹拌ヘッド3の移動を往動動作、矢印a2方向の混合撹拌ヘッド3の移動を復動動作、矢印b1,b2方向の混合撹拌ヘッド3の移動をシフト動作とすると、これらの往動動作と復動動作およびシフト動作を1サイクルとしてこれら動作を複数回繰り返すことで平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッド3を動かして施工を行うものとする。そして、上記シフト動作の際に混合撹拌ヘッド3の有効処理幅Wの半分の長さだけシフトさせることにより、1区割りEのどの部分についても少なくとも2回の混合撹拌処理が施されることになり、処理品質の向上と均一化が図れるようになる。
【0062】
ここで、1区割りEについての最初の往動動作と最後の往動もしくは復動動作の際には、混合撹拌ヘッド3の移動速度を通常の二分の一程度として極低速で処理を行うものとする。こうすることにより、混合撹拌ヘッド3の一回の通過にもかかわらず二回通過した場合と同等の処理を行える。その結果として、図10〜13の(B)に示すように、処理後の1区割りEのなかには3回の混合撹拌処理が行われた部分e1が一部存在するものの、1区割りEの全領域について平均的に少なくとも2回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0063】
ここで、上記のように平面視にて略矩形波状の混合撹拌ヘッド3の移動軌跡のもとで混合撹拌処理を行うのに代えて、図14〜17に示すように平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌処理を行うようにしても同等の効果が得られる。
【0064】
また、図18に示すように混合撹拌ヘッド3の有効長さt1よりも改良処理深度tが大きい場合には、その混合撹拌ヘッド3の上端部、より具体的にはチェーン駆動用のチェーンスプロケット5の半径寸法t2程度が地表に出るまで、混合撹拌ヘッド3全体を積極的に上下動させながら施工を行うものとする。こうすることにより、改良処理深度tよりも混合撹拌ヘッド3の有効長さt1が小さいにもかかわらず、深さ方向においてより均一な施工を行えるようになる。
【0065】
図19〜図23には別の施工例を示す。この施工例では、混合撹拌ヘッド3の移動軌跡が平面視にて略N字状のものとなるように施工を行うようにしたものである。
【0066】
図19に示すように、1区割りEの施工にあたり、目印となる4本のポール29,29‥を立てた上で、1レーン目として施工基本速度の1/2の速度で混合撹拌ヘッド3にて混合撹拌処理を行う。施工基本速度の1/2の速度で施工を行うことで、1レーン目の施工領域e11について実質的に2回混合撹拌処理を行った場合と同等の効果が得られることになる。
続いて、図20に示すように、同様にポール29,29‥を目印として、1レーン目の施工領域e11と半分がオーバーラップするように、施工基本速度にて斜めに2レーン目の領域e12について施工を行う。これにより、上記のオーバーラップ領域e13では合計で3回の混合撹拌処理が行われたことになる。
【0067】
続いて、図21に示すように、2レーン目の施工領域e12と半分がオーバーラップするように、3レーン目の領域e14について施工基本速度で真っ直ぐに施工を行う。これにより、上記のオーバーラップ領域e15では合計で2回の混合撹拌処理が行われたことになる。そして、以降は図20,21と全く同様の施工を順次繰り返す。
【0068】
ここで、1日分の作業の終わりのレーンである領域e20の施工に際しては、図22に示すように施工基本速度の1/2の速度で施工を行う。こうすることにより、その直前に施工が完了した隣りのレーンとのオーバーラップ領域e19では、実質的に合計3回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0069】
一方、翌日の最初の1レーン目の領域e21の施工については、一部固化が進行している前日の最終施工レーンの領域e20に隣接して、図19の場合と同様に施工基本速度の1/2の速度で施工を行い、以降は図20〜図23と全く同様の施工を順次繰り返す。
【0070】
この施工方法においても、処理後の1区割りEのなかには3回の混合撹拌処理が行われた部分が一部存在するものの、1区割りEの全領域について平均的に少なくとも2回の混合撹拌処理が施されたことになる。
【0071】
図24〜図26は、本発明の第2の実施の形態を示す。
【0072】
先の第1の実施の形態では、混合撹拌ヘッド3に設けた回転センサ13にてチェーン駆動用の油圧モータ12の回転数N(rpm)を検出し、その検出出力に基づきドライブチェーン7の周回速度C1を算出した上で、そのドライブチェーン7の周回速度C1をもって施工管理を行っているのに対して、この第2の実施の形態では、バックホウ1に搭載されている油圧パワーユニット30から混合撹拌ヘッド3への作動油の吐出圧力をもって施工管理を行うようにしたものである。なお、深度管理については先の第1の実施の形態と同様である。
【0073】
図24のほか図25に示すように、混合撹拌ヘッド3の油圧モータ12はバックホウ1に搭載されている油圧パワーユニット30からの作動油の供給をもって駆動されるものであることから、その油圧パワーユニット30の主要素である油圧ポンプには圧力センサ31が付設されていて、その圧力センサ31をもって混合撹拌ヘッド3の油圧モータ12に供給される作動油の吐出圧力が検出されるようになっている。
【0074】
上記油圧パワーユニット30の油圧ポンプは一般的に可変容量型のものが使用されていることから、その吐出圧力P(MPa)と流量Q(リットル/min)との相関であるP−Q特性は図25のようになる。そして、可変容量型の油圧ポンプはその吐出する油量が負荷に応じて変化することから、後述するように図25の吐出圧力Pに基づいて、先の実施の形態と同様に混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率を算出しようとするものである。
【0075】
なお、上記油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pは、図24に示すように、計測表示盤14の第2の表示部16に数値と累積積算波形の二つの形態としてリアルタイムで可視表示される。
【0076】
そして、施工すべき改良処理深度の大きさにかかわらず、上記のように原位置土の掘削と混合撹拌処理を司ることになるトレンチャー式の混合撹拌ヘッド3の負荷が常に65%以下となるように、その改良処理深度に応じ改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。より具体的には、混合撹拌時における混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率をAp、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力をPa(MPa)、混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力をPd(MPa)とした場合に、下記(4)式より算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apの値が65%以下となるように、改良処理深度に応じて改良処理直後における処理土の流動性を変化させて改良処理を行うものとする。
【0077】
Ap={1−(Pa/Pd)}×100(%)‥‥(4)
ただし、
Ap:混合撹拌時における混合撹拌ヘッドの負荷抵抗率
Pa:無負荷時における油圧パワーユニットの作動油吐出圧力
Pd:混合撹拌時における油圧パワーユニットの作動油吐出圧力
この場合において、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pa(MPa)は、図26の(A)に示すように混合撹拌ヘッド3を地上に引き上げた状態でいわゆる空運転としてその周回駆動を行い、その時の作動油吐出圧力Pa(MPa)を測定して予め記録しておく。
【0078】
また、上記の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pd(MPa)は、無負荷時と異なり混合撹拌抵抗を受けて変動するので、例えば図26の(B)に示すように予め1区割りE分の試運転等を行って実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pd(MPa)をリアルタイムで記憶もしくは記録した上で、予めそれらの平均値を求めておく。
【0079】
上記(4)式によって算出される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apの値が65%の以下という条件を満たすように施工を行うためには、実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが特定の圧力値を超えないように施工を行うことにほかならないことから、後述するように実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdを例えばバックホウ1のキャビン内等にリアルタイムで可視表示して、同時に上記の特定の圧力値をオペレータに対して提示するものとする。
【0080】
より具体的には、例えば図26の(A)に示すように、いわゆる空運転を行って実質的に無負荷の状態で混合撹拌翼8,8…をドライブチェーン7とともに周回移動させた時の作動油吐出圧力Paが例えば10MPaをであったと仮定する。
【0081】
これを先の式(4)に当てはめると、負荷抵抗率Apが65%となる作動油吐出圧力Pdは28.6MPaとなる。そこで、オペレータに対して28.6MPaという圧力を管理限界値として提示し、先に述べたように実際の混合撹拌時にキャビン内にリアルタイムで可視表示されることになる油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが上記の管理限界値に越えることがないよう施工を行うように指示する。これにより、オペレータはキャビン内にリアルタイムで可視表示されることになる油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdを目視確認しながら、その値が上記の管理限界値に越えないように施工を行えば、要求される混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apとして65%以下という条件を充足することができる。
【0082】
例えば図25のほか図26に示すように、無負荷時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Paが10MPa、実際の混合撹拌時における油圧パワーユニット30の作動油吐出圧力Pdが23.5MPaであった場合、これを先の(4)式の当てはめると混合撹拌ヘッド3の負荷抵抗率Apは下記(5)式のようになる。なお、上記の23.5MPaという数値は、オペレータが予め提示されている管理限界値(=28.6MPa)を意識してこれを越えないように施工を行った結果にほかならない。
【0083】
Ap={1−(10/23.5)}×100(%)=57.4%‥‥(5)
このように、負荷抵抗率Ap=57.4%という数値は、その値Apが65%以下という要求条件を十分に満たしていることになる。
【0084】
ここで、施工管理装置である計測表示盤14の第1の表示部16として、実質的に図1に示した第1の実施の形態のものと図24に示した第2の実施の形態のものとを併用し、図27に示すように、チェーン速度、1区割り累積移動距離、深度および作動油吐出圧力のそれぞれについて、数値と累積積算波形の二つの形態で可視表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の好ましい実施の形態として地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図2】同じく地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図3】図1,2の平面説明図。
【図4】図1,2に示す混合撹拌ヘッドの拡大図で、(A)は正面説明図、(B)は側面説明図。
【図5】(A)は図4に示すドライブチェーンを展開した説明図、(B)は混合撹拌翼単独での説明図。
【図6】図1,2に示す施工システムでの施工手順を示す説明図。
【図7】改良処理深度とテーブル試験のフロー値との相関を示すグラフ。
【図8】改良処理深度とテーブル試験のフロー値および原土の湿潤密度との相関を示すグラフ。
【図9】図1,2に示す計測表示盤の機能ブロック回路図。
【図10】図1,2に示す施工システムでのより詳細な施工手順を示す説明図。
【図11】図10に続く施工手順の説明図。
【図12】図11に続く施工手順の説明図。
【図13】図12に続く施工手順の説明図。
【図14】図1,2に示す施工システムでの別の施工手順を示す説明図。
【図15】図14に続く施工手順の説明図。
【図16】図15に続く施工手順の説明図。
【図17】図16に続く施工手順の説明図。
【図18】図1,2に示す施工システムでのさらに別の施工手順を示す説明図。
【図19】図1,2に示す施工システムでのさらなる別の施工手順を示す説明図。
【図20】図19に続く施工手順の説明図。
【図21】図20に続く施工手順の説明図。
【図22】図21に続く施工手順の説明図。
【図23】図22に続く施工手順の説明図。
【図24】本発明の第2の実施の形態として地盤改良のための施工システムの概略を示す全体説明図。
【図25】図1に示すバックホウの油圧パワーユニットにおけるポンプ圧力Pと流量Qとの相関を示すP−Q線図。
【図26】図24に示す施工システムでの施工手順を示す説明図。
【図27】図24に示す施工管理装置の表示部の変形例を示す説明図。
【図28】目標強度と固化材添加量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0086】
1…建設機械としてのバックホウ(ベースマシンもしくは母機)
2…アーム
3…混合撹拌ヘッド(処理機械)
7…ドライブチェーン
8…混合撹拌翼
13…回転センサ(検出手段)
14…計測表示盤
15…演算処理部
16…第1の表示部(表示手段)
17…第2の表示部(表示手段)
20…角度センサ(検出手段)
22…角度センサ(検出手段)
23…角度センサ(検出手段)
30…油圧パワーユニット
31…圧力センサ(検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深度が15m以下の現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌して現位置土の強度増加を図る地盤改良工法において、
母機として機能する建設機械のアーム先端に、上下方向に周回移動する混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを装着し、この混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施すにあたり、
下記(a),(b)の条件を満たすように改良処理を施すことを特徴とする地盤改良工法。
(a)少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるようにすること。
(b)実際の混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないこと。
【請求項2】
上記改良処理深度−流動性特性に代えて、
少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなり且つ原土の湿潤密度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を予め定めておき、
この改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度と原土の湿潤密度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、
処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるように改良処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項3】
上記混合撹拌翼の周回速度を計測しながら改良処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項4】
上記混合撹拌翼による改良処理深度を計測しながら改良処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項5】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の地盤改良工法。
【請求項6】
略矩形波状の移動軌跡となる混合撹拌ヘッドの動きは、平面視におけるアーム長さ方向での往動動作と復動動作および双方の動作位置間でのシフト動作を1サイクルとしてこれらを複数サイクル繰り返すものとし、
上記混合撹拌ヘッドのシフト動作は、平面視における混合撹拌ヘッドの処理幅寸法以内のものとして行うことを特徴とする請求項5に記載の地盤改良工法。
【請求項7】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の地盤改良工法。
【請求項8】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、平面視にて略N字状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の地盤改良工法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の地盤改良工法に用いる地盤改良機械であって、
上記混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えていることを特徴とする地盤改良機械。
【請求項10】
上記混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度をそれぞれ計測する手段を備えていることを特徴とする請求項9に記載の地盤改良機械。
【請求項1】
深度が15m以下の現位置土を掘削しながら固化材と混合撹拌して現位置土の強度増加を図る地盤改良工法において、
母機として機能する建設機械のアーム先端に、上下方向に周回移動する混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを装着し、この混合撹拌ヘッドを地中に貫入して改良処理を施すにあたり、
下記(a),(b)の条件を満たすように改良処理を施すことを特徴とする地盤改良工法。
(a)少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−流動性特性を予め定めておき、この改良処理深度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるようにすること。
(b)実際の混合撹拌時における混合撹拌翼の周回平均速度が無負荷時における混合撹拌翼の周回速度の二分の一の大きさを下回らないこと。
【請求項2】
上記改良処理深度−流動性特性に代えて、
少なくとも経済性および施工性の面で良好とされる改良処理直後の処理土の流動性の度合いと改良処理深度との関係として、改良処理深度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなり且つ原土の湿潤密度が大きくなるほど処理土の流動性が高くなるようにその改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性を予め定めておき、
この改良処理深度−原土の湿潤密度−流動性特性に基づき、処理対象領域の改良処理深度と原土の湿潤密度を指定したときの目標とする流動性特性値を求め、
処理対象領域での改良処理直後における処理土の流動性が上記流動性特性値となるように改良処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項3】
上記混合撹拌翼の周回速度を計測しながら改良処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項4】
上記混合撹拌翼による改良処理深度を計測しながら改良処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法。
【請求項5】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の地盤改良工法。
【請求項6】
略矩形波状の移動軌跡となる混合撹拌ヘッドの動きは、平面視におけるアーム長さ方向での往動動作と復動動作および双方の動作位置間でのシフト動作を1サイクルとしてこれらを複数サイクル繰り返すものとし、
上記混合撹拌ヘッドのシフト動作は、平面視における混合撹拌ヘッドの処理幅寸法以内のものとして行うことを特徴とする請求項5に記載の地盤改良工法。
【請求項7】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、平面視にて略ジグザグ状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の地盤改良工法。
【請求項8】
平面視にて略矩形波状の移動軌跡に代えて、平面視にて略N字状の移動軌跡のもとで混合撹拌ヘッドを連続的に移動させて改良処理を行うことを特徴とする請求項5または6に記載の地盤改良工法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の地盤改良工法に用いる地盤改良機械であって、
上記混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度のうち少なくともいずれか一つを計測する手段を備えていることを特徴とする地盤改良機械。
【請求項10】
上記混合撹拌ヘッドによる改良処理深度、混合撹拌ヘッドの鉛直度および混合撹拌翼の周回速度をそれぞれ計測する手段を備えていることを特徴とする請求項9に記載の地盤改良機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2007−9689(P2007−9689A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284503(P2006−284503)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【分割の表示】特願2004−151253(P2004−151253)の分割
【原出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(000140694)株式会社加藤建設 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【分割の表示】特願2004−151253(P2004−151253)の分割
【原出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(000140694)株式会社加藤建設 (50)
【Fターム(参考)】
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