説明

垂直搬送装置

【課題】簡素な構造で搬送物を連続かつ安定して搬送できる垂直搬送装置を得る。
【解決手段】垂直搬送装置は、水平に対して傾斜させて回転可能に設けた3枚の外円板3、これらの外円板3に対して同心に水平かつ回転可能に設けた3枚の内円板5、外円板3を回転駆動する駆動機構、内円板5を回転駆動する駆動機構、外円板3の上の搬送物を落下させるのを助けるスクレーパ41、および内円板5の上の搬送物を落下させるのを助けるスクレーパ42を備えている。外円板3の下位部に落下した搬送物はその上位部に位置させて同位の内円板5の上に落下させ、その内円板3上の搬送物は上位の外円板3の下位部に位置させてその上に落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送物を低所から高所へ搬送する搬送装置に関し、特に粉状、粒状、または泥状の搬送物を低所から高所へ搬送する垂直搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送物を低所から高所へ搬送する装置として、いわゆるバケットコンベヤ、スパイラルコンベヤ、フライトコンベヤ、縦型(縦軸)スクリューコンベヤなどが知られている。バケットコンベヤの例としては、特開2003−226417号公報に開示されたバケットコンベヤ式リフト装置がある。スパイラルコンベヤの例としては、特開2001−301940号公報に開示されたものや、特開平11−318396号公報のヒジキの加工方法に用いられたものがある。フライトコンベヤの例としては、特開2004−307090号公報の粉粒体搬送用ベルトコンベヤに用いられたものがある。そして、縦型スクリューコンベヤの例としては、特開平05−039113号公報に開示された粒状体垂直搬送装置がある。
【0003】
特開2003−226417号公報のバケットコンベヤ式リフト装置では、上軸と下軸との間で周回動作する送り手段として平ベルトが設けられ、この平ベルトに複数のバケットが略等間隔に配置されている。これらの複数のバケットの一部はスクレーパバケットとされ、集中部が形成されている。集中部の先頭のスクレーパバケットが堆積部から粒状物を掬い上げて堆積部からその上方に離れると、スクレーパの縁の部分にあった粒状物が落下するが、この落下途中に後続のスクレーパバケットが送られてくるので、落下中の粒状物はそのスクレーパバケットに収容される(特許文献1参照)。
【0004】
特開2001−301940号公報のスパイラルコンベヤでは、螺旋状の搬送路を有するコンベヤ本体が支柱の周りに形成されている。支柱には四方に突出するアームが所定の上下間隔で設けられ、アームの上に左右一対のガイドレールが設けられている。左右のガイドレールにはガイドローラを介して支持フレームが支持され、ガイドローラと支持フレームはガイドレールに対して移動可能とされている。支持フレームの下面の中央にはカーブチェーンが取り付けられ、支持フレームの上面には多数のスラットが取り付けられている。搬送物はスラットに載置され、コンベヤ本体の上端に達すると、水平に移動して送り出し部に達する。その後、カーブチェーンは反転し、垂直下向きに走行し、スラットが上下反転した状態でコンベヤ本体の下端を水平方向に走行する。そして、搬入部の先端部でカーブチェーンが反転すると共に、スラットも上下反転する(特許文献2参照)。
【0005】
特開平11−318396号公報のヒジキの加工方法に用いられたスパイラルコンベヤは、大型容器内に配置され、1本のメッシュ状のベルトが螺旋状に移動するように構成されている。そして、このベルトの上にヒジキが載置され、容器の下方から上方のヒジキに向かって高温・高圧の蒸気が供給されるように構成されている(特許文献3参照)。
【0006】
特開2004−307090号公報の粉粒体搬送用ベルトコンベヤに用いられたフライトコンベヤでは、斜設されたケーシングの内部において、テール側の回転軸が低所に配置され、ヘッド側の回転軸が斜め上方に配置されている。これらの回転軸には一対の平行なアタッチメントチェーンが無端状に掛け回されている。アタッチメントチェーンの双方には複数のフライトが間隔を置いて取り付けられている。各フライトは、その断面形状がL字形状とされ、アタッチメントチェーンの循環方向と直角な方向に向けられている。フライトは、ケーシングの内底面に沿ってヘッド側に順次移動し、内底面上に落ちている粉粒体を掻き集めながらヘッド側に移動する(特許文献4参照)。
【0007】
特開平05−039113号公報の粒状体垂直搬送装置では、ケーシングが鉛直に設置され、ケーシングの内面にスクリューが設けられている。ケーシングの軸線位置に中空の回転軸が回転可能に設けられ、この回転軸はコンプレッサに連通されている。回転軸には複数の通気孔が形成され、回転軸の外側には伸縮性カバーが通気孔を覆うように軸線に沿って設けられている。コンプレッサからの圧力空気は回転軸とその通気孔を通って伸縮性カバーを膨張させる。これにより、膨張した伸縮性カバーがスクリュー上の粒状体を押圧するので、スクリューと粒状体との間に滑りが生じ、スクリューは粒状体を上方へ押し進める(特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−226417号公報(段落13、14、および図3)
【特許文献2】特開2001−301940号公報(段落08、09、15、16、および図1、3)
【特許文献3】特開平11−318396号公報(段落08、09、および図1、2)
【特許文献4】特開2004−307090号公報(段落28、29、34、および図1、2)
【特許文献5】特開平05−039113号公報(段落08〜11、および図1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記バケットコンベヤは搬送物をバケットに収容して搬送し、フライトコンベヤは搬送物をフライトによって掻き集めるので、いずれも間欠的な搬送となり、搬送効率が悪くなっている。上記一方のスパイラルコンベヤは、コンベヤリターンの設計が容易でない故に搬送高さが制約され、構造が複雑である故に製造コストが高くなっている。上記他方のスパイラルコンベヤは、コンベヤベルトの旋回半径が大きい故に広い面積が必要となり、コンベヤベルトが長い故に必要動力が大きくなっている。上記フライトコンベヤは、摺動部が多い故に磨耗対策が必要となり、コストが高くなっている。そして、上記スクリューコンベヤは、フライトコンベヤと同様な問題を有している上に、スクリューが高速で回転しても搬送量に限度があり、安定した搬送が期待できない状態になっている。
【0010】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡素な構造で搬送物を連続かつ安定して搬送できる垂直搬送装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る垂直搬送装置は、水平に対して傾斜させて設けた外円板、この外円板に対して傾斜させて設けた内円板、および外円板と内円板を回転駆動する駆動手段を備え、外円板の下位部に搭載した搬送物を上位部に位置させて内円板上に落下させるように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、外円板と内円板を鉛直方向に間隔を置いて配置し、それらの外円板と内円板を駆動手段によって駆動する構成であるので、その構成が簡素となる。このため、小型化が可能なるので、設置スペースを減少させることができ、設置コストも低減することができる。また、搬送物を外円板から内円板に自然落下させるだけで混練しないので、粉塵の発生を防止できると共に、駆動手段の駆動力を低減できる。さらに、接触部や摺動部を少なくできると共に精密な部分も少なくできるので、製作コストを削減できる上に故障を低減でき、搬送物を安定して搬送できる。そして、搬送物を連続して搬送できるので、搬送物を定量化でき、多段を繰り返すことで更に定量化でき、一定速度で搬出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における垂直搬送装置を示すものである。この垂直搬送装置は、平坦な底板1の上に円筒状のケーシング2を立設してある。ケーシング2の内部には、複数枚(この実施の形態1では例えば3枚)の環状の外円板3を水平に対して傾斜させて設けてある。この場合に、3枚の外円板3は、鉛直方向に等間隔で配置し、自らの軸線の回りに回転可能としてある。ケーシング2と外円板3の共通の軸線上には、回転軸4をその軸線を一致させて回転可能に配置してある。この回転軸4には、外円板3と同じ枚数の内円板5を外円板3と同じ間隔で固定してある。図2に示すように、最下位の外円板3の下位部の近傍には、搬送物を最下位の外円板3の下位部に投入する投入装置6を設置してある。そして、最上位の内円板5の傍らには、その内円板5から落下した搬送物を外部に搬出する搬出装置7を設置してある。
【0014】
外円板3は、投入装置6または内円板5から落下した搬送物を搭載する環状の搭載板11を備えている。この搭載板11の外周縁側から搬送物が落下するのを防止するため、搭載板11の外周縁には低い高さの囲い板12を上方に向けて設けてある。また、搭載板11の外周縁には、回転駆動力を受ける歯板13を下方に向けて設けてある。さらに、図3にも示すように、歯板13の下縁には多数の同形の歯部13aと溝部13bを全周に亘って形成してある。そして、歯板13の歯部13aと溝部13bには複数の支持歯車14の溝部14aと歯部14bをそれぞれ噛合させてある。
【0015】
図4に示すように、外円板3の最下位部を支持する支持歯車14をケーシング2に回転可能に支持するため、ケーシング2にはブラケット15を介して片持ちピン16を支持してある。また、図5に示すように、外円板3の最上位部を支持する支持歯車14をケーシング2に回転可能に支持するため、ケーシング2にはブラケット15を介して片持ちピン16を支持してある。なお、外円板3の最下位部と最上位部以外の部分を支持する支持歯車14も、ケーシング2に図示しないブラケットを介して支持した片持ちピン16に回転可能に支持してある。
【0016】
図6に示すように、ケーシング2の外側には支持歯車14を回転駆動するための駆動機構(駆動手段)21を配置してある。この駆動機構21を構成するため、支持歯車14に噛合する駆動歯車22をそれぞれ備えた3個のマイタ歯車箱23をケーシング2に取り付けてある。これらの3個のマイタ歯車箱23には共通の回転軸24を通してあり、この回転軸24は歯車箱25を介して駆動源26によって回転駆動するようにしてある。各マイタ歯車箱23は、回転軸24に固定した一方の図示しない傘歯車とこの傘歯車に噛合した他方の図示しない傘歯車とから成るマイタ歯車を内蔵し、上記駆動歯車22は他方の傘歯車の回転軸に固定してある。
【0017】
図1を再び参照すると、回転軸4の下端は底板1に軸受31を介して支持してあり、回転軸4の上端は無給油ブッシュなどを含む軸受32とブラケット33を介してケーシング2の上部に支持してある。回転軸4には、一方のスプロケット34を、例えば最上位の内円板5の下側において固定してある。そして、スプロケット34を回転駆動するため、ケーシング2の外側に駆動機構(駆動手段)35を配置してある。この駆動機構35は、スプロケット34にチェーン36を介して連結した他方のスプロケット37、このスプロケット37を支持した回転軸38、この回転軸38を支持した歯車箱39、および歯車箱39を駆動する駆動源40によって構成してある。
【0018】
投入装置6は例えばベルトコンベヤとし、搬送物を最下位の外円板3の搭載板11の上に確実に落とすように配置してある。搬出装置7も例えばベルトコンベヤとし、最上位の内円板5から落ちる搬送物を確実に受けて搬出するように配置してある。そして、各外円板3の上位部の近傍には、スクレーパ(補助手段)41を配置してある。このスクレーパ41は、外円板3の搭載板11の表面に載って移動してきた搬送物をその外円板3の最上位部の近傍において内円板5の上に自然落下させるような形状と配置としてある。同様に、各内円板5にもスクレーパ(補助手段)42を配置してある。このスクレーパ42は、最下位の内円板5と中間位の内円板5にあっては移動してきた搬送物を中間位の外円板3と最上位の外円板3の上にそれぞれ自然落下させるように配置してあり、最上位の内円板5にあっては移動してきた搬送物を搬出装置7の上に自然落下させるように配置してある。
【0019】
ここで、この実施の形態1では搬送物を粉状体、粒状体(顆粒状体を含む)、または泥状体と仮定し、水平に対する外円板3の傾斜角すなわち安息角を15〜25°とし、図4および図5では20°として示してある。しかし、搬送物の種類は限定するものではないので、外円板3の安息角や表面摩擦力は、搬送物が外円板3の上位部に至るまで外円板3を滑落しないように、搬送物の種類に応じて決めるのが最も好ましい。なお、スクレーパ41、42は、搬送物の種類に対応させてその他の形態、例えばゲートプレート、ブラシなどとすることができる。また、搬送物の種類によっては、外円板3のスクレーパ41を必要としない場合もあろう。
【0020】
このような構成により、駆動機構21が作動すると、駆動源26の回転駆動力が歯車箱25と回転軸24を介してマイタ歯車箱23内のマイタ歯車に伝達し、それに連結した駆動歯車22が回転する。これにより、支持歯車14が回転し、その回転駆動力が外円板3の歯板13に伝達し、外円板3が図2で示す矢印方向に回転する。また、駆動機構35が作動すると、駆動源40の回転駆動力が歯車箱39を介して回転軸38に伝達し、回転軸38の回転駆動力がスプロケット37とチェーン36を介してスプロケット34に伝達する。これにより、回転軸4が回転し、それと一体の全ての内円板5が図2で示す矢印方向に回転する。
【0021】
このような状態で、図7に示すように投入装置6に搬送物Mを投入すると、その搬送物Mは投入装置6の作動に伴って最下位の外円板3側に移動し、その外円板3の下位部の上に落下する。そして、最下位の外円板3の上に落下した搬送物Mは、その外円板3の回転に伴って上位部に移動し、スクレーパ41の助力も加わって最下位の内円板5の上に落下する。その内円板5の上の搬送物Mは、その内円板5の回転に伴って反対側に移動し、スクレーパ42の助力によって中間位の外円板3の下位部の上に落下する。
【0022】
続いて、中間位の外円板3の上に落下した搬送物Mは、その外円板3の回転に伴って上位部に移動し、スクレーパ41の助力も加わって中間位の内円板5の上に落下する。そして、中間位の内円板5の上の搬送物Mは、その内円板5の回転に伴って反対側に移動し、スクレーパ42の助力によって最上位の外円板3の下位部の上に落下する。
【0023】
さらに、最上位の外円板3の上に落下した搬送物Mは、その外円板3の回転に伴って上位部に移動し、スクレーパ41の助力も加わって最上位の内円板5の上に落下する。そして、最上位の内円板5の上の搬送物Mは、その内円板5の回転に伴って反対側に移動し、スクレーパ42の助力によって搬出装置7の上に落下する。
【0024】
以上のように、この実施の形態1における垂直搬送装置は、傾いた3枚の外円板3と水平な3枚の内円板5とを鉛直方向に間隔を置いて配置し、それらの外円板3と内円板5を駆動機構21、35によってそれぞれ回転駆動する構成であるので、その構成が簡素となる。このため、小型化が可能となり、設置スペースを減少させることができ、設置コストも低減できる。また、搬送物Mを外円板3から内円板5に自然に(重力により)落下させるだけで混練しないので、粉塵の発生を防止できると共に駆動機構21、35の駆動力を低減できる。さらに、接触部や摺動部を少なくできると共に精密な部分も少なくできるので、製作コストを削減できる上に故障を低減でき、搬送物Mを安定して搬送できる。そして、搬送物Mを連続して搬送できるので、搬送物Mを定量化でき、多段を繰り返すことで更に定量化でき、搬出装置7から一定速度で搬出できる。
【0025】
実施の形態2.
図8は、この発明を実施するための実施の形態2における垂直搬送装置を示すものであり、図2と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。上記実施の形態1では外円板3を駆動機構21によって駆動したが、この駆動機構21に代えて外円板3の囲い板12の外周面を直接駆動する駆動機構51とすることができる。この駆動機構51は、外円板3の囲い板12にそれぞれ当接する3個の駆動ローラ52と、これらの3個の駆動ローラ52を固定支持した回転軸53と、この回転軸53を回転駆動する駆動モータなどの駆動源54によって構成することができる。また、内円板5を支持した回転軸4も駆動機構35の代りとなる駆動モータなどの駆動源55によって直接駆動するように構成することができる。なお、外円板3の囲い板12と駆動機構51の駆動ローラ52とは、圧接または噛合によって連結することができる。この実施の形態2における垂直搬送装置でも実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0026】
実施の形態3.
図9は、この発明を実施するための実施の形態3における垂直搬送装置を示すものであり、図8と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。上記実施の形態2では外円板3と内円板5を個々に駆動するために2つの駆動源54、55を用意したが、この実施の形態3では外円板3と内円板5を1つの駆動源54によって駆動するように構成してある。すなわち、駆動機構51Aの回転軸53の例えば下端部に駆動プーリ56を設けてあると共に、内円板5を支持した駆動軸4の下端部に従動プーリ57を設け、これらの駆動プーリ56と従動プーリ57をベルト58によって連結してある。この場合に、ベルト58を交差させ、外円板3と内円板5を反対方向に回転させるようにしてある。なお、プーリ56、57とベルト58をスプロケットとチェーンに代替できることは言うまでもない。この実施の形態3の垂直搬送装置でも実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0027】
実施の形態4.
図10は、この発明を実施するための実施の形態4における乾燥装置を示すものであり、図1と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この乾燥装置は上記垂直搬送装置のケーシング2の内部に加熱空気、乾燥空気などの乾燥用空気を送るための乾燥手段を設けた構成としてある。すなわち、乾燥手段を構成するため、ケーシング2の下部に給気口61を設け、ケーシング2の上部に排気口62を設けてある。これらの給気口61と排気口62とはケーシング2の外側においてダクト63によって連結し、このダクト63にはブロワ64とヒータ65を配設してある。なお、このヒータ65は、ブロワ64の上流側に設けるのが好ましい。
【0028】
この実施の形態4における乾燥装置は、外円板3の下位部に搭載した搬送物Mを上位部に位置させて内円板5上に落下させながら搬送するので、搬送物Mを連続して搬送でき、搬送効率を向上させることができる。また、外円板3の下位部に搭載した搬送物Mを上位部に位置させる間に搬送物Mを拡げた状態で乾燥できる上に、搬送物Mを外円板3から内円板5上に落下させる間にも乾燥できるので、乾燥効率を向上させることができる。さらに、搬送物Mを外円板3から内円板5に落下させた際にその表面位置を変化させることができるので、乾燥用空気に曝されていなかった部分を乾燥用空気に曝すことができ、乾燥効率を更に向上させることができる。したがって、搬送物Mが生物系汚泥である場合には、そのコンポスト化に有用性がある。
【0029】
実施の形態5.
図11は、この発明を実施するための実施の形態5における乾燥装置を示すものであり、図1と同じ部分に同じ符号を付して重複説明を省略する。この乾燥装置には、実施の形態1のケーシング2よりも長尺なケーシング2Aと、実施の形態1の回転軸4よりも長尺な回転軸4Aを設け、この回転軸4Aに多数の外円板3と同数の内円板5とを設けてある。そして、これらの外円板3および内円板5の上の搬送物Mを乾燥する乾燥手段を構成するため、ケーシング2Aの下部には加熱空気、乾燥空気などの乾燥用空気をケーシング2A内に通す給気口71を設け、ケーシング2Aの上部には搬送物Mを乾燥し終えた乾燥用空気を排出する排気口72を設けてある。また、ケーシング2Aの下部の外側において、給気口71の近傍に乾燥用空気生成手段73を設置してある。この場合に、投入装置6はケーシング2Aの下部に設け、回転軸4Aのスプロケット34、駆動機構35のスプロケット37、およびスプロケット34、37を連結するチェーン36はケーシング2Aの上部に配置してある。
【0030】
この実施の形態5における乾燥装置では、多数の外円板3と多数の内円板5とを設けたので、搬送物Mを連続して長時間にわたって乾燥することができる。その他には、実施の形態4と同様な効果が得られる。なお、この実施の形態5においては乾燥用空気を下部の給気口71に供給して上部の排気口72から排出するようにしたが、実施の形態4と同様に乾燥用空気を循環させるように構成できることは言うまでもない。
【0031】
なお、上記実施の形態4、5における乾燥手段の構成は限定するものではなく、例えば、駆動機構21、25の駆動源26、40の熱で温まった空気を利用してヒータ65または乾燥用空気生成手段73の使用回数を減らす構成、加熱空気によってケーシング2、2Aの全体を加熱炉とする構成、ボイラや太陽光などで得た熱湯でケーシング2、2Aの全体を加熱炉とする構成、外円板3と内円板5を主として加熱する構成などを利用できる。また、ケーシング2、2Aの全体を加熱炉とし、乾燥用空気または熱湯をケーシング2、2Aの上部から供給して構成できることも言うまでもない。この場合には、ケーシング2、2Aを内側ケーシングと外側ケーシングによって構成し、これらの内側ケーシングと外側ケーシングとの間に乾燥用空気または熱湯を循環させるように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の部分断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置のケーシングを除き、投入装置と搬出装置を加えて示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の外円板の歯板と支持歯車との噛合状態を示す側面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の外円板の下位部の支持状態を示す部分拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の外円板の上位部の支持状態を示す部分拡大図である。
【図6】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の外円板の駆動機構を示す側面図である。
【図7】この発明の実施の形態1による垂直搬送装置の作用を説明するための図2に対応する斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態2による垂直搬送装置の図2に対応する斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態3による垂直搬送装置の図8に対応する斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態4による乾燥装置の断面図である。
【図11】この発明の実施の形態5による乾燥装置の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 底板
2、2A ケーシング
3 外円板
4、4A、24、38、53 回転軸
5 内円板
6 投入装置
7 搬出装置
11 搭載板
12 囲い板
13 歯板
14 支持歯車
22 駆動歯車
21、35、51、51A 駆動機構(駆動手段)
41、42 スクレーパ(補助手段)
M 搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に対して傾斜させて設けた外円板、該外円板に対して傾斜させて設けた内円板、および前記外円板と前記内円板を回転駆動する駆動手段を備え、前記外円板の下位部に搭載した搬送物を上位部に位置させて前記内円板上に落下させるように構成したことを特徴とする垂直搬送装置。
【請求項2】
前記外円板と前記内円板の複数枚を鉛直方向に交互に設け、前記内円板上の搬送物を上位の前記外円板の下位部に落下させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の垂直搬送装置。
【請求項3】
少なくとも前記内円板上の搬送物を落下させるのを助ける補助手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の垂直搬送装置。
【請求項4】
前記外円板を環状として搬送物を内縁側から前記内円板上に落下させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の垂直搬送装置。
【請求項5】
水平に対する前記外円板の傾斜角および/または搬送物に対する前記外円板の摩擦力は搬送物の種類に応じて決めたことを特徴とする請求項1に記載の垂直搬送装置。
【請求項6】
前記内円板を略水平に設けたことを特徴とする請求項1に記載の垂直搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−91421(P2007−91421A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284613(P2005−284613)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000147408)株式会社西原環境テクノロジー (44)
【出願人】(505366272)株式会社機装エンジニアリング (1)
【Fターム(参考)】