説明

基板の収納装置

【課題】装置への衝撃・振動から基板を守る基板の収納装置を提供する。
【解決手段】基板の収納装置100は、回路基板1と、その周縁部を回路基板1の厚さ方向から挟む弾性部材2と、回路基板1の厚さ方向から組み合わさり、弾性部材2の少なくとも一部と回路基板1とを内部に収納する上ケース3及び下カバー5からなるケース体と、を備える。上ケース3及び下カバー5は、弾性部材2の回路基板1の周縁部を挟む部分を回路基板1の厚さ方向から挟み込んで組み合わさって、回路基板1を内部に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を内部に収納した、基板の収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような基板の収納装置としては、例えば、車両等の計器パネルに組み付けられる表示装置が挙げられる。このような表示装置として、特許文献1には、ケース体(上ケース)の下面側に延設するボス体に回路基板をビス(ネジ)で下側から固定する構造の表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−300156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使用環境・搭載態様によって、表示装置に振動・衝撃が加わる場合があるが、特許文献1に開示された構造は、上記のように、ケース体に、直接、回路基板をリジット固定する構造であるため、装置内部に伝わる振動・衝撃を十分に吸収することができない。そのため、表示装置に構造上の不具合が生じたり、回路基板に実装される電子部品に不具合が生じたりするおそれがあった。また、使用環境等により、表示装置自体が風雨に晒されると、装置内部に水等が侵入するおそれもあるため、上下のケース体の合わせ箇所にパッキン等を介することで、合わせ箇所を水密に保った構造が必要な場合もある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、少なくとも装置への衝撃・振動から基板を守る基板の収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る基板の収納装置は、
基板と、
前記基板の周縁部を、前記基板の厚さ方向から挟む弾性部材と、
前記基板の厚さ方向から組み合わさり、前記弾性部材の少なくとも一部と前記基板とを内部に収納する第1のケース部材及び第2のケース部材からなるケース体と、を備え、
第1のケース部材及び第2のケース部材は、前記弾性部材の前記基板の周縁部を挟む部分を前記基板の厚さ方向から挟み込んで組み合わさって、前記基板を内部に収納する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置への衝撃・振動から基板を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板の収納装置の外観斜視図である。
【図2】図1における基板の収納装置のA−A断面図である。
【図3】上側から見た、基板の収納装置が備える回路基板の斜視図である。
【図4】下側から見た、基板の収納装置の分解斜視図である。
【図5】基板の収納装置が備える下カバーのコードクランプの機能を説明するための図である。
【図6】(a)は、本発明の第2実施形態に係る基板の収納装置の平面図であり、(b)は、(a)における基板の収納装置のB−B断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る基板の収納装置の断面図である。
【図8】(a)は、本発明の変形例に係る基板の収納装置の平面図であり、(b)は、(a)における基板の収納装置のC−C断面図である。
【図9】図8(b)における基板の収納装置の弾性部材に形成されるフランジ周辺を拡大した図であり、二重防水構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る基板の収納装置を図1〜図9を参照して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1に示す、本発明の第1実施形態に係る基板の収納装置100は、本発明を、水上バイクに搭載され、所定の情報(ウインカー指示、バッテリー残量等)を表示する表示装置(計器)に適用した例を示している。なお、基板の収納装置とは、基板を内部に収納した装置をいう。
【0011】
基板の収納装置100は、図2に示すように、回路基板1と、弾性部材2と、上ケース(第1ケース部材)3と、ライトケース4と、下カバー(第2ケース部材)5と、を備える。
【0012】
回路基板1は、図2及び図3に示すように、配線パターン(図示せず)が形成された絶縁性の板状の基材10に、複数の電子部品(図示せず)が実装され、構成されている。これら複数の電子部品には、コネクタ11、発光素子12、表示装置を駆動する制御部(図示せず)、等が含まれる。電子部品の各々は、配線パターンと導通接続されている。
【0013】
図2に示すように、基材10の下面に実装されたコネクタ11には、配線コード110が接続されている。このように接続された配線コード110は、回路基板1と水上バイクの船体からの情報、例えば、燃料計の液量センサーからの信号や、船体の状況を知らせるための信号源等を表示装置側へと伝達をすることができるよう、所定の外部装置(液量センサー等)と導通接続されている。
【0014】
発光素子12は、LED(Light Emitting Diode)等から構成され、後述するインジケータマークMに対応するように、基材10の上面に複数(図3では、4つ)実装されている。発光素子12は、制御部の制御の下、適宜、発光する。
【0015】
制御部は、水上バイクが備える所定の装置からの情報を信号として検出し、この検出した信号に基づいて基板の収納装置100の各部を駆動制御する(例えば、発光素子12を発光させる。)。
【0016】
また、回路基板1には、図3に示すように、複数(図3では2つ)の位置決め穴10aが形成されている。
【0017】
弾性部材2は、合成ゴム、エラストマー等の弾性部材(弾性を有する材料)から形成され、1面を開放した略箱体状に形成されている。弾性部材2は、図2及び図4に示すように、下カバー5側から回路基板1を覆う。弾性部材2は、被着部20と、第1の突出部21と、第2の突出部22と、を含む。被着部20は、回路基板1の周縁部10bを覆う(囲むようにして挟む)、つまり、回路基板1の、上面の縁部と下面の縁部と側面とを覆うものである。
【0018】
被着部20は、回路基板1の厚さ方向から見た場合に、回路基板1を囲む。さらに被着部20の内面側部には、基材10の厚みに対応する切り込み状の、内面が断面略コの字状の凹部20aが形成されている。凹部20aには、回路基板1の周縁部10bが入り込む(つまり挿入される)。このようにして、回路基板1の周縁部10b全周が被着部20によって覆われ(囲むようにして挟まれ)、これによって、回路基板1は弾性部材2に取り付けられる(保持される)。
【0019】
第1の突出部21は、図2に示すように、弾性部材2の底面部(回路基板1を覆う部分)の略中央に位置し、下方向に突出して形成される部分である。また、第1の突出部21には、配線コード110を覆う貫通孔21aと、コネクタ11を液密に覆うコネクタ対応部21bと、が形成されている。なお、液密とは、水、油等の液体を通さないような状態をいう。
【0020】
貫通孔21aは、コネクタ対応部21bから下方に弾性部材2を貫通する孔部であり、この実施形態においてはケース体の内部側から外部側へと連通する孔部である。貫通孔21aは、複数(図4では4つ)形成され、複数の貫通孔21aの各々がコネクタ対応部21bから下方に弾性部材2を貫通する。貫通孔21aとコネクタ対応部21bの関係を、貫通孔21aの下端側から説明すると、複数の貫通孔21aは、各々の下端から上方に延設され、コネクタ対応部21bでコネクタ11に対応する1つの空間に合流するというようになる。このように形成された複数の貫通孔21aの各々は、配線コード110が有する複数の導線の各々を液密に覆う。なお、第1の突出部21は、貫通孔21aによって配線コード110のみ液密に覆うように形成されてもよい。
【0021】
第2の突出部22は、弾性部材2の底面部の、図4に示すように、第1の突出部21の両側にそれぞれ位置し、下方向に突出して形成される部分である。また、第2の突出部22は、その内部が空洞になるようにして形成され、複数(図2及び図4では、2つ)設けられる。
【0022】
上ケース3は、回路基板1を上側から覆うケース部材であり、図1及び図2に示すように、本体部30と、表示部31と、から構成され、表示部31は本体部30にインサート成形されている。
【0023】
本体部30は、基板の収納装置100のメイン筐体であり、AES樹脂(Acrylonitrile-Ethylene-Styrene resin)等の樹脂材料で形成される。本体部30は、第1の部分301と、第2の部分302と、から構成される。
【0024】
第1の部分301は、本体部30上側の箱状部分であり、図2に示すように、表示部31を設置するための開口部301aを有して形成されている。第2の部分302は、第1の部分301の下側に位置する、第1の部分301よりも一回り大きい断面略四角の略筒状部分である。
【0025】
本体部30は、このような第1の部分301と第2の部分302とが、一体的に形成されてなる。そして、その断面形状は、図2に示すように、中央が略凸状になっている。
【0026】
第2の部分302の下面側には、図4に示すように、位置決めピン302aと、ボス体302bと、段差部302cと、切り欠き凹部302dと、が形成されている。
【0027】
位置決めピン302aは、回路基板1と上ケース3側の一部である本体部30側との位置を決めるための棒状部材であり、第2の部分302の下面から下方向(回路基板1側に向かって)に延設して形成されている。この実施形態において、位置決めピン302aは、複数(図4では、2本)あり、これらの各々は、前述の基材10に設けられた位置決め穴10aと、互いに対になるように設けられる。位置決めピン302aが、位置決め穴10aに嵌められることにより、回路基板1は、上ケース3に対して位置決めされる。
【0028】
なお、この位置決めは、回路基板1を、基材10の上面・下面(上下方向)と平行な方向(水平方向)又は回転方向に位置規制するためのものであり、基材10の基材面法線方向(位置決めピン302aの延設方向)に動かなくするためのものではない。つまり、上ケース3に設けられた位置決め部材302aは、回路基板1を保持しているわけではない。
【0029】
ボス体302bは、複数あり、例えば、図4に示すように、第2の部分302の内部側の四隅に、下面方向に延設されるように形成される。複数のボス体302bの各々には、ネジ穴302bOが設けられている。
【0030】
段差部302cは、図2及び図4に示すように、上ケース3の本体部30(第2の部分302)の下端部に、後述する下カバー5の本体部50の形状に合わせて形成される。
【0031】
切り欠き凹部302dは、図4に示すように、本体部30の底面のうち一辺に形成された凹み部分である。この切り欠き凹部302dは、後述する下カバー5から一体に延出したコードクランプ部51の形状に合わせて切り欠いて形成されている。
【0032】
表示部31は、透明板310と、印刷層311と、から構成される。
【0033】
透明板310は、透光性を有する合成樹脂性の板材から構成され、開口部301aの形状に合わせて形成されている。透明板310側面と開口部301a側面とは、図2に示すように、インサート成形されており、インサート成形以外としては、互いに嵌合、接着等の手段によって設けられるものであり、液密な状態となっている。なお、透明板310は、無色透明だけでなく、有色透明であってもよい。
【0034】
印刷層311は、黒色等の遮光性の塗料であり、図2に示すように、透明板310の下面(背面)に形成されている。また、印刷層311は、その所定の部分がくり抜かれるように塗布されており、これにより、印刷層311が形成された透明板310を、その上面側から見れば、図1に示すように、車両情報を報知する複数のインジケータマークMがそれぞれ視認することができるように設けられている。
【0035】
ライトケース4は、光反射性のある、例えば白色の合成樹脂から、メガホン状の複数の筒状部材41(図3では4つ)を有して形成され、上ケース3に設けられた本体部30の第1の部分301の下面側と回路基板1との間に配置されている。ライトケース4と本体部30には、例えば、各々対応する複数の取付部(図示せず)が設けられており、ライトケース4は、これら取付部によって本体部30側の下面に固定されるように設けられている。この実施形態においては、外部の振動などの影響を避けるために、ライトケース4は、回路基板1と当接しないように僅かな透き間を介して配設されている。なお、ライトケース4は、溶着又は接着等により、本体部30の下面側に固定されるように設けてもよい。また、ライトケース4を合成ゴムなどの弾性材料によって形成し、この弾性材料からなるライトケース4を回路基板1に当接するようにしてもよい。
【0036】
複数の筒状部材41は、各々、前述のインジケータマークMの数と対応して設けられている。筒状部材41は、その下側の開口部(以下、入光部41aという。)の口径が、上側の開口部(以下、出光部41bという。)の口径よりも狭くなるように、形成されている。筒状部材41の入光部41a側には、発光素子12が収納される。なお、筒状部材41の入光部41aと出光部41bの口径をストレートに設けてもよい。
【0037】
発光素子12が、前述の制御部の制御の下、発光し、光を出射すると、その光は筒状部材41の内側面で拡散し、表示部31の下面に到達する。表示部31の下面には、遮光性の印刷層311が設けられているため、インジケータマークMに対応してくり抜かれた部分からのみ、光が表示部31の透明板310を透過する。このように、本実施形態では、基板の収納装置100を、インジケータマークMを照明表示する表示装置に適用した例を示している。
【0038】
下カバー5は、例えば、金属又は所定の樹脂材料により板状に形成されている。下カバー5は、図4に示すように、本体部50と、コードクランプ部51と、から構成される。
【0039】
本体部50は、略長方形の平板状からなる部分であり、第1の開口部50a、第2の開口部50b、ネジ穴50cを有して形成されている。
【0040】
第1の開口部50aは、図2及び図4に示すように、本体部50の略中央部に設けられる開口部である。第1の開口部50aは、第1の突出部21に対応して設けられおり、基板の収納装置100が組み付けられると、第1の21の一部が、下カバー5の下面側に突き出す格好になる。
【0041】
第2の開口部50bは、図2及び図4に示すように、第1の開口部50aの外側に設けられる。第2の開口部50bは、複数(図2及び図4では、2つ)設けられる。第2の開口部50bは、第2の突出部22に対応して設けられており、上ケース3と下カバー5とが組み付けられると、第2の突出部22の一部が、下カバー5の下面側に突き出す格好になる。
【0042】
ネジ穴50cは、前述の複数のボス体302bの各々に設けられたネジ穴302b0、の各々に対応して、本体部50に設けられる穴である。例えば、図4に示すように、本体部50の四隅に設けられる。
【0043】
コードクランプ部51は、配線コード110を束ねるための部分である。コードクランプ部51は、上ケース3の外形からせり出した格好になる部分であり、図1及び図4に示すように、略矩形状の矩形部510からその両サイドに突起する部分を2つ有した形状で形成されている。2つの突起した部分のうち、端部側に位置する突起部を第1固定部511、もう1つの突起部を第2固定部512、とする。
【0044】
図5に示すように、基板の収納装置100が水上バイクに搭載されると、上ケース3の第2の部分302は、水上バイク筐体1000の内部に位置する。すると、コードクランプ部51も水上バイク筐体1000内部に位置し、これに、コードクランプ部51の下側に延びる配線コード110を樹脂製のコードクランプ51cによって巻き付けて固定するようにしている。具体的には、第1固定部511と第2固定部512との間にできる凹みに、配線コード110を引き回し配設し、この引き回された配線コード110にコードクランプ51cを巻き付ける。これにより、コードクランプ51cは、第1固定部511と第2固定部512との間で抜け止め保持される。このように、配線コード110を、水上バイク筐体1000内の他の装置の邪魔になることなく、スマートに巻き付け保持することができる。また、下カバー5は、蓋としての役割と、コードクランプとしての役割を併せ持つことにより、組み付け部品数の増加、重量の増加を抑えることもできる。
【0045】
なお、コードクランプ部51は、以上の形状に限られない。配線コード110を適切に束ねることができれば、突起部は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、突起部(第1固定部511及び/又は第2固定部512)を有する形状に限定されるものではない。また、図示はしないが、突起部の代わりにコードクランプ51の側壁部に凹部を設けることによってコードクランプ51cを巻き付け保持した際に、コードクランプ51cが凹部に嵌り込むことによって位置ずれを防ぐこともできる。
【0046】
また、基板の収納装置100の上ケース3においては、前述のように、第1の部分301と第2の部分302とが、一体的に形成され、断面形状が略凸形となっている。この形状により、図5に示すように、基板の収納装置100は、その第1の部分301の側面が水上バイク筐体1000に設けられた所定の取り付け孔1001に合致するようにして、水上バイクに搭載される。
【0047】
基板の収納装置100は、図4に示すように、上ケース3の下側から、ライトケース4、回路基板1を保持した弾性部材2、等の各部を挿入・配置し、最後に下カバー5で蓋をし、下カバー5(本体部50)のネジ穴50cからネジ6を締め付ける、というふうにして組み付けられる。これによって、弾性部材2は、上ケース3や下カバー5と液密に接触(密着)し、上ケース3及び下カバー5によって形成される内部空間(回路基板1を収納する空間)を液密に密閉することができる。これにより、第1の開口部50a及び第2の開口部50bから、水、埃等が、基板の収納装置100の内部に侵入することを防止することができる。さらに、弾性部材2の20は、上ケース3と下カバー5とによって、上下方向から挟み付けられ、凹部20aに入り込んだ回路基板1の周縁部10bを挟み付ける。これによって、回路基板1は、弾性部材2に保持されながら上ケース3と下カバー5とからなるケース体の内部に強固に固定される。
【0048】
本実施形態では、上記構成によって、回路基板1が弾性部材2に保持されて、基板の収納装置100内部に固定されるため、弾性部材2が、振動や衝撃を吸収するので、基板の収納装置100における回路基板保持構造は、表ケース等の筐体に回路基板がネジ等で固定される構造と比べ、耐震性・耐衝撃性が高い。このため、回路基板1は、基板の収納装置100の振動や基板の収納装置100への衝撃から保護される。特に、回路基板1は、弾性部材2によってのみに触れて固定されていると、耐震性・耐衝撃性が高くなる。この構造により、水上バイク等の走行中の揺れ・衝撃が激しい乗り物においても、回路基板1を振動・衝撃から保護することができる。また、回路基板1を固定するためのボス体等が不要になるため、本実施形態では、装置自身を小型化できる。また、回路基板1が弾性部材2の凹部20aに挟まれ弾性部材2に保持される構造によって、回路基板1を弾性部材2に取り付けてから、この弾性部材2を装置に組み付けることが出来るので、このような構造は、装置の製造がし易い構造になっている。
【0049】
また、その一部が基板の収納装置100の筐体外部に突き出す第2の突出部22は、前述の通り、その内部が空洞となるように形成されている。この構造によれば、第2の突出部22の外部に突き出た部分が、基板の収納装置100が外部からの太陽光などにより表面が熱せられる環境下においては、基板の収納装置100の内部の空気が熱せられ、これに伴いケース体内の空気が膨張してしまう現象が発生するが、この膨張したケース体内の空気の膨張に合わせて突出部22が伸縮できるので、基板の収納装置100内の気圧の変等が調整される。これによりケース体内の気圧差によって生じやすい水滴なども未然に抑えることができるため、表示部31が曇ることを抑制することができる。
【0050】
本発明は、第1実施形態のようにインジケータマークMを発光させる表示装置に限らず、様々な構成の基板の収納装置に適用することができる。
【0051】
以下に、その一例を示す。なお、第1実施形態と共通する構成については同一又は対応する符号を付して説明するとともに、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る基板の収納装置は、本発明を、図6(a)に示す、水上バイクに搭載される表示装置に適用した例を示すものであり、液晶パネル8によって各種情報を表示する基板の収納装置200である。基板の収納装置200における回路基板保持構造は、図6(b)に示すように、第1実施形態に係る基板の収納装置100の構造と同様である。
【0053】
基板の収納装置200は、第1実施形態とは異なり、中ケース7と、液晶パネル8と、印刷層が形成されていない合成樹脂製の透明板2310と、を備える。
【0054】
中ケース7は、所定の樹脂材料から受け皿状に形成され、上ケース203の本体部下面側に設けられた所定の取り付け部(図示せず)に、取り付けられることによって回路基板1の上側に所定間隔を空けて配置される。また、中ケース7は、その受け皿形状の上側部分で、液晶パネル8を支持する。
【0055】
このように支持される液晶パネル8は、回路基板1に実装された図示しない制御部(マイクロコントローラ、グラフィックコントローラ等を含む。)と、図示しないフレキシブル配線板等により、導通接続される。液晶パネル8は、制御部の制御の下、所定の表示画像を表示する。また、液晶パネル8は、同じく制御部の制御の下、適宜、発光する発光素子12により下面側から照光されることで、表示画像が背後から照明され、表示画像を表す光を表示装置の上側へと出射する。出射された表示画像を表す光は、透明板2310を透過する。これにより、ユーザは、水上バイクに関する各種情報を視認することができる。なお、前述の中ケース7は、発光素子12からの照明光を中ケース7の内面によって反射導光し、液晶パネル8の下側から透過照明する役割も果たしている。
【0056】
本実施形態における上ケース203は、前述の透明板2310と、本体部30とから構成されている。本体部30の第1の部分301の下面側には、第1実施形態には無かった、壁部301bが形成されている。この壁部301bは、第1の部分301の下面側にせり出すとともに、液晶パネル8の表示領域を囲む壁のように形成されている。これにより、液晶パネル8が出射する表示画像を表す光を、透明板2310の下面に、散逸することなく到達させることができる。なお、液晶パネル8は、中ケース7ではなく、この壁部301bに所定の方法で固定され、配置してもよい。
【0057】
以上説明した、第2実施形態に係る基板の収納装置200のように、回路基板1と上ケース3の間に板状の部材(第2実施形態では、液晶パネル8)を更に備える構成からなる基板の収納装置の、他の実施形態を説明する。
【0058】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る基板の収納装置は、図1に示した表示装置と同様の外観からなる表示装置であり、第1実施形態のように、適宜発光する発光素子12により、表示部31を照光させる基板の収納装置である。
【0059】
図7の、図1におけるA−A断面図で示すように、基板の収納装置300は、第1実施形態に係るライトケース4と同様の形状からなるが、第1実施形態とは異なり、出光部が本体部30の第1の部分301の下面に当接しないライトケース304と、アクリル等の樹脂からなるシートレンズ9と、を備える。また、第2実施形態と同様に、本体部30の第1の部分301の下面側には、第1実施形態には無かった、壁部3301bが形成されている。この壁部3301bは、第1の部分301の下面側にせり出すとともに、シートレンズ9の外縁部を囲む壁のように形成されている。
【0060】
このように構成される基板の収納装置300においては、発光素子12が、前述の制御部の制御の下、発光し、光を出射すると、その光は筒状部材の内側面で拡散し、シートレンズ9の下面に到達する。シートレンズ9に到達した光は、シートレンズ9を透過する過程で屈折し、その上側方向に発散する。シートレンズ9が発散した光は、壁部3301bの内側面に導かれ、表示部31の下面に到達する。表示部31の下面には、遮光性の印刷層311が設けられているため、インジケータマークMに対応してくり抜かれた部分からのみ、光が表示部31の透明板310を透過する。このようにして、基板の収納装置300は、そのインジケータマークMを発光させ、各種情報をユーザに報知する。
【0061】
以上のように、本発明に係る回路基板保持構造は、第2及び第3実施形態に係る基板の収納装置のように、回路基板と上ケースの間に板状の部材を更に備える構成にも適用することができる。
【0062】
(変形例)
弾性部材2の形状は、以上の実施形態に係る形状に限られない。図8(a)及び(b)に示すように、弾性部材2には、覆い部の下側外周からせり出すフランジ部23がさらに形成されることで、弾性部材2の底部下面の形状が、下カバー5の面形状と略同一になるように形成してもよい。この場合において、段差部302cは、下カバー5とフランジ部23に対応して形成される。また、下カバー5は、ボス体302bに当接せず、フランジ部23に当接する。
【0063】
このような構成からなる、変形例に係る基板の収納装置100’は、下カバー5がネジ6で下側から固定されることにより、図9に示すように、フランジ部23が段差部302cに押圧される(押圧される部分を二点鎖線で示した。この部分を第1押圧部P1という)、とともに、被着部20の上面が第2の部分302の下面に押圧される(押圧される部分を二点鎖線で示した。この部分を第2押圧部P2という)。このような第1押圧部P1と第2押圧部P2により、弾性部材2は、上ケース3と下カバー5とに液密に接触し、下カバー5の下面側から表示装置内部に、水・埃等が侵入することを二重に防止することができる。
【0064】
また、以上の実施形態においては、弾性部材2に、第2の突出部22が形成され、下カバー5にこれに対応する第2開口部50bが形成されたがこれに限られない。図8(b)に示すように、弾性部材2には、突出部として第1の突出部21のみが形成され、下カバー5には、第1開口部50aのみが形成されてもよい。
【0065】
以上の実施形態においては、下カバー5は、ネジ6により、上ケース3に固定されたが、これに限られない。下カバー5を、上側に押圧固定できれば、その固定手法は、任意である。例えば、下カバー5を、オービタル振動溶着等で上ケース3に押圧固定してもよい。
【0066】
また、下カバー5は、コードクランプ部51を有さず、本体部50と本体部50を船体側に取り付け固定するための固定部を延出するように構成されていてもよい。この場合、上ケース3に凹部302dを形成しなければよい。また、本体部50の形状は、略矩形状に限られず、円形、多角形状であってもよい。この場合において、弾性部材2や上ケースの形状は、下カバーの形状に合わせて成形すればよい。
【0067】
以上の実施形態においては、基板の収納装置を水上バイクに搭載される表示装置(計器)としたがこれに限られない。水上バイク以外の、車両、船舶、航空機等の乗り物に搭載される計器であってもよい。
【0068】
また、基板の収納装置は、計器類に限られない。回路基板を保持する構造をもつものであれば、本発明の回路基板保持構造を適用することができる。基板の収納装置は、例えば、乗り物に搭載されるオーディオ機器、カーナビゲーション装置等であってもよい。また、携帯ゲーム機、携帯電話・ノートパソコン等の携帯端末等であってもよく、これらがアウトドアで使用される場合等には特に本発明に係る回路基板保持構造は有用である。
【0069】
また、位置決め部材302aは、上ケース3本体部30の、第2の部分302ではなく、第1の部分301の下面側に設けられていてもよい。
【0070】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
100…基板の収納装置
1…回路基板
10…基材(10a…位置決め穴、10b…周延部)
11…コネクタ(110…配線コード)、12…発光素子
2…弾性部材
20…被着部(20a…凹部)
21…第1の突出部(21a…貫通孔、21b…コネクタ対応部)
22…第2の突出部
3…上ケース
30…本体部、
301…第1の部分(301a…開口部)
302…第2の部分
302a…位置決めピン、302b…ボス体(302b0…ネジ穴)
302c…段差部、302d…凹部
31…表示部(310…透明板、311…印刷層)
M…インジケータマーク
4…ライトケース
41…筒状部材(41a…入光部、41b…出光部)
5…下カバー
50…本体部(50a…第1開口部、50b…第2開口部、50c…ネジ穴)
51…コードクランプ部(51c…コードクランプ、510…矩形部、511…第1固定部、512…第2固定部)
6…ネジ
1000…水上バイク筐体(1001…取り付け孔)
200…基板の収納装置、203…上ケース(2310…透明板)、7…中ケース、8…液晶パネル、301b…壁部
300…基板の収納装置、304…ライトケース、9…シートレンズ、3301b…壁部
100’…変形例に係る基板の収納装置、23…フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の周縁部を、前記基板の厚さ方向から挟む弾性部材と、
前記基板の厚さ方向から組み合わさり、前記弾性部材の少なくとも一部と前記基板とを内部に収納する第1のケース部材及び第2のケース部材からなるケース体と、を備え、
第1のケース部材及び第2のケース部材は、前記弾性部材の前記基板の周縁部を挟む部分を前記基板の厚さ方向から挟み込んで組み合わさって、前記基板を内部に収納する、
ことを特徴とする基板の収納装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、第1のケース部材及び第2のケース部材に液密に接触し、第1のケース部材及び第2のケース部材によって囲まれる内部空間を液密に密閉する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板の収納装置。
【請求項3】
前記弾性部材の前記基板の周縁部を挟む部分は、内面が断面略コの字状の凹部であり、
前記基板の周縁部は、前記凹部内に入り込んでいる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板の収納装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記第2のケース部材側から前記基板を覆い、前記基板上の回路に接続された配線コードを液密に覆う孔を備え、
前記第2のケース部材は、前記孔に対応した位置に、前記配線コードが通る第1の開口部を備え、
前記弾性部材の前記基板を覆う部分は、前記開口部から液体が侵入しないように、前記第2のケースに液密に接触している、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板の収納装置。
【請求項5】
前記第1のケース部材には、その内面から立設する棒状部材が形成され、
前記基板には、前記棒状部材に対応する穴部が形成されており、
前記基板は、その穴部に前記棒状部材を通すことにより、前記第1のケース部材に対して、前記基板の厚さ方向と垂直な方向に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板の収納装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記第2のケース部材側に突出し、その内部が空洞である突出部を有し、
前記第2のケース部材には、前記突出部に対応する第2の開口部がさらに設けられており、
前記弾性部材は、前記突出部の一部が前記第2の開口部から突き出るように、前記第2のケース部材と液密に接触している、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板の収納装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−142435(P2012−142435A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294056(P2010−294056)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】