説明

基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、基板処理装置及びインプリントシステム

【課題】基板の表面に密着剤を適切に成膜しつつ、基板処理のスループットを向上させる。
【解決手段】ウェハの表面に離型剤を成膜するウェハ処理では、先ず、塗布ユニットにおいて、ウェハの表面に紫外線を照射し、当該ウェハの表面を洗浄する(工程A2)。続いて、同塗布ユニットにおいて、ウェハの表面に紫外線を照射しながら、当該ウェハの表面に密着剤を塗布する(工程A3)。その後、リンスユニットにおいて、ウェハ上の密着剤をリンスして、当該密着剤の未反応部を除去する(工程A4)。こうしてウェハの表面に密着膜が所定の膜厚で成膜される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に当該基板の表面と塗布膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する基板処理方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体、基板処理装置及びインプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト膜の表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト膜の表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法においては、レジスト膜をテンプレートの表面から適切に剥離させるため、ウェハの表面とレジスト膜とが密着していることが必要となる。そこで、ウェハ上に当該ウェハの表面とレジスト膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する場合がある。
【0007】
ウェハの表面に密着剤を成膜する際には、先ず、ウェハの表面を洗浄した後、当該ウェハの表面に密着剤を塗布する。次に、ウェハの表面とレジスト膜との密着性を向上させるため、密着剤をウェハの表面に密着させる。具体的には、密着剤とウェハの表面を化学反応させて、密着剤中に含まれる成分のうち、レジスト膜に対して反応性を有する成分、例えば有機物成分をウェハの表面に吸着させる。その後、密着剤の未反応部を除去して、ウェハの表面に所定の膜厚の密着剤が成膜される。なお、密着剤の未反応部とは、密着剤がウェハの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
しかしながら、上述のように密着剤を成膜する場合、ウェハ上の密着剤をウェハの表面に密着させるのに時間がかかる。例えば常温雰囲気下でウェハを放置した場合、密着剤をウェハに密着させるのに約24時間かかってしまう。
【0009】
そこで、発明者らは、密着剤とウェハの表面との化学反応を促進させるため、ウェハ上の密着剤を加熱して焼成することを試みた。この場合、密着剤をウェハに密着させる時間を短縮することができた。例えば密着剤を60℃に加熱した場合、密着剤をウェハに密着させるのに必要な時間は約1時間であり、また密着剤を200℃に加熱した場合、密着剤をウェハに密着させるのに必要な時間は約5分であった。
【0010】
しかしながら、この場合、一旦加熱したウェハを冷却するのに時間がかかる。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させるには至らなかった。また、密着剤を加熱すると当該密着剤は熱膨張するため、ウェハの表面に密着剤を所定の膜厚で成膜することができない。そして、このように密着剤が成膜されたウェハ上にレジスト膜を形成してインプリント処理を行った場合、ウェハ上に数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成することは困難であった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板の表面に密着剤を適切に成膜しつつ、基板処理のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板上に当該基板の表面と塗布膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する基板処理方法であって、前記基板の表面に紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布する塗布工程と、その後、前記基板の表面に塗布された密着剤をリンスして、当該密着剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴としている。なお、密着剤の未反応部とは、密着剤が基板の表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0013】
発明者らが調べたところ、基板の表面に紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布すると、基板の表面と密着剤との化学反応が促進され、当該基板の表面と密着剤との密着性が向上することが分かった。具体的には、基板の表面に紫外線を照射すると、当該基板の表面の水酸基の結合が切断される。そして、このように水酸基の結合が切断された直後に、基板の表面と密着剤分子が脱水縮合により結合される。さらに、基板の表面に照射された紫外線によって、隣接する密着剤分子同士が脱水縮合により結合する。こうして、基板の表面と密着剤が強固に結合し、基板の表面と密着剤の密着性が向上する。したがって、基板の表面に紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布すると、基板の表面に密着剤を短時間で密着させることができ、基板の表面と塗布膜との密着性を向上させることができる。このように短時間で密着剤を基板の表面に密着させることができるので、基板処理全体のスループットも向上させることができる。しかも、この場合、従来のように密着剤を加熱する必要がないため、密着剤が熱膨張することもない。したがって、基板の表面に密着剤を所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0014】
前記塗布工程の前に、前記基板の表面を洗浄する洗浄工程をさらに有していてもよい。かかる場合、前記洗浄工程において、前記基板の表面に紫外線を照射してもよい。
【0015】
前記塗布工程は、不活性ガスの雰囲気下で行われてもよい。
【0016】
前記塗布工程において、前記基板の表面に前記紫外線を照射中に、当該基板の表面への密着剤の供給を開始してもよい。
【0017】
また、前記塗布工程において、前記基板の表面と当該表面と対向して配置された支持板との間に密着剤が供給された状態で、前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始してもよい。かかる場合、前記支持板は、前記紫外線を透過させてもよい。
【0018】
別な観点による本発明によれば、前記基板処理方法を基板処理装置によって実行させるために、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0019】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0020】
また別な観点による本発明は、基板上に当該基板の表面と塗布膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する基板処理装置であって、前記基板の表面に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記基板の表面に密着剤を供給する密着剤供給部とを備えた塗布ユニットと、前記基板の表面に塗布された密着剤をリンスして、当該密着剤の未反応部を除去するリンスユニットと、前記塗布ユニットにおいて、前記基板の表面に前記紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布する塗布工程を実行するように、前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御する制御部と、を有することを特徴としている。なお、密着剤の未反応部とは、密着剤が基板の表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0021】
前記制御部は、前記塗布工程を実行する前に、前記塗布ユニットにおいて前記基板の表面に紫外線を照射するように前記紫外線照射部を制御してもよい。
【0022】
前記塗布ユニットは、前記基板を収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有し、前記制御部は、前記塗布工程が不活性ガスの雰囲気下で行われるように前記ガス供給部を制御してもよい。
【0023】
前記制御部は、前記塗布工程において前記基板の表面に前記紫外線を照射中に当該基板の表面への密着剤の供給を開始するように前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御してもよい。
【0024】
前記塗布ユニットは、前記基板の表面と対向して配置された支持板を有し、前記制御部は、前記塗布工程において前記基板の表面と前記支持板との間に密着剤が供給された状態で前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始するように前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御してもよい。かかる場合、前記支持板は、前記紫外線を透過させてもよい。
【0025】
さらに別な観点による本発明は、前記基板処理装置を備えたインプリントシステムであって、表面に転写パターンが形成されたテンプレートを用いて、前記基板処理装置で密着剤が成膜された基板上に形成される前記塗布膜に前記転写パターンを転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板の表面に密着剤を適切に成膜しつつ、基板処理のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかるウェハ処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるウェハ処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるウェハ処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図6】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】ウェハ処理の各工程を示したフローチャートである。
【図8】ウェハ処理の各工程におけるウェハ状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハの表面を洗浄する様子を示し、(b)はウェハの表面に紫外線を照射しながら、当該ウェハの表面に密着剤を塗布する様子を示し、(c)はウェハ上に密着剤が成膜された様子を示す。
【図9】ウェハ上の水酸基の結合が切断された様子を示す説明図である。
【図10】ウェハの表面と密着剤分子が脱水縮合する様子を示す説明図である。
【図11】ウェハの表面と密着剤分子が結合した様子を示す説明図である。
【図12】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図13】他の実施の形態にかかるウェハ処理の各工程におけるウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハの表面を洗浄する様子を示し、(b)はウェハの表面と支持板との間に密着剤を供給する様子を示し、(c)はウェハの表面に紫外線を照射しながら、当該ウェハの表面に密着剤を塗布する様子を示し、(d)はウェハ上に密着膜が成膜された様子を示す。
【図14】ウェハの裏面側から表面に紫外線を照射する様子を示す説明図である。
【図15】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図16】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図17】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図18】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図19】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す側面図である。
【図20】テンプレートの斜視図である。
【図21】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図23】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図24】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハの密着膜上にレジスト液を塗布する様子を示し、(b)はウェハ上にレジスト膜が成膜された様子を示し、(c)はウェハ上のレジスト膜を光重合させる様子を示し、(d)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(e)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる基板処理装置としてのウェハ処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、ウェハ処理装置1の構成の概略を示す側面図である。なお、本実施の形態では、基板としてのウェハWに所定の処理が行われる被処理面をウェハWの表面Wといい、当該表面Wと反対側の面を裏面Wという。
【0029】
ウェハ処理装置1は、図1に示すように複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とウェハ処理装置1との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション2と、ウェハWに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたウェハ処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0030】
ウェハ搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のウェハカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション2は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0031】
ウェハ搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なウェハ搬送体12が設けられている。ウェハ搬送体12は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとウェハ処理ステーション3との間でウェハWを搬送できる。
【0032】
ウェハ処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。ウェハ処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、ウェハ搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。ウェハ処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、ウェハ搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。ウェハ処理ステーション3のウェハ搬入出ステーション2側には、ウェハWの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0033】
搬送ユニット20は、ウェハWを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してウェハWを搬送できる。
【0034】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、当該ウェハWの表面Wに密着剤を塗布する塗布ユニット30、31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、塗布ユニット32、33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0035】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハW上の密着剤をリンスするリンスユニット40、41が下から順に2段に重ねられている。第4の処理ブロックG2も同様に、リンスユニット42、43が下から順に2段に重ねられている。また、第3の処理ブロックG3及び第4の処理ブロックG4の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室44、45がそれぞれ設けられている。
【0036】
次に、上述した塗布ユニット30〜33の構成について説明する。塗布ユニット30は、図4に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器100を有している。
【0037】
処理容器100の天井面には、処理容器100の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口101が形成されている。ガス供給口101には、ガス供給管102を介して窒素ガスを供給するガス供給源103が接続されている。なお、処理容器100の内部は、窒素ガスと水蒸気の混合ガスを供給してもよい。また、本実施の形態では、これらガス供給口101、ガス供給管102、ガス供給源103でガス供給部を構成している。
【0038】
処理容器100の底面には、処理容器100の内部の雰囲気を排気するための排気口104が形成されている。排気口104には、排気管105を介して処理容器100の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ106が接続されている。
【0039】
処理容器100内の中央部には、ウェハWの裏面Wを保持して回転させるスピンチャック110が設けられている。スピンチャック110は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック110上に吸着保持できる。
【0040】
スピンチャック110には、シャフト111を介して回転駆動部112が設けられている。この回転駆動部112により、スピンチャック110は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0041】
スピンチャック110の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する密着剤を受け止め、回収するカップ113が設けられている。カップ113の下面には、回収した液体を排出する排出管114と、カップ113内の雰囲気を排気する排気管115が接続されている。
【0042】
図5に示すようにカップ113のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するレール120が形成されている。レール120は、例えばカップ113のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール120には、アーム121が取り付けられている。
【0043】
アーム121には、ウェハW上に密着剤を供給する密着剤供給部としての密着剤ノズル122が支持されている。アーム121は、ノズル駆動部123により、レール120上を移動自在である。これにより、密着剤ノズル122は、カップ120のY方向正方向側の外方に設置された待機部124からカップ120内のウェハWの中心部上方まで移動できる。また、アーム121は、ノズル駆動部123によって昇降自在であり、密着剤ノズル122の高さを調整できる。なお、密着剤の材料には、ウェハWの表面Wと後述するレジスト膜との密着性を向上させる材料、例えば有機物化合物等が用いられる。より具体的には、密着剤はシランカップリング剤であり、密着剤分子は2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基はOR基(Rは例えばアルキル基)である。また、他の官能基は、レジスト膜と反応し易い官能基であって、有機物成分を有している。
【0044】
処理容器100内の天井面であって、スピンチャック110の上方には、ウェハWの表面Wに例えば172nmの波長の紫外線を照射する紫外線照射部130が設けられている。紫外線照射部130は、例えばスピンチャック110に保持されたウェハWの表面Wに対向し、当該表面W全面を覆うように配置されている。
【0045】
なお、例えばスピンチャック110の下方に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからウェハWの裏面Wに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Wを洗浄することができる。
【0046】
なお、塗布ユニット31〜33の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0047】
次に、上述したリンスユニット40〜43の構成について説明する。リンスユニット40は、図6に示すように側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器140を有している。
【0048】
処理容器140内の底面には、ウェハWを浸漬させる浸漬槽141が設けられている。浸漬槽141内には、ウェハW上の密着剤をリンスするためのリンス液、例えば有機溶剤が貯留されている。
【0049】
処理容器140内の天井面であって、浸漬槽141の上方には、ウェハWを保持する保持部142が設けられている。保持部142は、ウェハWの裏面Wの外周部を吸着保持するチャック143を有している。ウェハWは、その表面Wが上方を向くようにチャック143に保持される。チャック143は、昇降機構144により昇降できる。そして、ウェハWは、保持部142に保持された状態で浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該ウェハW上の密着剤がリンスされる。
【0050】
保持部142は、チャック143に保持されたウェハWの上方に設けられた気体供給部145を有している。気体供給部145は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック143に保持されたウェハWの表面Wに吹き付けることができる。これにより、浸漬層141でリンスされたウェハWの表面Wを乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0051】
なお、リンスユニット41〜43の構成は、上述したリンスユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0052】
以上のウェハ処理装置1には、図1に示すように制御部150が設けられている。制御部150は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ搬入出ステーション2とウェハ処理ステーション3との間のウェハWの搬送や、ウェハ処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、ウェハ処理装置1における後述するウェハ処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部150にインストールされたものであってもよい。
【0053】
本実施の形態にかかるウェハ処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのウェハ処理装置1で行われるウェハ処理について説明する。図7は、このウェハ処理の主な処理フローを示し、図8は、各工程におけるウェハWの状態を示している。
【0054】
先ず、ウェハ搬送体12によって、カセット載置台10上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、ウェハ処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図7の工程A1)。このとき、ウェハカセットC内には、ウェハWは、その表面Wが上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはトランジションユニット21に搬送される。
【0055】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWは、塗布ユニット30に搬送され、スピンチャック110に受け渡される。続いて、ガス供給口101から窒素ガスが処理容器100内に供給される。このとき、排気口104から処理容器100の内部の雰囲気が排気されて、処理容器100の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、図8(a)に示すように紫外線照射部130からウェハWの表面W全面に紫外線が照射される。そして、ウェハWの表面Wの有機物が除去され、当該ウェハWの表面Wが洗浄される(図7の工程A2)。なお、この工程A2におけるウェハWの表面Wの洗浄は、当該ウェハWを回転させながら行ってもよい。
【0056】
その後、密着剤ノズル122をウェハWの中心部上方まで移動させると共に、ウェハWを回転させる。そして、図8(b)に示すように引き続き紫外線照射部130からウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、密着剤ノズル122から回転中のウェハW上に密着剤Bを供給する。すなわち、紫外線の照射中に、ウェハWの表面Wへの密着剤Bの供給を開始する。供給された密着剤Bは遠心力によりウェハW上で拡散し、当該ウェハWの表面W全面に塗布される(図7の工程A3)。なお、この工程A3において、処理容器100の内部は窒素ガス雰囲気に維持されている。また、密着剤Bの塗布後、紫外線照射部130からの紫外線の照射と密着剤ノズル122からの密着剤Bの供給を停止した後、引き続きウェハWを回転させて、当該ウェハWの表面Wを振り切り乾燥させる。
【0057】
この工程A3では、紫外線が照射されることによって、図9に示すようにウェハWの表面W上の水酸基(OH基)の結合が切断される。そして、このように水酸基の結合が切断された直後に、図10に示すようにウェハWの表面Wと密着剤分子が脱水縮合により結合される。さらに、ウェハWの表面Wに照射された紫外線によって、隣接する密着剤分子同士が脱水縮合により結合する。なお、図示はしていないが、密着剤分子は加水分解されて脱水縮合する。こうして、図11に示すようにウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応が促進され、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性が向上する。なお、図10において、一の官能基におけるOR基のRはアルキル基であって、例えばCHである。また、図10及び図11において、他の官能基B(図中の斜線部分)は、レジスト膜と反応し易い官能基であって、有機物成分を有している。
【0058】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWはリンスユニット40に搬送され、保持部142に保持される。続いて、保持部142を下降させ、ウェハWを浸漬槽141に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、密着剤Bの未反応部のみ、すなわち密着剤BがウェハWの表面Wと化学反応して当該表面Wと密着する部分以外のみが剥離する。このとき、上述の工程A3においてウェハWの表面Wに密着剤Bが密着しているので、ウェハWの表面Wから所定の距離の密着剤Bが剥離することはない。こうして、図8(c)に示すようにウェハW上に密着膜Bが所定の膜厚で成膜される(図7の工程A4)。その後、保持部142を上昇させ、気体供給部145から気体ガスをウェハWに吹き付け、その表面Wを乾燥させる。
【0059】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWはトランジションユニット21に搬送され、ウェハ搬送体12によってウェハカセットCに戻される(図7の工程A5)。こうして、ウェハ処理装置1における一連のウェハ処理が終了する。
【0060】
以上の実施の形態によれば、工程A3において、ウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、当該ウェハWの表面Wに密着剤Bを塗布しているので、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応が促進され、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性が向上する。すなわち、ウェハWの表面Wに密着剤Bを短時間で密着させることができる。これによって、工程A1〜工程A5のウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0061】
さらに、工程A3において紫外線によってウェハWの表面Wに密着剤Bを密着させることができるので、従来のように密着剤Bを加熱する必要がなく、密着剤Bが熱膨張することもない。したがって、ウェハWの表面Wに密着剤Bを所定の膜厚で適切に成膜することができる。
【0062】
また、工程A3においてウェハWの表面Wへの紫外線の照射は窒素ガス雰囲気下で行われるため、処理容器100内にオゾンが発生するのを防止することができる。
【0063】
また、工程A3において紫外線照射部130は一度の照射でウェハWの表面W全面の密着剤Bに紫外線を照射することができるので、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着を迅速に行うことができる。
【0064】
また、工程A2においてウェハWの表面Wを洗浄しているので、後続の工程A3を適切に行うことができる。また、工程A2では紫外線をウェハWの表面Wに照射しているので、例えば液体状の有機溶剤を用いてウェハWの表面Wを洗浄する場合に比べて、有機物をより適切に除去してウェハWの表面Wをより適切に洗浄することができる。
【0065】
ここで、特開2011−56747には、密着剤と同様のシランカップリング剤である離型剤をテンプレート上に塗布した後、当該塗布された離型剤に光を照射して、テンプレートの表面と離型剤との密着性を向上させることが記載されている。これに対して、本実施の形態では、紫外線を照射しながらウェハW上に密着剤Bを塗布しているので、紫外線によってウェハW上の水酸基の結合が切断された直後に、密着剤分子が脱水縮合により結合される。特開2011−56747に開示された方法では、テンプレートの表面と離型剤との化学反応をある程度までは促進させることができるが、本実施の形態のようにウェハW上に密着剤Bを供給した直後に、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとを結合させるまでには至らない。したがって、本実施の形態によれば、特開2011−56747に開示された方法よりもウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応をさらに促進させることができ、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性をさらに向上させることができる。
【0066】
以上の実施の形態では、工程A3において紫外線を照射中にウェハWの表面Wへの密着剤Bの供給を開始していたが、ウェハWの表面Wに密着剤Bが供給された状態で、ウェハWの表面Wへの紫外線の照射を開始してもよい。
【0067】
かかる場合、工程A3を行うため、例えば図12に示す塗布ユニット30が用いられる。塗布ユニット30は、側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器200を有している。
【0068】
処理容器200の天井面には、処理容器200の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口201が形成されている。ガス供給口201には、ガス供給管202を介して窒素ガスを供給するガス供給源203が接続されている。なお、処理容器200の内部は、窒素ガスと水蒸気の混合ガスを供給してもよい。また、本実施の形態では、これらガス供給口201、ガス供給管202、ガス供給源203でガス供給部を構成している。
【0069】
処理容器200の底面には、処理容器200の内部の雰囲気を排気するための排気口204が形成されている。排気口204には、排気管205を介して処理容器200の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ206が接続されている。
【0070】
処理容器200内の底面には、ウェハWが載置される載置台210が設けられている。ウェハWは、その表面Wが上方を向くように載置台210の上面に載置される。載置台210内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン211が設けられている。昇降ピン211は、昇降駆動部212により上下動できる。載置台210の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔213が形成されおり、昇降ピン211は、貫通孔213を挿通するようになっている。
【0071】
処理容器200内の天井面であって、載置台210の上方には、ウェハWの表面Wに例えば172nmの波長の紫外線を照射する紫外線照射部220が設けられている。紫外線照射部220は、例えば載置台210上に載置されたウェハWの表面Wに対向し、当該表面W全面を覆うように配置されている。
【0072】
載置台210と紫外線照射部220との間には、支持板221が配置されている。支持板221は、例えば所定の隙間を介して載置台210上に載置されたウェハWの表面Wと対向し、当該表面W全面を覆うように配置されている。なお、支持板221は移動機構(図示せず)によって処理容器200内を移動可能になっている。また、支持板221は、紫外線を透過可能な透明材料が用いられ、本実施の形態においては例えば石英ガラスが用いられる。
【0073】
処理容器200の内部には、載置台210上に載置されたウェハWの表面Wと支持板221との間に密着剤Bを供給する、密着剤供給部としての密着剤ノズル230が配置されている。密着剤ノズル230は、例えばその下端部の供給口230aが斜め下方に向くように配置されている。密着剤ノズル230は、アーム231に支持されている。アーム231には移動機構(図示せず)が取り付けられ、密着剤ノズル230は、処理容器200内を可能になっている。
【0074】
なお、塗布ユニット31〜33の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。また、ウェハ処理装置1のその他の構成は、上記実施の形態のウェハ処理装置1の構成と同様であるので説明を省略する。
【0075】
次に、本実施の形態のウェハ処理装置1で行われるウェハ処理について説明する。図13は、ウェハ処理の各工程におけるウェハWの状態を示している。なお、本実施の形態におけるウェハ処理の処理フローは図7で示した処理フローと同様である。
【0076】
先ず、ウェハ搬送体12によって、カセット載置台10上のウェハカセットC内のウェハWがトランジションユニット21に搬送される(図7の工程A1)。
【0077】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWは塗布ユニット30に搬送される。塗布ユニット30に搬入されたウェハWは、昇降ピン211に受け渡され、載置台210に載置される。続いて、ガス供給口201から窒素ガスが処理容器200内に供給される。このとき、排気口204から処理容器200の内部の雰囲気が排気されて、処理容器200の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、図13(a)に示すように紫外線照射部220からウェハWの表面W全面に紫外線が照射される。そして、ウェハWの表面Wの有機物が除去され、当該ウェハWの表面Wが洗浄される(図7の工程A2)。
【0078】
その後、紫外線照射部220からの紫外線の照射を一旦停止し、図13(b)に示すようにウェハWの表面Wと支持板221が所定の隙間を介して対向するように支持板221を配置する。そして、密着剤ノズル230からウェハWの表面Wと支持板221との間に、密着剤Bが供給される。供給された密着剤Bは、毛細管現象(表面張力)によってウェハWの表面Wと支持板221との間を拡散する。続いて、図13(c)に示すようにウェハWの表面Wと支持板221と間に密着剤Bが供給された状態で、紫外線照射部220から下方に紫外線が照射される。紫外線は、支持板221を通過してウェハWの表面W全面に照射される。こうして、ウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、ウェハW上に密着剤Bが塗布される(図7の工程A3)。この工程A3において、処理容器200の内部は窒素ガス雰囲気に維持されている。そして、この工程A3により、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応が促進され、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性が向上する。密着剤Bの塗布後、紫外線照射部220からの紫外線の照射と密着剤ノズル230からの密着剤Bの供給を停止した後、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスをウェハWの表面Wに吹き付けて、当該表面Wを乾燥させる。なお、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応は、上記実施の形態の工程A3における化学反応と同様であるので説明を省略する。
【0079】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWはリンスユニット40に搬送されてリンスされ、図13(d)に示すようにウェハW上に密着膜Bが所定の膜厚で成膜される(図7の工程A4)。なお、この工程A4は、上記実施の形態の工程A4と同様であるので説明を省略する。
【0080】
その後、搬送ユニット20によって、ウェハWはトランジションユニット21に搬送され、ウェハ搬送体12によってウェハカセットCに戻される(図7の工程A5)。こうして、ウェハ処理装置1における一連のウェハ処理が終了する。
【0081】
本実施の形態においても、上記実施の形態の効果と同様の効果を享受できる。例えば工程A3において、ウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、当該ウェハWの表面Wに密着剤Bを塗布しているので、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応が促進され、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性が向上する。したがって、ウェハWの表面Wに密着剤Bを短時間で密着させることができ、工程A1〜工程A5のウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、工程A3において、ウェハWの表面Wと支持板221と間に密着剤Bが供給された状態で、ウェハWの表面Wに紫外線が照射されるので、密着剤Bが拡散中に紫外線が照射されることがない。すなわち、ウェハWの表面Wへの紫外線の照射を短時間にすることができる。これによって、ウェハWの密着剤Bが紫外線により破壊されるのを抑制することができる。
【0083】
なお、本実施の形態の工程A3では、毛細管現象を利用してウェハWの表面Wと支持板221との間に密着剤Bを供給していたが、密着剤Bの供給方法はこれに限定されない。例えばウェハWの表面Wと支持板221との間に密着剤Bを圧入してもよい。
【0084】
また、本実施の形態の工程A3では、ウェハWの表面Wと支持板221との間に密着剤Bを供給する際、紫外線照射部220からの紫外線の照射を一旦停止していたが、当該紫外線の照射を継続して行ってもよい。すなわち、工程A2と工程A3において、紫外線照射部220からの紫外線の照射を継続して行ってもよい。
【0085】
以上の実施の形態では、工程A3において、支持板221側からウェハWの表面Wに紫外線を照射していたが、図14に示すようにウェハWの裏面W側から表面Wに紫外線を照射してもよい。このように紫外線を照射するため、塗布ユニット30では、ウェハWと支持板221の上下配置を反対にしてもよい、すなわちウェハWを支持板221の上方に配置してもよい。あるいは、処理容器200の天井面に配置された紫外線照射部220をウェハWの下方に配置してもよい。
【0086】
かかる場合、図14に示すようにウェハWの裏面W側から照射された紫外線は、ウェハWを通過し、当該ウェハWの表面Wに照射される。こうしてウェハWの表面Wに紫外線を照射しながら、ウェハW上に密着剤Bが塗布される。そうすると、ウェハWの表面Wと密着剤Bとの化学反応が促進され、当該ウェハWの表面Wと密着剤Bとの密着性が向上する。
【0087】
本実施の形態によれば、ウェハWの裏面W側から表面Wに紫外線を照射しているので、紫外線は密着剤Bに邪魔されることなくウェハWの表面Wと密着剤Bの界面に到達する。このため、紫外線は密着剤Bによって減衰することなくウェハWの表面Wに照射される。また、密着剤Bが紫外線によって分解され難くなる。さらに、ウェハWの表面Wと支持板221と間に密着剤Bが供給された状態で、ウェハWの表面Wに紫外線が照射されるので、密着剤Bが拡散中に紫外線が照射されることがない。すなわち、ウェハWの表面Wへの紫外線の照射を短時間にすることができる。これによって、ウェハWの密着剤Bが紫外線により分解されるのを抑制することができる。以上のように本実施の形態によれば、ウェハWの表面Wと密着剤Bをより効率よく密着させることができる。
【0088】
以上の実施の形態では、工程A2におけるウェハWの表面Wの洗浄は、工程A3を行う塗布ユニット30で行われていたが、別の洗浄ユニットで行われてもよい。この洗浄ユニットは、例えばウェハ処理装置1の処理ブロックG1〜G4のいずれかに配置される。
【0089】
かかる場合、図15及び図16に示すように洗浄ユニット240は、側面にウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器250を有している。
【0090】
処理容器250内には、ウェハWを吸着保持するチャック251が設けられている。チャック251は、ウェハWの表面Wが上方を向くように、その裏面Wを吸着保持する。チャック251の下方には、チャック駆動部252が設けられている。このチャック駆動部252は、処理容器250内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール253上に取付けられている。このチャック駆動部252により、チャック251はレール253に沿って移動できる。
【0091】
処理容器250内の天井面であって、レール253の上方には、チャック251に保持されたウェハWに紫外線を照射する紫外線照射部254が設けられている。紫外線照射部254は、図16に示すようにX方向に延伸している。
【0092】
そして、洗浄ユニット240に搬送されたウェハWは、チャック251に吸着保持される。続いて、チャック駆動部252によってウェハWをレール253に沿って移動させながら、紫外線照射部254から当該ウェハWに紫外線が照射される。こうして、ウェハWの表面W全面に紫外線が照射され、ウェハWの表面Wが洗浄される。
【0093】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30において、回転中のウェハW上に密着剤Bを供給することにより、ウェハWの表面Wに密着剤Bを塗布していたが、例えばウェハWの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された密着剤ノズルを用いてウェハW上に密着剤Bを塗布してもよい。かかる場合、密着剤ノズルをウェハWの辺方向に移動させながら、供給口から密着剤Bを供給し、ウェハWの表面W全面に密着剤Bが塗布される。
【0094】
以上の実施の形態のリンスユニット40では、浸漬層151に貯留された有機溶剤にウェハWを浸漬することで密着剤Bをリンスしていたが、図4及び図5に示した塗布ユニット30と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30の密着剤ノズル122に代えて、ウェハW上に密着剤Bのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0095】
そして、このリンスユニットでは、回転中のウェハW上に有機溶剤を供給し、ウェハWの表面W全面をリンスする。所定時間経過すると、密着剤Bの未反応部のみが剥離し、ウェハW上に密着膜Bが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにウェハWを回転させ続け、その表面Wを振り切り乾燥させる。このようにして、ウェハW上の密着剤Bがリンスされる。
【0096】
以上の実施の形態では、ウェハ処理ステーション3において、搬送ユニット20によってウェハWを搬送していたが、いわゆる平流し形式を用いてウェハWをコロ搬送してもよい。かかる場合、ウェハ処理ステーション3には、塗布ユニットとリンスユニットがこの順で配置される。そして、ウェハ搬入出ステーション2から搬出されたウェハWは、搬送ローラを用いた搬送によってこれら処理ユニットに順次搬送される。各処理ユニットでは、搬送中のウェハWに所定の処理が行われる。こうしてウェハW上に密着膜Bが成膜されると、ウェハWがウェハ搬入出ステーション2に戻され、一連のウェハ処理が終了する。この場合、各処理ユニットにおいてウェハWの搬送中に所定の処理が行われるので、ウェハ処理のスループットをより向上させることができる。
【0097】
以上の実施の形態のウェハ処理装置1は、図17〜19に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。また、本実施の形態のインプリントシステム300には、テンプレートT上に離型剤を成膜するテンプレート処理装置310も配置されている。
【0098】
本実施の形態のインプリントシステム300(テンプレート処理装置310)では、図20に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えば石英ガラスが用いられる。
【0099】
インプリントシステム300は、図17に示すように上記ウェハ処理装置1とテンプレート処理装置310に加えて、テンプレート処理装置310で処理されたテンプレートTを用いて、ウェハ処理装置1で処理されたウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット320を有している。ウェハ処理装置1とインプリントユニット320との間には、ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション321が配置されている。また、テンプレート処理装置310とインプリントユニット320との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション322が配置されている。すなわち、ウェハ処理装置1、インターフェイスステーション321、インプリントユニット320、インターフェイスステーション322、テンプレート処理装置310は、この順でY方向(図17の左右方向)に並べて配置され、且つ一体に接続されている。
【0100】
テンプレート処理装置310は、複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置310との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション330と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えたテンプレート処理ステーション331とを一体に接続した構成を有している。
【0101】
テンプレート搬入出ステーション330には、カセット載置台340が設けられている。カセット載置台340は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図17中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション330は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0102】
テンプレート搬入出ステーション330には、X方向に延伸する搬送路341上を移動可能なテンプレート搬送体342が設けられている。テンプレート搬送体342は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCとテンプレート処理ステーション331との間でテンプレートTを搬送できる。
【0103】
テンプレート処理ステーション331には、その中心部に搬送ユニット350が設けられている。この搬送ユニット350の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックF1〜F4が配置されている。テンプレート処理ステーション331の正面側(図17のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション330側から第1の処理ブロックF1、第2の処理ブロックF2が順に配置されている。テンプレート処理ステーション331の背面側(図17のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション330側から第3の処理ブロックF3、第4の処理ブロックF4が順に配置されている。テンプレート処理ステーション331のテンプレート搬入出ステーション330側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット351が配置されている。また、テンプレート処理ステーション331のインターフェイスステーション322側にも、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット352が配置されている。
【0104】
搬送ユニット350は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット350は、処理ブロックF1〜F4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット351、352に対してテンプレートTを搬送できる。
【0105】
第1の処理ブロックF1には、図18に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該テンプレートTの表面Tに離型剤を塗布する塗布ユニット360、361が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックF2も同様に、塗布ユニット362、363が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックF1及び第2の処理ブロックF2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室364、365がそれぞれ設けられている。
【0106】
なお、塗布ユニット360〜363の構成は、ウェハ処理装置1においてウェハW上に密着剤Bを塗布する塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。但し、塗布ユニット360〜363では、密着剤ノズル122に代えて、テンプレートTの表面T上に離型剤を供給する離型剤ノズルが設けられる。また、塗布ユニット360〜363には、ウェハWを吸着保持するスピンチャック110に代えて、テンプレートTを収容して保持する保持部材が設けられる。なお、離型剤の材料には、後述するウェハW上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。より具体的には、離型剤は、密着剤と同様にシランカップリング剤であり、離型剤分子は2つの官能基を有している。すなわち、一の官能基はOR基(Rは例えばアルキル基)である。また、他の官能基は、ウェハW上のレジスト膜に対して撥液性を有する官能基であって、フッ化物成分を有している。
【0107】
第3の処理ブロックF3には、図19に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット370、371が下から順に2段に重ねられている。第4の処理ブロックF2も同様に、リンスユニット372、373が下から順に2段に重ねられている。また、第3の処理ブロックF3及び第4の処理ブロックF4の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室374、375がそれぞれ設けられている。
【0108】
なお、リンスユニット370〜373の構成は、ウェハW上の密着剤Bをリンスするリンスユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。また、リンスユニット370〜373においても、リンス液として例えば有機溶剤が用いられる。
【0109】
インターフェイスステーション321には、図17に示すようにX方向に延伸する搬送路380上を移動するウェハ搬送体381が設けられている。また、搬送路380のX方向負方向側には、複数のウェハWを一時的に保管するバッファカセット382が配置されている。ウェハ搬送体381は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハ処理ステーション3、バッファカセット382、インプリントユニット320との間でウェハWを搬送できる。なお、ウェハ処理装置1のウェハ処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション321側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット383が配置されている。
【0110】
インターフェイスステーション322には、X方向に延伸する搬送路390上を移動するテンプレート搬送体391が設けられている。また、搬送路390のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット392が配置され、搬送路390のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット393が配置されている。テンプレート搬送体391は、水平方向に伸縮自在であり、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレート処理ステーション331、反転ユニット392、バッファカセット393、インプリントユニット320との間でテンプレートTを搬送できる。
【0111】
次に、上述したインプリントユニット320の構成について説明する。インプリントユニット320は、図21に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器400を有している。
【0112】
処理容器400内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部401が設けられている。ウェハWは、その表面Wが上方を向くようにウェハ保持部401の上面に載置される。ウェハ保持部401内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン402が設けられている。昇降ピン402は、昇降駆動部403により上下動できる。ウェハ保持部401の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔404が形成されおり、昇降ピン402は、貫通孔404を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部401は、当該ウェハ保持部401の下方に設けられた移動機構405により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0113】
図22に示すようにウェハ保持部401のX方向負方向(図22の下方向)側には、Y方向(図22の左右方向)に沿って延伸するレール410が設けられている。レール410は、例えばウェハ保持部401のY方向負方向(図22の左方向)側の外方からY方向正方向(図22の右方向)側の外方まで形成されている。レール410には、アーム411が取り付けられている。
【0114】
アーム411には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル412が支持されている。レジスト液ノズル412は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル412には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル412の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル412は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0115】
アーム411は、ノズル駆動部413により、レール410上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル412は、ウェハ保持部401のY方向正方向側の外方に設置された待機部414からウェハ保持部401上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム411は、ノズル駆動部413によって昇降自在であり、レジスト液ノズル412の高さを調整できる。
【0116】
処理容器400内の天井面であって、ウェハ保持部401の上方には、図21に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部420が設けられている。すなわち、ウェハ保持部401とテンプレート保持部420は、ウェハ保持部401に載置されたウェハWと、テンプレート保持部420に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部420は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック421を有している。チャック421は、当該チャック421の上方に設けられた移動機構422により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部401上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0117】
テンプレート保持部420は、チャック421に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源423を有している。光源423からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源423からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0118】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図23は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図24は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0119】
先ず、テンプレート搬送体342によって、カセット載置台340上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、テンプレート処理ステーション331のトランジションユニット351に搬送される(図23の工程B1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット351に搬送される。
【0120】
その後、搬送ユニット350によって、テンプレートTは塗布ユニット360に搬送され、テンプレートTの表面Tに紫外線が照射され、当該表面Tが洗浄される(図23の工程B2)。続いて、同塗布ユニット360において、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該表面Tに離型剤が塗布される(図23の工程B3)。そうすると、テンプレートTの表面Tと離型剤との化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面Tと離型剤との密着性が向上する。その後、テンプレートTはリンスユニット370に搬送され、テンプレートT上の離型剤がリンスされる(図23の工程B4)。こうして、図24に示すように、テンプレートTの表面Tに転写パターンCに沿った離型膜Sが所定の膜厚で成膜される。なお、これら工程B2〜B4では、前記実施の形態においてウェハWに対して行われた工程A2〜A4と同様の処理をテンプレートTに対して行うので、詳細な説明を省略する。
【0121】
離型膜Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット352に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション322のテンプレート搬送体391によって、反転ユニット392に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体391によってインプリントユニット320に搬送され、テンプレート保持部420のチャック421に吸着保持される。このとき、インプリントユニット320にテンプレートTを搬送する前に、バッファカセット393において、離型膜Sが成膜されたテンプレートTを一時的に保管してもよい。
【0122】
このようにテンプレート処理ステーション331においてテンプレートTに所定の処理を行い、インプリントユニット320へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション2からウェハ処理ステーション3にウェハWが搬送される(図23の工程B5)。ウェハ処理ステーション3では、ウェハWの表面Wの洗浄(図23の工程B6)、ウェハWの表面Wへの紫外線の照射及び表面Wへの密着剤Bの塗布(図23の工程B7)、ウェハW上の密着剤Bのリンス(図23の工程B8)が順次行われ、ウェハWの表面Wに密着膜Bが成膜される。なお、これら工程B6〜B8は、上記実施の形態における工程A2〜A4と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0123】
密着膜Bが成膜されたウェハWは、トランジションユニット383に搬送される。続いて、ウェハWは、ウェハ搬送体381によってインプリントユニット320内に搬送される。このとき、インプリントユニット320にウェハWを搬送する前に、バッファカセット382において、密着膜Bが形成されたウェハWを一時的に保管してもよい。
【0124】
インプリントユニット320に搬入されたウェハWは、昇降ピン402に受け渡され、ウェハ保持部401上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部401に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル412をウェハWの径方向に移動させ、図24(a)に示すようにウェハWの密着膜B上にレジスト液Rが塗布される(図23の工程B9)。このとき、制御部160により、レジスト液ノズル412から供給されるレジスト液Rの供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液Rの量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液Rの量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液Rが塗布される。そして、ウェハW上の密着膜Bによって、ウェハWの表面とレジスト液Rが密着し、図24(b)に示すように塗布膜としてのレジスト膜Rが形成される。
【0125】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部401に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部420に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図24(b)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源423から光が照射される。光源423からの光は、図24(c)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図23の工程B10)。
【0126】
その後、図24(d)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型膜Sが成膜されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン402によりウェハ搬送体381に受け渡され、インプリントユニット320からウェハ搬入出ステーション2に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図23の工程B11)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図23(e)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0127】
以上の工程B5〜B11(図23中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B4を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型膜Sを成膜する。離型膜Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション322のバッファカセット393に保管される。
【0128】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B5〜B11が行われると、テンプレート搬送体391によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット320から搬出され、反転ユニット392に搬送される(図23の工程B12)。続いて、テンプレート搬送体391によって、バッファカセット393内のテンプレートTがインプリントユニット320に搬送される。こうして、インプリントユニット320内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。そして、例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0129】
反転ユニット392に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、テンプレート搬送体391、搬送ユニット350、テンプレート搬送体342によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0130】
以上の実施の形態によれば、インプリントシステム300はテンプレート処理装置310とウェハ処理装置1とを有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型膜Sを成膜すると共に、ウェハW上に密着膜Bを成膜することができる。このようにテンプレート処理とウェハ処理が一のインプリトシステム300で行われるので、インプリント処理のスループットを向上させることができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0131】
なお、以上の実施の形態では、ウェハ処理装置1の塗布ユニット30において、ウェハW上に液体状の密着剤Bを供給していたが、気体状の密着剤を供給してもよい。同様に、テンプレート処理装置310の塗布ユニット360において、テンプレートT上に液体状の離型剤を供給していたが、気体状の離型剤を供給してもよい。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0133】
1 ウェハ処理装置
30〜33 塗布ユニット
40〜43 リンスユニット
100 処理容器
101 ガス供給口
102 ガス供給管
103 ガス供給源
122 密着剤ノズル
130 紫外線照射部
150 制御部
200 処理容器
201 ガス供給口
202 ガス供給管
203 ガス供給源
220 紫外線照射部
221 支持板
230 密着剤ノズル
240 洗浄ユニット
300 インプリントシステム
320 インプリントユニット
B 密着剤
密着膜
C 転写パターン
P レジストパターン
R レジスト液
レジスト膜
離型膜
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に当該基板の表面と塗布膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する基板処理方法であって、
前記基板の表面に紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布する塗布工程と、
その後、前記基板の表面に塗布された密着剤をリンスして、当該密着剤の未反応部を除去するリンス工程と、を有することを特徴とする、基板処理方法。
【請求項2】
前記塗布工程の前に、前記基板の表面を洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記洗浄工程において、前記基板の表面に紫外線を照射することを特徴とする、請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記塗布工程は、不活性ガスの雰囲気下で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記塗布工程において、前記基板の表面に前記紫外線を照射中に、当該基板の表面への密着剤の供給を開始することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記塗布工程において、前記基板の表面と当該表面と対向して配置された支持板との間に密着剤が供給された状態で、前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記支持板は、前記紫外線を透過させることを特徴とする、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理方法を基板処理装置によって実行させるために、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項10】
基板上に当該基板の表面と塗布膜との密着性を向上させる密着剤を成膜する基板処理装置であって、
前記基板の表面に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記基板の表面に密着剤を供給する密着剤供給部とを備えた塗布ユニットと、
前記基板の表面に塗布された密着剤をリンスして、当該密着剤の未反応部を除去するリンスユニットと、
前記塗布ユニットにおいて、前記基板の表面に前記紫外線を照射しながら、当該基板の表面に密着剤を塗布する塗布工程を実行するように、前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御する制御部と、を有することを特徴とする、基板処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記塗布工程を実行する前に、前記塗布ユニットにおいて前記基板の表面に紫外線を照射するように前記紫外線照射部を制御することを特徴とする、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記塗布ユニットは、前記基板を収容する処理容器と、前記処理容器内に不活性ガスを供給するガス供給部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記塗布工程が不活性ガスの雰囲気下で行われるように前記ガス供給部を制御することを特徴とする、請求項10又は11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記塗布工程において前記基板の表面に前記紫外線を照射中に当該基板の表面への密着剤の供給を開始するように前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御することを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記塗布ユニットは、前記基板の表面と対向して配置された支持板を有し、
前記制御部は、前記塗布工程において前記基板の表面と前記支持板との間に密着剤が供給された状態で前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始するように前記紫外線照射部と前記密着剤供給部を制御することを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記支持板は、前記紫外線を透過させることを特徴とする、請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の基板処理装置を備えたインプリントシステムであって、
表面に転写パターンが形成されたテンプレートを用いて、前記基板処理装置で密着剤が成膜された基板上に形成される前記塗布膜に前記転写パターンを転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットを有することを特徴とする、インプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−227319(P2012−227319A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92766(P2011−92766)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】