説明

坩堝シャトル組立体及び動作方法

【課題】効率的に坩堝を分析炉の受け台上に移動させたり分析炉の受け台から移動させるための坩堝ローディング/アンローディング組立体を提供する。
【解決手段】坩堝取り扱いシャトル16は、回転可能なヘッド22に取り付けられた一対の対向するデュアル坩堝把持アーム24、26を有し、誘導炉の受け台と坩堝ローディングステーション50の間を移動する。一方のアーム対が計量済みの試料を保持した坩堝を取り上げ、シャトルは誘導炉に移動し、そこで他方のアーム対が使用済み坩堝を把持して取り除く。次に、シャトルヘッドは回転して新しい試料保持坩堝を受け台上に置いた後、炉の領域から出て、坩堝ローディングステーション50と炉の間に位置決めされた試料廃棄シュートに移動し、使用済み坩堝は廃棄のため落とされる。次に、シャトルヘッドは回転され、新しい坩堝を取り出すためにローディングステーションに移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ゴードン.C フォード(Gordon C. Ford)により2007年4月12日に出願された米国仮出願第60/911320号(名称:対向するデュアルグリッパを備えた坩堝ローディング/アンローディング組立体)に基づく米国特許法第119(e)条の下での優先権を主張するものである。この仮出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、効率的に坩堝を分析炉の受け台上に移動させたり分析炉の受け台から移動させるための坩堝ローディング/アンローディング組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
製鋼業においては、各種分析装置が、特に炭素及び/又は硫黄の含有量測定のために使用されている。このような分析装置としては、ミシガン州セント・ヨゼフのレコ社(Leco Corporation)から市販されている型番CS600が挙げられる。これまで、より効率的な試料のスループットを提供するために、このような炉に対する坩堝の自動ローディング/アンローディングを行うように設計されたシステムが複数ある。このようなシステムの一例は、例えば米国特許第4238450号に記載されている。また、米国特許5395586号に示されるように、試料燃焼ボートも自動ローディングの対象であった。米国特許公開公報第2003/0175156号は、更に別の坩堝ローディングシステムを開示している。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4238450号
【特許文献2】米国特許5395586号
【特許文献3】米国特許公開公報第2003/0175156号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような自動化されたシステムは、使用済み坩堝の手作業による取り扱いや怪我の可能性という面では非常に進歩している。しかし、このようなシステムは、使用済み坩堝を除去、廃棄した後で新しい坩堝を炉に入れるために誘導炉の受け台に置く順次的多段階プロセスを使用しているか、使用済み坩堝を取り扱わず、使用済みの坩堝を手作業により取り除かなければならないものである。このようなシステムは、手作業による坩堝の導入及び除去には好ましいが、多様な分析試料のスループットを増加するのに改善の余地が残されている。
【0006】
従って、改善された坩堝ローディング及びアンローディングシステム、特に、使用済み坩堝を扱う作業及びそれと略同時に行なわれる新しい試料保持坩堝を炉の受け台にローディングする作業において作業者の介入を必要としない坩堝ローディング及びアンローディングシステムが未だに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシステムは、回転可能なプラットホームに取り付けられた一対の対向するデュアル坩堝把持アームを有し坩堝ローディングステーションと誘導炉受け台の間を移動する坩堝取り扱いシャトルを提供することによりこの目的を達成する。一方のアーム対が、計量済みの試料を保持した坩堝を取り上げ、シャトルは誘導炉に移動し、そこで他方のアーム対が使用済み坩堝を把持して取り除く。次に、シャトルは回転して新しい試料保持坩堝を受け台上に置いた後、炉の領域から出て坩堝ローディングステーションと炉の間に位置決めされた坩堝廃棄シュートに直線的に移動し、使用済み坩堝は廃棄のため廃棄シュート内に落とされる。次に、シャトルは回転、移動し、同一のアーム対によって新しい坩堝を取り出す。この動作方法では、一方のアーム対で汚れていない坩堝を扱い、他方のアーム対で使用済みの汚れた坩堝を扱う。
【0008】
このような組立体は、2個の坩堝を同時に扱い、誘導炉の受け台から坩堝を取り除く一方で、新しい試料保持坩堝を受け台に置くことができる。また、分析が行われている間に、使用済み坩堝の処理と新しい坩堝の取り上げを素早く順次的に行うことができる。得られるシステムは、把持アームにより取り出されるように順次的に位置決めされる予め装填された複数の坩堝を取り扱う坩堝ローディングステーションと共に使用でき、これにより、分析試料のスループットが大幅に改善される。
【0009】
本発明の別の様相によれば、物品を少なくとも第一の位置と第二の位置の間で移動させるシステムが提供される。このシステムは、回転軸の両側で2個の物品を同時に把持するための対向する把持アームの複数の対と、前記アームを支持する回転ヘッドと、第一の位置と第二の位置の間で前記把持アームを移動させるために前記回転プラットホームに結合された線形駆動装置とを有する。
【0010】
本発明の更に別の様相によれば、分析装置に組み合わされた炉に対して坩堝をローディング及びアンローディングする方法は、ローディングステーションにおいて、回転軸の両側で同時に坩堝を把持するための対向する坩堝把持アームの対を複数備えたシャトルの一対の坩堝アームによって坩堝を取り出す段階と、シャトルを炉の坩堝保持台に移動させる段階と、前記アームの対を回転させる段階と、シャトルの別の対のアームによって使用済み坩堝を受け台から取り上げる段階と、シャトルを回転させ、新しい坩堝を炉の坩堝保持台上に置く段階とを含む。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照しつつ次の説明を読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
最初に図1を参照すると、ミシガン州セント・ヨゼフのレコ社(Leco Corporation)から市販されている型番CS600等の分析装置10が示されている。この分析装置は、誘導炉11と、本発明の坩堝ローディング/アンローディングシャトル組立体20とを有する。誘導炉11は、図3の矢印Aで示すように鉛直方向上下に移動して、坩堝内の試料の燃焼及び分析のために試料保持坩堝14を炉内に導入する坩堝保持台12を有する。図1及び図3〜5においては、受け台は下降位置で示されている。複数の坩堝14の各々には、計量済みの試料13(図2の仮想線で示す)が事前に入れられ、坩堝14は、縦型試料ローディングステーション50に保持されている。ローディングステーション50は坩堝保持ディスク44を最大6枚含み、各ディスクは10個の坩堝保持ソケットを含む。ディスク44は、鉛直方向に延びる回転軸52上に互いに鉛直方向に離間して取り付けられている。軸52は、図1及び図2の矢印Bで示すように上昇及び下降できる。これにより、坩堝14’(図2)等の坩堝を、シャトル組立体20の把持アーム26により取り出される位置に位置決めできる。坩堝14がローディングステーション50から取り出されると、シャトル組立体20のシャトル16に位置合せされたディスク44は、次の坩堝を所定の取り出し位置に置くために回転する。ディスク44の坩堝が全て取り出されると、軸52は、液圧式、電気式又は空気圧式のシリンダ45(図1)によって上昇され、坩堝が満たされた次のディスク44が、坩堝をシャトル16に供給するための所定の位置に位置決めされる。
【0013】
図2〜5及び図7に最も良く示すように、シャトル組立体20は、回転ヘッド22を備えたシャトル16を有し、回転ヘッド22には、バネによって力が加えられた対向する湾曲把持アームの対向する対24、26が取り付けられている。各アーム対はアーム25、27(図7に最も良く示す)を有し、アーム25、27は、シャトル16が図1及び図2において矢印Cで示す方向に試料ローディングステーション50と炉の受け台12の間を直線的に往復移動するとき、円筒形の坩堝14の両側を取り囲んでシャトル16に坩堝を保持するように湾曲している。各アーム25、27は、枢支ピン23によって回転ヘッド22のハウジング21(図8A)の上面121に枢動可能に取り付けられている(図7及び図8)。バネ23’は、アーム25、27を互いに付勢して坩堝を把持するため、回転ヘッド22のハウジング21に対する各アーム25、27の枢動接続部から離間した位置に配置されたアーム25及び27の支柱29間に結合されている。把持アームの動作の詳細を以下説明する。
【0014】
シャトル16は、図3に示すように、新坩堝取り出し位置(図2)と誘導炉の受け台12の間でシャトル16を直線的に移動させるための往復台130(図7〜10)に取り付けられている。受け台12では、把持アーム25、27は、図3に示すように開き、そして使用済み坩堝14”を取り上げるように順次的に駆動された後、回転ヘッド22は、図4の矢印Dで示すように回転して、新しく取り上げた坩堝14’を図5に示すように受け台12上に置く。シャトル16は、新しい試料保持坩堝14’を受け台12上に置いた後、図3及び図4に示す位置から図5に示す中間位置まで移動し、使用済み坩堝14”(図5)は、それを保持している把持アームの開放によりベースプレート58の排出シュート28内に落とされる。その後、シャトル16の回転ヘッド22は再び180°回転された後、図2に示す最右端位置に移動し、アーム26は次の試料保持坩堝を取り出すことができる。この坩堝は、新しい坩堝をアーム26に提供するために回転型坩堝ローディングステーション50において坩堝保持ディスク44の回転及び/又は上昇によって位置決めされたものである。従って、アーム対26だけが汚れていない坩堝を扱い、アーム対24だけが汚れた使用済み坩堝を扱うため、分析順序(analytical sequence)の完全性が保証される。次に、シャトルの動作シーケンスを含む坩堝の取り扱い方法を図6と組み合わせて説明する。
【0015】
図6のブロック100から分かるように、図2に示すような新しい試料保持坩堝14’は、シャトル16が新しい試料保持坩堝14’を取り出すためにローディングステーション50に移動するときに、後で説明するように開かれるアーム対26によって取り出される。次にアームは閉じられて坩堝を把持し、ディスク44は、坩堝14’とディスク44が接触しないように下降される。その後、シャトルがディスク44から離れて炉の受け台に向かって移動するとき、坩堝は、ローディングステーション50の坩堝保持ディスク44のスロット保持孔43(図2)から取り外される。次に、シャトルは、図6のブロック102で示すように受け台12に向かって移動し、アーム24が受け台に向けられた状態で受け台に接近すると、アーム24が開いて、分析完了後に炉11から自動的に降下された受け台上の使用済み坩堝を取り囲む。次に、アーム24は使用済み坩堝14”を取り囲むようにして閉じ、往復台130及び回転ヘッド22は、後述するように上昇され、ブロック104で示すように受け台12から使用済み坩堝14”を持ち上げる。
【0016】
次に、図4に図示しブロック106で示すように、シャトル16の回転ヘッド22は180°回転される。ヘッド22の回転終了後、新しい坩堝14’は受け台12上に位置合せされており、回転ヘッド及び往復台は、下降されて坩堝14’を受け台上に置き、この時、ブロック108で示すように、アーム26が開いて新しい坩堝を受け台上に置く。この動作が完了すると、ブロック110及び図5に示すように、シャトルは移動して、使用済み坩堝14”をベースプレート58の排出シュート28上に位置合せする。次に、ブロック112で示すように、廃棄のため、アーム対24が開いて坩堝14”をシュート28に落とす。次に、ブロック114で示すように、シャトル16の回転ヘッド22が再び180°回転され、アーム対26を坩堝ローディングステーション50と対向する位置に位置決めする。アーム26は、シャトルがブロック116で示すように坩堝ローディングステーションに移動して図2に示す位置に達するときに開かれる。次に、図6の線118で示すように、坩堝取扱シーケンスは、全ての分析対象の試料保持坩堝が順次的に分析装置10内に導入され解析が全試料に対して行われるまで繰り返される。図6に示すシーケンスは、後で図13と組み合わせて説明する制御回路70の一部であるマイクロプロセッサ72にプログラミングされる。
【0017】
各把持アーム対24、26がアーム25及び27を有しているが、把持アーム対24、26は、空気圧駆動の円錐形アクチュエータピストン100によって、アームを坩堝保持位置(図3及び図4に示す)に保持している張力バネ23’の力に打ち勝って開けられる。この様子は、図7にも示すが、図8及び図8Aから最も良く分かる。バネ23’の端部は、図7から最も良く分かるようにアーム25及び27の支柱29に嵌められており、これらアームには張力がかけられている。ピストン100は、枢支ピン23とバネ保持支柱29の間の位置において、枢動アーム25と27の間に延びている。ピストン100の本体102は、ディスク状であり、ピストンを回転ヘッド22の空気圧シリンダ107内に移動可能且つ密封可能に取り付けるために外周密封Oリング109を有する。回転ヘッド22の頂部121(図8及び図8A)は、ピストン100を覆う取外し可能なカバー105を有する。カバー105はアパチャ106を有し、ピストン100上部の一体円錐先端部103が、ヘッド22を貫通して延び、駆動時、アーム対24、26を坩堝解放開位置に付勢できるようになっている。図8Aから分かるように、先端部103はアーム25、27の内縁31と係合して楔として作用し、アームを坩堝受取位置或いは坩堝解放位置に開く。制御された供給ライン108、110(図8)により各々のピストンシリンダ107及びピストン100に選択的に空気圧が加えられる。ピストン100は、カバー105(図8及び図8A)とピストン本体102の間に延びる圧縮バネ101により下降位置に戻される。ピストン100に対する空気の接続及び回転アクチュエータ120(後で検討)に対する電気接続は、柔軟な空気及び電気アンビリカル46(図9及び図10)により形成される。アンビリカル46の一端は、回転アクチュエータ120に電気制御信号を提供し各ピストン100に個別に空気圧を提供するため、シャトル16に接続されている。アンビリカル46は、図9及び図10から分かるように、シャトルと共に移動することができ、水平方向に延在するガイドレール112によってシャトルドライブスクリュ134の邪魔にならないように維持されている。アンビリカル46の固定端は、取付ブロック74によってハウジング54に接続されている。アンビリカル46内の電気導線及び空気導管は、従来の方法によって空気圧源及び電源に接続されている。
【0018】
同様に、往復台130には、鉛直方向に延びる回転ドライブ軸122(図8〜図10)を有する回転アクチュエータ120が取り付けられており、この軸122は、シャトル16のヘッド22を180°の円弧に亘って両方向に回転させるためにヘッド22に結合されている。回転アクチュエータ120は、一対の把持アーム対26が常に新しい坩堝を扱い反対側の把持アーム対24が汚れた使用済み坩堝を扱うように、回転ヘッド22を特定の方向に180°だけ回転させた後、回転方向を逆転する。アーム対24及び26の枢動接続部23はカバー36により保護されており(図2〜5)、カバー36は、鉛直方向の支柱38内に延びる固定具37により固定されている。支柱38は、回転ヘッド22の中央ネジ付きソケット39内に捩じ込まれている(図8)。
【0019】
次に、特に図9〜12を参照しつつ、図1〜5に示す動作を提供するためのシャトル16の取り付けを説明する。シャトル16は、ポリマー製ガイドブロック132を有する往復台130に取り付けられており、該ブロック132は、往復台取付プレート133内に取り付けられている(図9)。往復台取付プレート133の下面には、ハウジング54の床面42に沿って摺動するテフロン(登録商標)パッド137が備えられている。回転ドライブスクリュ134は、ハウジング54の後壁55に固定具41により固定された細長いガイド144に取り囲まれている。ガイド144は、ドライブスクリュ134を収容しその全長に亘ってドライブスクリュを回転可能に支持するための内部孔を有する。更にガイド144は、(図9Aから最も良く分かるように)ガイドブロック132を外側で摺動可能に受けており、ガイドブロック132は、往復台130が図2及び図3で示す位置の間を移動するときに往復台130を摺動可能に支持するためにプレート133(図9)に固定されている。ガイドブロックは線形ドライブスクリュ134を取り囲んでいるが、このスクリュ134は、ガイドブロック132の反対側の端部において、ハウジング54の後壁55に支持されたベアリング135によって、ハウジング54内に支持されている。ガイドブロックはドライブナット134’(図9A)を備え、ドライブナット134’は、ブロック132と、固定具141(図9)によりブロック132に固定された往復台130とを駆動してシャトル16を移動させる。要素132、134、135及び144は、ケルク・モーション・プロダクツ社(Kerk Motion Products, Inc.)から入手可能な高速ドライブスクリュ等の市販品とすることができる。
【0020】
ドライブスクリュ134の端部はベアリング135を貫通し、歯付きドライブベルト138によって回転可能に駆動されるギア136に接続されている(図9から最もよく分かる)。ベルト138は、ハウジング54のスロット139(図11)を貫通して延び、ドライブスクリュ134の可逆回転のためにギア142を介して可逆駆動モータ140に接続されており、往復台130は、受け台12と試料ローディング装置50の間を直線的に移動する。シャトル組立体20のためのハウジング54は、水平方向に延びるスロット57を備えた前側カバープレート56(図1、図3〜5及び図7)を有し、これにより、シャトル16を往復台プレート133に連結するアーム131(図9から最も良く分かる)がシャトル16の全移動範囲に亘ってドライブスクリュ134と係合できるようになっている。
【0021】
シャトル16、その回転ヘッド22、把持アーム対24、26、ハウジング54内のシャトル駆動機構、及びモータ140を含むシャトル組立体20は、固定ベースプレート58に枢動可能に取り付けられ、図11の矢印Eで示す方向に枢動して上昇及び下降し、坩堝を受け台12から持ち上げる或いはアーム対24、26から受け台12上に坩堝を置く。この目的のために、往復台130及びその駆動機構が内部に取り付けられた取付ハウジング54は、枢軸150(図12)を中心に枢動するように取り付けられている。軸150は、取付ブロック154のアパチャ152を貫通して延びる部分151を有する。ブロック154は、プレート58のアパチャ59に隣接するようにプレート58の下面56に固定具156により固定される。軸150の端部153は、T型枢動ブロック160のネジ孔162内に延び、該ブロック160は、ネジ山付きソケット64内に延びる固定具164によって、ハウジング54の外側下面62に固定されている。ブロック160は、ハウジング54がベースプレート58に取り付けられると、アパチャ59を貫通する。ブロック160のアパチャ162は、隣接するブロック154のアパチャ152と位置が合っている。枢軸150をアパチャ162に捩じ込むと、軸150の端部151は、図11に示すように、ハウジング54及びそれに取り付けられた各部品のベースプレート58に対する枢動接続部を提供する。
【0022】
線形アクチュエータ170が、枢支ピン150と離間するように取り付けられているが、線形アクチュエータ170は、ベースプレート58の開口部53を通ってハウジング54の下面62と係合する直線移動可能な軸172を有する。アクチュエータ170は、取り付けブラケット174及びネジ山付き固定具176によってプレート58の下面56に固定されている(図12)。アクチュエータ170が駆動されると、ハウジング54は上方に枢動し、往復台130及びシャトル16を上昇させ、把持アーム対24、26は、受け台12から坩堝を持ち上げるのに十分な距離だけ上昇する。このように、回転ヘッド22は上昇して使用済み坩堝を取り上げ、回転し、下降して新しい坩堝を受け台12上に置く。その後、回転ヘッド22は移動し、使用済み坩堝を排出シュート28に廃棄するためにアームを開放する。その後、シャトルヘッド22は回転し、シャトルは試料ローディングステーション50に移動して新しい坩堝を取り上げ、再び受け台12に移動して使用済み坩堝を取り上げ、このサイクルを繰り返す。図3、図4、図11及び図12に示すように、プレート58は、炉の受け台12を取り囲むためのスロット孔15を有し、従来の方法によって炉11のフレーム18(図1)に固定されている。排出シュート28(図3〜図5)には、使用済み坩堝を処分ビン(図示せず)に向けるためのエルボ30(図11及び図12)が取り付けられている。モータ140は、適切なカバー32に覆われている(図3〜図5、図10及び図11)。
【0023】
図13は、シャトル組立体20を、図6を参照して上で説明したような動作シーケンスで制御するための制御回路70の電気ブロック図である。回路70は、マイクロプロセッサ72と、適切なメモリと、坩堝の上昇、下降及び輸送のために駆動モータ140と線形アクチュエータ170とに接続されるインターフェース回路とを含む。更に回路70は、シャトル16の回転ヘッド22を回転させるために回転アクチュエータ120に対して時間を合わせた信号(timed signals)を提供する。更にマイクロプロセッサ72は、空気圧源を駆動するためにソレノイドバルブ71、73を駆動し、これにより、把持アーム対24及び26を順次的に開閉してアーム内に坩堝を把持したりアーム内の坩堝を解放したりするためにピストン100(図8)を制御する。制御回路70は、試料ローディングステーション50の制御を含む、坩堝ローディング及びアンローディングシステムを取り付ける炉11及び装置10のための全体の制御に組み込むことができる。
【0024】
このように、本発明のシステムを用いると、試料保持坩堝をローディングステーションから取り上げ、誘導炉の受け台に輸送した後、使用済み坩堝を取り上げ、組立体を回転して新しい坩堝を誘導炉の受け台に置き、組立体を所定の中間位置に移動して使用済み坩堝を廃棄した後、回転し、再度ローディングステーションに移動することができる。誘導炉から坩堝を取り上げて廃棄するために回転される対向する把持アームを提供することにより、試料保持坩堝のスループットが大幅に改善される。この機構は、第一の位置と第二の位置の間で坩堝や他の物品を移動するためにも使用できる。例としては、坩堝を試料計量秤からステーション50にローディングするために、同様の坩堝取り扱い組立体を使用できる。
【0025】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した本発明の好ましい実施形態に対して各種変更を行うことができることは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の坩堝ローディング及びアンローディングシャトルを坩堝ローディングステーションと共に備えた誘導炉を備えた分析装置の前面立面図である。
【図2】図1に示す構造の部分斜視図であり、シャトルが、新しい試料保持坩堝を坩堝ローディングステーションから取り上げている様子を示す。
【図3】図1に示す構造の部分斜視図であり、シャトルが、誘導炉の受け台から使用済み坩堝を取り上げる位置に移動され、炉の受け台に新しい試料保持坩堝を置くために回転しようとしている状態を示す。
【図4】図3に示す構造の斜視図であり、炉の受け台に新しい坩堝を置くための位置に向けたシャトルの回転を示す。
【図5】図3に示す構造の斜視図であり、新しい試料保持坩堝が誘導炉の受け台上に置かれ、排出シュート内へ坩堝を落下させるための位置に使用済み坩堝が移動された状態を示す。
【図6】坩堝を本発明のシャトルで扱う方法のブロック流れ図である。
【図7】本発明のシャトルのバネによって力が加えられた2本の把持アームの、一部を切り欠いた部分拡大斜視図であり、ハウジングを取り除いた状態を示す。
【図8】図3のVIII−VIII線に沿って切断した、図7に示す構造の部分切欠き縦方向断面図である。
【図8A】把持アーム駆動ピストンの上面図であり、一方のアームを仮想線で示す。
【図9】シャトル組立体の線形駆動装置の、一部を切り欠いた部分拡大斜視図である。
【図9A】シャトルのドライブナット及びドライブスクリュの部分拡大断面図である。
【図10】シャトル組立体及びハウジングの部分拡大斜視図である。
【図11】シャトル組立体の後方下面斜視図である。
【図12】シャトル組立体の一部の分解下面斜視図であり、把持アームを上昇及び下降させて坩堝を炉の受け台から持ち上げたり受け台に置いたりするためのハウジングの枢動取付けを示す。
【図13】本発明のシステムのための制御回路の電気回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
10 分析装置
11 炉
12 坩堝保持台
16 シャトル
20 シャトル組立体
22 回転ヘッド
24、26 把持アーム対
50 坩堝(試料)ローディングステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置に組み合わされた炉及び坩堝ローティングステーションに対して坩堝をローディング及びアンローディングするためのシャトルシステムであって、
回転軸の両側で同時に坩堝を把持するための対向する坩堝把持アームの対を複数備えたシャトルと、
前記複数のアーム対を支持する回転ヘッドと、
炉の坩堝保持台と炉に導入するための試料保持坩堝を提供するためのローディングステーションとの間で前記回転ヘッド及び前記把持アームを移動させるために前記シャトルに結合された線形駆動装置とを有するシステム。
【請求項2】
坩堝を把持及び解放するために、前記複数の把持アーム対の内の少なくとも一個のアームを選択的に開くためのアクチュエータを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の把持アーム対を選択的に上昇及び下降させるための機構を更に含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記機構は、固定ベースプレート、前記シャトルのためのハウジング、及び前記ハウジングとベースの間の枢動接続部を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ハウジングを枢動させ前記複数のアーム対を上昇及び下降させるために前記ベースとハウジングの間に結合された線形アクチュエータを更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記把持アームは、バネにより坩堝把持位置に維持されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記回転ヘッドは往復台に取り付けられており、前記線形駆動装置は、前記往復台にネジ結合されたドライブスクリュを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記把持アームは、円筒形の坩堝を部分的に取り囲むための湾曲した端部を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
排出シュートを含み、前記線形駆動装置は、使用済み坩堝を前記排出シュートに落とすために炉とローディングステーションの間の所定の位置において前記シャトルを停止させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
物品を少なくとも第一の位置と第二の位置の間で移動させるためのシステムであって、
回転軸の両側で同時に物品を把持するための対向する把持アームの複数の対と、
前記複数のアーム対を支持する回転ヘッドと、
前記把持アームを第一の位置と第二の位置の間で移動させるために前記回転ヘッドに結合された線形駆動装置とを有するシステム。
【請求項11】
前記把持アームの内の少なくとも一個を移動し物品の把持及び解放を交互に行うためのアクチュエータを更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記アームに保持された物品を上昇及び下降させるために前記回転ヘッドに結合された枢動取付部を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、離間した少なくとも3箇所の位置の間で物品を移動させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
坩堝を保持及び解放するための把持組立体であって、
ヘッドに枢動可能に取り付けられた一対の坩堝把持アームと、
前記アームを坩堝保持位置に維持するためのバネと、
前記把持アームを選択的に開いて坩堝を解放及び保持するために前記アーム間に移動可能に結合された先細アクチュエータとを含む把持組立体。
【請求項15】
前記第一の把持アーム対に対向するように前記ヘッドに取り付けられた第二の把持アーム対と、前記第二のアームを坩堝保持位置に維持するためのバネと、及び前記第二のアームを選択的に開いて坩堝を解放及び保持するために前記第二のアーム間に移動可能に結合された先細アクチュエータとを更に含む、請求項14に記載の把持組立体。
【請求項16】
前記ヘッドは回転ヘッドである、請求項15に記載の把持組立体。
【請求項17】
前記回転ヘッドは、駆動ピストンを収容する一対のシリンダを含み、駆動ピストンは、前記シリンダの各々に位置決めされていると共に、駆動時に前記回転ヘッドを越えて上方に延びる円錐形先端部を有し、前記ピストンは、前記ピストン駆動時、前記一対のアーム間に前記円錐形先端部が延びて前記アームを開くように、前記ヘッド内に位置決めされている、請求項16に記載の把持組立体。
【請求項18】
前記ピストンは、空気圧駆動式であり、前記一対のアーム間から前記円錐形先端部を後退させて前記アームを閉じて坩堝を把持するために前記ピストンと前記ヘッドの間に結合された戻りバネを有する、請求項17に記載の把持組立体。
【請求項19】
前記ヘッドは鉛直方向に移動可能である、請求項16に記載の把持組立体。
【請求項20】
分析装置に組み合わされた誘導炉の受け台と坩堝ローティングステーションの間でセラミック製坩堝のローディング及びアンローディングを行うためのシャトル組立体であって、
回転軸の両側で同時に2個の坩堝を把持するための対向する一対の坩堝把持アームを備えたシャトルであって、前記アームを回転可能に支持するためのヘッドを備えたシャトルと、
前記ヘッド及び把持アームを、前記炉の坩堝保持台と炉に導入するための試料保持坩堝を提供するローディングステーションの間で移動させるために前記シャトルに結合された線形駆動装置とを有する組立体。
【請求項21】
更に、前記線形駆動装置は、前記シャトルを、使用済み坩堝を排出するための排出シュートに移動させる、請求項20に記載の組立体。
【請求項22】
前記シャトルは、前記ヘッドが取り付けられた往復台を有し、前記線形駆動装置は、前記往復台を炉と坩堝ローディングステーションの間で移動させるために前記往復台に結合されたドライブスクリュを有する、請求項21に記載の組立体。
【請求項23】
固定されたベースプレートと前記往復台及びドライブスクリュのためのハウジングと、前記シャトルを枢動によって上昇及び下降させて坩堝を受け台から持ち上げたり受け台上に下ろしたりするために前記シャトルから離間した所定の位置に設けられた、前記ハウジングとベースプレートとの間の枢動接続部とを更に有する、請求項22に記載の組立体。
【請求項24】
前記シャトルを上昇及び下降させるために前記ベースプレートと前記ハウジングの間に延びる線形アクチュエータを更に有する、請求項23に記載の組立体。
【請求項25】
坩堝ローディング/アンローディングシャトル組立体であって、
バネによって力が加えられた対向する坩堝把持アームを備えたシャトルを有し、
前記シャトルは、前記アームを開位置と閉位置の間で移動させるためのアクチュエータを有し、
前記シャトル組立体は、ハウジングと、前記シャトルを炉と坩堝ローディングステーションの間で移動させるために前記ハウジングに位置決めされ前記シャトルに結合された線形駆動装置とを更に有し、
前記シャトル組立体は、炉と坩堝ローディングステーションの間で位置決めを行うための固定ベースプレートを更に有し、前記ハウジングは、前記ベースプレートに枢動可能に取り付けられており、
前記シャトル組立体は、前記シャトルを上昇及び下降させるために前記ハウジングと前記ベースプレートの間に結合された第二の線形アクチュエータを更に有する組立体。
【請求項26】
前記シャトルは更に、前記把持アームが結合された回転ヘッドを有する、請求項25に記載の組立体。
【請求項27】
分析装置に組み合わされた炉に対して坩堝をローディング及びアンローディングするための方法であって、
ローディングステーションにおいて、回転軸の両側で同時に坩堝を把持するために対向する坩堝把持アームの対を複数備えたシャトルの一対の坩堝アームによって坩堝を取り出す段階と、
シャトルを炉の坩堝保持台に移動させる段階と、
前記アームの複数の対を回転させる段階と、
シャトルの別の対のアームによって使用済み坩堝を受け台から取り上げる段階と、
シャトルを回転させ、新しい坩堝を炉の坩堝保持台上に置く段階とを含む方法。

シャトルを排出シュートに移動させる段階、
使用済み坩堝を排出シュートに解放する段階

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−292465(P2008−292465A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−103120(P2008−103120)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(592071853)レコ コーポレイション (19)
【氏名又は名称原語表記】LECO CORPORATION
【Fターム(参考)】