説明

基板とコネクタの連結構造

【課題】コネクタの位置決め用のガイド孔とランドとの干渉の問題を生じることなく、基板の第1面と第2面とでコネクタを略同じ位置に配置でき、基板の両面のスペースの有効利用が図れる基板とコネクタの連結構造を提供する。
【解決手段】基板2の第1面に設けられたランド12のうち、ランド12の配列方向の両端のランド121が、基板2の第2面に配置されるコネクタのためのガイド孔18と干渉する。そこで、そのランド121が、干渉するガイド孔18を避けるように、2つの部分122,123に2分割されて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板とコネクタの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を層状に重ね、基板間の電気的な導通をとるためには以下の構成がある。第1の構成は基板間をコネクタ及びハーネスで接続するものであり、第2の構成は基板間をコネクタで接続するものである。第1の構成は、ハーネスがある分、基板間の間隔が大きくなる問題がある。第2の構成は、基板間の間隔は小さくできるが、使用するコネクタに制約がある。すなわち、DIP(Dual In-line Package)品のコネクタは、基板上での配置が不利となるため、表面実装型のコネクタが使用される。なお、DIP品のコネクタのはんだ付けには、フローはんだが用いられる。
【0003】
ところで、表面実装型のコネクタには、基板に配置されたときの位置決めのためのガイドピンが設けられている(特許文献1、2)。この場合、基板にはそのガイドピンを挿入するためのガイド孔が設けられる。
【特許文献1】特開平9−326269号公報
【特許文献2】特開2005−56748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような表面実装型のコネクタを用いた構成において、基板の両面のスペースの利用効率をさらに高めるため、基板の表面のコネクタと裏面のコネクタとを基板を挟んだ略同じ位置に配設したいという要望がある。しかし、基板の表面と裏面とで略同じ位置にコネクタを配置しようとした場合、一方の面のコネクタのガイドピンを挿入するためのガイド孔が、他方の面のコネクタが接続されるランドと干渉する問題が生じる場合がある。
【0005】
そこで、本発明の解決すべき課題は、コネクタの位置決め用のガイド孔とランドとの干渉の問題を生じることなく、基板の第1面と第2面とでコネクタを略同じ位置に配置でき、基板の両面のスペースの有効利用が図れる基板とコネクタの連結構造の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、第1のコネクタが基板の第1面に配置され、第1のコネクタが前記基板の第2面に配置され、前記基板に前記第1及び第2のコネクタのガイドピンが挿入される第1及び第2のガイド孔がそれぞれ設けられた基板とコネクタの連結構造であって、前記第1のコネクタとの電気的な接続のために前記基板の前記第1面に設けられた複数のランドのうち、前記第2のコネクタの前記ガイドピンが挿入される前記第2のガイド孔と干渉するランドが、前記第2のガイド孔を避けるように、2つの部分に2分割されて形成される。
【0007】
また、本発明に係る基板とコネクタの連結構造において、2分割された前記ランドは、長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方の寸法が前記第1のコネクタのための他の前記ランドよりも大きい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板の第1面に設けられた複数のランドのうち、第2のコネクタの前記ガイドピンが挿入される第2のガイド孔と干渉するランドが、第2のガイド孔を避けるように、2つの部分に2分割されて形成される。それ故、コネクタの位置決め用のガイド孔とランドとの干渉の問題を生じることなく、基板の第1面と第2面とでコネクタを略同じ位置に配置でき、基板の両面のスペースの有効利用が図れ、基板の小型化にも有利である。
【0009】
また、本発明によれば、2分割された前記ランドは、長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方の寸法が他のランドよりも大きい。それ故、2分割されたランドにおけるコネクタのリードとの接合部分にはんだフィレットを十分に形成でき、分割による接合の信頼性の低下を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る基板とコネクタの連結構造の側面図であり、図2は両面にコネクタが配置された基板の一部を拡大した平面図であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。
【0011】
本実施形態に係る基板とコネクタの連結構造では、図1に示すように、3つの基板1〜3が間隔をあけて層状に配置されている。第1の基板1と第2の基板2とは、互いに嵌合して電気的に接続されるコネクタ4,5によって電気的に接続されている。第2の基板2と第3の基板3とは、互いに嵌合して電気的に接続されるコネクタ6,7によって電気的に接続されている。なお、本発明に係る第1のコネクタにはコネクタ5が相当しており、第2のコネクタにはコネクタ6が相当している。
【0012】
コネクタ4〜7は、実装の面積等の点で有利な表面実装型である。コネクタ4〜7に設けられるリードは、基板1〜3の面に設けられたランドにはんだ付けされる。これによって、コネクタ4〜7と基板1〜3との電気的な接合及び機械的な固定がなされる。例えば、図2に示す第2の基板2では、基板2の第1面(図1の上側の面)11にコネクタ5のリードと接合されるランド12が設けられ、基板2の第2面(図1の下側の面)13にコネクタ6のリードと接合されるランド14が設けられている。
【0013】
また、基板1〜3の各面には、コネクタ4〜7の機械的な固定のためのランドが設けられている。そして、その固定用のランドにコネクタ4〜7の固定用接合部がはんだ付けされる。例えば、図2に示す第2の基板2では、基板2の第1面11にコネクタ5の固定接合部がはんだ付けされる固定用のランド15が設けられ、基板2の第2面13にコネクタ6の固定接合部がはんだ付けされる固定用のランド16が設けられている。
【0014】
また、基板1〜3には、コネクタ4〜7に設けられた位置決め用のガイドピンが挿入されるガイド孔が設けられる。例えば、図2に示す第2の基板2では、コネクタ5のガイドピンが挿入されるガイド孔17と、コネクタ6のガイドピンが挿入されるガイド孔18とが設けられている。また、図3では、コネクタ6のガイドピン21が基板2のガイド孔18に挿入された様子が示されている。
【0015】
このような基板とコネクタの連結構造において、各基板1〜3の各面のスペースを利用効率を高めるためには、コネクタ4〜7を一カ所に集中して配置するのが好ましい。このため、本実施形態では、第2の基板2の第1面(図1の上側の面)11に配置されるコネクタ5と、第2面(図1の下側の面)13に配置されるコネクタ6とが基板2を挟んで略同じ位置に配置されている。
【0016】
しかし、この場合、基板2のいずれか一方又は両方の面11,13に設けたランド12,14と、そのランド12,14が設けられた面の反対側に配置されるコネクタ5,6のためのガイド孔17,18とが干渉することがある。
【0017】
そこで、本実施形態では、基板2のいずれか一方又は両方の面11,13に設けたランド12,14のうち、上記のようにガイド孔18と干渉するランド12については、干渉するガイド孔18を避けるように、2つの部分に2分割されて形成される。
【0018】
図2に示す具体例では、基板2の第1面11に設けられたランド12のうち、ランド12の配列方向の両端のランド121が、第2面13に配置されるコネクタ6のためのガイド孔18と干渉する。そこで、そのランド121が、干渉するガイド孔18を避けるように、2つの部分122,123に2分割されて形成されている。すなわち、部分122,123は、ガイド孔18を避けるように間隔をあけて設けられている。
【0019】
2分割されたランド121とコネクタ5との接続は、図4に示すようにして行われる。すなわち、ランド121の部分122,123間にコネクタ5のリード22が跨るようにして、リード22がランド121にはんだ付けされる。このとき、リード22のランド121との接合部分の周囲には、はんだフィレット23が形成される。
【0020】
以上のような構成により、コネクタ5,6の位置決め用のガイド孔18とランド12との干渉の問題を生じることなく、基板2の第1面11と第2面13とでコネクタ5,6を略同じ位置に配置できる。これによって、各基板1〜3の各面のスペースの有効利用が図れ、基板1〜3の小型化にも有利である。
【0021】
なお、上述の図2に示す2分割されたランド121に関する変形例として、図5に示すように、ランド121の長さ方向の寸法31を2分割されていない他のランド12の同寸法32よりも大きくしてもよい。これによって、2分割されたランド121におけるコネクタ5のリード22との接合部分にはんだフィレット23を十分に形成でき、分割による接合の信頼性の低下を抑制できる。さらなる変形例として、2分割されたランド121の幅方向の寸法33についても、2分割されていない他のランド12の同寸法よりも大きくしてもよい。この場合のランド121の長さ方向の寸法31については、他のランド12と同一でもよいし、あるいは他のランド12よりも大きくてもよい。
【0022】
また、さらに他の変形例として、2分割されたランド121については、コネクタ5の空きピンを割り当ててもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板とコネクタの連結構造の側面図である。
【図2】両面にコネクタが配置された基板の一部を拡大した平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】2分割されたランドとコネクタのリードとがはんだにより接合された状態を示す断面図である。
【図5】図2に示す構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1〜3 基板
4〜7 コネクタ
11 第1面
12 ランド
13 第2面
14 ランド
15,16 固定用のランド
17,18 ガイド孔
21 ガイドピン
22 リード
23 フィレット
121 ランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコネクタが基板の第1面に配置され、第1のコネクタが前記基板の第2面に配置され、前記基板に前記第1及び第2のコネクタのガイドピンが挿入される第1及び第2のガイド孔がそれぞれ設けられた基板とコネクタの連結構造であって、
前記第1のコネクタとの電気的な接続のために前記基板の前記第1面に設けられた複数のランドのうち、前記第2のコネクタの前記ガイドピンが挿入される前記第2のガイド孔と干渉するランドが、前記第2のガイド孔を避けるように、2つの部分に2分割されて形成されることを特徴とする基板とコネクタの連結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の基板とコネクタの連結構造において、
2分割された前記ランドは、長さ方向及び幅方向の少なくともいずれか一方の寸法が前記第1のコネクタのための他の前記ランドよりも大きいことを特徴とする基板とコネクタの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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