説明

基体上での複数成分間の反応によりターゲット物質を検出するために基体表面に液状反応成分を配置する方法および装置、並びにこの方法に使用するための物品

特異的結合対を形成する第一および第二成分のうちの第一成分が複数の離間した反応領域に配置されている基体表面に、第二成分を供給して前記特異的結合反応を行なう方法において:前記第二成分を含有する液体を、前記第一成分が配置されている各反応領域のアドレスに従って、該領域に重なるように位置選択的に配置する工程を具備した方法。この方法を実施するための装置および物品も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、マイクロアレイを使用した検査方法の場合のように、基体表面の多数の離間した領域においてターゲット物質をその特異的結合反応により検出するために、前記特異的結合反応に必要な液状成分を前記基体表面に配置方法に関する。また、本発明は、上記の液状成分を基板表面に配置するための装置に関する。更に、本発明は上記方法の実施に使用するために有用な物品に関する。
【背景技術】
生物は、その生体組織における様々な生理活性物質の発現によりコントロールされている。現在、この生理活性物質の発現をコントロールする遺伝子発現頻度解析の主な手段としてマイクロアレイが用いられている。マイクロアレイとは、スライドグラスやシリコン等の基板上に1平方センチメートル当り数千もの密度でDNAやRNA、蛋白質などのプローブを整列させ、固相化したものである。例えば核酸プローブを固相化したマイクロアレイは、ターゲットとなるDNAやRNAなどとハイブリダイゼーションにより特異的に結合することによって、該ターゲットDNAやRNAの発現頻度を解析する手段として用いられている。
このマイクロアレイを作成する際、微量なプローブを基板表面に点着するために、フォトリソグラフィー(光固相化)、インクジェッティング、メカニカルマイクロスポッティングの3つの技術が主に用いられている。また、このようにして基板に点着および固相化された微量なプローブと、サンプル溶液中に含まれるターゲットとのハイブリダイゼーション反応の方法に関しては、プローブが固定されたマイクロアレイの上に、ターゲット溶液が蒸発しないようにカバーガラスなどで被蓋して、該カバーグラスとマイクロアレイとの間隙空間ないにターゲット溶液を注入充填する方法が一般的である。
例えば、図1に示すような通常のスライドガラスを用いたハイブリダイゼーション反応試験では、スライドグラスのマイクロアレイ基板(1)上に微量に固定されたDNAなどのプローブ(2)に対して、カバーガラス(3)などの蓋材を対向させ、その間隙空間に、ターゲットを含有するサンプル溶液(4)を満たすことにより、プローブとターゲットのハイブリッドを形成させる。
ハイブリダイゼーションの効率を上げるために、DNAの電気的な特性を利用したハイブリダイゼーションの改良方法も知られている(例えば、特開平8−154656号公報(図1))。
しかし、従来のアレイでのハイブリダイゼーション時には、プローブの近辺にある少量のサンプル溶液のみが、ハイブリッド形成に有効利用されるに過ぎず、プローブの近辺にないサンプル溶液は利用され難い。
また、従来のアレイでは、使用する蛍光物質の量や、ハイブリダイゼーションの際に使用する溶液の組成などが原因になって、プローブが固定された以外のところにシグナルが検出されるといった、バックグラウンドノイズが高い現象が見られる。このようにバックグラウンドノイズが高いと、実際のハイブリダイゼーションシグナルの検出感度が低下してしまう。
更に、従来の方法において、マイクロアレイ1枚に固定した微量なプローブにと共にハイブリダイゼーション用カバーグラスを使用する場合には、少なくとも約50μLと大量のターゲット溶液が必要であった。これからのゲノム医療を考えると、アレイで解析する際の患者からのサンプル、つまりターゲットを含有するサンプルはより少量であることが望ましい。
【発明の開示】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その第一の課題は、特異的結合対を形成する二つの成分のうちの一方をプローブとして基板表面に固相化し、該プローブとの特異的結合反応により、前記特異的結合対を形成する他方の成分をターゲットとして検出する方法において、該特異的結合反応の効率を向上し、バックグラウンドノイズを低くし、またサンプル液量を低減することである。更に、本発明は、上記方法において信頼性の高い反応を実現することを目的としている。
本発明の第二の課題は、上記の方法を実施するための装置を提供することである。
本発明の第三の課題は、上記方法を実施するために有用な物品を提供することである。 上記第一の課題を解決するために、本発明では、例えばマイクロアレイ基板上に固定された微量なプローブ領域の上に、例えば点着装置を用いてターゲット物質を含有する溶液を位置選択的に重層配置することとした。
即ち、本発明の第一の課題は、特異的結合対を形成する第一および第二成分のうちの第一成分が複数の離間した領域に配置されている基体表面に、前記第二成分を供給して前記特異的結合反応を行なう方法において:前記第二成分を含有する液体を、前記第一成分が配置されている各領域のアドレスに従って、該領域に重なるように位置選択的に配置する工程を具備したことを特徴とする方法によって達成される。
上記第二の課題は、少なくとも2種類の反応成分を用いて基体表面上の多数の離間した反応領域内でターゲット物質を検出するための装置であって:
前記各反応領域に第一成分が配置された前記基体を保持する保持手段と、
前記基体表面上における前記各反応領域のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
第二成分を含有する液体を、前記基板表面の各反応領域と実質的に同じ大きさの領域内に位置選択的に供給する第二成分供給手段と、
前記第二成分を含有する液体が前記各反応領域内において前記第一成分の上に位置選択的に配置されるように、前記複数の反応領域の各アドレスに基づいて前記第二成分供給手段を制御する制御手段と
を具備する装置によって達成される。
上記第三の課題は、特異的結合対を形成する第一および第二成分、並びに少なくとも1種類の第三の反応成分を用いて基体表面上の複数の離間した反応領域内でターゲット物質の検出反応を行なうように調製された物品であって:
前記第一、第二、および第三の反応成分のうちの2以上で且つ前記検出反応に必要な全ての反応成分に満たない複数の成分が、前記反応領域の内に位置選択的に重層して配置され、且つこれら重層された複数の成分が保存可能な状態にあることを特徴とする物品。
【図面の簡単な説明】
図1は、マイクロアレイを用いて遺伝子を検出する従来の方法を示す説明図である。
図2は、本発明の一実施態様に従い、マイクロアレイを用いて遺伝子を検出する方法を示す説明図である。
図3は、図2に示した方法の各工程を示すフローチャートである。
図4は、図2に示した実施態様の第一の変形例を示す説明図である。
図5は、図2に示した実施態様の第二の変形例を示す説明図である。
図6は、図2に示した実施態様の第三の変形例を示す説明図である。
図7は、図2に示した実施態様の第四の変形例を示す説明図である。
図8は、本発明による装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図9は、本発明で使用する基体の一例を示す斜視図である。
図10Aおよび図10Bは、本発明による装置を使用して第二成分を含有する液体を、図9の基体表面に予め配置された第一成分の上に配置する方法を示す説明図である。
図11A、図11Bおよび図11Cは、本発明による装置を使用して第二成分を含有する液体を、図9の基体表面に予め配置された第一成分の上に配置する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明をカテゴリー別に詳細に説明する。
<方法の発明>
本発明において、「基体」とは、核酸、蛋白質、細胞のような生物学的材料を、同一平面上の複数の離間した領域に配置することが可能な固相であって、その表面が、生物学的材料を配置するための2次元的ないし3次元的な複数の領域を形成するために十分なものを言う。例えば、スライドガラス、プラスチックプレート、シリコンウェハー、多孔質フィルターのようなプレート形状の基体であって、その表面上の複数の離間した領域に位置選択的に生物学的材料を配置したマイクロアレイが好ましい。マイクロアレイとしては、生物学的材料を配置する部分が2次元的面を有する基体が典型例であるが、3次元的な窪みまたは中空部分(特表平9−504864参照)を有していてもよい。また、1次元的なマイクロアレイとしては線形状のもの(WO01/051207参照)が挙げられる。
本発明において、「特異的結合対を形成する第一および第二成分」とは、例えば、プローブ物質およびターゲット物質の組合せである。これら二つの成分の組合せとしては、遺伝子等の核酸およびその相補鎖の組合せ、抗原および抗体の組合せ、アレルゲンおよび抗体の組合せ、ホルモンおよび受容体の組合せ、酵素および基質の組合せ等を用いることができる。これら二つの成分の何れか一方または両方に、検出可能なラベル(蛍光色素、化学発光物質、磁性物質、金コロイド)を結合して用いても良い。これらの生物学的材料は、基体表面の比較的小さい複数の離間した領域に配置できる容積であれば、液相用いてもよく、固相で用いてもよい。また、抗原、アレルゲンまたは受容体のような細胞膜成分であるタンパク質を第一成分または第二成分として用いる場合には、細胞を溶解処理して抽出された当該タンパク質を液相もしくは固相として用いてもよく、または細胞自体をそのまま用いてもよい。抽出されたタンパク質を基体表面の複数の離間した領域に配置したタンパク質アレイ(WO 00/04382参照)が知られており、また抽出されたタンパク質の代りに細胞自体を配置した細胞アレイ(WO0 00/17624参照)も知られている。第一成分または第二成分として核酸を使用するとき、該核酸はDNAもしくはRNA、またはPNAのような修飾核酸の何れであってもよい。これら核酸は、所望の長さ、塩基配列および立体構造(一本鎖、二本鎖、環形状、線形状)を有するように設計され、且つ適切な含有量に調整された液相または固相として用いる。更に、第一または第二成分は、液相の生物学的物質をビーズのような粒子形状の担体に被覆し、または湿潤させて固定化した固相化試薬の形態であってもよい。
本発明においては、上記第一および第二成分に加えて、必要に応じて、少なくとも1種類の「第三成分」を用いてもよい。このような第三の成分としては、例えば、第一成分と第二成分との間の特異的結合反応を促進または開始する成分、核酸プライマー,DNAポリメラーゼ、リガーゼ、エキソヌクレアーゼ、多価性抗体(二次抗体)、競合反応においては第一成分および第二成分に対する共通のリガンドもしくはインヒビター、膜タンパク溶解剤(プロテアーゼ)が含まれる。
本発明において、「反応領域」とは、第一成分および第二成分の間の特異的結合反応が行なわれる基板上の領域をいう。この反応領域には、例えば凹部等を設けることにより予め定義された領域であってもよい。しかし、特にそのような予め定義された領域である必要はなく、その場合には配置された第一成分によって反応領域が定義される。
本発明の方法では、第一成分(例えばプローブ)に第二成分(例えばターゲット物質)を含有する溶液を位置選択的に重ね打ちすることによって、ターゲット溶液はプローブ近辺に限定される。また、ターゲット溶液は空間的な厚みを得られることで、ターゲット溶液の拡散効果も期待されるため、プローブに重ね打ちして重層されたターゲット物質の特異的結合効率を上げることができる。
本発明ではプローブが配置された領域以外の場所にターゲット溶液が存在することがなくなるため、プローブの周辺以外でのバックグラウンドノイズがなくなると考えられる。
本発明では、インクジェッティングやメカニカルスポッティングの技術を用いて、プローブの上にターゲット溶液を位置選択的に重層することにより、一つのスポットに対して数nlのターゲット溶液しか必要としない。このため、ハイブリダイゼーション時のターゲット溶液の必要量が節減される。
上記の理由により、ターゲット容量が節減されることで、コストの削減を図ることができる。
なお、本発明は、プローブを固相化した領域に対してサンプルを位置選択的に重層配置する際に特に有用であるが、サンプルの代わりに、分析に必要な各種の試薬を重ね打ちするために使用することもできる。従って、このような各種試薬をプローブ固相化領域に重ね打ちすることも本発明の範囲に含まれるものである。
次に、図2および図3を参照して、核酸プローブを固相化したマイクロアレイを用いて遺伝子等の核酸を検出する本発明の一つの実施形態を説明する。図2はこの実施態様の図解であり、図3はこの方法を実施するための各工程を示すフローチャートである。
この実施態様では、図2に示すように、マイクロアレイ基板(5)上に固定されたDNAなどの微量なプローブ(6)の上に、ピンタイプまたはインクジェットアレイヤーなどの機器を用いて、ターゲットを含有する微量の溶液(7)を重ね打ちする。
まず、プローブを固定したマイクロアレイ基板(5)を、インクジェットアレイヤーなどの点着装置上に準備する。その際、固定されたプローブ(6)の上にターゲット含有溶液(7)を重ね打ちできるように、プローブを固定した基板はスライドグラスの端などに、位置合わせのための印がついたものを使用するのが望ましい。印を合わせた後、固定しているプローブの上にターゲットが点着されるように、重ね打ちを行う。更に、ハイブリダイゼーション中にターゲット溶液が蒸発しないように、スポット状に配置されたプローブおよびターゲット含有溶液を蓋材(8)にて覆う。
上記の方法によれば、マイクロアレイ基板上に固定されたDNAなどの微量なプローブは、ターゲット含有溶液中において、蛍光標識されたターゲットとハイブリッドを形成する。このハイブリダイゼーション反応の後に、マイクロアレイに固定されたプローブとハイブリッドを形成したターゲットの蛍光量を測定することによって、ターゲット遺伝子の発現頻度を測定できる。
本発明によると、これまでプローブの固定に用いられていたインクジェッティング、メカニカルマイクロスポッティングの技術をハイブリダイゼーション試験にも応用することができる。本実施形態によると、マイクロアレイ基板上に固定された微量なプローブの上に、ターゲットを重ね打ちすることで、プロープにターゲットがより接近し、ハイブリダイゼーションの効率も上がる。また、プローブ以外の部分にハイブリ溶液が浸透しないため、バックグラウンドが低くなり、解析が容易になる。更に、従来のカバーガラスとスライドグラスの間隙にターゲット溶液を浸透させる方式ではターゲットの溶液量が50μlと大量だったのに対して、本実施形態によると、1スポットに対してターゲット溶液は約1nLしか必要でなくなるため、液量を大幅に削減することができる。
なお、上記の実施の形態における各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。本実施例では基板としてスライドグラスを例にしたが、シリコンなどの種々の材質、形状、寸法であってもよい。しかし、ターゲット溶液に蛍光色素を用いることが多いため、マイクロアレイを解析する場合に基板からのバックグラウンドを少なくするという理由により、基板はガラスなどの蛍光を発しないものであるのが好ましい。
次に、上記で説明した実施態様の変形例を説明する。
変形例1(図4)
この変形例では、プローブを固定した基板に、ターゲット溶液を重ね打ちした場合に、よりプローブとターゲットが近づくように、基板に少し窪みをもたせる。
変形例2(図5)
カバー基材は一つ一つのスポットに対して、個々に仕切られるようなキャピラリ状の構造になっている。
変形例3(図6)
用いたプローブおよびターゲットがDNAなどの電気的なチャージを持っている物質であった場合、基板の下部より電気的なチャージをかける。これにより、プローブとターゲットが基板に引き寄せられ、効率的なハイブリができる。
変形例4(図7)
ハイブリダイゼーション時に重力をかける。
<装置の発明>
本発明の装置は、上記で説明した本発明の方法を実施するための装置である。以下、図8および図9を参照して、本発明による装置の一実施形態を説明する。
図8は、本発明による装置における主要部の構成を示すブロック図である。図示のように、この装置は、アドレス検出手段11、中央演算装置(CPU)12、アドレス記憶部13、分注制御部14、試薬分注機15、測定制御部16、出力表示部17、読取り手段18、サンプル分注機19を備えており、これらの部分の間では、図中矢印で示すように信号の伝達が行なわれるようになっている。
この装置は、図9に示すような、その表面に複数の離間した反応領域21を有する基体20を保持するための手段(図示せず)を備えている。基体20の各反応領域21は、基体20の表面上にマトリックスアレイ状に配置されており、夫々の反応領域のアドレスはそのX軸座標およびY軸座標の組合せ(x,y)によって指定される。また、各反応領域21には、所定の反応を行なうために必要な第一成分22が予め配置されており、その上に第二成分(黒丸で示す)23が配置される。図では、例示的に幾つかの反応領域にのみ第二成分23を図示したが、全ての反応領域21に第一成分22および第二成分23を配置してもよい。これら多数の反応領域21に配置された第一成分22および第二成分23は全て同じであってもよく、全てが異なっていてもよい。また、例えば、同じ行または列を構成する反応領域21には全て同一の第一成分22または第二成分23を配置し、異なる行または列を構成する反応領域21には異なる第一成分22および第二成分23を配置するようにしてもよい。
本発明の装置における「検出装置」11は、上記の保持手段に保持された基体20の表面における各反応領域20のアドレス(第一成分のアドレス)を検出するためのものである。検出されたアドレスはアドレス記憶部13に保存される。中央演算装置(CPU)12は、このアドレス情報に基づいて、分注制御部14に指令を送り、第二成分を配置するための試薬分注機15を制御して、第二成分が第一成分22の上に重層されるように、位置選択的に第二成分を分注する。なお、第一成分22が予め配置されていない基体20を用い、第一成分22の配置から実施できるように、第一成分を配置するための第一成分供給手段17が設けられ、これも分注制御部によって制御される。第一成分および第二成分、並びに必要に応じて適切な第三成分が重層配置され、所定の検出反応が完了した後、CPU12は測定制御部16に信号を送り、検出手段11を介して所期の検出反応の結果を検出させる。即ち、検出手段11は、各反応領域21について蛍光マーカー等の検出可能なラベルを検出し、その結果をCPU12に送る。CPU12はその検出信号を演算処理し、その結果をCRTモニター等の適切な出力表示部19に表示させる。
次に、図8の装置における各部の詳細を説明する。
「検出装置」11による検出の原理は、基体20および基体上の反応領域21に配置された第一成分22の材料学的特性の違いを識別するための物理学的手段であり、好ましくは、光学的測定機能を有するか、或いは光学的測定データに関連付けできるような他の測定機能を有する手段である。好適には、第一成分22が存在する部位と存在しないの部位とを、波動エネルギー(光または超音波)の透過率および/または反射率の差で検出することによって、第一成分22の存在を認識する。この認識信号をCPU12で演算処理することにより、基体表面における第一成分22アドレス(即ち、反応領域21のアドレス)を決定する。従って、検出装置11は、基体20からの検出信号をCPU12での演算処理に適した電気信号に変換する手段をさらに具備するのが好ましい。
例えば、基体20の光透過率が第一成分の光透過率よりも大きい場合には、検出装置11により得られる検出データは、基体20および基体上における全ての第一成分22の配置レイアウトを画像化するのに適している。一方、光透過率の差を光ビームにより検出する場合には、基体20および第一成分22の陰影像またはカラー画像が提供される。
光反射率の差に基づいて検出する場合は、基体表面に光反射性材料(例えば、酸化シリコン)を被覆することにより、表面プラズモン共鳴法や、エリプソメータのような偏光測定手段によって基体上の厚み分布を画像データに変換することが可能である。逆に、第一成分22が光散乱性のポリマーや金属コロイドを含んでいる場合は、光学的陰影像として画像化することが可能である。光透過率と光反射率の両方を測定することにより、検出精度を向上することも可能である。
基体20上の第一成分22の分布画像は、個々の第一成分22のアドレスのみならず、第一成分22の2次元的または3次元的なボリュームを正確に反映する。好ましくは、検出手段は、第一成分22のxyz軸上の長さに基づいて、第一成分の2次元的または3次元的な形状および/またはサイズを読み取るための「読み取り手段」18を有する。この読み取り手段18は、第一成分22の平均的中心点をアドレス情報として決定する。従って、後続の第二成分を分注する際には、この中心点に向けて第二成分を照準することができる。その結果、図10Aに示すように、基体20に予め配置されていた第一成分22の上に、第二成分を含有する液体23が位置選択的に重層して配置される。この場合、第一成分22が細胞等のサンプルで、第二成分23が抗体等の試薬として描がれているが、図10Bに示したように、第一成分22がDNAプローブ等の試薬で、第二成分23が遺伝子等のDNAを含むサンプルであってもよい。
第一成分22が細胞のように比較的大きいサイズを有する場合には、第一成分22の特定部分を選んで、その特定部分の中心点を決定するようにしてもよい。そのためには、光の陰影またはカラーの画像を検出および画像化するために、CCDカメラやレーザ走査装置のような画像取得手段を利用するのが有利である。レーザ走査装置における光ビームのビーム径を、第一成分のボリュームよりも若干大きくすれば、画像化を速くすることができる。しかし、ビーム径を第一成分よりも小さくすればするほど、第一成分のボリューム中の詳細な情報を得ることが可能である。一般に、細胞は多種類の価値有る反応要素をその表面または内部に含んでいるので、第一成分22から詳細な情報を得ることは有利である。従って、検出手段が共焦点光学系を有している場合には、基体20上の第一成分22のレイアウトのみならず、第一成分中の特定部位ごとの光特性を知ることができる。特定部位ごとに特異的に反応する成分を配置する場合には、その特定部位を選択的に覆うように第二成分を配置すればよい。また、プロテアーゼのように細胞膜の一部分のみを溶解する薬剤を適用する場合には、第一成分としての細胞上面の溶解した一部分のみを覆うように、第二成分を配置すればよい。
検出手段11は、その後に第二成分を含む必要な全ての成分を添加した後、各アドレスにおける第一成分ごとに行われる生物学的反応の結果を得る際にも同様に利用できるように、装置をデザインするのが有利である。
なお、上記で述べた検出手段11は、基体20上に予め第一成分が配置されている場合に不可欠であるのであって、第一成分の配置から実施する場合、即ち、第一成分および第二成分を同時にまたは逐次的に配置する場合には、必ずしも検出手段によってアドレス情報を得る必要はない。何故なら、第一成分を配置するための配置手段としての分注装置のxyz軸移動を制御する分注制御部から有効なアドレス情報を得ることができるからである。
「アドレス記憶部」13は、検出手段11または読み取り手段18から送られる第一成分22のアドレス情報を格納し、必要なときに情報を読み出すことが可能な、ランダムアクセスメモリー(RAM)の如何なるメモリ手段であってもよい。
「第二成分供給手段」15は、第二成分を含有する液体を、基板20に予め配置されている第一成分22の上に位置選択的に重層配置するための噴出ノズルを備えた分注機である。この第二成分供給手段14は、分注制御部15による制御を受け、アドレス記憶部13に記憶されている第一成分22のアドレス情報に従って、そのノズルを位置決めされる。即ち、図11Aに示すように、分注機のノズル25は第一の成分21の真上に位置決めされる。このときのノズル25の高さは、基体20または第一成分22の形状に応じて、第2成分24の好ましい供給高さが得られるように、分注制御部14によって制御される。例えば、基体が、窪みまたは微細孔を有する場合には、基体における第一成分22の配置高さに応じて、比較的低い高さ(h)にノズル先端を位置付けるようにしてもよい。逆に、基体上の固相部分を有する第一成分22が配置されている場合には、第一成分22の上限高さを適宜加えた高さ(h)にノズル先端を位置付けるのが好ましい。基体が非浸透性で且つ第一成分が液相または極薄の層(例えば、厚み1μm以下)を含む場合には、殆ど基体上面から算出される適当な接近距離であり得る。スタンプ装置にように接触手段については、上述した高さに比例した接触力で駆動させることができる。
この状態で第二成分を含有する液体を供給して、ノズル25の先端に第二成分23の液滴を形成する。次いで、ノズル25を基体20に向けて下降させるにより、第二成分23の液滴を第一成分22に接触させる。これにより、図11Bに示すように第一成分の全体を覆うように広がる。このように第一成分22の全体を覆うように第二成分23を配置する場合には、ノズルの先端を第一成分22の中央に向けて下降させる。しかし、例えば第一成分22が細胞で、図11Cに示したように該細胞の窪み部分に第二成分23を局部的に配置したいときは、読み取り手段18により得られた情報に従い、当該窪み部分の中央に向けてノズル25の先端を下降させる。
なお、第二成分23の供給総量は、第一成分22の体積に応じて決定される。その際、第二供給手段15は必要な総量より若干多めの余剰量を供給し、その直後に余剰分を吸引するようにすることにより、第二成分23の粘性や表面張力による供給誤差を排除できる点で好ましい。
また、第一成分22が実質的に乾いている場合(例えば、湿度60%以下)または固相部分を有する場合には、比較的速い速度で第二成分22を供給することができる。しかし、第一成分22が湿潤状態(例えば、湿度70%以上)もしくは殆ど液相(例えば、湿度90%以上)である場合には、第一成分22を剪断、穿孔等により破壊しないような供給速度で第二成分23を供給するのが好ましい。第二成分23の供給速度の制御は、分注制御部14が予め第一成分22に応じた制御信号を発生して、第二成分供給手段15の圧力発生装置(例えば、ポンプ、シリンジ、ピエゾ素子)を駆動制御することによって実行される。
更に、上記の説明では、設置された第一成分22はその一つのドットが反応領域(スポット)21の全体を占有しているが、反応領域(スポット)21内に第一成分22の離間した複数のドットが形成されていてもよい(特開2002−65274参照)。即ち、一つのスポット21内に、インクジェッティングにより形成されたn×n個のドットが存在していてもよい。この場合、第二の成分23は、第一成分22の各ドットを覆うような配置面積で、個々のドット毎に重ね打ちすることができる。その際、重ね打ちされる第二成分は、第一成分よりも若干大きい径を有するドット状の液滴として、インクジェット式分注機により第一成分22と同様に分注することができる。インクジェット式分注機は、別々の装置を用いる場合でも同じドット数に調整することができる。このように、第一成分22と同じドット数で且つより大きな径の液滴として第二成分23を重層することにより、メカニカルな誤差を考慮しても、単一の反応領域(スポット)21内にある第一成分22の全てのドットを最小のコストで覆うことができる。必要ならば、このようなドット状の液滴同士の量および/または状態を、上述した検出装置によってモニタリングし、また第二成分23の重ね打ち操作をナビゲートすることもできる。また、2以上の小分割された一組の第一成分のドットが反応領域(スポット)21内に存在するときは、第二成分を、ドットの組の1.1〜1.5倍の径を有するドット状液滴として該セットの中央部位に点着してもよい。そのような第一成分の小分割ドットは、一つの反応領域(スポット)当り10,000〜10,000,000個であることができ、第二成分のドットは一つのスポット当り10〜500個であればよい。同一の反応領域(スポット)内では、結果として複数個の第二成分が部分的または全体的に繋がった液相を形成してもよい。第一成分と等しいドット径またはより小径のドットで、インクジェット式分注機により大に成分を繰り返し噴射することによっても、これらのドットが繋がった連続的な液相を形成でき、その結果として第二成分が第一成分の全体を覆うことになる。同一のスポット内に関する限り、複数の繋がった第二成分は、反応および測定に対して何等不利益をもたらさない。これに対して、第二成分23が重層していない第一成分の小分割ドットが反応領域(スポット)21中に少しでも存在すると、非特異的な反応に起因したノイズが発生する可能性がある。統計学的確率によれば、第一成分および第二成分を全く同じドット径およびドット数で基体20の同一領域に噴射した場合、高い確率で、第一成分22と第三成分23とが重なり合うであろう。しかし、本発明では、統計学的信頼度を高め且つS/N比を向上させるために、重なり合わない第一成分をできるだけ減少させる(好ましくは完全に無くす)ような配置を提供する。孔径が1〜50μmの多孔性基体においては、各反応領域(スポット)21内に配置された第二成分23の複数のドットが繋がって連続した液相を形成することにより、各スポット21を第二成分の液相で完全に満たす効果をもたらす。これに対して、スポット21が液相で完全に満たされない場合には、反応または測定において気泡や埃によるノイズが生じる可能性がある。加えて、本発明により基体20上に配置された第一成分22および第二成分23を覆うように、基体20の全表面に、生物学的に不活性な第三成分を配置してもよい。この第三成分は、第一および第二成分が滲んだり拡散しない条件下で、緩衝液もしくは精製水のような水性液体、またはシリコーンオイル、オリーブオイルもしくは流動パラフィンのような油性液体であることができる。油性の第三成分は、第一成分および第二成分の反応時または測定時において、これら成分の蒸発を防止する効果を奏する。この第三成分として硬化性の透明樹脂を使用すれば、蒸発防止のみならず、装置の内外で基体を運搬するために有利である。
「第一成分供給手段」17は、第二成分供給手段15と同様の分注機である。基体20に第一成分22が予め配置されておらず、所望の検出反応を行なうために第一成分22の配置から実施する場合に、この分注機が用いられる。このように、第一成分および第二成分の両方の液体を供給する統合システムにおいては、両方の供給手段15,17を共通のノズル移動機構に取り付けられるのが好ましい。ノズル移動機構が別々である場合には、第一の供給手段の移動履歴を基体のアドレス情報と関連付けてアドレス記憶部に格納する。第2の供給手段は、アドレス記憶部から読み出した移動履歴に応じて、基体の各アドレスにアクセスし、第一成分上に確実に第二成分を確実に供給する。第一成分が予め配置された基体上に第二成分を供給する場合には、第一供給手段は不要となる。
第一成分の配置と第二成分の配置とが、別の場所で別々の装置により行なわれるときは、「第一成分供給手段と第二成分供給手段の間の情報伝達システム」として、基体20上における第一成分の配置アドレスに関連付けられたコード化情報保存手段(例えば、バーコード、磁気記録媒体)を、基体20の一部に設けるようにするのが好ましい。即ち、第一成分21を配置する第一成分供給手段17の移動履歴が基体のアドレス情報と関連付けされたコードを、上記コード化情報保存手段に付与するように、適宜のコード付与手段(例えば、バーコードプリンター、磁気記録装置)を機能させる。次に、第一成分21の上に第二成分を位置選択的に供給するのに先だって、基体上のコード化手段を上述した読み取り手段18により読み取って、解読されたアドレス情報をアドレス記憶部13に記憶させる。次いで、アドレス記憶部13からの情報に基づいて、分注制御部が第二成分供給手段15を駆動する。このような「情報伝達システム」を連携手段として用いれば、第一成分供給手段17と第二成分供給手段15が独立した別個の装置である場合にも、検出手段11による第二成分22のアドレス検出を必要とすることなく、第二成分を第一成分22の上に重層配置することができる。また、かかる情報伝達システムは、多数の基体を扱う検査装置において、個々の基体の取り違いを防止することができる。
<物品(マイクロアレイ)の発明>
上記で述べた本発明の方法および装置に従えば、特異的結合対を形成する第一および第二成分、並びに少なくとも1種類の第三の反応成分を用いて、基体表面上の複数の離間した反応領域内でターゲット物質の検出反応を行なうように調製された物品であって、例えば最後の成分を配置することによって所期の反応を行なうことができるように予め保存可能に調製された物品を提供することができる。
即ち、本発明による物品は、前記第一、第二、および第三の反応成分のうちの少なくとも二つで且つ前記検出反応に必要な全ての反応成分に満たない複数の成分が、前記反応領域内に位置選択的に重層して配置され、且つこれら重層された複数の成分が保存可能な状態にあることを特徴とする物品(例えばマイクロアレイ)である。
本発明を適用したマイクロアレイの一例は、図9に示した基体20と同じ構造を有し、且つ各反応領域21には図10Aおよび図10Bに示したのと同様に、第一成分22および第二成分23が位置選択的に重層配置されている。しかし、本発明に従うマイクロアレイでは、第一成分21および第二成分23だけでは反応が生じず、第三の成分を添加して初めて所期の反応が生じるようになっている。このような第一成分、第二成分および第三成分の組合せとしては、例えば次のような例が挙げられる。
例1:
第一成分:細胞
第二成分:プライマー、基質塩基、
DNAポリメラーゼ
第三成分:プロテアーゼ
例2:
第一成分:HCV抗原
第二成分:蛍光標識化された抗免疫グロブリン抗体
第三成分:抗HCV抗体
本発明においては、上記のようなマイクロアレイにおいて重層された第一成分22および第二成分23は、保存可能にするために、例えば凍結乾燥によって乾燥状態にすることができる。その際には、保存中にタンパク質が変性しないように、糖類のような変性防止剤を共存させるのが好ましい。このような糖類としては、例えばサッカロース、トレハロース、グルコース、デキストリン、キシロース等が挙げられる。また、第一成分22および第三成分23を保存可能にするために、オイル物質(例えばシリコーンオイル、オリーブオイル、流動パラフィン)のような遮断手段で基体20の表面を覆って、これら成分と外気とを遮断するようにしてもよい。
以上詳述したように、本発明によれば、基板表面に固相化されたプローブを用いてターゲット物質を検出する際に、プローブとターゲット物質との間の特異的結合反応の効率を向上し、バックグラウンドノイズを低くし、またサンプル液量を低減できる等、顕著な効果を得ることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的結合対を形成する第一および第二成分のうちの第一成分が複数の離間した反応領域に配置されている基体表面に、第二成分を供給して前記特異的結合反応を行なう方法において:
前記第二成分を含有する液体を、前記第一成分が配置されている各反応領域のアドレスに従って、該領域に重なるように位置選択的に配置する工程を具備した方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第一成分は少なくとも1個の細胞であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記第一成分および第二成分は遺伝子等の核酸、抗原、抗体、アレルゲン、ホルモンおよび酵素等を含む物質であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記基体は複数の凹凸を有し、その各凹部に前記第一成分の固相化領域が形成されることを特徴とする方法。
【請求項5】
少なくとも2種類の反応成分を用いて基体表面上の多数の離間した反応領域内でターゲット物質を検出する生物学的反応を行なうための装置であって:
前記各反応領域に第一成分が配置された前記基体を保持する保持手段と、
前記基体表面上における前記各反応領域のアドレスを記憶するアドレス記憶手段と、
第二成分を含有する液体を、前記基板表面の各反応領域と実質的に同じ大きさの領域内に位置選択的に供給する第二成分供給手段と、
前記第二成分を含有する液体が前記各反応領域内において前記第一成分の上に位置選択的に配置されるように、前記複数の反応領域の各アドレスに基づいて前記第二成分供給手段を制御する制御手段と
を具備する装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第一成分および/または前記第二成分の種類および/または前記第二成分を含有する液体の量に応じて、前記基体に対する前記第二成分供給手段の進退動作および前記該供給手段による前記液体の供給速度を変更するように、前記第二成分供給手段を制御する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第一成分の配置状態および前記第二成分を含有する液体の配置状態に応じて、前記基体に対する前記供給手段の進退動作および前記液体の供給速度を変更するように、前記第二成分供給手段を制御する請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第一成分を含有する液体を供給する第一成分供給手段を更に具備し、該第一成分供給手段と前記第二成分供給手段の供給動作を、同一または異なる基体に対して連動するように構成したことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記基体上の液体の配置状態を検出する検出手段を更に具備し、該検出手段による検出結果に基づいて、前記第二成分供給手段と前記基体または第一成分との間の相対的位置を調整する構成としたことを特徴とする、請求項5または7に記載の装置。
【請求項10】
前記第一成分の形状または種類を読み取る読取り手段を更に具備し、該読取り手段による読取り結果に基づいて、前記第二成分供給手段の供給動作を変更する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
特異的結合対を形成する第一および第二成分、並びに少なくとも1種類の第三の反応成分を用いて基体表面上の複数の離間した反応領域内でターゲット物質の検出反応を行なうように調製された物品であって:
前記第一、第二、および第三の反応成分のうちの少なくとも二つで且つ前記検出反応に必要な全ての反応成分に満たない複数の成分が、前記反応領域内に位置選択的に重層して配置され、且つこれら重層された複数の成分が保存可能な状態にあることを特徴とする物品。
【請求項12】
重層された前記複数の成分は凍結乾燥保存剤を共存させた状態で凍結乾燥されていることを特徴する請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記重層された複数の成分は、遮断手段によって外気から遮断されていることを特徴とする、請求項11または12に記載の物品。
【請求項14】
前記重層された複数の成分のうちの最上層の成分が水溶液の形態であり、前記遮断手段が該水溶液を覆う油層であることを特徴とする、請求項13に記載の物品。

【国際公開番号】WO2004/027422
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【発行日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537585(P2004−537585)
【国際出願番号】PCT/JP2003/011850
【国際出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】