説明

基板貼り合わせ装置

【課題】 基板の大型化によりチャンバのサイズが大きくなっても、架台の設置面積の増大を防止し、装置の軽量、輸送性の向上を図ること。
【解決手段】 架台11に立設される複数本の柱12の間に配置されるチャンバ13に基板1を出し入れ可能にし、柱12に支持される上ステージ22と、架台11上で支持される下ステージ24をチャンバ13内に配置し、チャンバ13内に供給され、上ステージ22に保持された上基板1Aと、下ステージ24に保持された下基板1Bとを貼り合わせる基板貼り合わせ装置10において、前記複数本の柱12が、チャンバ13の周囲であって、該チャンバ13の基板出し入れ方向Lで相対する正面部Aと背面部Bのそれぞれを含む2つの面Fa、Fbに挟まれる範囲R内に立設されてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバ内に設けられた上ステージと下ステージを上下方向に相対移動させて、上ステージに保持された上基板と下ステージに保持された下基板を、チャンバ内を減圧した状態で貼り合わせる基板貼り合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの製造工程においては、矩形状の透明なガラス又は樹脂からなる上基板と下基板のうち、下基板にペースト状の接着剤を枠状に塗布するとともにこの接着剤で囲まれる領域内に液晶を滴下し、この下基板と上基板とを減圧雰囲気下で貼り合わせることが行なわれる。
【0003】
従来の基板貼り合わせ装置は、特許文献1に記載の如く、架台の外縁寄りに立設される複数本の柱の間に配置されるチャンバに基板を出し入れ可能にし、柱に支持される上ステージと、架台に支持される下ステージをチャンバ内に配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-323694
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の基板貼り合わせ装置にあっては、架台の外縁寄りに立設される複数本の柱を、矩形状チャンバの周囲であって、チャンバの矩形の対角線上の4位置に立設している。基板の大型化によりチャンバのサイズが大きくなると、チャンバの周囲の柱も外方に移動し、結果として架台の設置面積が大きくなり、装置の大重量、輸送の困難を招く。
【0006】
本発明の課題は、基板の大型化によりチャンバのサイズが大きくなっても、架台の設置面積の増大を防止し、装置の軽量、輸送性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、架台に立設される複数本の柱の間に配置されるチャンバに基板を出し入れ可能にし、柱に支持される上ステージと、架台上で支持される下ステージをチャンバ内に配置し、チャンバ内に供給され、上ステージに保持された上基板と、下ステージに保持された下基板とを貼り合わせる基板貼り合わせ装置において、前記複数本の柱が、チャンバの周囲であって、該チャンバの基板出し入れ方向で相対する正面部と背面部のそれぞれを含む2つの面に挟まれる範囲内に立設されてなるようにしたものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記柱及びチャンバを囲む周囲の全周にカバーを設け、チャンバの正面部と背面部のそれぞれに面して設けられるカバーが、該チャンバの側から基板出し入れ方向に沿う外方向きに張り出し状に設けられ、かつ着脱可能に設けられるようにしたものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記チャンバは平面視で長方形を成し、前記チャンバの正面部と背面部は、長辺側の面であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
複数本の柱が、チャンバの周囲であって、該チャンバの基板出し入れ方向で相対する正面部と背面部のそれぞれを含む2つの面に挟まれる範囲内に立設される。基板の大型化によりチャンバのサイズが基板出し入れ方向で大きくなっても、このチャンバの大サイズ化が柱を外方に移動するものにならない。従って、架台のサイズKを基板出し入れ方向ではチャンバのサイズR以下(K≦R)にでき、架台の設置面積の増大を防止できるものになり、装置の軽量、輸送性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は基板貼り合わせ装置を示す正面図である。
【図2】図2は図1の側面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は基板貼り合わせ装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
基板貼り合わせ装置10は、図1〜図3に示す如く、架台11の外縁寄りに立設される複数本、本実施例では平面視で矩形状をなす架台11の四隅のそれぞれに配置される4本の柱12の間にチャンバ13を配置し、このチャンバ13に基板1(上下の基板1A、1B)を出し入れ可能にする。
【0013】
基板貼り合わせ装置10は、チャンバ13を上下に2分割した上下のチャンバ体13A、13Bにより構成している(チャンバ13は単一チャンバ体により構成されても可)。即ち、4本の柱12の上部に板状支持体14を架設し、板状支持体14の下面中央部に設けたチャンバ昇降装置15に上チャンバ体13Aを昇降可能に吊下げ支持する。また、架台11の上面に設けたステー16の上に下チャンバ体13Bを支持する。チャンバ昇降装置15により昇降される上チャンバ体13Aが下チャンバ体13Bに対して昇降し、上チャンバ体13Aを下降位置で下チャンバ体13Bに突き当てることにてチャンバ13が閉止され、上チャンバ体13Aを上昇させて下チャンバ体13Bから離すことにてチャンバ13が開放される。チャンバ13が閉止された状態で、真空ポンプからなる減圧装置(不図示)がチャンバ13内の雰囲気を減圧するとともに、減圧されたチャンバ13内の雰囲気を気体供給装置(不図示)により大気圧に戻すことができる。
【0014】
基板貼り合わせ装置10は、チャンバ昇降装置15にステージ昇降装置21を介して上ステージ22を吊下げ支持し、この上ステージ22を上チャンバ体13Aの内部に配置している。上ステージ22は、その下面に静電吸着盤や真空吸着盤等の基板吸着手段を有し、チャンバ13内に供給された上基板1Aを保持する。基板貼り合わせ装置10は、架台11の上面にXY移動テーブル及びθ旋回テーブルからなる水平移動装置23を設け、この水平移動装置23の上に下ステージ24を支持し、この下ステージ24を下チャンバ体13Bの内部に配置している。下ステージ24は、その上面に真空吸着盤等の真空吸着手段を有し、チャンバ13内に供給された下基板1Bを保持する。
【0015】
基板貼り合わせ装置10は、架台11の上部で、4本の柱12の周囲であって、柱12、チャンバ13及び板状支持体14を囲む周囲に全周に防塵カバー31を設けている。チャンバ13の正面部に設けられる正面カバー31Aは、基板出し入れ口32を備えている。基板貼り合わせ装置10がクリーンルームに設置されるとき、基板出し入れ口32は常時開放できる。但し、基板出し入れ口32はシャッターを備えて開閉されるものでも良い。
【0016】
基板貼り合わせ装置10は、制御装置(不図示)により、チャンバ昇降装置15、ステージ昇降装置21、水平移動装置23等を制御し、上基板1Aと下基板1Bを以下のようにして貼り合わせる。
【0017】
(1)図1に示す如く、チャンバ13が開放された状態において、上基板1Aがカバー31の基板出し入れ口32経由で、チャンバ13内の上ステージ22の下面に供給されて保持される。
【0018】
(2)下基板1Bがカバー31の基板出し入れ口32経由で、チャンバ13内の下ステージ24の上面に供給されて保持される。下ステージ24に保持される下基板1Bは、シール剤が枠状に塗布され、このシール剤で囲まれる領域内に液晶が滴下されている。
【0019】
(3)チャンバ昇降装置15により上チャンバ体13Aを下降して下チャンバ体13Bに突き当て、チャンバ13を閉止する。その後、不図示の減圧装置にてチャンバ13内を減圧する。
【0020】
(4)チャンバ13内が所定の真空圧に到達したならば、ステージ昇降装置21により上ステージ22を下ステージ24に対する位置合せ作業位置まで下降し、不図示のカメラにより上基板1Aと下基板1Bの位置合せマークの位置ずれ量を検出し、この位置ずれ量がなくなるように水平移動装置23を駆動し、上基板1Aと下基板1Bを位置合せする。
【0021】
(5)ステージ昇降装置21により上ステージ22を下ステージ24に対して更に下降し、上基板1Aを下基板1Bに一定時間押付ける。上下の基板1A、1Bの押付けを解除し、上ステージ22から上基板1Aを吸着解除し、ステージ昇降装置21により上ステージ22のみを上昇させる。
【0022】
(6)不図示の気体供給装置によりチャンバ13内を大気圧に戻した後、チャンバ昇降装置15により上チャンバ体13Aを上昇する。貼り合わされた上下の基板1A、1Bをカバー31の基板出し入れ口32から取出す。
【0023】
しかるに、本実施例の基板貼り合わせ装置10では、架台11に立設される4本の柱12が、図4に示す如く、チャンバ13の周囲であって、チャンバ13の基板出し入れ方向L(チャンバ13の正面部に設けられている正面カバー31Aの基板出し入れ口32が臨む方向)で相対する正面部Aと背面部Bのそれぞれを含む2つの面Fa、Fbに挟まれる範囲(チャンバサイズ)R内に立設される。本実施例では、チャンバ13の左右両側の上記範囲R内に各2本の柱12を立設したが、それらの範囲R内に何本の柱12を立設しても良い。
【0024】
また、本実施例の基板貼り合わせ装置10では、チャンバ13の正面部Aと背面部Bのそれぞれに面して設けられる正面カバー31Aと背面カバー31Bが、図2に示す如く(図2で正面カバー31Aは取外され、背面カバー31Bは取付けられた状態を示している)、チャンバ13の側から基板出し入れ方向Lに沿う外方向きに張り出し状(張り出し量δ、δb)に設けられ、かつ架台11、柱12又は板状支持体14等に対し着脱可能に設けられる。正面カバー31A、背面カバー31B等は、基板貼り合わせ装置10の輸送段階等で取外し可能にされる。
【0025】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)複数本の柱12が、チャンバ13の周囲であって、該チャンバ13の基板出し入れ方向Lで相対する正面部Aと背面部Bのそれぞれを含む2つの面Fa、Fbに挟まれる範囲R内に立設される。基板1(1A、1B)の大型化によりチャンバ13のサイズが基板出し入れ方向Lで大きくなっても、このチャンバ13の大サイズ化が柱12を基板出し入れ方向において外方に移動するものにならない。従って、架台11のサイズKを基板出し入れ方向Lではチャンバ13のサイズR以下(K≦R)にでき、架台11の設置面積の増大が防止(抑制)できるものになり、装置の軽量、輸送性の向上を図ることができる。
【0026】
(b)チャンバ13の周囲で、チャンバ13に対する基板1(1A、1B)の出し入れに干渉しない領域に柱12を立設した。従って、チャンバ13に対する基板出し入れ方向Lの自由度を、チャンバ13の正面部Aが臨む前方180度の広角にまで高め、基板1(1A、1B)の出し入れ性も向上できる。
【0027】
(c)チャンバ13の正面部Aと背面部Bのそれぞれに沿って設けられるカバー31A、31Bが、該チャンバ13の側から基板出し入れ方向Lに沿う外方向きに張り出し状に設けられ、かつ着脱可能に設けられる。装置の輸送時に、上記のカバー31A、31Bを取外しておくことにより、基板出し入れ方向Lにおけるチャンバ13のサイズを、輸送制限サイズ(トラックの荷台幅等)ぎりぎりまで拡大できる。よって、架台11の設置面積の増大を抑制しながら、より大型基板への対応が可能となる。
【0028】
尚、チャンバ13の平面視の形状が長方形である場合、基板の出し入れ方向Lはその長辺に対向する方向にすると良い。このように構成することで、基板の出し入れ方向Lにおける架台のサイズKの増大を抑制する効果をより高めることができる。また、基板出し入れ方向Lがチャンバの短辺方向になることから、長手方向を基板出し入れ方向Lとした場合よりも架台のサイズKを一層小さくすることができるので、荷台の前後方向に対して幅方向の大きさの制約が厳しいトラック等での輸送においてより好適である。
【0029】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、基板の大型化によりチャンバのサイズが大きくなっても、架台の設置面積の増大を防止し、装置の軽量、輸送性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 基板
1A 上基板
1B 下基板
10 基板貼り合わせ装置
11 架台
12 柱
13 チャンバ
22 上ステージ
24 下ステージ
31A 正面カバー
31B 背面カバー
32 基板出し入れ口
A 正面部
B 背面部
Fa、Fb 面
L 基板出し入れ方向
K 架台サイズ
R チャンバサイズ、範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に立設される複数本の柱の間に配置されるチャンバに基板を出し入れ可能にし、
柱に支持される上ステージと、架台上で支持される下ステージをチャンバ内に配置し、
チャンバ内に供給され、上ステージに保持された上基板と、下ステージに保持された下基板とを貼り合わせる基板貼り合わせ装置において、
前記複数本の柱が、チャンバの周囲であって、該チャンバの基板出し入れ方向で相対する正面部と背面部のそれぞれを含む2つの面に挟まれる範囲内に立設されてなることを特徴とする基板貼り合わせ装置。
【請求項2】
前記柱及びチャンバを囲む周囲の全周にカバーを設け、
チャンバの正面部と背面部のそれぞれに面して設けられるカバーが、該チャンバの側から基板出し入れ方向に沿う外方向きに張り出し状に設けられ、かつ着脱可能に設けられる請求項1に記載の基板貼り合わせ装置。
【請求項3】
前記チャンバは平面視で長方形を成し、
前記チャンバの正面部と背面部は、長辺側の面である請求項1又は2に記載の基板貼り合わせ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−14120(P2012−14120A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153306(P2010−153306)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】