説明

基地局装置及び通信方法

【課題】異なるタイプの基地局を収容するためのコストを低減することができる。
【解決手段】ベースバンドユニットと、ベースバンドユニットと光回線を介して第1伝送方式で通信する第1無線ユニットと、第1伝送方式と異なる第2伝送方式で第1無線ユニットと通信する第2無線ユニットとを具備する基地局装置であって、ベースバンドユニットは、第2伝送方式のトラフィックを第1伝送方式の信号に多重して伝送する伝送手段を具備し、第1無線ユニットは、第1伝送方式の信号に多重された第2伝送方式のトラフィックを第2無線ユニットに分配する分配手段と、第2無線ユニットからのトラフィックを第1伝送方式の信号に多重する多重手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ベースバンドユニットと無線ユニットとが分離された基地局装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
XGP(eXtended Global Platform)やLTE(Long Term Evolution)などワイヤレスブロードバンド技術が発展する中、益々通信の高速化や高機能化、多機能化が進んでいる。一方、既存の通信方式(PHSや第3世代携帯)は並行して運用されており、通信事業者は新旧両方のインフラを保持する必要がある。その運用コストの1つとして、基地局と局舎間の回線が挙げられる。既存の基地局(例えば、IP化基地局やISDN基地局)の設置場所に新たに次世代の基地局(例えば、XGP基地局)を併設する場合、追加で回線を増設する必要がある為、追加の運用コスト(回線コスト)や機器コストが掛ってしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−171373号公報
【特許文献2】特開平5−122135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来、基地局設置に関するマイグレーションにおいては、基地局タイプによって使用する回線の物理媒体や伝送方式が異なっていた。その場合、異なるタイプの基地局では、異なる回線、伝送方式でネットワークを構築する必要があった。このように、それぞれの基地局タイプに合わせて回線を使用した場合、運用コスト(回線コスト)やその回線を収容する為の機器コストが掛ってしまうという課題があった。
【0005】
本実施形態の目的は、異なるタイプの基地局を収容するためのコストを低減することができる基地局装置及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る基地局装置は、ベースバンドユニットと、前記ベースバンドユニットと光回線を介して第1伝送方式で通信する第1無線ユニットと、前記第1伝送方式と異なる第2伝送方式で前記第1無線ユニットと通信する第2無線ユニットとを具備する基地局装置であって、前記ベースバンドユニットは、前記第2伝送方式のトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重して伝送する伝送手段を具備し、前記第1無線ユニットは、前記第1伝送方式の信号に多重された前記第2伝送方式のトラフィックを前記第2無線ユニットに分配する分配手段と、前記第2無線ユニットからのトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重する多重手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本実施形態に係る通信方法は、ベースバンドユニットと、前記ベースバンドユニットと光回線を介して第1伝送方式で通信する第1無線ユニットと、前記第1伝送方式と異なる第2伝送方式で前記第1無線ユニットと通信する第2無線ユニットとを具備する基地局装置に用いられる通信方法であって、前記ベースバンドユニットにおいて、前記第2伝送方式のトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重して伝送し、前記第1無線ユニットにおいて、前記第1伝送方式の信号に多重された前記第2伝送方式のトラフィックを前記第2無線ユニットに分配し、前記第2無線ユニットからのトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重することを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る基地局装置を示す図である。
【図2】基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図3】IP化基地局への伝送動作を示す図である。
【図4】ISDN基地局への伝送動作を示す図である。
【図5】従来の基地局装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る基地局装置及び通信方法を説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係る基地局装置の全体構成を示した図である。
【0011】
局舎にはIP中継交換機に収容されたベースバンドユニット(BBU;Base Band Unit)1が設置され、ビルの屋上などの屋外装置設置場所には、XGP基地局(RRU;Remote Radio Unit)21と、IP化基地局(携帯電話基地局)22と、ISDN基地局(PHS基地局)23とが設置されている。
【0012】
BBU11とXGP基地局(RRU;Remote Radio Unit)21との間は光ファイバで接続され、この間の伝送方式にはCPRI(Common Public Radio Interface)が採用される。RRU21にはCPRIインタフェース用のDIU(Digital Interface Unit)211が実装されており、他のIP化基地局22やISDN基地局23に対してイーサネット(登録商標)のインタフェースを提供する。
【0013】
IP化基地局22には、イーサネットインタフェース221が実装されており、DIU211と接続される。また、ISDN基地局23にはISDN信号を終端するISDN−DSU231が実装されており、その手前に、CES−RT(Circuit Emulation Service - Remote Terminal)24が設置される。BBU11のIP中継交換機には、ISDN網と接続するためのメタル回線終端装置(INTU)12が設けられている。
【0014】
図2は、RRU21の構成を示すブロック図である。RRU21は、DIU211と、XGPによる無線通信を行うための高周波増幅器212、低雑音増幅器213、送信フィルタ214、受信フィルタ215及びアンテナ216とを備える。DIU211は、光/電気、電気/光変換器201、CPRI処理部202、D/A変換器203、A/D変換器204、PLLタイミング発生器205及びスイッチ206を備える。
【0015】
BBU11からCPRIプロトコルで送られてきた信号は、光/電気変換器201を通り電気信号に変換される。電気信号に変換された信号は、L2(データリンク層)またはL3(ネットワーク層)のスイッチ206によりIQデータ(XGPトラフィック)とイーサネットデータ(IP化基地局22またはISDN基地局23)とに分配される。また、クロックはCPRIプロトコルのSYNCフレームを利用し、PLLタイミング発生器205によりネットワークに同期した信号をIP化基地局22またはISDN基地局23に分配する。
【0016】
一方、RRU21には、スイッチ206を介してIP化基地局22またはISDN基地局23からのイーサネットデータが入力される。CPRI処理部202は、入力されたイーサネットデータを、CPRIプロトコルのイーサネット通信領域に多重する。イーサネットデータとXGPトラフィックとが多重化されたCPRI信号は、電気/光変換器201を通り光信号に変換されたのちBBU11に送信される。
【0017】
このように構成された基地局装置について、各部の接続関係及び作用を各実施例にしたがって説明する。
【0018】
(実施例1)
図3において、BBU11とRRU21は、物理媒体を光ファイバとしCPRIで接続される。BBU11とRRU21との間は、CPRI上のIQデータ領域を利用してXGPトラフィックを、イーサネット通信領域を利用してIP化基地局22のトラフィックを多重して伝送する。多重化された信号は、BBU11とRRU21にてXGPとIP化基地局22のトラフィックをルータまたはスイッチによりL2またはL3のレベルで分配される。また、RRU21は、BBU11からCPRIを経由して受信したネットワークの基準クロックをIP化基地局22の基準クロックとして提供する。
【0019】
このように、XGP基地局21とIP化基地局22のトラフィックをCPRIを利用して共用することで、局舎と基地局との間を光ファイバの回線一つに集約することが可能となる。また、従来BBU11とIP化基地局22との接続に使用していた光回線終端装置(OLTやONU)は不要となる。
【0020】
(実施例2)
図4において、BBU11とRRU21は、物理媒体を光ファイバとしCPRIで接続される。BBU11とRRU21との間は、CPRI上のIQデータ領域を利用してXGPトラフィックを、イーサネット通信領域を利用してISDN基地局23のトラフィックを多重してRRU21へ伝送する。多重化された信号は、RRU21にてXGPとISDN基地局23のトラフィックをL2またはL3レベルで分配される。CES−RT24は、RRU21からのイーサネット信号をISDN信号に変換しISDN基地局23へ伝送する。CES技術を採用することでクロックもIP網を利用して伝送できる。
【0021】
このように、XGPとISDN基地局23のトラフィックをCPRIを利用して共用することで、局舎と基地局との間を光ファイバの回線一つに集約することが可能となる。
【0022】
図5に従来の基地局装置の例を示す。このように、各基地局(ISDN基地局(PHS基地局)、IP化基地局(携帯電話基地局)、XGP基地局(RRU)に対して、それぞれメタル(ISDN)、光ファイバ(PON)、光ファイバ(CPRI)が引かれているため、回線ごとに運用コストが発生する。また、回線を接続するインタフェース装置についても、それぞれ異なるため、機器コストの増大も課題となっていた。
【0023】
これに対し、上記図1に示すように、本実施形態では、XGPとIP化基地局22及びISDN基地局23のトラフィックをCPRIを利用して共用することで、局舎と基地局との間を光ファイバ(CPRI)の回線一つに集約することが可能となる。また、従来使用していた光回線終端装置(OLTやONU)は不要となるため機器コストが低減できる。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、上記実施形態では、XGP基地局について説明したが、LTE基地局やWiMAX基地局等にも適用することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0025】
11…ベースバンドユニット(BBU)、12…INTU、21…XGP基地局(RRU)、211…DIU、22…IP化基地局、221…イーサネットインタフェース、23…ISDN基地局、231…ISDN−DSU、24…CES−RT、201…光/電気、電気/光変換器、202…CPRI処理部、203…D/A変換器、204…A/D変換器、205…PLLタイミング発生器、206…スイッチ、212…高周波増幅器、213…低雑音増幅器、214…送信フィルタ、215…受信フィルタ、216…アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースバンドユニットと、前記ベースバンドユニットと光回線を介して第1伝送方式で通信する第1無線ユニットと、前記第1伝送方式と異なる第2伝送方式で前記第1無線ユニットと通信する第2無線ユニットとを具備する基地局装置であって、
前記ベースバンドユニットは、
前記第2伝送方式のトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重して伝送する伝送手段を具備し、
前記第1無線ユニットは、
前記第1伝送方式の信号に多重された前記第2伝送方式のトラフィックを前記第2無線ユニットに分配する分配手段と、
前記第2無線ユニットからのトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重する多重手段と
を具備することを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記第1伝送方式は、CPRI(Common Public Radio Interface)であることを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記第2伝送方式は、IP(Internet Protocol)であることを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
前記第2伝送方式は、ISDN(Integrated Services Digital Network)であるとき、前記第1無線ユニットと前記第2無線ユニットとの間にIPとISDNとを相互に変換する変換手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項5】
前記伝送手段は、前記第1伝送方式の信号にさらにクロック信号を多重し、
前記分配手段は、前記第1伝送方式の信号に多重された前記クロック信号を前記第2無線ユニットに分配することをさらに特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項6】
ベースバンドユニットと、前記ベースバンドユニットと光回線を介して第1伝送方式で通信する第1無線ユニットと、前記第1伝送方式と異なる第2伝送方式で前記第1無線ユニットと通信する第2無線ユニットとを具備する基地局装置に用いられる通信方法であって、
前記ベースバンドユニットにおいて、
前記第2伝送方式のトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重して伝送し、
前記第1無線ユニットにおいて、
前記第1伝送方式の信号に多重された前記第2伝送方式のトラフィックを前記第2無線ユニットに分配し、
前記第2無線ユニットからのトラフィックを前記第1伝送方式の信号に多重することを有することを特徴とする通信方法。
【請求項7】
前記第1伝送方式は、CPRI(Common Public Radio Interface)であることを特徴とする請求項6記載の通信方法。
【請求項8】
前記第2伝送方式は、IP(Internet Protocol)であることを特徴とする請求項6記載の通信方法。
【請求項9】
前記第2伝送方式は、ISDN(Integrated Services Digital Network)であるとき、前記第1無線ユニットと前記第2無線ユニットとの間でIPとISDNとを相互に変換することをさらに特徴とする請求項6記載の通信方法。
【請求項10】
前記ベースバンドユニットにおいて、前記第1伝送方式の信号にさらにクロック信号を多重し、
前記第1無線ユニットにおいて、前記第1伝送方式の信号に多重された前記クロック信号を前記第2無線ユニットに分配することをさらに特徴とする請求項6記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−244096(P2011−244096A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112473(P2010−112473)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】