説明

垂直磁気記録(PMR)装置およびその製造方法

【課題】トラック端部での記録磁場の勾配を高めることのできるPMRヘッドを提供する。
【解決手段】このPMRヘッドは、基体8の上に、リーディングエッジ20aとトレーリングエッジと第1および第2の側面20s1,20s2とを含むライトポール20と、ライトギャップ24と、一対のサイドギャップ21と、一対のサイドシールド22と、トレーリングシールド23とを備える。トレーリングエッジは、基体8の上面と平行であって第1および第2のコーナーでそれぞれ終端する第1および第2の端部20b,20dと、それらより基体8と近づくようにリセスした中央部20cとを含む。ライトギャップ20は、第1および第2の端部20b,20dを覆う部分よりも中央部20cを覆う部分において大きな厚さを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトポールを備えたシングルライト方式の垂直磁気記録ヘッド、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シングルライト記録方式は、1平方インチあたり1テラビットを超える記録密度を有する垂直磁気記録(PMR:Perpendicular Magnetic Recording)の型式であり、R. Wood 等によって今後の高密度記録に対応するために提案されたものである(非特許文献1参照)。このスキームでは、内周側の記録トラックから外周側の記録トラックへ向かうように、外周側の記録トラックから内周側の記録トラックへ向かうように、または、内周側もしくは外周側の記録トラックから中心領域の記録トラックへ向かうように、ハードディスクドライブにおけるハードディスクの径方向部分において順に記録される。すなわち、第1のトラックは、その隣の第2のトラックを記録する際に、その側方部分が部分的に上書きされる。同様に、第3のトラックは、第2のトラックの一部を上書きしてしまい、第4のトラックは第3のトラックの一部を上書きしてしまう。各トラックは、1回だけ次のトラックによって部分的に上書きされ、その幅を狭めることとなる。
【0003】
シングルライト方式では、各トラックは、隣接トラックによって幅方向の一部が浸食される。一方、従来のPMRでは、各トラックは、複数の隣接トラックへの書き込み動作の際、隣接トラック消去(ATE;adjacent track erasure )から保護される必要がある。したがって、今日のHDDにおけるトラック幅は、ライトポールの幅ではなく、自らの両端の位置によって、あるいは次の(隣の)トラックの上書き幅によって規定される。その結果、ライトポールの幅は記録トラック幅の基準としては不要となり、60nm以下の狭小な記録トラック幅が、それよりも広い幅を有する良好な書き込み性能を伴うライトポールによって実現される。すなわち、記録性能の向上および生産効率の条件は、厳格に制御された限界寸法であるライトポールの幅によって制限されない。
【0004】
シングルライト方式に関する先行技術を調査したところ、以下の先行技術文献が見つかった。例えば特許文献1には、トレーリングエッジの一部が曲面、三角形または台形をなすようにリセスしたライトポールが開示されている。このライトポールでは、その幅がトラック幅となる。また、特許文献2は、ライトギャップの厚さが重要な要素であることについて記載している。さらに特許文献3には、サイドでの書き込みを低減する方法について記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7475470号明細書
【特許文献2】米国特許第7477481号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0073774号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R.ウッド(R. Wood)著、「The Feasibility of Magnetic Recording at 10 Terabits Per Square Inch on Conventional Media", IEEE Trans. Magn., Vol. 45, pp. 917-923 (2009).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、シングルライト方式は独自の問題を抱えている。その問題のひとつは、従来の記録方式と比較すると、トラックエッジ書き込みおよび磁化遷移曲線(transition curvature)が記録トラックに大きな影響を与えることである。ライトポールの一方の角部(コーナー)のみによって記録され、他方のサイドは他のトラックによって部分的に上書き(squeeze)されるからである。その影響は図1に描かれている。図1に示したように、シングルライト方式では例えば4つのトラックA〜Dが順に部分的に重なり合うことになっている。すなわち、トラックBは、部分的にトラックAを上書きしており、トラックCは、部分的にトラックBを上書きしており、トラックDは、部分的にトラックCを上書きしている。記録トラックに対する片側の絞り込み(squeeze)およびライトポールの片側での磁界の分布形状に起因して、たとえ再生デバイスや記録デバイスの傾き角がゼロであっても記録された磁化遷移は歪むことになるであろう。(図1において)その磁化遷移は、明るい帯と暗い帯との交互配列によって示され、それらの帯は、トラックA〜Cでは片側(紙面左側)が上書きされていることから、クロストラック方向に対してすべて傾斜している(歪んでいる)。
【0008】
シングルライト方式における第2の問題は、記録磁場の磁場勾配がトラックの中央部よりも端部においてかなり小さく(緩やかに)なっていることである。したがって、シングルライト方式における利点を得るため、記録性能が改善されるように記録トラックの端部での磁場勾配を高めることが必要である。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、シングルライト方式のPMR装置においてトラック端部(ライトポール端部)での磁場勾配を高め、記録性能を向上させることにある。また、本発明の第2の目的は、トラック端部での磁場勾配を高めることのできるPMRヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、平坦な上面を有するライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備えるものである。
ここで、トレーリングエッジは、
(1)基体の上面と平行であり、第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)基体の上面と平行であり、第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより基体と近づくようにリセスした中央部とを含む。
また、ライトギャップは、トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分よりもトレーリングエッジの中央部を覆う部分において大きな厚さを有する。
【0011】
本発明の第2のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備えるものである。
ライトギャップは、
(1)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第1のコーナーと対向する第1の端部と、
(2)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第2のコーナーと対向する第2の端部と、
(3)前記第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、前記トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有する中央部と
を含む。
【0012】
本発明の第3のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)一対のサイドギャップを挟んでライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)一対のサイドシールドの上面と接し、ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備える。
ここでトレーリングエッジは、
(1)基体の上面と平行であり、第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)基体の上面と平行であり、第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより基体と近づくようにリセスした中央部と
を含む。
また、ライトギャップは、
(1)トレーリングエッジと平行であり、ライトポールの第1のコーナーと対向する第1のライトギャップ端部と、
(2)トレーリングエッジと平行であり、ライトポールの第2のコーナーと対向する第2のライトギャップ端部と、
(3)第1および第2のライトギャップ端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有するライトギャップ中央部と
を含む。
【0013】
本発明の第1のPMR装置の製造方法は、シングルライト方式のPMR装置を製造する方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に誘電体層に囲まれたライトポールを、基体の上に形成することと、
(c)ライトポールの上面に所定角度でイオンビームを照射するイオンビームエッチングを行い、ライトポールの上面近傍を一部除去することでトレーリングエッジの中央部に凹部を形成することと、
(d)トレーリングエッジの上にライトギャップを形成したのち、その上面を平坦化することで、ライトギャップにおけるトレーリングエッジの中央部を覆う部分の厚さを、トレーリングエッジの中央部の両側に位置する第1および第2の端部を覆う部分の厚さよりも大きくすることと、
(e)誘電体層を選択的に除去することで、ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成することと、
(f)ライトギャップを覆い、かつサイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む。
【0014】
本発明の第2のPMR装置の製造方法は、シングルライト方式のPMR装置を製造する方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に第1の誘電体層に囲まれたライトポールを、基体の上に形成することと、
(c)第1の誘電体層およびトレーリングエッジの上に第2の誘電体層を形成したのち、その上面を平坦化することと、
(d)第2の誘電体層の上面の一部を覆うように選択的に第3の誘電体層を形成し、部分的に厚さの大きいライトギャップを形成することと、
(e)第1および第2の誘電体層を選択的に除去することで、ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成すると共に、ライトギャップに、厚さの大きな中央部と、その両隣に位置し、基体の上面と平行な面を含む第1および第2の端部とを形成することと、
(f)ライトギャップを覆い、かつサイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む。
【0015】
本発明の第1のPMR装置によれば、本発明の第1の目的は、例えばリーディングエッジに対して垂直な面に対して(トラック幅方向において)対称の形状を有し、ライトギャップによってトレーリングシールドから隔離され、かつ、サイドギャップによってサイドシールドから隔離されたライトポールによって実現される。ライトギャップは、平坦な上面を有し、その上面がトレーリングシールドと接している。ライトポールのリーディングエッジは、クロストラック方向においてトレーリングエッジよりも狭い幅を有し、直線状をなしており、サイドシールドの下面と共通の平面に含まれている。リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、2つの側面とそれぞれ接続されている。ここで、第1の側面はトレーリングエッジにおける一端と交わり第1のコーナーを形成し、第2の側面はトレーリングエッジにおける他端と交わり第2のコーナーを形成している。トレーリングエッジは平坦面ではなく、2つの端部とそれらに挟まれた中央部との3つの部分からなる。2つの端部は、第1および第2のコーナーで終端し、基体(の上面)に対して平行な部分である。中央部は、2つの端部よりもリーディングエッジに近づくように湾曲した凹部である。一形態において、中央部は基体に向けて実質的に半円形状をなすように湾曲し、円弧の中心において最小の厚さ(凹部の最深部)となるように構成される。中央部は半円形状に限らず、台形状や矩形状であってもよい。中央部の深さおよび幅は、記録動作の際、トラック端部における磁場勾配(Oe/nm)の向上に最も大きな影響を与える。典型的な例では、サイドシールドの各上面は、トレーリングシールドの下面と対向している。ライトポールを取り囲むためである。
【0016】
本発明の第2のPMR装置は、例えば、ライトポールが、リーディングエッジと直交する面を中心として左右対称な構造であり、一対の側面およびリーディングエッジは第1のPMR装置と同様のものである。しかしながら、トレーリングエッジは直線状であり、ライトポールの上面はABSにおいて基体(の上面)と平行である。重要な特徴は、ライトギャップの上面はもはや平坦でなく、3つの部分(一対の端部およびそれに挟まれた中央部)に分けられていることである。2つの端部は、ライトポールのトレーリングエッジと平行であり、中央部は好ましくは湾曲した凸部である。すなわち、ライトギャップは、中央部において2つの端部よりも大きな厚さを有している。一形態として、中央部は、基体から離れるように膨らみ、実質的に半円形状をなすように湾曲し、円弧の中心において最大の厚さとなるように構成される。中央部は半円形状に限らず、台形状や矩形状の凸部であってもよい。サイドシールドおよびトレーリングシールドの特徴は、上記第1の実施態様と同様である。
【0017】
本発明の第3のPMR装置は、第1および第2のPMR装置における特徴部分を組み合わせたものであり、トレーリングエッジがリセスした中央部を含むライトポールと、リセスした中央部を含むトレーリングシールドとを有する構造である。トレーリングエッジのリセス部分は、ダウントラック方向においてトレーリングシールドのリセス部分と対応する位置にあり、かつ、両者のクロストラック方向の幅が一致していることが望ましい。
【0018】
クロストラック方向において対称な形状を有し、誘電体層に埋設され、リセスした中央部を含むトレーリングエッジを有するライトポールの形成方法は以下の通りである。まず、誘電体層およびライトポールの両端部の表面は保護された状態で斜め方向からのIBE処理を行い、ライトポールの上面の中央部分を選択的に除去する。これにより断面が左右対称であって、円形状、矩形状または台形状の輪郭を有する開口を形成する。その後、ライトギャップ層をライトポールの上面に形成したのち、ライトギャップ層の上面を平坦化する。ライトギャップの上面は、基体の表面と平行とする。
【0019】
続く工程により、中央部がリセスしたライトシールドを形成する。上面が平坦なライトポールは、誘電体層に埋設される。そののち、上面が平坦なライトギャップ層がライトポールの上に、誘電体層を介して形成される。トレーリングエッジのリセス部分と対応する位置に開口を有するフォトレジストマスク層を形成する。そののち、その開口を埋めるように、例えばライトギャップと同様の材料からなる新たな誘電体層を形成する。これにより、実質的に平坦なライトギャップの上面から突出した凸部が形成される。その後、フォトレジスト層が選択的に除去され、磁性層を形成することで一対のサイドシールドおよびトレーリングシールドを形成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のPMR装置およびその製造方法によれば、ライトギャップの厚さに分布を持たせる(一様の厚さでない)ことで、トレーリングエッジの中央部をリセスさせ、またはトレーリングシールドの中央部をリセスさせるようにした。これにより、記録動作の際、ライトポールのコーナーでの磁場勾配を高めることができ、ひいては記録性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的なシングル記録を、クロストラック方向に紙面右側のトラックから左側のトラックへ移動するように順に行う様子を表した模式図である。
【図2】従来のPMRヘッドにおける、台形状を有し、水平なトレーリングエッジを有するライトポールのABSに平行な断面図である。
【図3】本発明の第1の実施態様としてのPMRヘッドにおける、ABSに平行な断面図である。
【図4】本発明の第2の実施態様としてのPMRヘッドにおける、ABSに平行な断面図である。
【図5】本発明の第3の実施態様としてのPMRヘッドにおける、ABSに平行な断面図である。
【図6】クロストラック方向の位置と磁場勾配との関係について、一様な厚さのライトギャップと、厚さに分布を有するライトギャップとを比較した特性図である。
【図7】図3に示したPMRヘッドの製造方法における一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図8】図7に続く一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図9】図8に続く一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図10】図9に続く一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図11】図4に示したPMRヘッドの製造方法における一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図12】図11に続く一工程を表すABSに平行な断面図である。
【図13】図12に続く一工程を表すABSに平行な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のいくつかの実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
以下の各実施の形態では、台形状の断面を有するライトポールを例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、基体の表面と平行な部分を含むトレーリングエッジを有するものであればよい。なお、各実施の形態では、基体と対向する面を、各層の下面と呼び、その反対側の面を上面と呼ぶ。幅はクロストラック方向の寸法を意味し、厚さまたは深さはダウントラック方向の寸法を意味する。各実施の形態は、中央部がリセスしたトレーリングエッジを有するライトポールおよび中央部がリセスしたトレーリングシールドの少なくとも一方を備えた記録ヘッドに関する。PMRヘッドは、厚さの分布を有するライトギャップによる利点を損なうことのないリーディングシールドをさらに備えていてもよい。
【0024】
図2は、従来のPMRヘッドを表している。このPMRヘッドは、リーディングエッジ10a、側面10sおよびトレーリングエッジ10bで画定される台形状の断面を有するライトポール10を備えている。側面10sは基体8の上面に対して傾斜している。このため、X軸方向(クロストラック方向)においてトレーリングエッジよりもリーディングエッジの幅が狭くなっている。一様な厚さWGOを有するライトギャップ層12が、トレーリングエッジ10bとトレーリングシールド14との間に設けられている。サイドシールド13は、サイドギャップ11を介して側面10sと対向するように設けられている。
【0025】
本出願人は先の出願(米国特許出願12/589829)において、従来のPMRヘッドが、シングルライト方式での書き込み動作を行う際、スキューを伴う磁化遷移をどのように生じるかについて説明した。V字形状のトレーリングエッジを有するライトポールが、その問題を解決するものとしてそれに記載されている。今、我々は、トラック端部における磁場勾配の向上の観点から、ライトポールのトレーリングエッジについて、あるいはライトギャップについてさらなる改善を図った。
【0026】
[第1の実施の形態]
図3は、本発明の第1の実施の形態としてのPMRヘッドの要部を表す断面図である。
【0027】
このPMRヘッドはライトポール20を含んでいる。ライトポール20は、クロストラック方向において、リーディングエッジ20aがトレーリングエッジの幅W0よりも狭い幅を有する台形状を有している。トレーリングエッジは中央部20cと、それを挟む一対の端部20b,20dとの3つの部分からなる。ライトポール20は、傾斜した側面20s1,20s2を有する。側面20s1,20s2は、それぞれトレーリングエッジの一端とリーディングエッジの一端とを繋ぐものであり、誘電材料からなる一対のサイドギャップ21によって覆われている。一対のサイドギャップ21は、それぞれ、クロストラック方向において幅sを有する。
【0028】
例えば、側面20s1は端部20dと接続し、ライトポール20における紙面右側のコーナーを形成し、側面20s2は端部20bと接続し、ライトポール20における紙面左側のコーナーを形成する。一対のサイドギャップ21と接続され、かつ、トレーリングエッジの中央部20cおよび一対の端部20b,20dを覆うライトギャップ24がさらに設けられている。重要な特徴は、ライトギャップ24の厚さが不均一(一様でない)ことにある。具体的には、ライトギャップ24のうち、端部20b,20dおよびサイドギャップ21を覆う部分の厚さWGOは15nm以上30nm以下である。これに対し、中央部20cはリセスしており、中央部20cを覆うライトギャップ24の厚さは、厚さWGOよりも大きい。ライトギャップ24は、平坦な上面24sを有し、その上に設けられたトレーリングシールド23と接している。ライトギャップ24の下面はライトポール20のトレーリングエッジと接しているので平坦ではない。
【0029】
端部20b,20dは、側面20s1,20s2とそれぞれ接続されている。中央部20cは、リーディングエッジ20aからの距離が端部20b,20dよりも小さくなるように湾曲している。リセスした中央部20cは、クロストラック方向において20nm以上200nm以下の幅W2を有し、ダウントラック方向において10nm以上40nm以下の深さD1を有する。書き込み動作の間、トラック端部における磁場勾配を最適化するために調整された寸法である。端部20bの幅W1および端部20dの幅W3は互いに等しく、いずれも20nm以上80nm以下であるとよい。幅W1と幅W3とが等しいことが望ましい理由は、書き込み処理の際、右側の角部および左側の角部の双方を使用可能となり、その場合に、記録トラックの幅を同一に揃えることができるからである。従来のPMRヘッドとは異なり、トラック幅を調整する際に幅W1,W3を比較的自由に設定でき、ライトポール20のトレーリングエッジ全体の幅W0を変更することなくデバイスの仕様に合致させることができる。したがって、幅W1,W3はトラック幅を決定する要因であり、幅W1,W3が増大するとき、トラック幅は減少する。幅W1〜W3は、製法上の寸法精度の限度を理由として最小寸法が約20nmに制限される。中央部20cは、要求される磁場勾配を得るために、ABSからスライダの後端へ向かう方向のネックハイトよりも長く拡張される必要がない。
【0030】
一対のサイドシールド22は、例えば、サイドギャップ21を介してライトポール20の側面20s1,20s2と対向してそれぞれ配置される。サイドシールド22の、側面20s1,20s2と対向する端面は、それと平行であることが望ましい。サイドシールド22の下面は、サイドギャップ21の下面、およびリーディングエッジ20aと共通の平面に含まれる。さらに、サイドシールド22の各々は、トレーリングシールド23の下面と接し、ライトポール20を取り囲む一連のシールド構造を構成する。
【0031】
本実施の形態のPMRヘッドでは、トレーリングエッジの中央部20cをリセスさせ、クロストラック方向の中心に、ライトギャップ24が最大の厚さを有する中央部を設けるようにした。これにより、記録動作の際、ライトポール20のコーナーでの磁場勾配を高めることができ、ひいては記録性能を向上させることができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施態様としてのPMRヘッドにおける、ABSに平行な断面図である。
【0033】
このPMRヘッドは、リーディングエッジ30aおよびトレーリングエッジ30bを含む台形状の断面を有するライトポール30を含んでいる。クロストラック方向において、リーディングエッジ30aの幅はトレーリングエッジ30bの幅W0よりも狭い。ライトポール30は、傾斜した一対の側面30s1,30s2を有する。側面30s1,30s2は、それぞれトレーリングエッジの一端とリーディングエッジの一端とを繋ぐものであり、誘電材料からなる一対のサイドギャップ21によって覆われている。一対のサイドギャップ21は、それぞれ、クロストラック方向において幅sを有する。
【0034】
また、このPMRヘッドでは、一対のサイドギャップ21と接続され、かつ、ライトポール30のトレーリングエッジ30bを覆うように、ライトギャップ24が設けられている。ライトギャップ24は、その厚さが不均一である(一様でない)。しかしながら、第1の実施の形態と異なり、中央部24cにおける上面が上方へ突出するように湾曲している。すなわち、トレーリングシールド23の中央部がリセスしている。ライトギャップ24の中央部24cをクロストラック方向において挟む端部24b,24dは平坦であり、トレーリングシールド30bと平行である。その結果、ライトギャップ24のうち、サイドギャップ21を覆う部分の厚さWGO、および、トレーリングエッジ30bと端部24b,24dとの間の部分の厚さは、中央部24cとトレーリングエッジ30bとの間に位置するサイドギャップ24の厚さよりも薄い。
【0035】
端部24b,24dの上面は、基体8の上面と平行であるとよい。中央部24cは、クロストラック方向において20nm以上200nm以下の幅W2を有し、ダウントラック方向において最大で厚さWGOと厚さD2との合計の寸法を有する。ここで厚さD2は、10nm以上40nm以下であるとよい。湾曲した中央部24cの任意の点は、全て、端部24b,24dよりも基体8から遠い位置にある。一般に、トラック端部における磁場勾配は幅W2および厚さD2の少なくとも一方の増加により向上する。端部24bの幅W1と端部24dの幅W3とが一致し、いずれも20nm以上80nm以下であることが望ましい。上記第1の実施の形態で述べたように、幅W1,W3によってトラック幅が規定される。
【0036】
サイドシールド22は、例えば、サイドギャップ21を介してライトポール30の側面30s1,30s2と対向して配置される。サイドシールド22の、側面30s1,30s2と対向する端面は、それと平行である。サイドシールド22の下面は、サイドギャップ21の下面、およびリーディングエッジ30aと共通の平面に含まれる。さらに、サイドシールド22の各々は、トレーリングシールド23の下面と接し、ライトポール30を取り囲む一連のシールド構造を構成する。
【0037】
本実施の形態のPMRヘッドでは、トレーリングシールド23の中央部をリセスさせ、クロストラック方向の中心に、ライトギャップ24が最大の厚さを有する突出した中央部24cを設けるようにした。これにより、記録動作の際、ライトポール20のコーナーでの磁場勾配を高めることができ、ひいては記録性能を向上させることができる。
【0038】
[第3の実施の形態]
図5は、本発明の第3の実施態様としてのPMRヘッドにおける、ABSに平行な断面図である。
【0039】
このPMRヘッドは、第2の実施の形態のPMRヘッドを一部変更したものである。したがって、第2の実施の形態のPMRヘッドにおける特徴は、以下の点を除き、維持されている。すなわち、ライトポール30における平坦なトレーリングエッジ30bが、平坦な端部30b,30dと、リーディングエッジ30aに近づくようにリセスした中央部30cを含む平坦ではないトレーリングエッジに置換されている。ライトポール30における中央部30cは、ダウントラック方向においてライトギャップ24における中央部24cの延長上に位置することが望ましい。さらに、中央部30cおよび中央部24cは、いずれもクロストラック方向において同じ幅W2を有することが望ましいが、異なっていてもよい。
【0040】
中央部24cの深さD2は、中央部30cの深さD1と一致していなくともよい。結果として、ライトギャップ24aの最大厚さ(基体8の上面と直交する方向の寸法)はWGO+D1+D2で表される。W2,D1,D2は、トラック端部(破線60または破線61の位置)における磁場勾配を最適化するために調整される。破線61と一致する右側のコーナーは、端部30dと側面30s1との交差点であり、破線60と一致する右側のコーナーは、端部30bと側面30s2との交差点である。
【0041】
中央部30cおよび中央部24cの形状は、例えば半円状、台形状、矩形状であるが、互いに異なっているとよい。また、幅W1と幅W3とは互いに同一であるとよい。両方の角部を利用して記録処理を行うことができるうえ、記録トラック幅が実質的に一定となるからである。
【0042】
本実施の形態のPMRヘッドでは、トレーリングエッジの中央部20cおよびトレーリングシールド23の中央部をリセスさせ、クロストラック方向の中心に、ライトギャップ24が最大の厚さを有する突出した中央部24cを設けるようにした。これにより、記録動作の際、ライトポール20のコーナーでの磁場勾配を高めることができ、ひいては記録性能を向上させることができる。
【0043】
上記の全ての実施の形態では、不均一な厚さのライトギャップを採用することで、磁束がトラック端部においてライトポールとトレーリングシールドとの間を最小のリラクタンスとなる経路を通過することが理解される。さらに、トレーリングエッジの中央部およびトレーリングシールドの中央部のうちの少なくとも一方は、ネックハイトよりも短い長さでABSと直交する方向へ延在している。トレーリングエッジの中央部およびトレーリングシールドの中央部をリセスさせることで得られる利点は、図6に示されている。
【0044】
図6は、クロストラック方向における位置と、磁場勾配との関係を表している。クロストラック方向の中心位置(0nm)では、厚さが一様でないライトギャップを採用したPMRヘッドの実験例41が、均一な厚さを有するライトギャップを採用したPMRヘッドの実験例40よりも低い磁場勾配を示している。しかしながら、実際の書き込み動作で使用されるトラック端部(中心位置からの距離が35〜50nmのレンジ)では、磁場勾配は実験例41のほうが実験例40よりも著しく高くなっている。
【0045】
[製造方法(その1)]
図7は、図3に示したライトポール20を備えた第1の実施の形態におけるPMRヘッドの製造方法における一工程を表す。断面が台形状のライトポール20は、公知の方法により、例えばAlTiCなどからなる基体8の上に、誘電体層21に囲まれるように形成される。例えばRu(ルテニウム)やNiCr(ニッケルクロム合金)などのRIE抵抗層またはエッチストップ層(図示せず)を基体8の上面を覆うように形成したのち、誘電体層21が形成される。誘電体層21の上面21tがライトポール20のトレーリングエッジ20tと共通の平面を構成するようにCMPなどの平坦化処理を行う。
【0046】
続いて図8に示したように、フォトレジスト層44を、上面21tの全てと、上面20tの両端部分(側面20sをダウントラック方向に投影した領域)とを覆うように形成する。すなわち、フォトレジスト層44が、上面20tのうち、その両端縁から距離nの範囲を覆うようにする。そののち、上面20tのIBE処理を行う。例えば図8において矢印45で示したように、X軸方向の双方から斜めに上面20tへ向けてイオンビームを照射する。例えば、イオンビームを一定方向へ照射しつつ、上面20tの中心を軸として基体8を面内で回転させるようにする。これにより、上面20tの中心部に凹部が形成される(図9)。
【0047】
IBEプロセスを完了したのち、フォトレジスト層44を公知の手法で除去する。トレーリングエッジ20tは、基体8の上面と平行であると共に上面21tと共通の平面に含まれる端部20b,20dと、基体8に近づくように湾曲した中央部20cとを含むものとなる。リセスした中央部20cは、半円状に限らず、台形状や矩形状であってもよい。
【0048】
続いて図10に示したように、トレーリングエッジ20tを覆うようにライトギャップ24を形成する。必要に応じてライトギャップ24の上面を平坦化する。次に、フォトレジスト層46を、ライトギャップ24の上面を覆うように形成したのち、トレーリングエッジ20tの幅よりも大きな幅rとなるようにパターニングする。そののち、パターニングされたフォトレジスト層46をマスクとして利用し、IBEもしくはRIE処理により、フォトレジスト層46に覆われていない領域のライトギャップ24およびサイドギャップ21を、基体8に到達するまで選択的に除去する。このとき、サイドギャップ21の側面21sが、ライトポール20の側面20sと平行となるようにするとよい。さらに、ライトギャップ24の側面24sも、サイドギャップ21の側面21sと共通の平面に含まれるようにするとよい。
【0049】
そののち、フォトレジスト層46を除去し、CoFeまたはCoFeNiなどの磁性材料を基体8およびライトギャップ24を覆うように形成する。その磁性材料をCMP処理などにより平坦化することで、図3に示したサイドシールド22およびトレーリングシールド23を含むシールド構造が形成され、図3に示したPMRヘッドが完成する。
【0050】
[製造方法(その2)]
図11〜13は、それぞれ、図4に示した本発明の第2の実施の形態におけるPMRヘッドの製造方法を説明するための各工程を表す。図11は、ABSと平行な断面であり、リーディングエッジ30aおよびトレーリングエッジ30bを含み、誘電体層21に周囲を囲まれた左右対称形状のライトポール30を図示している。トレーリングエッジ30bは基体8の上面と平行に形成され、周囲の誘電体層21の上面と共通の平面に含まれている。そののち、CVD法またはPVD法により、全体を覆うように誘電体層24a1を形成し、その上面をCMP処理により平坦化する。続いて、フォトレジスト層47を誘電体層24a1の上に形成し、フォトリソグラフィにより、その中央部(トレーリングエッジ30bの真上)に開口48を形成する。開口48は、ライトギャップにおける凸部を形成するためのものであり、クロストラック方向において幅W2を有する。
【0051】
続いて、CVD法またはPVD法により開口48を埋めるように誘電体層24a2を堆積させる。そののち、フォトレジスト層47を除去することで、図12に示したように、誘電体層24a1の中央部に、半円状、矩形状あるいは台形状の断面を有する誘電体層24a2が残留する。フォトレジスト層の開口端面の傾斜角度を調整することで、あるいは、蒸着プロセスの条件を変更することで、誘電体層24a2の形状を修正することが可能である。誘電体層24a1および誘電体層24a2は、一体としてライトギャップ24を構成するものであり、互いに同一材料によって形成されるとよい。誘電体層24a2は、誘電体層24a1から突出していることで、のちに形成されるトレーリングシールド23の中央部をリセスさせることとなる。ライトギャップ24の上面は、誘電体層24a2の中心部24cと、誘電体層24a1の上面である端部24b,24dとを含むものである。
【0052】
図13に示したように、ライトギャップ24を覆うようにフォトレジスト層を形成したのち、中心部24cおよび端部24b,24dを覆う部分のみを残すようにパターニングする。これにより、幅rを有するフォトレジストマスク49を形成する。幅rは、トレーリングエッジ30bの幅よりも大きい。そののち、フォトレジストマスク49を利用し、IBEもしくはRIE処理により、フォトレジストマスク49に覆われていない領域のライトギャップ24およびサイドギャップ21を、基体8に到達するまで選択的に除去する。さらに、RIEまたはIBEにより、ライトポール30の側面30sと実質的に平行をなす側面21sを形成する。フォトレジストマスク49を除去したのち、CoFeまたはCoFeNiなどの磁性材料を基体8およびライトギャップ24を覆うように形成する。その磁性材料をCMP処理などにより平坦化することで、図4に示したサイドシールド22およびトレーリングシールド23を含むシールド構造が形成され、図4のPMRヘッドが完成する。
【0053】
本発明の利点は、ライトポールの上面の中央部をリセスさせ、あるいはトレーリングシールドの中央部をリセスさせることで、シングルライト方式の記録処理を行う際、トラック端部における磁場勾配の改善を実現することにある。さらに、ライトポールの幅を狭めることなく、ライトポールの幅よりも狭いトラック幅を実現することができる。
【0054】
本発明をその好適な実施の形態を参照して具体的に示し説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形式的な変更および詳細な変更をなし得ることを理解することができる。
【符号の説明】
【0055】
8…基体、20,30…ライトポール、21…サイドギャップ、22…サイドシールド、23…トレーリングシールド、24…ライトギャップ、32…ギャップ層、33…第2のシールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルライト方式の垂直磁気記録(PMR)装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、平坦な上面を有するライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備え、
前記トレーリングエッジは、
(1)前記基体の上面と平行であり、前記第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)前記基体の上面と平行であり、前記第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)前記第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより前記基体と近づくようにリセスした中央部と
を含み、
前記ライトギャップは、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分よりも前記トレーリングエッジの中央部を覆う部分において大きな厚さを有する
PMR装置。
【請求項2】
前記ライトギャップのうち、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分の厚さは15nm以上30nm以下である
請求項1記載のPMR装置。
【請求項3】
前記トレーリングエッジの中央部は、クロストラック方向において20nm以上200nm以下の幅を有し、ダウントラック方向において10nm以上40nm以下の深さを有する
請求項1記載のPMR装置。
【請求項4】
前記トレーリングエッジの第1および第2の端部におけるクロストラック方向の幅は20nm以上80nm以下である
請求項1記載のPMR装置。
【請求項5】
前記トレーリングエッジの中央部は、半円形状を有している
請求項1記載のPMR装置。
【請求項6】
前記トレーリングエッジの幅は、クロストラック方向において、前記リーディングエッジの幅よりも大きい
請求項1記載のPMR装置。
【請求項7】
シングルライト方式の垂直磁気記録(PMR)装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備え、
前記ライトギャップは、
(1)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第1のコーナーと対向する第1の端部と、
(2)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第2のコーナーと対向する第2の端部と、
(3)前記第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、前記トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有する中央部と
を含む
PMR装置。
【請求項8】
前記ライトギャップにおける前記中央部の厚さは15nm以上30nm以下である
請求項7記載のPMR装置。
【請求項9】
前記ライトギャップの中央部は、
クロストラック方向において20nm以上200nm以下の幅を有し、
ダウントラック方向において前記第1および第2の端部よりも10nm以上40nm以下の範囲で大きな厚さを有する
請求項8記載のPMR装置。
【請求項10】
前記ライトギャップの第1および第2の端部におけるクロストラック方向の幅は20nm以上80nm以下である
請求項7記載のPMR装置。
【請求項11】
前記ライトギャップの中央部は、半円形状を有している
請求項7記載のPMR装置。
【請求項12】
シングルライト方式に適した垂直磁気記録(PMR)装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備え、
前記トレーリングエッジは、
(1)前記基体の上面と平行であり、前記第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)前記基体の上面と平行であり、前記第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)前記第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより前記基体と近づくようにリセスした中央部と
を含み、
前記ライトギャップは、
(1)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第1のコーナーと対向する第1のライトギャップ端部と、
(2)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第2のコーナーと対向する第2のライトギャップ端部と、
(3)前記第1および第2のライトギャップ端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、前記トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有するライトギャップ中央部と
を含む
PMR装置。
【請求項13】
前記ライトギャップにおける第1および第2のライトギャップ端部の厚さは、15nm以上30nm以下である
請求項12記載のPMR装置。
【請求項14】
前記トレーリングエッジの中央部は、クロストラック方向において20nm以上200nm以下の幅を有する
請求項12記載のPMR装置。
【請求項15】
前記ライトギャップ中央部は、前記第1および第2のライトギャップ端部よりも10nm以上40nm以下の範囲で大きな厚さを有する
請求項13記載のPMR装置。
【請求項16】
前記第1および第2のライトギャップ端部、ならびに前記トレーリングエッジの第1および第2の端部は、クロストラック方向において20nm以上80nm以下の幅を有する
請求項12記載のPMR装置。
【請求項17】
前記ライトギャップ中央部および前記トレーリングエッジの中央部は、半円形状を有している
請求項12記載のPMR装置。
【請求項18】
シングルライト方式の垂直磁気記録(PMR)装置を製造する方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)前記基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、前記トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に誘電体層に囲まれたライトポールを、前記基体の上に形成することと、
(c)前記ライトポールの上面に所定角度でイオンビームを照射するイオンビームエッチングを行い、前記ライトポールの上面近傍を一部除去することで前記トレーリングエッジの中央部に凹部を形成することと、
(d)前記トレーリングエッジの上にライトギャップを形成したのち、その上面を平坦化することで、前記ライトギャップにおける前記トレーリングエッジの中央部を覆う部分の厚さを、前記トレーリングエッジの中央部の両側に位置する第1および第2の端部を覆う部分の厚さよりも大きくすることと、
(e)前記誘電体層を選択的に除去することで、前記ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成することと、
(f)前記ライトギャップを覆い、かつ前記サイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む
PMR装置の製造方法。
【請求項19】
前記ライトギャップにおける、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分の厚さを15nm以上30nm以下とし、
前記ライトギャップにおける、前記トレーリングエッジの中央部を覆う部分の厚さを、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部よりも10nm以上40nm以下の範囲で厚くする
請求項18記載のPMR装置の製造方法。
【請求項20】
前記トレーリングエッジの中央部におけるクロストラック方向の幅を、20nm以上200nm以下とする
請求項18記載のPMR装置の製造方法。
【請求項21】
前記トレーリングエッジの第1および第2の端部におけるクロストラック方向の幅を、20nm以上80nm以下とする
請求項18記載のPMR装置の製造方法。
【請求項22】
シングルライト方式に適した垂直磁気記録(PMR)装置の製造方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)前記基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、前記トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に第1の誘電体層に囲まれたライトポールを、前記基体の上に形成することと、
(c)前記第1の誘電体層およびトレーリングエッジの上に第2の誘電体層を形成したのち、その上面を平坦化することと、
(d)前記第2の誘電体層の上面の一部を覆うように選択的に第3の誘電体層を形成し、部分的に厚さの大きいライトギャップを形成することと、
(e)前記第1および第2の誘電体層を選択的に除去することで、前記ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成すると共に、前記ライトギャップに、厚さの大きな中央部と、その両隣に位置し、前記基体の上面と平行な面を含む第1および第2の端部とを形成することと、
(f)前記ライトギャップを覆い、かつ前記サイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む
PMR装置の製造方法。
【請求項23】
前記ライトギャップにおける、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分の厚さを15nm以上30nm以下とする
請求項22記載のPMR装置の製造方法。
【請求項24】
前記トレーリングエッジの中央部におけるクロストラック方向の幅を、20nm以上200nm以下とする
請求項22記載のPMR装置の製造方法。
【請求項25】
前記ライトギャップにおける、前記トレーリングエッジの中央部を覆う部分の厚さを、前記トレーリングエッジの第1および第2の端部よりも10nm以上40nm以下の範囲で厚くする
請求項22記載のPMR装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−4164(P2013−4164A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132198(P2012−132198)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【出願人】(500475649)ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド (251)
【Fターム(参考)】