説明

基板とその位置決め方法、光電変換素子とその製造方法及び製造装置、及び太陽電池

【課題】基板に位置決め用のマーカを簡易に形成することができ、基板の位置決めを高精度に実施する。基板に対して最終的に使用されない耳端部を設ける必要なく、基板に位置決め用のマーカを形成する。
【解決手段】本発明の基板は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する。特定波長域の光が、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線であることが好ましい。位置決め用のマーカが基板の裏面に形成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子用等として好適な基板とその位置決め方法、光電変換素子とその製造方法及び製造装置、及び光電変換素子を用いた太陽電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下部電極(裏面電極)と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有する光電変換素子が、太陽電池等の用途に使用されている。
従来、太陽電池においては、バルクの単結晶Si又は多結晶Si、あるいは薄膜のアモルファスSiを用いたSi系太陽電池が主流であったが、Siに依存しない化合物半導体系太陽電池の研究開発がなされている。化合物半導体系太陽電池としては、GaAs系等のバルク系と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるCIS(Cu−In−Se)系あるいはCIGS(Cu−In−Ga−Se)系等の薄膜系とが知られている。CIS系あるいはCIGS系は、光吸収率が高く、高エネルギー変換効率が報告されている。
【0003】
薄膜系光電変換素子等の各種電子デバイスの分野においては、可撓性基板上に各種機能膜を成膜及び加工して、デバイス全体を薄板状に加工する技術の開発が進められている。かかるプロセスでは、原材料使用量を低減でき、製造工程を連続工程(Roll to Roll工程)とすることができるので、製造コストを低減することができる。光電変換素子用の可撓性基板としては、金属基材の表面に絶縁膜を形成した基板等が挙げられる。
【0004】
従来より、高効率化及び低コスト化等を目的として、集積デバイスをモノリシックに作製することが行なわれている。その際、鍵となる技術の一つが、薄膜に開溝部を設けて多数のセルに分割する技術である。多数のセルに分割するための上記開溝部を形成する際には、基板の位置を高精度に検出する必要がある。
【0005】
特許文献1,2には、基板に位置決め用のマーカを設けて、基板の位置検出を行うことが記載されている。特許文献1の請求項3には、基板に形成されたマーカを基準としてパターニングの位置決めを行うことが開示されており、段落0028にマーカとして基板に開けた直径1.5mmの孔が挙げられている。特許文献2の請求項10には最終的に光電変換素子に使用されない基板の耳端部を裁断除去する際に、基板に形成されたマーカを検出して裁断位置信号を得ることが記載されており、図2(A)にマーカ(1m)として孔が図示されている。これら文献に示されているように、従来、基板の位置決め用のマーカとしては孔が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-110224号公報
【特許文献2】特開2000-183387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載された孔からなるマーカでは、基板にマーカを形成する加工が大掛かりであり、基板の削りカスが生じるため、削りカスの洗浄工程が必須となる。また、基板に対して最終的に光電変換素子に使用されない耳端部を設けてマーカを形成する必要があり、基板の全面を有効に活用することができない。
【0008】
半導体デバイスでは、Siウエハに元々利用できない耳端部があるので、耳端部にマーカを設けても基板の有効利用面積に変わりはないが、光電変換素子では、耳端部をなくすことができれば、基板の有効利用面積が大きくなり、耳端部の裁断除去工程も不要となるので、好ましい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、基板に位置決め用のマーカを簡易に形成することができ、基板の位置決めを高精度に実施できる基板とその位置決め方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、基板に対して最終的に使用されない耳端部を設ける必要なく、基板に位置決め用のマーカを形成することができる基板とその位置決め方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記基板を用いた光電変換素子とその製造方法及び製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の基板は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の光電変換素子は、
基板上に下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有し、かつ該積層構造が複数の開溝部によって複数のセルに分割された光電変換素子において、
前記基板は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の太陽電池は、上記の本発明の光電変換素子を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の基板の位置決め方法は、
特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する基板を用い、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射し、前記位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、前記基板の位置決めを行うことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の光電変換素子の製造方法は、
基板上に下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有し、かつ該積層構造が複数の開溝部によって複数のセルに分割された光電変換素子の製造方法において、
前記基板として、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する基板を用い、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射し、前記位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、前記基板の位置決めを行う工程を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の光電変換素子の製造方法において、
前記基板の位置決めを行う工程を実施した後に、得られた前記基板の位置データに基づいて、前記複数の開溝部を形成する工程を有することが好ましい。
【0016】
本発明の光電変換素子の製造装置は、上記の本発明の光電変換素子を製造する製造装置であって、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射する光照射手段と、
前記位置決め用のマーカからの反射光を検出する検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明の光電変換素子の製造装置はさらに、前記複数の開溝部を形成するスクライブ加工手段を備えたことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板に位置決め用のマーカを簡易に形成することができ、基板の位置決めを高精度に実施できる基板とその位置決め方法を提供することができる。
本発明によれば、基板に対して最終的に使用されない耳端部を設ける必要なく、基板に位置決め用のマーカを形成することができる基板とその位置決め方法を提供することができる。
本発明によれば、上記基板を用いた光電変換素子とその製造方法及び製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明に係る一実施形態の光電変換素子の短手方向の模式断面図
【図1B】本発明に係る一実施形態の光電変換素子の長手方向の模式断面図
【図2】陽極酸化基板の構成を示す模式断面図
【図3】陽極酸化基板の製造方法を示す斜視図
【図4】陽極酸化基板の裏面を示す平面図
【図5】I−III−VI化合物半導体における格子定数とバンドギャップとの関係を示す図
【図6】本発明に係る一実施形態の製造装置(スクライブ加工装置)の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
「基板」
本発明の基板は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有することを特徴とするものである。
光吸収剤による光吸収率、光反射剤による光反射率は特に制限なく、位置検出が可能なレベルであればよい。
【0020】
前記特定波長域の光は特に制限されず、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線であることが好ましい。
【0021】
本明細書において、「近赤外線」は700〜2500nmの波長域内の光、「赤外線」は700〜1000μmの波長域内の光、「近紫外線」は290〜380nmの波長域内の光、「紫外線」は100〜380nmの波長域内の光であると定義する。
【0022】
光吸収剤又は光反射剤の形態は特に制限されず、基板に塗布可能な染料、顔料、あるいはこれらを含むインク等が好ましい。かかる材形であれば、基板上にインクジェット法等により光吸収剤又は光反射剤を所望のパターンで塗布印刷し、その後、必要に応じて加熱等により乾燥することで、位置決め用マーカを簡易に形成できる。
【0023】
検出光の光源としては特に制限されない。近赤外線又は赤外線を吸収又は反射するマーカの場合、750〜850nmの近赤外線を発光する近赤外LED等が使用できる。近紫外線又は紫外線を吸収又は反射するマーカの場合、ブラックライト等が使用できる。
【0024】
近赤外線又は赤外線を吸収する光吸収剤としては、特開2008-284817号公報段落[0029]〜[0041]に記載の波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料が挙げられる。
近赤外線又は赤外線を吸収する染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
【0025】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等の公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号明細書記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0026】
米国特許第5,156,938号明細書記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報(米国特許第4,327,169号明細書)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号明細書に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号の各公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)及び(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0027】
赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。これらの染料のうち中でも好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。
【0028】
近赤外線又は赤外線を吸収する顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0029】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0030】
近赤外線又は赤外線を吸収するインクとしては、富士フイルム(株)製「赤外線吸収インクPro-JET」等が挙げられる。
【0031】
近紫外線又は紫外線を吸収する光吸収剤としては、特開2008-195830号公報段落[0028]〜[0034]に記載のものが挙げられる。
【0032】
近紫外線又は紫外線を吸収する光吸収剤としては、ベンゾトアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、及び環状イミノエステル系等が挙げられる。
【0033】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
さらに、アデカスタブLA−31(商品名:旭電化社製)等のように、紫外線吸収骨格がメチレン等を介して2量化した分子量の大きい化合物もまた好ましく用いられる。
【0034】
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば以下のものを挙げることができる。2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−m−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ベンゾイルフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−o−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−シクロヘキシル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−(又はm−)フタルイミドフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2、2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−デカメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6−又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4オン)。
【0035】
1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、および2,4,6−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン。
【0036】
2,8−ジメチル−4H,6H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジメチル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,9−ジオン、2,8−ジフェニル−4H,8H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジフェニル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d’)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、6,6’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−エチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6 ’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−エチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−ブチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−オキシビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−スルホニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6’−カルボニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’ −メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7 ’−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7’−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7’−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)。
【0037】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ −ジメトキシベンゾフェノン、2,−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0038】
サリチル酸系紫外線吸収剤としては、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−n−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
【0039】
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば2−エチルへキシルー2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等を挙げることが可能である。
【0040】
紫外線を吸収する光吸収剤としては、不可視インクと呼ばれ、可視光では視認できないが紫外線照射により視認可能となるインクが使用できる。不可視インクとしては、(株)ユニオンコーポレーション製「インビジブルインク#214、#6330」(紫外線照射により青く視認できる。)等が挙げられる。
【0041】
本発明の基板の組成は特に制限されない。本発明は、下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有する光電変換素子等に好ましく適用できる。
【0042】
光電変換素子用の基板としては、ソーダライムガラス基板等のガラス基板、表面に絶縁膜が成膜されたAl、Cu、Ti、及びステンレス等の金属基板、Alを主成分とする金属基材の少なくとも一方の面側に陽極酸化膜を有する陽極酸化基板、及びポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。
【0043】
連続搬送系(Roll to Roll工程)により高速で製造が可能であること、薄型軽量化が可能なことから、陽極酸化基板、表面に絶縁膜が成膜された金属基板、及び樹脂基板等の可撓性基板を用いることが好ましい。
【0044】
ポリイミド等の樹脂基板を用いる場合には、樹脂の耐熱温度以下で光電変換層の成膜を行う必要があり、400℃程度のプロセスが限界である。この温度では高特性の光電変換層を成膜することは難しいため、エネルギーアシスト層を設けるなどの工夫を要する。
【0045】
熱応力による基板の反り等を抑制するためには基板とその上に形成される各層との間の熱膨張係数差が小さいことが好ましい。光電変換層及び下部電極(裏面電極)との熱膨張係数差、コスト、及び太陽電池に要求される特性等の観点から、また、大面積基板を用いる場合も、その表面全体にピンホールなく簡易に絶縁膜を形成することができことから、Alを主成分とする金属基材の少なくとも一方の面側に陽極酸化膜を有する陽極酸化基板が特に好ましい。
【0046】
本明細書において、「金属基材の主成分」は、含量98質量%以上の成分であると定義する。金属基材は、微量元素を含んでいてもよい純Al基材でもよいし、Alと他の金属元素との合金基材でもよい。
本明細書において、基板上に形成される電極、光電変換半導体層、及び必要に応じて設けられる他の任意の層の「主成分」は、含量90質量%以上の成分であると定義する。
【0047】
本発明の基板では、位置決め用のマーカに対して位置決め用のマーカが選択的に吸収/又は反射する特定波長域内の検出光を照射し、位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、基板の位置決めを行うことができる。
【0048】
すなわち、本発明の基板の位置決め方法は、
特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する基板を用い、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射し、前記位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、前記基板の位置決めを行うことを特徴とするものである。
【0049】
本発明では光吸収剤又は光反射剤を用いてマーカを形成し、マーカを形成するために孔を空けない。したがって、基板に位置決め用のマーカを簡易に形成することができ、基板に孔を設けることで生じる削りカスの洗浄工程が不要である。
【0050】
本発明では特定波長域の光を用いて光検出によりマーカを検出することができるので、基板の位置決めを高精度に実施することができる。特に、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線を選択的に吸収又は反射するマーカを用いることで、外光の影響をなくして、基板の位置検出を高感度に実施することができる。
【0051】
本発明では孔を設けないので、基板の裏面にマーカを形成することができる。したがって、マーカを形成するために基板に対して最終的に使用されない耳端部を設ける必要がない。したがって、本発明によれば、基板の全面を有効に活用することが可能となり、耳端部の裁断除去工程も不要となる。
【0052】
「光電変換素子」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の光電変換素子の構造について説明する。図1Aは光電変換素子の短手方向の模式断面図、図1Bは光電変換素子の長手方向の模式断面図、図2は陽極酸化基板の構成を示す模式断面図、図3は陽極酸化基板の製造方法を示す斜視図、図4は基板の裏面を示す平面図である。視認しやすくするため、図中、各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0053】
光電変換素子1は、陽極酸化基板10上に、下部電極(裏面電極)20と光電変換半導体層30とバッファ層40と上部電極50とが順次積層された素子である。以降、光電変換半導体層は「光電変換層」と略記する。
【0054】
光電変換素子1には、短手方向断面視において、下部電極20のみを貫通する第1の開溝部61、光電変換層30とバッファ層40とを貫通する第2の開溝部62、及び上部電極50のみを貫通する第3の開溝部63が形成されており、長手方向断面視において、光電変換層30とバッファ層40と上部電極50とを貫通する第4の開溝部64が形成されている。
【0055】
上記構成では、第1〜第4の開溝部61〜64によって素子が多数のセルCに分離された構造が得られる。また、第2の開溝部62内に上部電極50が充填されることで、あるセルCの上部電極50が隣接するセルCの下部電極20に直列接続した構造が得られる。
【0056】
(陽極酸化基板)
本実施形態において、陽極酸化基板10はAlを主成分とする金属基材11の少なくとも一方の面側を陽極酸化して得られた基板である。陽極酸化基板10は、図2の左図に示すように、金属基材11の両面側に陽極酸化膜12が形成されたものでもよいし、図2の右図に示すように、金属基材11の片面側に陽極酸化膜12が形成されたものでもよい。陽極酸化膜12はAlを主成分とする膜である。
【0057】
デバイスの製造過程において、AlとAlとの熱膨張係数差に起因した基板の反り、及びこれによる膜剥がれ等を抑制するには、図2の左図に示すように金属基材11の両面側に陽極酸化膜12が形成されたものが好ましい。両面の陽極酸化方法としては、片面に絶縁材料を塗布して片面ずつ両面を陽極酸化する方法、及び両面を同時に陽極酸化する方法が挙げられる。
【0058】
陽極酸化基板10の両面側に陽極酸化膜12を形成する場合、基板両面の熱応力のバランスを考慮して、2つの陽極酸化膜12の膜厚がほぼ等しくする、若しくは光電変換層等が形成されない面側の陽極酸化膜12を他方の陽極酸化膜12よりもやや厚めとすることが好ましい。
【0059】
金属基材11としては、日本工業規格(JIS)の1000系純Alでもよいし、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al−Zr系合金、Al−Si系合金、及びAl−Mg−Si系合金等のAlと他の金属元素との合金でもよい(「アルミニウムハンドブック第4版」(1990年、軽金属協会発行)を参照)。金属基材11には、Fe、Si、Mn、Cu、Mg、Cr、Zn、Bi、Ni、及びTi等の各種微量金属元素が含まれていてもよい。
【0060】
陽極酸化は、必要に応じて洗浄処理・研磨平滑化処理等が施された金属基材11を陽極とし陰極と共に電解質に浸漬させ、陽極陰極間に電圧を印加することで実施できる。陰極としてはカーボンやアルミニウム等が使用される。電解質としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びアミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
【0061】
陽極酸化条件は使用する電解質の種類にもより特に制限されない。条件としては例えば、電解質濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.005〜0.60A/cm、電圧1〜200V、電解時間3〜500分の範囲にあれば適当である。
【0062】
電解質としては、硫酸、リン酸、シュウ酸、若しくはこれらの混合液が好ましい。かかる電解質を用いる場合、電解質濃度4〜30質量%、液温10〜30℃、電流密度0.05〜0.30A/cm、及び電圧30〜150Vが好ましい。
【0063】
図3に示すように、Alを主成分とする金属基材11を陽極酸化すると、表面11sから該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、Alを主成分とする陽極酸化膜12が生成される。陽極酸化により生成される陽極酸化膜12は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体12aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体12aの略中心部には、表面11sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔12bが開孔され、各微細柱状体12aの底面は丸みを帯びた形状となる。通常、微細柱状体12aの底部には微細孔12bのないバリア層(通常、厚み0.01〜0.4μm)が形成される。陽極酸化条件を工夫すれば、微細孔12bのない陽極酸化膜12を形成することもできる。
【0064】
陽極酸化膜12の微細孔12bの径は特に制限されない。表面平滑性及び絶縁特性の観点から、微細孔12bの径は好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。微細孔12bの径は10nm程度まで小さくすることが可能である。
【0065】
陽極酸化膜12の微細孔12bの開孔密度は特に制限されない。絶縁特性の観点から、微細孔12bの開孔密度は好ましくは100〜10000個/μmであり、より好ましくは100〜5000個/μmであり、特に好ましくは100〜1000個/μmである。
【0066】
陽極酸化膜12の表面粗さRaは特に制限されない。上層の光電変換層30を均一に形成する観点から、陽極酸化膜12の表面平滑性は高い方が好ましい。表面粗さRaは好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
【0067】
金属基材11及び陽極酸化膜12の厚みは特に制限されない。陽極酸化基板10の機械的強度及び薄型軽量化等を考慮すれば、陽極酸化前の金属基材11の厚みは例えば0.05〜0.6mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。基板の絶縁性、機械的強度、及び薄型軽量化を考慮すれば、陽極酸化膜12の厚みは例えば0.1〜100μmが好ましい。
【0068】
陽極酸化膜12の微細孔12bには、必要に応じて公知の封孔処理を施してもよい。封孔処理により、耐電圧及び絶縁特性を向上させることが可能である。また、アルカリ金属イオンを含む材料を用いて封孔を行うと、CIGS等からなる光電変換層30のアニール時にアルカリ金属、好ましくはNaが光電変換層30に拡散し、そのことにより光電変換層30の結晶性が向上し、光電変換効率が向上する場合がある。
【0069】
本実施形態において、陽極酸化基板10は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカ13を有する本発明の基板である。
【0070】
具体的には、図4に示すように、陽極酸化基板10の裏面10Bには、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカ13が形成されている。本実施形態において、位置決め用のマーカ13は光電変換素子1に必要な層(電極及び光電変換層等)が形成されない基板10の裏面10Bに形成されているので、その形成位置は制限されず、任意である。
【0071】
位置決め用のマーカ13の形状及び大きさは光検出ができれば特に制限なく、「×」の場合について図示してある。マーカ13の形状は、ライン状、ドット状、及び点線状等でもよい。
【0072】
本実施形態では、位置決め用のマーカ13に対して位置決め用のマーカ13が選択的に吸収/又は反射する特定波長域内の検出光を照射し、位置決め用のマーカ13からの反射光を検出することで、基板10の位置決めを行うことができる。
【0073】
(光電変換層)
光電変換層30は光吸収により電流を発生する層である。その主成分は特に制限されず、少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体であることが好ましい。光電変換層30の主成分は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
【0074】
光吸収率が高く、高い光電変換効率が得られることから、
光電変換層30の主成分は、
Cu及びAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることが好ましい。
【0075】
上記化合物半導体としては、
CuAlS,CuGaS,CuInS
CuAlSe,CuGaSe,CuInSe(CIS),
AgAlS,AgGaS,AgInS
AgAlSe,AgGaSe,AgInSe
AgAlTe,AgGaTe,AgInTe
Cu(In1−xGa)Se(CIGS),Cu(In1−xAl)Se,Cu(In1−xGa)(S,Se)
Ag(In1−xGa)Se,及びAg(In1−xGa)(S,Se)等が挙げられる。
【0076】
光電変換層30は、CuInSe(CIS)、及び/又はこれにGaを固溶したCu(In,Ga)Se(CIGS)を含むことが特に好ましい。CIS及びCIGSはカルコパイライト結晶構造を有する半導体であり、光吸収率が高く、高エネルギー変換効率が報告されている。また、光照射等による効率の劣化が少なく、耐久性に優れている。
【0077】
光電変換層30には、所望の半導体導電型を得るための不純物が含まれる。不純物は隣接する層からの拡散、及び/又は積極的なドープによって、光電変換層30中に含有させることができる。
【0078】
光電変換層30中において、I−III−VI族半導体の構成元素及び/又は不純物には濃度分布があってもよく、n型,p型,及びi型等の半導体性の異なる複数の層領域が含まれていても構わない。例えば、CIGS系においては、光電変換層30中のGa量に厚み方向の分布を持たせると、バンドギャップの幅/キャリアの移動度等を制御でき、光電変換効率を高く設計することができる。
【0079】
光電変換層30は、I−III−VI族半導体以外の1種又は2種以上の半導体を含んでいてもよい。I−III−VI族半導体以外の半導体としては、Si等のIVb族元素からなる半導体(IV族半導体)、GaAs等のIIIb族元素及びVb族元素からなる半導体(III−V族半導体)、及びCdTe等のIIb族元素及びVIb族元素からなる半導体(II−VI族半導体)等が挙げられる。
【0080】
光電変換層30には、特性に支障のない限りにおいて、半導体、所望の導電型とするための不純物以外の任意成分が含まれていても構わない。
【0081】
CIGS層の成膜方法としては、1)多源同時蒸着法、2)セレン化法、3)スパッタ法、4)ハイブリッドスパッタ法、及び5)メカノケミカルプロセス法等が知られている。
【0082】
1)多源同時蒸着法としては、
3段階法(J.R.Tuttle et.al,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,Vol.426(1996)p.143.等)と、
ECグループの同時蒸着法(L.Stolt et al.:Proc.13th ECPVSEC(1995,Nice)1451.等)とが知られている。
前者の3段階法は、高真空中で最初にIn、Ga、及びSeを基板温度300℃で同時蒸着し、次に500〜560℃に昇温してCu及びSeを同時蒸着後、In、Ga、及びSeをさらに同時蒸着する方法である。後者のECグループの同時蒸着法は、蒸着初期にCu過剰CIGS、後半でIn過剰CIGSを蒸着する方法である。
【0083】
CIGS膜の結晶性を向上させるため、上記方法に改良を加えた方法として、
a)イオン化したGaを使用する方法(H.Miyazaki, et.al, phys.stat.sol.(a),Vol.203(2006)p.2603.等)、
b)クラッキングしたSeを使用する方法(第68回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007秋 北海道工業大学)7P−L−6等)、
c)ラジカル化したSeを用いる方法(第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P−ZW−10等)、
d)光励起プロセスを利用した方法(第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集(2007春 青山学院大学)29P−ZW−14等)等が知られている。
【0084】
2)セレン化法は2段階法とも呼ばれ、最初にCu層/In層あるいは(Cu−Ga)層/In層等の積層膜の金属プレカーサをスパッタ法、蒸着法、あるいは電着法などで成膜し、これをセレン蒸気またはセレン化水素中で450〜550℃程度に加熱することにより、熱拡散反応によってCu(In1−xGa)Se等のセレン化合物を生成する方法である。この方法を気相セレン化法と呼ぶ。このほか、金属プリカーサ膜の上に固相セレンを堆積し、この固相セレンをセレン源とした固相拡散反応によりセレン化させる固相セレン化法がある。
【0085】
セレン化法においては、セレン化の際に生ずる急激な体積膨張を回避するために、金属プリカーサ膜に予めセレンをある割合で混合しておく方法(T.Nakada et.al,, Solar Energy Materials and Solar Cells 35(1994)204-214.等)、及び金属薄層間にセレンを挟み(例えばCu層/In層/Se層…Cu層/In層/Se層と積層する)多層化プリカーサ膜を形成する方法(T.Nakada et.al,, Proc. of 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference(1991)887-890. 等)が知られている。
【0086】
また、グレーデッドバンドギャップCIGS膜の成膜方法として、最初にCu−Ga合金膜を堆積し、その上にIn膜を堆積し、これをセレン化する際に、自然熱拡散を利用してGa濃度を膜厚方向で傾斜させる方法がある(K.Kushiya et.al, Tech.Digest 9th Photovoltaic Science and Engineering Conf. Miyazaki, 1996(Intn.PVSEC-9,Tokyo,1996)p.149.等)。
【0087】
3)スパッタ法としては、
CuInSe多結晶をターゲットとした方法、
CuSeとInSeをターゲットとし、スパッタガスにHSe/Ar混合ガスを用いる2源スパッタ法(J.H.Ermer,et.al, Proc.18th IEEE Photovoltaic Specialists Conf.(1985)1655-1658.等)、
Cuターゲットと、Inターゲットと、SeまたはCuSeターゲットとをArガス中でスパッタする3源スパッタ法(T.Nakada,et.al, Jpn.J.Appl.Phys.32(1993)L1169-L1172.等)が知られている。
【0088】
4)ハイブリッドスパッタ法としては、前述のスパッタ法において、CuとIn金属は直流スパッタで、Seのみは蒸着とするハイブリッドスパッタ法(T.Nakada,et.al., Jpn.Appl.Phys.34(1995)4715-4721.等)が知られている。
【0089】
5)メカノケミカルプロセス法は、CIGSの組成に応じた原料を遊星ボールミルの容器に入れ、機械的なエネルギーによって原料を混合してCIGS粉末を得、その後、スクリーン印刷によって基板上に塗布し、アニールを施して、CIGSの膜を得る方法である(T.Wada et.al, Phys.stat.sol.(a), Vol.203(2006)p2593等)。
【0090】
6)その他のCIGS成膜法としては、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法、及びスプレー法などが挙げられる。例えば、スクリーン印刷法あるいはスプレー法等で、Ib族元素、IIIb族元素、及びVIb族元素を含む微粒子膜を基板上に形成し、熱分解処理(この際、VIb族元素雰囲気での熱分解処理でもよい)を実施するなどにより、所望の組成の結晶を得ることができる(特開平9−74065号公報、特開平9−74213号公報等)。
【0091】
図5は、主なI−III−VI化合物半導体における格子定数とバンドギャップとの関係を示す図である。組成比を変えることにより様々な禁制帯幅(バンドギャップ)を得ることができる。バンドギャップよりエネルギーの大きな光子が半導体に入射した場合、バンドギャップを超える分のエネルギーは熱損失となる。太陽光のスペクトルとバンドギャップの組合せで変換効率が最大になるのがおよそ1.4〜1.5eVであることが理論計算で分かっている。
【0092】
光電変換効率を上げるために、例えばCu(In,Ga)Se(CIGS)のGa濃度を上げたり、Cu(In,Al)SeのAl濃度を上げたり、Cu(In,Ga)(S,Se)のS濃度を上げたりしてバンドギャップを大きくすることで、変換効率の高いバンドギャップを得ることができる。CIGSの場合、1.04〜1.68eVの範囲で調整できる。
【0093】
組成比を膜厚方向に変えることでバンド構造に傾斜を付けることができる。傾斜バンド構造としては、光の入射窓側から反対側の電極方向にバンドギャップを大きくするシングルグレーデットバンドギャップ、あるいは、光の入射窓からPN接合部に向かってバンドギャップが小さくなりPN接合部を過ぎるとバンドギャップが大きくなるダブルグレーデッドバンドギャップの2種類がある(T.Dullweber et.al, Solar Energy Materials & Solar Cells, Vol.67, p.145-150(2001)等)。いずれもバンド構造の傾斜によって内部に発生する電界のため、光に誘起されたキャリアが加速され電極に到達しやすくなり、再結合中心との結合確率を下げるため、発電効率が向上する(WO2004/090995号パンフレット等)。
【0094】
スペクトルの範囲別にバンドギャップの異なる半導体を複数使うと、光子エネルギーとバンドギャップの乖離による熱損失を小さくし、発電効率を向上することができる。このような複数の光電変換層を重ねて用いるものをタンデム型という。2層タンデムの場合、例えば1.1eVと1.7eVの組合せを用いることにより発電効率を向上することができる。
【0095】
(電極、バッファ層)
下部電極20及び上部電極50はいずれも導電性材料からなる。光入射側の上部電極50は透光性を有する必要がある。
下部電極20の主成分としては特に制限されず、Mo,Cr,W,及びこれらの組合わせが好ましく、Moが特に好ましい。下部電極20の厚みは特に制限されず、0.3〜1μmが好ましい。
上部電極50の主成分としては特に制限されず、ZnO,ITO(インジウム錫酸化物),SnO,及びこれらの組合わせが好ましい。上部電極50の厚みは特に制限されず、0.6〜1.0μmが好ましい。
下部電極20及び/又は上部電極50は、単層構造でもよいし、2層構造等の積層構造もよい。
下部電極20及び上部電極50の成膜方法は特に制限されず、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法等の気相成膜法が挙げられる。
【0096】
バッファ層40の主成分としては特に制限されず、CdS,ZnS,ZnO,ZnMgO,ZnS(O,OH) ,及びこれらの組合わせが好ましい。バッファ層40の厚みは特に制限されず、0.03〜0.1μmが好ましい。
好ましい組成の組合わせとしては例えば、Mo下部電極/CdSバッファ層/CIGS光電変換層/ZnO上部電極が挙げられる。
【0097】
光電変換層30〜上部電極50の導電型は特に制限されない。通常、光電変換層30はp層、バッファ層40はn層(n−CdS等)、上部電極50はn層(n−ZnO層等 )あるいはi層とn層との積層構造(i−ZnO層とn−ZnO層との積層等)とされる。かかる導電型では、光電変換層30と上部電極50との間に、pn接合、あるいはpin接合が形成されると考えられる。また、光電変換層30の上にCdSからなるバッファ層40を設けると、Cdが拡散して、光電変換層30の表層にn層が形成され、光電変換層30内にpn接合が形成されると考えられる。光電変換層30内のn層の下層にi層を設けて光電変換層30内にpin接合を形成してもよいと考えられる。
【0098】
(その他の構成)
光電変換素子1は必要に応じて、上記で説明した以外の任意の構成を備えることができる。
【0099】
ソーダライムガラス基板を用いた光電変換素子においては、基板中のアルカリ金属元素(Na元素)がCIGS膜に拡散し、エネルギー変換効率が高くなることが報告されている。本実施形態においても、アルカリ金属をCIGS膜に拡散させることは好ましい。アルカリ金属元素の拡散方法としては、Mo下部電極上に蒸着法またはスパッタリング法によってアルカリ金属元素を含有する層を形成する方法(特開平8−222750号公報等)、Mo下部電極上に浸漬法によりNaS等からなるアルカリ層を形成する方法(WO03/069684号パンフレット等)、Mo下部電極上に、In、Cu及びGa金属元素を含有成分としたプリカーサを形成した後このプリカーサに対して例えばモリブデン酸ナトリウムを含有した水溶液を付着させる方法等が挙げられる。
【0100】
また、下部電極20を積層構造とし、下部電極20の積層構造の間に、NaS,NaSe,NaCl,NaF,及びモリブデン酸ナトリウム塩等の1種又は2種以上のアルカリ金属化合物を含む層を設ける構成も好ましい。この層は、酸化アルミニウム等のアルカリ金属を含まない材料を含んでいてもよい。
【0101】
陽極酸化基板10と下部電極20との間、及び/又は下部電極20と光電変換層30との間に、必要に応じて、層同士の密着性を高めるための密着層(緩衝層)を設けることができる。また、必要に応じて、陽極酸化基板10と下部電極20との間に、アルカリイオンの拡散を抑制するアルカリバリア層を設けることができる。アルカリバリア層については、特開平8−222750号公報を参照されたい。
【0102】
本実施形態の光電変換素子1は、以上のように構成されている。
本実施形態の光電変換素子1は陽極酸化基板10を用いた素子であるので、軽量かつフレキシブルであり、連続工程(Roll to Roll工程)による製造が可能であり、低コストで製造可能な素子である。
【0103】
本実施形態では、基板10に光吸収剤又は光反射剤を用いてマーカ13を形成し、マーカ13を形成するために孔を空けない。したがって、基板10に位置決め用のマーカ13を簡易に形成することができ、基板10に孔を設けることで生じる削りカスの洗浄工程が不要である。
【0104】
本実施形態では特定波長域の光を用いて光検出によりマーカを検出することができるので、基板10の位置決めを高精度に実施することができる。特に、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線を選択的に吸収又は反射するマーカ13を用いることで、外光の影響をなくして、基板10の位置検出を高感度に実施することができる。
【0105】
本実施形態では孔を設けないので、基板10の裏面10Bにマーカを形成することができる。したがって、マーカ13を形成するために基板10に対して最終的に使用されない耳端部を設ける必要がなく、基板10の全面を有効に活用することができ、耳端部の裁断除去工程も不要である。
【0106】
本実施形態では、開溝部61〜64の形成時に基板10の位置決めを高精度に実施することができ、高精度に開溝部61〜64を形成することができ、歩留まり良く、光電変換素子1を製造することができる。
【0107】
例えば、下部電極20を形成した後、位置決め用のマーカ13に対して特定波長域内の検出光を照射し、位置決め用のマーカ13からの反射光を検出することで、基板10の位置決めを行い、その後に、得られた基板10の位置データに基づいて複数の開溝部61を形成することで、複数の開溝部61を高精度に形成することができる。開溝部62〜64についても同様である。
【0108】
光電変換素子1においては、それぞれの膜の材質及び特性により適したスクライブ加工が実施される。例えば、CIGS系の素子では通常、第1の開溝部61は好ましくはレーザスクライブ加工により形成され、第2〜第4の開溝部62〜64は好ましくはスクライブ刃を用いた機械的なスクライブ加工により形成される。
【0109】
マーカ13は基板10の裏面10Bに設け、基板10に対して最終的には切り落とされる耳端部を設けないことが好ましいが、基板10に対して最終的には切り落とされる耳端部を設け、耳端部の表面又は裏面にマーカ13を設ける構成としても構わない。この場合には、基板10の有効利用の効果は得られないが、基板10に位置決め用のマーカ13を簡易に形成することができ、基板10の位置決めを高精度に実施するという効果は得られる。
【0110】
光電変換素子1は、太陽電池等に好ましく使用することができる。光電変換素子1に対して必要に応じて、カバーガラス、保護フィルム等を取り付けて、太陽電池とすることができる。
【0111】
「製造装置(スクライブ加工装置)」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の製造装置(スクライブ加工装置)の構造について説明する。図6は装置の概略斜視図である。
【0112】
本実施形態は、上記実施形態の光電変換素子1の製造装置であり、光電変換層30とバッファ層40との積層膜を形成した後、該積層膜に開溝部62を形成するスクライブ加工装置である。開溝部63,64についても、同じ装置を用いて形成することができる。
【0113】
本実施形態の製造装置(スクライブ加工装置)100は、表面に被スクライブ加工膜M(光電変換層30とバッファ層40との積層膜)が形成された連続した帯状の可橈性基板B(陽極酸化基板10)を、張力を付与しながらウェブ搬送する搬送手段110と、被スクライブ加工膜Mが形成されていない側から可橈性基板Bを押圧する押圧手段120と、可橈性基板Bの押圧手段120により押圧された部分の表面に形成された被スクライブ加工膜Mに対してスクライブ加工を行うスクライブ加工手段130と、基板の位置検出手段150とを備えている。
【0114】
本実施形態において、搬送手段110は、表面に被スクライブ加工膜Mが形成された連続した帯状の可橈性基板Bを送り出す回動可能な第1のローラ(送出しローラ)111と、スクライブ加工後の可橈性基板Bを巻き取る回動可能な第2のローラ(巻取りローラ)112とから概略構成されている。第1のローラ111は、先の工程からスクライブ加工工程に基板を搬送する搬送ローラであってもよい。同様に、第2のローラ112は、スクライブ加工工程から次の工程に基板を搬送する搬送ローラであってもよい。
【0115】
押圧手段120は、可橈性基板Bを押圧する回動可能な押圧ローラ121とその上下方向の位置を調整する位置調整機構(図示略)とから概略構成されている。
【0116】
スクライブ加工手段130は、可橈性基板Bを挟んで押圧ローラ121に対向配置され、機械的にスクライブ加工を行う複数のスクライブ刃131から概略構成されている。複数のスクライブ刃131は可橈性基板Bの幅方向に配列されている。各スクライブ刃131の基板の幅方向の位置及び上下方向の位置が調整可能とされている。図中、符号Hは、スクライブ加工により形成された開溝部を示している。
【0117】
本実施形態の装置100には、蛇行検出センサ141と複数の蛇行修正ローラ142とからなる蛇行修正手段140も備えられている。
【0118】
位置検出手段150は、図4に示した位置決め用のマーカ13に対して位置決め用のマーカ13が選択的に吸収/又は反射する特定波長域内の検出光L1を照射する光照射手段151と、位置決め用のマーカ13からの反射光L2を検出する検出手段152とを備えている。
【0119】
光照射手段151は、レーザあるいは発光ダイオード(LED)等の光源、及び必要に応じて設けられるレンズや光ファイバ等の調光・伝送光学系により構成される。検出手段152としては、反射光L2の光量あるいは波長スペクトル等の光学特性を検出する受光素子等が挙げられる。検出手段152としては、光学濃度計、分光光度計、(近)赤外光あるいは(近)紫外光の透過フィルタをつけた各種半導体光センサあるいは光電管等が挙げられる。
【0120】
位置決め用のマーカ13の形状及び大きさは光検出ができれば特に制限なく、「×」の場合について図示してある。帯状の可橈性基板Bに対して幅方向に沿って一方の端部又は両端部にライン状に位置決め用のマーカ13を引くなどしてもよい。
【0121】
本実施形態の製造装置(スクライブ加工装置)100は、以上のように構成されている。本実施形態によれば、基板Bの位置決めを高精度に実施でき、開溝部62〜64を高精度に形成することができる。位置検出手段150はレーザスクライブ加工により開溝部61を形成する場合にも適用可能である。この場合には、スクライブ加工手段として、レーザ光を照射するレーザ光学系を備える構成とすればよい。
【0122】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の基板とその位置検出方法は、光電変換素子等の用途に好ましく適用できる。本発明の光電変換素子は、太陽電池、及び赤外センサ等の用途に好ましく適用できる。
【符号の説明】
【0124】
1 光電変換素子(太陽電池)
10 陽極酸化基板
11 金属基材
12 陽極酸化膜
13 位置決め用のマーカ
20 下部電極
30 光電変換半導体層
40 バッファ層
50 上部電極
61〜64 開溝部
100 製造装置(スクライブ加工装置)
130 スクライブ加工手段
150 位置検出手段
151 光照射手段
152 検出手段
L1 検出光
L2 反射光
B 可撓性基板
H 開溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有することを特徴とする基板。
【請求項2】
前記特定波長域の光が、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線であることを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
Alを主成分とする金属基材の少なくとも一方の面側に陽極酸化膜を有する陽極酸化基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板。
【請求項4】
下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有する光電変換素子用の基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板。
【請求項5】
基板上に下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有し、かつ該積層構造が複数の開溝部によって複数のセルに分割された光電変換素子において、
前記基板は、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有することを特徴とする光電変換素子。
【請求項6】
前記特定波長域の光が、近赤外線、赤外線、近紫外線、又は紫外線であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記位置決め用のマーカが前記基板の裏面に形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の光電変換素子。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の光電変換素子を備えたことを特徴とする太陽電池。
【請求項9】
特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する基板を用い、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射し、前記位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、前記基板の位置決めを行うことを特徴とする基板の位置決め方法。
【請求項10】
基板上に下部電極と光吸収により電流を発生する光電変換半導体層と上部電極との積層構造を有し、かつ該積層構造が複数の開溝部によって複数のセルに分割された光電変換素子の製造方法において、
前記基板として、特定波長域の光を選択的に吸収する光吸収剤、又は特定波長域の光を選択的に反射する光反射剤を用いて形成された位置決め用のマーカを有する基板を用い、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射し、前記位置決め用のマーカからの反射光を検出することで、前記基板の位置決めを行う工程を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項11】
前記基板の位置決めを行う工程を実施した後に、得られた前記基板の位置データに基づいて、前記複数の開溝部を形成する工程を有することを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項12】
請求項5〜7のいずれかに記載の光電変換素子を製造する製造装置であって、
前記位置決め用のマーカに対して前記特定波長域内の検出光を照射する光照射手段と、
前記位置決め用のマーカからの反射光を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする光電変換素子の製造装置。
【請求項13】
さらに、前記複数の開溝部を形成するスクライブ加工手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の光電変換素子の製造装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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