説明

基地局装置及び省電力制御方法

【課題】省電力にするとともに、簡便に最適なタイミングで省電力モードを解除すること。
【解決手段】基地局装置100は、マクロ基地局装置が構成するセルよりも小さいセルを構成する。基地局制御情報処理部104は、マクロ基地局装置から有線伝送路を介して、省電力モードを解除する通知を受け取るか、または発信元の電話番号若しくはE−mailアドレスを発信元からの着信の通知として受け取る。省電力モード制御部107は、省電力モードの期間中に基地局制御情報処理部104において受け取った、省電力モードを解除する通知または着信の通知に応じて、省電力モードを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置及び省電力制御方法に関し、例えばフェムト基地局等の小型基地局において省電力にする基地局装置及び省電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動局は、自宅等で用いるフェムト基地局等の小型基地局を介して通信するものが知られている。一般に、小型基地局を利用可能な移動局のユーザーは、省電力のため、不在時や使用頻度の低い時間帯に小型基地局の電源をオフにしたいと考えられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、通信エリアが小型基地局と重複するマクロ基地局は、トラフィックの負荷及びセル干渉を低減するために、可能な限り、小型基地局を利用可能な移動局には小型基地局を介して通信させたい。また、小型基地局を利用可能な移動局のユーザーは、小型基地局の利用に特化された料金形態やアプリケーションを利用するために、可能な限り小型基地局を介して通信したいと考えられる。
【0004】
従って、小型基地局が省電力モードである場合において必要に応じて省電力モードを解除して、小型基地局を利用可能な移動局が小型基地局を介して通信できるようにすることが望ましい。
【0005】
また、小型基地局における省電力モードを切り替える方法としては、手動で電源をオンまたはオフする方法が考えられる。また、小型基地局における省電力モードを切り替える他の方法としては、固定的に設定した時刻において電源をオンまたはオフする方法が考えられる。また、小型基地局における省電力モードを切り替えるさらに他の方法としては、移動局の送信信号の検出の有無により、電源をオンオフする方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2009―182619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、手動で電源をオンまたはオフする方法においては、電源の消し忘れや点け忘れをする可能性が高く、ユーザーにとって使い難いという問題がある。
【0008】
また、固定的に設定した時刻において電源をオンまたはオフする方法においては、ユーザーの予定外の行動に対応できず、適切なタイミングで省電力モードを解除できないという問題がある。
【0009】
また、移動局の送信信号を検出する方法においては、ランダムアクセス手順を実行する必要がある。即ち、小型基地局は、自セルに存在していなかった移動局が自セルに移動した場合において、移動局からの送信信号を受信するために、同期信号または報知情報を送信する機能、及びランダムアクセスチャネル受信の機能等を稼動状態にする必要がある。従って、これらを常時稼動状態とすると省電力効果を得ることができないという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、省電力にすることができるとともに、簡便に最適なタイミングで省電力モードを解除することができる基地局装置及び省電力制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の基地局装置は、周辺基地局装置が構成するセルよりも小さいセルを構成する基地局装置であって、前記周辺基地局装置から有線伝送路を介して所定の通知を受け取る通信手段と、省電力モードの期間中に前記通信手段において受け取った前記通知に応じて、前記省電力モードを解除する制御手段と、を具備する構成を採る。
【0012】
本発明の省電力制御方法は、周辺基地局装置が構成するセルよりも小さいセルを構成する基地局装置における省電力制御方法であって、前記周辺基地局装置から有線伝送路を介して所定の通知を受け取るステップと、省電力モードの期間中に受け取った前記通知に応じて、前記省電力モードを解除するステップと、を具備するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、省電力にすることができるとともに、簡便に最適なタイミングで省電力モードを解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る基地局装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係る基地局装置における省電力制御方法を示すフロー図
【図3】本発明の実施の形態に係る基地局装置が省電力モードに移行した場合において通信端末装置がマクロ基地局装置と通信している状態を示す図
【図4】本発明の実施の形態におけるマクロ基地局装置と通信中の通信端末装置が、基地局装置にハンドオーバーする状態を示す図
【図5】本発明の実施の形態に係る基地局装置が省電力モード期間中において、アドレス帳情報に登録されている発信元から着信があった状態を示す図
【図6】本発明の実施の形態に係る基地局装置が省電力モードの期間中において、アドレス帳情報に登録されていない発信元から着信があった状態を示す図
【図7】本発明の実施の形態に係る基地局装置が省電力モードの期間中において、アドレス帳情報に登録されていない発信元から着信があった後に、基地局装置が省電力モードを解除した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る基地局装置100の構成を示すブロック図である。
【0017】
基地局装置100は、アンテナ101と、無線部102と、ベースバンド信号処理部103と、基地局制御情報処理部104と、電源制御部105と、省電力モード時間管理部106と、省電力モード制御部107と、アドレス帳記憶部108と、着信情報判定部109と、着信履歴管理部110とから主に構成される。また、基地局装置100は、例えばフェムトセルを構成するフェムト基地局装置、またはピコセルを構成する基地局装置等の小型基地局である。
【0018】
アンテナ101は、無線部102から入力した送信信号を送信するとともに、図示しない通信端末装置から受信した受信信号を無線部102へ出力する。
【0019】
無線部102は、送信においては、ベースバンド信号処理部103から入力したベースバンド信号である送信信号を無線信号に変換してアンテナ101へ出力する。また、無線部102は、受信においては、アンテナ101から入力した無線信号である受信信号をベースバンド信号に変換してベースバンド信号処理部103へ出力する。また、無線部102は、電源制御部105の制御に従って、省電力モードの際に電源をオフし、省電力モード以外の際に電源をオンする。無線部102は、電源をオフする省電力モードにおいては、信号を入出力することはない。
【0020】
ベースバンド信号処理部103は、送信においては、報知情報、ページング情報、ランダムアクセスチャネルのデータ、ユーザー毎のデータ及び制御情報の符号化及び変調を行う。また、ベースバンド信号処理部103は、符号化及び変調により生成したベースバンド信号である送信信号を無線部102へ出力する。また、ベースバンド信号処理部103は、受信においては、無線部102から入力したベースバンド信号である受信信号を復調及び復号して、ランダムアクセスチャネルのデータ、ユーザー毎のデータ及び制御情報を取得する。また、ベースバンド信号処理部103は、取得した報知情報、ページング情報、ランダムアクセスチャネルのデータ、ユーザー毎のデータ及び制御情報を基地局制御情報処理部104へ出力する。また、ベースバンド信号処理部103は、取得した制御情報を着信履歴管理部110へ出力する。また、ベースバンド信号処理部103は、着信履歴管理部110から後述する着信情報が入力した場合に、入力した着信情報を含むベースバンド信号を生成して無線部102へ出力する。
【0021】
基地局制御情報処理部104は、基地局装置100の上位局である局間制御局、及び周辺基地局装置であるマクロ基地局装置との間で有線インタフェース(LTEにおいてはS1及びX2)により接続される。ここで、マクロ基地局装置とは、基地局装置100が構成するセルよりも大きなセルを構成する基地局装置である。
【0022】
また、基地局制御情報処理部104は、上記の有線インタフェースで伝送される制御データ(C−Plane)、及びユーザーデータ(U−Plane)の送受信処理を行う。また、基地局制御情報処理部104は、ベースバンド信号処理部103から入力した制御情報を処理し、基地局の制御を行う。また、基地局制御情報処理部104は、省電力モードへの移行の通知を省電力モード制御部107から受けた場合に、管理サーバー(例えば、MME(Mobility Management Entity)、HeNB GW(Home E−UTRAN NodeB Gateway)及び最寄りのマクロ基地局装置に対して、省電力モードに移行したことを、有線インタフェースを介して通知する。また、基地局制御情報処理部104は、省電力モードの解除の通知をマクロ基地局装置から受信し、受信した省電力モードの解除の通知を省電力モード制御部107へ出力する。また、基地局制御情報処理部104は、基地局装置100を利用可能な通信端末装置の通信先である発信元の電話番号またはE−mailアドレスを、着信の通知として有線インタフェースを介して発信元から取得する。また、基地局制御情報処理部104は、取得した発信元の電話番号またはE−mailアドレスを着信情報判定部109へ出力する。また、基地局制御情報処理部104は、着信情報判定部109から入力した、発信先が通話不可であることを通知するメッセージを、有線インタフェースを介して発信元へ送信する。
【0023】
電源制御部105は、無線部102の電源のオン及びオフを制御する。具体的には、電源制御部105は、省電力モード制御部107から省電力モードへの移行の通知を受けた際に、省電力モードに移行したものと判定し、無線部102の電源をオフにする制御を行う。また、電源制御部105は、省電力モード制御部107から省電力モードの解除の通知を受けた際に、無線部102の電源をオンにする制御を行う。
【0024】
省電力モード時間管理部106は、基地局装置100の省電力モード期間の開始時刻及び終了時刻を記憶する。また、省電力モード時間管理部106は、省電力モード期間の開始時刻になった際に、省電力モードへの移行を省電力モード制御部107に通知する。また、省電力モード時間管理部106は、省電力モード終了時刻になった際に、省電力モードの解除を省電力モード制御部107に通知する。ここで、省電力モード期間の開始時刻及び終了時刻は、ユーザーが任意に設定可能である。
【0025】
省電力モード制御部107は、省電力モード時間管理部106から省電力モードへの移行の通知を受けた場合に、基地局制御情報処理部104と、電源制御部105と、着信履歴管理部110とに対して、省電力モードへの移行の通知を行う。また、省電力モード制御部107は、省電力モード時間管理部106から省電力モードの解除の通知を受けた場合に、電源制御部105及び着信履歴管理部110に対して省電力モードの解除の通知を行う。また、省電力モード制御部107は、省電力モードへの移行の通知を行った場合において、通信中の通信端末装置が自セル内に存在しない場合に、省電力モードを継続するものと判定する。また、省電力モード制御部107は、省電力モードへの移行の通知を行った後の省電力モードの期間中において、省電力モードの解除の通知が基地局制御情報処理部104から入力した場合に、電源制御部105及び着信履歴管理部110に対して省電力モードの解除の通知を行う。また、省電力モード制御部107は、省電力モードへの移行の通知を行った後の省電力モードの期間中に、着信情報判定部109から着信の通知を受けた場合に、電源制御部105及び着信履歴管理部110に対して省電力モードの解除の通知を行う。
【0026】
アドレス帳記憶部108は、アドレス帳情報をあらかじめ記憶する。ここで、アドレス帳情報は、基地局装置100を利用可能な通信端末装置の通信先の電話番号またはE−mailアドレスを登録した情報である。また、アドレス帳情報の電話番号またはE−mailアドレスは、ユーザーが任意に設定可能である。
【0027】
着信情報判定部109は、基地局装置100を利用可能な通信端末装置の通信先である発信元の電話番号またはE−mailアドレスが基地局制御情報処理部104から入力した場合に着信有りと判断する。また、着信情報判定部109は、入力した着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスが、アドレス帳記憶部108に記憶されているアドレス帳情報に登録されている電話番号またはE−mailアドレスと合致する場合に、省電力モード制御部107に対して着信を通知する。また、着信情報判定部109は、入力した着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスが、アドレス帳記憶部108に記憶するアドレス帳情報の電話番号またはE−mailと合致しない場合に、発信元に対して発信先の通信端末装置が通話不可であることを通知するメッセージを作成する。また、着信情報判定部109は、作成したメッセージを基地局制御情報処理部104へ出力する。また、着信情報判定部109は、基地局制御情報処理部104から入力した、着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスが、アドレス帳記憶部108に記憶するアドレス帳情報の電話番号またはE−mailと合致しない場合に、基地局制御情報処理部104から入力した、着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスを着信履歴管理部110へ出力する。
【0028】
着信履歴管理部110は、省電力モード制御部107から省電力モードへの移行の通知を受けた後の省電力モードの期間中において、発信元の電話番号またはE−mailアドレスが着信情報判定部109から入力した場合に、入力した発信元の電話番号またはE−mailアドレスを記憶する。また、着信履歴管理部110は、省電力モード制御部107から省電力モードの解除の通知を受けた後の省電力モード解除後において、ベースバンド信号処理部103から入力した制御情報に基づいて、発信先の通信端末装置が自セルに存在するか否かを判定する。また、着信履歴管理部110は、発信先の通信端末装置が自セルに存在する場合には、記憶した発信元の電話番号またはE−mailアドレスの着信情報を生成してベースバンド信号処理部103へ出力する。
【0029】
以上で、基地局装置100の構成の説明を終える。
【0030】
次に、基地局装置100における省電力制御方法について、図2を用いて説明する。図2は、基地局装置100における省電力制御方法を示すフロー図である。
【0031】
図2より、基地局装置100は、省電力モードか否かを常時または定期的に判定する(ステップST201)。
【0032】
省電力モードである場合には(ステップST201:Yes)、省電力モード制御部107は、基地局制御情報処理部104において省電力モードの解除の通知をマクロ基地局装置から受け取ったか否かを判定する(ステップST202)。
【0033】
基地局制御情報処理部104において省電力モードの解除の通知をマクロ基地局装置から受け取った場合には(ステップST202:Yes)、省電力モード制御部107は、省電力モードを解除する制御を行う(ステップST203)。これにより、電源制御部105は、無線部102の電源をオンにする制御を行う。
【0034】
一方、基地局制御情報処理部104において省電力モードの解除の通知をマクロ基地局装置から受け取っていない場合には(ステップST202:No)、省電力モード制御部107、省電力モード時間管理部106からの通知に基づいて、省電力モード期間内であるか否かを判定する(ステップST204)。
【0035】
省電力モード期間内ではない場合には(ステップST204:No)、省電力モード制御部107は、省電力モードを解除する制御を行う(ステップST203)。
【0036】
一方、省電力モード期間内である場合には(ステップST204:Yes)、着信情報判定部109は、着信有りか否かを判定する(ステップST205)。
【0037】
着信無しの場合には(ステップST205:No)、基地局装置100は、処理を終了する。
【0038】
一方、着信有りの場合には(ステップST205:Yes)、着信情報判定部109は、アドレス帳記憶部108に記憶するアドレス帳情報において、着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスがあるか否かを判定する(ステップST206)。
【0039】
着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスがアドレス帳情報にある場合には(ステップST206:Yes)、省電力モード制御部107は、省電力モードを解除する制御を行う(ステップST203)。
【0040】
一方、着信の発信元の電話番号またはE−mailアドレスがアドレス帳情報に無い場合には(ステップST206:No)、着信履歴管理部110は、発信元の電話番号またはE−mailアドレスを着信情報として記憶する(ステップST207)。
【0041】
次に、着信情報判定部109は、発信先の通信端末装置が通話不可であることを通知するメッセージを作成する。そして、基地局制御情報処理部104は、発信先の通信端末装置が通話不可であることを通知するメッセージを発信元へ送信し(ステップST208)、処理を終了する。
【0042】
ステップST201に戻って、省電力モードではない場合には(ステップST201:No)、着信履歴管理部110は、着信情報を記憶しているか否かを判定する(ステップST209)。
【0043】
着信情報を記憶している場合には(ステップST209:Yes)、着信履歴管理部110は、発信先の通信端末装置が自セルに存在しているか否かを判定する(ステップST210)。
【0044】
発信先の通信端末装置が自セルに存在している場合には(ステップST210:Yes)、基地局装置100は、着信情報を発信先の通信端末装置に送信し(ステップST211)、処理を終了する。
【0045】
また、着信情報を記憶していない場合(ステップST209:No)、または発信先の通信端末装置が自セルに存在していない場合には(ステップST210:No)、省電力モード制御部107は、省電力モード時間管理部106からの通知に基づいて、省電力モードであるか否かを判定する(ステップST212)。
【0046】
省電力モードではない場合には(ステップST212:No)、基地局装置100は、処理を終了する。
【0047】
省電力モードである場合には(ステップST212:Yes)、基地局装置100は、省電力モードに移行することにより、自セルに存在する通信端末装置に不都合が生じないか否かを確認する。確認方法として、現在自セルに存在している通信端末装置の有無をRRC_CONNECTED_UE数により判定する。具体的には、基地局装置100は、RRC_CONNECTED_UE数が「0」であるか否かを判定する(ステップST213)。
【0048】
RRC_CONNECTED_UE数が0でない場合には(ステップST213:No)、基地局装置100は、自セルに存在している通信端末装置が通信中であるか否かを判定する(ステップST214)。
【0049】
自セルに存在している通信端末装置が通信中である場合には(ステップST214:Yes)、基地局装置100は、処理を終了して次の省電力モード判定タイミングを待つ。
【0050】
一方、RRC_CONNECTED_UE数が0である場合(ステップST213:Yes)、または自セルに存在している通信端末装置が通信中ではない場合には(ステップST214:No)、省電力モード制御部107は、省電力モードに移行可能であると判定し、次の省電力モード移行処理に進む(ステップST215)。これにより、電源制御部105は、無線部102の電源をオフにする制御を行う。
【0051】
また、基地局制御情報処理部104は、省電力モードへ移行したことをマクロ基地局装置に通知し(ステップST216)、基地局装置100は処理を終了する。
【0052】
以上で、基地局装置100における省電力制御方法の説明を終える。
【0053】
図3は、基地局装置100が省電力モードに移行した場合において通信端末装置300がマクロ基地局(以下、「省電力モード解除基地局」と記載する)310と通信している状態を示す図である。なお、図3は、図2のステップST215及びステップST216の処理に対応する図である。
【0054】
図3より、通信端末装置300が、セル#350に存在しているものの、基地局装置100と通信中でない場合には、基地局装置100は次の省電力モード移行処理に進む。
【0055】
省電力モード移行処理として、基地局装置100は、無線部102の電源をオフにする(図3の(1))。無線部102の電源のオフにより、セル#350は消滅する。また、基地局装置100は、省電力モードの解除を通知する基地局装置として指定されている省電力モード解除基地局310に対して、省電力モードへの移行を通知する(図3の(2))。省電力モード解除基地局310は、基地局装置100の設置時に設定し、自セルの位置変更や周辺セルの設置状態に応じて再起動やアップデートにより容易に更新できる。また、通信端末装置300は、最寄りの基地局装置である省電力モード解除基地局310のマクロセル#360に在圏し、省電力モード解除基地局310と通信している(図3の(3))。
【0056】
図4は、省電力モード解除基地局310と通信中の通信端末装置300が、基地局装置100にハンドオーバーする状態を示す図である。なお、図4は、図2のステップST202及びステップST203の処理に対応する。
【0057】
省電力モード解除基地局310が省電力モードの解除を通知するのは、省電力モード期間中の基地局装置100を利用可能な通信端末装置300からの発信または通信端末装置300への着信が、省電力モード解除基地局310において行われた場合である(図4の(1))。
【0058】
省電力モード解除基地局310は、通信端末装置300が利用可能な省電力モード期間中の基地局装置100に対して、省電力モードの解除を通知する(図4の(2))。
【0059】
基地局装置100は、省電力モードの解除の通知を受信した場合には、無線部102の電源をオンにすることで省電力モードを解除する(図4の(3))。基地局装置100の無線部102の電源オンにより、基地局装置100はセル#350を構成する。セル#350が構成されることにより、通信端末装置300は基地局装置100のセルサーチが可能になる。通信端末装置100は、セル#350を検出し、通信品質や自分が在圏するセル#350の優先度に基づき、ハンドオーバーするか否かを判定する。
【0060】
通信端末装置300は、セル#350を選択することを決定し、基地局装置100にハンドオーバーする(図4の(4))。
【0061】
また、省電力モード解除基地局310は、省電力モードの解除を通知すると判断する条件として、発信または着信を行う通信端末装置300の位置情報を用いて、通信端末装置300の現在位置が、省電力モード期間中の基地局装置100が省電力モード解除後に構成するセル#350内であるか否かの判定を加えることが好ましい。
【0062】
図5は、基地局装置100が省電力モード期間中において、アドレス帳情報に登録されている発信元から着信があった状態を示す図である。なお、図5は、図2のステップST203、ステップST205及びステップST206の処理に対応する。
【0063】
図5では、基地局装置100が省電力モードに移行することにより、通信端末装置300は、基地局装置100が最後に在圏していた基地局装置となり、現在において在圏している基地局装置が存在していない状態である。
【0064】
基地局装置100の省電力モード期間中において、基地局装置100が省電力モードへの移行時に(図5の(1))、セル#350に存在していた通信端末装置が他のセルに存在していないものとする。この場合において、通信端末装置300は、省電力モード期間中の基地局装置100に対して着信する(図5の(2))。また、基地局装置100は、発信元である通信端末装置300の電話番号またはE−mailアドレスが、アドレス帳記憶部108に記憶するアドレス帳情報に登録されているか否かを判定する(図5の(3))。
【0065】
電話番号またはE−mailアドレスがアドレス帳情報に登録されている発信元の通信端末装置300は、ユーザーの通信端末装置500が通信を行いたい相手であると考えられるため、基地局装置100は省電力モードを解除する(図5の(4))。
【0066】
省電力モードを解除することにより、セル#350が構成され、通信端末装置500は、セル#350に存在することで着信を受けることが可能となり、発信元の通信端末装置300と通信することが可能になる(図5の(5))。
【0067】
なお、判定対象は、アドレス帳に登録されている電話番号またはE−mailアドレスに限らず、ユーザーが任意に設定したもの、ユーザー毎の発着信履歴または警察や病院など緊急度が高いと考えられる発信元としてもよい。また、それらの組み合わせでも良い。
【0068】
図6は、基地局装置100が省電力モードの期間中において、アドレス帳情報に登録されていない発信元から着信があった状態を示す図である。なお、図6は、図2のステップST205〜ステップST208の処理に対応する。
【0069】
基地局装置100は、省電力モードの期間中に(図6の(1))、発信元である通信端末装置300から着信するが(図6の(2))、着信の発信元である通信端末装置300の電話番号またはE−mailアドレスが、アドレス帳情報に登録されていない(図6の(3))。
【0070】
アドレス帳情報に登録されていない発信元である通信端末装置300は、ユーザーである通信端末装置500にとって積極的に通信を行う必要がない相手であると考えられるため、この場合、基地局装置100の省電力モードを解除しない。
【0071】
一方、省電力モード期間中に、何らかの着信があった事実をユーザーは知っておきたい場合がある。このため、着信履歴管理部110は、発信元である通信端末装置300の電話番号またはE−mailアドレスなどの着信情報を記憶する(図6の(4))。記憶した着信情報は、省電力モード解除後に使用する。
【0072】
また、基地局装置100は、発信先の通信端末装置500が現在通話不可であることを通知するメッセージを発信元である通信端末装置300に送信する(図6の(5))。
【0073】
図7は、基地局装置100が省電力モードの期間中において、アドレス帳情報に登録されていない発信元から着信があった後に、基地局装置100が省電力モードを解除した状態を示す図である。なお、図7は、図2のステップST201、及びステップST209〜ステップST211の処理に対応する。
【0074】
基地局装置100は、省電力モードの期間終了、またはアドレス帳情報に登録されていた発信元からの着信により省電力モードを解除する(図7の(1))。この際、通信端末装置500は、セル#350の範囲外に移動していなければ、まだセル#350に存在する(図7の(2))。
【0075】
基地局装置100は、省電力モード解除後、すなわち省電力モードでない場合、省電力モードの期間中に着信履歴管理部110に記憶しておいた電話番号またはE−mailアドレス等の通信端末装置300の着信情報の有無を判定する。着信情報がある場合、着信情報の発信先の対象となる通信端末装置500が、現在自セルであるセル#350に存在しているか否かを判定する。対象となる通信端末装置500が自セル#350に存在している場合、基地局装置100は、通信端末装置500に対して通信端末装置300の着信情報を送信する(図7の(3))。送信した着信情報は、着信履歴管理部110から削除する。
【0076】
一方、対象となる通信端末装置が在圏していない場合、処理を終了し、次の着信情報の有無の判定を待つ。
【0077】
このように、本実施の形態では、省電力モードを解除するか否かの判定を、省電力モードの解除の通知を受け取ったか否か、またはアドレス帳情報に登録されている電話番号またはE−mailアドレスに着信があったか否かにより行う。これにより、本実施の形態によれば、省電力にすることができるとともに、簡便に最適なタイミングで省電力モードを解除することができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、発信元の電話番号またはE−mailアドレスがアドレス帳情報に登録されている場合にのみ省電力モードを解除するので、省電力効果を確実に得ることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、発信元の電話番号またはE−mailアドレスがアドレス帳情報に登録されていないことにより省電力モードを解除しない場合には、通話できない旨のメッセージを発信元に送信する。これにより、本実施の形態によれば、発信元に対して必要かつ適切な情報を提供することができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、省電力モード解除後に、アドレス帳情報に登録されていない発信元の着信情報を発信先に送信するので、発信先に対して必要かつ適切な情報を適切なタイミングで提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明にかかる基地局装置及び省電力制御方法は、例えばフェムト基地局等の小型基地局において省電力にするのに好適である。
【符号の説明】
【0082】
100 基地局装置
101 アンテナ
102 無線部
103 ベースバンド信号処理部
104 基地局制御情報処理部
105 電源制御部
106 省電力モード時間管理部
107 省電力モード制御部
108 アドレス帳記憶部
109 着信情報判定部
110 着信履歴管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺基地局装置が構成するセルよりも小さいセルを構成する基地局装置であって、
前記周辺基地局装置から有線伝送路を介して所定の通知を受け取る通信手段と、
省電力モードの期間中に前記通信手段において受け取った前記通知に応じて、前記省電力モードを解除する制御手段と、
を具備する基地局装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記省電力モードの期間中に前記通信手段において前記省電力モードを解除する前記通知を受け取った場合に、前記省電力モードを解除する請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
自局を利用可能な端末の通信先を登録したアドレス帳情報をあらかじめ記憶する第1の記憶手段をさらに具備し、
前記制御手段は、前記省電力モードの期間中に前記通信手段において受け取った前記通知が、前記アドレス帳情報に登録した通信先からの着信の通知である場合に、前記省電力モードを解除する請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記省電力モードの期間中に前記通信手段において受け取った前記通知が、前記アドレス帳情報に登録していない通信先からの着信の通知である場合に、前記アドレス帳情報に登録していない通信先の着信情報を記憶する第2の記憶手段をさらに具備する請求項3記載の基地局装置。
【請求項5】
前記省電力モードの解除後において、前記自局を利用可能な端末が自セルに存在している場合に、前記自局を利用可能な端末に対して前記着信情報を送信する無線送信手段をさらに具備する請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
前記通信手段は、前記省電力モードの期間中に前記通信手段において受け取った前記通知が、前記アドレス帳情報に登録していない通信先からの着信の通知である場合に、前記アドレス帳情報に登録していない通信先に対して通話できないことを通知するメッセージを送信する請求項3記載の基地局装置。
【請求項7】
周辺基地局装置が構成するセルよりも小さいセルを構成する基地局装置における省電力制御方法であって、
前記周辺基地局装置から有線伝送路を介して所定の通知を受け取るステップと、
省電力モードの期間中に受け取った前記通知に応じて、前記省電力モードを解除するステップと、
を具備する省電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−54767(P2012−54767A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195791(P2010−195791)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】