説明

基板の仕分け装置

【課題】基板の仕分け装置の設置スペースを小さくするためには、収納ストッカを小型化することが望ましいが、収納ストッカを小型化すると、基板が仕分け装置の収納ストッカと接触し搬送不良をおこすことがあった。基板が確実かつ迅速に滑降する、基板の仕分け装置を提供する。
【解決手段】基板の仕分け装置は、傾動コンベア12と収納ストッカ21を有しており、傾動コンベア12を斜下方に傾動することで基板を下方に移動させ、収納ストッカ21に収納する。基板が傾動コンベア12に一部載っているときは、収納ストッカ21の基板載置面211には当接しないように配置した傾動コンベア12と収納ストッカ21を有する。本基板の仕分け装置を用いることで、基板を迅速かつ確実に搬送することが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水平状態で連続的に基板を搬送する状態から、不良と判断された基板を仕分けする装置に関しては、従来より種々のものが開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送コンベアの一部を下流側方向へ傾動させ、不良ガラス板を斜下方に降下させるガラス板の搬送仕分け装置が開示されている。装置の概略図を図5に示す。ガラス板4は、水平移送コンベア3によって水平方向に運ばれ、傾動コンベア5によって、斜下方に降下させられる。ガラス板4は、滑走装置のモーターローラ23によって強制的に滑降処理される。傾動コンベア5はホッパー2の上部位置に設置されており、滑降処理したガラス板は、ホッパー2に排出される。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−102100号公報(平成21年5月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で開示された方法では、ガラス板が傾動コンベアより落下する際に、側壁によりかかった状態になることがあり、その場合には、ガラス板が底面に水平に載置されず空間ができ収納効率が悪くなる。これを防ぐためには、ホッパーを大きくする必要があった。
【0006】
一方、仕分け装置の設置スペースを小さくするという観点から、ホッパーを小型化することが望ましい。
【0007】
本発明者により、搬送ラインの一部を傾動させることで、基板を斜下方に滑降させ、収納ストッカで基板を回収する基板の仕分け装置について検討を行ったところ、以下の問題が明らかになった。
【0008】
収納ストッカ(特許文献1におけるホッパー)を小型化する点について、図6に示す基板の仕分け装置について検討を行った。該基板の仕分け装置は、搬送コンベアと、傾動コンベア13と、滑降した基板32を収納する収納ストッカ23を有している。なお、13´は、傾動コンベア13が傾いた状態を示す。前記基板の仕分け装置では、基板32の先端321が収納ストッカ23に当接した場合に、傾いた状態の傾動コンベア13´に基板32が一部載り、基板32の先端321が収納ストッカ23の滑降面と接した状態で、基板32の滑降の速度が遅くなることがある。その際に、傾動コンベア13のタクトタイムは決まっているため、傾動コンベア13は基板が載った状態で上昇する。その結果、傾動コンベア13と搬送コンベアとの間に基板32が挟まれ、仕分け装置の汚れの発生、動作停止、破損等の原因となる。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板が確実かつ迅速に滑降する、基板の仕分け装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に関わる基板の仕分け装置は、傾動コンベアを傾動することで基板を下方に滑降させ、収納ストッカに収納する基板の仕分け装置であって、収納ストッカは、滑降した基板が載置されていく基板載置面を有しており、基板載置面は、基板が傾動コンベアと基板載置面に同時に接することがないように配置したことを特徴としている。
【0011】
本発明に関わる基板の仕分け装置の傾動コンベアは、滑降している前記基板が、前記傾動コンベアと前記基板載置面上に載った基板に、同時に接することがないように、収納ストッカを配置したことを特徴としている。
【0012】
本発明に関わる基板の仕分け装置は、基板の仕分け装置を設置した面を基準面とした時、基板載置面と基準面がなす角度は、傾いた状態の傾動コンベアの搬送面と基準面がなす角度以上であることを特徴としている。
【0013】
本発明に関わる基板の仕分け装置の収納ストッカは、基板が滑降する基板滑降面を有し、基板載置面は、基板滑降面よりも下にあることを特徴としている。

【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板の仕分け装置は、小型であり、基板が迅速かつ確実に滑降することができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであって、基板の仕分け装置を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すものであって、基板の仕分け装置を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示すものであって、基板の仕分け装置を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の別の例を示すものであって、基板の仕分け装置を示す図である。
【図5】従来技術を示すものであって、ガラス基板の搬送仕分け装置を示す図である。
【図6】収納ストッカの小型化の際の検討に用いた装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態において、本発明を詳細に述べる。
【0017】
(第1の実施の形態)
本実施の形態に係る基板の仕分け装置について、図面を参照し説明すれば以下のとおりである。
【0018】
図1に、本発明の一例である基板の仕分け装置の模式図を示す。基板の仕分け装置は、基板を概ね水平方向に搬送する搬送コンベア11と、傾動する傾動コンベア12と、基板31を収納する収納ストッカ21を有している。なお、12´は、傾動コンベア12が傾いた状態の傾動コンベアである。傾動コンベア12は、傾いた状態の搬送面121を有する。収納ストッカ21は搬入された基板が載置されていく、基板載置面211を有する。
【0019】
次に、基板の仕分け装置の動作について述べる。まず、検査装置10において、基板の良、不良を判断する。検査装置において、基板検査した後、搬送ラインの基板搬送コンベア11に搬送される。検査装置において良品と判断された基板が、搬送ラインの途中部分にある傾動コンベア12の位置にきたとき、傾動コンベア12は傾動せず、基板は概ね水平方向に搬送され、次の工程へ移送される。一方、不良品と判断された基板31が、搬送ラインの途中部分にある傾動コンベア12の位置にきたときに、傾動コンベア12は傾く。基板31は、傾いた状態の傾動コンベア12´で滑降し、収納ストッカ21に搬入される。このとき、傾いた状態の傾動コンベア12´と収納ストッカ21は、基板31が、傾いた状態の傾動コンベア12´に載っているときに、滑降した基板31の先端311が滑降部と接しないような位置関係とすることが望ましい。これにより、基板を迅速かつ確実に滑降させることが可能となる。
【0020】
図2に、本発明の一例である基板の仕分け装置の、傾動コンベアと収納ストッカの位置関係を説明する模式図を示す。
【0021】
傾動コンベアが傾いた状態の搬送面121と基準面1Aとの間でなす角度aよりも、収納ストッカ21の基板載置面211と基準面1Aとの間でなす角度bのほうが大きくなるように、収納ストッカ21を配置した。なお、基準面とは、基板の仕分け装置を設置する面であり、搬送コンベア11の搬送方向とほぼ平行な面である。
【0022】
角度aよりも角度bのほうが大きくなるよう配置することで、基板を迅速、かつより確実に滑降させることが可能となる。傾動コンベアが傾いた状態の時に、基板31の先端が、収納ストッカ21の基板載置面211に接することがなくなるためである。最初に収納ストッカ21に滑降した基板は、基板載置面211に載る。その後滑降する基板31は、直前に収納ストッカ21に搬入された基板312の上に、重なることになる。
【0023】
基板31が傾いた状態の傾動コンベア12´と接しているときに、基板31の先端が基板312に接しない位置関係とするほうが望ましい。なぜなら、例えば基板312の表面に完全に硬化していないペースト等が載置されていた場合、基板312の表面と基板31の先端とが接触したときの摩擦力が大きいため、基板31が滑降しにくくなり、滑降の速度が低下したり途中で引っかかって止まることがあるからである。
【0024】
また、基板312表面のペーストが硬化した状態であっても、ペーストの膜厚が厚く、ペーストが載置された箇所と載置されていない箇所との段差が大きい場合も、基板31は滑降しにくくなる。
【0025】
ペーストが基板31表面に均一に載置されているのではなく、基板31の搬送方向に対して後ろ側にのみ載置されていた場合、ペーストの厚さで、基板載置面211と収納ストッカ21に搬入された基板312とが平行にはならなくなる。この場合、収納ストッカ21に搬入された基板312が基準面との間でなす角度をcとした場合、角度bよりも角度cのほうが大きくなる。基板が収納されていくほど、角度cは大きくなっていくが、角度cは角度aより大きいことが望ましい。角度aよりも角度cのほうが大きくなるよう配置することで、基板は迅速かつより確実に滑降することが可能となるからである。
【0026】

(第2の実施の形態)
図3に、第2の実施の形態として本発明の別の例を示す。第1の実施の形態と異なる点は、収納ストッカの形状である。第1の実施の形態で示した例では、収納ストッカの基板が滑降していく滑降面と基板載置面が同一面であったが、本実施の形態の収納ストッカ22では、基板載置面221と基板滑降面222は、同一面ではない平行な面である。基板載置面221は、基板滑降面222よりも基準面に近い位置にあり、滑降してきた基板が重なっていくのに必要な面積を有している。
【0027】
このとき、傾動コンベアの傾いた状態の搬送面121と基準面1Aとの間でなす角度dと、収納ストッカの基板載置面221と基準面1Aとの間でなす角度eは同じとなるように配置する。基板滑降面222を設けることによって、傾動コンベアの傾いた状態の搬送面121を離れるまで基板の角度が一定になることから、基板を確実に滑降させ、収納することが可能となる。
【0028】
傾いた状態の傾動コンベア12´から滑降した基板31は、収納ストッカ22の滑降面222の上を滑降し、基板載置面221に重なっていく。基板31が傾いた状態の傾動コンベア12´に載っているときに、収納ストッカ22の基板載置面221に当接しないように配置しているため、基板31は迅速かつ確実に滑降することが可能となっている。
【0029】
また、傾いた状態の搬送面121と収納ストッカ22の基板滑降面222の距離は、滑降する方向の基板31の長さよりも小さくすることが望ましい。なぜなら、基板31が、傾いた状態の搬送面121または基板滑降面222の少なくともいずれかに接して滑降するほうが、いずれの面にも接していない状態で滑降するよりも、滑降の軌道が安定するからである。
【0030】
さらに、傾動コンベア12の傾動動作に問題がない範囲で、傾動コンベア12と収納ストッカ22とが十分に近く配置されることが望ましい。特に基板31の重量が大きい場合、小さい場合と比べて、傾いた状態の搬送面121から離れた基板31にかかる下向きの力が大きくなり、基板31と基準面との角度が大きくなるので、傾動コンベア12と収納ストッカ22とが離間しているときの隙間に基板31が入り込み、収納ストッカ22の基板滑降面222に安定して載らなくなることがあるからである。傾いた状態の搬送面121と基板滑降面222が十分に近い配置とすることで、基板31の重量が大きくなっても、安定して基板31を滑降させることが可能となる。
【0031】
図4は、本実施の形態の別の例である。図3で示した例と異なる点は、傾いた状態の傾動コンベア12´と収納ストッカ22の配置である。傾動コンベアの傾いた状態の搬送面121と基準面1Aとの間でなす角度を角度fとし、収納ストッカ22の基板載置面221と基準面1Aとの間でなす角度を角度gとする。角度fよりも角度gのほうが大きくなるよう配置した。このような配置とすることで、基板滑降面222を滑降する基板31の速度が大きくなり、基板31は、基板載置面221と当接することなく、より安定して迅速かつ確実に滑降し、収納されていくことが可能となった。
【0032】
なおかつ、傾いた状態の搬送面121よりも、基板滑降面222の端が下方になるように配置した。このような配置とすることで、基板31の搬送面121から基板滑降面222への移動を安定して行うことが可能となった。
【0033】
以上、第1の実施の形態および第2の実施の形態において具体的に説明を行ったが、本発明はそれらに限定されるものではない。上述した2つの実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、基板の仕分け装置全般に広く適用することができる。

【符号の説明】
【0035】
1A 基準面
10 検査装置
11 搬送コンベア
12、13 傾動コンベア
12´、13´ 傾いた状態の傾動コンベア
121 傾いた状態の搬送面
21、22、23 収納ストッカ
211、221 基板載置面
222 基板滑降面
31、32 基板
311、321 基板の先端
312 直前に収納された基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾動コンベアを傾動することで基板を下方に滑降させ、収納ストッカに収納する基板の仕分け装置であって、
前記収納ストッカは、滑降した前記基板が載置される基板載置面を有しており、かつ滑降している前記基板が、前記傾動コンベアと前記基板載置面に同時に接することがないように配置されている基板の仕分け装置。

【請求項2】
前記収納ストッカは、滑降している前記基板が、前記傾動コンベアと前記基板載置面上の他の基板に同時に接することがないように配置されている請求項1に記載の基板の仕分け装置。

【請求項3】
前記基板載置面と前記基準面がなす角度は、前記基板の仕分け装置を設置した面を基準面として、傾いた状態の前記傾動コンベアの搬送面と前記基準面とがなす角度以上である請求項1または2に記載の基板の仕分け装置。

【請求項4】
前記収納ストッカは、基板滑降面を有しており、
該基板滑降面は、前記基板載置面より上にある請求項1から3のいずれかに記載の基板の仕分け装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254876(P2012−254876A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129667(P2011−129667)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】