説明

基板の製造方法

本願は透光領域と遮光領域を有する基板に関する。本願は、構造化表面に接触する遮光層の改良を含む、基板の製造方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、透光領域と遮光領域を有する基板に関連する。
【背景技術】
【0002】
単方向のグラフィック物品のデザイン及び製造は、例えば、「単方向のグラフィック物品の製造方法」と題され、本出願と同じ譲受人に譲渡された、米国特許番号第6,254,711号において知られており、また説明もされている。
【0003】
単方向のグラフィック物品が多くのディスプレイ環境で役に立つ一方で、これらの物品は一般的に、一つのディスプレイオプションのみ、例えば、第一の照明状態における反射像を提供する。すなわち、昼間などの高輝度における状態では、(物品の視認側から)画像を見ることが可能であり、夜間などの低輝度における状態では、(物品の視認側から)画像を見ることが可能ではない。
【0004】
また、複数のディスプレイオプションを提供するために、当技術分野では、デュアルディスプレイフィルムとシステムについても説明がなされている。すなわち、第一の照明状態における反射像、及び、第二の照明状態において透過像又は一連の画像を表示することができるフィルムである。そのようなフィルムの実施例は、例えば、米国特許番号第3,888,029号、第5,962,109号、第6,226,906号、第6,577,355号、公開番号WO2004042684号、WO9747481号、及び、米国公開番号20040090399にて開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のデュアルディスプレイフィルムとシステムは、特にフィルムの近くで視認された場合、低い画像品質を呈する。また、多くのデュアルディスプレイシステムは、電気式であり、野外使用の場合、困難であるということもある。高い画像品質、静的及び動的な画像を呈するデュアル基板が望まれている。さらに、限られた電子部品を有するマルチディスプレイが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、デュアル画像基板の製造方法についてのものである。実施例の一つでは、物品の製造方法が開示される。前記方法は、実質的に連続した遮光フィルムを提供する工程、構造化表面を有する透光フィルムを提供する工程、及び、前記遮光フィルムを前記透光フィルムの構造化表面と接触させて遮光層と透光層を有する複合フィルムを形成する工程を含み、そこで接触後に、前記複合フィルムは透光領域と遮光領域を含む。
【0007】
別の実施例では、物品の製造方法が開示され、実質的に連続した遮光フィルムを提供する工程、支持ウェブを提供する工程、前記支持ウェブの反対側で前記遮光フィルムの表面を構造化する工程であって、構造化の後に、遮光フィルムが比較的薄い透光領域を有することとする工程、及び、前記支持ウェブを取り除く工程を含み、少なくとも前記比較的薄い透光領域の一部が前記支持ウェブに残されることとする。
【0008】
別の実施例では、物品の製造方法が開示され、実質的に連続した遮光ポリマフィルムを提供することを含み、実質的に連続する透光の溶融ポリマフィルムを提供する工程、前記遮光の溶融ポリマフィルム、及び、前記透光の溶融ポリマフィルムを、構造化表面に導入する工程であって、そこで前記構造化表面は前記遮光のフィルムに接触することとする工程、実質的に連続した複合フィルムを構造化表面に形成する工程であって、前記複合フィルムは、遮光領域と透光領域を含むこととする工程、及び、前記構造化表面から前記複合フィルムを取り除く工程、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の目的のために、以下の用語が定義される。
【0010】
画像は、一様な色彩面(solid color field)、何かの画像(likeness)(例えば、四角、車(car)、又は模様、といった多くの色が含まれ得る)、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0011】
色は、色彩の可視スペクトルの中における、黒、白、およびいずれの色も含む。
【0012】
本願は基板を対象とする。特に、デュアル機能性を提供できるディスプレイ基板である。例えば、デュアル機能性能力を有する基板の第一主表面は、フィルムの同じ側面から視認されたときに(すなわち、第一主表面で視認されるとき)、第一の照明状態(例えば、フロントライト状態)で第一の様相を有しており、第二の照明状態(例えば、バックライト状態)で第二の様相を有することができる。いくつかの実施例では、基板は、全体として、正透過性である。他の実施例では、基板は、全体として正透過性でない、すなわちビューアーが、反対側のものを視認しようとしたときに、基板を通してどちらの側からも視認することができない。
【0013】
概して、反射像は基板の第一の様相を作り出す。概して、第一主表面(すなわち、反射光、又はフロントライト)と同じ側となる、前記基板の側に光源がある第一の照明状態では、反射像は視認可能な反射像となる。反射像は、何かの画像(likeness)、及び/又は、一様な色彩面(solid color field)を含むことができる。一様な色彩は、フィルム上のコーティング、又はフィルムの中の色彩添加物であることができる。
【0014】
ある実施例では、透過像は基板の第二の様相を作り出す。透過像は、第一主表面の反対側の前記基板の第二主表面に存在することができ、第二の照明状態における第一主表面上で視認可能である。第二の照明状態とは、例えば、照射源からの光、すなわち照射源がビューアーから基板の反対側にあることを言う(すなわち、透過光、又はバックライト)。透過像は、何らかの画像(likeness)、透過光、及び/又は、一様な色彩面(solid color field)を含み得る。前記照射源は、例えば、電球、発光ダイオード、光ルミネセンスフィルム、電界発光のフィルム、などとすることができる。
【0015】
概して、フロントライト、又は反射光の状態においては、前記反射像は視認可能であり、透過像は視認可能ではない。概して、バックライト、又は透過光の状態においては、前記透過像は視認可能であり、反射像は視認可能ではない。いくつかの照明状態では、反射像と透過像の両方がディスプレイのすべて、又は、一部上においてある程度視認可能である。
【0016】
概して、本明細書に記載される基板は、透光領域と遮光領域を含む。遮光領域と透光領域の特性は、特定の視認状態と望ましい視覚効果を考慮して、反射像と透過像の様相を最大限にするために選択される。遮光領域は、透光領域よりも、より多くの透過光を遮断する。
【0017】
ある実施例では、透光領域は、基板の中の透明の、又はクリアな領域である。他の実施例では、透光領域は、基板の中の半透明の領域である。
【0018】
いくつかの実施例では、遮光領域は不透明である。前記遮光領域は、基板内において、あらゆる手段で形成可能である。概して、遮光領域は、遮光層を使用してフィルムの上に、又は遮光フィルムを作り出すための遮光添加物を使用してフィルムの中に形成される。前記遮光領域は、遮光領域が十分に鏡面的な反射型であれば、鏡のようなものであることもできる。遮光層としては、例えば、着色のコーティング、金属薄片、金属化されたコーティング、両面鏡などが挙げられる。遮光添加物としては、あらゆる不透明化充填剤、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、金属薄片などが挙げられる。添加物と層の組合わせや混合も使用することができる。
【0019】
ある実施例では、遮光領域はフィルムの中の遮光添加物から形成される。例えば、フィルムの中に遮光添加物を有するフィルムは、遮光フィルムを作りだす。そのような実施例の透光領域は、定義される領域においてフィルムを薄くすることで、たとえ薄くする領域に遮光添加物が存在したとしても、前記定義される領域においてフィルムが透光になるようにさせ、形成され得る。
【0020】
したがって、第一主表面の平面内において透光がなされる、ある一定の平面領域がある。透光がなされる基板の領域は、概して約90%未満であり、例えば約50%未満である。ある実施例では、透光がなされる基板の領域は、約25%未満、例えば約15%未満である。特定の実施例では、透光がなされる基板の領域は、約0.5%よりも大きく、例えば、1%よりも大きい。
【0021】
反射像は、基板の第一主表面の遮光領域に概して作り出される。例えば、反射像は、遮光領域上部の着色インクのコーティングにてもたらすことができる。ある実施例では、着色インクは、それ自体が遮光層となるのに十分な不透明性を有し、インクのコーティングが遮光領域を作り出す。他の実施例では、インクは、離間した遮光層の上部に付着する。前記反射像は、第二主表面に形成されることもでき、第一主表面から視認でき、遮光領域を作り出す。そのような実施例では、着色インクは遮光領域に配置され、また、第一主表面の反対側において、任意の遮光層が着色インクの上部に配置される。
【0022】
前記基板は、概して透過像も含む。透過像は、概して、前記第一主表面の反対側の、基板の第二主表面の透光領域に作り出される。透過像は、基板の第二主表面の印刷画像によって作り出されることもできる。他の実施例では、透過像は、基板の第二主表面に映し出される光、又は画像によって作り出される。映し出される映像は、動的、又は静的となり得る。別の実施例では、透過像は、第二主表面に最も近い透過フィルムを使用することで作り出され、前記透過像は透過フィルム上に現れる。透過フィルムは、例えば、透明フィルム、又は半透明のフィルムとすることができる。
【0023】
基板は、拡散スクリーンとして機能でき、プロジェクターからの映像、又は一連の画像を受け取り、ビューアーがこれらの画像を視認するのに表示するための、当技術分野において既知の方法にて構成され得る。使用される材料、例えば基板内で使用されるフィルム内の十分なヘイズによって、又は、基板内で光を拡散するための、例えばチタニアといった、フィルムに加えられる特定の添加物によって、拡散スクリーンとして機能し得る。
【0024】
いくつかの実施例では、基板の第一主表面は構造化表面である。いくつかの実施例では、第一主表面の反対側の、基板の第二主表面は、構造化表面である。いくつかの実施例では、両方の主表面が構造化される。
【0025】
構造化表面は、平面性からの逸脱がある表面である。概して構造化表面は、一連の特徴部分、又は平面性からの逸脱を含む。特徴部分は、あらゆる幾何学形状であることができる。特徴部分の形状の例としては、尾根、柱、ピラミッド、半球、および円錐が挙げられる。特徴部分は、突出する特徴部分とすることができ、すなわちそれらは表面からはみ出すことになる。他の実施例では、特徴部分は、窪んだ特徴部分であり、すなわちそれらは表面の中に窪むことになる。突出する特徴部分は、平坦な先端、尖った先端、端が欠けている先端、又は丸い先端を有することができる。窪んだ特徴部分は、平坦なベース、尖ったベース、端が欠けているベース、又は丸いベースを有することができる。いずれの特徴部分の側面も、表面に対して傾けられるか、又は垂直であることができる。いくつかの実施例では、第二の特徴部分は前記特徴部分の上、又は前記特徴部分の中に存在できる。
【0026】
いくつかの実施例では、構造化表面はパターンを有することができる。パターンは、一定であってもよいし、ランダムであってもよいし、又はこれらを組み合わせてもよい。「一定」とは、前記パターンが計画されていて、再現可能であるということを意味する。「ランダム」とは、構造の一つ以上の特徴部分が、非一定の方法で変化に富んでいるということを意味する。変化に富んだ特徴部分の例としては、例えば、ピッチ、ピークから谷までの距離、深さ、高さ、側壁角、縁の半径、などの特徴が挙げられる。組み合わせのパターンは、例えば、ある定義された領域にわたってランダムなパターンを含むことができるが、これらのランダムなパターンは、総合的なパターンの中において、より大きい距離にわたって複製することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、特徴部分は隣接する特徴部分の平面(例えば、突出する特徴部分のベース、又は窪んだ特徴部分の上部)に、接触することができる。
【0028】
ある実施例では、構造化表面は、一連のミクロ構造特徴部分を含む。ミクロ構造特徴部分は、少なくとも二つの横方向の寸法(すなわち、フィルムの平面における寸法)であって、1.4mm(55ミル(mils))未満の特徴部分である。特徴部分は、突出する特徴部分、又は、窪んだ特徴部分のいずれかであることができる。いくつかの実施例では、ミクロ構造特徴部分は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、1.02mm(40ミル(mils))未満、例えば、635マイクロメートル(25ミル(mils))未満のものを有する。特定の実施例では、ミクロ構造特徴部分は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、254マイクロメートル(10ミル(mils))未満のものを有する。ある実施例では、ミクロ構造特徴部分は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、1マイクロメートルよりも大きく、例えば25マイクロメートルよりも大きいものを有する。
【0029】
ある実施例では、第一主表面は一連のマイクロ貫通穴を画定する。穴は、基板の第一主表面から、基板の第二主表面に至る。貫通穴は、どんな寸法も有することができる。マイクロ貫通穴は、少なくとも二つの横方向の寸法(すなわち、フィルムの平面の寸法)を有する穴であって、1.4mm(55ミル(mils))未満の穴である。いくつかの実施例では、マイクロ貫通穴は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、1.02mm(40ミル(mils))未満、例えば、635マイクロメートル(25ミル(mils))未満のものを有する。特定の実施例では、マイクロ貫通穴は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、254マイクロメートル(10ミル(mils))未満のものを有する。ある実施例では、マイクロ貫通穴は、少なくとも一つ、例えば二つの横方向の寸法であって、1マイクロメートルよりも大きい、例えば25マイクロメートルよりも大きいものを有する。
【0030】
ある実施例では、基板は実質的に連続している。実質的に連続、というのは、本願の目的において、基板の平面領域が、基板の第一主表面から基板の第二主表面まで至る穴によって、その表面積の10%未満が取り除かれていることをいう。
【0031】
基板は、概して、少なくとも一つのフィルム層を含んでいる。概して、フィルムは重合体材料である。好適な重合体材料としては、例えば、ポリオレフィン材料 (例えば、ポリプロピレン、又はポリエチレン), 変性ポリオレフィン材料、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)(meth)クリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、ウレタン、及び、アクリル・ウレタン 、エチレンビニルアセテート共重合体、アクリル変性エチレンビニルアセテートポリマー、エチレンアクリル酸共重合体、ナイロン、及び、ポリケトン、又は、ポリメチルペンタンなどのエンジニアリングポリマー、などが挙げられる。フィルムは、エラストマーであることもできる。エラストマーとしては、例えば、天然又は合成のゴム、イソプレンを含むスチレンブロックコポリマー、ブタジエン、又は、エチレン(ブチレン)ブロック、メタロセンの触媒作用を受けたポリオレフィン、ポリウレタン、及び、ポリジオルガノシロキサン、などが挙げられる。重合体、及び/又は、エラストマーの混合物の使用もできる。
【0032】
フィルムは、添加物を含むことができる。そのような添加物の例として、限定はされないが、安定剤、紫外線吸収剤、艶消剤、光学増白剤、及び、所望の物理的又は光学的な利点を提供する混合物、などが挙げられる。
【0033】
基板は、多層体構造とすることができる。いくつかの実施例では、前記構造の特徴は、ベースフィルム層から分離する層であり得る。いくつかの実施例では、多層体基板は、遮光フィルムの層と透光フィルム層の組み合わせとすることができ、そこで遮光フィルムの層が透光領域を有する。
【0034】
ある実施例では、基板は、反射像又は透過像を受け取るための、少なくとも一つの表面に受像層を含む。ある実施例では、受像層は遮光層として機能することもできる。受像層の構成は、所望の画像化方法 (例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷など)と適合性がある必要がある。概して、受像層としては、エチレンビニルアセテートポリマー(EVA)、より好ましくは、酸、又は、酸/アクリル酸で変性されたEVAポリマー、又は、一酸化炭素で変性されたEVAポリマー、ポリ塩化ビニル、ウレタン、(メタ)(meth)クリル、アクリル・ウレタン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
概して、受像層は、基板の遮光領域上にある。そのような実施例では、受像層は、遮光層であることもできる。他の実施例では、遮光層は、基板表面と受像層の間の遮光領域の上にある。特定の実施例では、透光領域は、実質的に受像層を有さない。
【0036】
いくつかの実施例では、基板は、透光領域の上部に低表面エネルギー層を含む。低表面エネルギー層は、基板とは別、又は一体の層とすることができる。低表面エネルギー層は、透光領域へのあらゆる画像の濡れ(wettinng of any image)を減少させるように機能し、仮に画像又はインクが濡れていた(wet)場合において、透光領域から画像又はインクを除去しやすくする。低表面エネルギー層の例としては、例えばシリコーンが挙げられる。
【0037】
他の実施例では、基板は、例えば剥離コーティングといった弱い境界層を、透光領域の上部に含む。基板表面のコーティングは、弱い境界層に対して強力に付着しない。したがって、弱い境界層は、あらゆるコーティングを透光領域からクリアにすることを助長するよう機能し、これによって、透光能力が高められる。弱い境界層の例として、ワックス、セルロース誘導体、低分子量シリコーンが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施例では、基板は接着層を含む。接着層は、第一主表面、又は、第二主表面のいずれにあってもよい。ある実施例では、接着層は、画像層の上方にあり、反射像、又は透過像のどちらかである。剥離ライナーが、使用前に接着層をカバーすることもできる。適当な接着剤の例としては、(メタ)(meth)クリル接着剤、スチレンブロックコポリマー接着剤、及び天然ゴム樹脂接着剤であって、あらゆる任意の可塑剤、又は架橋剤を含むものが挙げられる。適当な剥離ライナーの例としては、シリコーン塗工紙とポリエステルが挙げられる。
【0039】
図1は、本発明の実施例で作られるフィルムを示す。基板10は、透光フィルム12を含む。基板10は、第一主表面14を有する。図1に示される実施例では、第一主表面14が構造物を構成している。例えば、前記構造物はミクロ構造とすることができる。
【0040】
遮光フィルム20は、フィルム12の表面に接着される。遮光フィルム20は、遮光領域22と透光領域24を作り出す。光は、透光領域24を透光する波線として示されている。上述のように、いくつかの実施例では、遮光フィルムは、不透明な層であることができ、画像層は遮光フィルムの上に形成されることになる。さらに、図1は、基板の第二主表面の上の画像層26の実施例を示している。画像層26は、透過像を作り出す。
【0041】
図2は、本発明の実施例における使用のためのフィルムを示す。基板30は、支持ウェブ35の上のフィルム32を含む。基板30には、第一主表面34がある。図3に示される実施例では、前記第一主表面34が構造物を構成している。例えば、前記構造物はミクロ構造とすることができる。フィルム32は、遮光添加物36を追加で含む。前記構造物と遮光添加物は、透光領域38と遮光領域39を作り出す。この実施例では、フィルムを透光とするのに十分な透光領域において、構造物はフィルムを薄くしている。透光領域38は、概して、フィルム32の中の窪みである。光は、支持ウェブ35を取り除いた後に光が透光領域38を通して伝わる箇所に、波線として示される。
【0042】
図3は、本発明の実施例における使用のためのフィルムを示す。フィルム52は、一連の貫通穴54を含む。フィルム52は、概して、遮光フィルムである。
【0043】
図4は、本発明の実施例における使用のためのフィルム62を表す。フィルムは、構造化表面64を含む。構造化表面は、一連のピラミッドを含む。
【0044】
基板は、様々な方法を使用することで製造できる。一つの実施例では、遮光フィルムが提供される。遮光フィルムは、多層体のフィルムを含む、上述したあらゆるフィルムであることができる。例えば、いくつかの実施例では、遮光フィルムは、少なくとも一つの白層と一つの黒層を有する、多層体である。他の実施例では、多層体の遮光フィルムは、二つの白層の間に黒層を有する。いくつかの実施例では、遮光フィルムは、支持ウェブの上であって、例えば剥離ライナーである。
【0045】
いくつかの実施例では、遮光フィルムは、遮光フィルムの表面上の画像を含んでいる。画像は、構造化表面の反対側の表面の上、又は構造化表面に隣接する遮光フィルムの表面の上にあることができる。
【0046】
遮光フィルムは、構造化表面に接触して配置される。構造化表面は、エンボス加工のためのツール、又は構造化されたフィルムであることができる。ある実施例では、構造化されたフィルムは、透光フィルムであることができる。いくつかの実施例では、構造化表面は、遮光フィルムを通して拡張し、遮光フィルムを不連続にする。
【0047】
構造化表面が別のフィルムである他の実施例では、複合フィルムを形成するためにフィルムが接着されることができる。概して、遮光フィルムは、フィルムの構造化表面に接触している。他の実施例では、二つのフィルムが接触していて、複合フィルムの表面は、透光領域を提供するために十分薄い部分を残すように構造化される。表面は、例えば、エンボス加工を含む、様々な方法を使用することで構造化されることができる。接着と構造化の後に、遮光フィルムは透光領域を構成する。いくつかの実施例では、遮光フィルムが不連続であり、他の実施例では、遮光フィルムは連続しているが、光透過性を許容するためにいくつかの領域では十分に薄くされている。
【0048】
フィルムは、様々な方法を使用することで接着され得る。方法としては、例えば接着剤で固着する、又はフィルムを一緒にラミネートする、といったことが挙げられる。遮光フィルムが、透光フィルムなどの構造化されたフィルムに対し熱でラミネートされる実施例においては、構造化されたフィルムが遮光フィルムを変形させることができるように、構造化されたフィルムは、遮光フィルムの軟化点よりも高い軟化点を有することとする。
【0049】
遮光フィルムは、画像を含むことができる。遮光フィルムが支持ウェブの上にある実施例では、支持ウェブを取り除くことができる。支持ウェブを取り除くことで、遮光フィルムからの材料を支持ウェブに残すことができ、不連続な遮光フィルムを作製することができる。例えば、前記構造物との接触によって薄くされる材料は、支持ウェブ上に残ることができる。不連続な遮光フィルムは、上述したように、一連の貫通穴を有する。いくつかの実施例では、支持ウェブは、遮光フィルムに画像を印刷した後に取り除かれる。そのような実施例では、遮光フィルムからの材料に加え、薄くされた領域のインクが支持ウェブに残される。
【0050】
遮光フィルムが透光フィルムに接着される実施例では、透光フィルムの反対側の表面の画像とともに、遮光フィルムを印刷することができる。上述のごとく、いくつかの実施例では、遮光フィルムは不連続であり、透光フィルムは印刷される複合フィルムの表面に入り込んでいる。そのような実施例では、透光フィルムは、上述したごとく、印刷画像が透光領域から取り除かれることができるように、低表面エネルギー層、又は弱い境界層を含むことができる。
【0051】
他の実施例では、透光フィルムは、溶融ポリマフィルムである。いくつかの実施例では、透光フィルムと遮光フィルムの両方が溶融ポリマフィルムである。溶融フィルムは、樹脂を溶かして加熱された樹脂をダイに供給する、従来の押出成形機の手段によって形成される。前記ダイは、樹脂を幅広リボン形状材料として、ニップシリンダー、又は別のフィルムといった鋳型表面に押出す。いくつかの実施例では、遮光フィルムと透光フィルムは、共押出される。他の実施例では、一方のフィルムが押出されないが、既にフィルムフォームの中に押し出されることとする。
【0052】
前記ニップは、少なくとも一つの構造化表面を有することができる。構造化されたニップの表面は、ニップの表面に、空洞、又は突出部のアレイを含むことができる。いくつかの実施例では、ニップは2個のシリンダを構成し、フィルムはシリンダの間を通過する。そのような実施例では、表面の片方、又は両方を構造化できる。ニップに一つの構造化表面しか有しない実施例では、遮光フィルムはニップの構造を有する側に入れられる。
【0053】
前記基板は、様々な方法で使用できる。概して、照射源が提供される。実質的に連続した基板は、照射源とビューアーの間に配置され、基板は、遮光領域と透光領域を有する。他の実施例では、基板は、1.4mm(55ミル(mils))未満の横方向の寸法を少なくとも二つ有する一連のマイクロ貫通穴を有する。
【0054】
反射像は、照射源の反対側となる基板の上に存在し、透過像は、基盤と照射源の間に存在する。照射源がオフの状態で、反射像が視認可能であり、照射源がオンの状態で、透過像が視認可能である。例えば、反射像は、印刷画像であることができ、透過像は、上述したように、印刷画像、透明フィルム上の画像、又は突出する画像であることができる。
【0055】
概して、フロントライトの状態において、反射像は、照射源がオフのときだけ視認可能であり、透過像は、照射源がオンのときだけ、視認可能である。
【0056】
基板は、様々な応用に利用できる。例えば、基板は、一様なカラーの反射像を有し得る。一様なカラーは、周囲の状況と調和することができ、また、照射源がオンのときにだけ視認可能な透過像をカモフラージュできる。特定の実施例では、自動車のブレーキライトをカモフラージュすること、又は自動車の内部のオーバーヘッドライトをカモフラージュすること、が挙げられる。警告の、警告的な、指向的な、広告的なサインを、必要になるまでカモフラージュすることもできる。
【0057】
他の応用として、デュアルグラフィック、又は文字記号がある。基板は、文字記号情報を伝える反射的な視像を有することができる。このサインは、フロントライト状態で視認可能になる。前記サインは、バックライト状態で異なったサインに容易に変えられることができる。例えば、日中(フロントライト)は静的なサインを表示し、夜には映し出される動的なサインが同じ基板上の透過像となる。
【0058】
本発明の様々な改良および変更が本発明の精神および範囲から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例を示すフィルムの横断面図。
【図2】本発明の第二の実施例を示すフィルムの横断面図。
【図3】本発明の第三の実施例を示すフィルムの横断面図。
【図4】本発明の第四の実施例を示すフィルムの横断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に連続した遮光フィルムを提供する工程、
構造化表面を有する透光フィルムを提供する工程、及び、
前記遮光フィルムを前記透光フィルムの構造化表面と接触させて遮光層と透光層を有する複合フィルムを形成する工程を含み
前記接触後に、前記複合フィルムが、透光領域と遮光領域を有する、物品の製造方法。
【請求項2】
遮光フィルムを透光フィルムの構造化表面に接着させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接触後において、前記遮光フィルムの層が不連続である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接触後において、前記遮光フィルムの層が実質的に連続である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記遮光層から前記透光フィルムを取り除くことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記透光フィルムの構造化表面は、インク剥離コーティングでコートされている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記遮光層は、前記透光層の反対側表面に画像を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記透光層は、前記遮光層の反対側の表面に画像を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記遮光フィルムが多層体である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
実質的に連続した遮光フィルムを提供する工程、
支持ウェブを提供する工程、
前記支持ウェブの反対側で前記遮光フィルムの表面を構造化する工程であって、そこで構造化の後に、遮光フィルムが比較的薄い透光領域を有する工程、及び、
前記支持ウェブを取り除く工程、
を含み、そこで少なくとも前記比較的薄い透光領域の一部が前記支持ウェブに残される、
方法。
【請求項11】
前記支持ウェブに残される領域は、前記遮光フィルムに貫通穴をもたらす、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記支持ウェブを取り除く前に、前記支持ウェブの反対側にある前記遮光フィルムの表面を印刷する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記遮光フィルムを構造化する前において、前記支持ウェブの反対側に前記遮光フィルムの表面を印刷する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記支持ウェブを取り除いた後に、前記遮光層が一連の貫通穴を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記支持ウェブを取り除いた後に、前記遮光層が一連のマイクロ貫通穴を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記支持ウェブを取り除いた後に、前記遮光フィルムが正透過性である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記支持ウェブを取り除いた後に、前記遮光フィルムが正透過性でない、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記支持ウェブを取り除く前に、前記支持ウェブの反対側表面の前記遮光フィルムに、画像を印刷する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
実質的に連続する遮光ポリマフィルムを提供する工程、
実質的に連続する透光の溶融ポリマフィルムを提供する工程、
前記遮光の溶融ポリマフィルム及び前記透光の溶融ポリマフィルムを、構造化表面に導入する工程であって、前記構造化表面は前記遮光のフィルムに接触することとする工程、
実質的に連続した複合フィルムを構造化表面に形成する工程であって、前記複合フィルムは、遮光領域と透光領域を含むこととする工程、及び、
前記構造化表面から前記複合フィルムを取り除く工程、
を含む物品の製造方法。
【請求項20】
前記構造化表面から前記複合フィルムを取り除いた後において、前記複合フィルムを冷却する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記構造化表面は、ニップの中にある、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記遮光フィルムは、溶融ポリマーである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記遮光フィルムは、あらかじめ形成されたフィルムである、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記複合フィルムは、構造化表面を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記遮光フィルムは、多層体である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記ニップは第二の表面を有し、前記第二の表面は滑らかである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記ニップは第二の表面を有し、前記第二の表面は構造化されている、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記遮光の溶融ポリマフィルムと、前記透光の溶融ポリマフィルムは、前記ニップの前で共押出される、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−541170(P2008−541170A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511177(P2008−511177)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/017060
【国際公開番号】WO2006/124302
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】