基地局、再送実施状況通知方法、無線ネットワーク制御装置、およびデータ待ち合わせ方法
【課題】無線ネットワーク制御装置での受信データの処理遅延を低減する。
【解決手段】受信部1aは、複数の再送プロセスによって端末3からデータを受信しおよびデータの再送処理を行う。再送実施状況取得部1bは、複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する。全体再送実施状況把握部1cは、取得された再送実施状況に基づいて複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況送信部1dは、全体再送実施状況を全体再送実施状況受信部2aに送信する。再送判断部2bは、受信された全体再送実施状況に基づいて基地局1の複数の再送プロセスで再送処理が行われているか否か判断する。待ち合わせ部2cは、端末3からのデータを受信するとともに再送判断部2bの判断結果に基づいて基地局1と端末3との無線通信で欠落したデータの受信待ち合わせを行う。
【解決手段】受信部1aは、複数の再送プロセスによって端末3からデータを受信しおよびデータの再送処理を行う。再送実施状況取得部1bは、複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する。全体再送実施状況把握部1cは、取得された再送実施状況に基づいて複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況送信部1dは、全体再送実施状況を全体再送実施状況受信部2aに送信する。再送判断部2bは、受信された全体再送実施状況に基づいて基地局1の複数の再送プロセスで再送処理が行われているか否か判断する。待ち合わせ部2cは、端末3からのデータを受信するとともに再送判断部2bの判断結果に基づいて基地局1と端末3との無線通信で欠落したデータの受信待ち合わせを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は端末と無線通信を行う基地局、端末と無線通信を行う基地局の再送実施状況通知方法、基地局を制御する無線ネットワーク制御装置、および基地局を制御する無線ネットワーク制御装置のデータ待ち合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)移動通信システムでは、上り(端末から基地局)方向の通信速度を向上させる技術にHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)がある。
【0003】
図24は、HSUPAにおける端末−基地局−RNC(Radio Network Controller)間のプロトコルモデルを示した図である。図24に示すように端末は、RLC(Radio Link Control)レイヤ、Mac−d(Medium Access Control-dedicated channel)レイヤ、Mac−es(Mac-enhanced dedicated channel serving radio network controller)レイヤ、およびRadioレイヤを有している。基地局は、Radioレイヤ、E−DCH FP(Enhanced Dedicated Channel Frame Protocol)レイヤ、UDP(User Datagram Protocol)レイヤ、IP(Internet Protocol)レイヤ、L(Layer)2/L1レイヤを有している。RNCは、RLCレイヤ、Mac−dレイヤ、Mac−esレイヤ、E−DCH FPレイヤ、UDPレイヤ、IPレイヤ、およびL2/L1レイヤを有している。なお、端末−基地局間の無線区間のインタフェースは、Uu(The radio interface between UTRAN and the User equipment)インタフェースと呼ばれ、基地局−RNC間のインタフェースは、Iub(Interface between an RNC and a Node B)インタフェースと呼ばれる。
【0004】
図25は、端末−基地局−RNC間の上りデータ疎通例を示した図である。図25に示すデータフレーム101は、端末が他の端末に送信しようとしているデータを示す。データフレーム101は、基地局を介してRNCへ送信され、図示していないコアネットワークを介して他の端末に送信されるとする。図25に示すデータフレーム102は、端末から受信したRNCのデータフレームを示している。
【0005】
端末のRLCレイヤおよびMac−dレイヤは、データフレーム101をより短いRLCPDU(Protocol Data Unit)およびMac−dPDUに分割する。Mac−esレイヤは、Mac−dPDUを多重し、Mac−esPDUを生成する。端末は、無線区間を介して、Mac−esPDUを基地局に送信する。
【0006】
基地局のE−DCH FPレイヤは、端末から受信したMac−esPDUを元にE−DCHフレームを生成する。基地局は、E−DCHフレームをRNCに送信する。
RNCのE−DCH FPレイヤは、基地局から受信したE−DCHフレームからMac−esPDUを取り出す。Mac−esレイヤ、Mac−dレイヤ、およびRLCレイヤは、Mac−esPDUからMac−dPDUおよびRLCPDUを取り出し、データフレーム102を再生する。このようにして、端末のデータフレーム101は、RNCに送信される。
【0007】
端末−基地局間の無線区間では、複数のHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)プロセスが動作し、上りのデータレートの向上を図っている。
図26は、HARQプロセスを説明する図である。図26に示すように端末と基地局では、複数のHARQプロセス111a〜111n,112a〜112nが動作している。複数のHARQプロセス111a〜111n,112a〜112nは、振り分けられたデータをそれぞれ独立して送信および到達確認をし、データ送信が失敗した場合、規定回数内においてデータの再送処理を行う。
【0008】
HARQプロセス111a〜111n,112a〜112nは、それぞれ独立して動作しているため、端末でのデータ送信順序が基地局では保証されない仕組みとなっている。そのため、端末は、Mac−esPDU単位でシーケンスナンバ(以下、TSN)を付与し、Mac−esPDUを終端するRNCが、TSNに基づいてデータの並び替え処理(リオーダリング処理)を行って端末の送信したデータの順序を保証している。
【0009】
例えば、Mac−esPDUは、TSN=0,1,2の昇順に基地局に送信されなければならないとする。HARQプロセス111a〜111n,112a〜112bは、それぞれ独立して動作しているため、HARQプロセス111a〜111n,112a〜112bに振り分けられたMac−esPDUは、TSN=0,2,1の順に基地局に送信される場合がある。この場合でも、RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理によって、データの送信順序は保証される。
【0010】
図27は、RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理を説明する図である。図27には、リオーダリング処理の時系列が示してある。図27に示す時間軸tは、Mac−esレイヤの処理の時間経過を示す。図27に示すバッファ121は、Mac−esレイヤがMac−esPDUをリオーダリングするためのバッファを示している。
【0011】
Mac−esレイヤは、例えば、図27に示すバッファ121の‘0’〜‘5’のそれぞれに、TSN=0〜5のMac−esPDUを順に格納する。例えば、基地局が端末からTSN=0,1,2の順にMac−esPDUを受信したとする。この場合、RNCのMac−esレイヤは、TSN=0のMac−esPDUをバッファ121の‘0’に格納し、TSN=1のMac−esPDUをバッファ121の‘1’に格納し、TSN=2のMac−esPDUをバッファ121の‘2’に格納する。これにより、Mac−esPDUは、バッファ121にてTSN=0,1,2の順に格納され、送信順序が保証されることになる。
【0012】
RNCのMac−esレイヤは、TSNの欠落を検出した場合、HARQの再送によるデータ救済を期待して、一定時間の待ち合わせを行う。例えば、図27に示すように、RNCのMac−esレイヤは、TSN=0,1のMac−esPDUを基地局から受信したとする。Mac−esレイヤは、TSN=0,1のMac−esPDUをバッファ121の‘0’,‘1’に格納する。TSN=0,1は、期待通りの受信(TSNの抜けのない受信)なので、Mac−dレイヤおよびRLCレイヤに出力される。
【0013】
次いで、TSN=2のMac−esPDUは、無線区間にて送信に失敗し、Mac−esレイヤは、TSN=3,4のMac−esPDUを受信したとする。この場合、Mac−esレイヤは、TSN=3,4のMac−esPDUをバッファ121の‘3’,‘4’に格納し、待ち合わせタイマを起動する。すなわち、Mac−esレイヤは、無線区間でのHARQによるTSN=2のMac−esPDUの再送を期待して一定の待ち合わせを行う。なお、図27の時間軸tに示す三角形は、Mac−esPDUの待ち合わせタイマの時間経過(例えば、カウント値)を示し、t=t1で待ち合わせタイマは満了(例えば、カウント値=0)するとする。
【0014】
待ち合わせタイマが満了する前に、TSN=2のMac−esPDUがHARQによって再送された場合、Mac−esレイヤは、TSN=2のMac−esPDUをバッファ121の‘2’に格納する。これにより、端末の送信データの送信順序が保証される。
【0015】
一方、TSN=2のMac−esPDUを受信することなく待ち合わせタイマが満了した場合(時間t1を経過した場合)は、Mac−esレイヤは、HARQの再送処理が失敗したと判断し、次のTSNのMac−esPDUの受信を待つことになる。なお、受信できなかったTSN=2のMac−esPDUのデータは、上位のRLCレイヤによって再送処理が行われる。
【0016】
なお、データパケットを適切な順序で受信するために該データパケットにシーケンス番号を関連付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2007−522780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、RNCのMac−esレイヤは、無線区間のHARQの再送実施状況に関係なく、Mac−esPDUのタイマ待ち合わせを行う。そのため、すでに規定回数のHARQの再送処理が行われ、HARQのデータ再送が期待できない場合であっても、Mac−esPDUの受信待ちを行い、データ処理が遅延するという問題点があった。
【0019】
例えば、図27において、待ち合わせタイマが満了する前に(t=t1を経過する前に)、TSN=2のMac−esPDUのHARQの再送処理が規定回数行われたとする。この場合、HARQによるデータ再送は行われることがないにも関わらず、Mac−esレイヤは、t=t1が経過するまで、TSN=2のMac−esPDUの受信待ちを行う。その結果、上位のMac−dレイヤおよびRLCレイヤのデータ処理に遅延が発生する。
【0020】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、無線ネットワーク制御装置での受信データの処理遅延を低減できる基地局および無線ネットワーク制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、端末と無線通信を行う基地局が提供される。この基地局は、複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う受信部と、前記受信部の前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する再送実施状況取得部と、前記再送実施状況取得部によって取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する全体再送実施状況把握部と、前記全体再送実施状況把握部によって把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する全体再送実施状況送信部と、を有する。
【0022】
また、上記課題を解決するために、基地局を制御する無線ネットワーク制御装置が提供される。この無線ネットワーク制御装置は、前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信する全体再送実施状況受信部と、前記全体再送実施状況受信部によって受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する再送判断部と、前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに前記再送判断部の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う待ち合わせ部と、を有する。
【発明の効果】
【0023】
開示の基地局および無線ネットワーク制御装置によれば、無線ネットワーク制御装置での受信データの処理遅延を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】基地局と無線ネットワーク制御装置を示した図である。
【図2】移動通信システムを示した図である。
【図3】端末、基地局、およびRNCのブロック図を示した図である。
【図4】基地局の詳細なブロック図である。
【図5】再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図6】HARQ再送回数記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図7】前全体再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図8】E−DCHフレームのフレームフォーマットを示した図である。
【図9】基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
【図10】基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
【図11】基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
【図12】基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
【図13】RNCの詳細なブロック図である。
【図14】E−DCHフレーム受信部の動作を示したフローチャートである。
【図15】リオーダリング処理部の動作を示したフローチャートである。
【図16】HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。
【図17】HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。
【図18】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図19】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図20】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図21】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図22】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図23】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図24】HSUPAにおける端末−基地局−RNC間のプロトコルモデルを示した図である。
【図25】端末−基地局−RNC間の上りのデータ疎通例を示した図である。
【図26】HARQプロセスを説明する図である。
【図27】RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、基地局と無線ネットワーク制御装置を示した図である。図1に示すように、基地局1は、受信部1a、再送実施状況取得部1b、全体再送実施状況把握部1c、および全体再送実施状況送信部1dを有している。無線ネットワーク制御装置2は、全体再送実施状況受信部2a、再送判断部2b、および待ち合わせ部2cを有している。図1には、基地局1および無線ネットワーク制御装置2を介して他の端末にデータを送信する端末3も示してある。
【0026】
基地局1の受信部1aは、例えば、図26に示したように、複数の再送プロセスを動作させ、複数の再送プロセスによって端末3からデータを受信しおよびデータの再送処理を行う。
【0027】
再送実施状況取得部1bは、受信部1aの複数の再送プロセスごとにおいて、再送処理の再送実施状況を取得する。例えば、受信部1aで8個の再送プロセスが動作している場合、再送実施状況取得部1bは、8個の再送プロセスのそれぞれにおいて、再送処理が行われているか否か取得する。
【0028】
全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況取得部1bによって取得された再送実施状況に基づいて、複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。例えば、全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況取得部1bによって取得された再送実施状況が1個でも再送処理を行っていることを示している場合、複数の再送プロセスの全体において再送処理が行われていると把握する。一方、全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況の全部が再送処理を行っていないことを示している場合、複数の再送プロセスの全体において再送処理が行われていないと把握する。
【0029】
全体再送実施状況送信部1dは、全体再送実施状況把握部1cによって把握された全体再送実施状況を、基地局1を制御する無線ネットワーク制御装置2に送信する。
無線ネットワーク制御装置2の全体再送実施状況受信部2aは、基地局1の全体再送実施状況送信部1dから送信される全体再送実施状況を受信する。
【0030】
再送判断部2bは、全体再送実施状況受信部2aによって受信された全体再送実施状況に基づいて、基地局1において複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する。
【0031】
待ち合わせ部2cは、基地局1を介して端末3から送信されるデータを受信するとともに、再送判断部2bの判断結果に基づいて、端末3と基地局1との無線通信で欠落したデータの受信待ち合わせを行う。例えば、待ち合わせ部2cは、再送判断部2bが全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3とが再送処理を行っていると判断した場合、欠落したデータの再送を期待して、そのデータの待ち合わせを行う。一方、待ち合わせ部2cは、再送判断部2bが全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3とが再送処理を行っていないと判断した場合、欠落したデータの再送は期待できないとし、待ち合わせを行わないようにする。
【0032】
このように、基地局1は、複数の再送プロセスの全体における全体再送実施状況を把握し、把握した全体再送実施状況を無線ネットワーク制御装置2に送信する。無線ネットワーク制御装置2は、基地局1からの全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3との間で欠落したデータの再送処理が行われているか否か判断する。これにより、無線ネットワーク制御装置2は、基地局1と端末3との間で再送処理が行われていない欠落データの受信待ち合わせをせずに済み、データ処理の遅延を低減することができる。
【0033】
図2は、移動通信システムを示した図である。図2に示すように、基地局11は、RNC12と接続されている。RNC12は、基地局11を制御する上位装置であり、例えば、ハンドオーバ処理などを制御したりする。図2に示してないが、RNC12は、コアネットワーク(CN:Core Network)に接続されている。
【0034】
端末13は、基地局11と無線通信を行う。基地局11と端末13は、例えば、HSUPAを適用したW−CDMAの無線通信を行う。端末13は、例えば、携帯電話である。
基地局11、RNC12、および端末13は、例えば、図24に示したプロトコルモデルに基づいてデータの送受信を行う。基地局11と端末13の間では、データの受信およびデータの再送処理を行う複数の再送プロセスが動作している。例えば、図26で説明したように複数のHARQプロセスが動作している。以下では、基地局11と端末13の間には、複数のHARQプロセスが動作しているとして説明する。
【0035】
図3は、端末、基地局、およびRNCのブロック図を示した図である。図3に示すように基地局11は、データ受信部21、E−DCHフレーム生成部22、およびE−DCHフレーム送信部23を有している。RNC12は、E−DCHフレーム受信部31、リオーダリング処理部32、およびRLC処理部33を有している。端末13は、RLC処理部41、Macデータ生成部42、およびデータ送信部43を有している。
【0036】
端末13のRLC処理部41は、RLCレイヤおよびMac−dレイヤの処理を行う。RLC処理部41は、ネットワークに送信するデータフレームをより短いRLCPDUに分割し、Mac−dPDUを生成する。RLC処理部41は、データフレームをRLCPDUに分割する際、RLCPDU単位にシーケンスナンバ(以下、SN)を付与する。
【0037】
Macデータ生成部42は、Mac−esレイヤの処理を行う。Macデータ生成部42は、RLC処理部41によって生成されたMac−dPDUを多重し、Mac−esPDUを生成する。Macデータ生成部42は、無線区間でのMac−esPDUの順序逆転を補正するために、Mac−esPDU単位にTSNを付与する。
【0038】
データ送信部43は、Radioレイヤの処理を行う。データ送信部43は、複数のHARQプロセスを動作させ、基地局11との間でデータ送達確認付きのデータ送信を行う。HARQプロセスのそれぞれは、データ送信に失敗した場合、規定回数内においてデータの再送を試みる。
【0039】
基地局11のデータ受信部21は、Radioレイヤの処理を行う。データ受信部21は、複数のHARQプロセスを動作させ、端末13のデータ送信部43からのデータを受信しおよび再送処理を行う。
【0040】
データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとにおける再送処理の再送実施状況を取得する。また、データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとにおける再送処理の再送回数を取得する。また、データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとの再送実施状況に基づいて、複数のHARQプロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。例えば、全体再送実施状況は、1つでもHARQプロセスが再送処理を行っている場合、基地局11と端末13の無線通信にて再送処理が実施されていることを示す。一方、全体再送実施状況は、複数のHARQプロセスの全てが再送処理を行っていない場合、基地局11と端末13の無線通信にて再送処理が実施されていないことを示す。
【0041】
E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、L2/L1レイヤ、IPレイヤ、UDPレイヤ、およびE−DCH FPレイヤの処理を行う。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームを生成する。E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21によって受信されたMac−esPDUを周期的な送信タイミングで多重し、E−DCHフレームを生成する。また、E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21によって取得された全体再送実施状況をE−DCHフレームに含める。
【0042】
E−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレーム生成部22によって生成されたE−DCHフレームをRNC12に送信する。
RNC12のE−DCHフレーム受信部31は、L2/L1レイヤ、IPレイヤ、UDPレイヤ、およびE−DCH FPレイヤの処理を行う。E―DCHフレーム受信部31は、基地局11のE−DCHフレーム送信部23から送信されるE−DCHフレームを受信する。E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームから、Mac−esPDUを抽出する。また、E−DCHフレーム受信部31は、E−DCHフレームに含まれる全体再送実施状況を抽出する。
【0043】
リオーダリング処理部32は、Mac−esレイヤの処理を行う。リオーダリング処理部32は、E−DCHフレーム受信部31によって抽出されたMac−esPDUに付与されているTSNに基づいてリオーダリング処理を行い、Mac−dPDUを抽出する。
【0044】
リオーダリング処理部32は、TSNに基づいて、端末から送信されたMac−esPDUに欠落がないか判断する。例えば、リオーダリング処理部32は、TSN=0,1のMac−esPDUを受信して、TSN=3,4のMac−esPDUを受信した場合、TSN=2のMac−esPDUが欠落したと判断する。
【0045】
また、リオーダリング処理部32は、基地局11から送信される全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われているか判断する。リオーダリング処理部32は、全体再送実施状況に基づき、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われていると判断した場合、欠落したMac−esPDUが再送されると期待し、一定時間の受信待ち合わせを行う。一方、リオーダリング処理部32は、全体再送実施状況に基づき、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われていないと判断した場合、欠落したMac−esPDUが再送されないと判断し、一定時間の受信待ち合わせを行わない。また、リオーダリング処理部32は、一定時間の受信待ち合わせを行っている途中に、基地局11から再送処理が実施されていない旨を示す全体再送実施状況を受信した場合、待ち合わせを終了する。
【0046】
RLC処理部33は、Mac−dレイヤおよびRLCレイヤの終端処理を行い、データフレームを再生する処理を行う。RLC処理部33は、RLCPDUに付与されたSNに基づき、RLCPDUを欠落することなく受信できたか否か判断する。RLC処理部33は、RLCPDUが欠落していた場合、端末13のRLC処理部41に対して、欠落したSNのRLCPDUを再送するよう要求する。RLC処理部33は、再生したデータフレームをCNに送信する。
【0047】
図4は、基地局の詳細なブロック図である。図4に示すように、データ受信部21は、受信部21a、再送実施状況取得部21b、全体再送実施状況把握部21c、再送実施状況記憶部21d、HARQ再送回数記憶部21e、前全体再送実施状況記憶部21f、および新全体再送実施状況記憶部21gを有している。E−DCHフレーム生成部22は、フレーム生成部22a、および全体再送実施状況通知記憶部22bを有している。なお、図4の受信部21aは、図1の受信部1aに対応し、再送実施状況取得部21bは、再送実施状況取得部1bに対応し、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況把握部1cに対応し、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、全体再送実施状況送信部1dに対応する。
【0048】
データ受信部21の受信部21aは、複数のHARQプロセスを動作させている。複数のHARQプロセスは、端末13のデータ送信部43からのデータ受信に成功した場合、ACKを端末13のデータ送信部43に返信し、データの受信に失敗した場合、NACKを端末13のデータ送信部43に返信する。受信部21aは、受信したデータをE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0049】
再送実施状況取得部21bは、受信部21aで動作している複数のHARQプロセスごとにおける再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0050】
図5は、再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。図5に示すように、再送実施状況記憶部21dには、複数のHARQプロセスごとの再送実施状況が記憶される。再送実施状況記憶部21dは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0051】
受信部21aでは、例えば、8個のHARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。この場合、再送実施状況記憶部21dには、図5に示すように8個のHARQプロセス#0〜#7の再送実施状況を記憶するための8ビットの領域が8個確保される。
【0052】
例えば、図5に示すHARQプロセス#0再送実施状況の領域に‘0’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の再送実施状況は‘再送実施中’であることを示す。また、図5に示すHARQプロセス#0再送実施状況の領域に‘1’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の再送実施状況は‘再送実施なし’であることを示す。再送実施状況を記憶する領域は8ビットとしたが、1ビットであってもよい。
【0053】
図4の説明に戻る。再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスの再送処理を行った再送回数をカウントする。再送実施状況取得部21bは、カウントした再送回数をHARQ再送回数記憶部21eに記憶する。再送実施状況取得部21bは、データ再送が成功した場合、HARQ再送回数記憶部21eに記憶している再送回数をリセットする。また、再送実施状況取得部21bは、再送回数が規定回数以上になり、データ再送処理に失敗した場合、HARQ再送回数記憶部21eに記憶している再送回数をリセットする。
【0054】
図6は、HARQ再送回数記憶部のデータ構成例を示した図である。図6に示すように、HARQ再送回数記憶部21eには、複数のHARQプロセスごとの再送回数が記憶される。HARQ再送回数記憶部21eは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0055】
受信部21aでは、例えば、8個のHARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。この場合、HARQ再送回数記憶部21eには、図6に示すように8個のHARQプロセス#0〜#7の再送回数を記憶するための8ビットの領域が8個確保される。
【0056】
例えば、図6に示すHARQプロセス#0再送回数の領域に‘2’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の行った再送回数は2回であることを示す。再送回数を記憶する領域は8ビットとしたが、HARQの規定回数を記憶できる領域が確保されればよい。
【0057】
図4の説明に戻る。全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。具体的には、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、1つのHARQプロセスでも再送処理を行っている場合、複数の再送プロセス全体において再送処理が行われていると把握する。また、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、全HARQプロセスで再送処理が行われていない場合、複数の再送プロセス全体において再送処理が行われていないと把握する。
【0058】
全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況をフレーム生成部22aに出力する。また、全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gは、今回のデータ受信処理における全体再送実施状況と、前回のデータ受信処理における全体再送実施状況との差分(変化)を検出するために設けられている。なお、全体再送実施状況把握部21cの前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gに全体再送実施状況を記憶するタイミングについては、後述のフローチャートで説明する。
【0059】
図7は、前全体再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。図7に示すように、前全体再送実施状況記憶部21fには、複数のHARQプロセス全体における全体再送実施状況が記憶される。前全体再送実施状況記憶部21fは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0060】
前全体再送実施状況記憶部21fには、例えば、全体再送実施状況を記憶する8ビットの領域が1個確保される。例えば、図7の全体再送実施状況の領域に‘0’が記憶されている場合、少なくとも1以上のHARQプロセスにおいて再送処理が行われていることを示す。図7の全体再送実施状況の領域に‘1’が記憶されている場合、全HARQプロセスにおいて、再送処理が行われていないことを示す。全体再送実施状況を記憶する領域は8ビットとしたが、1ビットであってもよい。
【0061】
なお、新全体再送実施状況記憶部21gは、前全体再送実施状況記憶部21fと同じデータ構成例を有し、その説明を省略する。
図4の説明に戻る。E−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aは、データ受信部21の受信部21aによって受信された受信データ(Mac−esPDU)と、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況とを受信し、受信順にキューイングする。受信データは、再送実施状況取得部21bおよび全体再送実施状況把握部21cを経由し、全体再送実施状況は、受信データに付加される形でフレーム生成部22aに出力される。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミング(周期的)になるまで、受信データおよび全体再送実施状況をキューイングする。
【0062】
フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになると、キューイングした受信データを多重してE−DCHフレームを生成する。また、フレーム生成部22aは、キューイングした全体再送実施状況のうち、最新に受信した全体再送実施状況をE−DCHフレームに格納する。
【0063】
フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。すなわち、フレーム生成部22aは、RNC12に送信した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。全体再送実施状況通知記憶部22bのデータ構成例は、図7と同様であり、その説明を省略する。
【0064】
フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。E−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレーム生成部22aによって生成されたE−DCHフレームをRNC12に送信する。
【0065】
図8は、E−DCHフレームのフレームフォーマットを示した図である。図8に示すように、E−DCHフレーム51は、ヘッダ領域52およびペイロード領域53を有している。ペイロード領域53は、オプショナル領域53aを有している。
【0066】
フレーム生成部22aは、キューイングした受信データ、すなわち、Mac−esをE−DCHフレームのペイロード領域53に多重する。また、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況を、オプショナル領域53aのSpare Extensionに格納する。
【0067】
図9、図10は、基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
ステップS1において、受信部21aで動作しているHARQプロセスは、端末13からデータを受信する。
【0068】
ステップS2において、受信部21aは、データを受信したHARQプロセスのプロセス番号を取得する。例えば、受信部21aでは、HARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。HARQプロセス#1がデータを受信した場合、受信部21aは、プロセス番号#1を取得することになる。
【0069】
ステップS3において、HARQプロセスは、受信データに異常があるか否か判断する。HARQプロセスは、受信データに異常がある場合(受信データの再送処理を行う必要がある場合)、ステップS9へ進む。受信データに異常がない場合(受信データの再送処理を行う必要がない場合)、ステップS4へ進む。
【0070】
ステップS4において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0071】
ステップS5において、再送実施状況取得部21bは、HARQ再送回数記憶部21eの再送回数をリセットする。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて取得したプロセス番号に対応する再送回数をリセットする。
【0072】
ステップS6において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0073】
ステップS7において、受信部21aは、端末13から受信したデータをE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。また、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。
【0074】
ステップS8において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を前全体再送実施状況記憶部21fに記憶する。これにより、受信部21aが次の受信データ処理を行う場合、前全体再送実施状況記憶部21fには、前回行った受信データ処理での全体再送実施状況が記憶されていることになる。
【0075】
ステップS9において、再送実施状況取得部21bは、受信したデータの再送が規定回数行われたか否か判断する。再送実施状況取得部21bは、受信したデータの再送が規定回数行われた場合、すなわち、データ再送処理が失敗した場合、ステップS10へ進む。受信したデータの再送が規定回数行われていない場合、すなわち、データ再送処理中の場合、ステップS15へ進む。
【0076】
ステップS10において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0077】
ステップS11において、再送実施状況取得部21bは、データ再送処理を終了するので、HARQ再送回数記憶部21eの再送回数をリセットする。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて取得したプロセス番号に対応する再送回数をリセットする。
【0078】
ステップS12において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0079】
ステップS13において、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶されている全体再送実施状況と前全体再送実施状況記憶部21fに記憶されている前回の受信処理における全体再送実施状況を比較し、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化したか判断する。例えば、ステップS2にてデータを受信したHARQプロセスのみが再送処理を行っていた場合、全体再生実施状況は、‘再送あり’から‘再送なし’に変化する。ステップS2にてデータを受信したHARQプロセス以外も再送処理を行っている場合、全体再生実施状況は、‘再送あり’から‘再送なし’に変化しない。
【0080】
全体再送実施状況把握部21cは、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化した場合、ステップS14へ進む。すなわち、複数のHARQプロセスの全てが再送処理を行っていない状態になった場合、ステップS14へ進む。全体再送実施状況把握部21cは、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化しない場合、ステップS8へ進む。
【0081】
ステップS14において、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。なお、全体再生実施状況に差分が生じた場合のみ、全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力するのは、同じ全体再生実施状況の出力処理を抑制し、処理の低減を図るためである。
【0082】
ステップS15において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0083】
ステップS16において、再送実施状況取得部21bは、HARQ再送回数記憶部21eのHARQ再送回数に1を加算する。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて受信部21aが取得したプロセス番号に対応するHARQ再送回数に1を加算する。
【0084】
ステップS17において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0085】
なお、ステップS3からステップS9へ進む処理は、受信したデータに異常が発生している場合である。従って、ステップS9以降のルートでは、ステップS7のように受信部21aが端末13から受信したデータをE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する処理はない。
【0086】
図11、図12は、基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
ステップS21において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになったか否か判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになった場合、ステップS24へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになっていない場合、ステップS22へ進む。
【0087】
ステップS22において、フレーム生成部22aは、受信部21aから出力される受信データを受信する。また、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況を受信する。
【0088】
ステップS23において、フレーム生成部22aは、受信部21aから受信した受信データおよび全体再送実施状況把握部21cから受信した全体再送実施状況を受信した順にキューイングする。
【0089】
ステップS24において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況があるか否か判断する。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がない場合、ステップS34へ進む。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がある場合、ステップS25へ進む。
【0090】
なお、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がない場合とは、RNC12に送信するデータを端末13から受信せず、全体再送実施状況が全体再送実施状況把握部21cから出力されなかった場合である。または、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況を全てE−DCHフレームに格納した場合である。
【0091】
ステップS25において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがE−DCHフレームに多重可能であるか判断する。フレーム生成部22aは、受信データがE−DCHフレームに多重可能である場合、ステップS26へ進む。フレーム生成部22aは、受信データがE−DCHフレームに多重不可能である場合、ステップS31へ進む。
【0092】
なお、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データのTSNが連番でない場合、受信データの多重は不可能と判断する。E−DCHフレームには、連番のTSNのMac−esPDUが多重されるからである。フレーム生成部22aは、ステップS25の処理により、TSNが連番する範囲で受信データをE−DCHフレームに多重することになる。
【0093】
ステップS26において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームを生成する。なお、フレーム生成部22aは、すでにE−DCHフレームを生成している場合、E−DCHフレームを生成しない。
【0094】
ステップS27において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがあるかないか判断する。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがない場合、ステップS29へ進む。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがある場合、ステップS28へ進む。
【0095】
ステップS28において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データをE−DCHフレームのペイロード領域に格納(多重)する。
ステップS29において、フレーム生成部22aは、キューイングした全体再送実施状況をE−DCHフレームのオプショナル領域のSpare Extensionに格納する。なお、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況を複数キューイングしている場合、オプショナル領域のSpare Extensionを上書きして全体再送実施状況を格納する。従って、オプショナル領域のSpare Extensionには、最新の全体再送実施状況が格納される。
【0096】
ステップS30において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した受信データまたは全体再送実施状況をデキューする。フレーム生成部22aは、ステップS24の処理へ進む。
【0097】
ステップS31において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されているかまたは全体再送実施状況に差分があるか判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されている場合または全体再送実施状況に差分がある場合、ステップS32へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されておらずかつ全体再送実施状況に差分がない場合、ステップS26へ進む。
【0098】
なお、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納されている最新の全体再送実施状況と、全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶されている全体再送実施状況と比較して、全体再送実施状況の差分を検出する。
【0099】
ステップS32において、フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。これにより、E−DCHフレームは、RNC12に送信される。
【0100】
ステップS33において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。
ステップS34において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されているかまたは全体再送実施状況に差分があるか判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されている場合または全体再送実施状況に差分がある場合、ステップS35へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されておらずかつ全体再送実施状況に差分がない場合、処理を終了する。この場合、RNC12には、何も送信されない。
【0101】
ステップS35において、フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。これにより、E−DCHフレームは、RNC12に送信される。
【0102】
ステップS36において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。
次に、RNC12について説明する。図13は、RNCの詳細なブロック図である。図13に示すように、リオーダリング処理部32は、再送判断部32a、リオーダリング部32b、バッファ32c、およびデータ出力部32dを有している。なお、図13のE−DCHフレーム受信部31は、図1の全体再送実施状況受信部2aに対応し、再送判断部32aは、再送判断部2bに対応し、リオーダリング部32bは、待ち合わせ部2cに対応する。
【0103】
E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信する。E−DCHフレーム受信部31は、E−DCHフレームに含まれているMac−esPDUおよび全体再送実施状況を抽出し、リオーダリング処理部32に出力する。
【0104】
リオーダリング処理部32の再送判断部32aは、E−DCHフレーム受信部31で抽出された全体再送実施状況を受信する。再送判断部32aは、受信した全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているか判断する。
【0105】
リオーダリング部32bは、E−DCHフレーム受信部31で抽出されたMac−esPDUを受信する。リオーダリング部は、受信データ(Mac−esPDU)に付与されているTSNに基づいて受信データをリオーダリングし、バッファ32cに記憶する。
【0106】
リオーダリング部32bは、例えば、受信データのTSNとバッファ32cのアドレスと対応させて、受信データをバッファ32cに記憶する。具体的には、リオーダリング部32bは、TSN=0,1,2,3の順に受信データを受信した場合、それぞれの受信データをバッファ32cのアドレス=10,11,12,13に対応させて記憶する。また、リオーダリング部32bは、TSN=2の受信データを欠落し、TSN=0,1,3,4の受信データを受信した場合、バッファ32cのアドレス=10,11,13,14に対応させて受信データを記憶する。これにより、受信データは、リオーダリングされて(TSNの順に)バッファ32cに記憶されることになる。
【0107】
リオーダリング部32bは、再送判断部32aの判断結果に基づいて、欠落した受信データの受信待ち合わせを行う。例えば、リオーダリング部32bは、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせをせず、受信データをRLC処理部33に出力する。一方、リオーダリング部32bは、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていると判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせを行う。また、リオーダリング部32bは、受信データの受信待ち合わせを行っている途中に、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせを終了し、受信データをRLC処理部33に出力する。
【0108】
データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
図14は、E−DCHフレーム受信部の動作を示したフローチャートである。
【0109】
ステップS41において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信する。
ステップS42において、E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームからMac−esPDUを抽出する。
【0110】
ステップS43において、E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームから全体再送実施状況を抽出する。
ステップS44において、E−DCHフレーム受信部31は、抽出したMac−esPDUおよび全体再送実施状況をリオーダリング処理部32に出力する。
【0111】
図15は、リオーダリング処理部の動作を示したフローチャートである。
ステップS51において、リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトしたか否か判断する。リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトした場合、ステップS59へ進む。リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトしていない場合、ステップS52へ進む。
【0112】
ステップS52において、リオーダリング部32bは、E−DCHフレーム受信部31から受信データを受信し、バッファ32cに記憶する。なお、リオーダリング部32bは、受信データがない場合、受信データの受信処理をスキップする。
【0113】
ステップS53において、リオーダリング部32bは、TSNに基づいて、受信データに欠落があるか否か判断する。リオーダリング部32bは、受信データに欠落がない場合、ステップS58へ進む。リオーダリング部32bは、受信データに欠落がある場合、ステップS54へ進む。
【0114】
ステップS54において、再送判断部32aは、E−DCHフレーム受信部31から受信した全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているか判断する。再送判断部32aは、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断した場合、ステップS56へ進む。再送判断部32aは、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていると判断した場合、ステップS55へ進む。
【0115】
ステップS55において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ち合わせを行う。
ステップS56において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ちを終了する。なお、ステップS54からステップS56へのルートは、受信データの欠落があり、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないので、欠落した受信データの再送が期待できず、待ち合わせを終了するルートである。
【0116】
ステップS57において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
ステップS58において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
【0117】
ステップS59において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ちを終了する。なお、ステップS51からステップS59へのルートは、受信データの欠落があり、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているが、待ち合わせ時間を満了したルートである。
【0118】
ステップS60において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
図16、図17は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。図16、図17では、HARQの再送でTSNが逆転しない場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図16のステップS75,S81,S82,S85に示すように、TSNが順にインクリメントされた場合の動作シーケンスが示してある。
【0119】
なお、図16、図17中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図16、図17中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0120】
ステップS71において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するMac−esPDU(以下、データ)を受信する。
ステップS72において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=0、SN=0が付与されているとする。
【0121】
ステップS73において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。なお、全体再送実施状況‘1’は、複数のHARQプロセスの全てにおいて再送処理が行われていないことを示し、全体再送実施状況‘0’は、複数のHARQプロセスの何れかにおいて再送処理が行われていることを示す。
【0122】
ステップS74において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS75において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=1、SN=1が付与されているとする。
【0123】
ステップS76において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0124】
ステップS77において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=0,1のデータを多重し、全体再送実施状況‘1’を格納する。
【0125】
ステップS78において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=0,1のデータおよび全体再送実施状況を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0126】
ステップS79において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=0のデータをバッファ32cのアドレス=0に記憶し、受信したTSN=1のデータをバッファ32cのアドレス=1に記憶する。なお、リオーダリング処理部32は、TSN抜けを検出していないので、データの待ち合わせを行わない。リオーダリング部32は、TSN抜けが発生し、待ち合わせを実施するような状況となったとき、全体再送実施状況を確認して待ち合わせの判断を行う。
【0127】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=0,1のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=0のRLCPDUをバッファのアドレス=0に記憶し、SN=1のRLCPDUをバッファのアドレス=1に記憶する。
【0128】
ステップS80において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS81において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=2、SN=2が付与されているとする。データの無線送信は、失敗したとする。
【0129】
なお、基地局11のデータ受信部21は、データ受信の失敗により、全体再送実施状況‘0’を把握するが、E−DCHフレーム生成部22には出力しない(図10のルートR4)。
【0130】
ステップS82において、データ送信部43は、無線送信に失敗したデータの再送を行う。なお、HARQの再送の規定回数は、1回とする。従って、TSN=2、SN=2のデータの再送は、ステップS82の再送処理で終了する。
【0131】
ステップS83において、データ受信部21は、HARQの再送処理が規定回数行われ、全体再送実施状況が‘0’から‘1’に変化するので、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する(図10のルートR2)。
【0132】
なお、E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21から受信した全体再送実施状況‘1’と、RNC12に前回送信した全体再送実施状況‘1’(ステップS77)とに変化がなく、RNC12に送信するデータもないので、送信タイミングになっても全体再送実施状況‘1’をRNC12に送信しない(図12のルートR2,R4,R8)。
【0133】
ステップS84〜S91の処理は、ステップS71〜S78の処理と同様であり、その説明を省略する。ただし、ステップS84〜S91では、TSN=3,4(SN=3,4)のデータがRNC12に送信されるとする。
【0134】
ステップS92において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータを受信せず、TSN=3のデータを受信しているが、TSN=2の受信待ち合わせを行わない。全体再送実施状況が‘1’であり、端末13と基地局11との間で再送処理が行われておらず、TSN=2の再送は期待できないからである。
【0135】
リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=3のデータをバッファ32cのアドレス=3に記憶し、受信したTSN=4のデータをバッファ32cのアドレス=4に記憶する。リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータ(再送に失敗したデータ)を記憶すべきバッファ32cのアドレス=2を使用済みとする。
【0136】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=3,4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶し、SN=4のRLCPDUをバッファのアドレス=4に記憶する。
【0137】
ステップS93において、RLC処理部33は、端末13のRLC処理部41に対し、未受信のSN=2のRLCPDUの再送処理を要求する。
ステップS94において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から未送信のSN=2のデータを受信する。データには、TSN=5が付与されているとする。
【0138】
ステップS95において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。
ステップS96において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0139】
ステップS97において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=5(SN=2)のデータを格納し、全体再送実施状況‘1’を格納する。
【0140】
ステップS98において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=5のデータおよび全体再送実施状況を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0141】
ステップS99において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=5のデータをバッファ32cのアドレス=5に記憶する。
【0142】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=5のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、SN=2のRLCPDUを、例えば、バッファのアドレス=2に記憶する。
【0143】
図18〜図20は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。図18〜図20では、HARQの再送でTSNが逆転し、再送失敗後にデータ転送がある場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図18、図19のステップS111,S113,S117に示すように、TSNに逆転が発生している。また、図19のステップS120に示すように、TSN=2の再送失敗後に、TSN=4(SN=4)のデータ転送を行っている。
【0144】
なお、図18〜図20中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図18〜図20中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0145】
ステップS101〜S109の処理は、図16のステップS71〜S79と同様の処理であり、その説明を省略する。
ステップS110において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
【0146】
ステップS111において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=2、SN=2が付与されているとする。データの無線送信は、失敗したとする。
【0147】
なお、基地局11のデータ受信部21は、データ受信の失敗により、全体再送実施状況‘0’を把握するが、E−DCHフレーム生成部22には出力しない(図10のルートR4)。
【0148】
ステップS112において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS113において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=3、SN=3が付与されているとする。
【0149】
ステップS114において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘0’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。なお、ステップS111によるデータ送信の失敗により、全体再送実施状況は‘0’となる。
【0150】
ステップS115において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=3のデータを格納し、全体再送実施状況‘0’を格納する。
【0151】
ステップS116において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=3のデータおよび全体再送実施状況‘0’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0152】
リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=3のデータをバッファ32cのアドレス=3に記憶する。
【0153】
なお、リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータの受信を欠落し、全体再送実施状況が‘0’(再送処理中)なので、TSN=2の再送を期待してデータの待ち合わせを行う(図15のルートR1)。
【0154】
ステップS117において、データ送信部43は、TSN=2のデータの再送を行う。データの再送は、失敗したとする。
ステップS118において、データ受信部21は、HARQの再送処理が規定回数(1)行われ、全体再送実施状況が‘0’から‘1’に変化するので、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する(図10のルートR2)。
【0155】
ステップS119において、データ送信部43は、Macデータ生成部からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS120において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=4、SN=4が付与されているとする。
【0156】
ステップS121において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0157】
ステップS122において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=4のデータを格納し、全体再送実施状況‘1’を格納する(図12のルートR2,R4,R2,R3,R7)。
【0158】
ステップS123において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=4のデータおよび全体再送実施状況‘1’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0159】
リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=4のデータをバッファ32cのアドレス=4に記憶する。
【0160】
なお、リオーダリング処理部32は、ステップS116の処理により、欠落したTSN=2のデータの受信待ちを行っている。リオーダリング処理部32は、ステップS123にて全体再送実施状況‘1’受信したことにより、TSN=2の再送は期待できなと判断し、待ち合わせを終了する(図15のルートR2)。
【0161】
ステップS124において、リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=3,4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶し、SN=4のRLCPDUをバッファのアドレス=4に記憶する。
【0162】
ステップS125〜S131の処理は、図17で説明したステップS93〜S99と同様であり、その説明を省略する。
図21〜図23は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。図21〜図23では、HARQの再送でTSNが逆転し、再送失敗後にデータ転送がない場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図21、図22のステップS151,S153,S157に示すように、TSNに逆転が発生している。また、図23のステップS164に示すように、TSN=2の再送失敗後に、SN=2の再送を行っているだけで、新たなデータ転送は行われていない。
【0163】
なお、図21〜図23中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図21〜図23中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0164】
ステップS141〜S158の処理は、図18、図19に示したステップS101〜S118と同様であり、その説明を省略する。
ステップS159において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21からデータを受信しておらず、E−DCHフレームに全体再送実施状況‘1’のみを格納する(図12のルートR2,R4,R7)。
【0165】
ステップS160において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、全体再送実施状況‘1’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0166】
リオーダリング処理部32は、ステップS156の処理により、欠落したTSN=2のデータの受信待ちを行っている。リオーダリング処理部32は、ステップS160にて全体再送実施状況‘1’受信したことにより、TSN=2の再送は期待できなと判断し、待ち合わせを終了する(図15のルートR2)。
【0167】
ステップS161において、リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶する。
【0168】
ステップS162〜S168の処理は、図19、図20で説明したステップS125〜S131の処理と同様であり(ただし、TSN=4)、その説明を省略する。
このように、基地局11は、複数のHARQプロセスの全体における全体再送実施状況を把握し、把握した全体再送実施状況をRNC12に送信する。RNC12は、基地局11からの全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で欠落したデータの再送処理が行われているか否か判断する。これにより、RNC12は、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていない欠落データの待ち合わせをせずに済み、データ処理の遅延の低減することができる。
【0169】
また、全体再送実施状況把握部21cは、例えば、図10のステップS9に示すように、データの再送処理が再送プロセスによって規定回数行われた場合、ステップS13に示すように、再送処理が規定回数行われる前の前全体再送実施状況記憶部21fに記憶された全体再送実施状況と、再送処理が規定回数行われた後の新全体再送実施状況記憶部21gに記憶された全体再送実施状況とを比較する。そして、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況が再送ありから再送なしに変化した場合、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。すなわち、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況に変化がない場合、全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力しない。これにより、処理の低減を図ることができる。
【0170】
また、全体再送実施状況は、データを送信するE−DCHフレームのSpare Extensionに含められて送信されることにより、基地局11とRNC12との間のスループット低下を抑制することができる。
【0171】
また、RNC12は、欠落したデータの待ち合わせを行っていても、基地局11から再送処理が行われていない旨の全体再送実施状況を受信した場合、その欠落したデータの待ち合わせを終了するので、データ処理の遅延を低減することができる。
【0172】
また、E−DCHフレーム送信部23は、RNC12に送信する端末13のデータがなく、前回RNC12に送信した全体再送実施状況と今回RNC12に送信する全体再送実施状況とに変化がない場合、E−DCHフレームをRNC12に送信しない。これにより、基地局11とRNC12との間のスループット低下を抑制することができる。
【0173】
また、無線区間の送信電力を抑えたシステム運用では、データ欠落の頻度が高くなり、RNC12の欠落データの待ち合わせも多くなる。しかし、基地局11およびRNC12では、無線区間の送信電力を抑えた運用でも、欠落データの待ち合わせを抑制し、データ処理の遅延を抑制することができる。
【0174】
さらに、RLC処理部33は、リオーダリング処理部32がデータの待ち合わせを行っている間、欠落しているSNのデータの再送要求を行うことができない。この場合、RLC処理部33は、欠落しているSNのデータを受信するまで、バッファのデータを維持しておかなければならない。このため、待ち合わせ時間が長くなるほど、バッファを確保する時間も長くなり、RLC処理部のバッファ枯渇の原因にもなる。しかし、基地局11およびRNC12では、無駄な欠落データの待ち合わせを抑制するので、バッファ枯渇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0175】
1 基地局
1a 受信部
1b 再送実施状況取得部
1c 全体再送実施状況把握部
1d 全体再送実施状況送信部
2 無線ネットワーク制御装置
2a 全体再送実施状況受信部
2b 再送判断部
2c 待ち合わせ部
【技術分野】
【0001】
本件は端末と無線通信を行う基地局、端末と無線通信を行う基地局の再送実施状況通知方法、基地局を制御する無線ネットワーク制御装置、および基地局を制御する無線ネットワーク制御装置のデータ待ち合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)移動通信システムでは、上り(端末から基地局)方向の通信速度を向上させる技術にHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)がある。
【0003】
図24は、HSUPAにおける端末−基地局−RNC(Radio Network Controller)間のプロトコルモデルを示した図である。図24に示すように端末は、RLC(Radio Link Control)レイヤ、Mac−d(Medium Access Control-dedicated channel)レイヤ、Mac−es(Mac-enhanced dedicated channel serving radio network controller)レイヤ、およびRadioレイヤを有している。基地局は、Radioレイヤ、E−DCH FP(Enhanced Dedicated Channel Frame Protocol)レイヤ、UDP(User Datagram Protocol)レイヤ、IP(Internet Protocol)レイヤ、L(Layer)2/L1レイヤを有している。RNCは、RLCレイヤ、Mac−dレイヤ、Mac−esレイヤ、E−DCH FPレイヤ、UDPレイヤ、IPレイヤ、およびL2/L1レイヤを有している。なお、端末−基地局間の無線区間のインタフェースは、Uu(The radio interface between UTRAN and the User equipment)インタフェースと呼ばれ、基地局−RNC間のインタフェースは、Iub(Interface between an RNC and a Node B)インタフェースと呼ばれる。
【0004】
図25は、端末−基地局−RNC間の上りデータ疎通例を示した図である。図25に示すデータフレーム101は、端末が他の端末に送信しようとしているデータを示す。データフレーム101は、基地局を介してRNCへ送信され、図示していないコアネットワークを介して他の端末に送信されるとする。図25に示すデータフレーム102は、端末から受信したRNCのデータフレームを示している。
【0005】
端末のRLCレイヤおよびMac−dレイヤは、データフレーム101をより短いRLCPDU(Protocol Data Unit)およびMac−dPDUに分割する。Mac−esレイヤは、Mac−dPDUを多重し、Mac−esPDUを生成する。端末は、無線区間を介して、Mac−esPDUを基地局に送信する。
【0006】
基地局のE−DCH FPレイヤは、端末から受信したMac−esPDUを元にE−DCHフレームを生成する。基地局は、E−DCHフレームをRNCに送信する。
RNCのE−DCH FPレイヤは、基地局から受信したE−DCHフレームからMac−esPDUを取り出す。Mac−esレイヤ、Mac−dレイヤ、およびRLCレイヤは、Mac−esPDUからMac−dPDUおよびRLCPDUを取り出し、データフレーム102を再生する。このようにして、端末のデータフレーム101は、RNCに送信される。
【0007】
端末−基地局間の無線区間では、複数のHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)プロセスが動作し、上りのデータレートの向上を図っている。
図26は、HARQプロセスを説明する図である。図26に示すように端末と基地局では、複数のHARQプロセス111a〜111n,112a〜112nが動作している。複数のHARQプロセス111a〜111n,112a〜112nは、振り分けられたデータをそれぞれ独立して送信および到達確認をし、データ送信が失敗した場合、規定回数内においてデータの再送処理を行う。
【0008】
HARQプロセス111a〜111n,112a〜112nは、それぞれ独立して動作しているため、端末でのデータ送信順序が基地局では保証されない仕組みとなっている。そのため、端末は、Mac−esPDU単位でシーケンスナンバ(以下、TSN)を付与し、Mac−esPDUを終端するRNCが、TSNに基づいてデータの並び替え処理(リオーダリング処理)を行って端末の送信したデータの順序を保証している。
【0009】
例えば、Mac−esPDUは、TSN=0,1,2の昇順に基地局に送信されなければならないとする。HARQプロセス111a〜111n,112a〜112bは、それぞれ独立して動作しているため、HARQプロセス111a〜111n,112a〜112bに振り分けられたMac−esPDUは、TSN=0,2,1の順に基地局に送信される場合がある。この場合でも、RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理によって、データの送信順序は保証される。
【0010】
図27は、RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理を説明する図である。図27には、リオーダリング処理の時系列が示してある。図27に示す時間軸tは、Mac−esレイヤの処理の時間経過を示す。図27に示すバッファ121は、Mac−esレイヤがMac−esPDUをリオーダリングするためのバッファを示している。
【0011】
Mac−esレイヤは、例えば、図27に示すバッファ121の‘0’〜‘5’のそれぞれに、TSN=0〜5のMac−esPDUを順に格納する。例えば、基地局が端末からTSN=0,1,2の順にMac−esPDUを受信したとする。この場合、RNCのMac−esレイヤは、TSN=0のMac−esPDUをバッファ121の‘0’に格納し、TSN=1のMac−esPDUをバッファ121の‘1’に格納し、TSN=2のMac−esPDUをバッファ121の‘2’に格納する。これにより、Mac−esPDUは、バッファ121にてTSN=0,1,2の順に格納され、送信順序が保証されることになる。
【0012】
RNCのMac−esレイヤは、TSNの欠落を検出した場合、HARQの再送によるデータ救済を期待して、一定時間の待ち合わせを行う。例えば、図27に示すように、RNCのMac−esレイヤは、TSN=0,1のMac−esPDUを基地局から受信したとする。Mac−esレイヤは、TSN=0,1のMac−esPDUをバッファ121の‘0’,‘1’に格納する。TSN=0,1は、期待通りの受信(TSNの抜けのない受信)なので、Mac−dレイヤおよびRLCレイヤに出力される。
【0013】
次いで、TSN=2のMac−esPDUは、無線区間にて送信に失敗し、Mac−esレイヤは、TSN=3,4のMac−esPDUを受信したとする。この場合、Mac−esレイヤは、TSN=3,4のMac−esPDUをバッファ121の‘3’,‘4’に格納し、待ち合わせタイマを起動する。すなわち、Mac−esレイヤは、無線区間でのHARQによるTSN=2のMac−esPDUの再送を期待して一定の待ち合わせを行う。なお、図27の時間軸tに示す三角形は、Mac−esPDUの待ち合わせタイマの時間経過(例えば、カウント値)を示し、t=t1で待ち合わせタイマは満了(例えば、カウント値=0)するとする。
【0014】
待ち合わせタイマが満了する前に、TSN=2のMac−esPDUがHARQによって再送された場合、Mac−esレイヤは、TSN=2のMac−esPDUをバッファ121の‘2’に格納する。これにより、端末の送信データの送信順序が保証される。
【0015】
一方、TSN=2のMac−esPDUを受信することなく待ち合わせタイマが満了した場合(時間t1を経過した場合)は、Mac−esレイヤは、HARQの再送処理が失敗したと判断し、次のTSNのMac−esPDUの受信を待つことになる。なお、受信できなかったTSN=2のMac−esPDUのデータは、上位のRLCレイヤによって再送処理が行われる。
【0016】
なお、データパケットを適切な順序で受信するために該データパケットにシーケンス番号を関連付ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特表2007−522780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、RNCのMac−esレイヤは、無線区間のHARQの再送実施状況に関係なく、Mac−esPDUのタイマ待ち合わせを行う。そのため、すでに規定回数のHARQの再送処理が行われ、HARQのデータ再送が期待できない場合であっても、Mac−esPDUの受信待ちを行い、データ処理が遅延するという問題点があった。
【0019】
例えば、図27において、待ち合わせタイマが満了する前に(t=t1を経過する前に)、TSN=2のMac−esPDUのHARQの再送処理が規定回数行われたとする。この場合、HARQによるデータ再送は行われることがないにも関わらず、Mac−esレイヤは、t=t1が経過するまで、TSN=2のMac−esPDUの受信待ちを行う。その結果、上位のMac−dレイヤおよびRLCレイヤのデータ処理に遅延が発生する。
【0020】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、無線ネットワーク制御装置での受信データの処理遅延を低減できる基地局および無線ネットワーク制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、端末と無線通信を行う基地局が提供される。この基地局は、複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う受信部と、前記受信部の前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する再送実施状況取得部と、前記再送実施状況取得部によって取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する全体再送実施状況把握部と、前記全体再送実施状況把握部によって把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する全体再送実施状況送信部と、を有する。
【0022】
また、上記課題を解決するために、基地局を制御する無線ネットワーク制御装置が提供される。この無線ネットワーク制御装置は、前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信する全体再送実施状況受信部と、前記全体再送実施状況受信部によって受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する再送判断部と、前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに前記再送判断部の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う待ち合わせ部と、を有する。
【発明の効果】
【0023】
開示の基地局および無線ネットワーク制御装置によれば、無線ネットワーク制御装置での受信データの処理遅延を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】基地局と無線ネットワーク制御装置を示した図である。
【図2】移動通信システムを示した図である。
【図3】端末、基地局、およびRNCのブロック図を示した図である。
【図4】基地局の詳細なブロック図である。
【図5】再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図6】HARQ再送回数記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図7】前全体再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。
【図8】E−DCHフレームのフレームフォーマットを示した図である。
【図9】基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
【図10】基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
【図11】基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
【図12】基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
【図13】RNCの詳細なブロック図である。
【図14】E−DCHフレーム受信部の動作を示したフローチャートである。
【図15】リオーダリング処理部の動作を示したフローチャートである。
【図16】HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。
【図17】HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。
【図18】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図19】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図20】HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。
【図21】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図22】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図23】HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。
【図24】HSUPAにおける端末−基地局−RNC間のプロトコルモデルを示した図である。
【図25】端末−基地局−RNC間の上りのデータ疎通例を示した図である。
【図26】HARQプロセスを説明する図である。
【図27】RNCのMac−esレイヤのリオーダリング処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、基地局と無線ネットワーク制御装置を示した図である。図1に示すように、基地局1は、受信部1a、再送実施状況取得部1b、全体再送実施状況把握部1c、および全体再送実施状況送信部1dを有している。無線ネットワーク制御装置2は、全体再送実施状況受信部2a、再送判断部2b、および待ち合わせ部2cを有している。図1には、基地局1および無線ネットワーク制御装置2を介して他の端末にデータを送信する端末3も示してある。
【0026】
基地局1の受信部1aは、例えば、図26に示したように、複数の再送プロセスを動作させ、複数の再送プロセスによって端末3からデータを受信しおよびデータの再送処理を行う。
【0027】
再送実施状況取得部1bは、受信部1aの複数の再送プロセスごとにおいて、再送処理の再送実施状況を取得する。例えば、受信部1aで8個の再送プロセスが動作している場合、再送実施状況取得部1bは、8個の再送プロセスのそれぞれにおいて、再送処理が行われているか否か取得する。
【0028】
全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況取得部1bによって取得された再送実施状況に基づいて、複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。例えば、全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況取得部1bによって取得された再送実施状況が1個でも再送処理を行っていることを示している場合、複数の再送プロセスの全体において再送処理が行われていると把握する。一方、全体再送実施状況把握部1cは、再送実施状況の全部が再送処理を行っていないことを示している場合、複数の再送プロセスの全体において再送処理が行われていないと把握する。
【0029】
全体再送実施状況送信部1dは、全体再送実施状況把握部1cによって把握された全体再送実施状況を、基地局1を制御する無線ネットワーク制御装置2に送信する。
無線ネットワーク制御装置2の全体再送実施状況受信部2aは、基地局1の全体再送実施状況送信部1dから送信される全体再送実施状況を受信する。
【0030】
再送判断部2bは、全体再送実施状況受信部2aによって受信された全体再送実施状況に基づいて、基地局1において複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する。
【0031】
待ち合わせ部2cは、基地局1を介して端末3から送信されるデータを受信するとともに、再送判断部2bの判断結果に基づいて、端末3と基地局1との無線通信で欠落したデータの受信待ち合わせを行う。例えば、待ち合わせ部2cは、再送判断部2bが全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3とが再送処理を行っていると判断した場合、欠落したデータの再送を期待して、そのデータの待ち合わせを行う。一方、待ち合わせ部2cは、再送判断部2bが全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3とが再送処理を行っていないと判断した場合、欠落したデータの再送は期待できないとし、待ち合わせを行わないようにする。
【0032】
このように、基地局1は、複数の再送プロセスの全体における全体再送実施状況を把握し、把握した全体再送実施状況を無線ネットワーク制御装置2に送信する。無線ネットワーク制御装置2は、基地局1からの全体再送実施状況に基づいて、基地局1と端末3との間で欠落したデータの再送処理が行われているか否か判断する。これにより、無線ネットワーク制御装置2は、基地局1と端末3との間で再送処理が行われていない欠落データの受信待ち合わせをせずに済み、データ処理の遅延を低減することができる。
【0033】
図2は、移動通信システムを示した図である。図2に示すように、基地局11は、RNC12と接続されている。RNC12は、基地局11を制御する上位装置であり、例えば、ハンドオーバ処理などを制御したりする。図2に示してないが、RNC12は、コアネットワーク(CN:Core Network)に接続されている。
【0034】
端末13は、基地局11と無線通信を行う。基地局11と端末13は、例えば、HSUPAを適用したW−CDMAの無線通信を行う。端末13は、例えば、携帯電話である。
基地局11、RNC12、および端末13は、例えば、図24に示したプロトコルモデルに基づいてデータの送受信を行う。基地局11と端末13の間では、データの受信およびデータの再送処理を行う複数の再送プロセスが動作している。例えば、図26で説明したように複数のHARQプロセスが動作している。以下では、基地局11と端末13の間には、複数のHARQプロセスが動作しているとして説明する。
【0035】
図3は、端末、基地局、およびRNCのブロック図を示した図である。図3に示すように基地局11は、データ受信部21、E−DCHフレーム生成部22、およびE−DCHフレーム送信部23を有している。RNC12は、E−DCHフレーム受信部31、リオーダリング処理部32、およびRLC処理部33を有している。端末13は、RLC処理部41、Macデータ生成部42、およびデータ送信部43を有している。
【0036】
端末13のRLC処理部41は、RLCレイヤおよびMac−dレイヤの処理を行う。RLC処理部41は、ネットワークに送信するデータフレームをより短いRLCPDUに分割し、Mac−dPDUを生成する。RLC処理部41は、データフレームをRLCPDUに分割する際、RLCPDU単位にシーケンスナンバ(以下、SN)を付与する。
【0037】
Macデータ生成部42は、Mac−esレイヤの処理を行う。Macデータ生成部42は、RLC処理部41によって生成されたMac−dPDUを多重し、Mac−esPDUを生成する。Macデータ生成部42は、無線区間でのMac−esPDUの順序逆転を補正するために、Mac−esPDU単位にTSNを付与する。
【0038】
データ送信部43は、Radioレイヤの処理を行う。データ送信部43は、複数のHARQプロセスを動作させ、基地局11との間でデータ送達確認付きのデータ送信を行う。HARQプロセスのそれぞれは、データ送信に失敗した場合、規定回数内においてデータの再送を試みる。
【0039】
基地局11のデータ受信部21は、Radioレイヤの処理を行う。データ受信部21は、複数のHARQプロセスを動作させ、端末13のデータ送信部43からのデータを受信しおよび再送処理を行う。
【0040】
データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとにおける再送処理の再送実施状況を取得する。また、データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとにおける再送処理の再送回数を取得する。また、データ受信部21は、複数のHARQプロセスごとの再送実施状況に基づいて、複数のHARQプロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。例えば、全体再送実施状況は、1つでもHARQプロセスが再送処理を行っている場合、基地局11と端末13の無線通信にて再送処理が実施されていることを示す。一方、全体再送実施状況は、複数のHARQプロセスの全てが再送処理を行っていない場合、基地局11と端末13の無線通信にて再送処理が実施されていないことを示す。
【0041】
E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、L2/L1レイヤ、IPレイヤ、UDPレイヤ、およびE−DCH FPレイヤの処理を行う。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームを生成する。E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21によって受信されたMac−esPDUを周期的な送信タイミングで多重し、E−DCHフレームを生成する。また、E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21によって取得された全体再送実施状況をE−DCHフレームに含める。
【0042】
E−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレーム生成部22によって生成されたE−DCHフレームをRNC12に送信する。
RNC12のE−DCHフレーム受信部31は、L2/L1レイヤ、IPレイヤ、UDPレイヤ、およびE−DCH FPレイヤの処理を行う。E―DCHフレーム受信部31は、基地局11のE−DCHフレーム送信部23から送信されるE−DCHフレームを受信する。E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームから、Mac−esPDUを抽出する。また、E−DCHフレーム受信部31は、E−DCHフレームに含まれる全体再送実施状況を抽出する。
【0043】
リオーダリング処理部32は、Mac−esレイヤの処理を行う。リオーダリング処理部32は、E−DCHフレーム受信部31によって抽出されたMac−esPDUに付与されているTSNに基づいてリオーダリング処理を行い、Mac−dPDUを抽出する。
【0044】
リオーダリング処理部32は、TSNに基づいて、端末から送信されたMac−esPDUに欠落がないか判断する。例えば、リオーダリング処理部32は、TSN=0,1のMac−esPDUを受信して、TSN=3,4のMac−esPDUを受信した場合、TSN=2のMac−esPDUが欠落したと判断する。
【0045】
また、リオーダリング処理部32は、基地局11から送信される全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われているか判断する。リオーダリング処理部32は、全体再送実施状況に基づき、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われていると判断した場合、欠落したMac−esPDUが再送されると期待し、一定時間の受信待ち合わせを行う。一方、リオーダリング処理部32は、全体再送実施状況に基づき、基地局11と端末13との間の無線通信にて再送処理が行われていないと判断した場合、欠落したMac−esPDUが再送されないと判断し、一定時間の受信待ち合わせを行わない。また、リオーダリング処理部32は、一定時間の受信待ち合わせを行っている途中に、基地局11から再送処理が実施されていない旨を示す全体再送実施状況を受信した場合、待ち合わせを終了する。
【0046】
RLC処理部33は、Mac−dレイヤおよびRLCレイヤの終端処理を行い、データフレームを再生する処理を行う。RLC処理部33は、RLCPDUに付与されたSNに基づき、RLCPDUを欠落することなく受信できたか否か判断する。RLC処理部33は、RLCPDUが欠落していた場合、端末13のRLC処理部41に対して、欠落したSNのRLCPDUを再送するよう要求する。RLC処理部33は、再生したデータフレームをCNに送信する。
【0047】
図4は、基地局の詳細なブロック図である。図4に示すように、データ受信部21は、受信部21a、再送実施状況取得部21b、全体再送実施状況把握部21c、再送実施状況記憶部21d、HARQ再送回数記憶部21e、前全体再送実施状況記憶部21f、および新全体再送実施状況記憶部21gを有している。E−DCHフレーム生成部22は、フレーム生成部22a、および全体再送実施状況通知記憶部22bを有している。なお、図4の受信部21aは、図1の受信部1aに対応し、再送実施状況取得部21bは、再送実施状況取得部1bに対応し、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況把握部1cに対応し、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、全体再送実施状況送信部1dに対応する。
【0048】
データ受信部21の受信部21aは、複数のHARQプロセスを動作させている。複数のHARQプロセスは、端末13のデータ送信部43からのデータ受信に成功した場合、ACKを端末13のデータ送信部43に返信し、データの受信に失敗した場合、NACKを端末13のデータ送信部43に返信する。受信部21aは、受信したデータをE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0049】
再送実施状況取得部21bは、受信部21aで動作している複数のHARQプロセスごとにおける再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0050】
図5は、再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。図5に示すように、再送実施状況記憶部21dには、複数のHARQプロセスごとの再送実施状況が記憶される。再送実施状況記憶部21dは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0051】
受信部21aでは、例えば、8個のHARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。この場合、再送実施状況記憶部21dには、図5に示すように8個のHARQプロセス#0〜#7の再送実施状況を記憶するための8ビットの領域が8個確保される。
【0052】
例えば、図5に示すHARQプロセス#0再送実施状況の領域に‘0’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の再送実施状況は‘再送実施中’であることを示す。また、図5に示すHARQプロセス#0再送実施状況の領域に‘1’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の再送実施状況は‘再送実施なし’であることを示す。再送実施状況を記憶する領域は8ビットとしたが、1ビットであってもよい。
【0053】
図4の説明に戻る。再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスの再送処理を行った再送回数をカウントする。再送実施状況取得部21bは、カウントした再送回数をHARQ再送回数記憶部21eに記憶する。再送実施状況取得部21bは、データ再送が成功した場合、HARQ再送回数記憶部21eに記憶している再送回数をリセットする。また、再送実施状況取得部21bは、再送回数が規定回数以上になり、データ再送処理に失敗した場合、HARQ再送回数記憶部21eに記憶している再送回数をリセットする。
【0054】
図6は、HARQ再送回数記憶部のデータ構成例を示した図である。図6に示すように、HARQ再送回数記憶部21eには、複数のHARQプロセスごとの再送回数が記憶される。HARQ再送回数記憶部21eは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0055】
受信部21aでは、例えば、8個のHARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。この場合、HARQ再送回数記憶部21eには、図6に示すように8個のHARQプロセス#0〜#7の再送回数を記憶するための8ビットの領域が8個確保される。
【0056】
例えば、図6に示すHARQプロセス#0再送回数の領域に‘2’が記憶されている場合、HARQプロセス#0の行った再送回数は2回であることを示す。再送回数を記憶する領域は8ビットとしたが、HARQの規定回数を記憶できる領域が確保されればよい。
【0057】
図4の説明に戻る。全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する。具体的には、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、1つのHARQプロセスでも再送処理を行っている場合、複数の再送プロセス全体において再送処理が行われていると把握する。また、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、全HARQプロセスで再送処理が行われていない場合、複数の再送プロセス全体において再送処理が行われていないと把握する。
【0058】
全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況をフレーム生成部22aに出力する。また、全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gは、今回のデータ受信処理における全体再送実施状況と、前回のデータ受信処理における全体再送実施状況との差分(変化)を検出するために設けられている。なお、全体再送実施状況把握部21cの前全体再送実施状況記憶部21fおよび新全体再送実施状況記憶部21gに全体再送実施状況を記憶するタイミングについては、後述のフローチャートで説明する。
【0059】
図7は、前全体再送実施状況記憶部のデータ構成例を示した図である。図7に示すように、前全体再送実施状況記憶部21fには、複数のHARQプロセス全体における全体再送実施状況が記憶される。前全体再送実施状況記憶部21fは、例えば、メモリやレジスタなどである。
【0060】
前全体再送実施状況記憶部21fには、例えば、全体再送実施状況を記憶する8ビットの領域が1個確保される。例えば、図7の全体再送実施状況の領域に‘0’が記憶されている場合、少なくとも1以上のHARQプロセスにおいて再送処理が行われていることを示す。図7の全体再送実施状況の領域に‘1’が記憶されている場合、全HARQプロセスにおいて、再送処理が行われていないことを示す。全体再送実施状況を記憶する領域は8ビットとしたが、1ビットであってもよい。
【0061】
なお、新全体再送実施状況記憶部21gは、前全体再送実施状況記憶部21fと同じデータ構成例を有し、その説明を省略する。
図4の説明に戻る。E−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aは、データ受信部21の受信部21aによって受信された受信データ(Mac−esPDU)と、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況とを受信し、受信順にキューイングする。受信データは、再送実施状況取得部21bおよび全体再送実施状況把握部21cを経由し、全体再送実施状況は、受信データに付加される形でフレーム生成部22aに出力される。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミング(周期的)になるまで、受信データおよび全体再送実施状況をキューイングする。
【0062】
フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになると、キューイングした受信データを多重してE−DCHフレームを生成する。また、フレーム生成部22aは、キューイングした全体再送実施状況のうち、最新に受信した全体再送実施状況をE−DCHフレームに格納する。
【0063】
フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。すなわち、フレーム生成部22aは、RNC12に送信した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。全体再送実施状況通知記憶部22bのデータ構成例は、図7と同様であり、その説明を省略する。
【0064】
フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。E−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレーム生成部22aによって生成されたE−DCHフレームをRNC12に送信する。
【0065】
図8は、E−DCHフレームのフレームフォーマットを示した図である。図8に示すように、E−DCHフレーム51は、ヘッダ領域52およびペイロード領域53を有している。ペイロード領域53は、オプショナル領域53aを有している。
【0066】
フレーム生成部22aは、キューイングした受信データ、すなわち、Mac−esをE−DCHフレームのペイロード領域53に多重する。また、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況を、オプショナル領域53aのSpare Extensionに格納する。
【0067】
図9、図10は、基地局のデータ受信部の動作を示したフローチャートである。
ステップS1において、受信部21aで動作しているHARQプロセスは、端末13からデータを受信する。
【0068】
ステップS2において、受信部21aは、データを受信したHARQプロセスのプロセス番号を取得する。例えば、受信部21aでは、HARQプロセス#0〜#7が動作しているとする。HARQプロセス#1がデータを受信した場合、受信部21aは、プロセス番号#1を取得することになる。
【0069】
ステップS3において、HARQプロセスは、受信データに異常があるか否か判断する。HARQプロセスは、受信データに異常がある場合(受信データの再送処理を行う必要がある場合)、ステップS9へ進む。受信データに異常がない場合(受信データの再送処理を行う必要がない場合)、ステップS4へ進む。
【0070】
ステップS4において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0071】
ステップS5において、再送実施状況取得部21bは、HARQ再送回数記憶部21eの再送回数をリセットする。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて取得したプロセス番号に対応する再送回数をリセットする。
【0072】
ステップS6において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0073】
ステップS7において、受信部21aは、端末13から受信したデータをE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。また、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。
【0074】
ステップS8において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を前全体再送実施状況記憶部21fに記憶する。これにより、受信部21aが次の受信データ処理を行う場合、前全体再送実施状況記憶部21fには、前回行った受信データ処理での全体再送実施状況が記憶されていることになる。
【0075】
ステップS9において、再送実施状況取得部21bは、受信したデータの再送が規定回数行われたか否か判断する。再送実施状況取得部21bは、受信したデータの再送が規定回数行われた場合、すなわち、データ再送処理が失敗した場合、ステップS10へ進む。受信したデータの再送が規定回数行われていない場合、すなわち、データ再送処理中の場合、ステップS15へ進む。
【0076】
ステップS10において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0077】
ステップS11において、再送実施状況取得部21bは、データ再送処理を終了するので、HARQ再送回数記憶部21eの再送回数をリセットする。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて取得したプロセス番号に対応する再送回数をリセットする。
【0078】
ステップS12において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0079】
ステップS13において、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶されている全体再送実施状況と前全体再送実施状況記憶部21fに記憶されている前回の受信処理における全体再送実施状況を比較し、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化したか判断する。例えば、ステップS2にてデータを受信したHARQプロセスのみが再送処理を行っていた場合、全体再生実施状況は、‘再送あり’から‘再送なし’に変化する。ステップS2にてデータを受信したHARQプロセス以外も再送処理を行っている場合、全体再生実施状況は、‘再送あり’から‘再送なし’に変化しない。
【0080】
全体再送実施状況把握部21cは、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化した場合、ステップS14へ進む。すなわち、複数のHARQプロセスの全てが再送処理を行っていない状態になった場合、ステップS14へ進む。全体再送実施状況把握部21cは、全体再生実施状況が‘再送あり’から‘再送なし’に変化しない場合、ステップS8へ進む。
【0081】
ステップS14において、全体再送実施状況把握部21cは、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。なお、全体再生実施状況に差分が生じた場合のみ、全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力するのは、同じ全体再生実施状況の出力処理を抑制し、処理の低減を図るためである。
【0082】
ステップS15において、再送実施状況取得部21bは、HARQプロセスごとの再送実施状況を取得する。再送実施状況取得部21bは、取得した再送実施状況を再送実施状況記憶部21dに記憶する。
【0083】
ステップS16において、再送実施状況取得部21bは、HARQ再送回数記憶部21eのHARQ再送回数に1を加算する。再送実施状況取得部21bは、ステップS2にて受信部21aが取得したプロセス番号に対応するHARQ再送回数に1を加算する。
【0084】
ステップS17において、全体再送実施状況把握部21cは、再送実施状況記憶部21dに記憶されている再送実施状況に基づき、複数の再送プロセス全体における全体再送実施状況を把握する。全体再送実施状況把握部21cは、把握した全体再送実施状況を新全体再送実施状況記憶部21gに記憶する。
【0085】
なお、ステップS3からステップS9へ進む処理は、受信したデータに異常が発生している場合である。従って、ステップS9以降のルートでは、ステップS7のように受信部21aが端末13から受信したデータをE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する処理はない。
【0086】
図11、図12は、基地局のE−DCHフレーム生成部の動作を示したフローチャートである。
ステップS21において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになったか否か判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになった場合、ステップS24へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームの送信タイミングになっていない場合、ステップS22へ進む。
【0087】
ステップS22において、フレーム生成部22aは、受信部21aから出力される受信データを受信する。また、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況把握部21cから出力される全体再送実施状況を受信する。
【0088】
ステップS23において、フレーム生成部22aは、受信部21aから受信した受信データおよび全体再送実施状況把握部21cから受信した全体再送実施状況を受信した順にキューイングする。
【0089】
ステップS24において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況があるか否か判断する。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がない場合、ステップS34へ進む。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がある場合、ステップS25へ進む。
【0090】
なお、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況がない場合とは、RNC12に送信するデータを端末13から受信せず、全体再送実施状況が全体再送実施状況把握部21cから出力されなかった場合である。または、キューイングした受信データおよび全体再送実施状況を全てE−DCHフレームに格納した場合である。
【0091】
ステップS25において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがE−DCHフレームに多重可能であるか判断する。フレーム生成部22aは、受信データがE−DCHフレームに多重可能である場合、ステップS26へ進む。フレーム生成部22aは、受信データがE−DCHフレームに多重不可能である場合、ステップS31へ進む。
【0092】
なお、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データのTSNが連番でない場合、受信データの多重は不可能と判断する。E−DCHフレームには、連番のTSNのMac−esPDUが多重されるからである。フレーム生成部22aは、ステップS25の処理により、TSNが連番する範囲で受信データをE−DCHフレームに多重することになる。
【0093】
ステップS26において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームを生成する。なお、フレーム生成部22aは、すでにE−DCHフレームを生成している場合、E−DCHフレームを生成しない。
【0094】
ステップS27において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがあるかないか判断する。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがない場合、ステップS29へ進む。フレーム生成部22aは、キューイングした受信データがある場合、ステップS28へ進む。
【0095】
ステップS28において、フレーム生成部22aは、キューイングした受信データをE−DCHフレームのペイロード領域に格納(多重)する。
ステップS29において、フレーム生成部22aは、キューイングした全体再送実施状況をE−DCHフレームのオプショナル領域のSpare Extensionに格納する。なお、フレーム生成部22aは、全体再送実施状況を複数キューイングしている場合、オプショナル領域のSpare Extensionを上書きして全体再送実施状況を格納する。従って、オプショナル領域のSpare Extensionには、最新の全体再送実施状況が格納される。
【0096】
ステップS30において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した受信データまたは全体再送実施状況をデキューする。フレーム生成部22aは、ステップS24の処理へ進む。
【0097】
ステップS31において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されているかまたは全体再送実施状況に差分があるか判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されている場合または全体再送実施状況に差分がある場合、ステップS32へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されておらずかつ全体再送実施状況に差分がない場合、ステップS26へ進む。
【0098】
なお、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納されている最新の全体再送実施状況と、全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶されている全体再送実施状況と比較して、全体再送実施状況の差分を検出する。
【0099】
ステップS32において、フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。これにより、E−DCHフレームは、RNC12に送信される。
【0100】
ステップS33において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。
ステップS34において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されているかまたは全体再送実施状況に差分があるか判断する。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されている場合または全体再送実施状況に差分がある場合、ステップS35へ進む。フレーム生成部22aは、E−DCHフレームが生成されておらずかつ全体再送実施状況に差分がない場合、処理を終了する。この場合、RNC12には、何も送信されない。
【0101】
ステップS35において、フレーム生成部22aは、生成したE−DCHフレームをE−DCHフレーム送信部23に出力する。これにより、E−DCHフレームは、RNC12に送信される。
【0102】
ステップS36において、フレーム生成部22aは、E−DCHフレームに格納した全体再送実施状況を全体再送実施状況通知記憶部22bに記憶する。
次に、RNC12について説明する。図13は、RNCの詳細なブロック図である。図13に示すように、リオーダリング処理部32は、再送判断部32a、リオーダリング部32b、バッファ32c、およびデータ出力部32dを有している。なお、図13のE−DCHフレーム受信部31は、図1の全体再送実施状況受信部2aに対応し、再送判断部32aは、再送判断部2bに対応し、リオーダリング部32bは、待ち合わせ部2cに対応する。
【0103】
E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信する。E−DCHフレーム受信部31は、E−DCHフレームに含まれているMac−esPDUおよび全体再送実施状況を抽出し、リオーダリング処理部32に出力する。
【0104】
リオーダリング処理部32の再送判断部32aは、E−DCHフレーム受信部31で抽出された全体再送実施状況を受信する。再送判断部32aは、受信した全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているか判断する。
【0105】
リオーダリング部32bは、E−DCHフレーム受信部31で抽出されたMac−esPDUを受信する。リオーダリング部は、受信データ(Mac−esPDU)に付与されているTSNに基づいて受信データをリオーダリングし、バッファ32cに記憶する。
【0106】
リオーダリング部32bは、例えば、受信データのTSNとバッファ32cのアドレスと対応させて、受信データをバッファ32cに記憶する。具体的には、リオーダリング部32bは、TSN=0,1,2,3の順に受信データを受信した場合、それぞれの受信データをバッファ32cのアドレス=10,11,12,13に対応させて記憶する。また、リオーダリング部32bは、TSN=2の受信データを欠落し、TSN=0,1,3,4の受信データを受信した場合、バッファ32cのアドレス=10,11,13,14に対応させて受信データを記憶する。これにより、受信データは、リオーダリングされて(TSNの順に)バッファ32cに記憶されることになる。
【0107】
リオーダリング部32bは、再送判断部32aの判断結果に基づいて、欠落した受信データの受信待ち合わせを行う。例えば、リオーダリング部32bは、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせをせず、受信データをRLC処理部33に出力する。一方、リオーダリング部32bは、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていると判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせを行う。また、リオーダリング部32bは、受信データの受信待ち合わせを行っている途中に、再送判断部32aによって基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断された場合、欠落したデータの受信待ち合わせを終了し、受信データをRLC処理部33に出力する。
【0108】
データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
図14は、E−DCHフレーム受信部の動作を示したフローチャートである。
【0109】
ステップS41において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信する。
ステップS42において、E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームからMac−esPDUを抽出する。
【0110】
ステップS43において、E−DCHフレーム受信部31は、受信したE−DCHフレームから全体再送実施状況を抽出する。
ステップS44において、E−DCHフレーム受信部31は、抽出したMac−esPDUおよび全体再送実施状況をリオーダリング処理部32に出力する。
【0111】
図15は、リオーダリング処理部の動作を示したフローチャートである。
ステップS51において、リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトしたか否か判断する。リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトした場合、ステップS59へ進む。リオーダリング部32bは、受信データの待ち合わせがタイムアウトしていない場合、ステップS52へ進む。
【0112】
ステップS52において、リオーダリング部32bは、E−DCHフレーム受信部31から受信データを受信し、バッファ32cに記憶する。なお、リオーダリング部32bは、受信データがない場合、受信データの受信処理をスキップする。
【0113】
ステップS53において、リオーダリング部32bは、TSNに基づいて、受信データに欠落があるか否か判断する。リオーダリング部32bは、受信データに欠落がない場合、ステップS58へ進む。リオーダリング部32bは、受信データに欠落がある場合、ステップS54へ進む。
【0114】
ステップS54において、再送判断部32aは、E−DCHフレーム受信部31から受信した全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているか判断する。再送判断部32aは、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないと判断した場合、ステップS56へ進む。再送判断部32aは、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていると判断した場合、ステップS55へ進む。
【0115】
ステップS55において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ち合わせを行う。
ステップS56において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ちを終了する。なお、ステップS54からステップS56へのルートは、受信データの欠落があり、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていないので、欠落した受信データの再送が期待できず、待ち合わせを終了するルートである。
【0116】
ステップS57において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
ステップS58において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
【0117】
ステップS59において、リオーダリング部32bは、欠落した受信データの受信待ちを終了する。なお、ステップS51からステップS59へのルートは、受信データの欠落があり、基地局11と端末13との間で再送処理が行われているが、待ち合わせ時間を満了したルートである。
【0118】
ステップS60において、データ出力部32dは、バッファ32cに記憶されている受信データをRLC処理部33に出力する。
図16、図17は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその1を示した図である。図16、図17では、HARQの再送でTSNが逆転しない場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図16のステップS75,S81,S82,S85に示すように、TSNが順にインクリメントされた場合の動作シーケンスが示してある。
【0119】
なお、図16、図17中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図16、図17中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0120】
ステップS71において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するMac−esPDU(以下、データ)を受信する。
ステップS72において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=0、SN=0が付与されているとする。
【0121】
ステップS73において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。なお、全体再送実施状況‘1’は、複数のHARQプロセスの全てにおいて再送処理が行われていないことを示し、全体再送実施状況‘0’は、複数のHARQプロセスの何れかにおいて再送処理が行われていることを示す。
【0122】
ステップS74において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS75において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=1、SN=1が付与されているとする。
【0123】
ステップS76において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0124】
ステップS77において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=0,1のデータを多重し、全体再送実施状況‘1’を格納する。
【0125】
ステップS78において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=0,1のデータおよび全体再送実施状況を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0126】
ステップS79において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=0のデータをバッファ32cのアドレス=0に記憶し、受信したTSN=1のデータをバッファ32cのアドレス=1に記憶する。なお、リオーダリング処理部32は、TSN抜けを検出していないので、データの待ち合わせを行わない。リオーダリング部32は、TSN抜けが発生し、待ち合わせを実施するような状況となったとき、全体再送実施状況を確認して待ち合わせの判断を行う。
【0127】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=0,1のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=0のRLCPDUをバッファのアドレス=0に記憶し、SN=1のRLCPDUをバッファのアドレス=1に記憶する。
【0128】
ステップS80において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS81において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=2、SN=2が付与されているとする。データの無線送信は、失敗したとする。
【0129】
なお、基地局11のデータ受信部21は、データ受信の失敗により、全体再送実施状況‘0’を把握するが、E−DCHフレーム生成部22には出力しない(図10のルートR4)。
【0130】
ステップS82において、データ送信部43は、無線送信に失敗したデータの再送を行う。なお、HARQの再送の規定回数は、1回とする。従って、TSN=2、SN=2のデータの再送は、ステップS82の再送処理で終了する。
【0131】
ステップS83において、データ受信部21は、HARQの再送処理が規定回数行われ、全体再送実施状況が‘0’から‘1’に変化するので、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する(図10のルートR2)。
【0132】
なお、E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21から受信した全体再送実施状況‘1’と、RNC12に前回送信した全体再送実施状況‘1’(ステップS77)とに変化がなく、RNC12に送信するデータもないので、送信タイミングになっても全体再送実施状況‘1’をRNC12に送信しない(図12のルートR2,R4,R8)。
【0133】
ステップS84〜S91の処理は、ステップS71〜S78の処理と同様であり、その説明を省略する。ただし、ステップS84〜S91では、TSN=3,4(SN=3,4)のデータがRNC12に送信されるとする。
【0134】
ステップS92において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータを受信せず、TSN=3のデータを受信しているが、TSN=2の受信待ち合わせを行わない。全体再送実施状況が‘1’であり、端末13と基地局11との間で再送処理が行われておらず、TSN=2の再送は期待できないからである。
【0135】
リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=3のデータをバッファ32cのアドレス=3に記憶し、受信したTSN=4のデータをバッファ32cのアドレス=4に記憶する。リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータ(再送に失敗したデータ)を記憶すべきバッファ32cのアドレス=2を使用済みとする。
【0136】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=3,4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶し、SN=4のRLCPDUをバッファのアドレス=4に記憶する。
【0137】
ステップS93において、RLC処理部33は、端末13のRLC処理部41に対し、未受信のSN=2のRLCPDUの再送処理を要求する。
ステップS94において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から未送信のSN=2のデータを受信する。データには、TSN=5が付与されているとする。
【0138】
ステップS95において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。
ステップS96において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0139】
ステップS97において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=5(SN=2)のデータを格納し、全体再送実施状況‘1’を格納する。
【0140】
ステップS98において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=5のデータおよび全体再送実施状況を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0141】
ステップS99において、リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=5のデータをバッファ32cのアドレス=5に記憶する。
【0142】
リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=5のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、SN=2のRLCPDUを、例えば、バッファのアドレス=2に記憶する。
【0143】
図18〜図20は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその2を示した図である。図18〜図20では、HARQの再送でTSNが逆転し、再送失敗後にデータ転送がある場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図18、図19のステップS111,S113,S117に示すように、TSNに逆転が発生している。また、図19のステップS120に示すように、TSN=2の再送失敗後に、TSN=4(SN=4)のデータ転送を行っている。
【0144】
なお、図18〜図20中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図18〜図20中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0145】
ステップS101〜S109の処理は、図16のステップS71〜S79と同様の処理であり、その説明を省略する。
ステップS110において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
【0146】
ステップS111において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=2、SN=2が付与されているとする。データの無線送信は、失敗したとする。
【0147】
なお、基地局11のデータ受信部21は、データ受信の失敗により、全体再送実施状況‘0’を把握するが、E−DCHフレーム生成部22には出力しない(図10のルートR4)。
【0148】
ステップS112において、データ送信部43は、Macデータ生成部42からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS113において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=3、SN=3が付与されているとする。
【0149】
ステップS114において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘0’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。なお、ステップS111によるデータ送信の失敗により、全体再送実施状況は‘0’となる。
【0150】
ステップS115において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=3のデータを格納し、全体再送実施状況‘0’を格納する。
【0151】
ステップS116において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=3のデータおよび全体再送実施状況‘0’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0152】
リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=3のデータをバッファ32cのアドレス=3に記憶する。
【0153】
なお、リオーダリング処理部32は、TSN=2のデータの受信を欠落し、全体再送実施状況が‘0’(再送処理中)なので、TSN=2の再送を期待してデータの待ち合わせを行う(図15のルートR1)。
【0154】
ステップS117において、データ送信部43は、TSN=2のデータの再送を行う。データの再送は、失敗したとする。
ステップS118において、データ受信部21は、HARQの再送処理が規定回数(1)行われ、全体再送実施状況が‘0’から‘1’に変化するので、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する(図10のルートR2)。
【0155】
ステップS119において、データ送信部43は、Macデータ生成部からRNC12に送信するデータを受信する。
ステップS120において、データ送信部43は、Macデータ生成部42から受信したデータを基地局11のデータ受信部21に無線送信する。データには、TSN=4、SN=4が付与されているとする。
【0156】
ステップS121において、データ受信部21は、データを正常に受信したとする。データ受信部21は、受信したデータと、全体再送実施状況‘1’をE−DCHフレーム生成部22に出力する。
【0157】
ステップS122において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、E−DCHフレームにデータ受信部21から受信したTSN=4のデータを格納し、全体再送実施状況‘1’を格納する(図12のルートR2,R4,R2,R3,R7)。
【0158】
ステップS123において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、TSN=4のデータおよび全体再送実施状況‘1’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0159】
リオーダリング処理部32は、受信したデータのリオーダリング処理を行う。リオーダリング処理部32は、例えば、受信したTSN=4のデータをバッファ32cのアドレス=4に記憶する。
【0160】
なお、リオーダリング処理部32は、ステップS116の処理により、欠落したTSN=2のデータの受信待ちを行っている。リオーダリング処理部32は、ステップS123にて全体再送実施状況‘1’受信したことにより、TSN=2の再送は期待できなと判断し、待ち合わせを終了する(図15のルートR2)。
【0161】
ステップS124において、リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=3,4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶し、SN=4のRLCPDUをバッファのアドレス=4に記憶する。
【0162】
ステップS125〜S131の処理は、図17で説明したステップS93〜S99と同様であり、その説明を省略する。
図21〜図23は、HARQ再送失敗の動作シーケンスその3を示した図である。図21〜図23では、HARQの再送でTSNが逆転し、再送失敗後にデータ転送がない場合の動作シーケンスが示してある。例えば、図21、図22のステップS151,S153,S157に示すように、TSNに逆転が発生している。また、図23のステップS164に示すように、TSN=2の再送失敗後に、SN=2の再送を行っているだけで、新たなデータ転送は行われていない。
【0163】
なお、図21〜図23中に示す三角形の鋭角の頂点は、E−DCHフレームの送信タイミングを示す。また、図21〜図23中に示すRは、図9〜図12、図14、図15のフローチャートのどのルートを経た処理であるかを示している。
【0164】
ステップS141〜S158の処理は、図18、図19に示したステップS101〜S118と同様であり、その説明を省略する。
ステップS159において、E−DCHフレーム生成部22およびE−DCHフレーム送信部23は、E−DCHフレームの送信タイミングとなったため、E−DCHフレームを生成し、RNC12に送信する。E−DCHフレーム生成部22は、データ受信部21からデータを受信しておらず、E−DCHフレームに全体再送実施状況‘1’のみを格納する(図12のルートR2,R4,R7)。
【0165】
ステップS160において、E−DCHフレーム受信部31は、基地局11からE−DCHフレームを受信し、全体再送実施状況‘1’を抽出して、リオーダリング処理部32に出力する。
【0166】
リオーダリング処理部32は、ステップS156の処理により、欠落したTSN=2のデータの受信待ちを行っている。リオーダリング処理部32は、ステップS160にて全体再送実施状況‘1’受信したことにより、TSN=2の再送は期待できなと判断し、待ち合わせを終了する(図15のルートR2)。
【0167】
ステップS161において、リオーダリング処理部32は、バッファ32cに記憶されたTSN=4のデータをRLC処理部33に出力する。RLC処理部33は、受信したデータからRLCPDUを抽出し、例えば、SN=3のRLCPDUをバッファのアドレス=3に記憶する。
【0168】
ステップS162〜S168の処理は、図19、図20で説明したステップS125〜S131の処理と同様であり(ただし、TSN=4)、その説明を省略する。
このように、基地局11は、複数のHARQプロセスの全体における全体再送実施状況を把握し、把握した全体再送実施状況をRNC12に送信する。RNC12は、基地局11からの全体再送実施状況に基づいて、基地局11と端末13との間で欠落したデータの再送処理が行われているか否か判断する。これにより、RNC12は、基地局11と端末13との間で再送処理が行われていない欠落データの待ち合わせをせずに済み、データ処理の遅延の低減することができる。
【0169】
また、全体再送実施状況把握部21cは、例えば、図10のステップS9に示すように、データの再送処理が再送プロセスによって規定回数行われた場合、ステップS13に示すように、再送処理が規定回数行われる前の前全体再送実施状況記憶部21fに記憶された全体再送実施状況と、再送処理が規定回数行われた後の新全体再送実施状況記憶部21gに記憶された全体再送実施状況とを比較する。そして、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況が再送ありから再送なしに変化した場合、新全体再送実施状況記憶部21gに記憶した全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力する。すなわち、全体再送実施状況把握部21cは、全体再送実施状況に変化がない場合、全体再送実施状況をE−DCHフレーム生成部22のフレーム生成部22aに出力しない。これにより、処理の低減を図ることができる。
【0170】
また、全体再送実施状況は、データを送信するE−DCHフレームのSpare Extensionに含められて送信されることにより、基地局11とRNC12との間のスループット低下を抑制することができる。
【0171】
また、RNC12は、欠落したデータの待ち合わせを行っていても、基地局11から再送処理が行われていない旨の全体再送実施状況を受信した場合、その欠落したデータの待ち合わせを終了するので、データ処理の遅延を低減することができる。
【0172】
また、E−DCHフレーム送信部23は、RNC12に送信する端末13のデータがなく、前回RNC12に送信した全体再送実施状況と今回RNC12に送信する全体再送実施状況とに変化がない場合、E−DCHフレームをRNC12に送信しない。これにより、基地局11とRNC12との間のスループット低下を抑制することができる。
【0173】
また、無線区間の送信電力を抑えたシステム運用では、データ欠落の頻度が高くなり、RNC12の欠落データの待ち合わせも多くなる。しかし、基地局11およびRNC12では、無線区間の送信電力を抑えた運用でも、欠落データの待ち合わせを抑制し、データ処理の遅延を抑制することができる。
【0174】
さらに、RLC処理部33は、リオーダリング処理部32がデータの待ち合わせを行っている間、欠落しているSNのデータの再送要求を行うことができない。この場合、RLC処理部33は、欠落しているSNのデータを受信するまで、バッファのデータを維持しておかなければならない。このため、待ち合わせ時間が長くなるほど、バッファを確保する時間も長くなり、RLC処理部のバッファ枯渇の原因にもなる。しかし、基地局11およびRNC12では、無駄な欠落データの待ち合わせを抑制するので、バッファ枯渇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0175】
1 基地局
1a 受信部
1b 再送実施状況取得部
1c 全体再送実施状況把握部
1d 全体再送実施状況送信部
2 無線ネットワーク制御装置
2a 全体再送実施状況受信部
2b 再送判断部
2c 待ち合わせ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と無線通信を行う基地局において、
複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う受信部と、
前記受信部の前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する再送実施状況取得部と、
前記再送実施状況取得部によって取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する全体再送実施状況把握部と、
前記全体再送実施状況把握部によって把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する全体再送実施状況送信部と、
を有することを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記全体再送実施状況把握部は、前記データの再送処理が前記複数の再送プロセスによって規定回数行われた場合、再送処理が規定回数行われる前の前記全体再送実施状況と再送処理が規定回数行われた後の前記全体再送実施状況とを比較し、比較結果に基づいて再送処理が規定回数行われた後の前記全体再送実施状況を前記全体再送実施状況送信部に出力することを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記全体再送実施状況は、前記データを前記無線ネットワーク制御装置に送信するフレームに含められて送信されることを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項4】
前記全体再送実施状況送信部は、前記無線ネットワーク制御装置に送信する前記データがなく、前回前記無線ネットワーク制御装置に送信した前記全体再送実施状況と今回前記無線ネットワーク制御装置に送信しようとする前記全体再送実施状況とに変化がない場合、前記フレームを前記無線ネットワークに送信しないことを特徴とする請求項3記載の基地局。
【請求項5】
端末と無線通信を行う基地局の再送実施状況通知方法において、
複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行い、
前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得し、
取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握し、
把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する、
ことを特徴とする再送実施状況通知方法。
【請求項6】
基地局を制御する無線ネットワーク制御装置において、
前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信する全体再送実施状況受信部と、
前記全体再送実施状況受信部によって受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する再送判断部と、
前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに前記再送判断部の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う待ち合わせ部と、
を有することを特徴とする無線ネットワーク制御装置。
【請求項7】
前記待ち合わせ部は、欠落した前記データの受信待ち合わせを行っているときに、前記再送判断部によって前記複数の再送プロセスの再送処理が行われていないと判断された場合、前記データの受信待ち合わせを終了することを特徴とする請求項6記載の無線ネットワーク制御装置。
【請求項8】
基地局を制御する無線ネットワーク制御装置のデータ待ち合わせ方法において、
前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信し、
受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断し、
前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに再送処理の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う、
ことを特徴とするデータ待ち合わせ方法。
【請求項1】
端末と無線通信を行う基地局において、
複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う受信部と、
前記受信部の前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得する再送実施状況取得部と、
前記再送実施状況取得部によって取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握する全体再送実施状況把握部と、
前記全体再送実施状況把握部によって把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する全体再送実施状況送信部と、
を有することを特徴とする基地局。
【請求項2】
前記全体再送実施状況把握部は、前記データの再送処理が前記複数の再送プロセスによって規定回数行われた場合、再送処理が規定回数行われる前の前記全体再送実施状況と再送処理が規定回数行われた後の前記全体再送実施状況とを比較し、比較結果に基づいて再送処理が規定回数行われた後の前記全体再送実施状況を前記全体再送実施状況送信部に出力することを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記全体再送実施状況は、前記データを前記無線ネットワーク制御装置に送信するフレームに含められて送信されることを特徴とする請求項1記載の基地局。
【請求項4】
前記全体再送実施状況送信部は、前記無線ネットワーク制御装置に送信する前記データがなく、前回前記無線ネットワーク制御装置に送信した前記全体再送実施状況と今回前記無線ネットワーク制御装置に送信しようとする前記全体再送実施状況とに変化がない場合、前記フレームを前記無線ネットワークに送信しないことを特徴とする請求項3記載の基地局。
【請求項5】
端末と無線通信を行う基地局の再送実施状況通知方法において、
複数の再送プロセスを動作させ、前記複数の再送プロセスによって前記端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行い、
前記複数の再送プロセスごとにおいて再送処理の再送実施状況を取得し、
取得された前記再送実施状況に基づいて前記複数の再送プロセス全体における再送処理の全体再送実施状況を把握し、
把握された前記全体再送実施状況を当該基地局を制御する無線ネットワーク制御装置に送信する、
ことを特徴とする再送実施状況通知方法。
【請求項6】
基地局を制御する無線ネットワーク制御装置において、
前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信する全体再送実施状況受信部と、
前記全体再送実施状況受信部によって受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断する再送判断部と、
前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに前記再送判断部の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う待ち合わせ部と、
を有することを特徴とする無線ネットワーク制御装置。
【請求項7】
前記待ち合わせ部は、欠落した前記データの受信待ち合わせを行っているときに、前記再送判断部によって前記複数の再送プロセスの再送処理が行われていないと判断された場合、前記データの受信待ち合わせを終了することを特徴とする請求項6記載の無線ネットワーク制御装置。
【請求項8】
基地局を制御する無線ネットワーク制御装置のデータ待ち合わせ方法において、
前記基地局で動作している、端末からデータを受信しおよび前記データの再送処理を行う複数の再送プロセスの全体における再送処理の全体再送実施状況を前記基地局から受信し、
受信された前記全体再送実施状況に基づいて前記基地局において前記複数の再送プロセスの再送処理が行われているか否か判断し、
前記基地局を介して前記端末から送信される前記データを受信するとともに再送処理の判断結果に基づいて前記端末と前記基地局との無線通信で欠落した前記データの受信待ち合わせを行う、
ことを特徴とするデータ待ち合わせ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−278588(P2010−278588A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127149(P2009−127149)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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