説明

基板を処理するための処理装置及び方法

【課題】基板上に層系、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を形成するための処理装置を提供する。
【解決手段】処理装置1は、基板をその内部で処理するための1つ以上の処理ステーションA、2から成る集合体と、基板上に堆積された層系上に封止要素を施すための第1封止ツール6aを備える第1封止モジュール5aを備える。更に、処理装置1は第2の封止ツール6bを備えた少なくとも第2の封止モジュール5bを備え、2つの封止モジュール5a、5bを設けることで、処理装置1を連続的に稼動させている間に、そのうちの1つ、例えば第2モジュール5bを洗浄し、その間に第1封止モジュール5aによりコーティング済み基板上に封止を形成する。OLEDコーティングとOLEDコーティング上への封止要素の堆積をコーティング装置により連続的に行う。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は基板上に層系、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を形成するための処理装置に関し、この装置は前記基板をその内部にて処理するための1つ以上の処理ステーションの集合体と、前記基板上に堆積された前記層系を封止するための第1封止ツールを備える第1封止モジュールを備える。更に、本発明は基板を処理するための方法、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料を含む層系(OLED)を基板上に堆積するための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
多くの技術分野において、基板上に堆積させた多層コーティングが必要とされている。特に、エレクトロニクスの分野において、ディスプレイ及びフラットパネルの重要性は増している。例えば、OLED(有機発光ダイオード)パネルは、基板上に多層系を堆積することで工業的に製造されている。多層系には少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)が含まれる。通常、得られるOLEDデバイス、例えばOLEDディスプレイ、光源、有機電子デバイス、太陽電池その他は基板(例えばガラス製)、ITO(インジウム・スズ酸化物)層、少なくとも1つの有機発光層及びカソードを備える。
【0003】
通常、OLEDコーティング機械は、中央搬送チャンバと、その周囲に配置された、異なる処理及び/又はコーティング工程を実行するための様々なモジュールを有するクラスタツールとして構成されている。
【0004】
OLED層系は環境に敏感であり、周囲条件下での性能の低下を防止するためには、OLED層系上に封止又は保護層(系)を適用する必要がある。封止方法には、ガラス又は金属キャップ又は薄膜をも使用した封止処理が含まれる。別の実施形態において、封止層は有機及び/又は無機層、耐擦過性コーティング等から成る積層体を備えている。
【0005】
封止要素を施すにあたって、基板はクラスタツールから取り除かれ、その内部で封止作業が行われる「グローブボックス」と呼ばれる設備へと輸送される。
【0006】
しかしながら、クラスタシステムの使用には幾つかの欠点がある。特に、個々のモジュール内における清浄度要件及び処理条件は十分なものだが、クラスタツールのスループットと性能は極めて低い。少なくとも、OLEDデバイスの大量生産には性能が不十分である。更に、コーティングシステムからグローブボックスへの間にOLEDが損傷される又は汚染される可能性がある。
【0007】
OLEDコーティングシステムの性能を改善するために、従来より直列式のコーティング構成とすることでOLEDデバイスを連続的に製造していた。これらのシステムにおいて、基板は多数の連続した処理チャンバ内を通して輸送され、必要な方法工程へと連続的に供される。複数の層が、システム全体に亘って延びる一本の経路上で堆積される。処理チャンバには、例えばコーティングチャンバ、表面処理チャンバ等が含まれる。
【0008】
有機エレクトロルミネセント材料でコーティングした基板(OLED)を製造するための直列式コーティングシステムはEP1717339A2に開示されており、その内容は引用により本願に組み込まれる。
【0009】
しかしながら、封止チャンバを頻繁に、例えば少なくとも毎日洗浄しなくてはならないことから、封止要素は作業ラインには連結されていない及び/又は作業ラインから分離された封止ステーション内でコーティング済み基板上に堆積される。そうでない場合、もし封止モジュールが直列式コーティングシステム内に統合されていると、洗浄作業中、ライン内での基板の輸送を停止させなくてはならなくなり、直列式コーティングシステム内での製造を洗浄期間中は完全に停止させなくてはならない。
【発明の目的】
【0010】
本発明の目的は高いスループットを有し、高く信頼できるOLED製品純度レベルのコーティング・封止装置を提供することである。
【技術的解決】
【0011】
この目的は、請求項1に記載の処理装置と請求項12に記載の、基板上に層系を形成するための方法を提供することで達成される。
【0012】
基板上に層系、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を形成するための本発明の処理装置は、前記基板をその内部で処理するための1つ以上の処理ステーションから成る集合体と、前記基板上に堆積された前記層系上に封止を施すための第1封止ツールを備える第1封止モジュールを備える。処理装置は少なくとも第2の封止モジュールを更に備え、第2封止モジュールは前記基板上に堆積された前記層系に封止を施すための第2封止ツールを少なくとも備えており、前記処理装置は前記第1封止モジュール又は前記第2封止モジュールのいずれかにおいて前記基板上に堆積された前記層系上に前記封止を施すように構成されている。
【0013】
2つの封止モジュールを設けることで、処理装置を連続的に稼動させている間に、そのうちの1つ、例えば第2モジュールを洗浄し、その間に第1封止モジュールによりコーティング済み基板上に封止要素を形成することができる。1回の運転又は既定の運転回数n=1、2、3・・・・が終わった後、第2の封止モジュールを用いて後続する多数のコーティング済み基板上への封止要素の形成を行い、その間に第1の封止モジュールを洗浄過程に供する。このようにして、OLEDコーティングの堆積と前記OLEDコーティング上への封止をコーティング装置により連続的に行う。全製造工程が連続的なのに対し、処理及び封止ステーションでの処理は静的又は静止であってもよい。
【0014】
従って、本発明は、多層系を基板上に連続運転/製造モードで堆積し、少なくとも1つの封止(要素)を堆積済みの多層系上に堆積することができる直列式の処理(コーティング)ステーション集合体の利点を生かした、高い性能とスループットを有するコーティング・封止複合システムである処理装置を提案する。封止(要素)は保護層、複数の保護層から成る系、例えば耐擦過性コーティング、カバー等のみならず有機及び/又は無機層から成る積層体である。2つの封止チャンバを配置し、OLED層系上に封止層を堆積するのにこれら2つの封止チャンバを交互に使用することで、直列式コーティング・封止複合システム内での基板の搬送を妨げることなく封止チャンバを定期的に洗浄することができる。
【0015】
直列に配置された処理ステーション内において、各基板は直線状の堆積経路を通る。「直線状」とは、基板ローディングステーションから基板アンローディングステーションへの途中で基板が各処理ステーションを通過することを意味する。基板を必ずしも常に同じ方向に輸送する必要はないが、前記直線状の堆積経路に沿って連続的に処理されるべく互いに前後する。処理対象である基板は製造ラインを次から次へと連続的に通過する。封止モジュールをコーティングライン/堆積経路の出口に直接的、或いは例えばポンプチャンバ、バッファチャンバ又は中間チャンバを介して様々な配置で間接的に連結してもよい。
【0016】
「層系」という用語は、1つ以上の層を有する構造について言及している。層は構造化されていても非構造化であってもよく、つまり層はパターンを有していても、或いは全基板領域上にほぼ均質な薄層として延びるものであってもよい。少なくとも1つの層が有機発光半導体材料を含む(OLED)。更に、層は有機及び/又は非有機材料(例えば、金属層)を含んでいてもよい。
【0017】
好ましくは、1つ以上の処理ステーションの集合体は前記基板上に層を堆積するための少なくとも1つのコーティングステーションを備える。
【0018】
処理装置は、各種処理ステーション/モジュールを有するコーティングシステムを備えていてもよい。処理ステーション/モジュールはコーティングステーションを構成するが、エッチングステーション、中間チャンバ、ポンプチャンバその他を含んでいてもよい。コーティングステーションでは異なるコーティング処理、例えばPVD、CVD、PECVD、RF−PECVD、スパッタ処理等を実行することができる。封止システムは少なくとも2つの封止モジュールを備え、封止モジュールは独立して操作することができる。特に、封止モジュールは任意及び選択的に稼動させることができる。
【0019】
好ましい実施形態において、コーティングステーションは有機発光半導体層(OLED)を前記基板上に堆積するための少なくとも1つのツールを備えている。酸素又は水に曝露された場合、有機発光ディスプレイ(OLED)で使用されるカソード材料及び有機分子の寿命は限られることから、これらのシステムには封止(要素)又は保護層(系)を施すことが必要とされる。封止方法にはガラス又は金属キャップ又は薄膜封止処理を施すことが含まれる。通常、得られるOLEDディスプレイは基板(例えばガラス製)、ITO(インジウムスズ酸化物)層、少なくとも1つの有機発光層及びカソードを備える。この層系の最上部に、層系を封じる形で封止要素が設けられ、この封止要素は耐擦過性コーティングのみならず有機及び/又は無機層の積層体を備える。
【0020】
前記第1封止モジュールは好ましくは前記第1封止モジュールの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための第1手段を備え、前記第2封止モジュールは前記第2封止モジュールの少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための第2手段を備える。洗浄は高速プラズマエッチング処理によって行ってもよい。しかしながら、洗浄は封止チャンバ及び/又は封止ツールの(汚染)コンポーネントを交換することで行うこともできる。洗浄対象である封止チャンバにアクセス手段を設けることで封止ステーションのコンポーネントを洗浄することも可能である。
【0021】
前記処理ステーション集合体の処理ステーションは直列に配置することができる。このようにして、多数の連続する基板を、連続する方法工程において途切れることなくコーティングすることが可能である。
【0022】
好ましい実施形態において、第1封止モジュール及び第2封止モジュールは互いに平行に配置される。この実施形態において、2つ以上の封止チャンバは直列式コーティング装置の終端部に例えば搬送チャンバを介して連結することができる。封止チャンバは互いに平行に配置される。これは、(コーティング済みの)基板が第1封止チャンバ又は第2(又は第3、第4等)封止チャンバのいずれかへと輸送されて処理されることを意味している。残りのチャンバへの基板の進入はなく、第1封止モジュール内にて封止要素を層系上に被覆している間、残りのチャンバを洗浄過程、コンポーネントの保守又は交換に供することができる。従って、「平行」という語を必ずしも厳密に幾何学的な意味で捉える必要はない。
【0023】
コーティングラインから相次いで送り出されてくる基板は第1及び第2又は各種封止チャンバの1つ内で交互に処理される。従って、洗浄対象である封止チャンバの1つを作業ラインから分離及び/又は切り離して、残りの封止チャンバによりコーティング・封止複合システムを継続して運転することができる。更に、封止作業をチャンバの1つで実行している間、内部洗浄処理、例えばプラズマエッチング処理を残りのチャンバで行うことができる。この場合、封止及び洗浄期間を封止チャンバの1つにおける封止作業毎に、又はn封止作業回(n=1、2、3・・・)毎に平行封止チャンバ間で交互に行うことが可能である。しかしながら、既定の時間の経過後にチャンバ間で封止と洗浄の切り替えを行うこともある。
【0024】
特定の実施形態において、処理装置は1つ以上の処理ステーションから成る前記集合体と直列となるように配置された搬送ステーションを備え、前記搬送ステーションは基板を前記処理ステーション集合体から受け取り、前記第1封止モジュール及び前記第2封止モジュールのいずれかに搬送するように構成されている。例えば搬送チャンバは回転チャンバであり、基板を封止チャンバのいずれかに送り、かつ各封止チャンバから基板を受け取る回転式輸送システムを備える。又、輸送システムはコーティングシステムから送り出されてくる基板を受け取り、基板アンローディングステーション又は回転チャンバと基板アンローディングステーションとの間に配置された中間モジュールへと送る。
【0025】
封止モジュールは直列式の処理ステーション集合体内において、基板の輸送方向を横断する、特には直交方向に配置することができる。これには封止チャンバを搬送チャンバ周囲に星型クラスタ構造に配置することが含まれる。
【0026】
別の実施形態において、第1封止モジュール及び第2封止モジュールは前記処理ステーション集合体の処理ステーションと直列となるように配置される。つまり、基板の輸送経路は、基板がコーティングシステムを通過した後、2つ(又は封止チャンバの数に対応した数)に分岐する。基板は第1封止チャンバを含む第1分岐又は第2封止チャンバを含む第2分岐(又は第3分岐その他)のいずれかに送られる。封止後、複数の経路は再度合流する又は分岐したまま基板アンローディングステーションへと続く。
【0027】
本発明の別の実施形態において、第1封止モジュール及び第2封止モジュールは互いに直列となるように配置されている。
【0028】
直列配置の場合、封止チャンバはコーティングモジュールの(直列)配列の(基板輸送方向に対して)下流側に、コーティングモジュールと直列となるように最終コーティングモジュールと連結されている。つまり、第1封止チャンバは最終コーティングステーションに直接的又は間接的に連結され、第2封止ステーションは第1封止ステーションと直列に連結されている。第3封止ステーションは第2封止ステーションと直列に連結することができ、以下同様となる。封止ステーションは基板を受け取るための第1開口部と基板を放出するための第2開口部を有していてもよい。第1封止チャンバはコーティングラインの出口側開口部とその第1開口部で連結されている。第1封止チャンバの第2開口部は、第2封止チャンバの第1開口部に連結されている。第2封止チャンバの第2開口部は、基板アンローディングステーションに直接的又は1つ以上の中間チャンバを介して間接的に連結されている。
【0029】
この実施形態において、各基板は直列に配置された全ての封止チャンバを通過する。通常、処理装置の稼働中、第1基板の第1層系が封止チャンバの1つにおいて封止されている間、その他の(第2)封止チャンバは洗浄用プラズマによって洗浄される。洗浄用プラズマのエッチング速度はコーティング用プラズマよりも速いことから、第2チャンバにおける洗浄時間は第1チャンバ内でのコーティング時間よりも短い。次の運転で、別の基板を第1及び第2封止チャンバの1つに搬送し封止し、その間にもう一方のチャンバをプラズマで洗浄する。通常、この運転回中に、コーティング済みの基板を、先行の運転回で洗浄済みの第2封止チャンバ内で封止する。つまり、基板のコーティングを第1及び第2封止チャンバ内で交互に封止しながら、もう一方の封止チャンバを洗浄する。
【0030】
基板は洗浄終了前又は洗浄終了後の封止チャンバを全て通過するため、これらの封止チャンバ内に残留ガスがないことを確実にしなくてはならない。必要ならば、追加のガス分離及び/又はポンプチャンバを設置する。このようにして、基板は封止前又は封止後に「汚損された」又は「清浄な」封止チャンバを通過する。封止は常に十分に清浄なチャンバ内で行われる。
【0031】
好ましくは、処理装置は少なくとも第3の封止モジュールを更に備え、前記第1封止モジュール及び前記第2封止モジュールは互いに平行及び/又は直列に配置され、前記第3封止モジュールは前記第1封止モジュール及び/又は前記第2封止モジュールと直列に配置される、又は前記第3封止モジュールは前記第1封止モジュール及び/又は前記第2封止モジュールと平行に配置される。
【0032】
3つ以上の封止チャンバが第1及び第2封止チャンバと直列及び/又は平行に配置される場合がある。3つ以上のチャンバの場合、その他の操作モードを用いることができる。
【0033】
封止チャンバを平行に配置するという第1の構想と、直列に配置するという第2の構想とを組み合わせることも可能である。例えば、2対の封止チャンバを平行に配置し、その各対が2つの直列に配置された封止チャンバから成るものが可能である。平行な分岐路の片方を使用中、つまり直列配列の封止チャンバに関して述べたように稼動させ、第2の分岐路をチャンバの開放及び/又はコンポーネントの交換による洗浄にて洗浄してもよい。
【0034】
本発明において、基板を処理するための方法、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を基板上に堆積するための方法は、
(a)第1層系を第1基板上に少なくとも1つの処理ステーション内で堆積する工程と、
(b)前記第1基板の前記第1層系上に第1封止モジュール内で第1の封止を施す工程と、
(c)工程(b)を実行しながら前記第1封止モジュールと平行又は直列に配置された第2封止モジュールを洗浄する工程を含む。封止チャンバ内での高い粒子飛散率により、封止チャンバ内で粒子の付着が生じる。これらの付着粒子は、封止チャンバを定期的に洗浄しない限り、後の封止作業中に別のOLEDデバイス上に堆積される可能性がある。従って、本発明は連続的なコーティング・封止作業を中断することなく第2封止チャンバを洗浄するための洗浄工程(c)を伴う。
【0035】
封止チャンバは封止ツールの汚染、つまり粒子が付着したコンポーネントを例えば1日数回交換することで洗浄することができる。或いは例えば封止チャンバ内に洗浄用プラズマを生じさせることで、内部処理を用いて封止チャンバを洗浄することができる。
【0036】
本方法は、
(d)第2層系を第2基板上に前記少なくとも1つの処理ステーション内で堆積する工程と、
(e)前記第2基板の前記第2層系上に、第2封止モジュール内で第2の封止を施す工程と、
(f)工程(e)を実行しながら前記第1封止ステーションを洗浄する工程を更に含む。
【0037】
特に、第1基板と第2基板を前記処理ステーション集合体の少なくとも1つの処理ステーションで順次処理する。複数の処理ステーションは上述したように直列に配置してもよい。
【0038】
好ましくは、前記第1基板の第1層系は第1期間中に前記第1封止モジュール内で封止され、前記第2基板の第2層系は第2期間中に前記第2封止モジュール内で封止され、前記第2期間は前記第1期間とは時間的にズレている。ある封止チャンバ内での洗浄期間とその他の封止チャンバ内での封止期間とは通常、重複している。2つの異なるチャンバでの2つの封止処理が部分的に重複する場合がある。
【0039】
特に、前記第1基板上に堆積された前記第1層系を前記第1封止モジュール(5a)内でn運転回で封止し、前記第2基板上に堆積された前記第2層系を前記第2封止モジュール内でn運転回に続く次のn+m運転回で封止し、n、m=1、2、3・・・である。第1基板のn運転回と第2基板のn+m運転回との間の運転回数は(m−1)である。
【0040】
前記洗浄工程(c)及び(f)はプラズマ洗浄処理、特には高速プラズマエッチング処理を用いて実行することができる。或いは、汚染されたコンポーネントをその交換又は機械的な洗浄により「洗浄」することができる。
【0041】
好ましくは、前記方法工程(a)及び(d)の処理は、少なくとも1つの有機及び/又は無機層を前記基板上に堆積することを含む。
【0042】
上述の構成は単独又は上述の方法及び/又は装置構成とのいずれの組み合わせにおいても保護される。
【実施形態の説明】
【0043】
図1は基板上に多層系を形成するための、特には有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを形成するための処理装置の一部の概略平面図である。
【0044】
処理装置1は矢印Aによって示される、直列に配列された多数の処理ステーションを含む。処理ステーション集合体は、特に、有機及び/又は非有機構造化又は非構造化層を基板上に堆積するためのコーティングステーションを備えるが、例えばプラズマエッチングステーション、中間チャンバその他を備えていてもよい。コーティングステーションはどんな種類の処理ツールを含んでいてもよく、例えばスパッタリングツール、CVD蒸着ツールその他が挙げられる。基板は各種処理チャンバを通って連続的に輸送される。
【0045】
図1に図示の実施形態において、最終処理ステーションの1つは金属コーティングステーション2である。金属コーティングステーション2は、層系の最上層を形成するために設置されている。金属層を金属コーティングチャンバ2内で堆積した後、基板(この時点で封止を除く完全なる層系を備えている)を中間チャンバ3を経由させて搬送チャンバ4へと輸送する。
【0046】
搬送チャンバ4は搬送手段、例えばコーティング済み基板を担持した基板キャリアを受け止めるための回転式受け止め装置を含む回転式輸送システムを備える。輸送システムを回転させることで第1封止チャンバ5a又は第2封止チャンバ5bのいずれかと整列させ、基板を第1又は第2封止チャンバ5a又は5bのいずれかに送る。
【0047】
この実施形態において、第1封止チャンバ5aは第2封止チャンバ5bと平行に配置されていることから、基板を第1封止チャンバ5a又は第2封止チャンバ5aへと交互に輸送することが可能である。封止チャンバ5a及び5bは共に封止ツール6a及び6bを含む。封止ツール6a及び6bは、搬送チャンバ4の上流にあるコーティングシステム内で基板上に堆積された層系上に封止材料を堆積するために設置される。
【0048】
封止チャンバ5a及び5bは基板の標準輸送方向に直交して配置されている。基板の標準輸送方向は、矢印Aの方向を有する多数の矢印によって示されている。
【0049】
第1及び第2封止チャンバ5a及び5bは共に搬送チャンバ4の片側に配置されているが、当然のことながら搬送チャンバ4の反対側に配置することもできる及び/又は搬送チャンバ5a及び5bを搬送チャンバ4の異なる側に配置することもできる。又、搬送チャンバ4のいずれかの側に配置された第1封止チャンバ5a及び第2封止チャンバ5bに加えて更に別の封止チャンバがあってもよい。
【0050】
第1封止チャンバ5a又は第2封止チャンバ5bのいずれかでOLED多層系上に封止層を設ける過程において、使用しない側の封止チャンバは適切な洗浄方法、例えば(プラズマ)エッチング処理、又は封止チャンバ5a、5b及び/又は封止ツール6a、6bの汚染コンポーネントの交換によって洗浄される。
【0051】
OLED層系上に封止層を堆積した後、基板を第1及び第2封止チャンバ5a及び5bから取り出し、搬送チャンバ4へと戻す。その後、基板を基板アンローディングステーション9へと中間チャンバ7及び8を経由して輸送する。中間チャンバはバッファチャンバ、後処理チャンバ、プロセスチャンバ、コーティングチャンバ等である。基板アンローディングステーション9において、基板はキャリアから取り外される。
【0052】
基板をキャリアから取り外した後、空のキャリアをローディングステーションへと戻してチャンバ10、11、4、12、13を通る、矢印Bで示される経路上で別の基板を受け取る。
【0053】
処理装置1は連続的に運転される。基板はあるチャンバから次のチャンバへと輸送され、各種処理工程に供される。一部の基板は処理装置内で連続的に処理される。
【0054】
第1及び第2封止チャンバ5a及び5bの一方が、各封止チャンバ5a、5bへと連続的に送られてくる多数のコーティング済み基板上に封止層を設けている間、第1及び第2封止チャンバ5a、5bのもう一方を作業から切り離し、洗浄又は保守過程へと供することができる。従って、たとえ封止チャンバ5a又は5bの一方が使用されていなくとも、封止作業を含め、処理装置1は確実に継続的に直列的に運転される。2つ以上の封止チャンバを設置する場合、少なくともその1つが稼動可能でなくてはならず、残りの封止チャンバは作業から切り離すことができる。
【0055】
第1及び第2封止チャンバ5a及び5bは交互に、任意で及び/又は選択的に運転可能であり、つまり搬送チャンバ4に順次送られてくるコーティング済み基板は第1封止チャンバ5aと第2封止チャンバ5bへと交互に送ることができる。特定の基板に封止作業を実行するように選択される封止チャンバは運転回毎に、ある一定のn連続運転回数後又は一定の運転時間経過後、例えば毎日、交代させることができる。但し、その他多くの運転モードが可能である。運転モードは実質的に封止作業の要件に依存する。
【0056】
図2は本発明の別の実施形態を図示している。図1に図示の配置同様に、処理装置1は矢印Aで表される直列配置のコーティングチャンバを含む。処理ステーション集合体A内で基板上に堆積された多層系の最終層は、金属コーティングチャンバ2で形成される。
【0057】
金属層を堆積した後、コーティング済み基板を中間又は処理チャンバ3を経由させて第1封止チャンバ5aか中間又は処理チャンバ3及び第1封止チャンバ5aを経由させて第2封止チャンバ5bのいずれかへと輸送する。封止チャンバ5a及び5bは共に封止ツール6a、6bを含む。
【0058】
この実施形態において、第1封止チャンバ5a及び第2封止チャンバ5aは矢印Aの方向を有する多数の矢印で示される標準の輸送方向に直列で配置される。これは、各コーティング済み基板が封止チャンバ5a及び5bの双方を通って輸送されることを意味している。但し、各コーティング済み基板は第1封止チャンバ5a又は第2封止チャンバ5bのどちらかで封止を施される。当然のことながら、3つ以上の封止チャンバを直列に配置することができ、特定の基板はこれらのチャンバの1つによってのみ、封止処理を施される。
【0059】
第1又は第2封止チャンバ5a及び5bにおける封止作業中、封止チャンバ5a及び5bのもう一方は洗浄過程を経る。
【0060】
この実施形態において、洗浄作業はプラズマを発生させる、例えばプラズマエッチング処理によって実行される。最適な動作条件を達成するために、封止時間よりも短くなるように洗浄時間を選択する及び/又は洗浄作業を封止作業毎後に実行することができる。通常、洗浄時間はコーティング時間よりも短く、これは洗浄作業用(洗浄用プラズマ)のプラズマエッチング速度が、通常、コーティング用プラズマの速度よりも速いからである。従って、洗浄作業用のサイクル時間は通常、封止作業用のサイクル時間よりも短い。
【0061】
基板は封止チャンバ5a及び5bの双方を通過するため、第1又は第2封止チャンバ5a、5bのどちらで封止が行われたかに関係なく、基板が第1封止チャンバ5a内で封止されたなら、基板が封止作業後に第2封止チャンバ5bを通過する際に第2封止チャンバ5b内にガスが残留していないようにしなくてはならない。一方、コーティング済み基板が第2封止チャンバ5b内で封止過程を経る場合、コーティング済み基板が第1封止チャンバ5aを封止層を受け取るために第2封止チャンバ5bに向かって通過する際に第1封止チャンバ5a内にガスが残留していないようにしなくてはならない。これを目的として、ガス分離又は追加のポンプチャンバを設置してもよい。
【0062】
封止作業後、コーティング済みの封止基板を基板アンローディングチャンバ9へと中間チャンバ、プロセスチャンバ、コーティングチャンバ、及び/又は処理チャンバ7、8を経由させて輸送する。空のキャリアは輸送経路10、11、12、13、14、15を経由して、更に矢印Bで示される経路を経由してローディングステーション(図示せず)へと戻される。経路沿いのチャンバは搬送チャンバ、中間チャンバ及び/又は処理チャンバである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
更なる目的及び利点は具体的な実施形態の説明から得られる。
【図1】本発明の第1の実施形態による処理装置の概略平面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による処理装置の概略平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に層系、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を形成するための処理装置(1)であり、
前記基板をその内部で処理するための1つ以上の処理ステーション(A、2)の集合体と、
前記基板上に堆積された前記層系上に封止を施すための第1封止ツール(6a)を備える第1封止モジュール(5a)を備え、
処理装置(1)が前記基板上に堆積された前記層系に封止を施すための少なくとも第2の封止ツール(6b)を備えた少なくとも第2の封止モジュール(5b)を更に備え、
前記処理装置(1)が前記第1封止モジュール(5a)又は前記第2封止モジュール(5b)のいずれかにおいて前記基板上に堆積された前記層系上に前記封止を施すように構成されていることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記1つ以上の処理ステーション(A、2)から成る前記集合体が、前記基板上に層を堆積するための少なくとも1つのコーティングステーションを備えている請求項1記載の処理装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコーティングステーションが有機発光半導体層(OLED)を前記基板上に堆積するための少なくとも1つのツールを備えている請求項2記載の処理装置(1)。
【請求項4】
前記第1封止モジュール(5a)が前記第1封止モジュール(5a)の少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための第1手段を備え、前記第2封止モジュール(5b)が前記第2封止モジュール(5b)の少なくとも1つのコンポーネントを洗浄するための第2手段を備えている前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項5】
前記処理ステーション集合体の前記処理ステーション(A、2)が直列に配置されている前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項6】
前記第1封止モジュール(5a)及び前記第2封止モジュール(5b)が互いに平行に配置されている前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項7】
前記処理装置(1)が前記1つ以上の処理ステーション(A、2)の集合体と直列に配置された搬送ステーション(4)を備え、前記搬送ステーション(4)が前記処理ステーション(A、2)の集合体から基板を受け取り、前記第1封止モジュール(5a)及び前記第2封止モジュール(5b)のいずれかに搬送するように構成されている請求項6記載の処理装置(1)。
【請求項8】
前記封止モジュール(5a、5b)が基板の輸送方向(A)を横断する、特には直交するように配置される前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項9】
前記第1封止モジュール(5a)及び前記第2封止モジュール(5b)が前記処理ステーション集合体の前記処理ステーション(A、2)と直列に配置されている前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項10】
前記第1封止モジュール(5a)及び前記第2封止モジュール(5b)が互いに直列に配置されている前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項11】
前記処理装置(1)が少なくとも第3の封止モジュールを更に備え、前記第1封止モジュール(5a)及び前記第2封止モジュール(5b)は互いに平行及び/又は直列に配置され、前記第3封止モジュールは前記第1封止モジュール(5a)及び/又は前記第2封止モジュール(5b)と直列に配置される、又は前記第3封止モジュールは前記第1封止モジュール(5a)及び/又は前記第2封止モジュール(5b)と平行に配置される前記請求項のいずれか1項記載の処理装置(1)。
【請求項12】
基板を処理するための方法、好ましくは少なくとも1層の有機発光半導体材料(OLED)を含む層系を基板上に堆積するための方法であり、
(a)第1層系を第1基板上に少なくとも1つの処理ステーション(A、2)内で堆積する工程と、
(b)前記第1基板の前記第1層系上に第1封止モジュール(5a)内で第1の封止を施す工程と、
(c)工程(b)を実行しながら前記第1封止モジュール(5a)と平行又は直列に配置された第2封止モジュール(5b)を洗浄する工程を含む方法。
【請求項13】
(d)第2層系を第2基板上に前記少なくとも1つの処理ステーション(A、2)内で堆積する工程と、
(e)前記第2基板の前記第2層系上に、第2封止モジュール(5b)内で第2の封止を施す工程と、
(f)工程(e)を実行しながら前記第1封止ステーション(5a)を洗浄する工程を更に含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1基板及び前記第2基板を前記少なくとも1つの処理ステーション(A、2)で順次処理する請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記第1基板の前記第1層系は第1期間中に前記第1封止モジュール(5a)内で封止され、前記第2基板の前記第2層系は第2期間中に前記第2封止モジュール(5b)内で封止され、前記第2期間は前記第1期間とは時間的にズレている請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第1基板上に堆積された前記第1層系を前記第1封止モジュール(5a)内でn運転回で封止し、前記第2基板上に堆積された前記第2層系を前記第2封止モジュール(5b)内でn運転回に続く次のn+m運転回で封止し、n、m=1、2、3・・・である請求項12〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記洗浄工程(c)及び(f)をプラズマ洗浄処理を用いて実行する請求項12〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記方法工程(a)及び(d)の前記処理が、少なくとも1つの有機及び/又は無機層を前記基板上に堆積することを含む請求項12〜17のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−270218(P2008−270218A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−109175(P2008−109175)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】