説明

培養併用insituハイブリダイゼーション法により生きているカンピロバクター菌を迅速かつ特異的に計数するための遺伝子プローブ及びその方法

【課題】カンピロバクター属細菌の中、食中毒原因事例の多いC.jejuni及びC.coliのみを、他のカンピロバクターと区別して検出・計数する迅速な技術の提供。
【解決手段】試料を培養し微小コロニーを形成させ、第1の蛍光標識で標識した特定の塩基配列CP3m又はその相補鎖で表されるプローブ、及び第2の蛍光標識で標識した特定の塩基配列LA71又はその相補鎖で表されるプローブを用いて、インシチューハイブリダイゼーション法により、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C.coli)に属する細菌を同時に検出及び/又は計数する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、衛生指標細菌群の迅速な検出及び計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カンピロバクターは、イプシロンプロテオバクテリアに属し、運動性を有するらせん状桿菌である。ブタやウシなどの家畜や、ニワトリなど家禽類の腸管に多く分布している(非特許文献1 Newell & Fearnley, 2003)。発育に微好気条件(O2:3〜10%、CO2:10%)で発育するが、増殖が遅い。また、乾燥に弱く、大気中および室温下では急速に死滅するなどの生理学的特徴を持つ(非特許文献2 日本食品衛生協会、2004)。現在までに、カンピロバクター属には18種6亜種が知られており(非特許文献3 Inglis et al., 2007)、特に最近では野生の鳥類や海獣の糞便、排泄腔ふき取り試料から新種が続々と見出されている(非特許文献3 Inglis et al., 2007; 非特許文献4 Foster et al., 2004)。
【0003】
また、本菌は、ヒトに腸炎や敗血症、髄膜炎を引き起し、先進国、発展途上国を問わず被害が報告されている病原性細菌である。本来、食肉となる筋肉組織には分布しないが、屠場や食肉処理施設における解体処理工程で、洗浄水などから食肉へ交差汚染することが知られている(非特許文献5 Mylius et al., 2007)。これらの汚染された生肉や、地下水、飲料水を介してヒトへ感染すると考えられている。しかし、カンピロバクターは発育条件が限定的であることに加えて、潜伏期間が5〜7日間と長く、また酸素や凍結などの環境ストレスに弱いため、感染源の特定や感染経路を解明することが非常に困難といわれている。
【0004】
カンピロバクター腸炎の患者からは、主にC. jejuni およびC. coliが分離されるが、C. lari、C. hyointestinalis、C. upsaliensis等による被害も多く報告されている(非特許文献6 Duim et al., 2001; 非特許文献7 Linton et al., 1997; 非特許文献8 Lawson et al., 1998; 非特許文献9 Vendenberg et al., 2006)。また、カンピロバクターは反芻獣の流産や不妊の原因菌として古くから注目されてきた(非特許文献2日本食品衛生協会、2004)。さらに、カキなど二枚貝からの検出例(非特許文献10 Wilson & Moore, 1996)もあり、カンピロバクター属細菌は食品衛生のみならず、獣医畜産、水産分野においても重要な細菌である。
【0005】
日本ではC. jejuniおよびC. coliが食中毒細菌として重要視されており、この2菌種が検出対象とされている。国内ではカンピロバクター食中毒の95〜99%がC. jejuniに起因すると言われており、わずかではあるがC. coli によるものも報告されている(非特許文献11 横山、2006)。平成13年から17年にかけて、日本ではC. jejuniおよびC. coliによる食中毒事件数が最も多かった。平成18年においてもノロウィルスについで多く、微生物を原因とする食中毒事件数全体の約33%を占める深刻な被害をもたらしている。カンピロバクターによる被害が多発するのは、本疾病が少量の菌接種(>102個)によっても発症することが要因と見られており(非特許文献10 横山、2006)、衛生対策が重要な課題となっている。また、カンピロバクター食中毒は、他の食中毒が多発する夏季や雨季よりも、食中毒への警戒が薄れる春先や冬季の発生率が高いことも特徴として挙げられる(非特許文献11 横山、2006)。さらに、生食用食肉の衛生基準としてもカンピロバクターに関する基準は無く、早期の対策が求められている(非特許文献11 横山、2006)。しかし、日本ではカンピロバクターの検出に関して定められた方法が確立していないため、検査方法による検出率の違いが問題となっている(非特許文献2 日本食品検査協会、2004)。これにより現在、カンピロバクターの標準検査法が検討されているところである。
【0006】
国内や諸外国で広く行われている検出方法(非特許文献2 日本食品衛生協会、2004))は、乳剤の調製、増菌培養、分離培養および性状検査の工程からなる。しかし、これらは検査項目が多く煩雑である。また、培養を2〜3回繰り返すため時間がかかり、同定を終えるまでに5〜7日間を要する。カンピロバクターの迅速検出法としてELISA法による検査キットが開発されているが(TECRA Campylobacter Visual Immunoassay、アヅマックス、東京)、事前に40〜48時間の増菌培養を要し、タコやイカなど、扱う試料によっては増菌培養の回数も異なる。
【0007】
これまでに迅速化を目指してPCR法やFISH法による検出が試みられており、様々なプライマーやプローブが開発されている。
【0008】
【表1】


【0009】
しかし、実際にはこれらの配列をFISHプローブとして供試した場合は、その反応特異性は不完全なものが多いと予測され、かつカンピロバクターでは新菌種の記載が相次ぐ中、特異性の再検討が重要な課題である。また、PCR法では、食品試料中の塩分やタンパク質などの夾雑物が反応を阻害することが指摘されており(非特許文献12 Abbaszadegan et al., 1993; 非特許文献13 Lawson et al., 1997)、検出精度の向上が難しい。このため、特異性、検出精度、迅速性を鑑みると、最善のものはまだないのが現状である。
【0010】
最近では、微生物の同定に、微生物に特異的な遺伝子配列に対するプローブ又はプライマーを用いる検出方法が使用されるようになってきている。カンピロバクターについては、特許文献1(特開平5−276997号)にプライマー/プローブが記載されている。しかし、カンピロバクター、中でも、C. jejuniおよびC. coliのみを特異検出する優れたプローブはない。
【0011】
【特許文献1】特開平5−276997号
【非特許文献1】Newell, D. G., and C. Fearnley. (2003). Sources of Campylobacter colonization in broiler chickens. Appl. Environ. Microbiol., 69, 4343-4351.
【非特許文献2】非特許文献2 日本食品衛生協会、2004
【非特許文献3】Inglis, G. D., B. M. Hoar, D. P. Whiteside, and D. W. Morck. (2007). Campylobacter canadensis sp. nov., from captive whooping cranes in Canada. Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 57, 2636-2644.
【非特許文献4】Foster, G., B. Holmes, A. G. Steigerwalt, P. A. Lawson, P. Thorne, D. E. Byrer, H. M. Ross, J. Xerry, P. M. Thompson, and M. D. Collins. (2004). Campylobacter insulaenigrae sp. nov., isolated from marine mammals. Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 54, 2369-2373.
【非特許文献5】Mylius, S. D., M. J. Nauta, and A. H. Havelaar. (2007). Cross-contamination during food preparation: a mechanistic model applied to chiken-borne Campylobacter. Risk Anal., 27, 803-813.
【非特許文献6】Duim, B., P. A. R. Vandamme, A. Rigter, S. Laevens, J. R. Dijkstra, and J. A. Wagenaar. (2001). Differentiation of Campylobacter species by AFLP fingerprinting. Microbiol., 147, 2729-2737.
【非特許文献7】Linton, D., A. J. Lawson, R. J. Owen, and J. Stanley. (1997). PCR detection, identification to species level, and fingerprinting of Campylobacter jejuni and Campylobacter coli direct from diarrheic samples. J. Clin. Microbiol.,35, 2568-2572.
【非特許文献8】Lawson, A. J., M. S. Shafi, K. Pathak, and J. Stanley. (1998). Detection of Campylobacter in gastroenteritis: comparison of direct PCR assay of feacal samples with selective culture. Epidemiol. Infect.,121, 547-553.
【非特許文献9】endenberg, O., K. Houf, N. Douat, L. Vlaes, P. Rotore, J. P. Butzler, and A. Dediste. (2006). Antimicrobial susceptibility of clinical isolates of non- jejuni/ coli campylobacters and arcobacters from Belgium. J. Antimicrobial. Chemotherapy., 57, 908-913.
【非特許文献10】Wilson, I. G., and J. E. Moore. (1996). Presence of Salmonella spp. and Campylobacter spp. in shellfish. Epidemiol. Infect., 116, 147-153.
【非特許文献11】横山敬子(2006). カンピロバクター食中毒の発生状況.日本食品微生物学会雑誌,23, 109-113.
【非特許文献12】Abbaszadegan, M., M. S. Hurber, C. P. Gerba, and I. L. Pepper. (1993). Detection of enteroviruses in groundwater with the polymerase chain reaction. Appl. Environ. Microbiol., 59, 1318-1324.
【非特許文献13】Lawson, A. J., D. Linton, J. Stanley, and R. J. Owen. (1997). Polymerase chain reaction detection and speciation of Campylobacter upsaliensis and C. helveticus in human faeces and comparison with culture techniques. J. Appl. Microbiol., 83, 375-380.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の公定法とされる食品衛生検査指針に従った食中毒原因菌の検出・同定法では生菌数測定の最終結果を確定するまでに、早いものでも10日間を要する。また菌株によっては二週間以上かかるものもあり、製品の出荷時に評価できるデータの提供ができなかった。
【0013】
また、カンピロバクターでは、食中毒原因事例の多いC. jejuni及びC. coliのみを、他のカンピロバクターと区別して検出・計数する迅速な技術の開発が望まれている。従来の技術では、食中毒患者や食中毒原因食品からカンピロバクター属の存在を確定するまでに少なくとも2-4日間、種を確定するまでには4-7日間を必要としている(図1)。PCR法や免疫磁気ビーズや蛍光抗体法では迅速な菌の検出はできるが、死菌と生菌の区別ができない問題がある。特に、食品加工分野で重要な、生きた菌を計測する技術の開発が望まれていた。
【0014】
また、従来からのFISH(Flurorescent in situ hybridization)法における、FISH用プローブの作成は、配列比較により所望の特性の標的領域をrRNA上に見出すことはできても、実際にFISHを行なって十分な強度の蛍光が得られるか否かは予測できないものである。これは、標的細胞自体にかかわるもの(細胞中のrRNA濃度が低い、細胞膜の透過性の問題)などに加え、rRNA上の標的領域の2次元又は3次元構造や、リボゾームタンパク質の効果により、プローブがrRNA接近できないためということもある。そこで、カンピロバクターを同定検出できる、FISH法に現実的に利用可能な具体的なプローブの作製が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、まず(1)遺伝子データベースから検出対象細菌及び近縁の他の細菌群のリボソーマルRNA遺伝子の配列情報を集め、他の細菌群と区別が可能な遺伝子配列を探し出し特異遺伝子配列を決定した。なお、前記特異的遺伝子配列で表される核酸分子をプローブと呼ぶ。更に、(2)プローブに蛍光物質等で標識を行った後、現実に検出対象細菌種および非検出細菌種を培養併用in situハイブリダイゼーション法を用いて特異性判定を行うことができるプローブを選抜して本願発明を完成させた。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の方法により、カンピロバクター菌の検出・同定法では生菌数測定の最終結果を得るまで14時間以内で終わらせることも可能であり、きわめて優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、短時間培養で生じた微小な細菌集落(マイクロコロニー)の中から、食中毒細菌あるいは衛生指標細菌を特異的に検出することを可能にする一連の方法である。培養併用in situハイブリダイゼーション法では、検査対象細菌の持つ遺伝子(DNA または RNA)の特定塩基配列に相補的に結合するオリゴヌクレオチドを調製すれば、様々な食中毒細菌や衛生指標細菌の検出・計数に応用ができる。本発明者らは、新しい遺伝子プローブ、培養併用in situハイブリダイゼーション法で検査対象細菌を特異的に検出する反応条件及び微小集落至適形成条件を初めて決定した。
【0018】
1.培養併用インシチューハイブリダイゼーション法
1−1.培養併用インシチューハイブリダイゼーション法の特徴/利点
従来からの蛍光ラベルしたプローブを用いるin situハイブリダイゼーション法では、次のような問題点があった。(1)特に食品を汚染する微生物の同定検出のためには、蛍光標識プローブでは、微生物が増殖した段階、すなわち汚染が相当に進まないと検出できない。(2)食品汚染においては、特に生菌数が問題となるところ、プローブは死菌に対してもハイブリダイズしてしまうので、生菌と死菌との区別がつかなかった。
【0019】
これに対し、培養併用in situハイブリダイゼーション法では、十分に希釈された試料を1〜14時間程度培養することにより、生菌のみを増殖させ、微小な集落状とすることにより、通常の蛍光顕微鏡下で、集落を観測、計数することができるようになったものである。(3)更に、通常のin situハイブリダイゼーション法では、誤って陽性と判別される混入菌を、培養併用することで、培養条件を調節して、擬陽性を除くこともできる。(4)また、従来法による病原菌や衛生指標菌を自然界から検出する場合、目的の微生物に選択性のある薬剤を添加し、検出効率を高めることがよく行なわれている。しかし、このような選択剤を添加した培地は、環境中にいる多くの生理活性の弱くなっている微生物は選択剤のために、増殖しない。他方、この培養併用FISH法の利点は、このような生理活性の弱っている微生物を選択剤を含まない培地で増殖させ、プローブで特異的に検出できる。
【0020】
1−2.培養併用in situハイブリダイゼーション法の概要
(1)試料の固着、例えば、メンブレンフィルター上への試料の捕集
食品、環境等から分離された試料が試料支持体、例えば、ポリカーボネート製、セルロースアセテート製、親水性ポリプロピレンフィルター上へ吸引することにより捕集させられる。フィルターとしては、例えば、ヌクレオポアフィルター、アイソポアフィルター、マイレクスフィルター、GHポリプロを用いることができ、好適には、例えば0.4μmの孔径のGHポリプロメンブレンフィルターを用いることができる。
【0021】
(2)試料の培養 微小集落の形成
試料が付着した試料支持体、例えば、メンブレンフィルターは、培地の入ったペトリ皿に移される。37℃あるいは42℃で、微小集落が形成されるまで、例えば、1〜16時間、好適には12-16時間、例えば、14時間培養される。
【0022】
(3)蛍光標識を用いた場合の細菌の検出及び細菌数計測の概要
(イ)エタノールなどでスライドグラス又はフィルター上の細胞が固定される。フィルターはスライドガラスに固定される。
(ロ)エタノール浸漬又はオーブン等で乾燥される。
(ハ)ハイブリダイゼーション用バッファーにスライドガラスごとフィルターは浸漬されハイブリダイゼーション温度でインキュベートする。
(ニ)オリゴヌクレオチドプローブが添加され、インキュベーションを継続する。
(ホ)試料の載せられたフィルター又はスライドガラスを洗浄し、空気乾燥される。
(ヘ)蛍光顕微鏡で観察する。通常X10〜X1000で観察できる。
【0023】
1−3.本件発明のカンピロバクター検出用プローブの調製
16S rRNAを同定、検出及び/又は計数用のプローブの対象遺伝子として用いた。
具体的には、(1)カンピロバクター、中でもCampylobacter jejuni、C. coli、C. lari及びこれに近縁の系統の細菌、具体的には、C. lanienae、C. insulaenigrae、C. fetus、Arcobacter nitrofigilis、Arcobacter cryaerophilus、Arcobacter skirrowii、Arcobacter halophilus、Arcobacter cibarius、Helicobacter pullorum、Escherichia coli、Vibrio parahaemolyticusの16S rRNAの塩基配列を例えば、GenBankデータベース及びリボソーマルデータデースプロジェクトが運用するデータベース(http://rdp.cme.msu.edu/)から収集し、Campylobacter jejuni、C. coli、C. lariに共通である塩基配列であって、しかも近縁の系統の細菌、具体的にはC. lanienae、C. insulaenigrae、C. fetus、Arcobacter nitrofigilis、Arcobacter cryaerophilus、Arcobacter skirrowii、Arcobacter halophilus、Arcobacter cibarius、Helicobacter pullorum、Escherichia coli、Vibrio parahaemolyticusとはミスマッチする約20塩基の塩基配列を検索する。(2)検索により、カンピロバクター菌株(好適には、Campylobacter jejuni、C. coli、C. lari)に共通な塩基配列とマルチプルアライメントに用いた上記各菌種の16S rRNAの同領域の塩基配列を比較し、(イ)カンピロバクター菌以外の菌種、あるいは(ロ)C. jejuniとC. coli、あるいはC. lari以外の菌種に対しては比較的ミスマッチ数が大きく、(イ)カンピロバクター菌、あるいは(ロ)C. jejuniとC. coli、あるいはC. lariに対してはミスマッチの少ないものを、カンピロバクター菌特異的プローブ候補として選択した。この操作は、on-line probemer(http://probemer.cs.loyola.edu/)で検証することが可能である。(3)つぎに、実際に、カンピロバクタープローブ候補を用いてカンピロバクター菌及び非カンピロバクター菌をFISH法によりアッセイした。その結果、カンピロバクター菌試料の全てから蛍光が検出され、またプローブを加えないFISHでは蛍光が認められないプローブをカンピロバクター菌検出用プローブとすることができる。
【0024】
また、見いだした配列はギブスの自由エネルギー計算を行い(Yilmaz & Noguera, 2004. Appl. Environ. Microbiol. 70:7126-7139.)、プローブの特異性を維持したままで標的のrRNAの特異領域と最も反応性が高くなるように配列を調整したものである(表2)。
【0025】
その配列は、AGTTTACGCTCCGAAAAGTGTCATCC(配列番号1:プローブ名C442m)(26塩基)、TATTCCTTAGGTACCGTCAGAATTCT(配列番号2:プローブ名CP3m)(26塩基)、およびCCACAACTAGCAAGCTAGTCGCTTC(配列番号3:プローブ名LA71)(25塩基)、あるいは、3者ともその近辺、例えば、その両側又は片側に1塩基から3塩基の配列を含むものである。プローブは、例えば、C442mおよびCP3mはFITCで、LA71はTAMRAで、5’末端側に付与したアミノ基を介して蛍光標識された。好適には、配列番号2で表されるCP3m又はその相補鎖で現されるプローブを第1の蛍光標識で標識し、配列番号3で表されるLA71又はその相補鎖で表されるプローブを第1の蛍光標識とは異なる第2の蛍光標識で標識することが出来る。蛍光標識としては、FITC、TAMRA以外にも、合成シアニン色素であるCy3(励起波長550nm,吸収波長570nm(赤色蛍光))及びCy5 (励起波長649nm, 吸収波長670nm(近赤外域蛍光)),あるいはAlexaシリーズ(Molecular Probe社:http://www.invitrogen.co.jp/catalogue/molecular_probes/alexa/alexa_index.html)の蛍光標識を用いることができる。
【0026】
また、TATTCCTTAGGTACCGTCAAATTTCT(配列番号4:競合オリゴヌクレオチド名CompCP3)はCP3mの特異性を向上させるために、非標識の状態で用いることができる。CP3mプローブとの混合比は、1:5が好適である。
【0027】
【表2】


【0028】
2.新規プローブを用いた培養併用in situハイブリダイゼーション法の確立
2−1.培養条件の検討
カンピロバクターは5%馬脱繊維血添加ブルセラ寒天培地ないしはmCCDA基礎寒天培地で、37℃でよく増殖するが、最高45℃まで増殖可能である。培養時間及び温度としては、例えば、1〜16時間、37℃〜45℃で培養でき、好適には、12〜16時間培養することができる。
【0029】
より具体的には、C442mプローブを用いる場合は、培養条件は(1)mCCDA基礎培地、(2)5%馬血液添加ブルセラ培地、又は(3)5%馬血液添加コロンビア培地を用いて、(1)ガスパックシステム、(2)嫌気ジャー、又は(3)嫌気パウチで形成した微好気条件下で、37-42度で12-14時間培養することが出来る。このような条件で、培養したカンピロバクターを検出できることを確認している。
【0030】
また、CP3m、LA71、及びCompCP3mプローブ(異なる標識を付すことにより、C. jejuni及びC. coliをC. lariと区別しながら検出するプローブセット)を用いる場合は、培養条件は、(1)mCCDA基礎培地、(2)5%馬血液添加ブルセラ培地、又は(3)5%馬血液添加コロンビア培地を用いて、(1)ガスパックシステム、(2)嫌気ジャー、又は(3)嫌気パウチで形成した微好気条件下で、42度で12-14時間培養することが出来る。前記条件で培養したC. jejuni及びC. coliを好検出できることを確認している。
【0031】
2−2.ハイブリダイゼーション条件の検討
それぞれのプローブについて、ハイブリダイゼーション温度及びホルムアルデヒドの濃度を変化させ、プローブの特異性を確認した。例えば、ハイブリダイゼーション温度としては、45℃から60℃までの間の温度で、ホルムアルデヒド濃度を10%から40%まで変化させ、目的の特異性が示されるハイブリダイゼーション条件を定めることができる。
【0032】
たとえば、カンピロバクター属特異的プローブAGTTTACGCTCCGAAAAGTGTCATCC(配列番号1:プローブ名C442m)(26塩基)については、以下の通りハイブリダイゼーション条件を検討した。C442mの配列とミスマッチが少ない16S rRNAを有する微生物をまず、データベースより抽出し、これら微生物について、上記したハイブリダイゼーション条件下で、 蛍光標識したC442mとハイブリダイズするかを蛍光顕微鏡で確認し、C442mがカンピロバクター属菌にのみ又は、カンピロバクター属菌以外へのハイブリダイズが少なく、カンピロバクター菌とは十分ハイブリダイズするハイブリダイズする条件を検討し決定した。
【0033】
C442mプローブは、ホルムアミド濃度が10-40%の反応液を用い、46℃で反応させることにより、高い特異性を示した。
【0034】
各プローブがハイブリダイズする条件は、以下のハイブリダイズ固有値の範囲を用いて表すこともできる。
【0035】
ハイブリダイゼーション固有値は次の通り定義される。
ハイブリダイズ固有値(K)(℃)=ハイブリダイゼーション温度(℃)+0.5(℃)×ホルムアミド濃度(%)
C442mプローブについては、ハイブリダイゼーション固有値は、46(℃)+0.5(℃)×30以上、46(℃)+0.5(℃)×40以下の範囲を採用できる。
【0036】
また、CP3m、LA71、及びCompCP3mに関して(異なる標識を付すことにより、C. jejuni及びC. coliをC. lariと区別しながら検出するプローブセット)も、上記C442mのハイブリダイゼーション条件と同じ条件を用いることができる。
【0037】
2−3.標的細菌の検出及び細菌数の計測及びそのためのキット
培養されたフィルター等の細菌を固定する。好適には、室温で、エタノールで固定する。その後フィルターは、透過性のフィルター固定支持体に載せられる。計測を蛍光顕微鏡で行う場合には、固定支持体としては、スライドガラスを用いることができるが、他の標識測定装置により計測する場合には、当該標識測定装置に取り付けでき計測可能な支持体であれば、いかなる固定支持体も用いることができる。支持体に固定されたフィルターは乾燥される。好適には、80℃、10分間乾燥機で乾燥させる。
【0038】
乾燥されたスライドグラス等の固定支持体に、ハイブリダイゼーションバッファーが与えられる。ハイブリダイゼーションバッファーとしては、例えば、0.9mol/L NaCl、20%フォルムアミド、20mmol/L Tris-HCl、及び0.01% SDSからなるハイブリダイゼーション溶液を挙げることができる。ハイブリダイゼーションバッファーで、1分〜5分間のプレインキュベーション後、標識された特異的プローブを添加する。プローブとのハイブリダイゼーションは、5分〜1時間行うことができる。ハイブリダイゼーション後、フィルターの乗せられた固定支持体は、緩衝液で洗浄される。洗浄用の緩衝液としては、例えば、20mmol/L Tris-HCl、180mmol/L NaCl、及び0.01% SDSを含む洗浄液を用いることができる。緩衝液での洗浄後、蒸留水で洗浄する。
【0039】
前記標識プローブを用いた場合には、ハイブリダイゼーション及び洗浄は、例えば、ハイブリダイゼーションを46℃で5分−1時間をおこない、洗浄を48℃で、20分間行なうことができる。
【0040】
洗浄後、乾燥し、液浸し、蛍光を用いる蛍光顕微鏡などの標識を観測又は測定する装置で微小集落を観測、計数することができる。
【0041】
培養併用in situハイブリダイゼーション法により同定及び/又は計数するための試薬などをキットとすることができる。
【0042】
キットとしては、例えば、(イ)配列番号1で示される塩基配列中、連続する少なくとも18以上の塩基で示される塩基配列又はその相補配列を含むカンピロバクター属菌特異的プローブ、ハイブリダイゼーションバッファー及び洗浄液を含む培養併用in situハイブリダイゼーション法により、カンピロバクター属菌を検出及び/又は計数するためのキット、あるいは(ロ) 第1の蛍光標識で標識した配列番号2で表されるCP3m又はその相補鎖で表されるプローブ及び第2の蛍光標識で標識した配列番号3で表されるLA71又はその相補鎖で表されるプローブを含む、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C. coli)を同時に検出及び又は計数するためのキット、
(ハ) 第1の蛍光標識で標識した配列番号2で表されるCP3m又はその相補鎖で表されるプローブ及び第2の蛍光標識で標識した配列番号3で表されるLA71又はその相補鎖で表されるプローブ、並びに配列番号4で表されるCompCP3m又はその相補鎖を含む、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C. coli)を同時に検出及び又は計数するためのキット、を挙げることができる。これらのキットには、更に、メンブレンフィルター、又は培地のいずれか、又はその組み合わせを含ませることができる。ハイブリダイゼーションバッファー、洗浄液、及び培地は、前記したものを用いることができる。
【実施例1】
【0043】
カンピロバクター属菌特異的プローブを用いた培養併用in situハイブリダイゼーション法によるカンピロバクター属菌の検出、計数
1.プローブおよび競合オリゴヌクレオチドの調製
プローブとしては、AGTTTACGCTCCGAAAAGTGTCATCC(配列番号1:プローブ名C442m)(26塩基)、TATTCCTTAGGTACCGTCAGAATTCT(配列番号2:プローブ名CP3m)(26塩基)、およびCCACAACTAGCAAGCTAGTCGCTTC(配列番号3:プローブ名LA71)(25塩基)を用いた。プローブは、C442mおよびCP3mはFITCで、LA71はTAMRAで、5’末端側に付与したアミノ基を介して蛍光標識された。なお、C442mは既報(Waller & Ogata, 2000)のPCRプライマーC442の反応性をギブスの自由エネルギーに基づいて向上させたもの、CP3mは既報(Vanniasinkam et al., 1999)のサザンハイブリダイゼーションプローブの反応性をギブスの自由エネルギーに基づいて向上させたもの、である。また、TATTCCTTAGGTACCGTCAAATTTCT(配列番号4:競合オリゴヌクレオチド名CompCP3)はCP3mの特異性を向上させるために、非標識の状態で用いた。
【0044】
1−1.プローブの特異性の予備確認
C442mのプローブの配列の特異性は、(i)リボゾームデータベースプロジェクト(RDP)のプローブチェックプログラム及び(ii)実際の菌株に対する特異性試験により判別した。
【0045】
まず、RDPのプローブチェックプログラムにより、各プローブ配列との配列の差異が0塩基から3塩基の細菌を選択した(表3)。このオンラインプログラムにより、各プローブの特異性が予備的に判定でき、この結果から表6にある実際のプローブ特異反応のための陽性及び陰性対照菌株を設定した。
【0046】
【表3】

【0047】
実際のプローブの特異性は、C442mでは、Campylobacter属をプローブとの差異のない(0塩基ミスマッチ)陽性菌株とし、Arcobacter nitrofigilis, Arcobacter cryaerophilus, Arcobacter skirrowii, Arcobacter halophilus, Arcobacter cibariusを2塩基の差異を持つ陰性の対照菌株、Helicobacter pullorum、E. coli、V. parahaemolyticusなどを3塩基以上の差異を持つ陰性対照菌株とすることとした。
【0048】
同様に、CP3m、LA71も、それぞれ表4および表5にある菌株を、陽性、陰性対象として選んだ。
【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
2.スライドグラス上でのインシチューハイブリダイゼーション
1)各種細菌株を液体培地 で一晩前培養(28℃〜37℃の間で、各菌株の至適増殖温度)した細胞(100μL)に4%パラフォルムアルデヒド‐リン酸緩衝液(PBS)を300μl加え、4℃で1-3時間固定した。
2)この固定した細菌細胞の3μLをスライドグラス上に載せ、風乾後、50、80および100%エタノールに順次3分間浸漬することで脱水を行った。
3)スライドグラス上の固定した細菌細胞上へあらかじめ46℃に加温しておいたハイブリダイゼーション溶液(0.9M NaCl、20mM Tris-HCl、0.01% SDS、pH 7.4、なおホルムアミドは20-40%濃度で変化させた。)を8マイクロリッターを注加し、46℃で5分間プレハイブリダイゼーションを行った後、5 pmol/μLのプローブ溶液を1μL加え、いずれのプローブとも、46℃で1時間ハイブリダイゼーションを行った。
4) ハイブリダイゼーション後、スライドグラスをあらかじめ48℃で加温した洗浄液(20mM Tris-HCl、 56-225mM NaCl、 0.01% SDS、 pH7.4)に20分間浸漬した後、滅菌蒸留水で残留する洗浄液を洗い流した。
5) スライドグラスを風乾後、ガラス上の細菌細胞を蛍光顕微鏡で観察し、細菌細胞の蛍光具合からプローブの特異性を判定した。
【0052】
3.特異培養条件の設定
培養併用in situハイブリダイゼーション法により、上記特異性を評価したプローブの特異性を向上させるための培養条件を鋭意設定した。具体的には、プローブ陽性菌及び陰性菌をフィルター上に捕集した後、2-14時間培養し、微小コロニーを形成させた。このフィルター上のコロニーをエタノール固定した後、スライドグラス上でin situハイブリダイゼーションを行なった。
【0053】
4.結果
C442mは、濃度10%以上の40%以下のホルムアミドを加えた反応液中で46℃で反応させることで特異性が認められ、代表的な11種のカンピロバクター属の細菌を特異的に検出した。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
CP3mプローブは競合オリゴヌクレオチドの添加なくしては、C. insulaenigrae及びC. lanienaeと反応した。しかし、競合オリゴヌクレオチドを添加することで、CP3mの特異性は向上し、CP3mプローブとCP3m用競合オリゴヌクレオチドの最適モル比は1:5であった(表7)。
【0056】
【表7】

【0057】
CP3mは、競合オリゴヌクレオチドCompCP3と併用することにより、濃度10%以上の40%以下のホルムアミドを加えた反応液中で46℃で反応させることで特異性が認められ、C. jejuni、C. coli、C. lariおよびC. insulaenigraeの4種のカンピロバクター属の細菌を特異的に検出した。結果を表8に示す。
【0058】
【表8】

【0059】
また、LA71は、濃度10%以上の40%以下のホルムアミドを加えた反応液中で46℃で反応させることで特異性が認められ、C. lariを特異的に検出した。結果を表9に示す。
【0060】
【表9】

【0061】
さらに、表10には、30%フォルムアミドを添加した標準的なハイブリダイゼーション溶液での、これら3種類のプローブの特異性をまとめて示した。C442mはカンピロバクター属に広く反応し、CP3mはC. jejuni、C. coli、C. lariの高温性カンピロバクターに特異性が高く、LA71はC. lariのみに反応した。
【0062】
【表10】


【0063】
また、カンピロバクターは、mCCDA基礎寒天培地、5%馬脱繊維素血添加ブルセラ寒天培地、および5%馬脱繊維素血添加コロンビア寒天培地上で、37℃で、14時間培養することにより、観察可能な微小集落を形成し、培養併用インシチューハイブリダイゼーション法により特異検出が可能であった。結果を図2に示す。
【0064】
さらに、C. coliおよびC. jejuniは、mCCDA基礎寒天培地、5%馬脱繊維素血添加ブルセラ寒天培地、および5%馬脱繊維素血添加コロンビア寒天培地上で、42℃で、12-14時間培養することにより、観察可能な微小集落を形成した。結果を図3に示す。
【0065】
さらに、CP3m、LA71およびCompCP3を1:1:5で混合したプローブ溶液で、C. jejuniおよびC. lariあるいはC. coliおよびC. lariの混合試料を反応させることにより、C. jejuniおよびC. coliを、C. lariと区別して検出する培養併用in situ ハイブリダイゼーション法により特異検出が可能であった。結果を図4に示す。
【0066】
また、C. jejuniは、mCDDA基礎培地、5%馬脱繊維素血添加ブルセラ寒天培地、5%馬脱繊維素血添加コロンビア寒天培地のいずれにおいても、同程度に微小集落形成をし、統計学的にも有意ではなかった(図5)。さらに、ガスパック(BD)、アネロパウチ(三菱ガス化学)、アネロジャー(三菱ガス化学)を、微好気環境の形成に利用したが、その差は統計学的にも有意ではなかった(図6)。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本願発明は、病原菌の検出及び又は同定などの保健衛生、及び食品衛生などの産業で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】培養併用FISH法と従来法によるカンピロバクターの検出の流れと時間の比較。
【図2】カンピロバクターとアルコバクター属細菌の微小集落形成曲線。各細菌は37°Cで、mCCDA基礎培地を用いて、微好気条件下で培養した。●:C. jejuni, ▲:C. coli, ■:C. lari, ◆:C. fetus, ○:C. upsaliensis, △:Arcobacter butzeri.
【図3】カンピロバクター属細菌の微小集落形成曲線.各細菌は42℃で、mCCDA基礎培地を用いて、微好気条件下で培養した。●:C. jejuni, ▲:C. coli, ■:C. lari, ◆:C. lanienae, ○:C. insulaenigrae.
【図4】CP3m およびLA71プローブと反応したカンピロバクターの微小集落の蛍光顕微鏡写真。(A); FITC-CP3m に反応したC. jejuni とC. lari, (B); TAMRA-LA71に反応したC. lari, (C); (A)と(B)のダブルバンドパスフィルターの写真.C. jejuniは緑、C. lariはオレンジ色に見える, (D); FITC-CP3m に反応したC. coli とC. lari, (E); TAMRA-LA71に反応したC. lari, (F); (D)と(E)のダブルバンドパスフィルターの写真.C. coliは緑、C. lariはオレンジ色に見える, (G); FITC-CP3mに反応したC. jejuni, (H); TAMRA-EUB338に反応したC. jejuni とC. lanienae. スケール: 30mm.
【図5】培地がC. jejuniの増殖に及ぼす影響。 *を付した試料は統計学的に有意な差は認められない(p>0.05)。
【図6】微好気システムがC. jejuniの増殖に及ぼす影響。 *を付した試料は統計学的に有意な差は認められない(p>0.05)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を培養し微小コロニーを形成させ、第1の蛍光標識で標識した配列番号2で表されるCP3m又はその相補鎖で表されるプローブ及び第2の蛍光標識で標識した配列番号3で表されるLA71又はその相補鎖で表されるプローブを用いて、インシチューハイブリダイゼーション法により、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C. coli)に属する細菌を同時に検出及び/又は計数する方法。
【請求項2】
更に標識をしない配列番号4で表される競合オリゴヌクレオチドを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の蛍光標識で検出される微小コロニー及び第2の蛍光標識で検出される微小コロニーを計数し、第1の標識で標識された微小コロニーから第2の標識で検出された微小コロニーを減ずることにより、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C. coli)に属する細菌を同時に計数する請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第1の蛍光標識と第2の蛍光標識が異なる波長の蛍光を発する請求項1〜3いずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の蛍光標識と第2の蛍光標識が、TAMRA又はFITCである請求項1〜4いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記培養をカンピロバクター属微生物が増殖する培地で12時間から16時間行う請求項1〜5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第1の蛍光標識で標識した配列番号2で表されるCP3m又はその相補鎖で表されるプローブ、並びに第2の蛍光標識で標識した配列番号3で表されるLA71又はその相補鎖で表されるプローブ及び標識をしない配列番号4で表される競合オリゴヌクレオチド又はその相補配列を含む、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)及びカンピロバクター・コリ(C. coli)を同時に検出及び又は計数するためのキット。
【請求項8】
試料を培養し微小コロニーを形成させ、蛍光標識で標識した配列番号1で表されるCP442mを用いて、インシチューハイブリダイゼーション法により、カンピロバクター属の細菌を同時に検出及び/又は計数する方法。
【請求項9】
蛍光標識が、TAMRA又はFITCである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記培養をカンピロバクター属微生物が増殖する培地で12時間から16時間行う請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
蛍光標識で標識した配列番号1で表されるCP442mを含む、カンピロバクター属を同時に検出及び又は計数するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−22336(P2010−22336A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191252(P2008−191252)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(000173511)財団法人函館地域産業振興財団 (32)
【Fターム(参考)】