基板間電気接続体、及び、基板間電気接続体に使用されるセラミック部材の製造方法
【課題】上面にて成形空間に通じる開口が形成された成形型を使用してゲルスキージング法により、基板間電気接続体に使用されるセラミック部材を製造すること。
【解決手段】成形型20の開口Pinからセラミックスラリーを投入する。この投入は、セラミックスラリーの一部が開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がるまで継続される。次いで、スキージを成形型20の上面に沿うように移動させる。これにより、セラミックスラリーのうちで上面から上方に盛り上がっている部分が除去され、且つ、「スキージングによる下方力」によりセラミックスラリーが成形空間Qに確実に充填される。そして、充填されたセラミックスラリーを固化・乾燥させ、固化により形成された成形体から成形型20を取り除いてセラミック成形体を得る。これを焼成し、その焼成体に機械加工を加えて、基板間電気接続体に使用されるセラミック部材を得る。
【解決手段】成形型20の開口Pinからセラミックスラリーを投入する。この投入は、セラミックスラリーの一部が開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がるまで継続される。次いで、スキージを成形型20の上面に沿うように移動させる。これにより、セラミックスラリーのうちで上面から上方に盛り上がっている部分が除去され、且つ、「スキージングによる下方力」によりセラミックスラリーが成形空間Qに確実に充填される。そして、充填されたセラミックスラリーを固化・乾燥させ、固化により形成された成形体から成形型20を取り除いてセラミック成形体を得る。これを焼成し、その焼成体に機械加工を加えて、基板間電気接続体に使用されるセラミック部材を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック部材を使用して構成される基板間電気接続体、及び、そのセラミック部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対向する2つのプリント基板間を電気的に接続する基板間電気接続体(コネクタ)が知られている。基板間電気接続体は、プリント基板間の電気的接続を確保する機能と、プリント基板同士を所定の間隔をもって互いに固定する機能とを併せ持つ。一般に、係る基板間電気接続体として、ナイロン等のプラスチック製のプラスチック部材の表面に金属導体を配設してなるコネクタが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−344418号公報
【発明の開示】
【0003】
近年、携帯端末等の電子機器の小型化により、各プリント基板の小型化、対向する2つのプリント基板の省スペース化等が要求されている。これに伴い、基板間電気接続体においても、小型化等が要求されてきている。
【0004】
しかしながら、上述したプラスチック部材を使用した基板間電気接続体は、機械的な強度が比較的低いことから、小型化し難いという問題があった。更には、耐熱性に優れないという問題もあった。
【0005】
本発明は、係る問題に対処するためになされたものであり、その目的は、機械的な強度が高く且つ耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することにある。
【0006】
本発明に係る基板間電気接続体は、セラミックからなる絶縁体であるセラミック部材と、前記セラミック部材の表面に配設された導体からなる導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記2つの基板の他方に接触する第2部分とを有するとともに前記第1部分と前記第2部分とが繋がっている導体部とを備えている。
【0007】
これによれば、基板間電気接続体の基体(絶縁体)としてセラミック部材が使用されるから、基板間電気接続体の機械的な強度を高くすることができる。この結果、基板間電気接続体を小型化できる。また、セラミック部材は耐熱性に優れるから、耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することができる。
【0008】
上記本発明に係る基板間電気接続体において、前記導体部は、前記セラミック部材の表面に形成された導体パターンであってもよい。また、前記導体部は、前記セラミック部材の表面に固定された金属からなる金属部材であってもよい。この場合、前記金属部材は、前記セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に固定されることが好適である。
【0009】
また、前記セラミック部材は、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記導体部は、前記セラミック部材の表面における前記長手方向についての複数個所にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る基板間電気接続体は、オス側嵌合面を有する絶縁体であるオス部材と、前記オス部材の表面に配設された導体からなるオス側導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記オス側嵌合面に配設されたオス側嵌合部分とを有するとともに前記第1部分と前記オス側嵌合部分とが繋がっているオス側導体部と、前記オス側嵌合面と嵌合するメス側嵌合面を有する絶縁体であるメス部材と、前記メス部材の表面に配設された導体からなるメス側導体部であって、前記2つの基板の他方に接触する第2部分と前記メス側嵌合面に配設されたメス側嵌合部分とを有するとともに前記第2部分と前記メス側嵌合部分とが繋がっているメス側導体部とを備え、前記オス部材と前記メス部材の何れか一方又は両方がセラミックからなる絶縁体であるセラミック部材であり、前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とが嵌合した状態において前記オス側嵌合部分と前記メス側嵌合部分とが接触するように構成され、前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とを嵌合して前記第1部分と前記第2部分とが電気的に繋がった状態にて使用されるものであってもよい。
【0011】
これによっても、上記と同様、基板間電気接続体の基体(絶縁体)としてセラミック部材が使用されるから、基板間電気接続体を小型化でき、且つ、耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することができる。
【0012】
この場合、前記オス側導体部及び前記メス側導体部は、それぞれ、前記オス部材及び前記メス部材の表面に形成された導体パターンであってもよい。この場合、前記オス側嵌合部分及び前記メス側嵌合部分のうち前記セラミック部材の表面に配設された嵌合部分に対応する前記導体パターンは、前記オス側嵌合面及び前記メス側嵌合面のうち前記セラミック部材が有する嵌合面に設けられた凸部の表面に形成されることが好適である。
【0013】
また、前記オス部材及び前記メス部材はそれぞれ、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記オス側導体部は、前記オス部材の表面における前記オス部材の長手方向についての複数個所にそれぞれ配設され、前記メス側導体部は、前記メス部材の表面における前記メス部材の長手方向についての複数個所であってそれぞれの個所が前記オス部材の長手方向についての前記複数個所のそれぞれと対応する複数個所にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0014】
本発明に係る、上述した基板間電気接続体に使用されるセラミック部材の製造方法は、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、成形型を利用して成形し、セラミック成形体を得る成形工程と、前記得られたセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を得る焼成工程と、前記得られたセラミック焼成体に、前記セラミック焼成体の表面において機械加工が施されていない部分が残存するように前記機械加工を施して前記セラミック部材を得る加工工程とを含む。
【0015】
これにより、外表面において機械加工が施されていない部分(即ち、成形型の成形面によるスラリーの成形のみにより外形状が決定される部分)が残存するセラミック部材が得られる。このように、外表面において機械加工が施す必要がない部分が存在するのは、前記セラミック成形体の寸法精度が優れることに基づく。このようなセラミック部材では、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。従って、信頼性の高いセラミック部材を得ることができる。
【0016】
この方法により製造される前記セラミック部材は、絶縁体であるセラミックの焼成体から構成される。前記セラミック部材は、例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムを主成分とする材質から構成される。特に、前記セラミック部材は、破壊靱性に優れるジルコニア質の焼結体から構成されることが好ましい。
【0017】
前記セラミック部材の製造方法は、製造されるセラミック部材において所定の寸法精度と所定の機械的な強度とが得られる限りにおいて、特に限定されない。例えば、前記成形工程として、射出成形法、粉末プレス法、鋳込み法、ゲルキャスト法等が採用され得る。特に、量産性と寸法精度の点で優れるゲルキャスト法を採用することが好ましい。これらの成形法を用いて得られたセラミック成形体が焼成されてセラミック焼成体が得られ、得られたセラミック焼成体の表面の一部に対して必要に応じて機械加工が施されてセラミック部材が得られる。その後、セラミック部材の表面に、導体部(電極)としての導体パターンが、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成される。或いは、セラミック部材の表面に、導体部(電極)としての金属部材が固定される(嵌め込まれる)。これにより、基板間電気接続体が完成する。
【0018】
以下、本発明に係るセラミック部材の製造方法について詳細に説明する。セラミック成形体(焼成前)の製造方法の1つとして、所謂ゲルキャスト法がある。この方法は、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを成形空間(スラリーを充填して成形するための空間、所望のセラミック成形体と同形の空間)に注型し成形・固化して、セラミック成形体を得る方法である。
【0019】
ゲルキャスト法では、成形型の成形空間に充填されたセラミックスラリーは、主としてゲル化反応により固化される。ゲル化反応として特にウレタン反応が利用される場合、隣接するウレタン樹脂の分子間において、各ウレタン樹脂分子内にそれぞれ存在するウレタン基同士を連結するように架橋が生じる。この架橋により、ウレタン樹脂分子間では強固なネットワークが形成され得る。この結果、ゲル化反応(ウレタン反応)により固化して得られたセラミック成形体を乾燥させて内部に残存する分散媒(溶媒)成分を揮発除去させても、セラミック成形体内においてウレタン樹脂分子の分子間距離が縮まり難い。
【0020】
即ち、ゲルキャスト法により形成されたセラミック成形体は、乾燥による収縮が発生し難いという性質を有する。従って、寸法精度がよいセラミック成形体が得られる。従って、特に、厚さが比較的大きいセラミック成形体を形成しても、乾燥によるクラック(割れ)が発生し難い。
【0021】
一般に、ゲルキャスト法では、成形空間が密閉された閉空間とされた状態にてセラミックスラリーが固化・乾燥される場合が多かった。この場合、分散媒(溶媒)成分が揮発除去され難いことから、固化・乾燥の進行速度が遅い。従って、セラミック成形体がハンドリングされ得る程度(セラミック成形体を手、治具等を使用して掴んだり取り上げたりした場合にセラミック成形体が容易に破損しない程度)まで固化・乾燥が進行するのに比較的長時間を要することがあった。
【0022】
この問題に対処するためには、成形型としてその上面(平面)にて成形空間に通じる開口(セラミックスラリーを投入するための穴)が形成された形式のものを使用することが好ましいと考えられる。成形型において、成形空間の上面は、前記開口と一致していても一致していなくてもよい。これにより、上記開口を通じて分散媒(溶媒)成分が揮発除去され得る。従って、固化・乾燥の進行速度が速くなってセラミック成形体の生産性を向上させることができる。
【0023】
ところで、成形型としてその上面(平面)にて成形空間に通じる開口が形成された形式のものを使用して、ゲルキャスト法によりセラミック成形体を得る場合、開口から投入されたセラミックスラリーは、重力の作用により下方に落下しながら成形空間内に進入していく。ここで、ゲル化剤を含むセラミックスラリーの粘度は比較的大きい。従って、成形空間の深さが大きい場合、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得ない場合が発生し得る。より具体的には、成形空間内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が発生し得る。
【0024】
このようにセラミックスラリーが成形空間内に確実に充填されないと、得られるセラミック成形体の外形状において成形空間の形状と一致しない部分が生じるという問題が発生する。
【0025】
本発明に係るセラミック部材の成形体(焼成前)の製造方法では、前記成形型として、上面にて成形空間に通じる開口が形成された成形型が使用され、前記成形工程が、前記セラミックスラリーを、その一部が前記成形型の前記開口から溢れて前記成形型の前記上面(平面)から上方に盛り上がるように、前記開口を通して前記成形型の前記成形空間に投入する投入工程と、スキージを前記成形型の前記上面に沿うように移動させることで、前記セラミックスラリーのうちで前記上面から上方に盛り上がっている部分を除去するとともに前記セラミックスラリーを前記成形空間に充填するスキージング工程と、前記成形空間に充填されたセラミックスラリーをゲル化反応により固化する固化工程と、前記固化により形成された成形体から前記成形型を取り除いて前記セラミック成形体を得る離型工程と、を含んでいる。
【0026】
ここにおいて、前記セラミックスラリーとして、ゲル化反応としてのウレタン反応が発生する成分(例えば、イソシアネート及びポリオール等)を含んだものが使用されることが好ましい。この場合、前記セラミックスラリーは、セラミック粉体と、イソシアネートと、ポリオールと、溶媒と、(ウレタン反応により生成されたバインダとしてのウレタン樹脂と)を含む、と記載することもできる。また、前記固化工程では、固化により形成された成形体を乾燥する工程が含まれてもよい。また、スキージとして、ゴム製、或いは金属製のものが使用されることが好適である。
【0027】
上記構成によれば、投入工程において、成形型の開口から投入されたセラミックスラリーの一部がその開口から溢れて成形型の上面(平面)から上方に盛り上がるまで、セラミックスラリーの投入が継続される。次いで、スキージング工程において、スキージ(の先端)を成形型の上面(平面)に沿うように移動させることで、セラミックスラリーのうちで成形型の上面から上方に盛り上がっている部分が除去される。このとき、セラミックスラリーのうちで成形型の(開口の下方であって)開口近傍に存在している部分(スキージにより除去されなかった部分)に対して下向きの力が加わる。以下、この下向きの力を「スキージングによる下方力」と称呼する。また、このようなスキージング工程を含む成形工程を有するセラミック成形体の製造方法を「ゲルスキージング法」と呼ぶこともある。
【0028】
このスキージングによる下方力は、成形空間内においてセラミックスラリーを隅々まで行き渡らせる力として作用し得る。この結果、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得る。より具体的には、成形空間内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が消滅し得る。換言すれば、重力によりセラミックスラリーが成形空間内に進入していく作用をスキージングによる下方力がアシストすることで、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得る。
【0029】
このように、ゲルスキージング法によれば、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得ることで、その後の固化工程及び離型工程を経て得られるセラミック成形体(焼成前)は、成形空間の形状に対応する高精度な外形状を有する。加えて、上述したように、固化(・乾燥)工程において、上記開口を通じて分散媒(溶媒)成分が揮発除去され得る。従って、固化・乾燥の進行速度が速くなってセラミック成形体の生産性を向上させることができる。
【0030】
ゲルスキージング法において、前記投入工程の前に、前記成形空間を画定する前記成形型の成形面に、前記離型工程にて前記セラミック成形体を前記成形面から引き離し易くするための離型剤を塗布する塗布工程が含まれる場合において、前記成形型の成形面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.2μm〜0.8μmであり、前記離型剤としてフッ素樹脂が使用されることが好適である。
【0031】
ゲルスキージング法において、離型剤としてフッ素樹脂が使用される場合、成形型の成形面の表面粗さが算術平均粗さRa(JIS
B0601:2001)で0.2μm〜0.8μmに調整されていると、離型工程においてセラミック成形体から成形型を取り除く(セラミック成形体を成形面から引き離す)ために要する力(以下、「離型力」とも称呼する。)が十分に小さくなることが判明した。換言すれば、ゲルスキージング法の場合、粉末プレス用成形型の場合のように成形面に対して鏡面仕上げを施すことなく、セラミック成形体の外表面を破損することなしでセラミック成形体から成形型を容易に取り除くことができることが判明した。
【0032】
加えて、成形型を、上下方向に分割された複数の型を上下方向に積層して構成することで、比較的複雑な3次元形状の成形空間を得ることができる。これにより、粉体プレス成形では実現が困難な次元形状のセラミック成形体を得ることも可能である。
【0033】
また、ゲルスキージング法においては、前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に、前記成形空間内の下方部分であって前記セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を前記成形空間外に排気する空気抜き工程を含むことが好適である。ここにおいて、セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を成形空間外に排気する機構としては、前記成形空間内の下方部分と連通する排気経路を有する機構、又は、排気経路に接続されたバキュームポンプが備えられた機構等が採用され得る。
【0034】
これによれば、前記残存空気を成形空間外に排気することで、スキージング工程前において成形空間内の下方部分であってセラミックスラリーが進入していない領域をより狭めることができる。この結果、スキージング工程後においてセラミックスラリーを成形空間内により一層確実に充填することができる。なお、前記空気抜き工程として、前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に成形型を振動させて前記残存空気を成形空間外に排気する工程を採用することもできる。
【0035】
また、ゲルスキージング法における前記スキージング工程において、前記スキージの先端と前記成形型の前記上面との間の上下方向における隙間が50μm〜500μmに調整された状態で、前記スキージが移動させられることが好適である。
【0036】
これによれば、セラミックスラリーが成形空間内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において上記開口に対応する面(セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。これは、前記隙間を50μm〜500μmに調整することで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0037】
また、前記スキージング工程において、平板状の前記スキージが採用される場合、スキージの平面が前記スキージの移動方向に対して垂直になる状態から前記スキージが前記移動方向における前側又は後側に20°〜70°だけ傾いた状態で、前記スキージが移動させられることが好適である。
【0038】
これによっても、セラミックスラリーが成形空間内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において上記開口に対応する面(セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。上記と同様、これも、スキージを上記のように傾けることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0039】
また、前記成形工程において、前記成形型に同形の複数の前記成形空間を形成しておき、それぞれの成形空間に前記セラミックスラリーを投入・充填することで、前記製造方法の1回の実行により同形の複数の前記セラミック成形体を得るように構成することが好適である。これにより、同形のセラミック成形体を大量生産する場合、生産効率を高めることができる。
【0040】
また、上述のように、前記成形工程の1回の実行により同形の複数のセラミック成形体を得る場合において、前記成形型が、前記同形の複数の成形空間が整列して配置されるとともに隣接する前記成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成されている場合、前記成形工程において、前記同形の複数のセラミック成形体からなるとともに隣接するセラミック成形体同士が連結部により連結されたセラミック成形体の集合体を得て、前記焼成工程において、前記得られたセラミック成形体の集合体を焼成して、前記同形の複数のセラミック焼成体からなるとともに隣接するセラミック焼成体同士が前記連結部により連結されたセラミック焼成体の集合体を得て、前記加工工程において、前記得られたセラミック焼成体の集合体に、前記連結部が除去されるように且つ前記各セラミック焼成体の表面において前記機械加工(切削、研削等)が施されていない部分が残存するように機械加工を施して、それぞれが別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材を得ることができる。
【0041】
これによれば、同形の複数のセラミック焼成体からなる「セラミック焼成体の集合体」において、隣接するセラミック焼成体同士が連結部により連結されている。従って、隣接するセラミック焼成体同士の位置関係が変化し難い。このため、「セラミック焼成体の集合体」に対して機械加工を施す際の作業が行い易くなる。より具体的には、別個独立に分離された同形の複数のセラミック成形体のそれぞれを焼成して得られる別個独立に分離された同形の複数のセラミック焼成体に対して機械加工を施す場合に比して、機械加工を施す際の作業が行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るセラミック成形体(焼成前)、及び、セラミック部材(焼成後)の製造方法について説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態に係るゲルスキージング法を利用したセラミック部材10の製造方法により製造されたセラミック部材10の斜視図である。このセラミック部材10は、断面が四隅に対して面取りされた正方形形状を有する長棒形状を呈している。このセラミック部材10は、後述するように、種々のスペーサ、コネクタ等の部材として広く利用され得る。
【0044】
以下、本発明によるセラミック部材10の製造方法の実施形態について、図2〜図23を参照しながら説明する。先ず、この製造方法に使用される成形型について図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、セラミック部材10の製造に使用される成形型20、及びスキージ30の概略斜視図であり、図3は、成形型20の平面図(上面図)であり、図4、及び図5はそれぞれ、図3の4−4線、及び5−5−線に沿って成形型20を切断した成形型20の縦断面図である。図2〜図5に示すように、この成形型20を利用すれば、5個の同形のセラミック成形体を同時に形成することができる。なお、この「5個」は単なる例示であり、5個とは異なる複数個のセラミック成形体を同時に形成する成形型を使用してもよい。
【0045】
成形型20は、金属、セラミック、樹脂、セッコウ等の何れかの材質からなり、上型20A及び下型20Bとから構成される。下型20B及び上型20Aがこの順に下から積層・固定された状態(即ち、成形型20が組まれた状態)において、成形型20の内部には、成形面21で画定される成形空間Q(スラリーを充填して成形するための空間、所望のセラミック成形体と同形の空間、5か所)が、1列に整列して配置・形成される。
【0046】
成形型20の上面(即ち、上型20Aの上面、平面)には、各成形空間Qにそれぞれ通じる開口Pin(5か所)が、1列に整列して配置・形成されている。成形空間Qの上面は、対応する開口Pinと一致している。後述のように作成されるセラミックスラリーは、開口Pin(5か所)から成形型20の成形空間Q(5か所)にそれぞれ投入・充填されるようになっている。
【0047】
スキージ30は、ゴム製、或いは金属製であり、平面形状が長方形、或いは正方形の板状(平板状)を呈している。スキージ30は、図示しない駆動機構により、成形型20の上面(即ち、上型20Aの上面)に沿うように、所定の速度(一定でも可変でもよい)をもって成形型20の長手方向(Z軸方向)に移動可能となっている(矢印を参照)。以下、このようにスキージ30を成形型20の上面に沿うように移動させることを「スキージング」とも称呼する。
【0048】
次に、セラミック部材10の具体的な製造方法について説明する。
(離型剤塗布)
先ず、上型20Aと下型20Bとが分離した状態で、上型20A及び下型20Bのそれぞれの成形面21(即ち、セラミックスラリーが接触する面)に、離型剤として、フッ素樹脂を有機溶剤で分散させたものを塗布する。塗布後、有機溶剤は直ちに揮発し、この結果、上型20A及び下型20Bのそれぞれの成形面21にはフッ素樹脂が固着される。これにより、その後におけるセラミック成形体の離型性を安定して高めることができる。離型剤の塗布は、スプレー法、ディッピング法等を用いて行う。
【0049】
(成形型組み立て)
次に、成形型20を組み立てる。図6、図7に示すように、下型20Bの上面(平面)と上型20Aの下面(平面)とを合わせるように、下型20Bの上に上型20Aを載せる(積層する)。その後、公知の手法の1つにより、上型20Aと下型20Bとを一体に固定する。これにより、成形型20の組み立てが完了する(図4、及び図5に示した状態を参照)。
【0050】
(セラミックスラリーの調製)
次に、セラミック粉体、分散媒、ポリオール、分散剤、ゲル化剤、及び触媒を含むセラミックスラリーの調製を行う。本例では、セラミック粉体(アルミナ粉末)として、アルミナ100重量部、分散媒として、多塩基酸エステル29重量部、ポリオールとして、ポリビニルブチラール0.8重量部、分散剤として、ポリカルボン共重合体3重量部、ゲル化剤として、ジフェニルメタンジイソシアネート4.2重量部、触媒として、アミン系触媒0.2重量部、を混合したものをセラミックスラリーとして使用した。
【0051】
ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリビニルブチラール(即ち、ポリオール)は、ウレタン反応により後にウレタン樹脂(ポリウレタン)となり、後に有機バインダとして機能する。上述のように、ウレタン樹脂分子間では、架橋により、強固なネットワークが形成され得る。この結果、乾燥による収縮が発生し難くなる。
【0052】
また、このように有機バインダとしてウレタン樹脂が使用される場合、セラミックスラリーの調製のために混合される物質を、セラミック粉体と、イソシアネートと、ポリオールと、溶媒と、分散剤と、触媒とに分類することができる。この場合、セラミック粉体として使用されるセラミック材料としては、酸化物系セラミックが使用されてもよいし、非酸化物系セラミックが使用されてもよい。また、誘電体材料、磁性体材料であってもよい。例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、ガラスパウダー等が使用され得る。これらの材料は、1種類単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用され得る。また、スラリーを調整・作製可能な限りにおいて、セラミック材料の粒子径は特に限定されない。
【0053】
イソシアネートとしては、イソシアネート基を官能基として有する物質であれば特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、或いは、これらの変性体等が使用され得る。なお、分子内おいて、イソシアネート基以外の反応性官能基が含有されていてもよく、更には、ポリイソシアネートのように、反応性官能基が多数含有されていてもよい。
【0054】
ポリオールとしては、イソシアネート基と反応し得る官能基、例えば、水酸基、アミノ基等を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリヘキサメチレングリコール(PHMG)、ポリビニルブチラール(PVB)等が使用され得る。
【0055】
溶媒としては、分散剤、イソシアネート、ポリオール、及び触媒を溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン等)等の、2以上のエステル結合を有する溶剤を使用することが望ましい。
【0056】
分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩等を使用することが望ましい。この分散剤を添加することで、成形前のスラリーを、低粘度とし、且つ高い流動性を有するものとすることができる。
【0057】
触媒としては、ウレタン反応を促進させる物質であれば特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール等が使用され得る。
【0058】
(セラミックスラリーの投入)
次に、セラミックスラリーを成形型20へ投入する。この投入は、上記セラミックスラリーの調製後、直ちに開始される。上述したように、セラミックスラリーは、開口Pin(5か所)から投入される。投入されたセラミックスラリーは、重力の作用により下方に落下しながら各成形空間Q内にそれぞれ進入していく。
【0059】
図8、図9に示すように、このセラミックスラリーの投入は、セラミックスラリーの一部が全ての開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がった時点で完了する。なお、上述したように、本例で使用されるセラミックスラリーの粘度は比較的大きい。従って、セラミックスラリーの投入が完了した状態では、各成形空間Q内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が発生し得る。
【0060】
(スキージング)
次に、図10、及び図11に示すように、スキージ30を用いて上述したスキージングを行う。このスキージングにより、セラミックスラリーのうちで成形型20の上面から上方に盛り上がっている部分が除去される。このとき、セラミックスラリーのうちで成形型の(開口Pinの下方であって)開口Pin近傍に存在している部分(スキージ30により除去されなかった部分)に対して下向きの力(上述した「スキージングによる下方力」)が加わる。
【0061】
この「スキージングによる下方力」は、各成形空間Q内においてセラミックスラリーを隅々まで行き渡らせる力として作用し得る。この結果、上述したように各成形空間Q内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が仮に発生していたとしても、この領域は、「スキージングによる下方力」の作用により消滅し得る。即ち、セラミックスラリーが各成形空間Q内に確実に充填され得る。
【0062】
ここで、スキージングの適切な条件について付言する。図12、及び図13に示すように、スキージ30の先端(下端)と成形型20の上面との間の上下方向における隙間をhとすると、隙間hが50μm〜500μmの或る値に調整された状態(隙間h一定)でスキージングが行われると、セラミックスラリーが成形空間Q内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において開口Pinに対応する面(即ち、セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。これは、隙間hがこの範囲内にあることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0063】
また、図12に示すように、スキージ30の平面がスキージ30の移動方向(Z軸方向)に対して垂直になる状態からスキージ30が移動方向における前側(Z軸負方向側)に20°〜70°の或る角度θだけ傾いた状態(角度θ一定)で、スキージングが行われると、セラミックスラリーが成形空間Q内により安定して確実に充填されることができる。
【0064】
図13に示すように、スキージ30の平面がスキージ30の移動方向(Z軸方向)に対して垂直になる状態からスキージ30が移動方向における後側(Z軸正方向側)に20°〜70°の或る角度θだけ傾いた状態(角度θ一定)で、スキージングが行われた場合、セラミック成形体において開口Pinに対応する面(即ち、セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られる。これらのことも、角度θがこれらの範囲内にあることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0065】
図14、及び図15は、スキージングが完了した状態を示す。この状態では、セラミックスラリーのうちで成形型20の上面から上方に盛り上がっている部分が除去されているとともに、「スキージングによる下方力」の作用により、セラミックスラリーが各成形空間Q内に確実に充填されている。
【0066】
(セラミックスラリーの固化)
次に、各成形空間Q内に充填されたセラミックスラリーを固化・乾燥する。セラミックスラリーの固化・乾燥は、所定時間に亘ってセラミックスラリーが充填された成形型20を室温雰囲気で放置することで行われてもよいし、所定時間に亘ってセラミックスラリーが充填された成形型20を加熱により室温雰囲気よりも高い所定温度に維持することで行われてもよいし、これらを組み合わせて行われてもよい。
【0067】
この工程では、主として、上述したウレタン反応によりセラミックスラリーが固化していく現象と、開口Pinを介して溶媒(分散媒)が揮発除去されていく現象とが発生する。このウレタン反応により、上述のように、ウレタン樹脂分子間において、架橋により強固なネットワークが形成され得る。この結果、溶媒(分散媒)が揮発除去されていっても(即ち、セラミック成形体の乾燥が進行していっても)、セラミック成形体が収縮し難い。従って、成形空間Qの深さ(厚さ)が比較的大きい場合(即ち、厚さの大きいセラミック成形体が形成される場合)であっても、セラミック成形体において乾燥によるクラック(割れ)が発生し難い。
【0068】
この工程により、同形の5つのセラミック成形体Fが形成される。加えて、開口Pinを通じて溶媒(分散媒)が外部へ揮発除去され得る。従って、この工程の進行速度が速くなってセラミック成形体Fの生産性を向上させることができる。
【0069】
(上型除去)
次に、図16、及び図17に示すように、図示しないスライダー等を利用して、上型20Aを上方へ引き上げる。このとき、上型20Aよりも下型20Bの方がセラミック成形体Fと接触している面積が大きくて上記「離型力」が大きいから、上型20Aのみがセラミック成形体Fから除去される。即ち、セラミック成形体Fは、下型20B側に付着・残存する。
【0070】
(下型除去)
次に、図18、及び図19に示すように、セラミック成形体Fが付着・残存する下型20Bを上下反転させて焼成用トレイ40の上に載置し、図示しないスライダー等を利用して、下型20Bを上方へ引き上げる。この結果、セラミック成形体Fは、重力の作用により下型20Bから離れる。セラミック成形体Fが下型20Bから離れ難い場合は、下型20Bに若干の振動を与えると好ましい。これにより、下型20Bが全てのセラミック成形体Fから除去される。即ち、図20に示すように、同形の5個のセラミック成形体Fを取り出すことができる。
【0071】
ここで、離型力について付言する。本例のように、離型剤としてフッ素樹脂が使用される場合、成形型20の成形面21の表面粗さが算術平均粗さRa(JIS
B0601:2001)で0.2μm〜0.8μmに調整されていると、離型力(セラミック成形体Fを上型20A及び下型20Bから引き離す際に要する力)が十分に小さくなることが判明している。換言すれば、セラミック成形体Fの外表面を破損することなくセラミック成形体Fから成形型20を容易に取り除くために、粉末プレス用成形型の場合のように成形面に対して鏡面仕上げを施す必要がない。
【0072】
(焼成)
次に、上述のように得られた5個のセラミック成形体Fの焼成を行う。この焼成は、図20に示すように、5個のセラミック成形体Fが載置された焼成用トレイ40を、所定の焼成炉に入れて、焼成炉内を所定時間に亘って所定温度に維持することで行う。これにより、同形の5個のセラミック焼成体Bが得られる。
【0073】
(加工)
次に、上述のように得られた5個のセラミック焼成体Bの加工を行う。この加工は、図21、及び図22に示すように、5個のセラミック焼成体Bを加工用台50の上に載置した状態で、グラインダG等を用いて行われる。この例では、セラミック焼成体Bにおける両端面、並びに、開口Pinに対応する側面が研削されることで、セラミック焼成体Bが所望の形状になるように加工される。即ち、セラミック焼成体Bのその他の表面(具体的には、開口Pinに対応する側面以外の残りの3つの側面、及び、四隅の面取り面)には加工が施されない。この結果、図23に示すように、同形の5個のセラミック部材10が完成する。
【0074】
このように、セラミック部材10の表面には、加工が施されていない部分(即ち、成形型20の成形面21によるスラリーの成形のみにより外形状が決定される部分)が残存している。従って、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。従って、セラミック部材10の信頼性を高めることができる。
【0075】
以上、説明したように、本発明によるセラミック成形体Fの製造方法の実施形態によれば、上面にて成形空間Qに通じる開口Pinが形成された成形型20の開口Pinから、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを投入する。この投入は、セラミックスラリーの一部が開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がるまで継続される。次いで、スキージ30を成形型20の上面に沿うように移動させる。これにより、セラミックスラリーのうちで上面から上方に盛り上がっている部分が除去されることに加え、上記「スキージングによる下方力」の作用によりセラミックスラリーが成形空間Qに確実に充填される。そして、充填されたセラミックスラリーが固化・乾燥され、固化により形成された成形体から成形型20を取り除くことでセラミック成形体Fが得られる。
【0076】
上記実施形態によれば、上記「スキージングによる下方力」の作用により、投入されたセラミックスラリーが成形空間Q内に確実に充填され得る。この結果、成形空間Qの形状に対応する高精度な外形状を有するセラミック成形体Fを得ることができる。加えて、開口Pinを通じて溶媒(分散媒)が上方に向けて外部へ揮発除去され得るから、セラミックスラリーの固化・乾燥の進行速度が速くなり、この結果、セラミック成形体Fの生産性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、図24(a)に示す断面形状を有するセラミック焼成体B(未加工)に対して、図24(b)に示すように、開口Pinに対応する側面(図中の上面)を研削することで、図24(c)に示す断面形状を有するセラミック部材10が得られている。これに対し、開口Pinに対応する側面と反対側の面(図中の下面)を先に研削しておき、その後に、開口Pinに対応する側面(図中の上面)を研削してもよい。これにより、図中の上下方向の寸法精度(形状精度)をより一層高めることができる。
【0078】
また、図25(a)に示す断面形状を有するセラミック焼成体Bを作製しておき、図25(b)に示すように、図中の上下面をそれぞれ研削することで、図25(c)に示す断面形状を有するセラミック部材10を得てもよい。これによっても、上記実施形態に比して、図中の上下方向の寸法精度(形状精度)をより一層高めることができる。更には、図25(a)に示す断面形状を有するセラミック成形体Fを焼成用トレイ40に載置する場合、図26に示すように、トレイ40に接触する面積を小さくすることができる。この結果、焼成後において、セラミック焼成体Bがトレイ40に固着して焼成体Bからトレイ40を取り除くことが困難になる事態の発生が抑制され得る。
【0079】
また、図27に示すように、上記実施形態における下型20Bにおいて底面に対応する部分を分離して底型20Cとしてもよい。この場合、下型20Bの下面と底型20Cの上面との合わせ部に形成される微小隙間(例えば、形状公差に相当する程度の微小隙間)から成形空間Qのエアを自然に排気できるように構成してもよく、或いは、この微小隙間を図示しないバキュームポンプに接続し、成形空間Q内のエアを排気できるように構成してもよい。これによれば、セラミックスラリー投入後且つスキージング前において、成形空間Q内の下方部分であってセラミックスラリーが進入していない領域(エア溜り)に残存している空気を成形空間Q外に排気(エア抜き)することができる。
【0080】
このようにエア溜りに残存している空気を成形空間Q外に排気することで、スキージング前においてエア溜りをより狭めることができる。この結果、スキージング後においてセラミックスラリーを成形空間Q内により一層確実に充填することができる。
【0081】
図28は、図27に示した成形型において上型20Aと下型20Bとを一体化したものを示している。これによっても、図27に示した成形型と同様、エア溜りに残存している空気を成形空間Q外に吸引することができ、同様の作用効果が奏され得る。
【0082】
また、図29(a)は、1列に整列して配置された同形の複数のセラミック焼成体Bからなり、且つ、隣接するセラミック焼成体B同士が棒状の連結部Zにより連結された「セラミック焼成体の集合体」を示している。このような焼成体の集合体(従って、成形体の集合体)は、成形型を、同形の複数の成形空間が1列に整列して配置されるとともに隣接する成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成することで、得ることができる。
【0083】
図29(b)は、図29(a)に示したセラミック焼成体の集合体の上面をグラインダGで研削して、連結部Zを除去し、且つ、各セラミック焼成体Bの上面を加工する様子を示している。図30(a)(b)はそれぞれ、図29(a)(b)に示す状態に対応する縦断面図である。これにより、別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材10を得ることができる。なお、これらのセラミック部材10の表面には、機械加工が施されていない部分が残存する。
【0084】
このように「セラミック焼成体の集合体」では、隣接するセラミック焼成体B同士が連結部Zにより連結されている。従って、隣接するセラミック焼成体B同士の位置関係が変化し難い。このため、「セラミック焼成体の集合体」に対して研削等の機械加工を施す際の作業が行い易くなる。換言すれば、別個独立に分離された同形の複数のセラミック成形体のそれぞれを焼成して得られる別個独立に分離された同形の複数のセラミック焼成体に対して機械加工を施す場合に比して、機械加工を施す際の作業が行い易くなる。
【0085】
以下、ゲルスキージング法により得られるセラミック部材(焼成後且つ加工後)の利用例について付言する。ゲルスキージング法により形成されるセラミック成形体(焼成前)を焼成して得られるセラミック焼成体は、他の製造方法により得られるものと比べて寸法精度に優れる。このため、本発明に係る製造方法により得られるセラミック部材の表面には、機械加工が施されていない部分が残存してもよい。従って、上述のように、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。この結果、セラミック部材の信頼性を高めることができる。
【0086】
図31は、本発明に係る製造方法により作製されたアスペクト比(主要な縦断面形状における縦の長さに対する横の長さの割合)が大きいセラミックス部材の一例を示している。従来の粉末プレス法では、このようなアスペクト比が大きい形状を有するセラミック部材を作製することが困難であった。これに対し、本発明に係る製造方法では、アスペクト比が大きいセラミックス部材の作製が可能となった。即ち、本発明に係る製造方法により、基板間電気接続体に用いられるセラミック部材の製造の量産性は大きく改善され得る。
【0087】
図32〜図52は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタとして使用された種々の例を示している。
【0088】
図32〜図35は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、基板間電気接続体(コネクタ)を構成する、オス部材C1及びメス部材C2として使用された一例を示している。オス部材C1及びメス部材C2は、図35に示すように嵌合されて使用される。
【0089】
図33に示すように、オス部材C1は、断面が長方形状の長棒形状を呈している。オス部材C1の表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA1,A1が、オス部材C1の長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA1,A1の各パターンA1は、上面における側面(嵌合面、平面)近傍部分から側面(嵌合面)を通り下面における側面(嵌合面)近傍部分までに亘って形成されている。オス部材C1の上面は、プリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA1,A1における上面に形成された部分はそれぞれ、プリント基板側に形成されたパッドに接触する。これにより、導体パターンA1,A1とプリント基板との電気的接続が確保される。また、導体パターンA1,A1をプリント基板側に形成されたパッドに半田付けしてもよい。
【0090】
図34に示すように、メス部材C2は、断面がU字状の長棒形状を呈している。メス部材C2の表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA2,A2が、メス部材C2の長手方向においてオス部材C1の導体パターンA1,A1に対応する位置に所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA2,A2の各パターンA2は、内側側面(嵌合面、平面)の下端から内側側面(嵌合面)、上面、外側側面を順に通り下面における外側側面(嵌合面)近傍部分までに亘って形成されている。メス部材C2の下面は、プリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA2,A2における下面に形成された部分はそれぞれ、プリント基板側に形成されたパッドに接触する。これにより、導体パターンA2,A2とプリント基板との電気的接続が確保される。また、導体パターンA2,A2をプリント基板側に形成されたパッドに半田付けしてもよい。
【0091】
上述したように、オス部材C1及びメス部材C2は、図35に示すように嵌合される。この状態では、嵌合面において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士が接触する。この結果、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、嵌合面にてオス部材C1及びメス部材C2が確実に嵌合されることで、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。
【0092】
図32〜図35に示した構成によれば、プリント基板間のコネクタの小型化且つ省スペース化が可能である。これは、上述したように、本発明に係る製造方法により得られるセラミック部材の機械的強度が非常に高いことにより達成される。
【0093】
また、オス部材C1及びメス部材C2の表面に印刷等により形成された導体パターンによりプリント基板間の電気的接続が確保されている。従って、電気回線の狭ピッチ化が可能である。
【0094】
なお、図32〜図35に示した構成では、オス部材C1とメス部材C2の両方がセラミック部材で構成された場合が示されているが、何れか一方のみが従来のプラスチック製のプラスチック部材で構成されてもよい。具体的には、オス部材C1が本発明に係るセラミック部材で構成され且つメス部材C2がプラスチック部材で構成されても良いし、オス部材C1がプラスチック部材で構成され且つメス部材C2が本発明に係るセラミック部材で構成されてもよい。
【0095】
図36は、図32に示すオス部材C1において、その上面を、図25(c)に示す上面の形状に変更した場合を示している。これにより、オス部材C1とプリント基板とを固定する半田がオス部材C1の上面の中央部分に向けて入り込む。この結果、オス部材C1とプリント基板とがより一層強固に固定され得る。
【0096】
図37は、図32に示すメス部材C2において、その下面を、図25(c)に示す下面の形状に変更した場合を示している。これにより、メス部材C2とプリント基板とを固定する半田がメス部材C2の下面の中央部分に向けて入り込む。この結果、メス部材C2とプリント基板とがより一層強固に固定され得る。図36に示すオス部材C1及び図37に示すメス部材C2が共に採用されてもよい。
【0097】
図38は、図32に示すオス部材C1において、側面(嵌合面)における導体パターンA1,A1の位置に対応する部分のみに凸部が設けられ、凸部の表面に導体パターンA1,A1が形成された場合を示している。係る凸部は、セラミック成形体の段階で形成しておくことが可能である。これにより、オス部材C1及びメス部材C2が嵌合された状態において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士がより確実に接触し得る。
【0098】
図39は、図32に示すメス部材C2において、内側側面(嵌合面)における導体パターンA2,A2の位置に対応する部分のみに凸部が設けられ、凸部の表面に導体パターンA2,A2が形成された場合を示している。これにより、オス部材C1及びメス部材C2が嵌合された状態において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士がより確実に接触し得る。図38に示すオス部材C1及び図39に示すメス部材C2が共に採用されてもよい。
【0099】
本発明に係るセラミック部材の製造方法によれば、成形型の成形空間を調整することにより、図32〜図39に示す形状を有するセラミック部材を作製することは容易である。また、本発明に係るセラミック部材の製造方法では、セラミック部材の寸法精度に優れる。このため、図38、及び図39に示す凸部の形状に対しても、特段の機械加工を施す必要がない。従って、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、セラミック部材の生産効率を高めることができる。
【0100】
図40〜図42は、図32〜図35に示した構成において、オス部材C1の断面形状を長方形形状からT字状に変更したものを示す。図40〜図42に示す構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。このように、長棒形状を有するオス部材C1及びメス部材C2の断面形状は、互いに嵌合し得る形状であれば、どのような形状であってもよい。図43は、図36に対応する構成を示し、図44は、図38に対応する構成を示す。
【0101】
図45〜図46は、図32に示したオス部材C1に相当する部材Cのみでプリント基板間のコネクタを構成する場合を示している。この場合、部材Cの表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA,Aが、部材Cの長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA,Aの各パターンAは、上面における側面近傍部分から側面を通り下面における側面近傍部分までに亘って形成されている。部材Cの上下面は、それぞれのプリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA,Aにおける上下面に形成されたそれぞれの部分は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。
【0102】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図45〜図46に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。図47は、図36に対応する構成を示す。
【0103】
図48〜図49は、図45〜図47に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を一対の導体パターンA,Aから一対の金属部材M,M(例えば、銅製)に変更したものを示す。各金属部材M,Mは、図45〜図47に示した導体パターンA,Aが形成されている位置に対応する位置に存在するように部材Cに嵌め込まれている。ここにおいて、金属部材Mは、セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に嵌め込まれるように構成することが好ましい。係る凹部は、セラミック成形体の段階で形成しておくことが可能である。各金属部材M,Mの上下の両端に形成された突起部が対応するプリント基板に差し込まれ、且つ、この突起部とプリント基板とが半田付け等により固定される。図48〜図49に示す構成によっても、図32〜図35に示した構成と略同様の作用・効果が奏され得る。
【0104】
図50〜図51は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタであってプリント基板の端部に使用されるもの(端面スペーサS)として使用される一例を示している。この端面スペーサSも、プリント基板間の電気的接続を確保する機能と、プリント基板同士を所定の間隔をもって互いに固定する機能とを併せ持つ。
【0105】
図51に示すように、端面スペーサSは、断面がT字状の長棒形状を呈している。端面スペーサSの表面には、導体(金など)のパターンAが、端面スペーサSの長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、印刷等により形成されている。各導体パターンAは、上側のプリント基板との合わせ面から内側側面を通り下側のプリント基板との合わせ面までに亘って形成されている。部材Cの上下の合わせ面は、それぞれのプリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンAにおける上下の合わせ面に形成されたそれぞれの部分は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。
【0106】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図50〜図51に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。
【0107】
図52は、図50〜図51に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を導体パターンAからフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)に変更したものを示す。FPCの上側端は、端面スペーサSの上面と上側のプリント基板との間に形成された隙間に挿入され、且つ、FPCの上側端と端面スペーサSの上面と上側のプリント基板とが半田付け等により固定される。同様に、FPCの下側端は、端面スペーサSの下面と下側のプリント基板との間に形成された隙間に挿入され、且つ、FPCの下側端と端面スペーサSの下面と下側のプリント基板とが半田付け等により固定される。その際、FPCの上側端及び下側端は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。なお、図52では、FPCがプリント基板の外側になるように固定されているが、FPCがプリント基板の内側になるように固定されてもよい。
【0108】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図52に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。特に、従来に比して、プリント基板間の接続の低背化が可能となる。
【0109】
以上、図32〜図52を参照しながら、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタとして使用される場合を説明した。なお、図32〜図52に示したセラミック部材は、セラミックの焼成体(或いは、セラミックの焼成体に加工を施したもの)であるが、絶縁体であり且つセラミックの焼成体と同程度の機械的強度を有する材質であれば、どのような材質から構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施形態に係るゲルスキージング法を利用したセラミック部材の製造方法により製造されたセラミック部材の斜視図である。
【図2】セラミック成形体の製造に使用される成形型の斜視図である。
【図3】セラミック成形体の製造に使用される成形型の平面図である。
【図4】図3の4−4線に沿って成形型を切断した成形型の縦断面図である。
【図5】図3の5−5線に沿って成形型を切断した成形型の縦断面図である。
【図6】下型の上に上型を載せる際の様子を示した図4に対応する図である。
【図7】下型の上に上型を載せる際の様子を示した図5に対応する図である。
【図8】セラミックスラリーが成形型に投入された状態を示した図4に対応する図である。
【図9】セラミックスラリーが成形型に投入された状態を示した図5に対応する図である。
【図10】スキージによりスキージングを行う際の様子を示した図2に対応する図である。
【図11】スキージによりスキージングを行う際の様子を示した図5に対応する図である。
【図12】スキージによりスキージングを行う際の適切な条件を説明するための図である。
【図13】スキージによりスキージングを行う際の適切な条件を説明するための図である。
【図14】スキージングが完了した後の様子を示した図4に対応する図である。
【図15】スキージングが完了した後の様子を示した図5に対応する図である。
【図16】上型を除去する際の様子を示した図4に対応する図である。
【図17】上型を除去する際の様子を示した図5に対応する図である。
【図18】下型を除去する際の様子を示した図4に対応する図である。
【図19】下型を除去する際の様子を示した図5に対応する図である。
【図20】焼成用トレイ上に載置された、完成したセラミック成形体を示した図である。
【図21】加工用台上でセラミック焼成体の端面が加工される際の様子を示した図である。
【図22】加工用台上でセラミック焼成体の上面が加工される際の様子を示した図である。
【図23】焼成用トレイ上に載置された、完成したセラミック部材を示した図である。
【図24】セラミック焼成体に対して加工が施されることによる断面形状の変化を示した図である。
【図25】セラミック焼成体に対して加工が施されることによる断面形状の変化の他の例を示した図である。
【図26】図25(a)に示した断面形状を有するセラミック成形体を焼成用トレイに載置した様子を示した図である。
【図27】セラミックスラリー投入後且つスキージング前において成形空間内のエア溜りのエア抜きを行う場合に使用される成形型の一例を示した図である。
【図28】セラミックスラリー投入後且つスキージング前において成形空間内のエア溜りのエア抜きを行う場合に使用される成形型の他の例を示した図である。
【図29】1列に整列して配置された同形の複数のセラミック焼成体からなり、且つ、隣接するセラミック焼成体同士が棒状の連結部により連結された「セラミック焼成体の集合体」を示した図である。
【図30】「セラミック焼成体の集合体」の連結部が加工により除去される様子を示したセラミック焼成体の断面図である。
【図31】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、アスペクト比が大きい形状を有する部材として使用された一例を示した図である。
【図32】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタを構成する、オス部材及びメス部材として使用された一例を示した図である。
【図33】図32に示したオス部材の斜視図である。
【図34】図32に示したメス部材の斜視図である。
【図35】図32に示したオス部材及びメス部材を嵌合した状態を示した図である。
【図36】図32に示したオス部材においてその上面の形状を変更した場合を示した図である。
【図37】図32に示したメス部材においてその下面の形状を変更した場合を示した図である。
【図38】図32に示したオス部材において側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図39】図32に示したメス部材において内側側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図40】図32に示したオス部材においてその断面形状を変更した場合における図32に対応する図である。
【図41】図40に示したオス部材の斜視図である。
【図42】図40に示したオス部材及びメス部材を嵌合した状態を示した図である。
【図43】図40に示したオス部材においてその上面の形状を変更した場合を示した図である。
【図44】図40に示したオス部材において側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図45】図32に示したオス部材に相当する部材のみでプリント基板間のコネクタを構成する場合における図32に対応する図である。
【図46】図45に示した部材の斜視図である。
【図47】図45に示した部材においてその上下面の形状を変更した場合を示した図である。
【図48】図45に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を一対の導体パターンから一対の金属部材に変更した場合における図45に対応する図である。
【図49】図48に示した金属部材が嵌め込まれた状態の部材の斜視図である。
【図50】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタであってプリント基板の端部に使用されるものとして使用された一例を示した図である。
【図51】図50に示した端面スペーサの斜視図である。
【図52】図50に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を導体パターンからフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)に変更した場合における図50に対応する図である。
【符号の説明】
【0111】
10…セラミック部材体、20…成形型、20A…上型、20B…下型、21…成形面、30…スキージ、B…セラミック焼成体、F…セラミック成形体、Pin…開口、Q…成形空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック部材を使用して構成される基板間電気接続体、及び、そのセラミック部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対向する2つのプリント基板間を電気的に接続する基板間電気接続体(コネクタ)が知られている。基板間電気接続体は、プリント基板間の電気的接続を確保する機能と、プリント基板同士を所定の間隔をもって互いに固定する機能とを併せ持つ。一般に、係る基板間電気接続体として、ナイロン等のプラスチック製のプラスチック部材の表面に金属導体を配設してなるコネクタが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−344418号公報
【発明の開示】
【0003】
近年、携帯端末等の電子機器の小型化により、各プリント基板の小型化、対向する2つのプリント基板の省スペース化等が要求されている。これに伴い、基板間電気接続体においても、小型化等が要求されてきている。
【0004】
しかしながら、上述したプラスチック部材を使用した基板間電気接続体は、機械的な強度が比較的低いことから、小型化し難いという問題があった。更には、耐熱性に優れないという問題もあった。
【0005】
本発明は、係る問題に対処するためになされたものであり、その目的は、機械的な強度が高く且つ耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することにある。
【0006】
本発明に係る基板間電気接続体は、セラミックからなる絶縁体であるセラミック部材と、前記セラミック部材の表面に配設された導体からなる導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記2つの基板の他方に接触する第2部分とを有するとともに前記第1部分と前記第2部分とが繋がっている導体部とを備えている。
【0007】
これによれば、基板間電気接続体の基体(絶縁体)としてセラミック部材が使用されるから、基板間電気接続体の機械的な強度を高くすることができる。この結果、基板間電気接続体を小型化できる。また、セラミック部材は耐熱性に優れるから、耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することができる。
【0008】
上記本発明に係る基板間電気接続体において、前記導体部は、前記セラミック部材の表面に形成された導体パターンであってもよい。また、前記導体部は、前記セラミック部材の表面に固定された金属からなる金属部材であってもよい。この場合、前記金属部材は、前記セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に固定されることが好適である。
【0009】
また、前記セラミック部材は、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記導体部は、前記セラミック部材の表面における前記長手方向についての複数個所にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る基板間電気接続体は、オス側嵌合面を有する絶縁体であるオス部材と、前記オス部材の表面に配設された導体からなるオス側導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記オス側嵌合面に配設されたオス側嵌合部分とを有するとともに前記第1部分と前記オス側嵌合部分とが繋がっているオス側導体部と、前記オス側嵌合面と嵌合するメス側嵌合面を有する絶縁体であるメス部材と、前記メス部材の表面に配設された導体からなるメス側導体部であって、前記2つの基板の他方に接触する第2部分と前記メス側嵌合面に配設されたメス側嵌合部分とを有するとともに前記第2部分と前記メス側嵌合部分とが繋がっているメス側導体部とを備え、前記オス部材と前記メス部材の何れか一方又は両方がセラミックからなる絶縁体であるセラミック部材であり、前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とが嵌合した状態において前記オス側嵌合部分と前記メス側嵌合部分とが接触するように構成され、前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とを嵌合して前記第1部分と前記第2部分とが電気的に繋がった状態にて使用されるものであってもよい。
【0011】
これによっても、上記と同様、基板間電気接続体の基体(絶縁体)としてセラミック部材が使用されるから、基板間電気接続体を小型化でき、且つ、耐熱性に優れる基板間電気接続体を提供することができる。
【0012】
この場合、前記オス側導体部及び前記メス側導体部は、それぞれ、前記オス部材及び前記メス部材の表面に形成された導体パターンであってもよい。この場合、前記オス側嵌合部分及び前記メス側嵌合部分のうち前記セラミック部材の表面に配設された嵌合部分に対応する前記導体パターンは、前記オス側嵌合面及び前記メス側嵌合面のうち前記セラミック部材が有する嵌合面に設けられた凸部の表面に形成されることが好適である。
【0013】
また、前記オス部材及び前記メス部材はそれぞれ、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記オス側導体部は、前記オス部材の表面における前記オス部材の長手方向についての複数個所にそれぞれ配設され、前記メス側導体部は、前記メス部材の表面における前記メス部材の長手方向についての複数個所であってそれぞれの個所が前記オス部材の長手方向についての前記複数個所のそれぞれと対応する複数個所にそれぞれ配設されることが好ましい。
【0014】
本発明に係る、上述した基板間電気接続体に使用されるセラミック部材の製造方法は、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、成形型を利用して成形し、セラミック成形体を得る成形工程と、前記得られたセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を得る焼成工程と、前記得られたセラミック焼成体に、前記セラミック焼成体の表面において機械加工が施されていない部分が残存するように前記機械加工を施して前記セラミック部材を得る加工工程とを含む。
【0015】
これにより、外表面において機械加工が施されていない部分(即ち、成形型の成形面によるスラリーの成形のみにより外形状が決定される部分)が残存するセラミック部材が得られる。このように、外表面において機械加工が施す必要がない部分が存在するのは、前記セラミック成形体の寸法精度が優れることに基づく。このようなセラミック部材では、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。従って、信頼性の高いセラミック部材を得ることができる。
【0016】
この方法により製造される前記セラミック部材は、絶縁体であるセラミックの焼成体から構成される。前記セラミック部材は、例えば、アルミナ、ムライト、スピネル、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムを主成分とする材質から構成される。特に、前記セラミック部材は、破壊靱性に優れるジルコニア質の焼結体から構成されることが好ましい。
【0017】
前記セラミック部材の製造方法は、製造されるセラミック部材において所定の寸法精度と所定の機械的な強度とが得られる限りにおいて、特に限定されない。例えば、前記成形工程として、射出成形法、粉末プレス法、鋳込み法、ゲルキャスト法等が採用され得る。特に、量産性と寸法精度の点で優れるゲルキャスト法を採用することが好ましい。これらの成形法を用いて得られたセラミック成形体が焼成されてセラミック焼成体が得られ、得られたセラミック焼成体の表面の一部に対して必要に応じて機械加工が施されてセラミック部材が得られる。その後、セラミック部材の表面に、導体部(電極)としての導体パターンが、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成される。或いは、セラミック部材の表面に、導体部(電極)としての金属部材が固定される(嵌め込まれる)。これにより、基板間電気接続体が完成する。
【0018】
以下、本発明に係るセラミック部材の製造方法について詳細に説明する。セラミック成形体(焼成前)の製造方法の1つとして、所謂ゲルキャスト法がある。この方法は、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを成形空間(スラリーを充填して成形するための空間、所望のセラミック成形体と同形の空間)に注型し成形・固化して、セラミック成形体を得る方法である。
【0019】
ゲルキャスト法では、成形型の成形空間に充填されたセラミックスラリーは、主としてゲル化反応により固化される。ゲル化反応として特にウレタン反応が利用される場合、隣接するウレタン樹脂の分子間において、各ウレタン樹脂分子内にそれぞれ存在するウレタン基同士を連結するように架橋が生じる。この架橋により、ウレタン樹脂分子間では強固なネットワークが形成され得る。この結果、ゲル化反応(ウレタン反応)により固化して得られたセラミック成形体を乾燥させて内部に残存する分散媒(溶媒)成分を揮発除去させても、セラミック成形体内においてウレタン樹脂分子の分子間距離が縮まり難い。
【0020】
即ち、ゲルキャスト法により形成されたセラミック成形体は、乾燥による収縮が発生し難いという性質を有する。従って、寸法精度がよいセラミック成形体が得られる。従って、特に、厚さが比較的大きいセラミック成形体を形成しても、乾燥によるクラック(割れ)が発生し難い。
【0021】
一般に、ゲルキャスト法では、成形空間が密閉された閉空間とされた状態にてセラミックスラリーが固化・乾燥される場合が多かった。この場合、分散媒(溶媒)成分が揮発除去され難いことから、固化・乾燥の進行速度が遅い。従って、セラミック成形体がハンドリングされ得る程度(セラミック成形体を手、治具等を使用して掴んだり取り上げたりした場合にセラミック成形体が容易に破損しない程度)まで固化・乾燥が進行するのに比較的長時間を要することがあった。
【0022】
この問題に対処するためには、成形型としてその上面(平面)にて成形空間に通じる開口(セラミックスラリーを投入するための穴)が形成された形式のものを使用することが好ましいと考えられる。成形型において、成形空間の上面は、前記開口と一致していても一致していなくてもよい。これにより、上記開口を通じて分散媒(溶媒)成分が揮発除去され得る。従って、固化・乾燥の進行速度が速くなってセラミック成形体の生産性を向上させることができる。
【0023】
ところで、成形型としてその上面(平面)にて成形空間に通じる開口が形成された形式のものを使用して、ゲルキャスト法によりセラミック成形体を得る場合、開口から投入されたセラミックスラリーは、重力の作用により下方に落下しながら成形空間内に進入していく。ここで、ゲル化剤を含むセラミックスラリーの粘度は比較的大きい。従って、成形空間の深さが大きい場合、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得ない場合が発生し得る。より具体的には、成形空間内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が発生し得る。
【0024】
このようにセラミックスラリーが成形空間内に確実に充填されないと、得られるセラミック成形体の外形状において成形空間の形状と一致しない部分が生じるという問題が発生する。
【0025】
本発明に係るセラミック部材の成形体(焼成前)の製造方法では、前記成形型として、上面にて成形空間に通じる開口が形成された成形型が使用され、前記成形工程が、前記セラミックスラリーを、その一部が前記成形型の前記開口から溢れて前記成形型の前記上面(平面)から上方に盛り上がるように、前記開口を通して前記成形型の前記成形空間に投入する投入工程と、スキージを前記成形型の前記上面に沿うように移動させることで、前記セラミックスラリーのうちで前記上面から上方に盛り上がっている部分を除去するとともに前記セラミックスラリーを前記成形空間に充填するスキージング工程と、前記成形空間に充填されたセラミックスラリーをゲル化反応により固化する固化工程と、前記固化により形成された成形体から前記成形型を取り除いて前記セラミック成形体を得る離型工程と、を含んでいる。
【0026】
ここにおいて、前記セラミックスラリーとして、ゲル化反応としてのウレタン反応が発生する成分(例えば、イソシアネート及びポリオール等)を含んだものが使用されることが好ましい。この場合、前記セラミックスラリーは、セラミック粉体と、イソシアネートと、ポリオールと、溶媒と、(ウレタン反応により生成されたバインダとしてのウレタン樹脂と)を含む、と記載することもできる。また、前記固化工程では、固化により形成された成形体を乾燥する工程が含まれてもよい。また、スキージとして、ゴム製、或いは金属製のものが使用されることが好適である。
【0027】
上記構成によれば、投入工程において、成形型の開口から投入されたセラミックスラリーの一部がその開口から溢れて成形型の上面(平面)から上方に盛り上がるまで、セラミックスラリーの投入が継続される。次いで、スキージング工程において、スキージ(の先端)を成形型の上面(平面)に沿うように移動させることで、セラミックスラリーのうちで成形型の上面から上方に盛り上がっている部分が除去される。このとき、セラミックスラリーのうちで成形型の(開口の下方であって)開口近傍に存在している部分(スキージにより除去されなかった部分)に対して下向きの力が加わる。以下、この下向きの力を「スキージングによる下方力」と称呼する。また、このようなスキージング工程を含む成形工程を有するセラミック成形体の製造方法を「ゲルスキージング法」と呼ぶこともある。
【0028】
このスキージングによる下方力は、成形空間内においてセラミックスラリーを隅々まで行き渡らせる力として作用し得る。この結果、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得る。より具体的には、成形空間内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が消滅し得る。換言すれば、重力によりセラミックスラリーが成形空間内に進入していく作用をスキージングによる下方力がアシストすることで、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得る。
【0029】
このように、ゲルスキージング法によれば、セラミックスラリーが成形空間内に確実に充填され得ることで、その後の固化工程及び離型工程を経て得られるセラミック成形体(焼成前)は、成形空間の形状に対応する高精度な外形状を有する。加えて、上述したように、固化(・乾燥)工程において、上記開口を通じて分散媒(溶媒)成分が揮発除去され得る。従って、固化・乾燥の進行速度が速くなってセラミック成形体の生産性を向上させることができる。
【0030】
ゲルスキージング法において、前記投入工程の前に、前記成形空間を画定する前記成形型の成形面に、前記離型工程にて前記セラミック成形体を前記成形面から引き離し易くするための離型剤を塗布する塗布工程が含まれる場合において、前記成形型の成形面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.2μm〜0.8μmであり、前記離型剤としてフッ素樹脂が使用されることが好適である。
【0031】
ゲルスキージング法において、離型剤としてフッ素樹脂が使用される場合、成形型の成形面の表面粗さが算術平均粗さRa(JIS
B0601:2001)で0.2μm〜0.8μmに調整されていると、離型工程においてセラミック成形体から成形型を取り除く(セラミック成形体を成形面から引き離す)ために要する力(以下、「離型力」とも称呼する。)が十分に小さくなることが判明した。換言すれば、ゲルスキージング法の場合、粉末プレス用成形型の場合のように成形面に対して鏡面仕上げを施すことなく、セラミック成形体の外表面を破損することなしでセラミック成形体から成形型を容易に取り除くことができることが判明した。
【0032】
加えて、成形型を、上下方向に分割された複数の型を上下方向に積層して構成することで、比較的複雑な3次元形状の成形空間を得ることができる。これにより、粉体プレス成形では実現が困難な次元形状のセラミック成形体を得ることも可能である。
【0033】
また、ゲルスキージング法においては、前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に、前記成形空間内の下方部分であって前記セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を前記成形空間外に排気する空気抜き工程を含むことが好適である。ここにおいて、セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を成形空間外に排気する機構としては、前記成形空間内の下方部分と連通する排気経路を有する機構、又は、排気経路に接続されたバキュームポンプが備えられた機構等が採用され得る。
【0034】
これによれば、前記残存空気を成形空間外に排気することで、スキージング工程前において成形空間内の下方部分であってセラミックスラリーが進入していない領域をより狭めることができる。この結果、スキージング工程後においてセラミックスラリーを成形空間内により一層確実に充填することができる。なお、前記空気抜き工程として、前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に成形型を振動させて前記残存空気を成形空間外に排気する工程を採用することもできる。
【0035】
また、ゲルスキージング法における前記スキージング工程において、前記スキージの先端と前記成形型の前記上面との間の上下方向における隙間が50μm〜500μmに調整された状態で、前記スキージが移動させられることが好適である。
【0036】
これによれば、セラミックスラリーが成形空間内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において上記開口に対応する面(セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。これは、前記隙間を50μm〜500μmに調整することで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0037】
また、前記スキージング工程において、平板状の前記スキージが採用される場合、スキージの平面が前記スキージの移動方向に対して垂直になる状態から前記スキージが前記移動方向における前側又は後側に20°〜70°だけ傾いた状態で、前記スキージが移動させられることが好適である。
【0038】
これによっても、セラミックスラリーが成形空間内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において上記開口に対応する面(セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。上記と同様、これも、スキージを上記のように傾けることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0039】
また、前記成形工程において、前記成形型に同形の複数の前記成形空間を形成しておき、それぞれの成形空間に前記セラミックスラリーを投入・充填することで、前記製造方法の1回の実行により同形の複数の前記セラミック成形体を得るように構成することが好適である。これにより、同形のセラミック成形体を大量生産する場合、生産効率を高めることができる。
【0040】
また、上述のように、前記成形工程の1回の実行により同形の複数のセラミック成形体を得る場合において、前記成形型が、前記同形の複数の成形空間が整列して配置されるとともに隣接する前記成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成されている場合、前記成形工程において、前記同形の複数のセラミック成形体からなるとともに隣接するセラミック成形体同士が連結部により連結されたセラミック成形体の集合体を得て、前記焼成工程において、前記得られたセラミック成形体の集合体を焼成して、前記同形の複数のセラミック焼成体からなるとともに隣接するセラミック焼成体同士が前記連結部により連結されたセラミック焼成体の集合体を得て、前記加工工程において、前記得られたセラミック焼成体の集合体に、前記連結部が除去されるように且つ前記各セラミック焼成体の表面において前記機械加工(切削、研削等)が施されていない部分が残存するように機械加工を施して、それぞれが別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材を得ることができる。
【0041】
これによれば、同形の複数のセラミック焼成体からなる「セラミック焼成体の集合体」において、隣接するセラミック焼成体同士が連結部により連結されている。従って、隣接するセラミック焼成体同士の位置関係が変化し難い。このため、「セラミック焼成体の集合体」に対して機械加工を施す際の作業が行い易くなる。より具体的には、別個独立に分離された同形の複数のセラミック成形体のそれぞれを焼成して得られる別個独立に分離された同形の複数のセラミック焼成体に対して機械加工を施す場合に比して、機械加工を施す際の作業が行い易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るセラミック成形体(焼成前)、及び、セラミック部材(焼成後)の製造方法について説明する。
【0043】
図1は、本発明の実施形態に係るゲルスキージング法を利用したセラミック部材10の製造方法により製造されたセラミック部材10の斜視図である。このセラミック部材10は、断面が四隅に対して面取りされた正方形形状を有する長棒形状を呈している。このセラミック部材10は、後述するように、種々のスペーサ、コネクタ等の部材として広く利用され得る。
【0044】
以下、本発明によるセラミック部材10の製造方法の実施形態について、図2〜図23を参照しながら説明する。先ず、この製造方法に使用される成形型について図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、セラミック部材10の製造に使用される成形型20、及びスキージ30の概略斜視図であり、図3は、成形型20の平面図(上面図)であり、図4、及び図5はそれぞれ、図3の4−4線、及び5−5−線に沿って成形型20を切断した成形型20の縦断面図である。図2〜図5に示すように、この成形型20を利用すれば、5個の同形のセラミック成形体を同時に形成することができる。なお、この「5個」は単なる例示であり、5個とは異なる複数個のセラミック成形体を同時に形成する成形型を使用してもよい。
【0045】
成形型20は、金属、セラミック、樹脂、セッコウ等の何れかの材質からなり、上型20A及び下型20Bとから構成される。下型20B及び上型20Aがこの順に下から積層・固定された状態(即ち、成形型20が組まれた状態)において、成形型20の内部には、成形面21で画定される成形空間Q(スラリーを充填して成形するための空間、所望のセラミック成形体と同形の空間、5か所)が、1列に整列して配置・形成される。
【0046】
成形型20の上面(即ち、上型20Aの上面、平面)には、各成形空間Qにそれぞれ通じる開口Pin(5か所)が、1列に整列して配置・形成されている。成形空間Qの上面は、対応する開口Pinと一致している。後述のように作成されるセラミックスラリーは、開口Pin(5か所)から成形型20の成形空間Q(5か所)にそれぞれ投入・充填されるようになっている。
【0047】
スキージ30は、ゴム製、或いは金属製であり、平面形状が長方形、或いは正方形の板状(平板状)を呈している。スキージ30は、図示しない駆動機構により、成形型20の上面(即ち、上型20Aの上面)に沿うように、所定の速度(一定でも可変でもよい)をもって成形型20の長手方向(Z軸方向)に移動可能となっている(矢印を参照)。以下、このようにスキージ30を成形型20の上面に沿うように移動させることを「スキージング」とも称呼する。
【0048】
次に、セラミック部材10の具体的な製造方法について説明する。
(離型剤塗布)
先ず、上型20Aと下型20Bとが分離した状態で、上型20A及び下型20Bのそれぞれの成形面21(即ち、セラミックスラリーが接触する面)に、離型剤として、フッ素樹脂を有機溶剤で分散させたものを塗布する。塗布後、有機溶剤は直ちに揮発し、この結果、上型20A及び下型20Bのそれぞれの成形面21にはフッ素樹脂が固着される。これにより、その後におけるセラミック成形体の離型性を安定して高めることができる。離型剤の塗布は、スプレー法、ディッピング法等を用いて行う。
【0049】
(成形型組み立て)
次に、成形型20を組み立てる。図6、図7に示すように、下型20Bの上面(平面)と上型20Aの下面(平面)とを合わせるように、下型20Bの上に上型20Aを載せる(積層する)。その後、公知の手法の1つにより、上型20Aと下型20Bとを一体に固定する。これにより、成形型20の組み立てが完了する(図4、及び図5に示した状態を参照)。
【0050】
(セラミックスラリーの調製)
次に、セラミック粉体、分散媒、ポリオール、分散剤、ゲル化剤、及び触媒を含むセラミックスラリーの調製を行う。本例では、セラミック粉体(アルミナ粉末)として、アルミナ100重量部、分散媒として、多塩基酸エステル29重量部、ポリオールとして、ポリビニルブチラール0.8重量部、分散剤として、ポリカルボン共重合体3重量部、ゲル化剤として、ジフェニルメタンジイソシアネート4.2重量部、触媒として、アミン系触媒0.2重量部、を混合したものをセラミックスラリーとして使用した。
【0051】
ジフェニルメタンジイソシアネート及びポリビニルブチラール(即ち、ポリオール)は、ウレタン反応により後にウレタン樹脂(ポリウレタン)となり、後に有機バインダとして機能する。上述のように、ウレタン樹脂分子間では、架橋により、強固なネットワークが形成され得る。この結果、乾燥による収縮が発生し難くなる。
【0052】
また、このように有機バインダとしてウレタン樹脂が使用される場合、セラミックスラリーの調製のために混合される物質を、セラミック粉体と、イソシアネートと、ポリオールと、溶媒と、分散剤と、触媒とに分類することができる。この場合、セラミック粉体として使用されるセラミック材料としては、酸化物系セラミックが使用されてもよいし、非酸化物系セラミックが使用されてもよい。また、誘電体材料、磁性体材料であってもよい。例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、ガラスパウダー等が使用され得る。これらの材料は、1種類単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用され得る。また、スラリーを調整・作製可能な限りにおいて、セラミック材料の粒子径は特に限定されない。
【0053】
イソシアネートとしては、イソシアネート基を官能基として有する物質であれば特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、或いは、これらの変性体等が使用され得る。なお、分子内おいて、イソシアネート基以外の反応性官能基が含有されていてもよく、更には、ポリイソシアネートのように、反応性官能基が多数含有されていてもよい。
【0054】
ポリオールとしては、イソシアネート基と反応し得る官能基、例えば、水酸基、アミノ基等を有する物質であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリヘキサメチレングリコール(PHMG)、ポリビニルブチラール(PVB)等が使用され得る。
【0055】
溶媒としては、分散剤、イソシアネート、ポリオール、及び触媒を溶解するものであれば、特に限定されない。例えば、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン等)等の、2以上のエステル結合を有する溶剤を使用することが望ましい。
【0056】
分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩等を使用することが望ましい。この分散剤を添加することで、成形前のスラリーを、低粘度とし、且つ高い流動性を有するものとすることができる。
【0057】
触媒としては、ウレタン反応を促進させる物質であれば特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール等が使用され得る。
【0058】
(セラミックスラリーの投入)
次に、セラミックスラリーを成形型20へ投入する。この投入は、上記セラミックスラリーの調製後、直ちに開始される。上述したように、セラミックスラリーは、開口Pin(5か所)から投入される。投入されたセラミックスラリーは、重力の作用により下方に落下しながら各成形空間Q内にそれぞれ進入していく。
【0059】
図8、図9に示すように、このセラミックスラリーの投入は、セラミックスラリーの一部が全ての開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がった時点で完了する。なお、上述したように、本例で使用されるセラミックスラリーの粘度は比較的大きい。従って、セラミックスラリーの投入が完了した状態では、各成形空間Q内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が発生し得る。
【0060】
(スキージング)
次に、図10、及び図11に示すように、スキージ30を用いて上述したスキージングを行う。このスキージングにより、セラミックスラリーのうちで成形型20の上面から上方に盛り上がっている部分が除去される。このとき、セラミックスラリーのうちで成形型の(開口Pinの下方であって)開口Pin近傍に存在している部分(スキージ30により除去されなかった部分)に対して下向きの力(上述した「スキージングによる下方力」)が加わる。
【0061】
この「スキージングによる下方力」は、各成形空間Q内においてセラミックスラリーを隅々まで行き渡らせる力として作用し得る。この結果、上述したように各成形空間Q内の下方部分においてセラミックスラリーが進入しない(行き渡らない)領域が仮に発生していたとしても、この領域は、「スキージングによる下方力」の作用により消滅し得る。即ち、セラミックスラリーが各成形空間Q内に確実に充填され得る。
【0062】
ここで、スキージングの適切な条件について付言する。図12、及び図13に示すように、スキージ30の先端(下端)と成形型20の上面との間の上下方向における隙間をhとすると、隙間hが50μm〜500μmの或る値に調整された状態(隙間h一定)でスキージングが行われると、セラミックスラリーが成形空間Q内により安定して確実に充填され得、且つセラミック成形体において開口Pinに対応する面(即ち、セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られることが判明した。これは、隙間hがこの範囲内にあることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0063】
また、図12に示すように、スキージ30の平面がスキージ30の移動方向(Z軸方向)に対して垂直になる状態からスキージ30が移動方向における前側(Z軸負方向側)に20°〜70°の或る角度θだけ傾いた状態(角度θ一定)で、スキージングが行われると、セラミックスラリーが成形空間Q内により安定して確実に充填されることができる。
【0064】
図13に示すように、スキージ30の平面がスキージ30の移動方向(Z軸方向)に対して垂直になる状態からスキージ30が移動方向における後側(Z軸正方向側)に20°〜70°の或る角度θだけ傾いた状態(角度θ一定)で、スキージングが行われた場合、セラミック成形体において開口Pinに対応する面(即ち、セラミック成形体の上面)の平坦性が良好なものが得られる。これらのことも、角度θがこれらの範囲内にあることで、十分に大きい「スキージングによる下方力」が安定して作用することに起因すると考えられる。
【0065】
図14、及び図15は、スキージングが完了した状態を示す。この状態では、セラミックスラリーのうちで成形型20の上面から上方に盛り上がっている部分が除去されているとともに、「スキージングによる下方力」の作用により、セラミックスラリーが各成形空間Q内に確実に充填されている。
【0066】
(セラミックスラリーの固化)
次に、各成形空間Q内に充填されたセラミックスラリーを固化・乾燥する。セラミックスラリーの固化・乾燥は、所定時間に亘ってセラミックスラリーが充填された成形型20を室温雰囲気で放置することで行われてもよいし、所定時間に亘ってセラミックスラリーが充填された成形型20を加熱により室温雰囲気よりも高い所定温度に維持することで行われてもよいし、これらを組み合わせて行われてもよい。
【0067】
この工程では、主として、上述したウレタン反応によりセラミックスラリーが固化していく現象と、開口Pinを介して溶媒(分散媒)が揮発除去されていく現象とが発生する。このウレタン反応により、上述のように、ウレタン樹脂分子間において、架橋により強固なネットワークが形成され得る。この結果、溶媒(分散媒)が揮発除去されていっても(即ち、セラミック成形体の乾燥が進行していっても)、セラミック成形体が収縮し難い。従って、成形空間Qの深さ(厚さ)が比較的大きい場合(即ち、厚さの大きいセラミック成形体が形成される場合)であっても、セラミック成形体において乾燥によるクラック(割れ)が発生し難い。
【0068】
この工程により、同形の5つのセラミック成形体Fが形成される。加えて、開口Pinを通じて溶媒(分散媒)が外部へ揮発除去され得る。従って、この工程の進行速度が速くなってセラミック成形体Fの生産性を向上させることができる。
【0069】
(上型除去)
次に、図16、及び図17に示すように、図示しないスライダー等を利用して、上型20Aを上方へ引き上げる。このとき、上型20Aよりも下型20Bの方がセラミック成形体Fと接触している面積が大きくて上記「離型力」が大きいから、上型20Aのみがセラミック成形体Fから除去される。即ち、セラミック成形体Fは、下型20B側に付着・残存する。
【0070】
(下型除去)
次に、図18、及び図19に示すように、セラミック成形体Fが付着・残存する下型20Bを上下反転させて焼成用トレイ40の上に載置し、図示しないスライダー等を利用して、下型20Bを上方へ引き上げる。この結果、セラミック成形体Fは、重力の作用により下型20Bから離れる。セラミック成形体Fが下型20Bから離れ難い場合は、下型20Bに若干の振動を与えると好ましい。これにより、下型20Bが全てのセラミック成形体Fから除去される。即ち、図20に示すように、同形の5個のセラミック成形体Fを取り出すことができる。
【0071】
ここで、離型力について付言する。本例のように、離型剤としてフッ素樹脂が使用される場合、成形型20の成形面21の表面粗さが算術平均粗さRa(JIS
B0601:2001)で0.2μm〜0.8μmに調整されていると、離型力(セラミック成形体Fを上型20A及び下型20Bから引き離す際に要する力)が十分に小さくなることが判明している。換言すれば、セラミック成形体Fの外表面を破損することなくセラミック成形体Fから成形型20を容易に取り除くために、粉末プレス用成形型の場合のように成形面に対して鏡面仕上げを施す必要がない。
【0072】
(焼成)
次に、上述のように得られた5個のセラミック成形体Fの焼成を行う。この焼成は、図20に示すように、5個のセラミック成形体Fが載置された焼成用トレイ40を、所定の焼成炉に入れて、焼成炉内を所定時間に亘って所定温度に維持することで行う。これにより、同形の5個のセラミック焼成体Bが得られる。
【0073】
(加工)
次に、上述のように得られた5個のセラミック焼成体Bの加工を行う。この加工は、図21、及び図22に示すように、5個のセラミック焼成体Bを加工用台50の上に載置した状態で、グラインダG等を用いて行われる。この例では、セラミック焼成体Bにおける両端面、並びに、開口Pinに対応する側面が研削されることで、セラミック焼成体Bが所望の形状になるように加工される。即ち、セラミック焼成体Bのその他の表面(具体的には、開口Pinに対応する側面以外の残りの3つの側面、及び、四隅の面取り面)には加工が施されない。この結果、図23に示すように、同形の5個のセラミック部材10が完成する。
【0074】
このように、セラミック部材10の表面には、加工が施されていない部分(即ち、成形型20の成形面21によるスラリーの成形のみにより外形状が決定される部分)が残存している。従って、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。従って、セラミック部材10の信頼性を高めることができる。
【0075】
以上、説明したように、本発明によるセラミック成形体Fの製造方法の実施形態によれば、上面にて成形空間Qに通じる開口Pinが形成された成形型20の開口Pinから、セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを投入する。この投入は、セラミックスラリーの一部が開口Pinから溢れて成形型20の上面から上方に盛り上がるまで継続される。次いで、スキージ30を成形型20の上面に沿うように移動させる。これにより、セラミックスラリーのうちで上面から上方に盛り上がっている部分が除去されることに加え、上記「スキージングによる下方力」の作用によりセラミックスラリーが成形空間Qに確実に充填される。そして、充填されたセラミックスラリーが固化・乾燥され、固化により形成された成形体から成形型20を取り除くことでセラミック成形体Fが得られる。
【0076】
上記実施形態によれば、上記「スキージングによる下方力」の作用により、投入されたセラミックスラリーが成形空間Q内に確実に充填され得る。この結果、成形空間Qの形状に対応する高精度な外形状を有するセラミック成形体Fを得ることができる。加えて、開口Pinを通じて溶媒(分散媒)が上方に向けて外部へ揮発除去され得るから、セラミックスラリーの固化・乾燥の進行速度が速くなり、この結果、セラミック成形体Fの生産性を向上させることができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態においては、図24(a)に示す断面形状を有するセラミック焼成体B(未加工)に対して、図24(b)に示すように、開口Pinに対応する側面(図中の上面)を研削することで、図24(c)に示す断面形状を有するセラミック部材10が得られている。これに対し、開口Pinに対応する側面と反対側の面(図中の下面)を先に研削しておき、その後に、開口Pinに対応する側面(図中の上面)を研削してもよい。これにより、図中の上下方向の寸法精度(形状精度)をより一層高めることができる。
【0078】
また、図25(a)に示す断面形状を有するセラミック焼成体Bを作製しておき、図25(b)に示すように、図中の上下面をそれぞれ研削することで、図25(c)に示す断面形状を有するセラミック部材10を得てもよい。これによっても、上記実施形態に比して、図中の上下方向の寸法精度(形状精度)をより一層高めることができる。更には、図25(a)に示す断面形状を有するセラミック成形体Fを焼成用トレイ40に載置する場合、図26に示すように、トレイ40に接触する面積を小さくすることができる。この結果、焼成後において、セラミック焼成体Bがトレイ40に固着して焼成体Bからトレイ40を取り除くことが困難になる事態の発生が抑制され得る。
【0079】
また、図27に示すように、上記実施形態における下型20Bにおいて底面に対応する部分を分離して底型20Cとしてもよい。この場合、下型20Bの下面と底型20Cの上面との合わせ部に形成される微小隙間(例えば、形状公差に相当する程度の微小隙間)から成形空間Qのエアを自然に排気できるように構成してもよく、或いは、この微小隙間を図示しないバキュームポンプに接続し、成形空間Q内のエアを排気できるように構成してもよい。これによれば、セラミックスラリー投入後且つスキージング前において、成形空間Q内の下方部分であってセラミックスラリーが進入していない領域(エア溜り)に残存している空気を成形空間Q外に排気(エア抜き)することができる。
【0080】
このようにエア溜りに残存している空気を成形空間Q外に排気することで、スキージング前においてエア溜りをより狭めることができる。この結果、スキージング後においてセラミックスラリーを成形空間Q内により一層確実に充填することができる。
【0081】
図28は、図27に示した成形型において上型20Aと下型20Bとを一体化したものを示している。これによっても、図27に示した成形型と同様、エア溜りに残存している空気を成形空間Q外に吸引することができ、同様の作用効果が奏され得る。
【0082】
また、図29(a)は、1列に整列して配置された同形の複数のセラミック焼成体Bからなり、且つ、隣接するセラミック焼成体B同士が棒状の連結部Zにより連結された「セラミック焼成体の集合体」を示している。このような焼成体の集合体(従って、成形体の集合体)は、成形型を、同形の複数の成形空間が1列に整列して配置されるとともに隣接する成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成することで、得ることができる。
【0083】
図29(b)は、図29(a)に示したセラミック焼成体の集合体の上面をグラインダGで研削して、連結部Zを除去し、且つ、各セラミック焼成体Bの上面を加工する様子を示している。図30(a)(b)はそれぞれ、図29(a)(b)に示す状態に対応する縦断面図である。これにより、別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材10を得ることができる。なお、これらのセラミック部材10の表面には、機械加工が施されていない部分が残存する。
【0084】
このように「セラミック焼成体の集合体」では、隣接するセラミック焼成体B同士が連結部Zにより連結されている。従って、隣接するセラミック焼成体B同士の位置関係が変化し難い。このため、「セラミック焼成体の集合体」に対して研削等の機械加工を施す際の作業が行い易くなる。換言すれば、別個独立に分離された同形の複数のセラミック成形体のそれぞれを焼成して得られる別個独立に分離された同形の複数のセラミック焼成体に対して機械加工を施す場合に比して、機械加工を施す際の作業が行い易くなる。
【0085】
以下、ゲルスキージング法により得られるセラミック部材(焼成後且つ加工後)の利用例について付言する。ゲルスキージング法により形成されるセラミック成形体(焼成前)を焼成して得られるセラミック焼成体は、他の製造方法により得られるものと比べて寸法精度に優れる。このため、本発明に係る製造方法により得られるセラミック部材の表面には、機械加工が施されていない部分が残存してもよい。従って、上述のように、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、機械加工に起因する残留応力及びマイクロクラックの発生が少ない。この結果、セラミック部材の信頼性を高めることができる。
【0086】
図31は、本発明に係る製造方法により作製されたアスペクト比(主要な縦断面形状における縦の長さに対する横の長さの割合)が大きいセラミックス部材の一例を示している。従来の粉末プレス法では、このようなアスペクト比が大きい形状を有するセラミック部材を作製することが困難であった。これに対し、本発明に係る製造方法では、アスペクト比が大きいセラミックス部材の作製が可能となった。即ち、本発明に係る製造方法により、基板間電気接続体に用いられるセラミック部材の製造の量産性は大きく改善され得る。
【0087】
図32〜図52は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタとして使用された種々の例を示している。
【0088】
図32〜図35は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、基板間電気接続体(コネクタ)を構成する、オス部材C1及びメス部材C2として使用された一例を示している。オス部材C1及びメス部材C2は、図35に示すように嵌合されて使用される。
【0089】
図33に示すように、オス部材C1は、断面が長方形状の長棒形状を呈している。オス部材C1の表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA1,A1が、オス部材C1の長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA1,A1の各パターンA1は、上面における側面(嵌合面、平面)近傍部分から側面(嵌合面)を通り下面における側面(嵌合面)近傍部分までに亘って形成されている。オス部材C1の上面は、プリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA1,A1における上面に形成された部分はそれぞれ、プリント基板側に形成されたパッドに接触する。これにより、導体パターンA1,A1とプリント基板との電気的接続が確保される。また、導体パターンA1,A1をプリント基板側に形成されたパッドに半田付けしてもよい。
【0090】
図34に示すように、メス部材C2は、断面がU字状の長棒形状を呈している。メス部材C2の表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA2,A2が、メス部材C2の長手方向においてオス部材C1の導体パターンA1,A1に対応する位置に所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA2,A2の各パターンA2は、内側側面(嵌合面、平面)の下端から内側側面(嵌合面)、上面、外側側面を順に通り下面における外側側面(嵌合面)近傍部分までに亘って形成されている。メス部材C2の下面は、プリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA2,A2における下面に形成された部分はそれぞれ、プリント基板側に形成されたパッドに接触する。これにより、導体パターンA2,A2とプリント基板との電気的接続が確保される。また、導体パターンA2,A2をプリント基板側に形成されたパッドに半田付けしてもよい。
【0091】
上述したように、オス部材C1及びメス部材C2は、図35に示すように嵌合される。この状態では、嵌合面において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士が接触する。この結果、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、嵌合面にてオス部材C1及びメス部材C2が確実に嵌合されることで、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。
【0092】
図32〜図35に示した構成によれば、プリント基板間のコネクタの小型化且つ省スペース化が可能である。これは、上述したように、本発明に係る製造方法により得られるセラミック部材の機械的強度が非常に高いことにより達成される。
【0093】
また、オス部材C1及びメス部材C2の表面に印刷等により形成された導体パターンによりプリント基板間の電気的接続が確保されている。従って、電気回線の狭ピッチ化が可能である。
【0094】
なお、図32〜図35に示した構成では、オス部材C1とメス部材C2の両方がセラミック部材で構成された場合が示されているが、何れか一方のみが従来のプラスチック製のプラスチック部材で構成されてもよい。具体的には、オス部材C1が本発明に係るセラミック部材で構成され且つメス部材C2がプラスチック部材で構成されても良いし、オス部材C1がプラスチック部材で構成され且つメス部材C2が本発明に係るセラミック部材で構成されてもよい。
【0095】
図36は、図32に示すオス部材C1において、その上面を、図25(c)に示す上面の形状に変更した場合を示している。これにより、オス部材C1とプリント基板とを固定する半田がオス部材C1の上面の中央部分に向けて入り込む。この結果、オス部材C1とプリント基板とがより一層強固に固定され得る。
【0096】
図37は、図32に示すメス部材C2において、その下面を、図25(c)に示す下面の形状に変更した場合を示している。これにより、メス部材C2とプリント基板とを固定する半田がメス部材C2の下面の中央部分に向けて入り込む。この結果、メス部材C2とプリント基板とがより一層強固に固定され得る。図36に示すオス部材C1及び図37に示すメス部材C2が共に採用されてもよい。
【0097】
図38は、図32に示すオス部材C1において、側面(嵌合面)における導体パターンA1,A1の位置に対応する部分のみに凸部が設けられ、凸部の表面に導体パターンA1,A1が形成された場合を示している。係る凸部は、セラミック成形体の段階で形成しておくことが可能である。これにより、オス部材C1及びメス部材C2が嵌合された状態において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士がより確実に接触し得る。
【0098】
図39は、図32に示すメス部材C2において、内側側面(嵌合面)における導体パターンA2,A2の位置に対応する部分のみに凸部が設けられ、凸部の表面に導体パターンA2,A2が形成された場合を示している。これにより、オス部材C1及びメス部材C2が嵌合された状態において、対応する導体パターンA1,A1及び導体パターンA2,A2同士がより確実に接触し得る。図38に示すオス部材C1及び図39に示すメス部材C2が共に採用されてもよい。
【0099】
本発明に係るセラミック部材の製造方法によれば、成形型の成形空間を調整することにより、図32〜図39に示す形状を有するセラミック部材を作製することは容易である。また、本発明に係るセラミック部材の製造方法では、セラミック部材の寸法精度に優れる。このため、図38、及び図39に示す凸部の形状に対しても、特段の機械加工を施す必要がない。従って、セラミック部材の外形状の全てが機械加工により形成される場合に比して、セラミック部材の生産効率を高めることができる。
【0100】
図40〜図42は、図32〜図35に示した構成において、オス部材C1の断面形状を長方形形状からT字状に変更したものを示す。図40〜図42に示す構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。このように、長棒形状を有するオス部材C1及びメス部材C2の断面形状は、互いに嵌合し得る形状であれば、どのような形状であってもよい。図43は、図36に対応する構成を示し、図44は、図38に対応する構成を示す。
【0101】
図45〜図46は、図32に示したオス部材C1に相当する部材Cのみでプリント基板間のコネクタを構成する場合を示している。この場合、部材Cの表面には、左右一対の導体(金など)のパターンA,Aが、部材Cの長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、ペースト塗布、印刷、スパッタ法等により形成されている。各導体パターンA,Aの各パターンAは、上面における側面近傍部分から側面を通り下面における側面近傍部分までに亘って形成されている。部材Cの上下面は、それぞれのプリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンA,Aにおける上下面に形成されたそれぞれの部分は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。
【0102】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図45〜図46に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。図47は、図36に対応する構成を示す。
【0103】
図48〜図49は、図45〜図47に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を一対の導体パターンA,Aから一対の金属部材M,M(例えば、銅製)に変更したものを示す。各金属部材M,Mは、図45〜図47に示した導体パターンA,Aが形成されている位置に対応する位置に存在するように部材Cに嵌め込まれている。ここにおいて、金属部材Mは、セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に嵌め込まれるように構成することが好ましい。係る凹部は、セラミック成形体の段階で形成しておくことが可能である。各金属部材M,Mの上下の両端に形成された突起部が対応するプリント基板に差し込まれ、且つ、この突起部とプリント基板とが半田付け等により固定される。図48〜図49に示す構成によっても、図32〜図35に示した構成と略同様の作用・効果が奏され得る。
【0104】
図50〜図51は、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタであってプリント基板の端部に使用されるもの(端面スペーサS)として使用される一例を示している。この端面スペーサSも、プリント基板間の電気的接続を確保する機能と、プリント基板同士を所定の間隔をもって互いに固定する機能とを併せ持つ。
【0105】
図51に示すように、端面スペーサSは、断面がT字状の長棒形状を呈している。端面スペーサSの表面には、導体(金など)のパターンAが、端面スペーサSの長手方向において所定間隔をもって所定数だけ、印刷等により形成されている。各導体パターンAは、上側のプリント基板との合わせ面から内側側面を通り下側のプリント基板との合わせ面までに亘って形成されている。部材Cの上下の合わせ面は、それぞれのプリント基板に半田付け等により固定される。その際、導体パターンAにおける上下の合わせ面に形成されたそれぞれの部分は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。
【0106】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図50〜図51に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。
【0107】
図52は、図50〜図51に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を導体パターンAからフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)に変更したものを示す。FPCの上側端は、端面スペーサSの上面と上側のプリント基板との間に形成された隙間に挿入され、且つ、FPCの上側端と端面スペーサSの上面と上側のプリント基板とが半田付け等により固定される。同様に、FPCの下側端は、端面スペーサSの下面と下側のプリント基板との間に形成された隙間に挿入され、且つ、FPCの下側端と端面スペーサSの下面と下側のプリント基板とが半田付け等により固定される。その際、FPCの上側端及び下側端は、対応するプリント基板側に形成されたパッドにそれぞれ接触する。なお、図52では、FPCがプリント基板の外側になるように固定されているが、FPCがプリント基板の内側になるように固定されてもよい。
【0108】
これにより、プリント基板間の電気的接続が確保される。また、プリント基板同士が所定の間隔をもって互いに固定される。このように、図52に示した構成によっても、図32〜図35に示した構成と同じ作用・効果が奏され得る。特に、従来に比して、プリント基板間の接続の低背化が可能となる。
【0109】
以上、図32〜図52を参照しながら、本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタとして使用される場合を説明した。なお、図32〜図52に示したセラミック部材は、セラミックの焼成体(或いは、セラミックの焼成体に加工を施したもの)であるが、絶縁体であり且つセラミックの焼成体と同程度の機械的強度を有する材質であれば、どのような材質から構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施形態に係るゲルスキージング法を利用したセラミック部材の製造方法により製造されたセラミック部材の斜視図である。
【図2】セラミック成形体の製造に使用される成形型の斜視図である。
【図3】セラミック成形体の製造に使用される成形型の平面図である。
【図4】図3の4−4線に沿って成形型を切断した成形型の縦断面図である。
【図5】図3の5−5線に沿って成形型を切断した成形型の縦断面図である。
【図6】下型の上に上型を載せる際の様子を示した図4に対応する図である。
【図7】下型の上に上型を載せる際の様子を示した図5に対応する図である。
【図8】セラミックスラリーが成形型に投入された状態を示した図4に対応する図である。
【図9】セラミックスラリーが成形型に投入された状態を示した図5に対応する図である。
【図10】スキージによりスキージングを行う際の様子を示した図2に対応する図である。
【図11】スキージによりスキージングを行う際の様子を示した図5に対応する図である。
【図12】スキージによりスキージングを行う際の適切な条件を説明するための図である。
【図13】スキージによりスキージングを行う際の適切な条件を説明するための図である。
【図14】スキージングが完了した後の様子を示した図4に対応する図である。
【図15】スキージングが完了した後の様子を示した図5に対応する図である。
【図16】上型を除去する際の様子を示した図4に対応する図である。
【図17】上型を除去する際の様子を示した図5に対応する図である。
【図18】下型を除去する際の様子を示した図4に対応する図である。
【図19】下型を除去する際の様子を示した図5に対応する図である。
【図20】焼成用トレイ上に載置された、完成したセラミック成形体を示した図である。
【図21】加工用台上でセラミック焼成体の端面が加工される際の様子を示した図である。
【図22】加工用台上でセラミック焼成体の上面が加工される際の様子を示した図である。
【図23】焼成用トレイ上に載置された、完成したセラミック部材を示した図である。
【図24】セラミック焼成体に対して加工が施されることによる断面形状の変化を示した図である。
【図25】セラミック焼成体に対して加工が施されることによる断面形状の変化の他の例を示した図である。
【図26】図25(a)に示した断面形状を有するセラミック成形体を焼成用トレイに載置した様子を示した図である。
【図27】セラミックスラリー投入後且つスキージング前において成形空間内のエア溜りのエア抜きを行う場合に使用される成形型の一例を示した図である。
【図28】セラミックスラリー投入後且つスキージング前において成形空間内のエア溜りのエア抜きを行う場合に使用される成形型の他の例を示した図である。
【図29】1列に整列して配置された同形の複数のセラミック焼成体からなり、且つ、隣接するセラミック焼成体同士が棒状の連結部により連結された「セラミック焼成体の集合体」を示した図である。
【図30】「セラミック焼成体の集合体」の連結部が加工により除去される様子を示したセラミック焼成体の断面図である。
【図31】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、アスペクト比が大きい形状を有する部材として使用された一例を示した図である。
【図32】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタを構成する、オス部材及びメス部材として使用された一例を示した図である。
【図33】図32に示したオス部材の斜視図である。
【図34】図32に示したメス部材の斜視図である。
【図35】図32に示したオス部材及びメス部材を嵌合した状態を示した図である。
【図36】図32に示したオス部材においてその上面の形状を変更した場合を示した図である。
【図37】図32に示したメス部材においてその下面の形状を変更した場合を示した図である。
【図38】図32に示したオス部材において側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図39】図32に示したメス部材において内側側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図40】図32に示したオス部材においてその断面形状を変更した場合における図32に対応する図である。
【図41】図40に示したオス部材の斜視図である。
【図42】図40に示したオス部材及びメス部材を嵌合した状態を示した図である。
【図43】図40に示したオス部材においてその上面の形状を変更した場合を示した図である。
【図44】図40に示したオス部材において側面(嵌合面)における形状を変更した場合を示した図である。
【図45】図32に示したオス部材に相当する部材のみでプリント基板間のコネクタを構成する場合における図32に対応する図である。
【図46】図45に示した部材の斜視図である。
【図47】図45に示した部材においてその上下面の形状を変更した場合を示した図である。
【図48】図45に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を一対の導体パターンから一対の金属部材に変更した場合における図45に対応する図である。
【図49】図48に示した金属部材が嵌め込まれた状態の部材の斜視図である。
【図50】本発明に係る製造方法により製造されたセラミック部材が、プリント基板間のコネクタであってプリント基板の端部に使用されるものとして使用された一例を示した図である。
【図51】図50に示した端面スペーサの斜視図である。
【図52】図50に示した構成において、プリント基板間の電気的接続媒体を導体パターンからフレキシブル・プリント・サーキット(FPC)に変更した場合における図50に対応する図である。
【符号の説明】
【0111】
10…セラミック部材体、20…成形型、20A…上型、20B…下型、21…成形面、30…スキージ、B…セラミック焼成体、F…セラミック成形体、Pin…開口、Q…成形空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの基板間を電気的に接続する基板間電気接続体であって、
セラミックからなる絶縁体であるセラミック部材と、
前記セラミック部材の表面に配設された導体からなる導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記2つの基板の他方に接触する第2部分とを有するとともに前記第1部分と前記第2部分とが繋がっている導体部と、
を備えた基板間電気接続体。
【請求項2】
請求項1に記載の基板間電気接続体において、
前記導体部は、前記セラミック部材の表面に形成された導体パターンである、基板間電気接続体。
【請求項3】
請求項1に記載の基板間電気接続体において、
前記導体部は、前記セラミック部材の表面に固定された金属からなる金属部材である、基板間電気接続体。
【請求項4】
請求項3に記載の基板間電気接続体において、
前記金属部材は、前記セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に固定された、基板間電気接続体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の基板間電気接続体において、
前記セラミック部材は、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記導体部は、前記セラミック部材の表面における前記長手方向についての複数個所にそれぞれ配設された、基板間電気接続体。
【請求項6】
対向する2つの基板間を電気的に接続する基板間電気接続体であって、
オス側嵌合面を有する絶縁体であるオス部材と、
前記オス部材の表面に配設された導体からなるオス側導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記オス側嵌合面に配設されたオス側嵌合部分とを有するとともに前記第1部分と前記オス側嵌合部分とが繋がっているオス側導体部と、
前記オス側嵌合面と嵌合するメス側嵌合面を有する絶縁体であるメス部材と、
前記メス部材の表面に配設された導体からなるメス側導体部であって、前記2つの基板の他方に接触する第2部分と前記メス側嵌合面に配設されたメス側嵌合部分とを有するとともに前記第2部分と前記メス側嵌合部分とが繋がっているメス側導体部と、
を備え、
前記オス部材と前記メス部材の何れか一方又は両方がセラミックからなる絶縁体であるセラミック部材であり、
前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とが嵌合した状態において前記オス側嵌合部分と前記メス側嵌合部分とが接触するように構成され、
前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とを嵌合して前記第1部分と前記第2部分とが電気的に繋がった状態にて使用される、基板間電気接続体。
【請求項7】
請求項6に記載の基板間電気接続体において、
前記オス側導体部及び前記メス側導体部は、それぞれ、前記オス部材及び前記メス部材の表面に形成された導体パターンである、基板間電気接続体。
【請求項8】
請求項7に記載の基板間電気接続体において、
前記オス側嵌合部分及び前記メス側嵌合部分のうち前記セラミック部材の表面に配設された嵌合部分に対応する前記導体パターンは、前記オス側嵌合面及び前記メス側嵌合面のうち前記セラミック部材が有する嵌合面に設けられた凸部の表面に形成された、基板間電気接続体。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載の基板間電気接続体において、
前記オス部材及び前記メス部材はそれぞれ、長手方向を有する長棒形状を呈していて、 前記オス側導体部は、前記オス部材の表面における前記オス部材の長手方向についての複数個所にそれぞれ配設され、
前記メス側導体部は、前記メス部材の表面における前記メス部材の長手方向についての複数個所であってそれぞれの個所が前記オス部材の長手方向についての前記複数個所のそれぞれと対応する複数個所にそれぞれ配設された、基板間電気接続体。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の基板間電気接続体に使用されるセラミック部材の製造方法であって、
セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、成形型を利用して成形し、セラミック成形体を得る成形工程と、
前記得られたセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を得る焼成工程と、
前記得られたセラミック焼成体に、前記セラミック焼成体の表面において機械加工が施されていない部分が残存するように前記機械加工を施して前記セラミック部材を得る加工工程と、
を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形型として、上面にて成形空間に通じる開口が形成された成形型が使用され、
前記成形工程が、
セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、その一部が前記成形型の前記開口から溢れて前記成形型の前記上面から上方に盛り上がるように、前記開口を通して前記成形型の前記成形空間に投入する投入工程と、
スキージを前記成形型の前記上面に沿うように移動させることで、前記セラミックスラリーのうちで前記上面から上方に盛り上がっている部分を除去するとともに前記セラミックスラリーを前記成形空間に充填するスキージング工程と、
前記成形空間に充填されたセラミックスラリーをゲル化反応により固化する固化工程と、
前記固化により形成された成形体から前記成形型を取り除いて前記セラミック成形体を得る離型工程と、
を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程が、
前記投入工程の前に、前記成形空間を画定する前記成形型の成形面に、前記離型工程にて前記セラミック成形体を前記成形面から引き離し易くするための離型剤を塗布する塗布工程を含み、
前記成形型の成形面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.2μm〜0.8μmであり、前記離型剤としてフッ素樹脂が使用される、セラミック部材の製造方法。
【請求項13】
請求項10乃至請求項12の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程が、
前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に、前記成形空間内の下方部分であって前記セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を前記成形空間外に排気する空気抜き工程を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記スキージング工程において、前記スキージの先端と前記成形型の前記上面との間の上下方向における隙間が50μm〜500μmに調整された状態で、前記スキージが移動させられる、セラミック部材の製造方法。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記スキージング工程において、平板状の前記スキージの平面が前記スキージの移動方向に対して垂直になる状態から前記スキージが前記移動方向における前側又は後側に20°〜70°だけ傾いた状態で、前記スキージが移動させられる、セラミック部材の製造方法。
【請求項16】
請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程において、
前記成形型に形成された同形の複数の前記成形空間のそれぞれに前記セラミックスラリーを投入・充填することで、前記成形工程の1回の実行により同形の複数の前記セラミック成形体を得る、セラミック部材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形型が、前記同形の複数の成形空間が整列して配置されるとともに隣接する前記成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成されていて、
前記成形工程において、前記同形の複数のセラミック成形体からなるとともに隣接するセラミック成形体同士が連結部により連結されたセラミック成形体の集合体を得て、
前記焼成工程において、前記得られたセラミック成形体の集合体を焼成して、前記同形の複数のセラミック焼成体からなるとともに隣接するセラミック焼成体同士が前記連結部により連結されたセラミック焼成体の集合体を得て、
前記加工工程において、前記得られたセラミック焼成体の集合体に、前記連結部が除去されるように且つ前記各セラミック焼成体の表面において前記機械加工が施されていない部分が残存するように機械加工を施して、それぞれが別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材を得る、セラミック部材の製造方法。
【請求項1】
対向する2つの基板間を電気的に接続する基板間電気接続体であって、
セラミックからなる絶縁体であるセラミック部材と、
前記セラミック部材の表面に配設された導体からなる導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記2つの基板の他方に接触する第2部分とを有するとともに前記第1部分と前記第2部分とが繋がっている導体部と、
を備えた基板間電気接続体。
【請求項2】
請求項1に記載の基板間電気接続体において、
前記導体部は、前記セラミック部材の表面に形成された導体パターンである、基板間電気接続体。
【請求項3】
請求項1に記載の基板間電気接続体において、
前記導体部は、前記セラミック部材の表面に固定された金属からなる金属部材である、基板間電気接続体。
【請求項4】
請求項3に記載の基板間電気接続体において、
前記金属部材は、前記セラミック部材の表面に設けられた凹部の表面に固定された、基板間電気接続体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の基板間電気接続体において、
前記セラミック部材は、長手方向を有する長棒形状を呈していて、前記導体部は、前記セラミック部材の表面における前記長手方向についての複数個所にそれぞれ配設された、基板間電気接続体。
【請求項6】
対向する2つの基板間を電気的に接続する基板間電気接続体であって、
オス側嵌合面を有する絶縁体であるオス部材と、
前記オス部材の表面に配設された導体からなるオス側導体部であって、前記2つの基板の一方に接触する第1部分と前記オス側嵌合面に配設されたオス側嵌合部分とを有するとともに前記第1部分と前記オス側嵌合部分とが繋がっているオス側導体部と、
前記オス側嵌合面と嵌合するメス側嵌合面を有する絶縁体であるメス部材と、
前記メス部材の表面に配設された導体からなるメス側導体部であって、前記2つの基板の他方に接触する第2部分と前記メス側嵌合面に配設されたメス側嵌合部分とを有するとともに前記第2部分と前記メス側嵌合部分とが繋がっているメス側導体部と、
を備え、
前記オス部材と前記メス部材の何れか一方又は両方がセラミックからなる絶縁体であるセラミック部材であり、
前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とが嵌合した状態において前記オス側嵌合部分と前記メス側嵌合部分とが接触するように構成され、
前記オス側嵌合面と前記メス側嵌合面とを嵌合して前記第1部分と前記第2部分とが電気的に繋がった状態にて使用される、基板間電気接続体。
【請求項7】
請求項6に記載の基板間電気接続体において、
前記オス側導体部及び前記メス側導体部は、それぞれ、前記オス部材及び前記メス部材の表面に形成された導体パターンである、基板間電気接続体。
【請求項8】
請求項7に記載の基板間電気接続体において、
前記オス側嵌合部分及び前記メス側嵌合部分のうち前記セラミック部材の表面に配設された嵌合部分に対応する前記導体パターンは、前記オス側嵌合面及び前記メス側嵌合面のうち前記セラミック部材が有する嵌合面に設けられた凸部の表面に形成された、基板間電気接続体。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8の何れか一項に記載の基板間電気接続体において、
前記オス部材及び前記メス部材はそれぞれ、長手方向を有する長棒形状を呈していて、 前記オス側導体部は、前記オス部材の表面における前記オス部材の長手方向についての複数個所にそれぞれ配設され、
前記メス側導体部は、前記メス部材の表面における前記メス部材の長手方向についての複数個所であってそれぞれの個所が前記オス部材の長手方向についての前記複数個所のそれぞれと対応する複数個所にそれぞれ配設された、基板間電気接続体。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の基板間電気接続体に使用されるセラミック部材の製造方法であって、
セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、成形型を利用して成形し、セラミック成形体を得る成形工程と、
前記得られたセラミック成形体を焼成してセラミック焼成体を得る焼成工程と、
前記得られたセラミック焼成体に、前記セラミック焼成体の表面において機械加工が施されていない部分が残存するように前記機械加工を施して前記セラミック部材を得る加工工程と、
を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形型として、上面にて成形空間に通じる開口が形成された成形型が使用され、
前記成形工程が、
セラミック粉体、分散媒、及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを、その一部が前記成形型の前記開口から溢れて前記成形型の前記上面から上方に盛り上がるように、前記開口を通して前記成形型の前記成形空間に投入する投入工程と、
スキージを前記成形型の前記上面に沿うように移動させることで、前記セラミックスラリーのうちで前記上面から上方に盛り上がっている部分を除去するとともに前記セラミックスラリーを前記成形空間に充填するスキージング工程と、
前記成形空間に充填されたセラミックスラリーをゲル化反応により固化する固化工程と、
前記固化により形成された成形体から前記成形型を取り除いて前記セラミック成形体を得る離型工程と、
を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程が、
前記投入工程の前に、前記成形空間を画定する前記成形型の成形面に、前記離型工程にて前記セラミック成形体を前記成形面から引き離し易くするための離型剤を塗布する塗布工程を含み、
前記成形型の成形面の表面粗さは算術平均粗さRaで0.2μm〜0.8μmであり、前記離型剤としてフッ素樹脂が使用される、セラミック部材の製造方法。
【請求項13】
請求項10乃至請求項12の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程が、
前記投入工程後且つ前記スキージング工程前に、前記成形空間内の下方部分であって前記セラミックスラリーが進入していない領域に残存している空気を前記成形空間外に排気する空気抜き工程を含む、セラミック部材の製造方法。
【請求項14】
請求項10乃至請求項13の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記スキージング工程において、前記スキージの先端と前記成形型の前記上面との間の上下方向における隙間が50μm〜500μmに調整された状態で、前記スキージが移動させられる、セラミック部材の製造方法。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記スキージング工程において、平板状の前記スキージの平面が前記スキージの移動方向に対して垂直になる状態から前記スキージが前記移動方向における前側又は後側に20°〜70°だけ傾いた状態で、前記スキージが移動させられる、セラミック部材の製造方法。
【請求項16】
請求項10乃至請求項15の何れか一項に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形工程において、
前記成形型に形成された同形の複数の前記成形空間のそれぞれに前記セラミックスラリーを投入・充填することで、前記成形工程の1回の実行により同形の複数の前記セラミック成形体を得る、セラミック部材の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載のセラミック部材の製造方法において、
前記成形型が、前記同形の複数の成形空間が整列して配置されるとともに隣接する前記成形空間の一部同士がそれぞれ繋がるように形成されていて、
前記成形工程において、前記同形の複数のセラミック成形体からなるとともに隣接するセラミック成形体同士が連結部により連結されたセラミック成形体の集合体を得て、
前記焼成工程において、前記得られたセラミック成形体の集合体を焼成して、前記同形の複数のセラミック焼成体からなるとともに隣接するセラミック焼成体同士が前記連結部により連結されたセラミック焼成体の集合体を得て、
前記加工工程において、前記得られたセラミック焼成体の集合体に、前記連結部が除去されるように且つ前記各セラミック焼成体の表面において前記機械加工が施されていない部分が残存するように機械加工を施して、それぞれが別個独立に分離された同形の複数のセラミック部材を得る、セラミック部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【公開番号】特開2010−86879(P2010−86879A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256703(P2008−256703)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]