説明

埋め込み、ドア取付けアンテナのコントロール

ドア取り付けアンテナあるいはドア埋め込みアンテナをコントロールするシステムと方法。アンテナ、たとえばEASアンテナやRFアンテナは、検知範囲、すなわち「尋問区域」内の商品に取り付けられたマーカにより受信される尋問信号を送信する。ドアに取り付けられあるいは埋め込まれたアンテナは、ドアの動きにつれて動く。よって、アンテナの磁場によりカバーされる尋問区域はドアの動きと一緒に頻繁に変化する。本発明のシステムと方法は、アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタし、それによりアンテナにより生成される尋問区域の大きさと広さを調整することによって、ドア取付けアンテナをコントロールする。制御装置内のプロセッサは、動くドアに取り付けられた位置センサからの位置信号を受信し、尋問区域を増大するか、縮小するか、なくすか、維持するかを決定し、アンテナあるいはアラーム装置に尋問区域修正指示を含む信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品監視システムに関し、より詳細には、ドア取付けアンテナの位置をモニタし、アンテナを含むドアが基準面に対し位置する角度に応じて、そのアンテナにより生ずる尋問区域(interrogation zone)を変更するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視システムにおいて、たとえばEAS(「電子物品監視」)アンテナやRF(無線周波数))アンテナのようなアンテナは、敷地内の商品に置かれた無線周波数ID(RFID)や磁気音響マーカなどのマーカに受信される尋問信号を送信する。マーカは、アンテナへ対応信号を送り返す。このように、アンテナ・マーカ間の相互作用は、小売店のような敷地にその商品の保安体制を提供する尋問区域を構築する。従来の監視システムは、最少のアンテナを使って広範囲をモニタできるように、台座、床、天井、壁、あるいはこれらの組合せに置いたアンテナを備えていた。このようなタイプのシステムは、大規模なデパートやスーパーマーケットには適しているが、小型の小売店は、その安全に対する予算が少なく床スペースが高価であるので、別の関心を抱いている。
【0003】
小型小売店が直面する前記問題を解決する一つの方法は、1つあるいは複数のアンテナを揺動式あるいはスライド式ドアに取り付けることである。このようにすると、小売店は、安全体制を維持しつつ、高価な床、壁および/または商品棚スペースを活用できる。しかし、この解決策により、ドアを開いたときにドア取付けアンテナが動き、アンテナにより生ずる検知区域も動き、アンテナの検知区域の到達範囲外のエリアを生ずる、という問題がある。このことは、ドアのできるだけ近くにも商品があることを必要とする小型店舗にとって好ましい結果ではない。
【0004】
アンテナを動くドアに取り付けたときに生ずる問題は、ドアが開閉すると、アンテナも動き、最初に計画した尋問区域が変わってしまうことである。結果としてアンテナの配置が過剰範囲あるいは不足範囲の状態となる。アンテナからの磁場が、検知範囲として不必要な場所を含む範囲をカバーすると、過剰範囲の状態となる。たとえば、マーカの付いた品物を尋問区域内に移動するから、顧客は、セットされた警報のない、マーカの付いた品物を持って列で待ち、レジに近づけなければならない。このことは、新しい顧客が入って来ることおよび/または店内の顧客が出ることでドアが店内側に揺れ、ドアの揺れと共に動くドア取付けEASアンテナから放射される磁場の範囲あるいはRFアンテナにより送信されるRF信号の範囲が、会計の列の別の顧客が購入しようとしている品物のマーカにより送信される信号と適合したときに、生ずる。レジのための列が尋問区域を通過するとき、あるいは、アンテナ付きのスライドドアが横に動き、マーカ付きの品物が尋問区域内に動いたときにも、過剰範囲の状況は起こる。
【0005】
たとえば、不足範囲の状態は、顧客がドアを外側に揺らして出て行くときに起こる。この場合、アンテナがドアと一緒に動くので、尋問区域は店舗の出口近くのマーカ付きの品物をカバーしなくなる。よって、新しい顧客または店舗を出る店内の顧客によりドアが開けられたとき、アラームが搭載されたドアが外側に揺れ、調整されていない磁場はもはやマーカ付き品物から送信される信号と適合しないので、マーカ付き品物を持ってドアに近づく万引き犯が、アラームを誘発することはない。
【0006】
したがって、ドアが開けられた角度をモニタし、所定の基準面に対して測定し、いつアンテナを備えるドアが開けられたかを判断して、アンテナの尋問区域をコントロールして、過剰範囲および不足範囲状態をなくす方法およびシステムが必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ドア取付けアンテナに関して当該技術における不備な点を取り扱う。アンテナは、検知範囲、すなわち「尋問区域」内の商品に置かれたマーカにより受信される尋問信号を送信する。マーカは、アンテナに対応信号を送り返す。ドアに取り付けられたアンテナは、ドアの動きと一緒に動く。よって、アンテナの磁場でカバーされる尋問区域はドアの動きと共に変化する。場合によっては、過剰範囲あるいは不足範囲状態という結果となる。この点に関して、本発明によるシステムおよび方法は、アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタし、それに応じてアンテナによる尋問区域の大きさと広さを調整して、ドア取付けアンテナをコントロールするようになされる。コントローラ内のプロセッサは、動くドアに取り付けられた位置センサからの位置信号を受け取って、尋問区域を広げるか、狭めるか、遮断するか、維持するかを判断して、店舗の規模や物理的およびスペース的制限に応じた最大の店舗安全保障を提供し、また、アンテナあるいはアラーム装置に尋問区域を修正する指示を含む信号を送信する。
【0008】
一局面によれば、ドア取付けアンテナの尋問区域をコントロールする方法が提供される。アンテナには、送信要素と受信要素が含まれる。当該方法には、アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタし、ドアが基準面に対して動いた距離を測定し、基準面に対してドアが動いた距離に基づいて尋問区域の指示を与えることが含まれる。
【0009】
別の局面によれば、本発明はドア取付けアンテナの尋問区域をコントロールするシステムを提供する。そのシステムには、送信要素と受信要素とを含むドア取付けアンテナと、アンテナが取り付けられるドアの近くに位置するセンサが含まれる。そのセンサは、基準面に対してドアが動いた距離を測定し、この距離を表す位置信号を送信する。そのシステムには、電源、センサからの位置信号を受信する信号受信回路、受信した位置信号に基づいて尋問区域修正指示を提供するプロセッサ、および、尋問区域修正指示を含む信号を送信する信号送信回路を有する制御装置も含まれる。
【0010】
さらに別の局面によれば、本発明は、商品尋問システムで用いるセンサを提供する。そのシステムには、可動ドアに取り付けられたアンテナと尋問区域修正指示を決定するプロセッサを有する制御装置が含まれる。センサには、基準面に対してドアが動いた距離を測定する検知モジュールと、基準面に対してドアが動いた距離を表す位置信号を送信する送信モジュールが含まれ、送信信号は尋問区域修正指示を決定するのに制御装置で使用される。
【0011】
本発明のさらなる局面は、下記の説明に一部説明され、一部は説明から明らかであり、あるいは、発明の実務により知ることができる。本発明の局面は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素や組合せにより理解でき、実現できるであろう。前記の一般的な説明および下記の詳細な説明は典型的なもので、説明用のものに過ぎず、特許請求の範囲に記載されたように、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本明細書に組み込まれその一部を構成するが、本発明の実施の形態を図解し、発明の詳細な説明と共に発明の原理を説明するのに役立つ。本書で図解する実施の形態は現状では好ましいものであるが、本発明は示されたまさにその配置や手段に限定されないことは理解されよう。
【図1】図1は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図である。
【図2】図2は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは0度と30度との間の角度で内側に動いている。
【図3】図3は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは30度と45度との間の角度で内側に動いている。
【図4】図4は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは45度より大きい角度で内側に動いている。
【図5】図5は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは0度と30度との間の角度で外側に動いている。
【図6】図6は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは30度と45度との間の角度で外側に動いている。
【図7】図7は、本発明の原理による、揺動するドアのドア取付けアンテナの線図であり、ドアは45度より大きい角度で外側に動いている。
【図8】図8は、本発明の実施の形態で取られるプロセスを図解するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ドアが基準面に対する違った範囲の位置で動くときの、ドアに取り付けたアンテナにより生成される尋問区域をコントロールするシステムを有利に提供する。ここで、図面を参照し、図面では類似の参照符号は類似の要素を表すが、図1には、本発明の原理に従って構築され、概して「10」と指定されたシステムを示す。システム10には、可動ドア14に取り付けられたアンテナ12が含まれる。アンテナ12は、EASアンテナでも、RFアンテナでも、マーカに通信信号を送信できる他のいかなるタイプのアンテナであってもよく、ここでマーカは入力信号を検知する。ドア14はいかなるタイプの可動ドア、すなわち、ヒンジ結合されたドアあるいはスライドドアでよい。図1において、ドア14は閉められた位置、すなわち0度から完全に開けられた位置、すなわち90度までヒンジを介して揺動する。図1に示す実施の形態では、ドア14は内側、すなわち店内側に揺動する。しかし、本発明はこのように揺動するドアに限定されることはなく、後の実施の形態では外側に揺動するドアを用いたシステム10を示す。さらに、ドア14はいずれの側に揺動してもよく、図1に示す方向に揺動しなくてもよい。システム10は、スライドするドアにも同様に対応できる。
【0014】
アンテナ12は、コントロールと所定の時間間隔で送信機能から受信機能に切り替わる切り替えを提供する付属のコントローラ付きトランシーバアンテナのように構成されてもよい。当業者は、アンテナ12内に別々の送信モジュールと受信モジュールがあってもよいことが分かるであろう。アンテナ12は特定の尋問区域をカバーする電磁信号を発信する。図1は、本発明のシステム10を用いる典型的な店舗あるいは製造施設の内部を示す。製造施設や小売施設の内部では、尋問区域内で保護される品物や資源16に種々のマーカが取り付けられる。尋問区域内に持ち込まれる前に品物16からマーカが取り除かれあるいは動かないようにされないと、アンテナ12により構築された電磁場がマーカからの応答を引き起こす。この応答は、アンテナ12の受信モジュールあるいはトランシーバモジュールに受信される。
【0015】
アンテナ12は種々の方法でドア14に固定されあるいは取り付けられ、本書で開示する発明は、特定の取り付け手段に限定されることはない。たとえば、アンテナ12はドア14の頂部あるいは側部の穴あけされた空間内に挿入され、ドア内に一体化され、あるいは他の方法でドア14にしっかりと固定される。ドア14は、たとえば店舗の壁面のような基準面18に対して、閉められた位置(0度)から開けられた位置の範囲に揺動する。位置センサ20はドア14あるいはその近くに取り付けられる。センサ20は基準面18に対するドア14の動きを検知する。センサ20は、ドア14に固定されあるいは取り付けられ、もしくはドア14に近接した位置に配置される。センサ20は、ドア枠のような不動の物に置かれる、他の位置決定装置と一緒に用いてもよい。単独でも、相補的な位置決定装置と一緒にでも、センサ20は、面18に対するドア14の動きを検知する。よって、位置範囲内をドア14が動くと、センサ20がこの動きを検知し、ドア14に固定され一緒に動くドア取付けアンテナ12の動きも検知する。
【0016】
センサ20は、限定はしないが、角度位置センサ、高性能ドアヒンジ、あるいは、ドア14の面18に対する位置あるいは角度をコントローラ22に伝達するスイッチあるいは一連のスイッチなど、いかなるタイプの行動探知機でもよい。一実施の形態では、センサ20には、基準面に対してドアが動いた距離を測定するセンサモジュールと、基準面に対してドアが動いた距離を代表する位置信号を送信する送信モジュールが含まれる。
【0017】
コントローラ22はセンサ20からの位置信号を受信でき、そして、アンテナ12および/または店舗のアラームシステムと通信信号を取り交わすことができる位置であれば、ドア14自身上を含め、いかなる位置に取り付けられてもよい。コントローラ22には、電源、信号受信回路、信号送信回路およびプロセッサが含まれる。コントローラの信号受信回路はセンサ20からの位置情報を受信し、コントローラのプロセッサは、その情報を規則の表あるいはデータベースと比較し、その表あるいはデータベースはコントローラ22もしくはコントローラ22と通信する離れた位置に記憶されている。別の表現をすると、プロセッサは、センサ20で測定されたドア14の位置に基づいて、検知区域を構築するアルゴリズムを実行する。
【0018】
プロセッサでのドア14の現在位置と構築された規則との比較に基づき、尋問区域修正指示を含む訂正信号が、コントローラの送信回路を経由して、アンテナ12の受信要素に送信し返される。一実施の形態では、訂正信号は、ドア14の現在位置を明らかにするためにアンテナ12にその磁場の強さを変えるよう指示する。訂正信号は、記憶された規則により確立されたドア14の位置に応じて、アンテナ12に磁場の強さを増大し、減少し、あるいは維持するようにさせてもよい。
【0019】
図2は、ドア14が内側に、すなわち店内側に開いたシナリオを図解する。この例では、ドア14は、基準面18に対して特定の角度範囲、すなわち0度から30度の間に開いている。図2において、ここではコントローラ22は店内の別の場所に位置し、コントローラ22は無線経由でも有線経由でもセンサ20とアンテナ22と通信できれば、特定の位置である必要はないことを示している。一実施の形態では、コントローラ22のプロセッサは、ドア角度の離散的な範囲をリストした表を有し、各範囲は特定の指示セットと対応している。ドア14の現在位置を受信すると、その表に基づいてプロセッサはアンテナ12の磁場を、調節するならば、どのくらい調節するかを決定し、この調整をするための指示を準備する。角度範囲は説明のためだけであり、本発明のシステム10は適当ないかなる範囲でも、あるいはドア14の現在位置に基づいて連続的な方式で尋問区域を調整するアルゴリズムでも、実行できることに注目されたい。
【0020】
たとえば、図2を参照すると、入ってくる顧客あるいは出て行く顧客のいずれかによりドア14が内側に25度動くと、この角度がセンサ20により検知され、信号がコントローラ22に送信され、その信号にはドア14が25度開いたことを示す情報が含まれている。この角度が0度から30度の範囲内であるので、コントローラ22はアンテナ12へ、その磁場を最大強度に増加または維持(直前の設定により異なる)するように指示する信号を送る。ここでは、店舗のサイズやマーカ付き商品とレジとの店舗出口への近さを考慮して、全部をカバーする検知が好ましいシナリオを示す。
【0021】
図3を参照すると、ドア14は30度から45度の間の角度、たとえば40度で内側に動いている。もう一度、センサ20は現在のドア角度を検知し、この情報を有する信号をコントローラ22に送信する。この例では、コントローラ22のプロセッサは45度が離散的角度の、すなわち30度から40度の次の範囲であることを見出し、アンテナ12へ、一例として、その磁場の強度を低減する、この場合には最大値の半分へ低減するように指示する信号を送信する。ここでは、ドア14とアンテナ12の内側への動きのために、単に会計の列に並んで待っている顧客がアンテナの磁場の「尋問」区域内となったマーカ付き品物を持っていることによりアラームが開始されるかもしれないので、店舗が過剰範囲状態が生ずることを望んでいないというシナリオを示す。アンテナの磁場の強度を弱めることにより、尋問区域は変更され、顧客がドアを開けて店内に入ったり店内から出たりするときにアラームがセットされるという恐怖なしでマーカ付き品物をもって会計の列に並んで安全に待つことができるが、尋問区域は依然として店外へ持ち出されようとしているマーカがアクティブな品物を捕らえる。
【0022】
図4に図示した例では、ドア14はここで45度より大きな角度で内側に動いている。この新しい位置でのドア14の位置は、アンテナ12のアラーム区域を店内のさらに多くのマーカ付き品物、棚の上でも会計の列に並んでいる顧客に持たれてでも、その品物の信号範囲内に移動するので、アンテナ12により放射される磁場を完全に停止するのが好ましいかもしれない。このことは、上記の説明と同じやり方で行われる。センサ20は、その位置信号をコントローラ22に送信し、コントローラ22は適切な訂正信号を決定して対応する信号をアンテナ12に送信し、アンテナ12はそれにしたがって磁場を調整、この場合には完全に停止し、よって尋問区域をなくす。
【0023】
アンテナ12にその磁場の強度を増加し、維持し、あるいは減少するように指示する上記の方法は、本発明のシステム10を利用して尋問区域のサイズをコントロールする一方法に過ぎない。本発明により尋問区域の範囲を変更するやり方はたくさんある。一実施の形態では、上記に説明したように、磁場の強度を増加しあるいは減少するように指示する信号をコントローラ22から受信したら、アンテナ12は送信出力を調整し、結果として磁場の強度を増加あるいは減少する。別の実施の形態では、アンテナ12の受信モジュールの感度が調整される。この実施の形態では、磁場の強度は変更されず、尋問されたマーカにより送られた信号が、感度が調整されたアンテナの受信モジュールで受信される。その感度がどのくらい調整されたかによりアンテナ12の受信モジュール(あるいはトランシーバ)は、特定の位置のマーカから受信する特定の信号を無視し、あるいはすべての信号を完全に無視し、よって、実質的に尋問区域を減少し、あるいはなくしたりする。
【0024】
さらに別の実施の形態では、前記の2つの方法の組合せを用いて所望の尋問区域を得る。さらに別の実施の形態では、アンテナ12の磁場内にマーカ付き品物が入ったならば通常アラームを発する店舗のアラームが、切り離される。よって、たとえば、アンテナ12に磁場の強度を増大するように、またはその受信モジュールの感度を調整するように指示を送信するよりむしろ、コントローラ22は、アラーム装置にアラームを切り離す信号を送る。したがって、図4に図示されたシナリオ、すなわちドア14が内側に45度動いているシナリオでは、コントローラ22は単にアラーム装置を切り離す。結果は同じであり、たとえば、ドア14が45度を超えて開いたときにはアラームは鳴らない。
【0025】
図2〜4に過剰範囲状態の発生を図示する。店舗は、実際のアラーム状態ではない状態、すなわちマーカ付き品物が適切に棚の上あるいは会計の列の顧客に持たれている状況でアラームを鳴らし始めるので、このシナリオを避けたがる。図5〜7は、本発明により不足範囲状態を回避するために取られるステップを図示する。図5において、ここではドア14は店舗から離れる外側に揺動している。この例では、開いていない(基準面18に対し0度)あるいは30度までしか外側に動いていないドアが、尋問区域が所望されていない状況を示す。コントローラ22はセンサからの位置信号を受信すると、アンテナ12に、磁場を縮小しあるいは完全に停止し、アンテナ12の感度を基本的に尋問されたマーカから受信したいずれの信号も無視し、両方を合わせて、あるいはアラームのスイッチを切るように指示する。ここで開示される角度範囲および対応するコントローラの動きは説明のためだけであり、本発明はこれらの特定の値には限定されないことに注意を要する。
【0026】
図6では、ドア14は基準面18に対し30度から45度の間の範囲で外側に動いている。このドアの位置では、尋問区域を最大に増大するのが望ましい。したがって、センサ20から位置信号を受信すると、コントローラ22はアンテナ12に、その磁場を最大レベルに増大もしくは維持(直前の状態により異なる)するように指示し、受信モジュールの感度を調整するように指示し、あるいはこれら両方の組合せの信号を送信する。代替として、コントローラ22は単に店舗のアラーム装置を停止することもできる。図7に示すように、ドア14が外側方向にさらに揺れたときには磁場を最大強度に維持し、磁場をある程度減少し、あるいは磁場を完全に停止することが望ましいかもしれない。このことは、上記のいくつかの方法の一つにより行われる。
【0027】
図8は、ドア取付けアンテナ12から発せられた磁場をコントロールするために本発明によって取られるステップを図示するフローチャートである。ステップS24では、センサ20が基準面18に対するドア14の角度を検知し、その情報をステップS26にて、コントローラ22に送信する。それから、コントローラ22は、必要なら、ドア14の現在の角度を記憶された規則の表と比較して、ステップ28にて、尋問区域訂正量を決定する。それから、コントローラ22は、ステップS30にて、アンテナ12に磁場を変更あるいは受信モジュールの感度を調整するように、あるいは、アラーム装置にアラーム装置を停止するように指示する信号を送信する。センサ20が、ステップS32にて、ドア14の位置が変わったことを見出したならば、センサ20はステップS24で新しいドアの位置を検知し、上記のプロセスを繰り返す。
【0028】
本発明は揺動式ドアではなくスライド式ドアにも同等に用い得る。センサ20は同様に用いることができ、すなわち、センサ20は基準点あるいは面18に対するドアの動きを検知する。よって、ドアが外側にあるいは内側に揺動しているかを測定する必要はなく、単に特定の方向に動いたかを測定する。したがって、この実施の形態では、角度位置センサは不要である。リニア位置センサ20を用いてモニタし、いつドアが直前の位置から移動したかを見出すことができる。
【0029】
本発明は、ドア14が動く速度を測定するセンサ20を利用することもできる。よって、基準点あるいは面18に対してドア14が動いた相対位置を測定するセンサ20の代わりにまたはセンサ20に加えて、センサ20は、ドアの動きの速度を測定するのに使うことができる。たとえば、ドア14がとても速く開くとすると、誰かがマーカ付き商品の支払いをせずに店舗から出ようとしていることの現われかもしれない。この例では、急いで尋問区域を最大の規模と範囲まで増大する。各センサがドアの特定の特性、すなわち、相対的位置および/または速度や動き、を測定する1つあるいは複数のセンサを利用する種々のシナリオが考えられる。この情報は、尋問区域に関して修正作業がとられる必要があるかを決定するコントローラ20に送信される。
【0030】
別の実施の形態では、センサ20はオンオフスイッチで置き換えられる。オンオフスイッチは、たとえば、ドア14がある点を通過したかどうかを見出し、その時間にコントローラ22に信号を送り、コントローラ22が交代にアンテナ12に停止するよう信号を送る。さらに別の実施の形態では、システム10はドア14を開くとき(または、閉じるとき)にだけ起動される。
【0031】
したがって、本発明は、施設がEASあるいはRFIDシステムを特別な要求に合わせることを可能にするシステムや方法を有利に提供する。特に、本発明では店舗のサイズおよびマーカ付き商品や会計カウンタの出口ドアとの近さを勘案し、状態が変化すると、すなわち出口ドアが開けられたり閉められたりすると、尋問区域を変更できる動的にコントロールされたシステムを作り上げる。
【0032】
本発明はハードウェア、ソフトウェアあるいはハードウェアとソフトウェアの組合せで実現できる。本発明の方法やシステムの実施は、1つのコンピュータシステムで集中型であるいは別々の要素が複数の連結されたコンピュータシステムに広がった分散型で実現できる。いかなる種類のコンピュータシステムあるいは本書で説明した方法を実行するのに適した他の装置は、本書で説明した機能を実行するのに適している。
【0033】
この発明は、その思想や本質から逸脱することなく他の特定の態様で具体化することが大いに可能であり、したがって、発明の範囲を示すものとしては、前述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁場を発する送信要素とマーカからの信号を受信する受信要素を有するドア取り付けアンテナの尋問区域をコントロールする方法であって:
アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタすることと;
基準面に対して前記ドアが動いた距離を測定することと;
前記基準面に対して前記ドアが動いた距離に基づいて尋問区域修正指示を提供することとを備える;
方法。
【請求項2】
前記指示が前記アンテナの送信要素の出力を調整することを含む;
請求項1の方法。
【請求項3】
前記指示が前記アンテナの受信要素の感度を調整することを含む;
請求項1の方法。
【請求項4】
前記指示が前記アンテナの送信要素の出力を調整することと前記アンテナの受信要素の感度を調整することとの双方を含む請求項1の方法。
【請求項5】
前記指示がアラーム装置が動かないようにすることを含む;
請求項1の方法。
【請求項6】
前記ドアが前記基準面に対して動く速度をモニタすることをさらに含む;
請求項1の方法。
【請求項7】
前記修正指示が前記ドアが前記基準面に対して動く速度に基づく;
請求項6の方法。
【請求項8】
アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタすることは、ドアが前記基準面に対して内側に揺れたのか、外側に揺れたのかを見出すことを含む;
請求項1の方法。
【請求項9】
前記ドアが前記基準面に対して動いた距離を測定することはドアに取り付けられた角度位置センサで行われる;
請求項1の方法。
【請求項10】
前記アンテナが取り付けられたドアの前記動きをモニタすることは、ドアに近接して配置されたスイッチによって行われ、該スイッチは、前記ドアが前記基準面に対して閾値距離動いたか否か、および、尋問区域を変更して閾値距離が達成されたか否かを見出す;
請求項1の方法。
【請求項11】
尋問区域を変更することは、前記アンテナからの電磁場の放射を防止することを含む;
請求項10の方法。
【請求項12】
離散的ドアの移動距離の範囲を識別することと;
各範囲に指示を割り当てることをさらに含む;
請求項1の方法。
【請求項13】
前記アンテナと前記マーカは、EAS尋問システムを備える;
請求項1の方法。
【請求項14】
前記アンテナと前記マーカはRFID尋問システムを備える;
請求項1の方法。
【請求項15】
ドア取り付けアンテナの尋問区域をコントロールするシステムであって:
送信要素と受信要素を有するドア取り付けアンテナと;
アンテナが取り付けられたドアの近傍に配置されたセンサであって、前記ドアが基準面に対して動いた距離を測定し、当該距離を示す位置信号を送信するセンサと;
前記センサからの位置信号を受信する信号受信回路と、前記受信した位置信号に基づいて尋問区域修正指示を提供するプロセッサと、前記尋問区域修正指示を含む信号を送信する信号送信回路とを有する制御装置とを備える;
システム。
【請求項16】
前記尋問区域修正指示はアンテナの送信要素の出力を調整することを含む;
請求項15のシステム。
【請求項17】
前記尋問区域修正指示はアンテナの受信要素の感度を調整することを含む;
請求項15のシステム。
【請求項18】
前記尋問区域修正指示はアンテナの送信要素の出力とアンテナの受信要素の感度の双方を調整することを含む;
請求項15のシステム。
【請求項19】
前記尋問区域修正指示はアラーム装置が動かないようにすることを含む
請求項15のシステム。
【請求項20】
前記センサは前記ドアが前記基準面に対して動いた速度を検知する;
請求項15のシステム。
【請求項21】
前記尋問区域修正指示は前記ドアが前記基準面に対して動いた速度に基づく;
請求項20のシステム。
【請求項22】
前記センサは前記ドアが前記基準面に対して外側に揺れたか内側に揺れたかをさらに見出す;
請求項15のシステム。
【請求項23】
前記ドアに近接して配置されたスイッチであって、該スイッチは、前記アンテナが取り付けられたドアの動きをモニタし、前記ドアが前記基準面に対して閾値距離動いたか否か、および、尋問区域を変更して閾値距離が達成されたか否かを見出す、スイッチをさらに備える;
請求項15のシステム。
【請求項24】
前記尋問区域を変更することは、前記アンテナからの電磁場の放射を防止することを含む;
請求項23のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは離散的なドアの移動距離を識別し、各範囲に指示を割り当てる;
請求項15のシステム。
【請求項26】
前記システムがEAS尋問システムである;
請求項15のシステム。
【請求項27】
前記システムは、RFID尋問システムである;
請求項15のシステム。
【請求項28】
可動ドアに取り付けられたアンテナと尋問区域修正指示を決定するプロセッサを有する制御装置とを含む尋問システムで用いるセンサであって:
前記ドアが基準面に対して動いた距離を測定するセンサモジュールと;
前記ドアが前記基準面に対して動いた距離を示す位置信号を送信する送信モジュールであって、前記位置信号は尋問区域修正指示を決定するのに制御装置で用いられる、送信モジュールとを備える;
センサ。
【請求項29】
前記センサモジュールは角度位置センサモジュールである;
請求項28のセンサ。
【請求項30】
前記ドアに近接して配置されたスイッチをさらに備え、当該スイッチはアンテナが取り付けられたドアの動きをモニタし、前記ドアが前記基準面に対して閾値距離動いたかを見出す;
請求項28のセンサ。
【請求項31】
前記尋問システムがEAS尋問システムである;
請求項28のセンサ。
【請求項32】
前記尋問システムがRFID尋問システムである;
請求項28のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−544099(P2009−544099A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520812(P2009−520812)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/016244
【国際公開番号】WO2008/020948
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】