説明

均光フィルムとその製作方法

【課題】集光や均光効果が得られ、光の漏出を低減でき、量産性に優れること。
【解決手段】透明基材上に、コロイド層を形成し、表面に突出紋を有する型板で、コロイド層に対して、ロールエクストルージョンを行って、コロイド層の表面に沈み彫りを形成し、最後に、硬化過程において、コロイド層を硬化させて、表面に沈み彫りを有する粗末層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均光フィルムとその製作方法に関し、特に、散乱粒子を利用しない均光フィルムとその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
均光フィルムの機能は、透過した光が散乱することにより、光の分布を均一にする。
既存の均光フィルム構造は、図1のように、主として、透明基材10上に散乱粒子12が添加された樹脂層を塗布する。また、ローラーで樹脂層をロールエクストルージョンして、所定の突出紋が形成される。
そして、ベーキングにより、樹脂層を揮発させるか硬化させることで、粗末層14を形成する。
光が、均光フィルムを通す時、粗末層14内において、二つの異なる屈折率を有する誘電体である散乱粒子と樹脂との間で、複数回の屈折や反射或いは散乱を行って、光の均一分布効果が得られる。
しかし、流質状態である樹脂層物質と固形物質の散乱粒子を混合する過程において、固形物質を流質状態に分布させる時、その単位密度を制御することが困難である。
また、塗布過程のローダや流質の流動状態、或いはスピード等により、散乱粒子の分布状態が影響される。
そのため、均光フィルム全体の変動要因が多くて、全体の厚さや散乱粒子の分布が、均一にならず、光が、粗末層14での屈折や反射及び散乱の均光効果を制御し難いため、量産性や使用するうえで問題点がある。
【0003】
また、既存の均光フィルムの粗末層は、突出紋であり、均光フィルム表面の粗末度が向上されるが、光の集光能が向上されず、光の輝度に不利である。
【0004】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消するために、均光フィルムとその製作方法を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、均光フィルムの粗末層表面上に規則的或いは不規則配列の沈み彫りを形成することにより、集光や表面粗末度を向上する効果が得られる均光フィルムとその製作方法を提供することにある。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、散乱粒子を利用しない均光フィルムとその製作方法を提供することにある。
【0007】
本発明の更の他の目的は、型板圧印加工で、規則的或いは不規則配列の沈み彫り/突出紋粗末層を形成し、沈み彫り/突出紋の粗末度の機能再現性を維持でき、また、量産に有利である均光フィルムとその製作方法を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、均光フィルムの入射や出射粗末層表面上に、それぞれ、規則的或いは不規則配列の沈み彫りや突出紋を形成することにより、集光や表面粗末度増大の効果が得られる均光フィルムとその製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するため、透明基材と、透明基材の表面上に形成され、表面が沈み彫りである粗末層と、を備える均光フィルムである。
【0010】
本発明は、更に、まず、透明基材を用意するステップと、透明基材上にコロイド層を形成する形成と、表面に突出紋/沈み彫りを有する型板でコロイド層に対してロールエクストルージョンを行い、コロイド層の表面に沈み彫り/突出紋を形成するステップと、コロイド層を硬化させて、表面に沈み彫り/突出紋を有する粗末層を形成するステップと、を備える均光フィルムの作製方法を提供する。
【0011】
本発明は、更に、透明基材と、透明基材の上表面に位置する沈み彫り粗末層と、透明基材の下表面に位置する突出紋粗末層とを、備える均光フィルムを提供する。
【0012】
本発明は、更に、まず、透明基材を用意するステップと、透明基材上下表面上に第一コロイド層と第二コロイド層を形成するステップと、表面に突出紋を有する型板と表面に沈み彫りを有する型板で、それぞれ、第一コロイド層と第二コロイド層に対して、ロールエクストルージョンを行い、第一コロイド層の表面に沈み彫りが形成され、第二コロイド層の表面に突出紋が形成されるステップと、第一と第二コロイド層を硬化させて、沈み彫り粗末層と突出紋粗末層を形成するステップと、を備える上記の均光フィルムの作製方法を提供する。
【0013】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明の目的や技術内容、特長とその達成できる効果を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図2は、本発明に係る均光フィルムの一つの実施例の構造概念図である。
図のように、本発明に係る均光フィルム20は、ポリエチレンテレフタラート(PET)である透明基材22と、透明基材22上に位置し、表面に規則的或いは不規則に沈み彫りが配列される粗末層24と、を備える。
これにより、表面の粗末度や反射防止及び集光度が向上され、光の漏出を低減でき、均光効果が良くなる。
【0015】
上記の実施例に係る均光フィルムの製作方法は、図3のように、まず、ステップS1のように、表面上に、結晶粒構造を堆積して形成される粒子である突出紋を有する型板を用意する。
つぎに、ステップS2のように、表面に、熱硬化性樹脂からなるコロイド層が形成される透明基材を用意する。
つぎに、ステップS3のように、表面上に突出紋を有する型板で、コロイド層に対して加圧して、前記コロイド層の表面に沈み彫りを形成する。
最後に、ステップS4のように、コロイド層を硬化させて、表面に沈み彫りを有する粗末層を形成する。
【0016】
また、型板上の突出紋のサイズは、ミクロンやナノメートル級である。
【0017】
本発明の製作方法によれば、型板上の粒子突出紋とロールエクストルージョンを行う時の圧力を制御することにより、粗末層の膜の厚さを制御でき、凹み圧印加工の図柄の再現性を向上できる。
そのため、均光フィルムの品質や特性が一致し、量産に有利になる。
【0018】
上記の実施例によれば、表面に沈み彫りがある均光フィルムを、その集光性の特性により、入射面とすることができる。
また、本発明によれば、表面に突出紋がある均光フィルムの作製方法を提供する。
そのステップは、図4のように、まず、ステップS5のように、表面上に沈み彫りを有する型板を用意する。
つぎに、ステップS6のように、表面に、熱硬化性樹脂であるコロイド層を形成した透明基材を用意する。
つぎに、ステップS7のように、表面上に沈み彫りを有する型板で、コロイド層に対して加圧して、コロイド層の表面に突出紋を形成する。
最後に、ステップS8のように、コロイド層を硬化させ、第5図のようの表面に突出紋を有する粗末層26を形成し、その突出紋を、均光フィルムの出射面とすることができる。
【0019】
また、図6は、本発明のもう一つの実施例の概念図である。
図6のように、本発明に係る均光フィルム30は、PETである透明基材32と、透明基材32の入射面上に位置し、表面が規則的或いは不規則に凹み圧印加工されて、粗末度や反射防止及び集光度が向上される第一粗末層34と、透明基材32の出射面上に位置し、表面に、規則的或いは不規則に突出圧印加工されて粗末度が向上され、均光の効果が得られる第二粗末層36と、を備える。
【0020】
上記した実施例に係る均光フィルム30の製作方法は、図7のように、まず、ステップS9のように、表面上に、例えば、結晶粒構造を堆積して形成された粒子突出紋を有する第一型板と、表面上に沈み彫りを有する第二型板と、を用意する。
つぎに、ステップS10のように、上下表面に、ともに、熱硬化性樹脂であるコロイド層を形成する透明基材を用意する。
つぎに、ステップS11のように、第一型板で、上表面のコロイド層に対して加圧し、第二型板で、下表面のコロイド層に対して加圧して、上表面のコロイド層表面に規則的或いは不規則な沈み彫りを形成し、下表面のコロイド層表面に規則的或いは不規則な突出紋を形成する。
最後に、ステップS12のように、上下表面のコロイド層を硬化させて、沈み彫り粗末層と突出紋粗末層を形成する。
【0021】
また、上記した工程は、単に一つの実施形態であり、本発明は、それによって制限されることはなく、工程ステップについては、当業者が適宜行う変更や交換を行うことができ、これらも本発明に含まれるものである。
【0022】
以上のように、本発明は、散乱粒子を使用しない均光フィルムとその製作方法を提示し、表面に粒子突出紋を有する型板で、透明基板上のコロイド層に対して加圧することにより、表面に沈み彫り粗末層を有する均光フィルムを形成し、これにより、集光や均光フィルムの表面粗末度を向上でき、散乱粒子を使用しなくても、表面粗末度や均光性を向上できる。
また、本発明は、更に、均光フィルムとその製作方法を掲示し、表面に粒子突出紋を有する型板と表面に沈み彫りを有する型板で、それぞれ、透明基板上下両側に位置するコロイド層に対して、ロールエクストルージョンを行い、これにより、透明基板の上下両側に、それぞれ、沈み彫りと突出紋の粗末層が形成されて、集光と均光フィルムの表面粗末度が向上される。
本発明によれば、尚、もう一つの散乱粒子を使用しない均光フィルムの製作方法を掲示し、表面に沈み彫りを有する型板で、透明基板上のコロイド層に対して、加圧して、表面に突出紋粗末層を有する均光フィルムを形成し、均光フィルムの表面粗末度が向上されて、均光フィルムの出射面とすることができる。
【0023】
以上の記載は単に本発明の好適な実施例の記載にすぎず、本発明はこれらの実施例の記載に制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正の全ては本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の均光フィルムの構造概念図
【図2】本発明に係る均光フィルムの一つの実施例の構造概念図
【図3】本発明に係る均光フィルムの一つの実施例の手順流れ図
【図4】本発明に係る均光フィルムのもう一つの実施例の手順流れ図
【図5】本発明の図4のようなステップで作製した均光フィルムの構造概念図
【図6】本発明に係る均光フィルムの更の実施例の構造概念図
【図7】本発明の図6の均光フィルムの手順流れ図
【符号の説明】
【0025】
10 透明基材
12 散乱粒子
14 粗末層
20 均光フィルム
22 透明基材
24 粗末層
26 粗末層
30 均光フィルム
32 透明基材
34 第一粗末層
36 第二粗末層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、
前記透明基材の表面上に位置し、表面に沈み彫りがある粗末層と、を備えることを特徴とする、
均光フィルム。
【請求項2】
前記透明基材の材質は、ポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とする、請求項1に記載の均光フィルム。
【請求項3】
前記沈み彫り粗末層の材質は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の均光フィルム。
【請求項4】
前記沈み彫り粗末層の沈み彫りは、表面に突出紋を有する型板で押印することにより形成されることを特徴とする、請求項1に記載の均光フィルム。
【請求項5】
前記型板上の突出紋は、粒子を堆積することにより形成されることを特徴とする、請求項4に記載の均光フィルム。
【請求項6】
前記型板上の突出紋/沈み彫りのサイズは、ミクロンやナノメートル級であることを特徴とする、請求項4に記載の均光フィルム。
【請求項7】
前記透明基材のもう一つの表面に、更に、表面に突出紋が形成されるもう一つの粗末層があることを特徴とする、請求項1に記載の均光フィルム。
【請求項8】
透明基材を用意するステップと、
前記透明基材上にコロイド層を形成するステップと、
表面に突出紋を有する型板で、前記コロイド層に対して、ロールエクストルージョンして、前記コロイド層の表面に沈み彫りが形成されるステップと、
前記コロイド層を硬化させて、粗末層にするステップと、
を備えることを特徴とする、
均光フィルムの作製方法。
【請求項9】
前記透明基材の材質は、ポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とする、請求項8に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項10】
前記コロイド層の材質は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項8に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項11】
前記型板上の突出紋は、粒子を堆積することにより形成されることを特徴とする、請求項8に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項12】
前記型板上の突出紋のサイズは、ミクロンやナノメートル級であることを特徴とする、請求項8に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項13】
透明基材と、
前記透明基材の上表面上に位置する沈み彫り粗末層と、
前記透明基材の下表面上に位置する突出紋粗末層と、
を備えることを特徴とする、
均光フィルム。
【請求項14】
前記沈み彫り粗末層は、表面に突出紋を有する型板で押印することにより形成されることを特徴とする、請求項13に記載の均光フィルム。
【請求項15】
前記突出紋粗末層は、表面に沈み彫りを有する型板で押印することにより形成されることを特徴とする、請求項13に記載の均光フィルム。
【請求項16】
前記型板の突出紋は、粒子を堆積することにより形成されることを特徴とする、請求項14に記載の均光フィルム。
【請求項17】
前記透明基材の材質は、ポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とする、請求項13に記載の均光フィルム。
【請求項18】
前記沈み彫り粗末層の材質は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項13に記載の均光フィルム。
【請求項19】
前記型板上の沈み彫りのサイズは、ミクロンやナノメートル級であることを特徴とする、請求項15に記載の均光フィルム。
【請求項20】
前記型板上の突出紋のサイズは、ミクロンやナノメートル級であることを特徴とする、請求項16に記載の均光フィルム。
【請求項21】
前記沈み彫り粗末層は、均光フィルムの入射面で、前記突出紋粗末層は、均光フィルムの出射面であることを特徴とする、請求項13に記載の均光フィルム。
【請求項22】
透明基材を用意するステップと、
前記透明基材の上下表面上に、それぞれ、第一コロイド層と第二コロイド層を形成するステップと、
表面に突出紋を有する型板と表面に沈み彫りを有する型板で、それぞれ、第一コロイド層と前記第二コロイド層に対して、ロールエクストルージョンをして、前記第一コロイド層の表面に、沈み彫りが形成され、前記第二コロイド層の表面に、突出紋が形成されるステップと、
前記第一と前記第二コロイド層を硬化させて、沈み彫り粗末層と突出紋粗末層を形成するステップとを備えることを特徴とする、
均光フィルムの作製方法。
【請求項23】
前記透明基材の材質は、ポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とする、請求項22に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項24】
前記第一と第二コロイド層の材質は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項22に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項25】
前記型板上の突出紋は、粒子を堆積することにより形成されることを特徴とする、請求項22に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項26】
前記型板上の突出紋/沈み彫りのサイズは、ミクロンやナノメートル級であることを特徴とする、請求項22に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項27】
透明基材を用意するステップと、
前記透明基材上にコロイド層を形成するステップと、
表面に沈み彫りを有する型板で、前記コロイド層に対して、ロールエクストルージョンして、前記コロイド層の表面に突出紋が形成されるステップと、
前記コロイド層を硬化させて、突出紋粗末層を形成するステップとを備えることを特徴とする、
均光フィルムの作製方法。
【請求項28】
前記透明基材の材質は、ポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とする、請求項27に記載の均光フィルムの作製方法。
【請求項29】
前記コロイド層の材質は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項22に記載の均光フィルムの作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−269177(P2009−269177A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118599(P2008−118599)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(508131668)
【Fターム(参考)】