説明

基地局装置

【課題】 より簡単な構成で、ユーザからの受信信号を効率よく処理できる基地局装置を提供する。
【解決手段】 基地局3は、ユーザに対するパケットデータを制御して送信し、任意のフレーム(パケット送信周期)において送信するユーザのユーザIDと、このフレームの番号とを通知するパケットデータユーザ制御部300と、このフレーム番号とユーザIDとを管理して逆拡散および復調を制御するレイヤ1制御部310とを有する。レイヤ1制御部310は、フィンガをどのユーザに割り当てたかを示すフィンガ・ユーザ割当情報を作成し、復調部36に出力し、復調部36は、この情報を用いて、生成された位相補償データが同一ユーザ同一パスに対してつながるようにして、復調処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDMA移動通信システムの基地局装置に関し、特に基地局と通信する端末との間でパケット通信を行うパケット通信機能を有する基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基地局は、任意のユーザ(端末;通信ノード)に対するパケットデータを、パケット通信専用チャネルを用いて送信する。
パケットデータ送信の際には、パケットデータが送信される順番、および、パケットデータに関するユーザ情報(符号化方式、変調方式、ユーザあたりのコード数など)が選択および決定される。
例えば、特許文献1は、ユーザそれぞれに対してユーザ情報(符号化方式、変調方式など)を制御する方法を開示する。
基地局は、上り方向(端末から基地局への方向)のチャネルを用いて、下り方向(基地局から端末への方向)のSIR(希望波対干渉波比:Signal-to-Interference power Ratio)、BLER(ブロック誤り率:Block Error Rate)などの品質情報を取得し、この品質情報を用いて、ユーザそれぞれに対して、送信される順番およびユーザ情報を制御する。
【0003】
しかしながら、基地局がパケットデータを端末に対して送信した場合、端末は、所定の期間が経過した後に、応答データを基地局に対して送信するので、基地局では、あるユーザについて、ユーザからの信号を受信しない期間があり、特許文献1においても、この点は考慮されていない。
このため、受信信号を処理するハードウェア(相関器、複素乗算器)が、ユーザそれぞれに対して固定して割り当てられていると、ユーザからの信号を受信しない期間においては、これらのハードウェアは有効に使われない。
【特許文献1】特開2004−166123
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、より簡単な構成で、ユーザからの受信信号を効率よく処理できる基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明にかかる基地局装置は、最大、第1の数の通信ノードとの間でデータを送受信し、所定の期間において、前記第1の数よりも少ない第2の数の前記通信ノードに対してデータを送信し、前記第2の数の通信ノードそれぞれから送信される応答データを含む信号から、応答データを検出する基地局装置であって、前記通信ノードからの応答データについての位相変動を検出する前記第1の数に対応する数の位相変動検出手段と、前記応答データを検出する前記第2の数に対応する数のデータ検出手段と、前記検出された位相変動それぞれを、前記データ検出手段それぞれに対して供給する位相変動供給手段とを有し、前記データ検出手段は、前記供給された位相変動に従って、この供給された位相変動に対応する前記通信ノードからの応答データの位相変動を補償して、前記応答データを検出する。
【0006】
好適には、前記位相変動検出手段は、前記通信ノードを一意に識別するコードデータと、前記信号との相関を検出する第1の相関検出手段と、前記検出されたデータと、移動変動を検出するシンボルとを複素乗算する第1の複素乗算手段とを有し、前記データ検出手段は、前記コードデータと、前記信号との相関を検出する第2の相関検出手段と、前記検出されたデータと、前記位相変動とを複素乗算する第2の複素乗算手段とを有する。
【0007】
また、好適には、前記位相変動供給手段は、前記検出された位相変動を保持し、前記所定の期間とこの所定の期間にデータを送信された通信ノードとに応じて、前記保持された位相変動を、前記データ検出手段に対して供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる基地局装置によれば、より簡単な構成で、ユーザからの受信信号を効率よく処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態にかかる基地局装置について説明する。
図1は、W−CDMA方式の移動体通信システム1を例示する図である。
図1に示すように、移動体通信システム1には、ネットワーク10を介して接続された基地局2−1〜2−3と、基地局と通信する端末(ユーザ;通信ノード)12−1〜12−N(Nは2以上の整数)とが含まれる。
【0010】
ここで、1つの基地局に収容されるユーザ数は、Nを最大値として有限であり、単位時間に基地局と通信できるユーザ数は、M(M<N;Mは1以上の整数)を最大値として有限である。
なお、基地局2−1〜2−3など、複数ある装置のいずれかを特定せずに示すときには、単に基地局2などと略記することがある。
【0011】
図2は、下りパケットデータと、このパケットデータに対する応答を示す上りパケット制御データとの時間関係を示す図であり、図2(a)は単位時間あたりに1つのユーザに対してパケットデータを送信する場合であり、図2(b)は単位時間あたりに複数のユーザに対してパケットデータを送信する場合である。
図2(a)および図2(b)において、長方形は、基地局2と端末12との間で送受信されるパケットデータを示し、このパケットデータの中の番号は、パケットデータを受信または送信するユーザの番号を示す。
【0012】
図2(a)に示すように、パケットデータがパケット通信専用チャネルを用いて送信される場合、ユーザおよびデータブロックは、パケット送信周期t[s](所定の期間)を単位期間として、切り替えられて送信される。
また、移動体通信システム1においては、パケットデータが、あるパケット送信周期にユーザに対して送信されると、このパケットデータに対するACK/NACK情報(応答データ)が、端末12から基地局2に対して、あらかじめ決められている周期T[s]後に、上りのパケット制御チャネルを通して送信される。
例えば、端末12は、パケットデータを正常に受信した場合には、周期T後に基地局2に対してACKを送信し、正常に受信しなかった場合には、NACKを送信する。
【0013】
図2(b)に示すように、移動体通信システム1において、ユーザ数Mが、あるパケット送信周期に割り当てられる最大ユーザ数として設定され得るときには、複数のユーザが、同一のパケット送信周期t[s]に割り当てられる場合がある。
例えば、パケットデータが、あるパケット送信周期に、ユーザ1〜3に対して送信されると、これらのパケットデータそれぞれに対する応答データが、端末それぞれから周期T後に送信される。
【0014】
図3は、本発明にかかる基地局2に含まれるハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように基地局2には、DSP280、ROM282およびRAM284が含まれる。
基地局2の機能(図4〜図7を用いて後述)は、DSP280により実行されるソフトウェアおよび専用のハードウェアまたはこれらのいずれかにより、適宜、実行される。
ソフトウェアは、それぞれ独立したソフトウェアモジュールとして実現され、必要に応じて、適宜、追加あるいは削除されうるようになっており、OS(図示せず)などにより、任意のタイミングで起動されうる。
【0015】
DSP280は、ROM282またはRAM284に記憶されるソフトウェアを実行する。
また、DSP280は、ネットワーク10を介した通信機能、および、基地局2に含まれる他のハードウェア構成との入出力機能を有する。
ROM282は、DSP280により実行されるソフトウェアを記憶する。
RAM284は、ソフトウェアおよび一時的に保持するデータなどを記憶する。
【0016】
図4は、本発明の実施形態にかかる基地局2の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、基地局2は、パケットデータユーザ制御部200、符号化部202、変調部204、拡散部206、パスサーチ部208、レイヤ1制御部210、逆拡散部24、復調部26、パケット制御データ判定部212および無線変復調部214を有する。
【0017】
パケットデータユーザ制御部200、レイヤ1制御部210およびパケット制御データ判定部212は、ROM282(図3)に記憶され、DSP280により実行されるソフトウェアとして実現される。
逆拡散部24および復調部26は、DSP280により実行されるソフトウェアおよび専用のハードウェアまたはこれらのいずれかにより、適宜、実行される。
基地局2は、これらの構成部分により、ユーザに対するパケットデータを制御して送信し、このパケットデータに対する応答データを受信信号から検出する。
【0018】
パケットデータユーザ制御部200は、パケットデータの送信順序を決定する。
また、パケットデータユーザ制御部200は、ネットワーク10から入力され、基地局2と接続する任意のユーザに対して送信されるパケットデータと、このユーザに関するユーザ情報(送信する際の符号化方式、変調方式、ユーザあたりのコード数など)とを、符号化部202に対して出力する。
パケットデータユーザ制御部200は、後述するパケット制御データ判定部212から受け付けるパケット制御データ判定結果などに応じて、ユーザ情報を決定する。
【0019】
符号化部202は、受け付けたユーザ情報に基づいて、パケットデータを符号化して、変調部204に対して出力する。
変調部204は、このユーザ情報に基づいて、符号化後のパケットデータを変調して、拡散部206に対して出力する。
拡散部206は、このユーザ情報に基づいて、変調後のパケットデータを拡散して、無線変復調部214に対して出力する。
無線変復調部214は、拡散後のパケットデータを、無線周波数帯域の無線信号に変換して、端末12に対して送出する。
【0020】
また、無線変復調部214は、端末12から送信された無線周波数帯域の信号を受信し、ベースバンド信号に変換して、パスサーチ部208と逆拡散部24とに対して出力する。
パスサーチ部208は、基地局2に接続しているユーザすべてのパスをサーチし、パスのタイミングを検出して、このパスタイミングをタイミング情報としてレイヤ1制御部210に対して出力する。
レイヤ1制御部210は、このタイミング情報と、基地局2に接続しているユーザすべての上りのコード情報(ユーザに対して一意)とを、逆拡散部24に設定し、さらに、このタイミング情報を復調部26に対して出力する。
【0021】
逆拡散部24は、設定されたタイミング情報とコード情報とに基づいて、ユーザそれぞれの上り信号の逆拡散を行って、逆拡散後のデータを復調部26に対して出力する。
復調部26は、ユーザそれぞれのタイミング情報に基づいて、逆拡散後のデータに対して同期検波およびRAKE合成を行って、ユーザそれぞれから送信された上りパケット制御データ(ACK/NACK情報)をパケット制御データ判定部212に対して出力する。
パケット制御データ判定部212は、任意のユーザに対して送信されたパケットデータに対するACK/NACK情報を判定して、判定結果をパケットデータユーザ制御部200に対して出力する。
【0022】
図5は、図4に示される逆拡散部24および復調部26の構成を詳細に示す図である。
図5に示すように、逆拡散部24は、第1の相関器(相関器A)240−1〜240〜nおよび第2の相関器(相関器B)242−1〜242−nを有し、復調部26は、第1の複素乗算器(複素乗算器A)260−1〜260−n、第2の複素乗算器(複素乗算器B)262−1〜262−n、第1のユーザ合成部264−1および第2のユーザ合成部264−2を有する。
ここで、1つの相関器と、この相関器に対応する1つの複素乗算器との組み合わせをフィンガと呼ぶ。
【0023】
上りユーザ制御チャネルは、主に、同期検波に使用するパイロットシンボルなどの制御情報を送信する。
第1の相関器240および第1の複素乗算器260の組み合わせ(フィンガ;位相変動検出手段)は、上りユーザ制御チャネルを扱い、上りユーザ制御チャネルは、基地局に収容しうるユーザそれぞれに対して独立に設けられている。
例えば、1ユーザあたりのフィンガ数を8として、第1の相関器240および第1の複素乗算器260の組み合わせは、n個設けられる(n=フィンガ数8×基地局最大収容ユーザ数N)。
【0024】
上りパケット制御チャネルは、ユーザに対して送信された下りパケットデータに対するACK/NACK情報を送信する。
第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせ(フィンガ;データ検出手段)は、上りパケット制御チャネルを扱い、上りパケット制御チャネルもまた、基地局に収容しうるユーザそれぞれに対して独立に設けられている。
例えば、第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせもまた、n個設けられる。
【0025】
上りユーザ制御チャネル用のフィンガと、上りパケット制御チャネル用のフィンガとは、同一ユーザ同一パスにつき一対一に対応している。
この対応関係は、基地局2と任意の端末12との間の呼が開放されるまで、不変である。
例えば、端末12−1の上がりユーザ制御チャネルには、第1の相関器240−1〜240−8と第1の複素乗算器260−1〜260−8との組み合わせが固定的に割り当てられ、端末12−1の上りパケット制御チャネルには、第2の相関器242−(n−7)〜242−nと第2の複素乗算器262−(n−7)〜262−nとの組み合わせが固定的に割り当てられている。
【0026】
パスサーチ部208(図4)によりパス(1ユーザにつき8個;フィンガ数)がサーチされると、ユーザのパスそれぞれは、レイヤ1制御部210により、上りユーザ制御チャネルおよび上りパケット制御チャネルそれぞれのフィンガに対して、タイミング情報として入力される。
第1の相関器240(図5)は、ユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第1の複素乗算器260に対して出力する。
第1の複素乗算器260は、この検出されたデータと、同期検波用のパイロットシンボルとを複素乗算し、検出された相関の位相変動(チャネル推定ベクトル;位相補償データ)を検出して、第2の複素乗算器262に対して出力する。
なお、パイロットシンボルは、基地局2および端末12それぞれにおいて既知のシンボルであり、データシンボルの間に挿入されている。
【0027】
一方、第2の相関器242は、第1の相関器240と同様にして、ユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第2の複素乗算器262に対して出力する。
第2の複素乗算器262は、この検出されたデータと、第1の複素乗算器260により検出された位相補償データとを複素乗算して、検出された位相変動を補償し、ユーザのパスについてのデータを、第2のユーザ合成部264−2に対して出力する。
【0028】
第1のユーザ合成部264−1および第2のユーザ合成部264−2は、ユーザそれぞれに対して、複数のパスをRAKE合成する。
また、第2のユーザ合成部264−2は、ユーザそれぞれの上りパケット制御データを、パケット制御データ判定部212に対して出力する。
【0029】
以上説明したように基地局2は動作するが、図2に示すように、パケット制御データは、下りのパケットデータが送信された後に周期T[s]だけ経過してから返されるACK/NACKを送信するためのデータであるので、この応答信号は、ユーザそれぞれにおいては、バースト信号となる。
すなわち、端末12は、信号を定常的には送信しないので、基地局2では、あるユーザについてこのユーザからの信号を受信しない期間(無信号区間)が存在する。
【0030】
移動体通信システム1においては、パケット送信周期t[s]に割り当てられるユーザの最大数はM(M<基地局最大収容ユーザ数N)であると設定されているので、基地局2は、この最大数Mを超えた数のユーザからの信号を、同一周期に受信しない。
つまり、相関器および複素乗算器は、無信号区間においても、割り当てられてしまう場合がある。
また、無信号区間において、相関器および複素乗算器が割り当てられた場合には、この相関器および複素乗算器が、無信号区間にもかかわらず逆拡散処理および復調処理を行って、ACK/NACK情報を検出してしまう場合がある。
【0031】
[第2実施形態]
以下、基地局2において生じうる不具合を解消しうるように構成された基地局3を説明する。
図6は、本発明の実施形態にかかる基地局3の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、基地局3は、パケットデータユーザ制御部300、符号化部202、変調部204、拡散部206、パスサーチ部208、レイヤ1制御部310、逆拡散部34、復調部36、パケット制御データ判定部212および無線変復調部214を有する。
基地局3は、これらの構成部分により、ユーザに対するパケットデータを制御して送信し、このパケットデータに対するACK/NACK情報(応答データ)を受信信号から検出する。
なお、図6に示された構成部分のうち、図4に示された構成部分と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0032】
パケットデータユーザ制御部300は、パケット通信専用チャネルを用いてパケットデータの送信順序を決定し、ネットワーク10から入力され、基地局3と接続する任意のユーザに対して送信されるパケットデータと、このユーザに関するユーザ情報(送信する際の符号化方式、変調方式、ユーザあたりのコード数など)とを、符号化部202に対して出力する。
また、パケットデータユーザ制御部300は、パケット制御データ判定部212から受け付けるパケット制御データ判定結果などに応じて、ユーザ情報を決定する。
【0033】
パケットデータユーザ制御部300は、ユーザからのACK/NACK情報(パケット制御データ判定部212から出力されるパケット制御データ判定結果)を受け付け、このユーザに関するデータ送信を制御する。
例えば、パケットデータユーザ制御部300は、あるパケット送信周期に端末12−1に送信したデータに対するACK/NACK情報を受け付けるまでは、端末12−1に対して次のデータ送信は行わない、という制御を行う。
【0034】
また、パケットデータユーザ制御部300は再送制御を行う。
例えば、パケットデータユーザ制御部300は、端末12−1からのACK情報を受け付けた場合には、端末12−1に対する次のデータ送信では新規データを送る一方、端末12−1からのNACK情報を受け付けた場合には、端末12−1に対する次のデータ送信では前回送ったデータを再送する。
【0035】
また、パケットデータユーザ制御部300は、所定のデータ送信順序決定アルゴリズムに従って、データ送信順序を決定する。
データ送信順序決定アルゴリズムは、SIR、BLERなどの品質情報およびACK/NACK情報に基づいて送信順序を決定する。
例えば、端末12−1に対して送信される新規データと、端末12−2に対して送信される再送データとが、同一のパケット送信周期において重なった場合に、パケットデータユーザ制御部300は、このアルゴリズムに基づいて送信順序を決定する。
【0036】
さらに、パケットデータユーザ制御部300は、任意のフレーム(パケット送信周期;所定の期間)において送信することを決定したユーザを一意に識別するユーザ識別子(ID)と、このフレームを一意に識別するフレーム番号とを、レイヤ1制御部310に対して出力する。
このようにして、パケットデータユーザ制御部300は、パケットデータ送信順序を制御して、フレーム番号と、このフレーム番号により識別されるパケット送信周期に送信されたユーザIDとをレイヤ1制御部310に対して通知する。
【0037】
レイヤ1制御部310は、パスサーチ部208から入力されるタイミング情報(ユーザすべてのパスタイミング)と、ユーザすべての上りのコード情報と、パケットデータユーザ制御部300から通知されたフレーム番号とユーザIDとを管理して、逆拡散および復調を制御する。
具体的には、レイヤ1制御部310は、パケットデータユーザ制御部300から入力されたユーザIDとフレーム番号とに基づいて、このフレーム番号で識別されるパケット送信周期から所定の周期T[s]だけ経過した後のパケット送信周期を特定し、このパケット送信周期を識別するフレーム番号と、このフレームにおいてパケット制御チャネルを通してパケット制御データを送信してくるユーザとを関連づける。
レイヤ1制御部310は、ユーザID、フレーム番号およびこれらに基づいて得られた関連情報を、RAM284(図3)に記憶する。
このようにして、レイヤ1制御部310は、周期T後に送信しうるユーザを特定する。
さらに、レイヤ1制御部310は、パケット制御データ用の第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせ(フィンガ)を、どのユーザに割り当てるかを示すフィンガ・ユーザ割当情報を作成する。
【0038】
レイヤ1制御部310は、タイミング情報とコード情報とフィンガ・ユーザ割当情報とを、逆拡散部34(図7を参照して後述)に対して出力し、ユーザ制御チャネル用の第1の相関器240に対して、ユーザすべての有効なパスそれぞれを割り当てる。
また、レイヤ1制御部310は、あらかじめ関連づけられたフレーム番号とパケット制御データ送信ユーザとの関係(フィンガ・ユーザ割当情報)をさらに利用して、パケット制御チャネル用の第2の相関器242に対して、このフレームにおける送信ユーザすべての有効なパスそれぞれを割り当てる。
【0039】
レイヤ1制御部310は、タイミング情報とフィンガ・ユーザ割当情報とを、復調部36(図7を参照して後述)に対して出力し、ユーザ制御チャネル用の第1の複素乗算器260に対して、ユーザすべての有効なパスそれぞれを割り当てる。
また、レイヤ1制御部310は、あらかじめ関連づけられたフレーム番号とパケット制御データ送信ユーザとの関係をさらに利用して、パケット制御チャネル用の第2の複素乗算器262に対して、このフレームにおける送信ユーザすべての有効なパスそれぞれを割り当てる。
【0040】
また、復調部36において生成される位相補償データが、適切に同期検波に利用されるように、フィンガ・ユーザ割当情報は用いられる。
このように、レイヤ1制御部310は、相関器、複素乗算器および位相補償データが同一ユーザ同一パスに対してつながるように、コード情報、タイミング情報およびフィンガ・ユーザ割当情報を設定して、逆拡散処理および復調処理を制御する。
【0041】
図7は、図6に示される逆拡散部34および復調部36の構成を詳細に示す図である。
図7に示すように、逆拡散部34は、第1の相関器(相関器A)240−1〜240〜nおよび第2の相関器(相関器B)242−1〜242−mを有し、復調部36は、第1の複素乗算器(複素乗算器A)260−1〜260−n、第2の複素乗算器(複素乗算器B)262−1〜262−m、第1のユーザ合成部264−1、第2のユーザ合成部264−2および位相補償データ保持部366(位相変動供給手段)を有する。
なお、図7に示された構成部分のうち、図5に示された構成部分と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0042】
第1の相関器240および第1の複素乗算器260の組み合わせ(フィンガ;位相変動検出手段)は、n個(n=フィンガ数8×基地局最大収容ユーザ数N)設けられているのに対して、第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせ(データ検出手段)は、少なくともあるフレームにおいて送信されうるユーザの数だけ設けられている。
例えば、第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせは、m個設けられている(m=フィンガ数8×1フレームの最大送信ユーザ数M;M<N)。
【0043】
上りユーザ制御チャネル用のフィンガと、上りパケット制御チャネル用のフィンガとは、レイヤ1制御部310から入力されるフィンガ・ユーザ割当情報により対応づけられる。
つまり、この対応関係は、このフレームにおいてのみ有効である。
【0044】
第1の相関器240は、ユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第1の複素乗算器260に対して出力する。
第1の複素乗算器260は、この検出されたデータと、同期検波用のパイロットシンボルとを複素乗算し、位相補償データを検出して、位相補償データ保持部366に対して出力する。
【0045】
位相補償データ保持部366は、第1の複素乗算器260それぞれから入力された位相補償データを保持し、レイヤ1制御部310から出力されたフィンガ・ユーザ割当情報を入力し、このフィンガ・ユーザ割当情報に従って、位相補償データを第2の複素乗算器262に対して出力する。
具体的には、位相補償データ保持部366は、保持している位相補償データそれぞれがいずれのフィンガに対応する位相補償データであるかを、フィンガ・ユーザ割当情報に基づいて判断し、位相補償データそれぞれを、対応するフィンガに対して出力する。
位相補償データ保持部366は、検出された位相補償データをRAM284(図3)に記憶する。
【0046】
第2の相関器242は、あるフレームに送信しうるユーザであって割り当てられたユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第2の複素乗算器262に対して出力する。
第2の複素乗算器262は、この検出されたデータと、位相補償データ保持部366から出力された位相補償データとを複素乗算して同期検波を行い、ユーザのパスについてのデータを、第2のユーザ合成部264−2に対して出力する。
【0047】
第1のユーザ合成部264−1および第2のユーザ合成部264−2は、ユーザそれぞれに対して、複数のパスをRAKE合成しする。
また、第2のユーザ合成部264−2は、あるフレームに送信しうるユーザそれぞれの上りパケット制御データを、パケット制御データ判定部212に対して出力する。
【0048】
[基地局3によるパケットデータ送信処理]
図8は、基地局3によるパケットデータ送信処理のフローチャートを示す図である。
図8に示すように、ステップ100(S100)において、パケットデータユーザ制御部300は、あるフレーム(パケット送信周期)において、所定のデータ送信順序決定アルゴリズムに従ってデータ送信順序を決定し、送信する際のユーザ情報(符号化方式、変調方式、ユーザあたりのコード数など)を選択、決定する。
パケットデータユーザ制御部300は、パケットデータとユーザ情報とを、符号化部202に対して出力する。
【0049】
ステップ102(S102)において、パケットデータユーザ制御部300は、このフレームのフレーム番号と、このフレームにおいて送信されるユーザIDとを、レイヤ1制御部310に対して通知する。
ステップ104(S104)において、レイヤ1制御部310は、通知されたフレーム番号に基づいて、このフレームから所定の周期Tだけ経過した後のフレームのフレーム番号を特定し、通知されたユーザIDを用いて、このフレームと、このフレームにパケット制御チャネルを通してパケット制御データを送信してくるユーザとを関連づける。
【0050】
ステップ106(S106)において、符号化部202は、決定されたユーザ情報に基づいて、パケットデータを符号化して、変調部204に対して出力する。
ステップ108(S108)において、変調部204は、このユーザ情報に基づいて、パケットデータを変調して、拡散部206に対して出力する。
【0051】
ステップ110(S110)において、拡散部206は、このユーザ情報に基づいて、パケットデータを拡散して、無線変復調部214に対して出力する。
ステップ112(S112)において、無線変復調部214は、パケットデータを無線信号に変換して、端末12に向けて送出する。
このようにして、基地局3は、パケットデータを送信したフレームから周期T経過後のフレームにおいて、パケット制御チャネルを通してパケット制御データを送信してくるユーザを特定し、パケットデータを送信する。
【0052】
[基地局3によるパケットデータ受信処理]
図9は、基地局3によるパケットデータ受信処理のフローチャートを示す図である。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、無線変復調部214は、端末12からの受信信号を、ベースバンド信号に変換して、パスサーチ部208と逆拡散部34とに対して出力する。
【0053】
ステップ202(S202)において、パスサーチ部208は、ユーザすべてのパスをサーチし、パスのタイミング(タイミング情報)を検出して、レイヤ1制御部310に対して出力する。
ステップ204(S204)において、レイヤ1制御部310は、タイミング情報に基づいて、ユーザのパスそれぞれを、第1の相関器240および第1の複素乗算器260の組み合わせ(フィンガ)に割り当てる。
また、レイヤ1制御部310は、あらかじめ決定されたフレーム番号とユーザIDとの関連づけに基づいて、当該フレームにパケット制御データを送信してくるユーザのパスそれぞれを、第2の相関器242および第2の複素乗算器262の組み合わせ(フィンガ)に割り当てる。
【0054】
ステップ206(S206)において、第1の相関器240それぞれは、ユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第1の複素乗算器260それぞれに対して出力する。
第1の複素乗算器260それぞれは、この検出されたデータと、パイロットシンボルとを複素乗算し、位相補償データを検出して、位相補償データ保持部366と第1のユーザ合成部264−1に対して出力する。
【0055】
ステップ208(S208)において、位相補償データ保持部366は、出力された位相補償データそれぞれを保持する。
ステップ210(S210)において、レイヤ1制御部310は、フィンガ・ユーザ割当情報を、位相補償データ保持部366に対して出力する。
位相補償データ保持部366は、このフィンガ・ユーザ割当情報に基づいて、当該フレームに送信してくるユーザがどのフィンガに割り当てられているかを特定し、ユーザとパスとにより識別される位相補償データそれぞれを選択して、対応するフィンガに対して出力する。
【0056】
ステップ212(S212)において、第2の相関器242それぞれは、送信してくる(検出されうる)ユーザのコード情報と、ベースバンド信号との相関を検出して、第2の複素乗算器262それぞれに対して出力する。
第2の複素乗算器262それぞれは、第2の相関器242それぞれにより検出されたデータと、対応する位相補償データとを複素乗算して同期検波を行い、あるユーザの1つのパスについてのデータを、第2のユーザ合成部264−2に対して出力する。
ステップ214(S214)において、第1のユーザ合成部264−1および第2のユーザ合成部264−2は、ユーザそれぞれにつき複数のパスをRAKE合成する。
第2のユーザ合成部264−2は、合成後のユーザそれぞれの上りパケット制御データを、パケット制御データ判定部212に対して出力する。
【0057】
ステップ216(S216)において、パケット制御データ判定部212は、ACK/NACK情報を検出および判定し、判定結果をパケットデータユーザ制御部300に対して出力する。
このようにして、基地局3は、あるフレームにおいてユーザに向けて送信したパケットデータに対するACK/NACK情報を、応答信号から検出し判定する。
【0058】
以上説明したように、基地局3は、少なくとも同一パケット送信周期に送信しうるユーザの数だけ第2の相関器242および第2の複素乗算器262(フィンガ)を有し、これらのフィンガに対して送信しうるユーザを割り当てて、ユーザからのACK/NACK情報を検出するので、これらのハードウェア数を削減することができる。
また、基地局3は、データを送信しうるユーザのみを第2の相関器242および第2の複素乗算器262に割り当てて、ACK/NACK情報を検出するので、実際にACK/NACK情報が存在する場合にのみ、ACK/NACK情報を判定することができ、ACK/NACK情報の誤検出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】W−CDMA方式の移動体通信システム1を例示する図である。
【図2】下りパケットデータと、このパケットデータに対する応答を示す上りパケット制御データとの時間関係を示す図であり、図2(a)は単位時間あたりに1つのユーザに対してパケットデータを送信する場合であり、図2(b)は単位時間あたりに複数のユーザに対してパケットデータを送信する場合である。
【図3】基地局に含まれるハードウェア構成を示す図である。
【図4】基地局2の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示される逆拡散部24および復調部26の構成を詳細に示す図である。
【図6】基地局3の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示される逆拡散部34および復調部36の構成を詳細に示す図である。
【図8】基地局3によるパケットデータ送信処理のフローチャートを示す図である。
【図9】基地局3によるパケットデータ受信処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・移動体通信システム
10・・・ネットワーク
12・・・端末
2・・・基地局
200・・・パケットデータユーザ制御部
202・・・符号化部
204・・・変調部
206・・・拡散部
208・・・パスサーチ部
210・・・レイヤ1制御部
212・・・パケット制御データ判定部
214・・・無線変復調部
24・・・逆拡散部
240・・・第1の相関器
242・・・第2の相関器
26・・・復調部
260・・・第1の複素乗算器
262・・・第2の複素乗算器
264・・・ユーザ合成部
280・・・DSP
282・・・ROM
284・・・RAM
3・・・基地局
300・・・パケットデータユーザ制御部
310・・・レイヤ1制御部
34・・・逆拡散部
36・・・復調部
366・・・位相補償データ保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大、第1の数の通信ノードとの間でデータを送受信し、所定の期間において、前記第1の数よりも少ない第2の数の前記通信ノードに対してデータを送信し、前記第2の数の通信ノードそれぞれから送信される応答データを含む信号から、応答データを検出する基地局装置であって、
前記通信ノードからの応答データについての位相変動を検出する前記第1の数に対応する数の位相変動検出手段と、
前記応答データを検出する前記第2の数に対応する数のデータ検出手段と、
前記検出された位相変動それぞれを、前記データ検出手段それぞれに対して供給する位相変動供給手段と
を有し、
前記データ検出手段は、前記供給された位相変動に従って、この供給された位相変動に対応する前記通信ノードからの応答データの位相変動を補償して、前記応答データを検出する
基地局装置。
【請求項2】
前記位相変動検出手段は、
前記通信ノードを一意に識別するコードデータと、前記信号との相関を検出する第1の相関検出手段と、
前記検出されたデータと、移動変動を検出するシンボルとを複素乗算する第1の複素乗算手段と
を有し、
前記データ検出手段は、
前記コードデータと、前記信号との相関を検出する第2の相関検出手段と、
前記検出されたデータと、前記位相変動とを複素乗算する第2の複素乗算手段と
を有する
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記位相変動供給手段は、前記検出された位相変動を保持し、前記所定の期間とこの所定の期間にデータを送信された通信ノードとに応じて、前記保持された位相変動を、前記データ検出手段に対して供給する
請求項1に記載の基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−287316(P2006−287316A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100988(P2005−100988)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】